宇宙大帝ゴッドシグマの最終回


未来への旅立ち




ゴッドシグマの前に立ちはだかった
ガルゴスの巨大なパワーで、ゴッドシグマは
最大のピンチに追い込まれていた。



ゴッドシグマは、超巨大ロボット・ガルゴスの前に、苦戦を強いられている。
ガルゴスを操るのは、テラルを失脚させてエルダー軍の全実権を握ったガガーン少将。

闘志也「負けるものか!」
吉良謙「闘志也! 全力を振り絞るんじゃ!」
ジュリィ「ここでやられてたまるものか!」
闘志也「食らえ!」

ゴッドシグマが反撃に転じようとするが、ガルゴスの放った炎により、火だるまとなる。

闘志也「うわああぁっ!」
ガガーン「ハハハハ! もはやゴッドシグマの最期! とどめだ!」

ゴッドシグマが、ガルゴスの巨大な脚に踏み潰されて、地中に沈む。

ガガーン「フフフ。憎きゴッドシグマめ、いよいよ最期だな。ハハハハハ!」
闘志也「おのれぃ、ガガーン!」

ゴッドシグマがガルゴスの足を持ち上げて飛び出し、そのままガルゴスをひっくり返す。

ガガーン「おのれ、ゴッドシグマ! 小癪な真似をしおって! 悪あがきは無駄だ!」

ガルゴスの激しい攻撃が続く。
ゴッドシグマはボロボロになって、ついに地面に倒れ伏す。

理恵・ミナコ「闘志也!」
翔太「反撃だ! 反撃するんだぁ!」

ガガーン「手こずらせおって。ゴッドシグマごときに、このガルゴスは簡単には倒されんぞ!」

ガルゴスは、動かなくなったゴッドシグマを放り、トリニティ基地を睨みつける。

理恵「はっ!? 全隊員、ただちに攻撃開始! 基地を、基地を死守するのよ!」
翔太「わかったよ!」
ミナコ「やるわ!」
サチ「任しといてぇな!」
所員たち「ゴッドシグマを助けるんだ!」「攻撃準備、完了!」


