マジンカイザー(漫画版)の最終回

甲児「あしゅらぁああ!!!」
あしゅら男爵の頭脳が組み込まれた合体機械獣ガラダブラMK01に左手を破壊されたマジンカイザーが、残る右手でカイザーブレードを引き抜く。

ヘル(今こそ、世界を我が手に)

あしゅら「かあぁぶぅとおおお!!!」
ガラダブラも頭の鎌を引き抜く。

甲児・あしゅら「「勝負!!」」

第6話 その手につかむ未来

Dr.ヘルの本拠地・地獄島とその近海を舞台に、人類対Dr.ヘルとの最後の戦いはなおも続いていた。
さやか「はじまった」
(甲児君、約束よ。生きて帰ってくるって)
その時、さやかのビューナスAの背後を一体の機械獣が取る。
ボス「あぶねぇさやか!」
しかし、ボスボロットのDXボロットパンチがその機械獣を殴り飛ばした。

ボス「この戦いが終わったら兜とデートだろ。ボーっとしてんなよ」
さやか「ご…ごめんボス」
ボス「なーに、この漢ボス様がお前らのデートバッチリ成就させてやるぜ」
さやか「あ…ありがとう」
ボス「……くー泣けてくるぜ。オレっていいヤツだなあ~~~」

小出「まだまだ、戦いはこれからだ」
ダイオンγ、バイオンβ、ミリオンα――他のマジンガー軍団も駆け付け、機械獣軍団に立ち向かっていく。

地獄島本土では、マジンカイザーとガラダブラの斬り合いが展開されていた。
甲児「ギガントミサイル!!」
マジンカイザーのギガントミサイルをガラダブラが両目の機関砲で迎撃、爆発させる。
甲児「!!」
その衝撃で立っていた崖が崩れ、マジンカイザーが落ちていった。
甲児「うあああああ」

落下したマジンカイザーは、開けた空間に出た。
甲児「うう、い…つつっ」
「くっ、あしゅらどこだ!!」
「!!」
甲児の前には、無数の機械獣の残骸が埋められた大穴が。

甲児「こ、ここは?機械獣がこんなに…」
その大穴の中にガラダブラが立っていた。
あしゅら「ここは墓場。キサマに倒され、またはキサマと戦うことのできなかった機械獣の墓場!!」
「そして今もお前を倒したいと怨念うずまく亡者の世界。私もお前と戦うため、ここから生まれたのだぁ!!」
ガラダブラがマジンカイザーに襲いかかる。

甲児「だったらもう一度、墓場に逆もどりさせてやるぜ!」
カイザーブレードがガラダブラを右肩から縦真っ二つに切り裂いた。

甲児「てめーと遊んでるヒマは……」
先を急ぐ甲児。だが……。

あしゅら「急ぐこともないだろう。戦いたがっているのだ、亡者達が……。お前と戦いたいと泣いているのだ」
ガラダブラが切断面からコードを伸ばし、機械獣の残骸につなげていく。
甲児「何言ってやがるてめー」
その時、大穴の中の機械獣の残骸が起動し、マジンカイザーの足を掴んで逆さ吊りにする。

あしゅら「相手をしてやってはどうだぁぁぁ!!」
さらに他の機械獣の残骸も次々に動き出し、マジンカイザーを取り囲んだ。

甲児「な…墓場中の機械獣と融合した!!」
「くそぉ!」
マジンカイザーは一体の機械獣を真っ二つにするも、その機械獣はすぐにコードにつながれ、起き上がった。

甲児「くそ、キリがねーぜ」
マジンカイザーがギガントミサイルで機械獣を撃つも、別の機械獣に羽交い絞めにされる。
甲児「なっ!?」
コードがマジンカイザーの破壊された左手に入っていく。
甲児「カ、カイザーと融合する気か!やべぇ」

その時、空から雷が落ちて、マジンカイザーもろとも墓場の機械獣を焼いていく。
あしゅら「ぐあああああ」
甲児「うあああああ」

鉄也「亡者如きに手間どってるようじゃ、戦士として失格だぞ、兜!」
甲児「へ…へへ。もっと、やさしい言い方はないのかね!」
上空の雷雲の中に、グレートマジンガーがいた。

光子力研究所。
弓「グレートマジンガー!!剣君が駆けつけてくれたか!」
ジュン「遅くなって申しわけありませんでした」
弓「いや、よく来てくれた」
シロー「ありがとう、ジュンさん」
弓「剣君の身体の方は大丈夫なのか?」
ジュン「ええ、問題ありません」

鉄也「いつまでもベットの上じゃ身体がナマっちまうぜ。ウォーミングアップついでに地獄城を潰しに来た。それに、兜一人では心配なんでな」
甲児「ひでーな鉄也さん、オレだってもう一人前だぜ」
鉄也「油断するな、あしゅら(ヤツ)はまだ生きている」
甲児「え!?」

あしゅら「おのれぇ、グレートマジンガーァ――――、キサマも亡者の仲間に入れてくれるわぁ――――!!」
ガラダブラが亡者機械獣を差し向けるも、その胸にはスパークが走っていた。
鉄也「亡者どもを一気に焼きはらうぞ!」
甲児「おう!」
マジンカイザーとグレートマジンガーのダブルバーニングファイヤーが亡者機械獣を焼き払い、ガラダブラも飲み込む。
閃光、そして大爆発!

