リオネス王国。
王都リオネスの外れ。
破壊された区画を、アリオーニという少年兵士がビクつきながら歩いていた。
?「おい!」
アリオーニ「ひぃ!」
アリオーニを呼んだのは、老騎士だった。
老騎士「手ぇ空いてるか、ちょっくら手伝ってくれや」
アリオーニ「はい!」
老兵士「どっから来た?」
アリオーニ「ケインズです」
老兵士「ケインズ?俺ぁ、王国に40年仕えたロートルだが聞いたことないな」
アリオーニ「そりゃもう、田舎も田舎ですから」
老兵士「その様子じゃ聖騎士見習いにもなってねえな」
アリオーニ「はは、聖騎士なんて俺にはとても・・・・」
老兵士「なんて言ってる奴にはちとキツイかもな」
アリオーニ「えっ?・・・」
老兵士とアリオーニが出た辺りには、多数の騎士の死骸があった。
アリオーニ「これは・・・!」
老兵士「全部、聖騎士さ」
アリオーニ「な、何があったんです!」
老「何が?ブッ殺されたのよ、それも一瞬のうちにな。たった7人に」
ナレーター「これは、未だ人と人ならざる者の世界が分かたれてはいなかった古の物語。
国を守る聖騎士たちは絶大なる魔力を有し、恐れ、敬われていた。
だが、その中で国を裏切り、全聖騎士を敵に回した者達がいた!
人々は彼らを、〈七つの大罪〉と呼んだ!」
十年後。
集落ケインズの外れ。
錆び付いた鎧を着た誰かがおぼつかない様子で歩いていた。
酒場、〈豚の帽子〉亭。
少年「ほいよっ、大ジョッギ五つ!おまちどう」
剣を背負った小柄な少年が、客達に酒を出していた。
客「まだ入れるかい?」
少年「ここどうぞ!」
「悪いな、ちょっと詰めてくれる?」
客「ちっこいのに、よく働く店員さんだぜ」
店主「店員じゃなくて店主。ここは俺の店だから」
客「ま、店主?あんな子供が・・・」
店主「ほーら、焼き上がったよ、〈豚の帽子〉特製ミートパイだ!」
客たち「「「おおっ、うっまそー!!いっただきまーす」」」
「「不味―――――――っ!!!」」」
客達はミートパイを吐き出した。
店主「やっぱり。酒はうまいが料理はまずいって評判なんだよな、うち」
客たち「「「それを先に言え!」」」
客たち「なめてんのか、このガキ!?」
「おい・・・・!こいつ剣持ってるぞ」
店主「やれやれ・・・困ったお客さんだな。片づけろ・・・」
店主が指を鳴らした。
客たち「「「え?」」」
一匹の豚が出てきた。
豚「ったく、たりーな~~~~オレになんの用だよ~~~~?」
客「ぶ・・・豚がしゃべってる?」
豚「いちいち驚くな。これだから田舎者は・・・」
店主「ホーク、床掃除頼む」
ホーク「ちっ・・・面倒くせー・・・残飯処理係も楽じゃなーぜ」
ホークが床に吐き出されたミートパイを食べ尽くした。
ホーク「ハァ・・・つーかよ~~~~~もーちっとマシな残飯食わせろよな」
店主「豚の丸焼きならマシに作れそうな気がするな」
ホーク「んまァ~~~~い!ここの残飯サイコー!!」
そこへ、一人の男が駆け込んできた。
男「で、出た・・・」
男「ホントだって、この目で見たんだよ。ありゃ間違いなくさまよう錆の騎士だって!」
客たち「最近噂になってんな」
「居るはず無いだろ、んなもん子供をしかる時の方便だろが。あんまり悪さしてると、血で錆びた鉄の鎧を着た〈七つの大罪〉が出るぞ~、ってな」
「「はっはっはっ!」
店主「〈七つの大罪〉?」
客「おう、若いマスターさんだともう知らないか」
「手配書があるだろ、あれだあれだ」
客たち「―――10年前だっけ、王国全土から集められた聖騎士様達が何十人も殺された大事件があった。その犯人がこいつら〈七つの大罪〉よ」
「聖騎士長様に至っては余りに惨い殺され方で、見れた姿じゃなかったって言うじゃねえか」
「団長のメリオダスってのがまた恐ろしい奴でな、国一つ滅ぼしたって話もあるくらいだ」
「こいつらってまだ捕まってないんだろ?」
「ああ、一人たりともな」
「一部じゃ全員死んだって噂もあるけど・・・」
「死んでるね、それ絶対。聖騎士さん達が許す訳ねーよ!
