高速戦隊ターボレンジャーの第30話

※ ここまでのあらすじは高速戦隊ターボレンジャーの第29話をご覧ください。


新戦力・ターボラガーで、ジンバに続きジャーミンも倒したターボレンジャー。
しかし、その戦いの隙を突いたヤミマルによって、太宰博士がさらわれてしまった。

ヤミマル「ターボレンジャー! ご対面だぜ」
太宰博士「ううっ……」

太宰博士がヤミマルに引き連れられてきた。
手錠と鎖で身動きを封じられ、ヤミマルに蹴倒される太宰博士。
ターボレンジャーの要塞基地・ターボビルダーで、力たち5人と妖精シーロンがその姿を見つめる。

力「博士が危ない!」
シーロン「博士!」
ヤミマル「早速だがビジネスに入ろう」
力「えっ?」
ヤミマル「太宰博士とターボラガーを交換したい」
大地「なんだと!?」
力「ターボラガーと!?」
太宰博士「いかぁぁんっ!! ターボラガーを渡してはならんぞ!! そいつを渡したらおしまいだ!!」
ヤミマル「黙れ!!」
太宰博士「うおっ!」

ヤミマルが太宰博士の腹に蹴りを入れる。

太宰博士「地球を、守るためなら…… 私の命など……」

気を失う太宰博士。

5人「博士っ!!



レーダの最後



ヤミマルが太宰博士の口に流星の刺繍がされた布を噛ませる。
そこへ、ターボラガーが来た。

ヤミマル「案外、素直な連中だぜ」

ヤミマルが太宰博士から離れて、ターボラガーの方に向かう。

太宰博士(やめろ…… それを渡してしまったら負けだ…… もう地球は守りきれんぞ…… やめろ、やめるんだ……!!)

ターボラガーを操縦していたのは、レッドターボ1人だった。

太宰博士(渡すな…… やめろ……!!)

残りのターボレンジャーは隠れて、太宰博士の後ろに近づいていた。

ブラックターボ「よし、今のうちだ」
ブルーターボ「OK」

ヤミマルが太宰の方に戻ってきた。慌てて隠れる4人。

ヤミマル「ハハハハ…… あれさえもらえば、地球は俺の物だ!」
ブラックターボ「ダメだ……」
ブルーターボ「ヤミマルの奴……!」
ヤミマル「よし、そこまでだ。止まれ」

ターボラガーが歩みを止める。

ブラックターボ「よし、今だ!」
ブルーターボ「おう!」

ブラックとブルーの飛び蹴りがヤミマルを吹き飛ばし、その間にイエローとピンクが太宰博士を助けた。

イエローターボ「博士!」
ヤミマル「おのれ、謀ったな!」
ブラックターボ「大人しくターボラガーを渡す俺たちと思ったのか!」

その時、先がハサミとなった巨大な槍が飛んできてターボレンジャーとヤミマルの目の前に突き刺さった。
同じ槍がもう1本飛んできて、ターボラガーに命中。
さらに岩山を崩して、巨大な暴魔獣が現れた。

