キカイダー01の最終回

キカイダー兄弟の生みの親、光明寺博士がスイスから日本へ帰国して来る。
光明寺博士は空港から、タクシーで道路を行く。

光明寺「君、道が違うようだが?」
運転手「お客さん、この道でいいんですよ」
光明寺「君!? 君は誰だ!?」
運転手「フフフ。俺をお忘れかね? 光明寺博士」

運転手が、ハカイダーに姿を変える。

光明寺「ハ、ハカイダー!?」



よいこの友達
人造人間万歳




アキラと兄ヒロシ、2人の姉貴分のミサオが、手紙を手にして光明寺家を訪れる。

ミサオ「あっ、ここだわ」
ヒロシ「光明寺? 変な名前だなぁ」
ミサオ「気味が悪いわ。誰が私たちを、こんなところへ呼んだのかしら?」
アキラ「うん。いったい、誰なんだろう? ──あっ、イチロー兄ちゃんだ!」

イチローがやって来る。

ミサオ「イチローさんも誰かに?」
イチロー「うん。こんな手紙をもらった」

イチローも、ミサオたちと同じ手紙を持っている。

ヒロシ「イチロー兄ちゃん、何だと思う? その手紙」
アキラ「あっ、あの音は!」

ギターの音と共に、ジローが現れる。

ヒロシ「キカイダー!」
ミサオ「ジローさん!」
イチロー「ジロー! ジロー、お前も呼ばれたのか?」
ジロー「光明寺博士が大変なことになった」

イチロー「──光明寺博士が、丸3日も行方不明?」
ジロー「たぶん、シャドウです。博士は、ロボット再生装置という大発明をしたんです。あれさえあれば、シャドウを完全に潰すことができたのに……」
イチロー「しかし博士はその発明ごと、どこかへさらわれてしまったというのか?」
ジロー「えぇ。ロボット再生装置が、もしもシャドウの手に渡ったら…… 兄さん、世界はとても恐ろしいことになってしまう!」
イチロー「うん。早くシャドウ基地を見つけ出して、一刻も早く博士を助け出さなければ!」


犯罪組織シャドウの基地。

ハカイダー「入れ!」

戦闘員のシャドウマンたちが、光明寺博士を首領ビッグシャドウのもとへ連行する。

ビッグシャドウ「ご苦労だったな、光明寺博士。できたか、ロボット再生装置は?」
ハカイダー「さんざん痛めつけて、やっと完成させた。これだ!」

光明寺博士の新発明、ロボット再生装置が鎮座している。

ビッグシャドウ「ハハハ! ふぅむ…… これだけじゃわからん! 実験してみろ!」
ハカイダー「言われなくても、今やるところだ。シャドウマン!」

ハカイダーが愛銃ハカイダーショットで、シャドウマンの1人を撃ち抜く。

ハカイダー「やってみせるんだ、光明寺博士」
光明寺「……」
ハカイダー「早くしろ!」

仕方なく光明寺博士が、装置を作動させる。
シャドウマンの残骸が装置に回収され、あっという間に元通りのシャドウマンが甦る。

シャドウマン「生き返りました!」
ビッグシャドウ「おぉ、さすがに光明寺博士だ! これでシャドウのロボットは、何度壊されても甦ることができる。もはやシャドウは滅びることはない。シャドウ帝国が世界を征服するのだ! ハッハッハッハ!」
ハカイダー「ゼロワンやビジンダーが束になってかかってきても、ノミに食われたほどにも感じません」
光明寺「ビッグシャドウ! 私をどうするつもりだ!?」
ビッグシャドウ「貴様にはもう用がない。死ね」
ハカイダー「ゼロワンとビジンダーをおびき出す囮となって、死んでもらうまでよ」
ビッグシャドウ「ゼロワンめ、ビジンダーめ、今度こそは生かして返さんぞ!」


その頃、ビジンダーことマリは、シャドウ基地に潜入している。
セキュリティをかいくぐり、シャドウマンたちを蹴散らしつつ、基地の奥へと進む。

しかし途中で罠にはまり、隠し部屋に閉じ込められてしまう。
無数のトゲの生えた壁が、次第にマリに迫る。
部屋の外で、シャドウマンたちがほくそ笑む。
そこにイチローが登場。シャドウマンたちを倒し、マリを救い出す。

イチロー「マリさん! さぁ、早く!」


光明寺博士は、ロボット再生装置に向かって工具を振るっている。
そこへ、ハカイダーがやって来る。

ハカイダー「何をしている!」
光明寺「あっ!?」
ハカイダー「何をした、貴様!? まさか、このロボット再生装置に、仕掛けでもしたんじゃあるまいな?」
光明寺「……何もしていない! 疑うなら、調べてみたらどうだ!?」

