ある日、UFOの大群が、 遥か南太平洋にある 火山の火口へ入っていった。
「全員集結、終りました!」 「目標は日本だ!」
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主人公のタケシ、吾郎、松男(チョコ松)たち、孤児院「あおぞら園」のアメリカンフットボールチームが活躍している。
タケシがタッチダウンを決める。
松男「タケシ兄ちゃん、ナイス・タッチダウン!」
タケシ「よぉし、もういっちょ行こう!」
松男「おぅ! ……お?」
松男が空を見上げると、光る何かが、上空を横切っている。
五郎「チョコ松、なにしとんじゃい!」
観客席では学園のミキや孤児たち、園長先生が応援している。
園長「もう一息よ──っ!!」
ミキ「園長先生、張り切ってるぅ!」
園長「ミキちゃん!」
タケシ「行くぞ! そりゃあっ!」
タケシのトライが決まる。
園長「やった、やったぁ!」
ミキ「園長先生、終ったら控室の方で待ってます」
園長「ご苦労さん」
園長が、去って行くミキを見やると、その先に1人の老人がいる。
園長 (あの人…… 誰だったかしら?)
試合を終え、一同はシャワーで汗を流し、控室でくつろぐ。
五郎「タケシ、残るは明日の決勝戦だけじゃのぉ」
タケシ「あぁ」
ミキの声「ミキだけど、入っていい?」
松男「あっ、ミキ姉ちゃんだ」
タケシ「おい、チョコ松。ちょっと待っててもらえよ。おい、早く着替えちまえ」
松男「フフン。ミキ姉ちゃん、いいよ」
ミキ「バスの用意が出来て──」
ミキが部屋に入ると、タケシたちはまだ半裸のまま。
慌ててミキが顔をそむける。
松男「わぁ、うちのマネージャーってぇ!」
ミキ「チョコ松の馬鹿っ!」
この、あおぞら園の仲間たちには、
父も母もいない。
だが、みんな元気だ。
タケシたち、あおぞら園の一同が、バスで帰途につく。
ミキ「先生、お願いがあるんですけど」
園長「どんなこと?」
ミキ「明日の決勝戦は、ちょうどタケシの16歳の誕生日なんです」
園長「まぁ、タケシくんの! そうだったわね」
ミキ「だから明日は絶対勝って、優勝と誕生パーティを盛大にやるんだって、大張りきりなんです!」
園長「わかったわ。それじゃ、盛大にやらなくちゃね」
ミキ「わぁ~、感激ぃ! ねぇ、みんな聞いて聞いて! 明日はね、タケシくんの誕生日──」
園長 (そうだ、思い出したわ。あの人は…… たしか、あのとき!)
16年前の回想。
夜、園長が園外に出る。
あの老人が、赤ん坊の入った揺り籠を残し、立ち去る。
籠には、置き手紙が残されている。
『名前はタケシ。今日が誕生日。16歳になれば必ず迎えに来ます。それまでお願いします』
園長 (そうだわ、あの人だわ)
松男「あっ! 何だ、ありゃ!?」
五郎「なんだい、でっかい声出して。何事じゃい?」
松男「今さ、向こうを光る物が飛んでた」
五郎「ど、どこじゃ?」
松男「もう、とっくに通り過ぎちゃったよ」
五郎「なんじゃい!」
松男「それが、さっきの試合中にも見たんだよ」
五郎「さっき?」
松男「そうだ! UFOだよ、あれは」
一同「えっ!?」「UFOだと!?」
松男「きっとそうだよ」
タケシ「UFOねぇ……」
五郎「チョコ松だけに見えたっちゅうことは、チョコ松は宇宙人かもしれんぞ」
タケシ「チョコ松が宇宙人? ハハハハ! それっ!」
タケシがボールを放り、松男が慌てて受け止める。
タケシ「情けない宇宙人だなぁ。ハハハハ!」
その夜。
学園の園長室で、園長がタケシに16年前の手紙を見せる。
タケシ「こ、これは!?」
園長「読んだ通りよ。明日はあなたの16歳の誕生日。もし、その手紙が本当だとしたら──」
タケシ「嫌だ!」
園長「えっ?」
タケシ「誰が行くものか! 俺の、俺の家はこのあおぞら園さ! 俺の母さんは園長先生だ! ミキッペやゴロやんやチョコ松や、みんな、みんな俺の兄弟なんだ! ねぇ、そうだろ? 園長先生!」
園長「……嬉しいわ、タケシくん。先生だって、自分の子供だと思ってるわ」
タケシ「なら、こんなもの問題じゃないよ!」
園長「でもね、タケシくん。もし家の方がお迎えに来てくださるなら──」
タケシ「よしてくれよ、先生! 先生は俺を追い出したいのか!?」
園長「いいえ! そんなことないわ」
タケシ「じゃあ、なぜそんなことを言うのさ。俺の母さんがそんなこと言うなんて、おかしいよ!」
園長「タケシくん!」
タケシが園長室を飛び出す。
その会話を、部屋の前を通りかかった松男が立ち聞きしていた。
タケシ (誰が帰ってなんか、やるもんか!)
