ランポー「ウ・・・ウウ、伊々平功め。この昇龍胴着を着たオレとラーメンマンとまちがえて襲いやがった・・・し、しかし襲われたのがラーメンマン本人でなくてよ・・・よかった・・・ラ・・・ラーメンマンは・・・三打鐘兄弟の野望を打ち砕くための・・・大事な切りフダだ・・・!は・・・はやく・・・ラーメンマンにしょ・・・昇龍胴着をか・・・返さなくては・・・」
実況「さあ、こちら万里の長城第二決戦場では、先のバトルロイヤルを勝ち抜いた八人の武術家たちが新皇帝お守役の覇権をかけて今まさに激闘がくり広げられようとしています!!」
「決戦場にはふたつの武道殿が用意されていて、まず「威」武道殿では、中国雲南省代表、蛾蛇虫VS韓国代表、鎌斬の一戦と中国福建省大豊犬操VSビルマ代表念仏男の一戦の二試合が行われます!!」
「そしてもう一方の「囍」武道殿上では、アラビア代表、伊々平功VSモンゴル代表ランボーの一戦と中国河南省代表、ラーメンマンVSバリ島代表ガルルーダの一戦が行われます!!」
「しかしその中でただひとり・・・伊々平功の対戦相手のランボーの姿がみえず、空の椅子が置かれているだけであります」
ラーメンマン(ランボーがきていないとはどういうことだ・・・!?それにさっき、総本山の僧のひとりに、控え室に忘れてきた昇龍胴着を持ってくる様、伝えておいたのにかれこれ30分がたつがいまだに持ってきていない・・・は・・・はやく持ってきてくれ!)
ガルルーダ「キューキョキュ、伊々平功よ。おまえの控え室乱入によってラーメンマンがかなりグロッキーの状態だ」
伊々平功「ゴボゴボ、あそこに座ってられるだけでも奇跡だぜ。かなりきつく痛めつけてやったからな:
ガルルーダ「キョーキョキョ、今からラーメンマンと戦うわたしがこれで助かったというもの」
伊々平功「おおっとガルルーダよ、お前のためにラーメンマンを襲ったんじゃねえ。二回戦でオレがラーメンマンと激突することになろうからだ」
ガルルーダ「てめえ!それが仲間に吐くセリフか!」
伊々平功「いくら三打鐘兄弟の仲間と言えど、お守役につくのはひとりなんだぜ」
念仏男「ククク・・伊々平功もガルルーダもかなり入れ込んでやがるな。こうなると三打鐘兄弟のボスであるこのオレさまもうかうかしてられん」
司会「ただ今より新皇帝烙餅、さまお守役選出御前試合、決勝トーナメントを行う!!」
開始を告げる銅鑼が鳴らされた。
ラーメンマン(は・・・はやく昇龍胴着をっ・・・!!)
控え御殿―――ラーメンマンの控え室。
修行僧「おかしいなあ~~~~~無いなあ・・・確かにラーメンマンさまはこのyの上に昇龍胴着を置いておいたって言ってたんだけどな。さては机の下でも落ちたかな」
「・・・・!!壊れたバケツに血の跡・・・血の跡が点点と廊下の方にまで!!一体なにが・・・!?」
血の跡を追った修行僧が、ランボーを見つけた。
修行僧「ゲーッ、あ・・・あなたは・・・・!!」
ランボー「ううっ・・・」
実況「決勝トーナメント「威」武道殿、第一試合龍コーナー・・・毒狼拳蛾蛇虫!!」
蛾蛇虫「おお-っ!!」
実況「虎コーナー、双鞭拳鎌斬」
鎌斬「おお-っ!!」
実況「さあ―――っ、「威」武道殿では蛾蛇虫VS鎌斬の一戦が始まります!!そして「囍」武道殿の方でも・・・」
「「囍」武道殿、第一試合龍コーナー、三打鐘兄弟、伊々平功!!」
伊々平功「ゴホホ―――ッ」
実況「虎コーナー、鑼血刀ランボー―――!!」
しかしランボーはまだ来てなかった。
実況「ランボーはどうした―――!?」
観客たち「一体どこ行っちまったんだ!?」
「怖くて逃げたんじゃねえのか!」
ラーメンマン(ランボーよ、はやく出てこないか・・・・でないと失格になってしまうぞ・・・!)
修行僧「ラ・・・ランボーさま、なぜこのような・・・!?」
ランボー「そ・・・その説明は後まわしだ・・・それよりこれを・・・ラーメンマンに・・・」
ランボーが昇龍胴着を脱いで、修行僧に渡した。
修行僧「ああ・・・あったあ―――っ!!ラーメンマンさまの昇龍胴着が――――!!」
ランボー「そ・・・それはラーメンマンにとってはパワーの源ともいえる物・・・無くて困っておるだろう・・・す・・・すぐにオレをラーメンマンの所に連れてってくれ。この胴着を直接渡したい・・・」
修行僧「ハ・・・ハイ!!」
修行僧がランボーに肩を貸した。
鎌斬「そりゃ!!そりゃ!!」
実況「あーっと「威」武道殿では蛾蛇虫と鎌斬がすさまじい技の攻防を展開中だ―――!!」
蛾蛇虫「・・・・!!」
鎌斬「うりゃ―――!!」
蛾蛇虫が殴りかかろうとした所を鎌斬に側頭部を蹴られた。
実況「しかしこちら「囍」武道殿では、いまだ伊々平功の対戦相手が姿を現さず試合が行われておりません!!」
伊々平功「どうしたランボーッ!!このオレさまが恐ろしいかっ!!」
ラーメンマン(ランボー・・・!!)
