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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫
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ナイトウィザード!クロスSS超☆保管庫

第04話

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匿名ユーザー

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side アシュレー・ウィンチェスター


「…ここは?」
アシュレーが目を覚ますとトニーとマリナの泣きそうな顔が最初に目に入った。
「良かった、目を覚ましたのね!アシュレー!」
「広場でぶっ倒れてるのを見たときはたまげたぜあんちゃん!」
「そうか…俺は…あの女に負けたのか…」
アシュレーはぼんやりと思い出す。何故倒れたのかを。
ここは、2階にあるアシュレーとマリナの部屋。その部屋の1つしかないベッドに、アシュレーは寝かされていた。
「あの後ブラッドのおっちゃんと晶姉ちゃんが来てここまで運んで治療してくれたんだ。今呼んでくる!」
そう言うとトニーは部屋を出て行った。
「まだ無理しないで。ブラッドさんは少し休めばすぐに元気になるって言ってたけど…」
「そうか…今、何時くらいなんだ?」
そう言ってアシュレーは外を見る。その瞬間、頭が一気に覚醒した。

外では今もまだ、赤い月が輝いていた。

「…!?月がまだ赤いままだ!一体どうなっているんだ!」
「落ち着いて、アシュレー!」
混乱するアシュレーを、マリナはいさめる。
だが、その直後に彼女が言った言葉は、アシュレーを更に混乱させた。
「アシュレー、疲れてるのよ。月が赤いのは、当たり前じゃない…」
「!?何を言ってるんだマリナ…」
「目を覚ましたか。アシュレー」
驚いてアシュレーがマリナを問いつめようとした瞬間、ドアが開いて色黒の大男と若い女が入ってくる。
男の手にはアシュレーのARMが握られている。その男にアシュレーは見覚えがあった。
「ブラッド…?」
「ブラッドさん…」
「すまないがマリナ、少しアシュレーと話がしたい。席を外しては貰えないだろうか?」
「はい…アシュレーのこと、頼みます」
ブラッドの頼みにマリナは頷き、部屋を出て行く。出ていく瞬間のアシュレーを見る瞳には困惑と心配が張り付いていた。

「どうやらアシュレーもあの赤い月を異常だと認識出来ているようだな」
3人だけになった部屋で、ブラッドが口を開き、アシュレーに確認する。
「ああ、でも何でマリナはあんなに不思議そうに…?」
「マリナだけではない。この街の人間も、セボック村の人間も、あの赤い月が当然のものと受け入れている」
「セボック村でも、あの月が出ていたのか!?」
「うむ。確認はしていないがあれはおそらく世界中で出ているようだな」
「そして、誰もそれを疑問に思っていない…?」
「ああ、少なくとも俺の知る限り、あの赤い月が異常だと認識しているのは、ここにいる3人だけだ」
「3人…?」
ブラッドの発言で、アシュレーはブラッドのすぐ側に別の人間がいることに気づいた。
見慣れない格好をした、少女。その少女はアシュレーがこちらを見るとなぜか腰を曲げて頭を下げ、言う。
「あ、初めまして。私、七瀬晶って言います。アシュレー・ウィンチェスターさん、でいいんですよね?よろしくお願いします」
「あ、ああ…よろしく…」
その少女と挨拶を交わし、アシュレーはブラッドに向き直って聞く。
「それで、ブラッド。そこの、アキラさんと言う人とは、どういう知り合いなんだ?」
「ああ、彼女は…」
そしてブラッドは晶から聞いた話をアシュレーに伝える。
彼女がガーディアンの導きで異世界からやってきたこと、今回の事件に心当たりがあるらしいと言うことを。
「異世界から?」
思わずアシュレーは聞き返した。異世界からドラゴンでもない普通の人間がやってくるなど、初めて聞いた話だ。
「ああ。友人を探しているそうだ。その手がかりとなりそうなのが、アガートラームだと言う」
「アガートラームだって!?」
「はい。その剣が柊くん、友達が使っていた剣にそっくりだってブラッドさんに聞いて手がかりにならないかと思って…」
晶の言葉を、アシュレーは遮るように呟いた。
「アガートラームは…謎の女に奪われた…」
「なんだと!?」
「ええ!?」
アシュレーの発言に、2人は同時に驚いた声をあげた。ブラッドが慌てて問う。
「馬鹿な、あの剣はそう簡単に抜ける代物ではないのでは無かったか!?」
「ああ、俺にもどうなっているのか分からないけど…」
アシュレーが事情を説明しようとした、その瞬間だった。

ドガンッ!

