超電磁ロボ コン・バトラーVの最終回

コン・バトラーVが戦いを終え、基地である南原コネクションへ帰還する。
四谷博士が、コン・バトラーの左足には施されている細工に気づく。

四谷「危なぁい! 左足に爆弾が付いておる!」
豹馬「な、何だって!?」
四谷「左足を切り離せぇ!」

コン・バトラーの左足首から先(5号機バトルクラフトの左半分)が分離、コネクションへ落下してゆく。

ジャネラ「フフフ…… 今頃気づいても遅いぞ、コン・バトラーV!」
四谷「バリアーだ! 緊急脱出システム作動!」
ジャネラ「死ねっ!!」

大爆発。コネクションが砕け散り、コネクションを包んだバリアー内に爆炎が広がる。
コン・バトラーはバリアーの外にいたため、無事に済む。

ジャネラ「むぅっ…… 四谷め、コネクションを犠牲にするとは!? 運のいい奴、コン・バトラーV!」



平和の使者Vは不滅だ



コネクションは、残骸と化してしまった。
しかし四谷博士たちは、エレベーターで地下へ運ばれて行く。

四谷「いや、驚かせてすまん。コン・バトラーVを救うには、あれしか方法がなかった。最悪の事態を予想して、地下にサブコネクションを設けておいたのだ。ま、ご安心願いたい」
豹馬「ふぅ~、あんまり冷や冷やさせるなよぉ」
十三「ほんま、もう駄目か思うたでぇ~」
ちづる「さすが四谷博士だわ!」
四谷「豹馬、ただちにコン・バトラーVの足を修理する。地下のサブコネクションに入れ!」
豹馬「はいっ!」


独断で出撃した上に敗北したワルキメデスが、ジャネラに捕らえられている。

ワルキメデス「お許し下さい、ジャネラ様…… 今一度、名誉回復のチャンスを!」
ジャネラ「お黙りっ! 死なずに済むだけでもありがたいと思え!」
ワルキメデス「あぁっ、ジャネラ様ぁっ!」

ワルキメデスの脳をロボットに移植する手術が進められる。

ワルキメデス「わぁーっ!! か、仮にも私は総統ですぞ! 私の脳を、かかる下等なロボットに移植するとは…… お、憶えておれ、ジャネラァァー…… うわぁぁ──っ!!」
ジャネラ「残るはコン・バトラーのみ。フフ、女帝自らが出陣して、木っ端微塵にしてくれるわ!」

そこへ光球が出現し、光の中に顔が浮かび上がる。

ジャネラ「はっ、キャンベル星の使いだね? 何を伝えに来たの? さっさとお言い!」
使い「反乱だ!」
ジャネラ「えぇ!?」
使い「捕らえてあった政治犯が、大量に脱獄!」
ジャネラ「では、あの馬鹿げた平和主義者たちが!?」
使い「民衆は彼らに共鳴している。出撃を見合せ、地球を引き上げよ!」
ジャネラ「……何を世迷い言を!! フンッ! 五大大陸に散ったマグマ獣マスプロンよ、容赦はいらぬ。人間の街を踏み潰し、焼き払え! 勝利の日は目前じゃ!!」


世界中でマグマ獣マスプロンが暴れ回り、街が次々に火の海と化してゆく。

ジャネラ「よいな。編隊中央は私の乗るセントマグマ。それを守ってマグマ獣インドラ、マグマ獣マスバラ、マグマ獣アシュラ、出動じゃ!」

ジャネラの移動要塞セントマグマと、マグマ獣3体による編隊が飛び立つ。

ジャネラ「見よ、コン・バトラーV。いかにお前が強力でも、マグマ獣三位一体の攻撃を受けきれるものかっ! ワルキメデス!」

セントマグマの中のジャネラの傍らには、ロボットと化したワルキメデスがいる。

ジャネラ「どう思う?」
ワルキメデス「確率95パーセントデ・コン・バトラーハ倒レルデショウ。ダガ・5パーセントト・ゼロハ違ウ。油断デキマセン」
ジャネラ「ロボットにされても臆病には変わりがないようだね…… フフフ」


