夜。悪の組織・鉄十字団の秘密基地の一つを、スパイダーマンが奇襲する。
アマゾネス「撃て、撃て、撃ちまくれ!」「スパイダーマンを生かして返すな! 撃ちまくれ、撃ちまくれ!」
迎撃する戦闘員ニンダーたちを蹴散らしつつ、スパイダーマンは基地内に潜入。
アマゾネス「やむを得ん…… 撤退する」
アマゾネスたちが基地から撤退。基地が大爆発──
一つの秘密基地は潰した。だが一体、鉄十字団はこうした秘密基地を、いくつ作っているのだろう? あと何度、命がけの戦いをすれば良いのだろうか? |
翌朝。山城家の新子のもとへ、スパイダーマン = 山城拓也が帰って来る。
新子「どこへ行ってたの? 朝っぱらから」
拓也はスパイダーマンとしての戦いで、傷だらけ。
拓也「はぁ、はぁ……」
新子「どうしたの……? どうしたの、お兄ちゃん!?」
拓也「……」
新子「お兄ちゃん、本当に大丈夫?」
拓也「ひと眠りすりゃ、治るよ……」
新子「スープでも作ろうか?」
拓也「ほっといてくれよ……」
鉄十字団の基地。
アマゾネス「申し訳ございません。第7秘密基地に続き、第13秘密基地もスパイダーマンに…… 大損害です」
モンスター「だらしがないぞ、アマゾネス! 一度のみならず二度まで、スパイダーマンに名を成さしめるとは!」
アマゾネス「スパイダーマンはいずれ、私の手で必ず! それよりも、秘密基地の所在がどうして敵に漏れたのか? そっちの方が重大です! スパイがいるに違いありません」
モンスター「……うむ。もしかすると、秘密基地のリストがインターポールに?」
アマゾネス「えっ!?」
モンスター「鮮やかすぎる。スパイダーマンの奇襲がな」
ベラ「奪い返すべきです」
リタ「秘密基地のリストを」
モンスター「なるほど……」
アマゾネス「しかし、どうやってインターポールから? 極めて危険です!」
ベラがモンスター教授に耳打ちする。
モンスター「──その手だ。よく聞け、アマゾネス。ベラとリタが、インターポールの換気口からガスを流す。全員くたばったところでお前たちが侵入し、すべてのリストを奪う。どうだ? グッドアイディアであろうが?」
アマゾネスは部下のニンダーたちを引き連れ、出動する。
ニンダー「どうして、アマゾネス様だけが危険な任務を?」
アマゾネス「何?」
ニンダー「ベラとリタは、いつも安全な場所にいます」
アマゾネス「それは…… ベラとリタには荷が重いからだ」
ニンダー「そうでしょうか?」
アマゾネス「私は鉄十字団の指揮官だ。クドクド言うな!」
部下に言われるまでもなく、最近のモンスター教授とベラとリタの密着ぶりは、気にかかっていた。 アマゾネスは燻る不満を、必死に隠そうとしていた。 |
アマゾネスたちがインタポールに潜入。ガスが満ち、所内の職員たちが倒れている。
アマゾネス「リストを探れ」
声「待っていたぞ、アマゾネス!」
スパイダーマンが登場。死んだと思われた職員たちも起き上がり、皆、ガスマスクを付けている。
アマゾネス「一体、これは!?」
スパイダーマン「知らせてくれたヤツがいたのさ。ご丁寧にね」
アマゾネス「撃てぇ!」
ニンダーたちが銃撃するが、スパイダーマンは自在に壁を跳ね回って翻弄。
アマゾネスが煙幕を張り、撤退する。
スパイダーマン「しかし、どうして密告してくるのだろうか…… この前の秘密基地も、所在地を知らせてきた。俺をおびき寄せて抹殺するためにしては、度を越している」
スパイダーマンは、一連の密告事件の裏に、何かとてつもない大きな企みが隠されているような気がした。 |
鉄十字団基地へ帰還したアマゾネス。
アマゾネス「ベラはどこだ!? リタはいるか!? ベラはどこだ、どこへ行った!?」
基地の奥へと突き進むアマゾネスの前に、ベラとリタが現れる。
ベラ「立入禁止です」
アマゾネス「お前たち…… よくも私を裏切ったな! 毒ガス作戦はどうした? 密告したのもお前たちであろう!? この裏切り者ぉ!」
声「待てぇ! アマゾネス!」
基地奥から、ロケットの座席に座ったモンスター教授が現れる。
アマゾネス「モンスター教授…… この2人は密告者です。モンスター教授、即刻この2人の処刑を!」
モンスター「その必要はない! すべて、わしの命令だ」
アマゾネス「なんですって!? じゃあ、秘密基地の所在を教えたのも?」
モンスター「うむ」
アマゾネス「わかりません…… 私には。なぜ、そのようなことを?」
モンスター「理由は2つある。その1つは、お前にチャンスを与えたかった。スパイダーマンを倒すチャンスをな」
アマゾネス「そのために、秘密基地を犠牲に?」
モンスター「秘密基地など、どうでも良いのだ! それが理由の2つ目」
アマゾネス「……どうでも良い?」
モンスター「アマゾンの奥地に、鉄十字団帝国を建設することになった」
アマゾネス「存じませんでした…… そんな計画があろうとは」
モンスター「フフフ。この2人の発案だ」
アマゾネス「あのロケットは?」
モンスター「一度、宇宙へ飛び出し、宇宙から世界の主要都市に向かって、水爆ミサイルを撃ち込む。これは壮観だぞ、アマゾネス。ハハハハハ!」
アマゾネス「なんて恐ろしい……」
モンスター「この計画をジャマする者がいるとすれば、スパイダーマンだ! アマゾネス! ヤツを倒すまで、戻って来るなよ。いいな! 戻って来るなよ!」
脱出用ロケットには、座席が3つしかなかった。モンスター教授と、ベラとリタ…… この3人が乗るための物なのだ |
アマゾネス (このまま引き下がるアマゾネスではない…… ロケットに乗るのは私と、モンスター教授の2人だ。そう、2人だけだ!)
