それは必然だったのかもしれない。
それは運命だったのかもしれない。
悲しくて。
切なくて。
どうしょうもない絶望を伴って。
まるで悪夢のようだった。
見たくもない光景だった。
悲鳴のような金属音が、全身を震わせた。
脳に刻み込むような鈍い銀閃が、くっきりと目に見えて、
彼は。
彼は――柊 蓮司は悲痛な絶叫を上げた。
それは運命だったのかもしれない。
悲しくて。
切なくて。
どうしょうもない絶望を伴って。
まるで悪夢のようだった。
見たくもない光景だった。
悲鳴のような金属音が、全身を震わせた。
脳に刻み込むような鈍い銀閃が、くっきりと目に見えて、
彼は。
彼は――柊 蓮司は悲痛な絶叫を上げた。
「ま、魔剣が折れたぁあああああああああ!!!!?」
手の中に握られて、ものの見事に折れた魔剣がそこにあったから。
【柊 蓮司の魔剣が折れたようです】
第0夜 魔剣を失った魔剣使いはただの使いである
第0夜 魔剣を失った魔剣使いはただの使いである
思えば無茶だったのかもしれない。
数ヶ月前東京・秋葉原で起こったシャイマールの覚醒事件、そしてそれを無事解決し、
なんとか高校を卒業した柊 蓮司に待ち受けていたのは――もちろん平和なんかではなかった。
任務。
任務。
任務の嵐だった。
高校生時代を超える任務の山が、彼を待ち受けていた。
本来ならばもっと早く気が付くべきだったのかもしれない。今まで彼の餌として、
そして僅かな希望としてぶらさげていた学校生活の出席日数。
それが餌として役に立つのは希望がある限り、つまり卒業に不可欠な出席日数を超えない
限りである。
今まで無節操に拉致していたと思われていたアンゼロットだが、絶妙に任務の期間と
出席日数を計算していたのである。
そんな暇があるなら、もっと書類整理とかに時間を費やせよとロンギヌスの誰かが考えたが、
まあ口に出したら最後、キルキルキル! しか言えなくなるまで地下で訓練させられる
羽目になることが明白なので、誰も言わなかったという。
閑話休題。
つまるところ、柊 蓮司の学生という立場が微妙にアンゼロットによる任務の量に抑制
をかけていたとも言える。
そして、今高校を卒業し、不良高校生から高卒職無し少年として社会的立場が成り下がった
柊に、容赦する理由は消えたのだ。
故に、彼には任務が下される。
時には日本の奥地で眠っている埋蔵金を掘りに行かされ、又は南海の海で秘宝を狙う密
猟者と争奪戦を繰り広げ、或いは宇宙でHAHAHA! と笑う芳香剤の戦艦に乗って(乗せられて)
地球侵略を狙うタコ型火星人のUFOを叩き切り、そして最後には何故か任務の際に
6割以上の頻度で出会う某ぽんこつ魔王にからかわれたりなど……
とにかく忙しい日々を送っていた。
彼の両目の下にははっきりと見えるほどのくまが色濃く現われ、しかも家に帰る暇も
ないのでアンゼロット宮殿の客室のベッドに服を変える暇もなく倒れ伏し、任務と任務の
僅かな休憩時間に価格にして数千円にも及ぶ栄養ドリンクを何本も飲むほどである。
たった数ヶ月で、柊 蓮司は疲労の極みとも言える状態にまでなっていた。
数ヶ月前東京・秋葉原で起こったシャイマールの覚醒事件、そしてそれを無事解決し、
なんとか高校を卒業した柊 蓮司に待ち受けていたのは――もちろん平和なんかではなかった。
任務。
任務。
任務の嵐だった。
高校生時代を超える任務の山が、彼を待ち受けていた。
本来ならばもっと早く気が付くべきだったのかもしれない。今まで彼の餌として、
そして僅かな希望としてぶらさげていた学校生活の出席日数。
それが餌として役に立つのは希望がある限り、つまり卒業に不可欠な出席日数を超えない
限りである。