ブラックターボ「なんだ、あれは!」

予想外の事態に驚きを隠せないヤミマル。そこへレーダが来た。

レーダ「ヤミマル! ご苦労だったな、前座はここまでだ。晴れ舞台は、暴魔博士レーダと、暴魔百族の守り神・超魔神ボーマが相務めよう!!」

巨大暴魔獣・超魔神ボーマがターボラガーに向かう。

ブラックターボ「ターボラガーに向かっていくぞ!」
ヤミマル「レーダめ、何を企んでいるんだ」

超魔神ボーマは刃がハサミとなった剣でターボラガーを切りつける。
さらにレーダがマントを脱ぎ捨て、ターボレンジャーとヤミマルの前に降り立った。

ヤミマル「レーダ! なんの真似だ!?」
レーダ「せいっ!!」

レーダが全身から光線を放ち、ターボレンジャーとヤミマルをまとめて攻撃した。

ターボレンジャー「うわあああっ!!」
ヤミマル「……ええいっ!!」

吹き飛ぶターボレンジャー。
ヤミマルはその場から撤退。

ブラックターボ「行くぞ!」
ターボレンジャー「ターボレーザー!!」

ブラックたちがターボレーザーでレーダを撃つが、戻ってきたマントがターボレーザーを防ぐ。
マントが落ちると、レーダの姿が消えていた。

ブルーターボ「ああっ、消えた!」
ブラックターボ「どうなってる!?」

レーダが上空から飛び降りてきて、杖でブラックたちを攻撃していった。


暴魔城──

ラゴーン「ついにレーダにも後のないことがわかったようだ。たとえ暴魔博士レーダといえども、生きて帰ってくることは許さん!!」

前回の戦いで傷ついたズルテンが、柱の陰に隠れて震えている。

ズルテン「えらいとこ帰ってきちゃったな~、もう……」
ラゴーン「これがお前の最後の戦いだ!!」


超魔神ボーマがターボラガーを振り回し、放り投げた。
ターボラガーからレッドターボが投げ出され、力に戻る。


イエローがレーダに杖で投げ飛ばされる。

ターボレンジャー「イエロー!!」

さらにレーダの杖からの光線でブラックたちも吹き飛ばされ、変身が解除された。

大地、洋平、俊介、はるな「うわああっ!!」

超魔神ボーマが倒れたターボラガーにとどめを刺すべく迫る。
力たち5人は身動きすらままならない。

太宰博士(ターボラガー……)

太宰博士がターボラガーに向かう。

5人「博士!!」

太宰博士がターボラガーに乗り込む。
手錠がかけられたまま操縦桿を動かし、ターボラガーを起こし、肩のラガーキャノンを発射した。
ラガーキャノンが撃ったのは、超魔神ボーマではなく力たちの前方にある岩壁。
岩壁に「TURBO ROBO」の文字が刻まれる。

5人「『TURBO ROBO』……」
太宰博士「大地、君はターボトラックで囮になって、ターボラガーを完成させてくれた。今度は、私とターボラガーが君たちのために戦う番だ!! 任せてくれ、ターボラガーは決して負けん」
大地「そうか…… 太宰博士は囮になってくれたんだ。俺たちを逃がし、ターボロボを復活させるために!」
力「博士! 待っていてください。必ず、ターボロボを修理してみせます。みんな、行くぞ!!」
大地、洋平、俊介、はるな「おう!!」

力たちがターボビルダーを目指して走り出す。
超魔神ボーマに迫るターボラガー。

レーダ「そうはさせるものか。大暴魔術・砂地獄!!」

レーダが杖から放った光線がターボラガーの足下に当たると、地面が陥没し、ターボラガーが埋まっていった。

太宰博士「うわっ、あぁ──っ!!」
はるな「ターボラガーが!!」
力「博士っ!!」
洋平「ああっ……」
俊介「博士!!」
はるな「博士ーっ!!」

太宰博士は手錠のせいで操縦桿を握ることができない。
ついにターボラガーが完全に沈む。

レーダ「ハハハハハハ!! 超魔神ボーマ、ターボレンジャーをやっつけろ!!」

超魔神ボーマが力たちを追う。

力「早く! 急げ!!」
大地「博士! 必ずターボロボで助けに行きます!!」
力「大地! 急げ!!」

超魔神ボーマが力たちを狙って剣を突き刺す。
その時、ターボビルダーからの砲撃が超魔神ボーマを襲った。

力「ああっ…… 誰だ!?」

この隙を突いて逃げる5人の目の前に、ターボビルダーが移動してきている。

力「みんな、ターボビルダーに急ぐんだ」

ターボビルダーを操縦していたのは、シーロンだった。

シーロン「みんな急いで、早く! ビルダーバルカン発射!!」

ターボビルダーは、連続砲撃で反撃の隙を与えない。


ターボビルダー内のターボマシン用ドック。
力たちがターボトラックに乗り込む。一度は修理を完了したはずのターボトラックの内装は、ヤミマルによって無残に破壊されていた。

俊介「こりゃひでぇ。アブソーバーチェックだ」
はるな「ターボチャージャーもチェックして」
洋平「OK! 力、俺はシリンダーを交換してくる」
力「頼む! バッテリーコードを繋いでくれ」
俊介「よし!」
大地「博士…… がんばってください……」

超魔神ボーマがターボビルダーに迫る。

シーロン「わぁ、来ちゃう、来ちゃうわ! ビルドアップ! ターボビルダー!!