店が揺れる。1階の店に何かが落ちてきたようだった。
「ブラッド!」
「ああ、受け取れ!」
緊迫したアシュレーの声にこたえ、ブラッドは整備を済ませたアシュレーのARMを投げ渡す。
そして自身もマイトグローブをはめて、戦闘に備えた。
「晶、お前も来てくれ。下に何がいるか、分からん」
「はい!」
ブラッドに言われ、晶は魔剣を月衣から抜く。
虚空から現れたアーガトラームそっくりの剣に驚くアシュレーを、ブラッドが手で制した。
「話は後だ。今は、侵入者をなんとかする」
「…分かった。行こう」
戦いに慣れた戦士の言葉に、アシュレーは頷き、音をあまり立てないように歩き出した。

下に降りると、話し声が聞こえる。若い男女2人組らしい。なにやら言い争っているようだ。
「おいおい、もう失敗は無しにしてくれって言ったじゃねえかよ!」
「失敗じゃないよ!ここタウンメリアだし!ただちょっとお腹がすいたなって考えちゃったからパン屋に直接出ただけで!」
「あんだけ食っといてまだ足んなかったのかよ!?」
「魔法を使うとお腹がすきやすくなるの!」

2人の声にその場にいた全員が聞き覚えがあった。アシュレーとブラッドは、女の声に。晶は男の声に。
「「リルカ!」」
「柊くん!」

「アシュレー!それにブラッドまで!?」
こうしてリルカはかつての仲間と再会を果たし、
「晶!?もしかして七瀬晶なのか!?」
柊蓮司はかつての戦友と思いがけない再会を果たした。


side ???

「永遠に1人で生きてゆく…それは、ただ1人ファルガイアに残ったわらわの宿命じゃ」
―――違うよ?あなたは1人で生きていく必要なんか無い
「人間と交わって生きろと言うのか。それは出来ぬ。人間はすぐに老いて死ぬ。出会うても別れが辛くなるだけじゃ。
500年前、アナスタシアを失ってわらわは決めた。深くは関わらぬと。人間は見守るべきものに過ぎぬ」
―――そうだね。あなたは人間と交わる必要なんか無い
「ならばやはり、わらわは孤独じゃ」
―――それは違うよ。あなたは、あなたにふさわしいお友達をつくれるもの
「なぜそんなことが言える!?ノーブルレッドはわらわしかおらぬ。わらわ1人では子を育むことすら出来ぬ!」
―――そうだね。でも、それはファルガイアが今の姿であるかぎり
「…どうゆうことじゃ?」
―――もうすぐ、ファルガイアは生まれ変わる。ノーブルレッドが生まれる世界へ
「生まれ、変わる?」
―――ノーブルレッドは夜の支配者。その愛を受け入れた人間は、ノーブルレッドに生まれ変わる
   生まれ変わった人間はノーブルレッドと交わって、新しいノーブルレッドを産むの。そうしてノーブルレッドは世界に満ちる
「馬鹿な。血を啜っても人はノーブルレッドには変わらぬ!そんなの、ただの迷信じゃ!」
―――それは、古いファルガイアだから。新しいファルガイアでは、それは真実
「新しい、ファルガイア…?」
―――新しいファルガイアに、ノーブルレッドを蝕む太陽なんていらない。空には高貴な色の赤い月が輝き、ずっと夜が続いていくの
「それは、まことか?」
―――ええ。赤い月の輝くファルガイアは、すぐにやってくるわ
「わらわは、もう、1人でおらずとも、よいのか?」
―――そう。だから今は…

「お休みなさい。次に目覚めるそのときには、ファルガイアも生まれ変わっているから」
グラブ・ル・ガブルに包まれ、胎児のように身を丸めて眠る白き少女の頬をなぜ、黒衣の少女は囁いた。
安心した顔で眠る白き少女を見て、黒衣の少女はくすくすと笑う。
「みんなの“想い出”を変えることをこんなに強く願うなんて、よっぽど寂しかったのね」
その姿はさながら、無邪気な子供。
無邪気な子供は自らの好奇心を満たすために虫を引き裂くことも厭わない。
それを黒衣の少女は明確な悪意を持って行う。それが、彼女の本質。

