実況「ああーっと、ピクリとも動かなかったラーメンマンが「拉麺男」の稲妻文字を受け、再び立ち上がり始めた~」
シューマイ「うわ――い、ラーメンマンが元気な姿に戻ったぞーっ!!」
陳「うむ!あの稲妻文字がラーメンマンの肉体に活を入れたんだろう」
跳竜「う・・うおお~」
ラーメンマン「跳竜よ、なにをそんなに恐れおののいているんだっ!?」
跳竜「ま・・まさか猛毒を含んだ紅鷹白虎を肉体に取り入れ、五感の感覚を失うことはまぬがれないはずのラーメンマンがなぜ元通りに・・・」
犬操「・・・・しかしオレや、蛾蛇虫、チャーチュイの愛武器を稲妻文字に変えてラーメンマンにむけて発射したものは途中でバラバラになりラーメンマンを復活させることはできなかった・・・」
チューチャイ「たとえば私たちだって武道大会で対戦者の攻撃を受けすぎ、もう反撃する力もなくなり気力だけで闘っている時、観客たちから割れんばかりに自分の名前を連呼されたり・・・観客席の中に自分を激励する名前の書かれた横断幕を見つけたりすると余力などもう残っていないはずなのに、どこからかまた新しい力がみなぎってきて、再び対戦者にむかって、立ち上がっていく活力となる!」
犬操「そうか!それと同じように「拉麺男」の稲妻文字が観客の大声援のかわりに奴を力づけてくれたってワケかっ!」
ラーメンマン「それもすべてキミたちのおかげだ・・・今こそキミたちが授けてくれた愛武器を使わせてもらうぜっ!!」
実況「ああーっと、稲妻文字が元の武器へと戻っていく―――っ!!」
ラーメンマン「犬操の岩砕拉飛抓!!チューチャイの肉体麺斬刀!!そして激男雅女槍!!・・・これは蛾蛇虫の・・・!」
蛾蛇虫はうずくまっていた。
ラーメンマン「ガ・・・蛾蛇虫・・・」
蛾蛇虫「ぐおお~、ウッ・・・ウオオオ~~~~~」
ラーメンマン「ど・・・どうした蛾蛇虫―――っ!?」
「そ・・・そうだった、霊媒師布蘭から習得した拳魂復活の術には制約があった・・・」
布蘭「ラーメンマンよ、この術の効き目は五時間じゃ。それが過ぎれば次は元の世界に戻ってしまうぞ」
ラーメンマン「蛾蛇虫は一番最初に拳魂復活の術によって位牌から蘇らせた・・・そういえばゆうに五時間はたっている・・・ああ~なんてことを。あれほど布蘭さまに注意されたのに・・・戦いのことで時間の経過を忘れて亡霊の蛾蛇虫を酷使してしまった~、ゆ・・・許してくれ・・・」
蛾蛇虫「なにをあやまることがあるか・・・これからお前が跳竜に勝ち我われ五歌仙チームが勝利をにぎれば生命の五つの石が手に入るんだ・・・‘生命の石‘さえあれば今度は術ではなく本物の生を受けた生身の人間として蘇ることができる!!オレからの願いだ、ラーメンマン。なんとしても暗器五点星を敗って竜神から生命の五つの石を・・・うわあああああ」
蛾蛇虫が自身の位牌に吸い込まれていった。
ラーメンマン「蛾蛇虫―!!」
実況「ああ―――っとラーメンマン!五歌仙チームの頭脳ともいえる参謀の蛾蛇虫を失ってしまった―――!!」
チューチャイ「う・・うおお~、こ・・・今度はわたしが・・・」
ラーメンマン「チュ・・・チューチャイ!!」
砲岩「こ・・・こっちもお迎えがきたようだ
実況「ああーーっと、蛾蛇虫に続いて、チューチャイ・砲岩のふたりも位牌に吸いこまれかている―――!!」
ラーメンマン「ふたりもそろそろ術のきれる時間になったか。ふたりを位牌に吸いこまれるのから救ってやりたいが、わたしの前には巨大竜巻が行手をはばんでいる!!」