翌日。
タケシたちが決勝の試合場へ来たものの、どしゃぶりの雨が降っている。
五郎「ここへ着いたら急に大雨なんて、まったくツイとらんのぉ」
ミキ「もう中止って決まったんだから、諦めて帰りましょ。他の子たちは、バスの中で待ってるわ」
タケシ「俺はもうちょっといるから、みんな、先に帰ってくれ」
松男「あの、タケシ兄ちゃん…… 誰かが、迎えに来るかもしれないじゃん」
タケシ「えっ!?」
五郎「なぁ、タケシ…… 迎えに来る人がいるなら、わしらは喜んで送り出そうと──」
タケシ「馬鹿野郎! つまらないことを考えるな!」
五郎「タケシ!?」
タケシが、どしゃぶりのグラウンドを駆け出す。
突如として空に、松男の見た光球が出現する。
ミキ「あの光、だんだん大きくなってくる!」
五郎「チョコ松が見たっちゅうのは、あれか!? タケシ、空を見ろ!」
光球が空から、タケシ目がけて近づいて来る。
五郎「タケシぃ! 逃げるんじゃあ!!」
その光の正体は、光り輝く巨大な剣のような物体。
タケシの左胸に、その切っ先が突き刺さる。
タケシ「うわあぁ──っ!」
五郎「タケシぃ──っ!!」
タケシが倒れて気を失い、一同が駆け寄る。
胸には巨大な刃が突き立ったまま。
五郎「タケシぃ!?」
空から、眩い光が差す。
五郎「あっ、あれは!?」
空を埋め尽くしていた雲が裂け、ペガサスに乗った何者かの姿が見える。
その者の目が輝くや、巨大な刃は、消えるようにタケシの胸に吸い込まれてゆく。
タケシの全身が激しく光り出し、一同は目がくらみ、気を失う。
そして空に再び光球が飛来、一同を吸い上げ、海の彼方の孤島へと運んでゆく。
タケシたちが気がつくと、そこはどこか、近代的な部屋の中。
五郎「タケシ、わしらは?」
タケシ「何がなんだか、さっぱりわからない」
松男が頬をつねる。
松男「痛ぇ! 夢なんかじゃないよ」
声「そうです」
タケシ「だ、誰だ!?」
あの老人が現れる。
タケシ「あ、あんたは!?」
老人「お約束通り、あなたをお迎えに上がりました」
タケシ「えっ、何だって?」
老人「『ダイアポロン』として、立ち上がっていただくために」
タケシ「ダイアポロン……? それは一体、何だ?」
老人「初めからお話ししましょう。私とあなたは、アポロン星人なのです」
タケシ「アポロン星人!?」
老人「さよう。我々のアポロン星は、この地球より3億光年の向こうにあり、そのアポロン星の王、キング・アポロン様があなたのお父様なのです」
タケシ「えっ、俺の親父が王様だって!?」
一同「えぇっ!?」
老人「私はそのおそばに仕えていた者で、ラビと申します」
ラビと名乗ったその老人が、話を続ける。
タケシ「で、親父、そのキング・アポロンは?」
ラビ「……お亡くなりになりました」
タケシ「死んだ!?」
ラビ「殺されたのです!」
タケシ「殺された!? 誰に!?」
ラビ「ダザーン軍団のために!」
タケシ「ダザーン軍団!?」
ラビ「暗黒星の悪魔ダザーン軍団は、兼ねてから我がアポロン星を狙っていました。それを知ったキング・アポロン様は、『エナルジーハート』と『キーエナルジー』の2つからなる超エネルギー発生吸収装置をお造りになり、彼らの動きを抑えようとなさいました。ところが、ダザーン軍団が突如アポロン星を襲って来て、激しい戦いの末、ついにエナルジーハートは奪われてしまったのです」
