猫姫が、ついにコアラやキリンを使って 新しい十二支を結成した。 お酉様以外の、囚われの身となった本当の十二支 子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申、戌・亥。 彼らを救うべく立ち上がったシュシュトリアン。 猫姫の、宇宙征服の野望を撃ち砕け!
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猫姫「やれ!」
新十二支を名乗るタコ、キリン、クマ、カメ、クジャク、シカ、コアラ、カニ、ゾウ、サイ、コウモリ、エリマキトカゲと、シュシュトリアンたちとの戦いが始まる。
シュシュトリアン3姉妹たちは、新十二支12人を相手に奮闘する。
猫姫の眼光が強力な魔力となり、3姉妹を襲う。
夜が更ける。
山吹家では3姉妹の両親の英三郎と恵が、夕食を前にして、娘たちの帰りを待っている。
窓の外は土砂降り。
英三郎「雪子たち、何してるんだ?」
恵「遅いわねぇ……」
ドアの開く音。
恵「あ、帰ってきた!」
恵が玄関に出る。
雪子・月子・花子が、ずぶ濡れで立ち尽くしている。
顔も体も傷だらけ。
恵「きゃっ!? お父さん!」
英三郎「お前たち…… どうしたんだ!?」
シュシュトリアンに勝利した猫姫は、神社で神主を襲う。
猫姫「おみくじや絵馬に、新しい十二支を使え!」
神主「……はい」
続いて占いの館で、十二支占いの占い師を襲う。
猫姫「新しい十二支を使うのじゃぁ~!」
占い師「は…… はい」
あちこちの十二支が、次々に新十二支に塗り替えられてゆく。
猫姫「ホーッホッホ! 我々はシュシュトリアンに勝った。私たち新しい十二支の夢である宇宙征服を邪魔する者は、もう誰もいない!」
後日。
荒木・加納・篠山の3人が、山吹家の3姉妹を訪ねる。
花子「何よ?」
加納が写真を差し出す。
3姉妹の変身を目撃し、その様子を捉えた写真。
3姉妹がシュシュトリアンとなる過程がはっきりと写っている。
シュシュトリアンの正体がばれたとき、3姉妹はローストチキンになるという掟であった。
雪子「あなたたち…… こんな写真撮って、何が目的なの!?」
篠山「シュシュトリアン! 僕たちと、つき合ってください!」
3人組「お願いします!」
加納「僕たち、前々からシュシュトリアンのことが好きでした!」
篠山「山吹と、山吹ん家の姉ちゃんたちがシュシュトリアンだってことは、誰にも言いません!」
荒木「だから、僕たちのガールフレンドになってください!
加納「変なことは、あまりしません!」
3人組「しません!」
3人が土下座で頭を下げる。
頭を上げると、すでに3姉妹の姿はない。
3人組「あれぇ?」「どこ行っちゃったんだ?」
3姉妹は神社で、途方に暮れている。
雪子「どうしよう……」
花子「ローストチキンにされて、タレ塗られちゃ……」
月子「いくら照りが良くても」
雪子「月子!」
月子「……私、黙ってる」
そこへ、フライドチキン男が現れる。
フライドチキン男「コケッ! 何やってんですか!? ドジ、バカ、マヌケ! あんなトロい奴らに正体知られるなんて、気が緩んでる証拠ですよ! とにかく、一刻も早く猫姫退治に行きなさいよ」
花子「うるさいよ!」
フライドチキン男「えっ!?」
雪子「あんたなんてもう、いつもお酉様の命令伝えに来るだけじゃない!?」
月子「たまには自分で戦ってみなさいよ! この口先野郎~!」
フライドチキン男「く、口先野郎~!? あんたたちなんてね、猫姫にボコボコにやられて、征服されちゃえばいいんだぁ!」
花子「嬉しいわねぇ~! それならローストチキンにされるより、ずっとマシよ!」
雪子・月子「そうね!」
フライドチキン男「……じゃあ、あんたたちは自分がローストチキンにならなかったら、宇宙が猫姫に征服されてもいいんですか!?」
月子「猫姫に宇宙を征服されても生きていけるけど」
花子「ローストチキンにされたら私たち、生きていけないもんね」
フライドチキン男「そんな……!? あんたたちはそんな人たちだったんですか? 軽蔑、軽蔑、軽蔑!」
声「シュシュトリアン!」
荒木・加納・篠山の3人が駆けて来る。
3人組「シュシュトリアン! 好きです、好きです! おつき合いさせてください、お願いします! お願いします!」
フライドチキン男「君たちは、そんなにシュシュトリアンが好きなのかい?」
3人組「はい!」
フライドチキン男「よし、わかった。そんなにシュシュトリアンが好きなら、君たちがなればいい!」