玉王「ラーメンマンは完全にチューチャイと砲岩に気をとられてしまっている。奴を倒すなら今だ、跳竜よ!」
跳竜「オオッ、背岩スタンプ!!」
跳竜のヒップアタックがラーメンマンに炸裂し、ラーメンマンが吹っ飛んだ。
実況「あーっとラーメンマンがふっとんだ後ろに恐ろしい岩の竜巻がーっ!!」
ラーメンマン「岩盤破裏拳」
ラーメンマンが正拳突きを地面に食い込ませることで竜巻に巻き込まれることを防ごうとしたが・・・
ラーメンマン「ぐわっ」
実況「ラーメンマン、正拳で竜巻突入を防ごうとしたが、上半身が巻きこまれてしまったー!!」
ラーメンマン「うわあ~っ」
岩がラーメンマンの上半身に当たっていく。
実況「この長かった‘生命の石‘争奪マッチもとうとうこの戦いによって勝利チームが決まるのですーっ!!」
ラーメンマン(そ・・そうだった・・・!ここで倒れれば仲間を位牌から蘇らせることができなくなってしまう。まず、ここからどうやってのがれるか・・・)
チューチャイ「ラーメンマン、わたしの肉体麺打斬刀はどんな物体でもたたっ斬ることができる!!
ラーメンマン「肉体麺打斬刀――!!」
ラーメンマンが肉体麺打斬刀で飛んでくる岩を切り裂いていく。
跳竜「このまま、やすやすと岩石地獄を終わらせはしないぜ」
実況「おおっと跳竜、自分の体にべばりついている岩の一部分をはがし取り、それを集めて両手でこね始めたー!!」
跳竜「そうらこれでもくらいな!!巨岩ボーリング――――!!」
実況「跳竜っ、巨大な岩の固まりを竜巻の中にほおりこんだー!!ラーメンマンあやうし~!!」
ラーメンマンは肉体麺打斬刀を右足首に差し込んだ。
ラーメンマン「こなくそ―――っ!!」
ラーメンマンの肉体麺打斬刀での蹴りが、巨岩を真っ二つにした。
実況「ラーメンマン!ふたつに割った岩に乗って竜巻の中を上昇する―――」
「そして今武道殿上に戻ってきた――――!!」
ラーメンマン「百戦百勝脚―――!!」
ラーメンマンの蹴りが跳竜の頭に炸裂した。
実況「ああーっと、跳竜がふっとんだ―――っ!!」
しかし跳竜はすぐに起き上がった。
実況「し・・・しかし固い岩に包まれたその身体にはどんな攻撃も通用しないのかーっ!!」
ラーメンマン「ううむ~、跳竜、手強いやつめ・・・!」
シューマイ「ラーメンマン!チューチャイと砲岩のことならオイラたちが位牌には戻らないよう、しっかりつかまえておくよ!!」
拉娘「そうよ兄さん!だから兄さんは跳竜との闘いに没頭してちょうだい」
修行僧「そうだガンバレッ!!暗器五点星なんかやっつけちゃえーっ!!」
ラーメンマン(さ・・・最初は暗器五点星の猛威に恐れおののいていた修行僧たちがなんと勇敢な姿に変わってくれたもんだ)
「このみんなの勇敢の炎を消さないためにも跳竜めを倒さねばならん!!」
跳竜「ガオッフォフォ、一切の攻撃が通じんというのにまだやるか!」
竜神「ラーメンマンよ!跳竜よ!日没が近くなってきた、最初に約束したようにこのワシは完全に太陽が沈み夜になると神の国へ戻らねばならん。はやく決着をつけんと両チームとも‘生命の石‘を手に入れぬまま、九人の亡霊拳士が残ってしまうぞ!!」
跳竜「ウオォ―――、わかったぜ竜神、今すぐラーメンマンが血の海に沈むところをお目にかけるぜ!!」
ラーメンマン(はやく見つけなくてはっ!!跳竜の岩石ボディを攻略する方法を・・・)
ラーメンマンが陳老師との修業時代を回想する。