ハカイダーが光明寺博士を殴り飛ばし、さらに見張りのシャドウマンを殴り飛ばす。

ハカイダー「目を離すなと言ったはずだ! もし妙な真似をされたら、どうするつもりだ!?」

ハカイダーがシャドウマンを、ハカイダーショットで撃ち抜く。
ロボット再生装置を作動させると、破壊されたシャドウマンが元通りに甦る。

ハカイダー「よし。別に仕掛けはしなかったようだな、光明寺。二度と変な気を起こすな、いいな!?」

イチローたちが、陰から様子を窺っている。

マリ「見張りの数を増やしたわ」
イチロー「ここでヘタに博士に近づくと、博士の命が危ない」

ハカイダー「連れて行け!」

マリ「もしかすると、光明寺博士を別の場所に連れ出すつもりなのね」


イチローはゼロワンに、マリはビジンダーにチェンジし、基地の外に出る。

ゼロワン「奴らは光明寺博士を囮に使うつもりだ。必ず何か動き始める」
ビジンダー「えぇ。──あっ、出て来たわ!」

ハカイダーとシャドウマンたちが、光明寺博士を引き連れて現れる。

ハカイダー「処刑準備!」

光明寺博士がギロチン台にかけられる。
頭上には、ギロチンの刃がロープで吊るされている。

ゼロワン「ビジンダー、あのロープの先はどうなっている? 見えるか?」
ビジンダー「望遠回路をセットしてみるわ」
ゼロワン「よし、倍率を20倍に上げてみよう」

ロープの片方の端には籠があり、先端にリンゴが仕掛けられ、籠の中でハムスターがリンゴを齧っている。

ビジンダー「ひどい、ひどすぎる! ビッグシャドウ!」
ゼロワン「あのハムスターがリンゴを食べ終わると、ロープが切れる仕掛けだ」

ハカイダー「ゼロワンめ、ビジンダーめ、もうどこからかここを見ているだろうが、このハムスターがリンゴを食い尽くすとロープが切れ、ギロチンが落ちる。フフフ。ハムスターの餌が無くなったときが、光明寺の首が飛ぶときだ。早く助けに来ないと間に合わんぞ! いつでも来い! 丁寧に歓迎してやるぞ!」

シャドウマンたちの大群と、二体一身のシャドウ幹部ザダムが、ゼロワンたちを待ち受ける。

ゼロワン「この平原には、どんな仕掛けがしてあるかわからない。ビジンダー、死ぬかもしれんぞ」
ビジンダー「光明寺博士を、殺させるわけにはいかないわ」
ゼロワン「行こう!」
声「待て!」

ジローが登場する。

ビジンダー「キカイダー!」
ジロー「光明寺博士は僕たちの生みの親だ。兄さんたちにだけ任しておくことはできない!」
ゼロワン「うん。3人のうち2人が殺されても、1人が生き残れば何とかなる」
ビジンダー「えぇ」

ジロー「チェーンジ・スイッチオン! ワン・ツー・スリー!」

ジローがキカイダーにチェンジする。
ゼロワンたちと共に、それぞれの愛車でハカイダーたち目がけて発進する。

ハカイダー「フフフ、来たか!」
ゼロワン「よし、左右に分かれて突っこもう!」

シャドウマンたちが銃撃で迎えるが、ゼロワンたちの反撃で、シャドウマンたちが次々に倒される。
ロボット再生装置により、シャドウマンたちの残骸は回収され、元通りに甦り、再び出撃してゆく。

ビッグシャドウ「行けぃ! ハハハ、暴れろ! 好きなだけ暴れ回って、エネルギーを使い果たせ! こちらには、この再生装置がある。シャドウマンはいくらでも生き返るぞ!」

ゼロワンたちは敵陣の懐へ入り込み、シャドウマンたちとの肉弾戦となる。

ビジンダー「ビジンダーキック!」「ビジンダーレーザー!」
ハカイダー「わぁぁ──っっ!」

ビジンダーの攻撃で、ハカイダーが爆死する。
しかし、やはりロボット再生装置により、ハカイダーは基地内で甦る。

ビッグシャドウ「おぉ、ハカイダー。安心して戦って来い」
ハカイダー「今度はゼロワンを倒す!」
ビッグシャドウ「行けぃ!」

戦いの最中、ゼロワンとビジンダーは罠にはまり、檻に閉じ込められてしまう。

ザダム「かかったな!」
ゼロワン「あっ、しまった!」
キカイダー「電磁エ──ンド!!」

キカイダーが電磁エンドで檻を破壊する。
3人が光明寺博士を助けようとする。

ゼロワン「光明寺博士──っ!」
光明寺「来てはいかん! この周りには地雷が仕掛けてある! 近づくと、君たちの体はバラバラになるぞ!」
キカイダー「博士!?」
光明寺「命を粗末にするな! 私は君たちをロボットとは思っていない!」
ビジンダー「でも、それでは博士の命が!?」
光明寺「私はいい! シャドウを道連れに死ぬなら本望だ!」
ゼロワン「シャドウを道連れ!?」
光明寺「私はロボット再生装置に爆破装置を組み込んできた! あの機械が30体のロボットを再生すると、自動的に地下のシャドウ基地が大爆発を起こすようになっている!」
ゼロワン「それじゃ、博士は!?」
光明寺「君たちは17体を倒した! あと13体のロボットを倒せばいいんだ! がんばってくれ!」
ゼロワン「博士ぇ──っ!」