南原コネクションに警報が響く。

ロペット「5号機ノ修理完了── マグマ獣デス。編隊ヲ組ンデ接近中デス」
四谷「来よったか…… コン・バトラー隊、発進せよ! ただちにコンバインじゃぁ!」

バトルマシン5機が飛び立つ。

ロペット「コンバインOK! コンバインOK!」
豹馬「レーッツ!」
5人「コーンバイ──ン!!」

5機のバトルマシンが合体、コン・バトラーVとなる。

豹馬「コン・バトラ──Vッ!!」

セントマグマとマグマ獣たちが迫る。

十三「来よった来よった! どっち向いても一筋縄じゃいかん奴らやな!」
豹馬「今まで通りの作戦では通じそうもないぜぇ! 先手必勝だぁ! 超電磁タツマキ──ッ!」
四谷「何! 最初から決め手を!?」
豹馬「あいつに敵の大将が乗ってるってことは、間違いねぇんだ! 行くぞぉ、超電磁スピ──ンッ!! それぇぃ、覚悟っ!」

しかし必殺の超電磁スピンは通じず、逆にコン・バトラーVの方が吹き飛ばされてしまう。

5人「わぁ──っ!!」
ジャネラ「こざかしやコン・バトラーV、それしきの戦法で、このセントマグマを倒せると思ってか!」

マグマ獣3体の連続攻撃。
さらに、マグマ獣からマニュピレーターが伸びてコン・バトラーを捕らえる。

豹馬「うぉぉっ、畜生ぉ!」
ジャネラ「やれぇっ、アシュラ、マスバラ、インドラ!」

動けないコン・バトラーが、マグマ獣の攻撃を浴びる。

豹馬「わぁ──っ!」
ジャネラ「焼け! 壊せ! コン・バトラーの最期だ!」
豹馬「ジェット噴射、全開!」

コン・バトラーがジェット噴射で拘束を振りほどき、水中に飛び込む。
マグマ獣が水面目掛けて砲撃を浴びせる。

ジャネラ「やった! ……おぉっ!?」

水中からコン・バトラーが飛び出す。

豹馬「Vレーザー!」「超電磁ヨーヨー!」「ビッグブラースト!」

コン・バトラーの反撃が、次々にマグマ獣3体に炸裂する。

豹馬「やったぜ! 今度は3体まとめてぶった斬ってやる! ……あぁっ!?」

マグマ獣3体が合体し、コン・バトラーの倍はあろうかという1体の超巨大マグマ獣と化す。

豹馬「うぉぉっ! ……カッターキック!」

コン・バトラーがカッターキックを繰り出すが、逆に足のカッターの方が砕け散る。

豹馬「しまった!」

マグマ獣の猛攻が次々に繰り出される。

大作「畜生、ビッグブラ──スト!」

マグマ獣は2体に分離して、ビッグブラストをかわす。
マグマ獣の猛攻が次々に炸裂する。再
度マニピュレーターでコン・バトラーの腕を捕らえ、電撃を放つ。

ジャネラ「3面マグマ、そろそろカタをつけてしまえ!」

マグマ獣の胴から回転ノコギリが飛び出し、コン・バトラーの胴に炸裂。コクピット内のちずるに刃が迫る。

ちずる「きゃぁ──っ!! 豹馬ぁ!」

さらに、ミサイル攻撃がコン・バトラーを追いつめる。

小介「駄目です! このままではまもなくコン・バトラーはぁ!」
豹馬「うぅっ…… こうなったら『肉を切らせて骨を切る』だ!」
ジャネラ「それぇっ、もう千切れるぞ!」
豹馬「今だ! すべての武器を同時に発射するんだ!」
大作「わかった! ビッグブラストォ!」
十三「バトルチェンソー!」
小介「ツインランサー!」
豹馬「Vレーザー!」