3姉妹「えっ!?」
フライドチキン男「やりたくない者に、やってもらうことはないんだ。さぁさぁ、返してください、返してください!」
フライドチキン男が3姉妹から変身ペンダント・バルミラクルを奪い、3人組に渡す。
フライドチキン男「はい、はい。今日から君たちが、臨時のシュシュトリアンだ!」
雪子「フライドチキン男、勝手にそんなことしていいの!?」
フライドチキン男「あんたたちは、猫姫倒すの嫌なんでしょ!? 私と新シュシュトリアンで立派に地球を守ってみせます!!」
3姉妹「……」
フライドチキン男「さぁ、君たちが新しいシュシュトリアンだ。変身しなさい」
荒木「荒木!」
加納「加納!」
篠山「篠山!」
3人組「シュシュトリアン!」
3人がバルミラクルをかざし、本当にシュシュトリアンの女物の戦闘コスチューム姿へと変身する。
3人組「シュシュトリアン!」
フライドチキン男と新シュシュトリアン3人組は、猫姫のアジトへと潜入する。
加納「ここは?」
フライドチキン男「猫姫のアジトの厨房です」
荒木「こんなところで、何するんですか?」
フライドチキン男「十二支を助け出すんですよ」
篠山「えぇっ!?」
フライドチキン男「いいから。大丈夫、大丈夫」
厨房に出来立ての料理がある。
思わず篠山がつまみ食いする。
料理人「こらぁ! 何をやってんだ、小僧! どっから入って来たんだ!?」
とっさにフライドチキン男が、料理人を鍋で殴って叩きのめす。
フライドチキン男「これは遊びじゃないの! さぁ、料理を作り変えますよ」
一方の3姉妹は、山吹家でのん気にくつろいでいる。
花子「もう、面倒くさいシュシュトリアンやらないで済むんだ! あぁ~、せいせいした。あいつらが、猫姫と新十二支に勝てるわけないわよねぇ? やられちゃうに決まってるって」
月子「あっ! ねぇ、花子。もしお酉様までやっつけられちゃったとするでしょ? そしたら私たち、ローストチキンにならなくて済むわよね」
花子「そうよねぇ!」
月子「そうよ。ローストチキンになるなんて」
月子・花子「絶対嫌だもんね──!」
雪子「……ねぇねぇ。勉強でもしない?」
猫姫たちのアジトの食堂。
猫姫「昼食をもて」
フライドチキン男「お待たせいたしました」
料理人に変装したフライドチキン男と新シュシュトリアン3人組が、新十二支一同に料理を運んで来る。
新十二支「おぉ~」「これはうまそうだ」
猫姫「では、新しい十二支の門出を祝して、乾杯」
新十二支「乾杯!」
猫姫「おいしい~!」
サイ「なんだ? この料理は。こんなもの食えるか!」
猫姫「そんなはずはない! ──やっぱり、おいしい!」
ゾウ「これはキャットフードで作った料理だ!」
猫姫「だから、私だけおいしいのね」
コウモリ「猫姫! いくら新しい十二支のリーダーだからと言って、これはないじゃないか!」
サイ「自分だけ食べられるキャットフードの料理を出すなんて、ひどいぞ!」
新十二支「そうだ、そうだ!」「そうだ!」
猫姫「私、そんなこと命令した憶えないんだけど」
新十二支「事情を説明しろ!」「事情を説明しろ!」
猫姫「ちょ、ちょっと、落ち着いて!」
フライドチキン男「よし。この隙に、捕えられた十二支を助け出すんです」
フライドチキン男と新シュシュトリアンは、十二支が囚われている檻のもとへとやって来る。
フライドチキン男「囚われた十二支の皆さん、助けにやって参りました!」
十二支「おぉっ!」「あっぱれ!」
荒木「どうしたんですか?」
フライドチキン男「鍵が…… 加納くん!」
加納「はい、わかりました。皆さん、下がっててください。──加納スペシャル!」
加納がバトンを振るって鍵を砕き、十二支は解放される。
しかし、そこへ猫姫と新十二支たちが現れる。
猫姫「キャットフードを使って我々を仲間割れさせようなどと、ふざけた真似をしおって。戦え! 新しい十二支よ!」
新十二支と十二支、フライドチキン男、新シュシュトリアンの乱戦が始まる。
山吹家。
3姉妹は勉強しているものの、ふと、雪子が思いつめた顔をする。
雪子「月子、花子……」
月子・花子「?」
雪子「私たち、こんなことしてていいの?」
花子「何よ。雪子お姉ちゃんから言い出したんじゃない? 勉強しようって」
月子「……雪子お姉ちゃん!?」
雪子の脳裏に、猫姫との戦いの記憶がよぎり、一筋の涙がこぼれ落ちる。
雪子「私…… ローストチキンになってもいい! もう一度、猫姫と戦いたい!」
