失格紋の最強賢者(アニメ版)の最終回

マティアス「魔族を影で操っていた謎の存在、
前世の俺が作った装置を使い、暴いたその正体は、最高位の魔族、ザリディアス。
今の俺達では太刀打ちできない相手だった。
それでも諦めなかった俺達は、対抗するための魔剣を捜しに王都に向かうが、
ヤツの封印があと一歩の所で解けてしまった。
ルリィとアルマは宝物庫に魔剣を取りに、俺とイリスはザリディアスを足止めすることになった。
だが・・・・」


ザリディアス「世界最強と言ってもこの程度か。さっさとケリを付けよう!」

マティアスはザリディアスに追い詰められていた。

マティアス(やはりこの戦い・・・勝つためには、俺の・・命を!!)

第12話 最強賢者、再び旅立つ


ルリィとアルマは宝物庫で魔剣を探していた。
アルマ「違う・・・これじゃない!これも・・・・」

ルリィ「反応ありました!」
ルリィの持つ魔石が光っていた。

アルマ「やったねルリィ!」

ルリィ「多分、この箱の中じゃないかと・・・」
アルマ「早く開けて見よう!」
ルリィ「はい」
箱の中には、剣が入っていた。

ルリィ「触れてみると、とても強い魔力が込められているのが分かります。これなら、きっと・・・・!」
アルマ「急ごう!」
ルリィ「はい!」
(今行きます!マティ君!)


マティアス「くっ!」
マティアスとザリディアスが切り結ぶ。
ザリディアス「舐められたものだ。私相手にその程度の力で時間を稼げると思っているのか?」

ザリディアスは王都に向けて、光弾を放った。

マティアス「ちい!」

マティアスは防御魔法で王都を守るが、その隙にザリディアスが背後に回った。

ザリディアス「貴様の狙いは分かっている。結界の中で私を攻略する手筈を整えているんだろ?だから、守る必要がある」

マティアス「っ!」

ザリディアス「この強力な結界がある限り、私の配下が侵入することは不可能」
「だが、結界の展開前に入り込んでいれば、どうかな?」

マティアス「・・・・!」

マティアスは、以前倒した亜魔族がザリディアスの魔力で操られた事を思い返す。

マティアス(まさか!)


ルリィ「マティ君の魔力反応が、弱くなっています。急がないと!」
アルマ「うん!」

急ぐ2人の前に、1人の衛兵が落とされた。

衛兵「うう・・・・」

2人の頭上に魔族がいた。

ルリィ「魔族!?結界があるのにどうして!」
アルマ「あ!こいつ確か前に!」

その魔族は以前、王都でマティアス達が倒したデシリルだった。

デシリル「ザリディアス様に頂いた命、無駄にはしない。ここでお前らの息の根を止めてやる!」



ルリィ「アルマ!」
アルマ「任せて!」
アルマが弓から魔法を放つ。

デシリル「そんなもの!俺には効かん!」

アルマ「ひひっ」
魔法は軌道を変えて、デシリルの背中に当たった。

デシリル「ぐおっ!」

ルリィ「はあぁ!」
ルリィの剣がデシリルを切り裂いた。

デシリル「ああっ!!」

デシリルは塵となって消滅した。

アルマ「やったねルリィ!」
ルリィ「大丈夫ですか!」
衛兵「ああ・・・問題ない・・・さっきは疑って悪かったな・・・」
ルリィ「気にしないで下さい」
衛兵「さあ俺はいいから、早くその武器を・・・」
?「俺によこせ」


そこへ現れたのは、やはり以前王都で倒された魔族、アシュリルだった。

アシュリル「ザリディアス様の命により、お前達をここで始末する」
アルマ(また魔族!?他にもいるってこと?)
ルリィ(今の所、他の魔族の魔力は感じません。この魔族を倒せば・・・)

アシュリル「お前達に忠告する。武器を捨て、宝物庫で手に入れたものを俺に渡せ。さもないと」

アシュリルが異空間収納から2人の人間を取り出してきた。

ルリィ「あっ・・・・・」
アルマ「あ・・・・」

アシュリルが取り出したのは、第2学園の男子生徒だった。
男子生徒「悪い・・・ルリィ、アルマ・・・」
「捕まっちまった・・・」
アシュリル「俺はデシリルのようにはいかんぞ」


マティアス(結界の中に魔族の反応・・・こいつ・・・)
「王都に保管されていた魔族の死体を蘇生させたのか」
ザリディアス「ああ、貴様の仲間を殺す様魔力で命じてある。その仮初めの命が尽きるまで、私のために働き続けるだろう」

ザリディアスが再度、王都に向けて光弾を放つ。

マティアス「くっ!」
(また結界狙いか!防御魔法だけじゃ防ぎきれない!)