タケシ「で、もう1つの──」
ラビ「キーエナルジー。それは、あなたの胸の中にあります」
タケシ「えっ、俺の胸の中!?」
ラビ「はい。あなたの胸の、日輪の印の下に」
タケシ「そんな印なんか、俺にはないぞ」
タケシがシャツをはだける。
確かに、左胸に日輪の印がある。
タケシ「あっ、これは!?」
ラビ「その日輪の印こそ、ダイアポロンとしての力を持った印なのです」
タケシ「そんなの、勝手だ!」
ラビ「いいえ。これが、あなたに与えられた使命であり、宿命なのです」
五郎「タケシ、これはお前の親父の仇討ちじゃ!」
ラビ「一刻も早く、ダイアポロンとして立ち上がり、ダザーン軍団よりエナルジーハートを取り戻して、地球の、いや、宇宙の平和を守ってください!」
ラビが苦しそうに、よろける。
タケシ「あっ、ラビ! どうした!?」
ラビ「あの、あのスイッチを……」
ラビの示す壁面のスイッチを、ミキが操作する。
扉が開いて格納庫が現れる。
小型戦闘機のスペースクリアー、数機の戦闘UFO、そして3体の巨大ロボットがある。
ラビ「みんな、この日のために用意しておいた物です」
松男「で、使い方は?」
ラビ「必要なときは、私がお教えします。よろしいな、ダイアポロン。ダイアポロン── ダイアポロン──」
気づくと一同は、もとのグラウンドにいる。
雨がすっかり上がっている。
五郎「タ、タケシ。お前……」
タケシがシャツをはだける。
確かに、左胸に日輪の印がある。
タケシ「夢じゃない……」
五郎「そうじゃ、夢じゃないんじゃ!」
ミキ「タケシが、ダイアポロン!」
松男「俺たちが、ダイアポロンの仲間!」
五郎「がんばろうぜ、タケシ!」
一同「よぉし、やるぞ!!」
このダイアポロンの敵、ダザーン軍団は
すでに地球地球侵略本部で
発進の準備を進めていた。
冒頭、ギルデラ火山に設けられたダザーン軍団の地球侵略本部。
地球侵略本部の総司令官ギラニクと、部下のヒドー。
ギラニク「ヒドー、七首ジーガーはどうだ?」
ヒドー「いつでも出動可能です、ギラニク様!」
ギラニク「よし」
ヒドー「おぉ、ダザーン総統のお出ましです!」
スクリーンに、軍団の支配者・ダザーン総統の姿が映る。
ダザーン「ギラニク。宇宙で一番わしが欲しかった、、緑の地球を手に入れるときが来た──」
ギラニク「はい、わかっております。アポロン星人の生き残りが、日本にいるのは確実です。必ずキーエナルジーを手に入れてご覧にいれます」
ダザーン「そのときを楽しみに待っておるぞ──」
ギラニク「はっ、ただちに発進いたします!」
七つの首を持つドラゴン型メカ、七首ジーガーが出撃する。
タケシたちが、あおぞら園に帰り着く。
ミキ「えっ、怪獣!?」
園長「そう。テレビの中継で、大変なの!」
タケシ、ミキ、五郎、松男が駆け出す。
園長「あっ、ミキちゃん、タケシくん、どうしたの!?」
海を見下ろす小高い丘の上に、タケシたちが立つ。
どこからか、ラビの声が響く。
ラビの声「スペースクリアーとUFOを、お呼びなさい!」
タケシ「スペースクリア──!」
五郎「U──!」
ミキ「F──!」
松男「O──!」
一同がラビと出逢った基地、海底のアポロン基地から、スペースクリアーと3機のUFOが発進し、タケシたちの頭上へと飛来する。