ターボビルダーが変形し、砲撃を続ける。しかし、超魔神ボーマは多少ふらつく程度のダメージしか受けていない。

力「ああっ、急げ!」

大地が修理していた箇所から火花が飛び散り、大地が弾き飛ばされた。

洋平「大地!!」

ターボラガーは完全に地面に埋まろうとしている。
太宰博士は懸命に操縦桿を動かそうとするが、うまくいかない。手錠が何度も食い込むせいで手首の皮に幾筋もの傷ができ、血が出ている。
とうとう太宰博士が弾き飛ばされ、意識を失った。


ターボビルダー内ターボマシン用ドックでは、ようやくターボトラックの修理が終わろうとしていた。

俊介「大地!」
大地「ああ!」

大地がスイッチを入れると、ターボトラックの運転席に明かりが点った。

大地「治ったぞ!」
力「よし。みんな、行くぞ!」
俊介「おう!」
はるな「ええ!」
洋平「おう!」
大地「博士、すぐ行きます!」

5人がターボレンジャーに変身し、各々のターボマシンに乗り込む。

レッドターボ「ターボマシン、発進!!」

ターボビルダーの下部のハッチが開き、レッドターボの乗るターボGT、ブラックターボの乗るターボトラック、ピンクターボの乗るターボワゴンの3台が姿を見せた。

ブラックターボ「発進!」
ピンクターボ「発進!」

3台のターボマシンが発進していった。

ブルーターボ「発進!」
イエローターボ「発進!」

ターボビルダー上方左右のスロープから、ブルーターボの乗るターボジープとイエローターボの乗るターボバギーがそれぞれ発進する。

レッドターボ「合体シフト・ターボロボ!!

ターボGT、ターボトラック、ターボワゴンが上昇。ターボトラックが変形した上半身に、分離したターボワゴンが合体し脚部となる。
そこから降下し、地面を走っていたターボバギーとターボジープに合体。左足首と右足首になる。
そしてターボGTがターボトラックに合体。ターボGTの前部が展開し、胸部と背中になり、展開した部分から頭が出て、ターボロボが完成した。

ターボレンジャー「チャージアップ! ターボロボ!!
レッドターボ「ダッシュ!!」


ターボロボが駆けつけた時、ターボラガーは片腕を残して完全に地面に埋まっていた。
レーダがターボロボを睨む。

ターボレンジャー「博士!!」
レーダ「大暴魔術・砂地獄!!」

レーダが杖から放った光線がターボロボの足下に当たると、地面が陥没し、ターボロボの左足が埋まった。
そこへ超魔神ボーマが剣を投げつける。

ターボレンジャー「うわあっ!!」
レッドターボ「みんな、ターボロボを頼む!」
ブラック、ブルー、イエロー、ピンク「OK!」

レッドが地上に降り、レーダと相対する。

レッドターボ「暴魔博士レーダ! 勝負だ!!」
レーダ「望むところだ!!」
レッドターボ「行くぞ! とあっ!!」

レッドがGTソードでレーダと切り結ぶ。

レーダ「かあっ!!」

レーダは口からガスを吐き、レッドを吹き飛ばした。

レッドターボ「うわぁっ!!」

超魔神ボーマは剣からロケット弾を撃ち、身動きの取れないターボロボを攻撃する。


レーダ「でやあああっ!!」

レーダがマントを投げつけ、レッドを黒一色の空間に飛ばした。

レッドターボ「うわっ、ここは!?」

そこにレーダが出現。

レーダ「湧け、ウーラー!!」

レーダによって呼び出されたウーラー兵が、レッドに襲い掛かる。
レッドはウーラー兵を倒していくが、突然ウーラー兵が消えた。

レッドターボ「ああっ!?」

今度は複数の触手が出てきた。

レッドターボ「なんだこりゃ! ……うわっ!!」

縦横無尽に伸びる触手に翻弄されるレッドターボ。


ターボロボは高速剣で超魔神ボーマの剣を防ごうとしたが、超魔神ボーマの剣で切られ、高速剣を落としてしまう。


暗黒空間では、レッドが触手を相手に攻めあぐねている。
レーダが杖と一体化した笛を吹くと、その音色にレッドが苦しむ。

レッドターボ「ぐあっ、ああっ…… 頭が! やめろ…… やめろっ!!」

地面から2つの火の玉が出てきて、レッドの周りを回った後、先に倒されたジンバとジャーミンの姿になる。

レッドターボ「ジンバ…… ジャーミン!!」

ジンバとジャーミンがレッドターボを攻撃する。

レーダ「レッドターボ! ジンバ、ジャーミンの呪いを思い知れ」
レッドターボ「うわあっ!!」


超魔神ボーマの剣の一撃でターボロボが吹き飛ばされたが、その拍子に埋まったターボラガーの手にターボロボの手が触れた。
すると、光が溢れ出した。
その光はレッドとレーダのいる空間にも及び、レーダが苦しみだし、ジンバとジャーミンが消える。
そしてレッドターボは、レーダのマントが宙に浮かんでいることに気づいた。

レッドターボ「あれだ!!」

レッドが飛び上がり、GTソードでレーダのマントを斬ると、暗黒空間が消滅。
レーダも投げ出されてきた。

レッドターボ「今だ!!」
レーダ「うおっ!」

レッドが飛び上がり、GTソードでレーダの胴を貫いた。
貫かれたレーダの胴から火花が飛び散る。

レーダ「つあっ!!」
レッドターボ「うわっ!」

レーダが杖でレッドを殴り飛ばした。
そこから杖から光のロープを出し、レッドを縛り放り投げる。

レーダ「おのれぇーっ!!」
レッドターボ「行くぞぉ、レーダーっ!!」

レッドターボがGTソードでレーダを切り裂く。そして──

レッドターボ「GTクラ──ッシュ!!