今まで無節操に拉致していたと思われていたアンゼロットだが、絶妙に任務の期間と
出席日数を計算していたのである。
そんな暇があるなら、もっと書類整理とかに時間を費やせよとロンギヌスの誰かが考えたが、
まあ口に出したら最後、キルキルキル! しか言えなくなるまで地下で訓練させられる
羽目になることが明白なので、誰も言わなかったという。
閑話休題。
つまるところ、柊 蓮司の学生という立場が微妙にアンゼロットによる任務の量に抑制
をかけていたとも言える。
そして、今高校を卒業し、不良高校生から高卒職無し少年として社会的立場が成り下がった
柊に、容赦する理由は消えたのだ。
故に、彼には任務が下される。
時には日本の奥地で眠っている埋蔵金を掘りに行かされ、又は南海の海で秘宝を狙う密
猟者と争奪戦を繰り広げ、或いは宇宙でHAHAHA! と笑う芳香剤の戦艦に乗って(乗せられて)
地球侵略を狙うタコ型火星人のUFOを叩き切り、そして最後には何故か任務の際に
6割以上の頻度で出会う某ぽんこつ魔王にからかわれたりなど……
とにかく忙しい日々を送っていた。
彼の両目の下にははっきりと見えるほどのくまが色濃く現われ、しかも家に帰る暇も
ないのでアンゼロット宮殿の客室のベッドに服を変える暇もなく倒れ伏し、任務と任務の
僅かな休憩時間に価格にして数千円にも及ぶ栄養ドリンクを何本も飲むほどである。
たった数ヶ月で、柊 蓮司は疲労の極みとも言える状態にまでなっていた。
そして、その日。
いつものように、この数ヶ月連日のように繰り返されたお茶会にて。
いつものように、この数ヶ月連日のように繰り返されたお茶会にて。
「柊さん、今日も私の答えにハイかYESで答えてください♪」
「あー、おう……」
守護者アンゼロットの前で、決して手を付けるはずのない紅茶のカップを見ながら柊 蓮司は呻くような返事を返した。
かなりの疲労度であり、まるで死人のような状態である。
だがしかし。
かなりの疲労度であり、まるで死人のような状態である。
だがしかし。
「今日も素直で結構です。それではさっさと説明しますね」
楽しげに話すアンゼロットの目元……そこには見目麗しい美少女の顔には似つかわしく
ない黒いくまがあった。
決してネットゲーのやりすぎなのではなく、深く刻まれた疲労の証拠が。
簡単な話である。
柊蓮司が死に掛けるぐらいに忙しく任務があるのは、それだけ世界の危機が多く出没
している証拠。
しかも、シャイマール覚醒時での迎撃戦で何十、何千ものウィザードが撃墜され、未だ
に病院のベットの上で唸っているものも少なくない。
慢性的な人手不足のツケとさらに弱体化した世界結界によるエミュレイターの出現が、
さらに忙しさに拍車をかけ、普段は勤務時間が五時間にも満たない守護者の生活を仕事で
埋め尽くしていた。
他人が苦しい時は自分も苦しい。
まさしくそんな状況だった。
まったく何の救いにもならない話だが。
ない黒いくまがあった。
決してネットゲーのやりすぎなのではなく、深く刻まれた疲労の証拠が。
簡単な話である。
柊蓮司が死に掛けるぐらいに忙しく任務があるのは、それだけ世界の危機が多く出没
している証拠。
しかも、シャイマール覚醒時での迎撃戦で何十、何千ものウィザードが撃墜され、未だ
に病院のベットの上で唸っているものも少なくない。
慢性的な人手不足のツケとさらに弱体化した世界結界によるエミュレイターの出現が、
さらに忙しさに拍車をかけ、普段は勤務時間が五時間にも満たない守護者の生活を仕事で
埋め尽くしていた。
他人が苦しい時は自分も苦しい。
まさしくそんな状況だった。
まったく何の救いにもならない話だが。