一方の山城家。ひとみが拓也のもとを訪ねている。
ひとみ「ねぇ、どうしてイヤなの?」
拓也「イヤだから、イヤだ」
ひとみ「ヘソ曲り!」
拓次「行こうよ、兄ちゃん。いいなぁ、スケート」
新子「ねぇ。私も、気分転換には最高だと思うんだけどなぁ」
ひとみ「そうよ! 富士山見ながら滑ってごらんなさい。そりゃあもう……」
拓也「うるさいなぁ。俺は行きたくないんだよ」
ひとみ「……そう。じゃ、これ以上、勧めないわ。強情っぱり拓也! 馬に蹴られて死んじゃえ! さよなら」
そこに無数のニンダーたちとアマゾネスが現れ、帰ろうとしたひとみを捕える。
ひとみ「拓也さぁん!」
拓也「何をするんだ!?」
アマゾネス「スパイダーマンに用があって来た」
拓也「お…… お前ら! ふざけがやってぇ!」
ニンダーたちが数人ががりで拓也を捕え、アマゾネスがムチで拓也をメッタ打ちにする。
拓也「この野郎ぉぉ!」
新子「お兄ちゃん! お兄ちゃぁん!」
アマゾネス「そこまでか、山城拓也?」
拓也「……」
アマゾネス「スパイダーマンに伝えろ。ひとみが欲しければ、鬼ヶ岬へ来いと」
アマゾネスたちが去る。
拓也はスパイダーマンとなり、鬼ヶ岬へ。ひとみが木に縛りつけられている。
ひとみ「スパイダーマン……」
スパイダーマン「アマゾネスは?」
ひとみの姿がアマゾネスに変る。
スパイダーマン「お、お前は!?」
アマゾネス「この世の名残りに見せてあげたのよ。私の得意の七変化をね!」
スパイダーマン「この世の名残り?」
アマゾネス「お前は死ぬ!」
声「スパイダーマン!」
本物のひとみが、ニンダーたちに捕われている。
ひとみ「スパイダーマン!」
スパイダーマン「スパイダーストリングス!」
スパイダーストリングスを放ってニンダーたちを絡め捕り、スパイダーマンがひとみを解き放つ。
スパイダーマン「さぁ、逃げろ!」
さらに襲ってくるニンダーたちを、スパイダーマンが次々に蹴散らす。
だが突然、スパイダーマンが苦しみ始め、動きが鈍り出す。
アマゾネス「恋人を助けて一安心といったところだな、スパイダーマン。いや、山城拓也!」
スパイダーマン「うぅっ…… 俺は、山城拓也なんかじゃない! う、うぅっ……」
アマゾネス「フフフ。お前が山城拓也である証拠に、ほぉら、そろそろ体中に痺れが回る。目も霞んでくるはずだ」
スパイダーマン「う、うぅっ……」
アマゾネス「アマゾンの毒草から採った毒液を塗っておいたのさ。このムチにね!」
山城家で、変身していない生身の状態でムチを浴びたため、ムチの毒が体に回っていたのだ。
アマゾネス「ついに暴いたぞ、スパイダーマンの正体を。ついでに地獄へ送ってやる!」
苦しみ続けるスパイダーマンに、さらにアマゾネスのムチが叩きつけられる。
必死に抵抗するスパイダーマンだが、崖を踏み外し、眼下の海へと真っ逆さまに落ちてしまう。
スパイダーマンの没した海に、ニンダーたちが無数の銃弾を撃ち込む。
アマゾネス「勝った……! 引き揚げろ!」
アマゾネスたちが去って行く。
海の中から、ずぶ濡れのスパイダーマンが、息も絶え絶えで現れる。
スパイダーマン「ここでくたばってたまるか…… はぁ、はぁ…… 死ねない…… 父の仇、ガリアの復讐を果たすまでは!」
全身の力は抜け、目は霞んだ。スパイダーマンは、復讐の怨念だけで頑張るのだった。 |
スパイダーマン「父さん、力をくれ…… 俺に力を、復讐の力を!」
スパイダーマンの優れた回復能力は、やがてスパイダーマンに力を、復讐の力を呼び戻した。 |
海の上に、腕輪が残されている。スパイダーマンがそれを拾い上げると、信号音が響いている。
スパイダーマン「アマゾネスの腕輪だ。この音は、基地からのコールサインかもしれない。スパイダーマシンGP7!」