マティアスは光弾の先に回り込み、防御魔法を展開する。

ザリディアス「結界を守るだけでいいのか?」

光弾は軌道を変えて、イリスの方に来た。

イリス「うわあああ!ひっ・・・・」

間一髪でマティアスの防御魔法がイリスを守った。

だが残りの光弾がマティアスの方に来て、爆煙がマティアスを覆った。

イリス「マティアスさん!」

ザリディアス「いい加減、目を覚ましたらどうだ!貴様が力を出せないのは、足手まといの連中を庇っているからだ」
マティアス「っ!」
ザリディアス「生きる価値の無いザコなど放っておけばいい!全てを捨て、人類最強の証を見せてみろ!」


アシュリル「さあ、どうする?」
男子「こいつの言う事を聞くな!」
「俺達はいいからこいつを倒せ!」


ルリィ「止めて下さい!」
アシュリル「なら俺の言う通りにしろ。こいつらを見殺しにしたくないのならな?」

ルリィとアルマは、剣と弓を置いた。


マティアス(ルリィとアルマが無事に剣を見付けられただろうか?魔剣が間に合わなかったら、人類が滅ぶのは避けられない・・・
使える魔力も後僅かだ・・・)

ザリディアス「さあどうする?足掻いた所で、貴様にもう勝ち目はないがな」
マティアス(この戦いを諦めれば・・・・残りの魔力と命を使って、転生魔法が発動できる・・・次の時代に転生し直すのも手だ・・・)
(次の時代なら、こいつの力も多少は衰え、俺も魔法戦闘を極め、巻き返しを図ることも出来る・・・・)
(それが一番懸命な選択だ。今の文明は滅ぶだろうが・・・・)
「だが・・・・」

ルリィ(マティ君なら絶対に勝てるって、私達は信じてますから)

ザリディアス「どうした?もう終わりか?」
マティアス「勝手に終わらせるな」

マティアスがザリディアスに斬りかかる。

マティアス「ここから反撃だ!」

ザリディアス「愚かな」


アシュリル「おっと動くなよ。人質がどうなるか・・・」

アシュリルが剣を拾おうとした瞬間、アシュリルの背中に爆発魔法が当たった。

女子「遅くなってすみません!」

エデュアルトと第2学園の生徒達が駆け付けた。
ルリィ「校長先生!」
アルマ「みんなも!」
エデュアルト「第二学園はこうした王都の危機のためにある」


アシュリル「数を増やした所でこちらには人質が!」

ルリィ「はあ!」
ルリィの魔法が、男子を拘束していた魔法を破壊した。
デシリル「魔法破壊!?ぐっ!」

そこへアルマがアシュリルを攻撃し、男子達から引き離す。

アルマ「マティ君に色々教えて貰ってるんだから!」

デシリル「があ!」

エデュアルト「生徒諸君!対魔族陣形発動!」
生徒たち「「「はい!」」」

生徒たちの魔法がアシュリルを拘束する。

アシュリル「がっ!」

エデュアルト「さあ!ここは任せろ!」

ルリィ・アルマ「「はい!」」


マティアス(生命力を魔力に変換し、戦闘能力を強化する!)

マティアスはザリディアスと互角に切り結ぶ。

マティアス「最終手段だ。俺は、ルリィ、アルマを信じて、これで持ちこたえる!」

ザリディアス「また小細工か」

マティアスがイリスの頭に乗った。
マティアス「イリス!このままあいつの前まで行ってくれ!」
イリス「わっかりましたー!」

マティアス「竜の息吹!」
イリス「いっきーます!!」

イリスが竜の息吹を撃とうとするも、その前にザリディアスが光弾を放った。

イリス「あっ!」
イリスは人間体に戻って、光弾をかわす。

マティアス「はーっ!」

ザリディアス「何度やっても無駄だ!」

その隙にマティアスが斬りかかるもかわされ、蹴り飛ばされた。


イリス「マティアスさーーん!」

イリスがルリィとアルマの前に落ちてきた。

ルリィ「イリスさん!」

イリス「早く魔剣を・・・・」

アルマ「マティ君!受け取ってーーー!!」

アルマがマティアスに剣を投げ渡し、
マティアスが剣を受け取ったが・・・

マティアス「・・・がっ・・・・」

ザリディアスの剣がマティアスを背中から貫いた・・・・

ルリィ「マティ・・・くん・・・・」

ザリディアス「残念だったな・・・戦ってる最中に敵に背を向けるなんて、殺してくれと言ってるようなものだ」

アルマ「嘘・・・でしょ・・・・?」

マティアスが落ちていく。


ルリィ「マティ・・・くん・・・マティくーーーーん!!」

その時、マティアスの持つ魔剣の柄が光り、マティアスが光に包まれ、浮かび上がっていく。

ルリィ「え・・・・何が・・・起きてるの・・・・?」

ザリディアス「何故だ!確かに心臓を貫いた筈だぞ!」
マティアス「ああ、一度死んだぞ。だからこの剣が効果を発揮したんだ」
ザリディアス「なに!ならば、もう一度止めを刺すまで!」