「ああ確かに。王様が病で倒れちまった今も、聖騎士様がしっかりと国を守ってくれてんだ」
駆け込んだ男「でも、この手配書毎年更新されてるぜ。やっぱ、まだ死んでんでねぇってことじゃねーのか・・・?」
客たち「・・・つっつても、錆びた鎧の騎士が歩いてるってのはいくら何でも・・・なぁ?」
「はは、無い無い・・・」
しかし、そこへ重厚な足音が聞こえてきた。
ホーク「何だ?この錆くせニオイは」
〈豚の帽子亭〉に、先程の錆びた鎧を着た騎士が入ってきた。
錆の騎士「・・な、な・・つの・・・たい・・・ざ・・・い・・・」
客たち「で・・・・でたぁああ~~~~~~~っ!!!」
客たちは全員、〈豚の帽子亭〉から逃げ出した。
店主「お前誰だ?」
店主と錆の騎士が向かい合うも、錆の騎士が倒れた。
店主「お?」
兜が外れ、出てきたのは少女の顔だった。
ホーク「この子が七つの大罪?」
店主が残りの鎧をはがし、アンダーウエアになった少女をベッドに寝かせた。
ホーク「女の子・・だぜ」
店主「・・・・うんにゃ」
ホーク「ええっ!?」
店主「この寝顔。このボディライン」
店主が少女の体を眺める。
店主「このニオイ」
店主が少女の股辺りの匂いをかぐ。
店主「この弾力・・・」
店主が少女の胸を掴む。
店主「やっぱり女だな!」
ホーク「見りゃ分かんだろ!」
ここで少女が起き上がった。
少女「あ・・・・あの・・・・?」
少女が顔を赤らめる。
店主「・・・動悸にも異常なし!」
少女「あ・・・ありがとうございます?こ・・・ここは・・・?あの・・私はなぜ・・・・?」
店主「フラ~~ッと店に入ってきて、いきなりぶっ倒れたんだ、お前」
少女「店?」
店主「〈豚の帽子〉亭!オレの店なんだぞ」
少女「あなたが・・店主さん・・・?」
店主「おかしいか?」
少女「い、いえ!その背中の剣が見えたものですから・・・」
店主「ああ、これか」
店主が剣を抜いた。
少女「きゃっ!・・・・?」
店主が抜いた剣は柄からすぐのところで刃が折れていた。
店主「へへーっ、びびった?柄だけでもチラつかせてりゃそれなりに見えんだろ?これぞ食い逃げへの抑止力ってやつだ!!」
ホーク「おめーの飯を食わされた挙げ句に金ふんだくられる客のほうが気の毒だ」
少女「!」
少女がホークに抱き着いた。
少女「わあ~~~~っ!喋る豚さんだぁ!! 」
ホーク「ホークだぜ!よろしくな」
少女「この前父上に誕生日プレゼントにおねだりしたんです!」
店主「で、その豚貰ったのか?」
少女「・・・・・・・いえ」
店主「そだ、腹減ってないか?よけりゃ食わしてやるよ」
ホーク「ひい!?」
少女「ポークちゃんを?」
ホーク「ポークじゃねええ!ホーク!!」
店主「できたぞ」
少女「・・・・・介抱していただいた上に食事まで・・なんてお礼を言えばいいか・・・」
ホーク「礼言う前にまず食ってみな」
少女「はい・・・・いただきます」
「!!」
店主「どうだ、まずいだろ?」
少女「・・・・・はい」
店主・ホーク「「やっぱり!」」
少女は涙をこぼしだした。
少女「・・・でも・・すごく・・おいしい・・・」
店主「なあ・・・お前あんな鎧姿で何してたんだ?」
少女「捜しているんです・・・〈七つの大罪〉を」
ホーク「何でまた。生きてか死んでるのかも分んない連中だぜ。大悪党だぜ」
その時、扉が強く叩かれた。
冒頭に出たアリオーニを初めとした5人の騎士たちが来たのだ。
アリオーニ「開けろ!!村人からの通告があった!!我々はふもとに駐留する聖騎士様配下の〈山猫の髭騎士団〉!〈七つの大罪〉とおぼしき錆の騎士を捕らえにきた!大人しく出てこい!」
店主「何かうるせえ奴が来たぜ」
少女「聖騎士・・・」
騎士たち「出てきませんね」
「それにしても、こんな丘の上に酒場なんていつ建ったんだ?」
「そういや三日前に通った時には何も無かったような・・・」
アリオーニ「油断するな。相手は十年前とは言え元、王直属の聖騎士だぞ」
騎士たち「心配ありませんよアリオーニさん。所詮はロートル」