月子・花子「雪子お姉ちゃん……!」
月子「私も!」
花子「私だって!」
雪子「月子、花子……」
そこへ、お酉様が現れる。
雪子「お酉様!?」
お酉様「その決意、待っておったぞ! 『ローストチキンになってもいい』、その決意さえあれば、必ずや怪猫・猫姫を撃ち破ることができるであろう」
雪子「でも私たち、シュシュトリアンに変身するためのペンダントが……」
お酉様「有言実行三姉妹よ。ペンダントは、お前たちの心だ!」
3姉妹「心?」
お酉様「3つの心を、1つにせい! シュシュトリアン!!」
月子・花子「雪子お姉ちゃん!」
雪子「……お酉様!」
お酉様「うむ!」
3姉妹はバルミラクルなしで、変身ポーズをとる。
雪子「雪!」
月子「月!」
花子「花!」
3姉妹「シュシュトリアン!」
猫姫のアジトの中庭で、十二支たちの戦いが繰り広げられている。
十二支たちは新十二支を相手に、次第に劣勢となる。
戦い慣れしていない新シュシュトリアンも苦戦を強いられている。
そこへ、変身したシュシュトリアン3姉妹が現れる。
雪子「乙女盛りに命を賭けて──」
月子「風に逆らう三姉妹──」
花子「花と散ろうか咲かせよか──」
雪子「有言実行三姉妹!」
3姉妹「シュシュトリアン!!」
雪子「菅原洋一曰く、『今日でお別れね、もう逢えないの』」
月子・花子「今日でお別れね、もう逢えないの」
フライドチキン男「突然ですが、この番組は今日で終わりです」
新シュシュトリアン3人組が、シュシュトリアン3姉妹に、花束を渡す。
3人組「シュシュトリアンの皆さん、お疲れ様でした!」
花子「どうもありがとう!」
月子「ありがとう!」
雪子「ありがとう!」
フライドチキン男、十二支、そして新十二支、猫姫までもが、拍手を贈る。
猫姫「──何をゴチャゴチャやってるんだ!?」
猫姫と新十二支たちが我に返り、戦いが再開される。
3姉妹は猫姫に挑む。
勢いづいた十二支と新シュシュトリアンも、新十二支に反撃を開始する。
猫姫は3対1のハンデをものともせずに、互角以上の戦いを見せる。
眼光が強力な魔力となって3姉妹を襲い、目に見えない力で3姉妹が投げ飛ばされる。
3姉妹「シュシュファイナル!!」
シュシュトリアン必殺のシュシュファイナルが炸裂──するが、まったくダメージがない。
なおも猫姫の魔力が3姉妹を襲う。
猫姫「覚悟せぇ、シュシュトリアン!」
絶体絶命のそのとき、お酉様が現れる。
お酉様「久しぶりじゃのぉ、猫姫!」
3姉妹「お酉様!」
お酉様「シュシュトリアン! 力を合せて、猫姫を退治するのじゃ!」
猫姫「何を小癪な! 4人まとめて、地獄へ送ってやる!」
3姉妹「紅つむじ風!!」
お酉様「1993スペシャル!!」
シュシュトリアンの組合せたバトンに、お酉様が扇をかざす。
お酉様の力を加えた必殺技が猫姫に炸裂。
猫姫「ギャアアァァ──ッッ!!」
猫姫は空高くふっ飛ばされ、宇宙へ飛び出し、月面に叩きつけられ、爆死を遂げる。
フライドチキン男「新十二支の皆さん、新十二支の皆さん! 怪猫・猫姫は滅びました~! 猫姫と共に、新しい十二支になる夢も滅びたのです。元の生活に、戻りなさぁい!」
新十二支「ひぇ~っ!!」
恐れをなした新十二支たちが、退散してゆく。
お酉様「よくやった、シュシュトリアン!」
3姉妹「お酉様……!」
荒木「あの……」
加納「僕たち、やっぱりシュシュトリアンにはなれません」
篠山「俺たちの頭から、山吹たちがシュシュトリアンだという記憶を消してください」
3人組「お願いします!」
お酉様「良かろう。カァ──ッ!」
お酉様が扇を振るうや、新シュシュトリアンは変身が解け、もとの荒木・加納・篠山の姿に戻る。
3人組「あっ、シュシュトリアンだ!」「写真撮らせてください!」「お願いします!」
3姉妹「ちょ、ちょっとぉ!」「やめてよぉ!」
その夜の山吹家。
3姉妹が両親とともに夕食のテーブルを囲む。
一同「いただきま──す!」
窓の外ではお酉様とフライドチキン男が、団欒の様子を微笑ましく見ている。
お酉様「有言実行三姉妹シュシュトリアンよ! これからも、宇宙の平和を任せたぞ」
フライドチキン男が大きく手を振る。
3姉妹が笑顔で手を振り返す。
英三郎「ん、何してんだ?」
英三郎が窓の外を見ると、お酉様たちはすでに消えている。
英三郎「誰に手を振ってんだ? 誰もいないじゃないか」
3姉妹「うん、誰もいない」「ハハハハ!」
恵「変な子ねぇ……?」
最終更新:2017年06月10日 19:00