ガガーン「フフフ、愚かな奴らめ。トリニティエネルギー発生装置は、もはや我らエルダーの手に入ったも同然。これで祖国へ凱旋できるぞ!」

トリニティ基地から雨のようにミサイルが放たれる。
だがガルゴスは、それをものともしない。
逆にガルゴスの攻撃で、基地内に次々に火の手が上がる。

理恵「(トリニティエネルギー発生装置が…… 闘志也!) トリニティエネルギーを、基地を、最後まで守るのよ!」

理恵が銃を手にし、基地を飛び出そうとするが、仲間たちが制する。

サチ「姉ちゃん、あかんあかん! 姉ちゃん1人では危ないさかい!」
理恵「このままでは、基地は破壊されてしまうわ! そんなことって……」

基地内に次々に火の手が上がり、所員たちが犠牲になってゆく。
ゴッドシグマは倒れたまま、まったく動かない。

翔太「闘志也、何してるんだ!? このままじゃ、みんな殺されちゃう。闘志也兄ちゃぁん! 吉良謙! ジュリィ──っ!」

基地の外壁が叩き壊され、基地内に一際激しい火の手が上がる。

翔太「闘志也兄ちゃぁ──ん!」

翔太の必死の叫びが通じたか、気絶していた闘志也たちが目を覚ます。

闘志也「き、基地が!?」
ジュリィ「あぁっ!?」
吉良謙「闘志也ぁ! 急げぇぇ!!」

ガルゴスが基地の壁を引き剥がし、ついにトリニティエネルギー発生装置が露わになる。
装置に手を伸ばそうとしたガルゴスに、ゴッドシグマの飛び蹴りが炸裂する。

ガガーン「ゴッドシグマめ、まだ生きておったのか!?」

ゴッドシグマはガルゴスの火炎を浴び、ビームで貫かれて蜂の巣となる。
ボロボロとなったゴッドシグマが、再び地面に倒れ伏す。

闘志也「くっ…… 一体、どうすりゃいいんだ!?」
ジュリィ「闘志也! 最後の切り札、ビッグウイングを使うんだ!」
闘志也「何、ビッグウイングを使う!? シグマブレストの通用しない今、ビッグウイングを盾にするしか方法が無いっていうのか!?」
ジュリィ「もはや、ビッグウイングに3人の魂を込めるしかない!」
吉良謙「ここまで来たんじゃ! もう後はないぜ! 勝利を目指して進むしか道はないぞ、闘志也!」
闘志也「そうだ…… もうそれしかない。イオを、平和を目指して戦った人々の命を背負い、今ここに俺たちの力のすべてを賭ける! いいか、みんな行くぞ!!」
一同「おぅ!!」「ビッグウイ──ング!!」

ゴッドシグマがビッグウイングを分離する。
ビッグウイングを手にし、飛び立つ。

ガガーン「ゴッドシグマめ、最後のあがきか。フフフ、とどめを刺してやるわ!」

ガルゴスが炎を吐きかけるが、ゴッドシグマは炎を浴びながらも捨て身で突進する。
トリニティエネルギーの満ちたビッグウイングが、ついにガルゴスを貫く。
最期の必殺技、ビッグウイングアタックが炸裂──!

ガルゴスが大爆発を遂げる。
だがゴッドシグマもそのまま墜落し、炎に包まれる。

理恵「あぁっ、ゴッドシグマが……」
サチ「やられてしもうた……」
翔太「あっ!? あれ見て!」

立ち昇る炎の中から、闘志也たち3人が駆け出してくる。

ミナコ「良かった! 無事だったのね! 闘志也!」

しかしガガーンもまた、全壊したガルゴスの中で生きている。

ガルゴス「おのれぇ…… 地球の虫ケラどもに殺されてたまるか!」


一方のエルダー基地では、テラルがタイムシップの格納庫に向かっている。

テラル (タイムシップは、闘志也に渡す)

ガガーンのもとに就いた兵士たちが、テラルを襲う。

兵士たち「テラルを倒せぇ!」

テラルが兵士たちを倒すが、そこにガガーンが現れる。

テラル「ガガーン!?」
ガガーン「テ、テラル!?」
テラル「ガガーン! 私のこの手で決着をつけてやる。降りて来い!」
ガガーン「何を!? テラル、まだこの世に生きながらえていたのか!」
テラル「ほざくな、ガガーン。己の欲望を満たさんと、罪もない多くの人々を殺したお前の振る舞い、許しはせぬ! 地獄へ旅立て!」

テラルの手にした銃を、ガガーンの銃撃が弾く。

ガガーン「フフフフ。残念だったな、テラル。私はこのタイムシップで、2300年の未来のエルダーへ向かうのだ。テラル、お前などに殺されてたまるか。地獄へ旅立つのは、お前だ! テラル、死ね!」

ガガーンの銃撃。テラルの頬から血が噴き出す。

ガガーン「お前は所詮、女。テラルの体を借りているだけだ*1
テラル「ガガーン、知っていたのか!?」
ガガーン「私の目は節穴ではない。祖国エルダーを騙しおって! 貴様の狙いは私と同じ、エルダー軍の支配であろう!?」
テラル「違う! ガガーン、私はエルダーと地球の平和を願っている。それを貴様は、よくも!」
ガガーン「何ぃ!? 死ねぇ!」

さらなるガガーンの銃撃が、テラルの足を貫く。

テラル「うわあっ!」
ガガーン「フフフ、女の考えそうなことだな」
テラル「確かに、私はリラ…… 私は、テラルを愛した。愛する心、それは平和を願う心だ。愛こそが地球を、そしてエルダーのみならず宇宙に平和をもたらす!」
ガガーン「ほざくな! 夢や希望で祖国が救えるものか! さぁ、そこをどけ。どくんだ!」
テラル「逃がさぬ! 逃がしてなるものか! あのタイムシップには、平和の死者が乗るのだ! ガガーン、お前などに渡すわけにはいかぬ!」

ガガーンの銃撃が、テラルの肩を貫く。

テラル「ああっ!」
ガガーン「女ごときにこのガガーン、殺されはせぬ!」


闘志也たちもエルダー基地に突入し、兵士たちと銃撃戦を繰り広げている。

闘志也「テラル! テラルはどこだぁ!?」
ジュリィ「闘志也、ここは早く、ガガーンにとどめを!」
吉良謙「よっしゃ! わしについて来い!」
ジュリィ「吉良謙、無茶はやめろ!