「そうそう、ツィーゴ様の元で鍛えられてる我らの敵じゃありませんよ」
アリオーニ「奴らをあなどるな。前にも話したろ、あの十年前の騒動の時何十人もの聖騎士が一瞬のうちに!」
騎士「それもな」
アリオーニ「何だ」
騎士「いや・・・その、ちょっと大げさなんじゃないかなっと」
アリオーニ「な!どういう意味だ!」
騎士たち「一人いりゃ一国の兵力に値するとも言われてる聖騎士が、そんな何十人も・・なあ」
アリオーニ「俺はこの目で見たんだよ!」
騎士「まあまあ、ひとまずアリオーニさんは下がってて下さい」
「おい!出てこい!」
店主「呼んだか?」
店主が出てきた。
アリオーニ「何だ貴様!」
店主「オレはこの店の店主だ」
アリオーニ「錆の騎士はどこにいる?そいつを出せ!!」
店主「出てこいよ」
少女が着ていた鎧の一部を背中に乗せたホークが出てきた。
ホーク「ヘッヘッヘッ・・・オレを呼んだか?この錆の騎士ホークを・・・!!」
騎士「こ、この豚が〈七つの大罪〉ですか!?」
アリオーニ「んなわけないだろ!」
ホーク「ななんと!オレは残飯処理騎士団団長なんだぜー?」
アリオーニ「んな騎士団があるか!」
少年「この豚でよければ煮るなり焼くなり好きに・・・」
ホーク「どっちも勘弁しろ!!」
アリオーニが店主の襟首を掴んで、持ち上げた。
アリオーニ「ガキィ・・・!!騎士を愚弄するとはいい度胸だな!!」
そうしてる間に少女が裏口から飛び出した。
騎士「!!アリオーニさん、裏から女が逃げました!!」
アリオーニ「な・・・何!!?急ぎツィーゴ様に伝えろ!おそらくその女が錆の騎士だ!!追えっ!!」
騎士たち「「「おお!!」」」
「待て―――!」
少女を追って、アリオーニたちは森に入った。
アリオーニ(〈七つの大罪〉の一人を追い込んだとなれば、相当な手柄!そうなれば俺もいよいよ聖騎士見習いに・・・・)
騎士「ぐぎゃっ」
騎士の一人が背中からの衝撃を受け、転んだ。
アリオーニ「な・・・なんだ?どうした!?」
騎士「ぶっ・・・豚が突進してきます!!」
ホーク「オラオラオラオラオラ!!」
騎士たち「ぎゃっ!!」
「ごはっ!!」
「でふうっ!!」
ホークの突進が残る騎士達を次々にはね飛ばしていった。
アリオーニ「おわぁ~~~~っ!!来るな来るな、来るな!!」
森を抜けたアリオーニが前を向くと、その先は崖になっていた。
アリオーニ「いない・・・」
ホーク「あらよっと!」
ホークがアリオーニを崖から突き落とした。
アリオーニ「あああああああ・・・」
ホーク「てめーらに恨みはねーが・・・これで今晩の飯の量2倍!」
少女「・・・あの、二度も・・・助けていただいてなんと・・・お礼を言えばいいか」
少女は店主に(胸を掴まれながら)木の上に抱え上げられていた。
ホーク「だから姉ちゃん、そいつを殴っていいって」
店主「で、何でお前は七つの大罪を探してるんだ?」
少女「聖騎士達を止めるためです」
ホーク「聖騎士たちを止めるって、何から?聖騎士っていやこのリオネスを守る騎士の中の騎士、英雄だろーが?」
少女「でも、その彼らが、この国に戦をもたらそうとしていたら?」
ホーク「「!!」」
少女「先日・・・聖騎士たちの手により国王以下王族達の者達が次々と拘束さました」
ホーク「国王は病気で伏せってんじゃねえのか?」
少女「それは聖騎士が流したデマです。彼らが何のために戦を始めるかは分りません。ただ王国と周辺の村や町から人々を強制的に集めては、着々とその準備を始めてます。着々とその準備を始めてます・・・しきにこの辺りにも影響が及んでくるでしょう」
ホーク「ま・・・マジかよ!!」
店主「大変だなー」
ホーク「ってのんきだなおめえは、相変わらず!」
店主「でもさ、それと〈七つの大罪〉とどうつながるんだ?」
少女「唯一・・・聖騎士たちを止める希望があるとすれば、〈七つの大罪〉だけなんです!!」
店主「お前さー、〈七つの大罪〉がどんな連中か知ってて捜してんの?」
少女「〈七つの大罪〉、七匹の獣の印を体に刻んだ七人の凶悪な大罪人から結成された、王国最強最悪の騎士団。彼らは今から10年前、王国転覆を謀った疑いで王国全聖騎士から総攻撃を受け、散り散りになった・・・」