コン・バトラーの連続攻撃の前に、さしものマグマ獣も怯む。

豹馬「今だ! グランダッシャ──ッ!!」

コン・バトラーが重戦車に変形して突進、マグマ獣を貫く。
大爆発。マグマ獣を倒した──が、セントマグマが迫る。

ジャネラ「よく戦ったなコン・バトラーV。これからが本物の戦いだ!」

セントマグマのジェット噴射が竜巻を巻き起こし、コン・バトラーを巻き込んで翻弄する。

豹馬「畜生! 小介、残り武器は!?」
小介「主な物は使い果たして、ほとんど残っていません!」

ミサイル、火炎放射の連続攻撃。
さらにセントマグマの竜の首から吹雪が放たれ、コン・バトラーが凍りつき、動きを封じられる。

豹馬「し、しまった!」

セントマグマから竜の首が分離、コン・バトラーに噛み付く。
バトルジェットの装甲が砕け、牙が中の豹馬に迫る。

豹馬「うわぁっ! 畜生!」
ジャネラ「ハハハ! 食い破れ! 破片ひとつとも残さずに食い破れぇ!」

四谷「そうはいかんぞ、ジャネラ!」

地下に隠されていたサブコネクションが海面から飛び立ち、空を舞う。

ジャネラ「何と…… コネクションは無事、しかも空を飛ぶとは!?」

コネクションがセントマグマに砲撃。コン・バトラーもコネクションに続く。

豹馬「ロックファイター!」

コン・バトラーの攻撃がセントマグマの底部に命中し、セントマグマが揺るぐ。

小介「あそこだ、さっきスピンでぶつかったのは!」
豹馬「あと一度命中すればぶち抜けるかもしれない! よぉし、ガレッガー!」
ジャネラ「戦闘装置、全開せよ!」

セントマグマがコン・バトラーの攻撃を砕き、逆に猛攻を浴びせる。

豹馬「こうなったら、もう一度スピン攻撃だ!」
四谷「やめろ、豹馬! 今度失敗したら、コン・バトラーは粉々になってしまうぞ!」
小介「残りのエネルギーでは、スピンをする力は残っていません!」
豹馬「イチかバチかだ! これより賭ける方法はないんだ! 超電磁タツマキ──ッ!」

超電磁タツマキがセントマグマの動きを封じる。

ジャネラ「ハハハ…… 無駄なことはおよし、豹馬!」
豹馬「無駄か無駄でないか、見ていろぉ! 博士、フルスピードだ! コン・バトラーのスピードと合わせて、全速スピンをやる!」
四谷「わかった! サブコネクション全速力!」

コネクションの後部にコン・バトラーがつかまる。
セントマグマ目掛け、コネクションが全速力で突進する。

豹馬「行くぞ、ジャネラァ! 超電磁スピ──ン!!」

コン・バトラーがコネクションから離脱。
そのまま最大加速を込めて超電磁スピンを繰り出し、セントマグマを貫く。

四谷「おぉっ……!」
ジャネラ「し、しまったっ!」

セントマグマが地面に墜落する。

ジャネラ「フフ…… まだ負けてはおらぬ」
豹馬「負け惜しみを言うなぁ!」
ジャネラ「フフフ、やはりお前たちの負けだ。私の帰らぬときは、アースボムが発進する仕掛け」
豹馬「アースボム? なんでぇ、そりゃぁ?」
ジャネラ「ハハハ…… ハハハ……」

ジャネラの基地から、巨大なロケット弾が姿を現し、猛スピードで地中深くへ潜ってゆく。

ジャネラ「地球の中心に向かって、たった今、核融合弾を撃ち込んだ。アースボムが地球のマグマ層に達する時、あと10分。地球は大爆発を起こし、第2の太陽となる!」
豹馬「……!?」
ジャネラ「ハハハ……! 無駄な戦いだったね、コン・バトラーV! ハハハ! その間に、私はカプセルで宇宙へ逃げるとしよう」