ゼロワンたちの前にシャドウマンが倒され、ロボット再生装置で甦ってゆく。

光明寺「あと5体だ! もう少しだぞ!」

ザダムが自ら、ゼロワンたちのもとへ現れる。

ザダム「しぶとい奴らめ! 俺が相手してやろう!」
ゼロワン「行くぞ、化け物! そんな体をして、まともに戦えるか!?」
ザダム「ハハハ! 俺にはこういう奥の手がある。ザダム分離術!」

二身一体のザダムが左右に分離、2体のザダムとなる。
甦ったハカイダーも参戦する。

ザダム「死ね、ゼロワン!」「死ね、キカイダー!」
ハカイダー「死ね、ビジンダー!」
ゼロワン「ブラストエ──ンド!!」
キカイダー「電磁エ──ンド!!」
ビジンダー「ビジンダーレーザー!!」
ハカイダーたち「グワァァ──ッッ!!」

ザダムとハカイダーが爆死。
またもや再生装置が作動し、基地内にザダムが、そしてハカイダーが甦る。

ビッグシャドウ「またお前かぁ!? 行けぃ!」

甦ったザダムとハカイダーが、三たびゼロワンたちのもとに現れる。

ゼロワン「ブラストエンド!」
キカイダー「電磁エンド!」
ビジンダー「ビジンダーレーザー!」

しかしゼロワンたちの必殺技は、いずれも発動しない。

ハカイダー「フフフ、バカめ! お前たちの決め技はもう効かん!」
ザダム「もうそろそろエネルギーが切れる時間だ!」「今度はこっちから行くぞ!」

光明寺「もう一息だ! あと2体だ! あきらめるなぁ!」

ハカイダー「トドメだ! ザダム・ハカイダー三位一体攻撃!!」
ゼロワン「こっちも行くぞ!」

ゼロワン、キカイダー、ビジンダーの3人がフォーメーションを組む。

ゼロワンたち「キカイダー・トリプルサークライン!!」

3人が一体となった最後の超必殺技、トリプルサークラインが炸裂する。

ハカイダーたち「グワァァ──ッッ!!」

超必殺技を食らい、ザダムとハカイダーたちが爆死する。
しかしその直後、光明寺博士の頭上のギロチンの刃が落ちる。

ゼロワン「あっ、危ない!」

すんでのところで、ゼロワンが刃を食い止める。

光明寺「危ない、爆発するぞ!」


基地内では、ザダムとハカイダーが再生装置にかけられるものの、なかなか再生が行なわれない。

ビッグシャドウ「どうした、なぜ止まった!? どうしてザダムとハカイダーは出て来ん!?」

再生数30体に達した装置が、光明寺博士の思惑どおり、火を吹き始める。

ビッグシャドウ「わ、わああぁぁ──っっ!?」

ビッグシャドウが炎に包まれる。
シャドウ基地が大爆発し、木端微塵となる。

大犯罪組織シャドウの世界制服の野望は、ここに潰えた──


光明寺家。
光明寺博士のもとで、ミサオ、ヒロシ、アキラの3人がケーキにありつく。

アキラ「おいしいね」
ミサオ「うん!」

ミサオはガツガツとケーキを頬張る。

ヒロシ「よせよ、姉御。お嫁さんの貰い手がないぜ!」
ミサオ「何!?」
光明寺「ハッハッハ!」
アキラ「でも、僕たちだけで食べるなんて、なんだか申し訳ないみたい」
ミサオ「……マリさんや、イチローさんのこと?」
ヒロシ「馬鹿。兄貴たちはロボットだもん、食べられるわけないだろう?」
アキラ「……可哀そうだね。イチロー兄ちゃんたち」
ミサオ「……うん」
光明寺「ロボットは強い、歳はとらない。しかしね、だからといって、それが幸せとは限らないんだよ」
一同「……」
光明寺「イチローだってジローだって、完全なロボットになるより、不完全でも、本当は人間になりたいんだ」


イチロー、ジロー、マリの3人が、どこかの荒野を行く。

堅く握手をかわし、笑顔をかわし、それぞれの道を力強く突き進んで行く。



平和は来た。しかし君たちの周りに、
何か変わったことは起きていないだろうか?
よく注意してみてほしい。
それは、次なる悪の組織の犯罪なのだから。

そして、もし変わったことを見つけたら、
すぐに知らせてほしい。

イチローやジローやマリは、
ほら、君たちのすぐそばにいる!



おわり

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2019年05月16日 21:09