甲児「やったか!?」
だが、ガラダブラはまだ生きていた。
あしゅら「ふ――、ふ――」
甲児「効…効いてねぇ」
鉄也「いや!融合した機械獣を盾がわりにして自分を守ったんだ…」
鉄也はガラダブラの胸の発光体に注目した。

鉄也「おそらくあのムキ出しになったモノが亡者達を操る核にちがいない。だからこそ機械獣を盾にして守ったんだ」
甲児「ならその核をぶっこわせば!」
鉄也「亡者はあらわれない!」

あしゅら「させるかぁああ!!」
ガラダブラが亡者機械獣を差し向けるも、ガラダブラの胸のコアがスパークを起こし、亡者機械獣が崩壊する。
あしゅら「き…機械獣の制御が効かぬぅ」
鉄也「サンダーブレークのダメージが出たようだな!!」
マジンカイザーとグレートマジンガーがガラダブラに接近する。
鉄也「これで」
甲児「終わりだぁ!!」

至近距離からのダブルバーニングファイヤーがガラダブラに炸裂した。
その衝撃は、海上のマジンガー軍団の所まで届いた。
東「な…何が起こってるんだ!?」

ダブルバーニングファイヤーが作ったクレーターの中、ガラダブラはまだ生きていた。
あしゅら「フ…ハハハハハァーハハハハハ、まだだぁ――――、まだ終わりではぁああ」
甲児「あめーぜっ!!」

マジンカイザーを乗せた最終兵器・グレートブースターがガラダブラに向かい、その衝角がガラダブラの胸のコアを貫いた。
甲児「あしゅらぁぁ――――――っ!!」
あしゅら「かぁぶとぉぉ―――――っ!!」
甲児「オレのぉ、勝ちだぁぁぁ!!!」
マジンカイザーがカイザーブレードをガラダブラの額のあしゅらの顔に突き刺す。
あしゅらは真っ二つに裂け、グレートブースターはそのまま地獄島の内部へ突き進んでいった。

鉄也「兜ぉぉ――――!!」
グレートマジンガーの前で、海水がふき上がった。
鉄也「兜ぉぉ!!!」
懸命に呼びかける鉄也。その時、地獄島が揺れ出す。
鉄也「なんだこの揺れは!?」

地獄島が崩れていく。
弓「強力な攻撃で島全域が崩壊しはじめたんだ。地獄島が沈むぞ!!」
鉄也、ボス、マジンガー軍団、そしてさやか――誰も、崩れる地獄島を前に何もできない。
鉄也「兜ォォォ!!」

地獄島・最深部。
甲児「――つくづくゾッとするぜ。あしゅらと下に降りてみれば、こんなモンがまだありやがる」

甲児が降りた場所には、無数のガラダブラがあった。
甲児「どれだけ恐ろしい事を考えれば気がすむんだ。Dr.ヘル!」
甲児がヘルに銃を向ける。

ヘル「クククク、何もわかってないようだな」
ヘルは別人のような穏やかな表情になり、語り始めた。
ヘル「私は平和のために戦っているのだ」
甲児「なんだと!」
ヘル「今の世は自由と平和にあふれた世界だと思うか?人は“自由”や“平等”という言葉を己の“ワガママ”とはきちがえておる」

――ワシは人類を愛している
これ以上、まちがった道へ進む人類を傍観してはおられんのだ

遠くはマケドニアの英雄アレキサンダー大王がなしとげられなかった夢
蒙古の英雄チンギス・(カン)が望み、かなえられなかった夢
コルシカ島の怪物ナポレオンが、ナチス・ドイツのヒトラーが、
夢み、望みながらなしとげられなかった人類救済の夢

そして決心した…
ワシは人類をより高みへと導く指導者となり、人類を守るとな!