ザリディアスが赤い光を纏い、マティアスと切り結ぶ。

アルマ「マティ君・・・」
ルリィ「凄い・・・」

マティアス(この剣には前世の俺の最高峰の技術が注ぎ込まれている。その発動条件は使用者の命。効果は、使用者の蘇生と膨大な魔力供給)

ザリディアス「先程よりも早く!ちっ!」

マティアス(だがこの膨大な魔力量、制御するだけで手一杯だ。失敗すればこの辺りが焦土になってしまう。その前に)

ザリディアス「魔力が増えた所で、その傷ついた身体はもう耐えられまい!」
マティアス「最早肉体は関係ない」
ザリディアス「なっ」
マティアス「これだけの魔力があれば、それで無理矢理動かせばいい。お前が仲間にそうしたように」

ザリディアス「くぅ・・・こんな戦い方が・・・そんなことが出来る人間がいるわけか!世界最強はこの私のはず!何なんだ貴様は!」

マティアス「俺はマティアス=ヒルデスハイマー。失格紋の・・・最強賢者だっ!!」

マティアスの一撃が、ザリディアスを切り裂き、
投げ出されたザリディアスの剣が消滅した。

ザリディアス「・・・私の負けだ・・・・だがこの世界に混沌の魔族は私だけではない・・・・」
マティアス「っ」
ザリディアス「次なる魔族が貴様を滅ぼしてくれるだろう・・・・・」

ザリディアスが消滅し、空を覆っていた暗雲が晴れた。

マティアス「ふぅ・・・取りあえずは、討伐完了、だな」


降りてきたマティアスにルリィが抱きついた。
ルリィ「マティ君!」

マティアス「いてて・・・ルリィ・・・あっ」

ルリィ「生きてて良かった・・・・」
マティアス(死にかけたからか、いつにも増して距離が・・・・)


ルリィ「マティ君!?血、血!?」
アルマ「死んじゃう!死んじゃうよ!」
マティアス「大丈夫だ・・・簡易的な回復魔法しかかけて無かったから・・・・」


ルリィ「でも・・・」
マティアス(ルリィにドキドキしたからとは、とても言えない・・・)

エデュアルト「決着が付いたようだな」
ルリィ「校長先生!そちらは大丈夫でしたか?」
エデュアルト「ああ、結界内の魔族は生徒達で討ち取った。死傷者もゼロだ」
女子生徒「周辺の建物は大分壊してしまいましたけど」

マティアス「なら早速、破壊したものの修復に向かいましょう」
ルリィ「私もお手伝いします」
アルマ「僕も!」
イリス「なら私もーーー」
エデュアルト「あ、ああ・・・・それは助かる・・・」

マティアス「っと、その前にこれの魔力を消費しておかないと。この魔剣は使い捨てなんだ」

ルリィ「使い捨ての魔剣って・・・」

マティアスが魔剣を振るうと、その衝撃は山を砕いた。


エデュアルト「マ、マティアス・・・」
マティアス「うぅ・・・・」


翌日。
マティアス「よし、体調は万全だ。魔力が完全に回復するにはもう少し時間がかかりそうだが」

アルマ「マティ君の部屋ってここだよね」
ルリィ「しっ!静かに、まだ眠ってるかもしれません」
アルマ「流石にもう起きてるでしょ」
ルリィ「あれだけ戦った後ですよ。それに眠っていたらマティ君の寝顔が・・・」

イリス「何してるんですかー?」
ルリィ・アルマ「「ひい!」」
イリス「開かないなら私に任せてくださーい」
アルマ「ちょっとダメだって!」
ルリィ「イリスさん!」


マティアスが扉を開け、ルリィ達が部屋に倒れ込んできた。

マティアス「おはよう」
ルリィ「お、おはようございます、マティ君・・・」


ルリィ「国王陛下、先日は宝物庫を開けて下さり、ありがとうございました」
マティアス「お陰でザリディアスを倒す事が出来ました」
国王「礼などいらん。国が危機に瀕していたのだ。最善を尽くさぬ人間に王など務まらん。それに要求を拒めば、マティアスを敵に回してしまうからな。はっはっは」
「さて、討伐の褒美に爵位を与え、領地を、と言いたい所だが。マティアスは爵位がいらないのだったな」