その少女に突然声が掛けられる。
「ほほう。なるほどな。お前が、新たな魔王にならんとする者か」
「…誰かしら。お客様をお招きした記憶は無いのだけれど」
黒衣の少女はゆっくりと振り向く。
グラブ・ル・ガブル、少女の領域の中心まで少女に気取られずやってくるなど、並大抵の事では無い。
すなわち、それを為した者も並大抵の者ではあり得ない。
「なあに、リオンの奴から我輩らの方法を真似た奴が異界に現れたと聞いてな。見に来たと言うわけだ」
「あなた達…そう、貴方が、裏界の魔王と言うわけかしら」
「うむ、我輩は裏界の公爵、魔騎士エリィ=コルドン。いかにも裏界を統べる魔王の1人だ」
「そう。それで、貴方は私をどうするつもり?殺して、首でも持って行く?」
「ふっ…ルー辺りだったら裏界の権威と品格を守るなどと言ってやりかねんな。逆にベルだったら面白そうなら協力するだろうな。
だが、我輩はそのどちらでもない。我輩は見極めに来たのだ」
「見極める?何を?」
「お前が、裏界ではない異界とは言え自らの領土を持つ魔王に相応しいか否かを、だ」
「そう。それで、魔王エリィ=コルドン様の見立てでは、私はどうだったのかしら?」
「うむ、まずは合格と言ったところだな」
黒衣の少女の問いにエリィは大きく頷いて答える。黒衣の少女は黙って先を促した。
「最近のエミュレイターや冥魔には無粋なものが多くて困る。
強そうだ、怖そうだ、機能的だ、そんな愚にもつかぬ理由で不格好な姿をとる者が多い。
一山いくらの雑魚ならばそれも良かろう。
だが、仮にも領土を持ち、統治する立場にある者には相応の品格が求められる。
魔王たるもの、美しくあれ。それが我輩たち裏界の魔王の考えだ」
エリィは語る。それを聞き、黒衣の少女は笑みを深めて、言う。
「そう。良かった。どうやら、ここで切り札を使わずに済みそうだもの」
「ふっ…場合によっては我輩と戦い、勝つつもりだったか」
ともすれば侮辱とも取れる黒衣の少女の言葉。
だが、エリィはそれを余裕を持って受け流す。
「その不敵さも、魔王には必要な資質。よかろう。
もし、この世界を手にすることができたなら、エリィ=コルドンは敬意と共にお前を魔王と認めよう。
さて、名前を聞いていなかったな。お教え願えないかな、レディ?」
エリィは黒衣の少女を認めた。それゆえに、名前を尋ねる。
それに黒衣の少女は答える。自らの名を。
「私の名前は、ベアトリーチェ。前にいたファルガイアでは『夢の中の君』なんて呼ぶ人間もいたわ」

「…1つだけ、忠告しておいてやろう」
去り際、エリィは背を向けたベアトリーチェに言う。
「この世界にやってきた異邦人、柊蓮司には気をつけるがいい。
奴が関わった事件で陰謀を最後まで完遂させた魔王は1人もいないと言うからな」
「…そう。ご丁寧な忠告、感謝いたしますわ魔王エリィ=コルドン様」
そして今度こそエリィはいずこかへ去った。
白き眠り姫を眺めながら、ベアトリーチェはエリィの言った言葉について考える。
「異邦人、ヒイラギレンジ。イレギュラー要素ね…」
世界の書き換えにガーディアンが何らかの抵抗を見せるのは計算に入れていた。
ゆえに七瀬晶の登場はさほど問題にならない。
だが、問題はもう1人の異邦人。
まさかあんな強引な方法で無理やり未知の異世界に介入してくる馬鹿がいるとは想定外だった。
想定外の動きをする馬鹿は嫌いだ。いつだってこちらの計画をかき乱す。
ベアトリーチェはそう考えていた。
それゆえに、ベアトリーチェは早めにイレギュラー要素をつぶすことを考える。
「そうね…ここで待っているのにも飽きたし、ご挨拶に伺うとしましょう」
そう呟くとベアトリーチェもまた、何処かへと消える。そして、世界の中心に静寂が訪れた。


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