ヘル「そして兜甲児、お前もワシと同じなのだ」
甲児「なに!?」
ヘル「“力”がある指導者こそ世界の神となるべきなのだ。お前の祖父・兜十蔵が“マジンガー()”を与えたのは何のためだ。その“力”で世界を導けとの想いからではないのか?ならば進むべき道はワシと変わりはしないのだ」

地獄島近海。
さやか「甲児君と連絡がとれない?」
ジュン「何回も連絡してるのに返事がないの!」
鉄也「島がもたないぞ」
さやか「こっ、甲児君!」

地獄島最奥部。
甲児「――で、その導き手になるってのは、さやかさんとデートする事より楽しいのかよ?」
ヘル「……なんだと?」
甲児「ボスと学校でバカやって、シローをバイクに乗せてツーリングしたり、鉄也さんやジュンさんとカラオケするより楽しいってのか?」
ヘル「バ…バカな!キサマはそんな、くだらんモノのために戦っているのかぁっ!!」
甲児「ああ。くだらないモノを――オレにとっては何にも変えられねぇ、大切なくだらないモノを守るために、カイザーはある!!」
「人類の導き手……。――へっ、ガラじゃね――よ」
甲児がヘルの頭を撃ち抜く。

空間に水が流れ込み始めた。
甲児「早くここから脱出しなけりゃ」
甲児がマジンカイザーに戻る。しかし、ガラダブラ達がマジンカイザーに群がってきた。
甲児「なにぃ!?こ…こいつら動けたのか!?」
(融合?まさか)

声「クックックックッ、ハ――ハッハッハッハッハッ」
その時、壁一面に巨大なヘルの顔が浮かび上がる。
ヘル「我が名は世界の指導者、Dr.ヘル!!」
甲児「な…なんだと!?ヘルは今オレが…ありゃあニセモンってことか!?」
ヘル「そこにころがるモノは私が作り出したもの、我が意志を伝える端末でしかない」
甲児「端末だと?」

ヘル「脆弱な肉の塊を脱ぎすて、我が魂は自らが作り出した機械の中へとおさめられた。悠久の時を生きる魂、それがこのDr.ヘルだ」
甲児「この島そのものがヘルってことかよ…。こ…このバケモノめ」

へル「さあ世界を一つにする時が来た!」
ヘルの号令と共に、地上に無数の触手が出て来た。
鉄也「な…なんだあれは!?」
グレートマジンガーは自分に迫る触手にブレストバーンを撃つ。

ヘル「このまま日本を我が身体と融合させて、日本を中心としてあらゆる大陸を融合する」

約二億五千年前、アジア・アフリカ・アメリカなどの大陸は一つであった…
その名は超大陸パンゲア

今、世界はふたたび超大陸パンゲアにもどり、
我そのものが地球と化す!!

ヘル「これぞ完全な世界平和への道」
甲児「バカげた事ぬかしてんじゃねぇ――!」

ガラダブラがカイザーパイルダーを掴み、引き抜こうとする。
甲児「ぐあっ!て…てめー、はなしやがれぇ」
ヘル「安心しろカイザー。お前も我が端末として働いてもらうぞ」
ヘルの口の中から、カイザーパイルダーを模したユニットが現れた。
ユニットの中には、ヘルのものと思わしき脳髄が見える。
甲児「!!」
(まさか…)
甲児はマジンガーZが奪われ、アシュラマジンガーにされた事を思い返す。
甲児(させねぇ!!もう二度とさせやしねぇ!!)

甲児「光子力エネルギーマキシムドライブ!ブラスターエネルギー転回!」
群がっていたガラダブラを切り裂きながら、カイザースクランダーの翼が変形する。

甲児(あの時、カイザーが見せたもう一つの“力”!!光子力エネルギーをすべて使いきっちまうが、もうこれしか残ってねぇ)
マジンカイザーの胸からZマークがせり出し、カイザースクランダーが6枚の翼に変わる。

甲児(大丈夫、カイザー(お前)を一人にはしない。オレも一緒だ!)
「ごめんよ、さやかさん……」

マジンカイザー最後の技「カイザーノヴァ」が発動。
全ての光子力エネルギーを放出し、ヘルを焼き尽くし、地獄島を完全に粉砕した。

その余波は地上のマジンガー軍団にまで及んだ。
ボス「す…すげー爆発だったけど…どーなったんだ…」
さやか「甲児君!!」
泣き崩れるさやか。その時……。
ジュン「安心して、さやか。反応があったわ。ポイントはそこから…」

気絶した甲児を乗せたカイザーパイルダーが海に浮かんでいた。

オレが目をさましたのは、光子力研究所のベッドの上だった…

あの時、カイザーパイルダーの脱出装置により、
オレはカイザーから切りはなされた

まるで、しばらくの間、離ればなれになる友人のように、
カイザーは静かに光の中に消えていった

ありがとうカイザー、オレを助けてくれて

その後、海底調査を行ったが、カイザーは見つからなかった

変わることのない平和を、今オレ達は生きている

だが忘れはしない、この平和はカイザー、お前と作ったものだと

この平和を奪う者があらわれた時、オレは……
いや、オレ達はまた立ちあがりお前の名を呼ぶ!

お前にこの声が届くと信じて…

マジーン ゴォ――――

マジンカイザーはボロボロになりながらも、海峡の奥底に眠っていた……。

マジンカイザー■完

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最終更新:2018年03月04日 21:32