実況「蛾蛇虫と鎌斬、五分の攻防が続く―――!!」
蛾蛇虫「うわっ!!」
鎌斬に足下を蹴られ、蛾蛇虫が転倒した。
鎌斬が飛び上がった。
鎌斬「双鞭蟷螂拳!!」
蛾蛇虫「なんの-、毒手拳!!」
二人が互いに渾身の一撃を繰り出し・・・
鎌斬「ぐえっ」
蛾蛇虫「むっ!!」
その一撃はお互いに相手の胸を貫いた。
実況「あーっと、おたがいの必殺技の相討ちっ!!結局両者ノックアウトの幕切れとなったあ!!」
念仏男「ククク、ダブル・ノックアウトとはこいつは大助かり。これで我々は準決勝を戦わなくてもいいんだからな。これから始まるオレと犬操との戦いの勝者がそのままこの「威」武道殿の代表となり、となりの「囍」武道殿の代表と優勝を争うというわけだ」
犬操「そのようだな・・・」
30分たっても現れないランボーに業を煮やした審判団が協議を始め―――
そして審判団の出した結論はランボーが試合を放棄したものとみなし、伊々平功の不戦勝と決定した!!
伊々平功「ゴホゴホ、なにもせず準決勝進出だ―――っ!!」
ラーメンマン「一番悪い結果になってしまった・・・」
(しかしなにも告げずどこへ行ったんだ、ランボー・・・)
烙餅「仲間が目の前よりどんどん敗れ去って行く姿を見るのは、ラーメンマンもさぞつらかろう」
「威」武道殿 念仏男(ビルマ)VS犬操(福建省)
実況「さあ「威」武道殿上、念仏男VS傷刻牢犬操が白熱度をおびえてきているぞ――――!!」
「囍」武道殿。ラーメンマン(河南省)VSガルルーダ(バリ島)
実況「こちら「囍」武道殿でも、超人拳法ラーメンマンVS三打鐘兄妹ガルルーダの戦いが最高潮をむかえている――――!!」
「しかしやはり、盟友であるランボーの失格敗戦がショックだったのか・・・ラーメンマンにいつもの技の冴えが見られずっ!!」
ラーメンマンがガルルーダの蹴りを受け、転倒した。
ラーメンマン「うわっ」
ガルルーダ「キョキョーーーー!!」
さらに顔面を蹴られた。
実況「再三、ガルルーダに押される場面が目立ちます!!」
ラーメンマン「アウッ」
ガルルーダ「キョキョ―――、血煙魔爪風車」
ガルルーダの足の爪での蹴りがラーメンマンの胸を切り裂いた。
ラーメンマン「うわあ~~~っ」
実況「さあっ、こちら「威」武道殿、犬操が攻勢にでた―――っ!!」
犬操「くらえっ、傷刻牢獄――――!!」
犬操が自身の武器、傷刻牢獄を念仏男に放った。
念仏男「これしきの技をくらうようでは・・・三打鐘兄弟のリーダーはつとまらんわ――――っ!!弾丸鐘―――!!」
念仏男が自身の持つ鐘を鐘突き棒で打ち出した。
実況「あ―――っと犬操の傷刻牢獄を念仏男の弾丸鐘が空中で破壊した―――!!ああ~~!そして弾丸鐘が犬操の頭にィ~~~~!!」
念仏男「おりゃ~~!おまえは生きてこの世は見られんーっ!」
鐘をはめた相手の頭を叩き、頭蓋骨を砕く念仏男の必殺技、落雷鐘が犬操に炸裂した。
実況「おそらく犬操の頭はグシャグシャでしょう!!」
犬操「こ・・・このわたしの攻撃がつ・・・通じないとは・・・・き・・・気をつけろ、ラーメンマン・・・」
犬操が倒れていった。
実況「まさに雪崩現象という言葉がピッタリとあてはまるように正義の拳士・ランボーの失格負けに続き、犬操も敗れ去り・・・悪の拳士、三打鐘兄弟の伊々平功と念仏男が勝ち残るという結果となった―――、そして三打鐘兄弟、念仏男は新皇帝御前試合の決勝進出を決めたあ―――!!」
ガルルーダはラーメンマンを踏みつけていた。
ガルルーダ「二度ある事は三度あるという、このガルルーダも続かせてもらうぜ――――っ!!」
ラーメンマン「ダ・・・ダメだ・・・三打鐘兄弟の勢いはさしものわたしにもと・・・止める事は、で・・・できん・・・」
ランボー「なんたるザマだ―――っ!!」
武道殿の前にランボーが来た。
ラーメンマン(ラ・・・ランボー・・・!!)