吉良謙が銃撃の中を捨て身で飛び出し、物陰に隠れる。

吉良謙「続け! わしに続くんじゃぁ! 一刻の猶予もないんじゃ。戦いはこれからじゃぁ!」
ジュリィ「あぁ、死んでも泣く奴は、もう誰もいないしなぁ!」
闘志也「ジュリィ、何を言ってるんだ! 吉良謙、イオは俺たちが──」

銃撃が闘志也の肩を掠める。

闘志也「うっ!?」
吉良謙「闘志也、ジュリィ! ゴチャゴチャ言う前に、目の前の敵を片づけるんじゃい!」
ジュリィ「闘志也、先に行け! 俺が援護してやる!」
闘志也「おぅ、頼むぜ!」

ジュリィが銃撃で、数人の兵士を仕留める。

闘志也「さすがジュリィ、本気を出すと怖いぜ」
ジュリィ「早く行け、闘志也!」
闘志也「あぁ、行くぜ!」

闘志也も、銃撃の雨の中を飛び出す。

ジュリィ「行け、テラルのところへ! タイムシップへ、早く行けぇ!」
吉良謙「頼むぞ、闘志也!」

そこへ理恵、ミナコ、翔太、サチも駆けつける。

ミナコ「闘志也ぁ──っ!」
闘志也「お、お前たち!?」
理恵「闘志也、後は私たちに任せて、早く行って!」
翔太「イオの人達も一緒だから、へっちゃらだい!」
闘志也「何!?」

イオの住民たちが銃を手にし、参戦してくる。

一同「俺たちに任せろ!」「エルダーを倒せぇ!」
闘志也「理恵、ミナコ、後は頼むぞ!」
ミナコ「任せといて!」
闘志也「テラルぅ──っ!!」


ガガーン「くたばれぃ!」

テラルが銃撃を浴びながらも突進するが、ガガーンの膝蹴りを浴び、床に倒れ伏す。

ガガーン「バカめ…… 愚かな奴、このまま地獄に堕ちるがいい!」
闘志也「ガガーン!」

闘志也の銃撃が、ガガーンの顔を掠める。

ガガーン「闘志也!?」
闘志也「ガガーン、俺はお前を絶対に許さん。人類の平和のためにも、貴様のような奴は生かしておかん!」
ガガーン「フフフ。闘志也、見るがいい」
闘志也「あっ、テラル!?」
ガガーン「まだ勝利の女神は、私に味方をしてくれているようだな、闘志也。さぁ、銃を捨てるんだ、闘志也。銃を捨てろ」
テラル (闘志也……)

テラルが必死に、ガガーンの脚をつかむ。

テラル「闘志也、今だ!」

闘志也の銃撃が、ガガーンの肩を貫く。
すかさず、テラルがガガーンに馬乗りになり、首を絞める。
だがガガーンは銃を、テラルの胴に突きつける。
銃が火を吹く──

テラル「うぅっ!?」
闘志也「あっ、テラル!? テラルぅ──っ!」

銃撃に倒れたテラルを残し、ガガーンは逃げ出す。

闘志也「待て、ガガーン!」
テラル「闘志也……」
闘志也「テラル!?」
テラル「ガガーンを追え…… もう、私に構うな……」
闘志也「しっかりしろ! 死ぬな! 死ぬなよ、テラル!」
テラル「闘志也、頼む…… 祖国エルダーを救えるのは、お前だけだ…… あれが、あれが2300年の未来へ旅立てる、タイムシップの入口だ…… 頼む、闘志也……」

振るえるテラルの手を、闘志也がしっかりと握る。

闘志也「わかった。もう、何も言うな」
テラル「祖国エルダーを…… 救ってくれ……」

テラルが事切れる。

闘志也「テラル…… おのれガガーン、許さん!!」


逃走中のガガーンが傷の痛みに崩れ落ち、息を切らす。
闘志也が追いついて来る。

闘志也「待て、ガガーン! 逃げるな! ガガーン、もはや逃げられんぞ!」
ガガーン「逃げはせん、闘志也。このガルゴスが敗れた今となっては、どこへ逃げられようぞ。フフフ、貴様もよほど悪運が強いと見えるのぉ、闘志也。死ねぇ!」