ジャネラが傷ついた体を引きずり、脱出カプセルへ。しかしその前に、ワルキメデスが立ちふさがる。

ジャネラ「おどき、ワルキメデス! 早く!」
ワルキメデス「ドウセ私ハ・コノカプセルに乗レナイ。1人ダケ行カセルモノカ」
ジャネラ「おどき…… どかないと!」

ジャネラが攻撃を繰り出すが、ワルキメデスは尚も歩み寄り、ジャネラの上に倒れ掛かる。

ジャネラ「おぉ!?」
ワルキメデス「うぉーっ!」
ジャネラ「わあぁぁ──っ!!」

セントマグマが大爆発──


豹馬「博士、アースボムは!?」
四谷「間違いない、地球のマグマ層に向かっておる!」
豹馬「な、何だってぇ!? 何とか止める方法はないのか!?」
四谷「……手遅れじゃ」
豹馬「そんな馬鹿なぁ! 行くぞぉ、全速で地中へ突っ込むんだ!!」

コン・バトラーが地中へ向かうとするが、ヨロヨロと膝をつく。

豹馬「あぁっ! どうしたんだ!?」
小介「駄目です! エネルギーがもう残っていません」
豹馬「……! そんな馬鹿な。この地球は、俺たちは……」
四谷「地球上のあらゆる生物は、あと5分で灰も残らん。全ては終わったのだ。今さらジタバタするのはよそう。我々は人間として、やるだけのことをやった……」

ロペットが、酒瓶を四谷博士に勧める。

ロペット「博士…… 1杯」
四谷「すまんな。まだ4分ある……」

空を閉ざしていた暗雲が晴れ、青空が覗く。

ちずる「雲が晴れたわ……」
大作「美しかぁ空じゃなかとね。一辺でよか、こげな色な空ば、描きたかったとです……」

豹馬「……十三」
十三「はいなっ!」
豹馬「大作」
大作「うん!」
豹馬「ちずる」
ちずる「はいっ!」
豹馬「小介」
小介「いるよ……」
豹馬「ありがとう。俺は、お前たちのような仲間ができただけでも、俺、人間に生まれてよかったと思うよ。畜生めぇ! あと1分か…… いいかみんな、生きるも死ぬも、一緒だぞぉ!!」
4人「おぉーっ!!」


そのとき── 空から光が漏れ、何かが降りてくる。

豹馬「あぁっ!?」

空から現れたのは、2頭のロボット馬に引かれた、橇のような乗り物。
その上に誰かが乗っている。

火の海と化していた世界中に、まばゆい光が降り注ぎ、炎がみるみる消えてゆく。

ロペット「核エネルギー破壊ビームデス。キャンベル星ノ悪サヲ、超エネルギーデ無クシテイマス」
四谷「す、するとアースボムも!?」
ロペット「ア・アースボムガ消エタ」

「地球人類に告ぐ、地球人類に告ぐ! 我が名はデウス。34万光年の彼方、キャンベル星より使いに来た!」

四谷「キャ、キャンベル星から!?」
豹馬「デウス……!?」
デウス「長い間キャンベル星を支配していた、戦いを好む勢力は全く駆逐され、我々平和主義者のもとに、秩序を回復した。邪悪なキャンベル人のため、災悪を被った地球人に、深くお詫び申し上げる」

空から舞い降りる乗り物の上に、古代ギリシャを思わせる衣装を纏ったキャンベル星人、デウスが乗っている。

デウス「それにつけても、彼らを向こうに回し、ここまで戦った地球人の勇気と闘志に、同じ宇宙生命体として…… 尊敬の念を禁じえない」


富士山をバックに、コン・バトラー隊の制服から普段着に戻った5人。

荷物を抱えた十三が、大作が、小介が笑顔で手を振って去ってゆく。
豹馬とちずるが、大きく手を振って見送る。

そして豹馬とちずる見つめあい、手を取り合う。

2人がどこかへと去ってゆく。



戦いは終わった。人間の不屈の魂が
地球を異星の魔手から守りきったのだ。

長い戦いの間、コン・バトラー隊員5人の
団結を支えたものは何だろう?
ギリギリの戦いの中で、地球の平和を守り、
支えてきたものは何であったか?

それは、キャンベル星人ジャネラと
ワルキメデスの間に、
ついに発見されることのなかったもの。

人間としての、彼らの友情と信頼、
愛の力ではなかったろうか──



おわり

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最終更新:2018年01月14日 16:57