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動機づけの定義

 よく企業の持つ経営資源は「ヒト・モノ・カネ・情報」というように表わされるが、企業組織にとって、そこで働く従業員は重要な資源である。というのも、従業員なくして企業は成り立つはずがなく、「ヒト・モノ・カネ・情報」における「モノ・カネ・情報」を扱うのはヒトである。つまり、複数ある経営資源の中核となりうるものがヒトという資源なのである。このような経営資源の中でも比較的重要なヒトとという資源を、トップマネージメントにおいてどのように扱うべきかを考えるのが動機づけ理論である。
 そもそも動機づけとは心理学の領域で頻繁に取り扱われる概念である。一般に動機づけとは行動を喚起させ、目標に向かって維持・調整する過程・機能である。簡単にいえば、個人のやる気を喚起させることである。しかし厳密に心理学でいうところの動機づけとは、「人間がある行動を生起させる原動力となるものであって、それがある行動を引き起こし、ある行動を継続させる」(下崎、1991)というように定義される。すなわち、個人の内部に原動力が生起する過程とその原因を人間内部に見出し、個人の自発的な行動を喚起させることである。こうした心理学における動機づけは、1950年以降、組織メンバーの人間行動を組織と個人の目標統合プロセスとしてとらえた組織行動論の出現によって経営学の分野にも導入されることになる。ただし、経営学における動機づけの定義は、心理学における定義と若干異なる。つまり、経営学における動機づけの定義とは「職場において人々をやる気にさせ、職務生産の向上の仕方を考える」(下崎、1991)というようになる。これは特に心理学における動機づけの定義と区別して、職務動機づけと呼ばれることがある。心理学的動機づけ研究が個人の動機それ自体を解明し、それが喚起される内容を分析するという、個人の内部のみを研究の対象としているのに対し、職務動機づけ研究では、外部の刺激が個人の動機にどのように作用するのかを解明するという、外部と個人の内部の関係を研究の対象としているという違いが存在する。
 本論文における動機づけの定義は、CSRと動機づけの関係を取り扱うので、職務動機づけの定義を採用することとなる。具体的には本論文では、CSRという外部の刺激が個人の内部に作用するのかを考えることになる。
 ここで一般的に動機づけ理論はモチベーション理論とも呼ばれるが、このモチベーションとは動機に対応する概念とする。つまり、動機づけという言葉はモチベーション向上に対応する概念であることを確認しておく。
最終更新:2009年09月15日 18:11
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