陳「よいかラーメンマンよ!どんなに堅固に武装した者にも必ず崩す手だてはある!!」
ラーメンマン「わっ!!」
ラーメンマンが鎧を纏った木人に苦戦していた。
ラーメンマン「ムリですよ老師・・・こんなに堅固に武装されたんじゃ蹴りや突きは効かないし、急所のツボを突くこともできないよ」
陳「果たして崩せんもんかな・・・」
陳が木人の裏足に蹴りを入れ、木人の姿勢が崩れた所をその頭を蹴りではね飛ばした。
ラーメンマン「ああ・・・あれだけ武装していた木人がこんなに簡単に!!」
陳「敵の攻撃から身を守るための武装もあまりに堅固にしてしまうと身動きが取りにくくなる!そのため武装というものはヒザの部分、裏側の脚の関節、両ヒジ、首スジなどはどうしても動くために武装があまくなる」
ラーメンマン「そ・・・そうか―――!」
ラーメンマン「どんなに堅固な武装拳士も武装を簡単にしている部分があるっ!!ようし、イチかバチか、このチューチャイ・犬操・砲岩の愛武器を今一度使って・・・!!」
跳竜「フォッフォ、やはり自分の力でオレさまを倒せんとみて、お友だちから借りた武器のご登場かっ!!」
ラーメンマン「ウォ―――、くらえ、岩砕拉飛抓、肉体麺打斬刀、激男雅女槍!!」
ラーメンマンは三つの武器を跳竜の周りに投げた。
跳竜「・・・!?」
ラーメンマンは肉体麺打斬刀を踏み台にジャンプして、跳竜の背後に飛んだ。
実況「おおーっと、しかしラーメンマン、そのまま跳竜を跳び越えたーっ!!」
ラーメンマン「飛燕旋風脚!!」
ラーメンマンの回し蹴りが跳竜の右のひざ裏に炸裂した。
跳竜「う・・・うわっ!ま・・・まさかオレさまの鉄壁の武装が!!」
実況「あ――っと、ラーメンマン、今度は跳竜の前方に回り、岩砕拉飛抓のチェーンをつかんで、ターンして」
ラーメンマン「金鶏飛び膝脚―――!!」
ラーメンマンの膝蹴りが跳竜の顎に炸裂した。
実況「そしてそのまま肉体麺打斬刀をジャンプ台にして再度飛び上がる―――っ!!」
ラーメンマン「とどめだ跳竜―!!頭骨錐揉脚――――!!」
ラーメンマンの回転蹴りが跳竜の顔面に炸裂した。
実況「ああ―――っ、大技三連発の衝撃で全身の岩がはがされ、跳竜が崩れおちていくーっ!!」
「あ――――っと、長かった拳聖五歌仙VS暗器五点星の対決もラーメンマンの必殺の三段蹴りでついに終止符をうったあ―――っ!!これで四勝一敗っ!!拳聖五歌仙が‘生命の石‘争奪戦をここに制したー!!」
ラーメンマン「や・・・やっと終わった・・・!」
玉王「うぬぬ~~、なにが伝説の名拳士だ、せっかく700年ぶりに死の世界から蘇らせてやったというのに次つぎに簡単にやられおって~。こうなったらラーメンマンはオレの手で・・・死ね、ラーメンマン」
玉王がラーメンマン目がけて刀を投げた。
跳竜「うう~」
シューマイ「あ・・・あぶない、ラーメンマン!!」
ラーメンマン「猛虎百歩拳―――!!」
ラーメンマンが刀を防ぐために猛虎百歩拳を放ったが、
その前に跳竜が割って入ってきた。
跳竜「逃げろラーメンマン!!」
ラーメンマン「ちょ・・・跳竜っ!?」
玉王の刀は跳竜の背中に刺さった。
跳竜「ぐわっ」
ラーメンマン「わ・・・わたしを助けるためにっ・・・!?いかん・・・玉王の刀をかわすために放った猛虎百歩拳がっ!!」
猛虎百歩拳は跳竜の右肩に噛みついた。
ラーメンマン「な・・・なぜ玉王の刀からわたしを救ったんだ―――っ!!」
