結月もみじは、2010年代後半に連載が開始されたファンタジー小説「秋彩譚」に登場する主要人物の一人である。物語の舞台となる山間の集落・結月村を出身地とし、幼い頃から植物に関する知識と観察力を持つ人物として描かれている。作品の中心となる旅の仲間の中で、調査や記録を担当する立場にあり、冷静な判断を下す役割を担うことが多い。外見は赤みの強い茶髪と落ち着いた雰囲気が特徴で、名前に含まれる「もみじ」は彼女が生まれた季節に由来する設定となっている。
結月もみじの生い立ちは、作品全体の世界観を説明する上で重要な位置を占めている。結月村は、古くから薬草の栽培と保存を行う場所として知られており、もみじの家系も代々植物に関わる仕事に従事していた。幼少期から村の図書庫にある植物の記録を読み、村の年配者から知識を引き継ぐ環境にあったため、自然と植物分類や薬効に関する基礎を身につけたとされる。十歳の頃には、村に伝わる植物標本の整理を任されるようになり、その際に各地から持ち込まれた希少植物の情報に触れたことが、後に旅へ出る動機へとつながっていく。
作中では、結月もみじは主人公たちと合流する以前に独自の調査を行っていた設定があり、地域ごとの植生が変化している現象に関心を抱いていた。物語序盤で主人公たちと出会う際には、山岳地帯で採取した標本を携えており、周辺地域に広がる環境変化の前兆を示す資料として提示している。この出会いをきっかけに、調査目的が一致したことから主人公一行に同行することになり、以後は旅の中で各地域の環境異変の原因を探る活動に深く関わるようになる。
作中での活躍は、戦闘よりも分析や観察に重点が置かれている。植物を媒介にした特殊な現象や、地形の変化を示す兆候を読み取る場面が多く、仲間の行動方針に影響を与える役割を果たす。また、物語中盤では、古文書の解読を担当する場面が描かれ、環境変化の歴史的な経緯を明らかにするうえで重要な情報を提供している。そのため、作品全体の謎解きにおいて中心的な立場を担う人物として扱われている。
対立関係としては、物語後半に登場する調査組織「環境統制局」との衝突が挙げられる。この組織は地形変動の原因を管理しようとする立場にあり、自然環境の本来の姿を調べようとするもみじの方針とは一致しない。特に、局の研究員である浅見俊輝との意見の相違が物語上の対立として描かれており、調査方法や情報の扱い方について何度か論争を交わすことになる。両者の対立は、環境管理の是非という作品のテーマを補強する役割を担っている。
性格は落ち着きがあり、観察力を重視する思考傾向が強い。何事も即断を避け、状況を整理してから判断を下す姿勢が描かれることが多い。一方で、自身の研究分野に関わる事柄には譲歩しにくい一面があり、必要性を感じた場合は周囲の反対を押し切って行動する場面も存在する。また、旅の仲間に対しては、過度に馴れ合うことはないが、行動を共にする中で互いの価値観を尊重しようとする様子が描かれている。
思想面では、自然環境が本来持つ均衡を尊重する姿勢が中心に置かれている。結月村の伝統的な価値観に基づき、環境を改変する力は慎重に扱うべきであるという考えを持つが、ただ保護することを目的にしているわけではなく、現状の変化を受け入れつつその理由を調べるという姿勢が強調されている。作品終盤では、自然環境の変化が単純な災害ではなく長期的な周期の一部であることが判明し、その理解を仲間に共有する役割も担っている。
物語への影響として、結月もみじの存在は環境変化に関する謎を解く上で不可欠であり、世界観の理解を深めるための情報源となっている。彼女が過去に行っていた調査や、結月村で受け継がれてきた記録が物語全体の伏線として組み込まれており、中盤以降の展開を支える要素となっている。また、主人公たちの行動が感情面ではなく状況把握に基づいた判断へと変化していく過程においても、もみじの役割が影響を及ぼしているとされる。
結月もみじは、戦闘能力が突出しているわけではなく、観察と分析を通して物語の進行に関わるという特徴を持つキャラクターである。環境の変化を正確に捉える視点を持ち、作品全体の主題を理解する上で欠かせない立場にある人物として描かれている。物語の結末では、旅で得た知識を結月村に持ち帰り、新たな記録として後世に残すことを自らの役目として受け入れ、物語における成長が示される構成となっている。