レッドの必殺技・GTクラッシュがレーダに炸裂した。

レーダ「うあぁぁ──っ!!」

レーダが全身から火花を吹き出しながら、浮かび上がっていく。

レーダ「俺は死なんぞぉ──っ!! うおおおおっっ!!

レーダが空中で大爆発──最後にレーダの顔の幻影が浮かび、消えていった。

レーダ「おのれ…… 決してこのまま死ぬ俺ではないぞ……」

ついに暴魔博士レーダは最期を遂げた。
その様子を、ヤミマルの人間としての姿である(ながれ)(ぼし) (ひかる)が見ていた。

流星「ああっ、みんな居なくなった…… まさに夢の通りだ……」


「お前こそ暴魔百族を背負って立つ男」

流星の学ランの背中にある、流れ星の刺繡が不気味に輝く。

流星「俺の時代だ…… いよいよ俺の時代が来るのだ!! ハハハハハハ!!」


ターボラガーの手から放たれる光は、ターボロボが手を放してもまだ止んでいなかった。
そしてターボラガーが地中から脱出する。

ブラックターボ「ターボラガー!」

レッドがターボロボのコクピットに戻った。

ブラックターボ「レッド、ターボラガーが動き出したぞ」

ターボラガーが上空に飛び上がり、それを追ってターボロボも飛び上がった。

レッドターボ「行くぞ、スーパーシフトだ!
ブラックターボ「おう!!
ブラック、ブルー、イエロー、ピンク「スーパーシフト!
レッドターボ「スーパーターボロボ!!

ターボラガーが足を分離し、そこからアーマーに変形。
ターボラガーの足がターボロボの足首に合体し、ターボラガーが変形したアーマーがターボロボの上半身に装着され、ターボラガーの頭にヘッドギアが合体した。

レッドターボ「完成! スーパーターボロボ!!

スーパー合体を遂げたスーパーターボロボが地面に降り立った。
超魔神ボーマが、スーパーターボロボの巨大さに恐れおののく。

レッドターボ「行くぞ!!」
ブラック、ブルー、イエロー、ピンク「おう!!」
レッドターボ「スーパーミラージュビーム!!

スーパーターボロボの両腕と頭が描く三角形から放たれた光線が超魔神ボーマに炸裂し、超魔神ボーマが大爆発した。


その頃暴魔城では、またも勝てなかったラゴーンが怒りを爆発させていた。

ラゴーン「ぬううっ、おのれターボレンジャー!!」

ラゴーンが辺り構わず光線を撃ちまくる。散った火花が柱の陰に隠れていたズルテンにも命中。

ズルテン「うわっ! あっち!」
ラゴーン「勝ったと思うなよ!? 暴魔百族の底知れぬ恐ろしさ、思い知るのはこれからだ!!」
ズルテン「あ~あ、ラゴーン様これ本当に怒ってるわ……」


戦い終わって、力たちが太宰博士に駆け寄った。

力たち「博士!」「博士!」

太宰博士が目覚める。

大地「博士!」
力「ああ……!」

安堵し、うなずき合う5人。

力「博士! やりましたよ…… スーパーターボロボで」
太宰博士「何?」

力たちと太宰博士の前に、ターボロボとターボラガーがそびえ立っている。

洋平「もうダメかと思った時、ロボット同士に奇跡が起きたんです」
はるな「本当にあれはなんだったのかしら……」
太宰博士「君たちが私を助けようとした気持ち、私が君たちを助けようとした気持ち…… それがお互いのロボットに乗り移ったのさ」
俊介「合体するってことは…… お互いに助け合うってことだったんですね」

うなずく太宰博士、力、大地。

洋平「……これからも、頑張ろうぜ!」



まるで兄弟のように固い絆で結ばれた、
この2台のロボットと共に、
ターボレンジャーは、戦い抜くことを
誓ったのであった。




つづく

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最終更新:2022年08月04日 01:40