店主「んで全員死んだって噂もあったけな」
少女「そんな凄い人たちが簡単に死ぬわけがありません!!」
店主「ん、でも大罪人なんだろ?」
少女「現実に人々を苦しめているのは聖騎士たちなんです!!昔、私まだ五つか六つのころ・・・父がよく話をしてくれました。彼らは、七つの大罪こそが最高の!!」
その時、店主達の足下が揺れた。
店主「!?」
少女「きゃっ・・・」
森から出てきた一人の騎士の剣の一撃が、店主達の立つ地面を切り崩したのだ。
少女「きゃああっ!」
ホーク「勘弁しろぉ!!」
店主達は地面と共に落ちていった。
ツィーゴ「おっと・・・通告にあった人間かどうか、確かめるのを忘れておった。決定!!身元不明者二名死亡!!ってことでいいかの?」
地面を切り崩したのは、巨漢の騎士、ツィーゴだった。
騎士「し、しかし崖下にアリオーニさんが・・・」
ツィーゴ「ならば三名死亡にしておけばよい」
騎士たち「そんな!!」
「ツィーゴ様、それはあんまりです!」
ツィーゴ「ならば!七名死亡か?」
騎士たち「それだけはお許しを・・・!!」
「ああっ!!」
崖下から、ホークを背負い、少女を抱え、そしてアリオーニも連れてきた店主が飛び上がってきた。
店主「よっと」
騎士「アッ・・・アリオーニさん!」
ツィーゴ「お前たち何を勝手に生きておる!!?儂の死亡決定を変更するでないわ!!」
ホーク「勝手に決定すんな!」
店主「おい・・起きてるか・・?」
少女「ん・・・はい!」
店主「よし!オレが合図したら、森に向かって走れ!いいな」
少女「え?はい!」
ツィーゴ「まあよい・・・してどちらが〈七つの大罪〉とおぼしき人物なんじゃ?どちらとも手配書とは似とらんようじゃが・・・?」
ツィーゴが少女の左耳に付けられた耳飾りに気づき、少女達の方に歩き出した。
ツィーゴ「!! これは儂も運がいい・・・!その耳飾りの紋章は王家のものだ、つまり御身は――――決定!!エリザベス王女!!」
エリザベス「!」
店主「エリザベス・・・王女?」
ホーク「エリザベス王女っつったらこの国の第三王女様じゃねーか!?」
ツィーゴ「御身には王国から捜索指令が出ておりましてな。生きたまま捕らえよとの命ではありますが、事故死ならば致し方ないでしょうなぁ?」
店主「走れ!」
店主達が走り出した。
エリザベス「私はまだ捕まるわけには・・・諦めるわけにはいきません!!」
ツィーゴ「おお・・・決定―っ!!!事故死っ!!!」
ツィーゴが剣を振るい、斬撃を放った。
エリザベス「!」
ツィーゴの斬撃は、森そのものを切り倒した。
エリザベスは店主に守られていた。
店主「ようっ、ホークも無事・・・みたいだな」
そう言われたホークの背中に木の枝が突き刺さり、血が吹き出ていた。
ホーク「この豚串状態が無事だと・・・?うわああん!!おっ母~~~!!」
店主「あ!」
ホークがツィーゴの横を抜けて、走り去った。
ツィーゴ「豚・・・?まあいい」
エリザベス「・・・・っ」
エリザベスはツィーゴの方に歩き出した。
店主「エリザベス、おい、どこにいくんだ?」
エリザベス「逃げきれません」
店主「お前・・・諦めるわけにはいかねぇって言ってただろ?」
エリザベス「私がおとなしく投降すれば、あなたの命を無闇には奪わないはずです」
ツィーゴはエリザベスを狙い、再び斬撃を放った。
エリザベス「!」
店主がエリザベスを押しのけ、斬撃を外したが、その斬撃が大地を深く刻んでいた。
エリザベス「おねがい・・・!!あなただけでも逃げてください!!」
店主「どのみちありゃ、オレたち両方殺す気だぞ」
エリザベス「どうして・・・っ。私・・・嬉しかったんです。たった・・・一人で・・・〈七つの大罪〉を捜す旅に出て・・・旅なんて・・・したことなくって・・・すごく・・・不安で・・・正体がバレないよう、着なれない鎧でくたくたになるまで歩いて・・けど・・・誰を・・・頼ることも・・・できなくて・・・なのに・・・あなたはどこの・・・誰とも知らない私に・・・やさしくしてくれて・・・だから・・・私は・・・・名も知らないあなたを、これ以上、巻き込みたくないの!!」