マティアス「はい。変わらず、冒険者として生きていきたいと思います」

国王「そうか。取り合えず、ルリィの持ち出した剣は褒美として取らせる」

マティアス(ふー、返せと言われなくて良かった・・・魔力を使い果たしたあの剣は・・・)

あの魔剣は折れてしまっていた。

国王「だが、それだけでは全く足りんな。一旦宝物庫を覗いて見るか?そなたらの欲しいものがあれば、持っていくがいい」

アルマ「はい!ボク、お宝なら何でも欲しいです!お金になるので」
ルリィ「ちょっとアルマ、何でも欲しいは流石に・・・」
アルマ「貰えるものは貰っとかないと。ルリィだってお金はあっても困らないでしょ」
ルリィ「そうですけど・・・」
イリス「私は食べ物がいいです!」
国王「ははははは!では、早速そのように取りはからおう」
アルマ・イリス「「ありがとうございまーす!」」


マティアス達が宝物庫に入った。
アルマ「わーっ!お宝が一杯!魔剣を取りに来た時は必死で、それどころじゃなかったけど」
ルリィ「本当ですね」
マティアス「あまりパッとしないな」
アルマ「本当に?」
マティアス「ああ、ここに所蔵されてる武器なら、ルリィでも作れるだろうな」
アルマ「お宝の事じゃないんだね」

イリス「うーん、特にめぼしいものは無さそうです」
ルリィ「イリスさん頭、頭!?」
イリスの頭に矢が刺さっていた。

イリス「あれー?いつの間に?」
マティアス「この矢は・・・・」
マティアスがイリスの頭から矢を引き抜く。

ルリィ「知ってるんですか?」
マティアス「ああ、いや。この矢と同じ材質の弓があれば、アルマの装備になりそうだと思ってな」
(これは前世で俺が作ったアダマンタイト合金製の矢だ。その時に、一緒に作った弓が存在してるはずだ)

アルマ「おおっ」
マティアス「お聞きしたいんですが」
案内役「はい」
マティアス「この矢と一緒に弓が出土してませんでしたか?」
案内役「えっと・・・確かにそれと一緒に出土している筈ですが・・ああ・・・弓は錆びていて使い物にならなかった様なのでここには無いですね
マティアス「まさか捨ててしまったとか!?」

案内役「イシス商会に売ってしまったようですね。よく分からない金属だったので値段は安かったようですが」

イリス「ここがイシス商会ですか」
ルリィ「はい、この辺りでは最大規模のお店で、王宮からの廃金属を一手に受け入れてるようです」
アルマ「あーあ、お宝を探す筈だったのに、弓なんかもう残ってないんじゃない?」
マティアス「確かに。そのままの形では残ってないかもしれないな」


店員「遺跡から出土した弓ですか」
ルリィ「お城の宝物庫から、この店に売られたって聞いたんですけど」
店員「ああ、ありましたね。そんなのが」
マティアス「本当ですか?」
店員「確かこの棚のどこかに・・・ああ、これですね」

店員が見せたのは、金属の塊だった。
マティアス「えっと、これって・・・」
ルリィ「金属の塊になってますね・・・・」
店員「はい。何の金属か分からなかったので、溶かして他のと一緒に固めてあります」
アルマ「こんなんじゃ魔族と戦えないよーーーー!」
ルリィ「どうしましょうマティ君?」
マティアス(やはりこうなっていたか・・・・今の文明レベルではアダマンタイトの存在にすら気付いてない様だからな・・・・
だが、色々な金属が混ざっているから、分解すれば他の希少な金属も手に入るかも)
「この店の金属塊、全部買います」
ルリィ・アルマ「「マティ君!?」」
店員「お買い上げありがとうございます~、では早速お手続きを」
マティアス「宿に届けて貰えますか?」
店員「はいもちろん」

イリスは目を輝かせて、宝石を見ていた。
マティアス「ここにいたのか。おいイリス、帰る・・・」
イリス「見て下さいこれ!」
アルマ「イリスさんこれに興味があるの?」
イリス「はい、とっても綺麗です・・・マティアスさん私これ欲しいです!」
マティアス「光学部品でも作りたいのか?」
イリス「こうがくぶひん?」
アルマ「それって綺麗な石と何か関係あるの?」