タケシ「そうか! 俺たちの声がテレパシーとなって、あの基地に届いたんだ!」
ラビの声「クリアー・インです」
タケシ「よぉし、わかった! 行くぞぉ! クリアー・イ──ン!」
タケシがアメフト風の戦闘服に変身し、スペースクリアーに収容される。
松男「タケシ兄ちゃん、格好いい!」
五郎、ミキ、松男も、それぞれ3機のUFOに収容される。
タケシ「みんな、乗ったか?」
ミキ「えぇ、乗ったわ」
五郎「よぉし! いっちょ、やったるわい!」
タケシ「よぉし、行くぞ!」
街中で七首ジーガーが火を吐いて暴れ回り、ビル街が焼かれ、人々が逃げ惑う。
タケシ「あっ、あれだ!」
ヒドー「七首ジーガー、もっと暴れろ! おっ? ギラニク様、前方40度にUFO接近!」
ギラニク「やっぱり現れたな。アポロン星の奴らめ」
タケシ「発射!」
スペースクリアーが、七首ジーガーの吐く火炎をかわし、ミサイル攻撃を見舞う。
ヒドー「おぉっ、よくも!」
七首ジーガーの反撃の火炎が、スペースクリアーを襲う。
タケシ「うわあぁっ!」
五郎「タケシ!?」
ラビの声「アポロン・ヘッダー、トラングー、レッガーです!」
タケシ「アポロン・ヘッダ──! トラング──! レッガ──!」
アポロン基地から3体のロボット、アポロン・ヘッダー、アポロン・トラングー、アポロン・レッガーが発進し、タケシのもとへ飛来する。
タケシ「あっ、俺は! あの3体のロボットと…… 合身──!!」
スペースクリアーがアポロン・ヘッダーに収容される。
アポロン・ヘッダー、トラングー、レッガーが合体し、1機の巨大ロボットとなる。
そして機内で、タケシの体が巨大化し、ロボットと一体化し、ダイアポロンが完成する。
タケシ「ダ──イア──ポロ──ン!!」
ヒドー「あっ、あれは!?」
ミキ「あれが、ダイアポロン!?」
松男「格好いい!」
五郎「すっげぇもんじゃのぉ!」
ダイアポロンが豪腕にものを言わせ、七首ジーガーの首を絞め上げ、引きちぎる。
しかし、残りの首がダイアポロンに絡みつき、七首ジーガーがそのまま宙に浮く。
ギラニク「発て! 生け捕りにして来い」
ミキ「みんな、首を狙って! ミサイルを撃ち込むのよ!」
松男「よし!」
五郎「よっしゃ!」
一同のミサイル攻撃で、ダイアポロンが拘束から逃れる。
ミキ「うまくいったわ!」
ラビの声「肩のダイアポロンボールです」
タケシ「ダイアポローンボ──ル! シュート!!」
ダイアポロンの攻撃で、七首ジーガーの首が次々に斬り落とされる。
タケシ「ダイアポロンビ──ム!!」
とどめの必殺光線で、七首ジーガーが大爆発。
ダイアポロンが初勝利をおさめる。
ヒドーは小型機で脱出し、飛び去る。
ヒドー「おのれ、正体を暴いてやるぞ! 出直しだ!」
タケシ「よし、俺はやるぞ! ダザーン軍団め。俺の育ったこの日本を、俺の生まれたアポロン星のようにはさせないぞ!」
タケシの胸にあるキーエナルジー。 父の遺したエナルジーハートをめぐって 地球の侵略者、ダザーン軍団との 宿命的な戦いは始まった!
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最終更新:2018年08月03日 17:35