涙をこぼすエリザベスを見て、店主は―――
破壊された町の中、自分の前で鎧姿の少女が息絶えようとしてる光景を思い返し―――
そして、エリザベスに自分の名前を名乗った。
メリオダス「メリオダス、それがオレの名前だ」
エリザベス「・・・メリオ・・・ダス・・?え・・・・・・うそ、まさか・・・そんな・・・あなたは、だって・・・」
その頃、アリオーニが目覚めた。
アリオーニ「あいつはどこだ!」
騎士「アリオーニさん」
アリオーニ「あの剣を背負った奴だ!」
騎士「落ち着いてくださいアリオーニさん。今ツィーゴ様が追い込んで・・・」
アリオーニ「馬鹿!アイツを怒らせるな!国が滅ぶぞ!」
騎士「え?」
アリオーニ「助け出された時見たんだよ、あいつは本物だ。一番ヤバイ奴なんだよ!あいつの肩の印、あれは・・・」
エリザベス「その印は・・・獣の・・・・いえ・・・`ドラゴンの――――!!」
ツィーゴ「ふんっ!!」
ツィーゴが斬撃を放った。
ツィーゴ「・・・!!、ぬぐおっ!!?」
しかし、二人の方から吹き上がった衝撃がツィーゴの身体に傷を付けた。
ツィーゴ「く!!ど・・・どういうことだ~~~?儂の剣は確実に奴らを仕留めた・・・!!だが、一撃をもらったのは・・・この儂じゃと!?なんだ・・・それは!?刃折れの剣・・・!!?」
メリオダスは、あの刃の折れた剣を抜いていた。
エリザベス「メリオダス、貴女は本当にあの・・・?」
ツィーゴ「まてよ、貴様の顔には見覚えが・・・いや・・・だとしたら、何故昔と姿が変わっていない・・・!?」
メリオダス「オレが誰だか、わかったか?」
刃折れの剣を構えるメリオダスに、ツィーゴは恐怖を感じた。
ツィーゴ「ま・・・まさか!!本当に貴様はぁぁぁぁぁぁ~~~~~~っ!!!!」
ツィーゴが渾身の一撃を放った。
しかし、メリオダスが刃折れの剣を振り――――
ツィーゴ「け、決定・・・この尋常・・ならざ・・・る力は、あの伝説の!!」
すさまじい衝撃が巻き起こり、ツィーゴを遙か上空へと吹き飛ばしていった。
ツィーゴ「ぎゃあああああああああぁあああああああ~~~~・・・」
メリオダス「〈七つの大罪〉憤怒の罪、ドラゴン・シン、メリオダス!!!」
メリオダス「これで一人目が見つかったわけだな、エリザベス?」
エリザベス「え・・・・?」
メリオダス「残りの六人の事だけどさ、オレも用があって、最近あいつら捜しはじめたんだ。情報集めのために酒場をやりながらな。これで看板娘がいてくれたら客も情報ももっと集まるんだけどな・・・一緒に行くだろ?」
エリザベス「・・・はいっ!!」
墜落したツィーゴの元に騎士たちが寄ってきた。
騎士「ツィーゴ様しっかり!」
ツィーゴ「ぐ・・・ぐぬぬ、お・・・王国に増援要請を!これは・・・い、一大事だぞ!!」
そこへ空から、〈豚の帽子亭〉を乗せた、ホークと同じ姿をした巨大な緑色の豚が降りてきて、ツィーゴ達を吹き飛ばした。
ツィーゴ「おっははっ!」
ホーク「ナイスタイミングだろ!」
メリオダス「さっすがホークママ!」
ホーク「呼びに来たのは俺だ!」
メリオダス「さぁ行くぞ次の町へ!出発だホークママ!」
メリオダスがエリザベスを抱えて、ホークママから下がった梯子に掴まった。
エリザベス「きゃっ・・・」
アリオーニたち「「「・・・・・!」」」
エリザベス(この出会いは偶然か、必然か。待ち受けるものは絶望か、希望か――――こうして(七つの大罪)を捜す私とメリオダス様の冒険が始まったのです)
ケインズ集落より東へ38マイル、ソルガレス砦。
ツィーゴは、聖騎士ギルサンダーにメリオダスのことを報告した。
ギルサンダー「〈七つの大罪〉、今度こそ本物であればな。10年も待ちわびたのだ、〈七つの大罪〉を滅ぼす日を」
ギルサンダーの後ろの窓の外には、赤い目のカラスがいた。
(続く)
最終更新:2020年01月07日 18:34