ガガーンが銃を放つが、闘志也には命中しない。

闘志也「ガガーン、この銃にイオの仲間、地球の仲間、そして虫ケラのように殺された仲間の怒りが込められている!」

ガガーンが何発も銃を放つが、まるで仲間たちの想いに守られているかのように、闘志也には一向に命中しない。

闘志也「この銃に、最後まで平和を叫び続けた人々の、魂が宿っているんだ!」

ついにガガーンの銃弾が尽きる。

闘志也「貴様のような奴は、この世に生かしておけぬ! 平和のために、俺はお前を殺す!」

闘志也の銃撃が、ガルゴスの胸を貫く。
ガルゴスがフラフラと闘志也に向かおうとするが、その眉間をさらに、闘志也の銃撃が貫く。

ガルゴスが倒れる──

理恵「闘志也……」

闘志也 (戦いは終わった……)


何日かが過ぎる。
イオでは、復興作業が始まっている。
その光景を、ジュリィと吉良謙が見つめる。

ジュリィ「素晴しい未来が始まるんだ!」
吉良謙「そうじゃ。きっと地球からも、多くの人が来るぞ」

そこへ理恵、ミナコ、サチ、翔太がやって来る。

ジュリィ「みんな、どうしたんだ?」
理恵「闘志也を捜してるんだけど、どこへ行ったか知らない?」
ミナコ「仕事をさぼって、どっか行ってんのよ! もう、とっちめてやんなくっちゃ!」
ジュリィ「あぁ、それなら墓参りに行くって言ってたぞ」
サチ「ほぉら、ミナコ姉ちゃん、うちが言うてた通りやないの!」
理恵「そうね…… 今の闘志也は、そっとしておくのが一番いいのかもしれないわね」


闘志也は、父・太一郎の墓標の前に立っている。

闘志也「父さん……」

(太一郎『闘志也、死ぬ前に逢えただけでも、私は幸せだ。よくやってくれた。私は心残りはないぞ。もう安心して、眠ることができる──』)

その隣には、テラルの墓標が建てられている。

(テラル『闘志也。私はお前から、戦うことの本当の意味を教わった。ありがとう。2300年の未来に、平和を──』)

闘志也「父さぁ──ん! テラルぅ──っ!」


そして、また何日かが過ぎた。
修復されたゴッドシグマが、タイムシップの入口の前に立つ。
サチ、翔太、ミナコが涙を浮かべながら、その姿を見上げている。

サチ「闘志也兄ちゃぁん! どうしてうちらに黙って行ってしもうたんや!?」
翔太「闘志也兄ちゃぁ──ん!」
ミナコ「馬鹿、馬鹿よ…… 闘志也の馬鹿ぁ──っ!」

ジュリィ、吉良謙、理恵も、涙ぐみながらゴッドシグマの姿を見つめている。

ジュリィ (お前って奴は、いつもそうだった…… 思い込んだら、決して後へは引かない。いいぜ、イオは俺たちに任せておけ)
吉良謙 (帰って来いよ、必ず。いつまでも、いつまでも待ってるぜ)
理恵 (エルダーに平和を…… 闘志也!)

ゴッドシグマの中では、闘志也が1人、操縦席についている。

闘志也 (みんな、イオは頼んだぞ! いつの日か、故郷のイオへ戻れる日まで!)


タイムシップが作動し、ゴッドシグマが光に包まれ、皆の前で姿を消す。

ゴッドシグマが光と化して、宇宙の彼方へと飛び立ってゆく。



弾 闘志也、18歳。
彼は今、2300年の未来へと旅立った。

これは、宇宙を愛し、未来を信じ、
ひたむきに平和を求めて
戦い抜いた男の物語である──



おわり

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最終更新:2018年03月01日 03:39

*1 実はテラル本人は故人であり、作中のテラルは、彼を模した生体アンドロイドに恋人のリラが自分の意思を移植したものだった。