ランボー「ラーメンマンよ、おまえが敗れてしまっては皇帝家の宮城は三打鐘兄弟の物になってしまうんだぞ―――――っ!!」
ラーメンマン「ど・・・どうしたんだというんだ、ランボー!?そのキズは・・・」
ガルルーダ「おっと今は試合中だぜ!!」
ガルルーダがラーメンマンに蹴りかかってきた。
ラーメンマン「ちょ・・・ちょっと待て!!,今、ランボーの所へっ・・・!!」
ガルルーダ「なっ・・・」
実況「おーーーっとラーメンマン、ガルルーダの攻撃をブリッジでかわした―――!!」
ガルルーダ「コノヤロ――――ッ!!」
ラーメンマン「ガルルーダ、わたしはランボーになにがあったのか聞きたいのだ―――っ!!」
実況「あ―――っと、またかわしたあ――――!!」
ガルルーダ「よおし、血煙魔爪風車!!キョキョ――――!!」
ラーメンマン「わたしはランボーのためにもおまえを倒す――――っ!!」
ラーメンマンが空中でガルルーダの腰をキャッチした。
ラーメンマン「拉麺男暴酷!!」
ラーメンマンのパワーボムがガルルーダに炸裂した。
ガルルーダ「グハ・・・」
ガルルーダが血反吐を吐き、倒れた。
実況「おーーーっと、ラーメンマン、見事な逆転勝利でガルルーダを下し、準決勝進出を決めた―――!!これで「囍」武道殿で準決勝はラーメンマンvs伊々平功に決まったー!!」
ラーメンマン「ランボー―――ッ!!」
ラーメンマンが武道殿から飛び降りて、ランボーの元に駆け寄った。
ランボー「こ・・・これを渡しにきたのだ・・・ううっ・・・」
ラーメンマン「無理するなランボー!な・・・なぜおまえがわたしの胴着を!?それにその全身の痛痛しい傷はどうしたんだ」
ランボー「こ・・・この傷も元はといえば、おまえが控え室に置いていってこの昇龍胴着をイタズラしたためについてしまったのだ・・・」
ラーメンマン「どういうことだ!?」
ランボー「それは・・・」
ラーメンマンに詰め寄られ、ランボーはポツリポツリと控え室での出来事を語り始めた・・・自分が昇龍胴着をイタズラで着た事も・・・三打鐘兄弟のひとり伊々平功の襲撃を受けた事も・・・それを魔鎡狗颶礌甒で追い払った事も・・・
ラーメンマン「なにー!するとおまえは昇龍胴着を着ていたためにわたしとまちがえられて・・・!」
ランボー「ああ・・・伊々平功もそれに気づいていない・・・」
伊々平功「どうした―――!ラーメンマンよ、さっきの控え室での負傷がかなり効いているとみえて、武道殿に上がってこれんとみえるなっ!!」
ランボー「さあラーメンマンよ、こいつを着てはやっく武道殿に行くんだ・・・!」
ラーメンマン「なにを言うか、おまえとて本当は武道殿で思う存分やつと戦ってみたかったはず!しかしそんなとばっちりをくらったおかげでこんな深手を・・・」
ランボー「いやラーメンマン、オレさまの拳のウデではあの伊々平功は倒せないだろう。それくらい手強い相手だ・・・あの男は!しかしオレはやつの攻撃を受けながら思った。確かに手強いがラーメンマンよりは拳法の技術は劣ると・・・」
「それが証拠に・・・見よ!やつにやられた傷は徐徐に治癒していく・・・しかしラーメンマンよ、おまえとの超人拳法総本山での死闘で受けた傷はまだこの通りだ!」
ラーメンマン「おおっ!あれから半年もたつのに鮮明に残っている!!」
ランボー「ということは、伊々平功よりもラーメンマンの拳法の方が破壊力が上だと言うことになる。ゴホッ、ゴホッ」
修行僧「ランボーさま!!」
ランボー「フフ・・・破壊力が劣るといっても少し攻撃を受けすぎた・・・」
ラーメンマン「ランボーよ!おまえのその行為、このラーメンマン、ムダにはせん!!」
「伊々平功よ!おまえだって本当はきっとやさしい心の持ち主にちがいないのだろう!しかし川で泳いでいる魚がその川の形を知らないのと同じ様に・・・悪という名の川で泳ぎ続ける間にすっかり悪しか見えなくなり、そんな残虐拳法家になってしまったのだろう!!」
ラーメンマンが昇龍胴着を纏って、伊々平功の元に飛び上がった。
ラーメンマン「しかしわたしは闘う!!おまえたちが悪という名の川の内側で泳ぎ続ける限り―――っ!!」
闘え!!拉麺男!!悪の途絶えるその日まで・・・!!
(完)
最終更新:2019年11月30日 18:26