スパイダーマンは腕輪のコールサインを頼りに、秘密基地を目指した。 |
やがて辿り着いた場所は、新幹線の車庫。
スパイダーマン「新幹線の車庫の裏だったのか…… こんなところに」
一方、鉄十字団の秘密基地に帰還したアマゾネス。
モンスター「でかしたぞ、アマゾネス! よくやった」
アマゾネス「ロケットに、私を……」
モンスター「良かろう」
アマゾネス「光栄に存じます」
警報とともに、スクリーンにスパイダーマンの姿が映し出される。
アマゾネス「はっ!?」
モンスター「たわけ! 彼ヤツは生きておるではないか!? ベラ、リタ、出発準備を!」
アマゾネス「モンスター教授、私も一緒に!」
モンスター「えぇい、ロケットには3名しか乗れぬわ! どけぃ! どかんか!」
アマゾネス「モンスター教授!」
モンスター「ジャマだ! やれ!」
ベラの毒矢、リタの銃弾がアマゾネスを貫く。
アマゾネス「あ!? あぁっ……!」
深手を負ってふらつきながらも、アマゾネスはロケットの座席に座り込み、扉を閉める。
アマゾネス「い、行かさぬ…… 行かさぬ……!」
モンスター「アマゾネス! 開けろ! 開けるのだ!」
虫の息のアマゾネスを乗せたまま、ロケットが発射される。
崩壊してゆく鉄十字団基地から、モンスター教授たちが撤退する。
モンスター「裏切者め、宇宙のチリとなれ!」
アマゾネスを乗せたロケットにミサイルが撃ち込まれ、大爆発。ロケットは木端微塵となる。
モンスター「ハハハハハ!」
そこへ、スパイダーマンが現れる。
スパイダーマン「鉄十字キラー! スパイダーマン!!」
モンスター「貴様のために、わしは宇宙ショーを見損ねたぞ! 許せぬ!」
スパイダーマン「モンスター教授! 父の仇、ガリアの復讐を果たしに来た! 覚悟しろ!」
ニンダーたちが無数に現れ、スパイダーマンに襲いかかる。
リタがマシンガンを銃撃。銃弾の雨をかいぐぐりつつ、スパイダーマンがリタを倒す。
ベラの放つ毒矢がスパイダーマンを貫く。さらに矢を構えるベラをスパイダーマンが必死にかわす。
スパイダーマン「スパイダーストリングス!」
ストリングスでベラが投げ飛ばされ、倒される。残るは、モンスター教授ただ1人。
モンスター「ハハハハハ! 来おったな、スパイダーマン!」
スパイダーマン「貴様の最期だ、モンスター!」
スパイダーマンはついに、宿敵・モンスター教授を追いつめた |
モンスター教授が杖を振るって襲いかかる。
スパイダーマンが、スパイダーストリングスを撃ち出して杖をからめとる。
モンスター「しゃらくさい小僧め! ビッグモンスター!」
モンスター教授が自ら、数十メートルの巨体へと巨大化する。
モンスター「鉄十字団は不滅だぁ!」
スパイダーマン「マーベラ──!」
巨大母艦マーベラーが飛来し、スパイダーマンが乗り込む。
スパイダーマン「マーベラー、キャノン発射!」
マーベラーがキャノン砲で攻撃。モンスター教授は目からビームを放って反撃する。
スパイダーマン「マーベラー・チェンジ・レオパルドン!」
マーベラーが変形し、巨大ロボ・レオパルドンとなってモンスター教授に立ち向かう。
モンスター「くそぉ!」
モンスター教授がさらに目からのビームを連射。
激しい爆炎が上がる中を、レオパルドンは敢然と突き進む。
モンスター「鉄十字団は不滅だぁ!」
スパイダーマン「レオパルドン・ソードビッカー!」
モンスター「わああぁぁ──っっ!!」
必殺剣ソードビッカーに貫かれてモンスター教授が大爆発し、断末魔の叫びとともに最期を遂げる。
海岸で夕陽を見つめるスパイダーマンが、覆面を脱ぎ、拓也の素顔を晒す。
拓也「父さん…… ガリア…… 鉄十字団を倒したよ。モンスター教授は滅びたんだ!!」
最終更新:2014年09月12日 20:09