跳竜「わ・・・わかったんだよ・・・お前にとどめを刺され、たとえ術により与えられた生命でも自分の寿命が残り少ないとわかった時、急にこの世に生きているすべての生命が尊く大切に想えてきたんだよ・・・だからお前の命が玉王の凶刃によって消されようとした時・・・お前が敵であろうと味方であろうと、なんとしてもその尊い命というものを救いたくなったんだよ・・・!」
ラーメンマン「跳竜、しっかりしろっ!」
跳竜「オ・・・オレはお前らに敗れた事をくやしいとは想っていない・・・!む・・・むしろ700年前の過去より生き返り、未来でお前たちのようなすばらしい拳士と戦うことができてうれしい・・・ほかの四人も同じ考えだと思うぜ・・・」
シューマイや修行僧たちが涙ぐんだ。
跳竜「ラ・・・ラーメンマン、い・・・命だけは大切にな・・・」
ラーメンマン「ちょ・・・跳竜!!」
跳竜が位牌に戻っていき、刺さっていた刀が落ちて。
ラーメンマンの手に跳竜の位牌だけが残った。
竜神「ただ今のラーメンマンの勝利をもって、四勝一敗で拳聖五歌仙の勝ちを宣言する。よって生命の五つの石を与える!」
竜神がラーメンマンに五つの生命の石を与えた。
シューマイ「ラーメンマンはやくーっ!チューチャイと砲岩が位牌の中に戻っちゃうよー――っ!!」
ラーメンマン「たのむぞ‘生命の石‘よっ!!」
ラーメンマンがチューチャイと砲岩に生命の石を投げ与えた。
実況「ああ―――‘生命の石‘を吸収してふたりの姿が元に戻っていく―――!」
ラーメンマン「それ犬操にもっ」
ラーメンマンは、やぐらの人柱になっていた犬操に生命の石を投げ与えた。
ラーメンマン「そしてこれは・・・蛾蛇虫、お前のだっ!!」
蛾蛇虫の位牌がラーメンマンの投げ与えた生命の石を吸収し、蛾蛇虫の姿になっていった。
ラーメンマン「み・・・みんなー!!」
実況「ああ――っと、暗器五点星の毒牙にかかり殺されて以来、拳魂復活の術によって蘇生していた蛾蛇虫・チューチャイ・犬操・砲岩が本物の生命を与えられ蘇った――」
竜神「ラーメンマンよ!お前たち五歌仙チームの亡霊拳士を蘇らせるのに使った‘生命の石‘は四つ・・・余ったもうひとつの石はどうするつもりじゃ」
ラーメンマン「それはわたしに考えが・・・しまったー!!やぐらの上に玉王にまた逃げられた―――っ!!」
玉王はいつの間にかに姿を消していた。
修行僧「しかしこの暗器五点星たちもかわいそうに。元は超人拳法総本山の545人の名拳士の中の五人として英雄面山内にその位牌と髪の毛が納められていたのに・・・」
「玉王なんかに手を貸したばかりに、こんなふきざらしの冷たい外に置きっぱなしにされたまま見捨てられてしまって・・・」
ラーメンマン「竜神さま、最後のひとつの石の使い道は」
「そりゃ―――!」
ラーメンマンは生命の石を握り砕いて、その5つが変形した小さな石を投げた。
蛾蛇虫「ラーメンマン、‘生命の石‘を割ってどうするんだ!?」
ラーメンマン「残りは暗器五点星にっ!!」
竜神「ラーメンマンよ、‘生命の石‘を五等分にしてしまってはたとえ蘇っても効力は五分の一に下がり、効き目は一瞬の時間だけだぞ」
生命の石を与えられた暗器五点星の位牌は浮かび上がっていった。
ラーメンマン「それでも充分・・・あの英雄面山内の伝説の名拳士納牌堂にたどりつくまでの生命があれば・・・」
蛾蛇虫「なるほどラーメンマン、そういうことか!」
「棺を蓋いて事定まる」―――人は死後に初めてその善悪を確信できる―――
最終更新:2019年07月02日 19:46