マティアス(ああ、そうか。ドラゴンは綺麗なものを集める習性があるんだ)
「分かった、じゃあそれも買おう」
イリス「ありがとうございます!」


アルマ「コホン」
マティアス「どうしたアルマ?」
アルマ「えっと、イリスさんにだけ宝石をあげるのはどうなのかなーって」

マティアス「じゃ、じゃあ宝石を2つ分・・・」
アルマ「そうじゃなくて」

イリス「ん?」

マティアス「な、なるほど、よし分かった」

マティアス「後でやってみよう」


アルマ「結局、弓は手に入らなかったなー」
エデュアルト「ここにいたのかマティアス!」
店を出たマティアス達の元に、エデュアルトが来た。

マティアス「どうしたんですか?」
エデュアルト「緊急事態だ」
マティアス「・・・・・っ」

マティアス達は王城の一室に案内された。
エデュアルト「マティアス達を連れてきました」
ガイル「久しぶりだな、マティアス・ヒルデスハイマー」
マティアス「え、えっと・・・」
ルリィ「騎士団長のガイルさんです」
アルマ「そろそろ覚えてあげてよ」
エデュアルト「・・・・・・」

ガイル「状況は聞いているか?」
マティアス「はい、ここに来るまでに校長から。これですね」
ガイル「ああ」
卓に置かれていたのは、木の人形だった。
兵士「二日前、隣国サイヒル帝国との国境付近で攻撃を受けたと報告を受けました。300体の人形にです」
マティアス「この魔法陣、かなり精巧ですね。人形の素材は普通の木ですが、強度が上がっていると思います」
ルリィ・アルマ「「・・・・・・」」
マティアス「この人形の動力源は・・・・・人間の生命力の様です」

ガイル「人間の生命力!?」
エデュアルト「この人形を動かすために誰かが殺されているのか!?」
マティアス「いや、1人の人間を犠牲にする程の価値はこの人形には無いです。恐らく、大量の人間から少しずつ奪っているんでしょう」
アルマ「そんな事が出来るのって・・・」
マティアス「ああ、魔族だ」
エデュアルト「サイヒル帝国が操られている可能性があるという事か・・・・」
マティアス「人間同士を争わせて力を削ぐのは、魔族の常套手段です」

ガイル「マティアス=ヒルデスハイマー。エイス王国のために、いや我々人類のために、もう1度力を貸して貰えないだろうか」
マティアス「はい」


夜、宿の庭でマティアスとルリィがいた。
ルリィ「何でしょうか、私に話って?」
マティアス「えっと・・・その・・・」
ルリィ「マティ君、何か隠してません?」
マティアス「ル、ルリィ!」
ルリィ「はい?」
マティアス「目を、閉じていてくれないか?」
ルリィ「こう、ですか?」
マティアス「いいと言うまで閉じてくれ」
ルリィ「はい」

ルリィ(あ、あの、もしかしてマティ君・・・・)
(わ、私まだ、心の準備が・・・)

マティアス「目を開けていいぞ」
ルリィ「え!?」

ルリィの首に、ペンダントがかけられていた。
ルリィ「これって・・・」
マティアス「店の宝石をずっと見ていたから欲しいのかなって思って」

アルマとイリスが物陰から見ていた。

マティアス「アルマが、身に付けられるものにした方って言うから・・・ペンダントに加工してみたんだけど・・・その、いらなかったら、捨ててしまっても・・・」
ルリィ「・・・・・とっても嬉しいです。マティ君からこんな素敵なプレゼントを貰えるなんて・・・私、大事にしますね!」


翌朝。
ガイル「調査隊も準備が整いしだい、後を追う」
エデュアルト「と、いうことだ。イリス、アルマ、ルリィ、そしてマティアス!頼んだぞ」

マティアス・ルリィ・アルマ「「「はい!」」」
イリス「はーい」

マティアス達が王都を出発した。


ルリィ「サイヒル帝国を支配している魔族、強敵かもしれませんね」
アルマ「それでも、逃げ出す訳にはいかないよ。誰かが犠牲になっている限りね」
イリス「大丈夫ですよ!サイ何とかだってやっつけられたんですし!」

マティアス(死ぬ間際にあいつは言っていた。混沌の魔族は自分だけではないと。今の世界には、俺の知らない強いヤツがたくさんいる)
ルリィ「どうしたんです、マティ君?」
マティアス「あ・・・・」

ルリィ「ふふっ」
アルマ「へへ」
イリス「えへへへー」

マティアス「・・・行こう!」
(冒険はまだまだ、楽しくなりそうだ!)



(おわり)

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最終更新:2023年07月06日 15:09