「それでですね。今任務を続行中の、ウィザードの加勢に向かって欲しいのです。報告に
よると、相手は魔王級のエミュレイターらしいですが、雑魚魔王らしいので柊さんの実力
ならば必ずややり遂げると――」
よると、相手は魔王級のエミュレイターらしいですが、雑魚魔王らしいので柊さんの実力
ならば必ずややり遂げると――」
「あー、了解了解……とりあえずさっさと送ってくれ」
アンゼロットの話を途中で切り、柊はひらひらと手を振る。
本来ならば一言の文句や反論を叫んで、そのまま問答無用で落下させられるのがお決まり
のパターンなのだが、今の彼にはツッコミをいれるだけの気力すらも失われていた。
本来ならば一言の文句や反論を叫んで、そのまま問答無用で落下させられるのがお決まり
のパターンなのだが、今の彼にはツッコミをいれるだけの気力すらも失われていた。
「……分かりました。それでは、柊さん頑張ってくださいね」
そう告げて、アンゼロットがどこからともかく垂れ下がってきた紐を掴む。
そして、クイッとそれが引かれて――
そして、クイッとそれが引かれて――
「ぁー~~~~~~~~~~~~~」
カパッと開かれた床から、本当にやる気を無くすような絶叫を上げて柊は落ちていった。
こうテンションが下がるような声で。
こうテンションが下がるような声で。
「……」
その声を聞き、アンゼロットが僅かに額に汗を浮かばせる。
「そろそろ柊さんにも休暇を与えるべきでしょうか?」
その分の任務はロンギヌス・コイズミに割り当てましょうかと考えて、アンゼロットは静かに窓から映る蒼い地球を見つめていた。
疲れていた。
まるでやる気が無かった。
思えばそれが全ての原因であり、取り替えしの付かない失敗の元だった。
落下した先には目をパチクリさせて武具を構えたままの新人らしきウィザードたちが数人、
対峙していたのは丸っこい亀のような巨大なエミュレイター。
魔王級と呼ばれるだけあって、強い魔力を感じた。
けれど、それだけだ。
この程度の雑魚魔王なら何度も切り伏せている。
いつものように月衣から魔剣を抜き放ち、一秒でも早く終わらせる。
そんな思考で疲れて鈍った動きで地面を蹴り、生命力も伝達し切れない魔剣の刃を振り翳し、
切れが悪く手首を返して――魔剣を叩きつけた。
そう、それで。
それで――折れたのだ。
まるでやる気が無かった。
思えばそれが全ての原因であり、取り替えしの付かない失敗の元だった。
落下した先には目をパチクリさせて武具を構えたままの新人らしきウィザードたちが数人、
対峙していたのは丸っこい亀のような巨大なエミュレイター。
魔王級と呼ばれるだけあって、強い魔力を感じた。
けれど、それだけだ。
この程度の雑魚魔王なら何度も切り伏せている。
いつものように月衣から魔剣を抜き放ち、一秒でも早く終わらせる。
そんな思考で疲れて鈍った動きで地面を蹴り、生命力も伝達し切れない魔剣の刃を振り翳し、
切れが悪く手首を返して――魔剣を叩きつけた。
そう、それで。
それで――折れたのだ。
「へ?」
ボキンと嫌な感触がした。
クルクルと目の前でなにかが飛んでいた。
そう。
魔剣が。
こう、ぽっきりと。
ものの見事に。
折れました。
こう、ぽっきりと。
ものの見事に。
折れました。
「ぁあああああああああああああああああああ!!!」
それが、柊 蓮司の新たなる事件(喜劇?)の始まりだったと誰が判っていたのだろう。
神殺しの魔剣。
幾多の魔王を滅ぼし、神を殺し、あらゆる魔を断ち切ってきた魔剣。
神殺しの魔剣。
幾多の魔王を滅ぼし、神を殺し、あらゆる魔を断ち切ってきた魔剣。
それを巡る新しい物語が始まる。
……幾多の女性を巻き込んで。
――次回 ??編/1夜【鍛冶師を探せ】に続く