アムステルダムの大学講師であるネルネストはある日、友人の地理学者メルカトールの邸宅に呼ばれた。
(メルカトール)
「やあ、エルネスト
ちょうど、君を探していたんです
実は、君に頼みたいことがあるんですよ」
(エルネスト)
「頼み?君の頼みならできるだけのことはするよ
僕が今の大学で講師として働けるのも、君の推薦のおかげだからね」
(メルカトール)
「君も地理学者なら、世界中の地理には関心があるでしょう?」
(エルネスト)
「ああ、新大陸、中近東、アジア
できれば世界中を旅して、自分の目で見て来たい
だが、資金がないんだ
講師の給料は安いから………」
(メルカトール)
「私も、できれば自分の目で世界中を見てまわりたいのです
でも体が弱いし、それに恥ずかしいことに船が苦手なんです
その点、君は体が丈夫だし何より冒険が好きでしょう?」
(エルネスト)
「ああ、確かに大学で働くのは退屈で性に合わない
どうせなら波乱に満ちた生き方をしたいな」
(メルカトール)
「やっぱりそうだと思ってました
どうです、お金は私が出します
航海に出てみませんか?」
(エルネスト)
「本当かい?
それが本当なら、こんなうれしいことはないよ」
(メルカトール)
「ええ、本当です
私の代わりに世界中の地形を調べてきて頂きたいのです
私は、その調査結果を元に完璧な世界地図を完成させたいのです」
(エルネスト)
「世界地図か、大仕事だね
世界中の地理学者、地図職人そして冒険家がライバルになる訳だから」
(メルカトール)
「ええ、やるからには彼らより早くより正確なものを作らなくては意味がありません
また二人の名前で、今度は世界中に発表しましょう」
(エルネスト)
「いいとも、引き受けよう」
(メルカトール)
「では、これが当座の費用です
実は、もう船を用意してあるのです」
(金貨5000枚を受け取る)
(エルネスト)
「それは、準備が早い
そうだ、船の名前はもう決まっているのかい?」
(メルカトール)
「いや、君につけてもらおうと思ってまだ決めてないんです」
(エルネスト)
「なら、決まっているさ
君の代わりに、僕と一緒に航海するんだ
名前は『メルカトール号』さ」
(メルカトール)
「ありがとう、エルネスト
そうそう、もう一人仲間がいるんだ
彼を紹介しなくては
君は航海には不慣れだろうから、優秀な航海士を捜しておきました
スタッテンさんです」
(航海士スタッテン)
「お初にお目にかかりやす
航海士のスタッテンです」
(エルネスト)
「この航海は長くなりそうだよ
いろいろと困難もあるだろうし、力を貸してもらえるかな?」
(航海士スタッテン)
「へい
以前、エルネストさんのお父さんにお世話にありましてね
坊っちゃんのためなら何でもしますぜ」
(エルネスト)
「ありがとう
でも、その坊っちゃんは止めてくれないか
そうだ、海の男らしく提督って呼んで欲しいな」
(航海士スタッテン)
「提督
ですね、坊っちゃん」
(エルネスト)
「………
まあ、いいか
じゃあ、メルカトール
行ってくるよ」
(メルカトール)
「調査の報告は忘れずにして下さいね
無事を祈っています」
(アムステルダムの出港所にて)
(航海士スタッテン)
「坊っちゃん
じゃなかった、提督
まずはどこに行きやしょうか」
(エルネスト)
「そうだな、まずは北欧を見てまわろうか
スタッテンさんはフィヨルドを知ってるかい」
(航海士スタッテン)
「フィヨルドっていうと、巨大な氷が山から滑り落ちるときに大地を削って出来た谷でしょ
知ってやすよ」
(エルネスト)
「さすがによく知ってるね
そのフィヨルドのせいで、北欧の海岸線はものすごく複雑な地形をしてるんだ」
(航海士スタッテン)
「なるほど、じゃあその海岸線を見てみたいんですね」
(エルネスト)
「そうだよ
この目で見てみたいんだ」
(航海士スタッテン)
「だけど、あんまり北に行くのは危険ですぜ
流氷にぶつかりでもしたらアット言う間に沈没だ
それに、ある程度経験を積むまでは遠出しない方がいいですぜ
食糧は底をつかないように気を付けてくださいよ」
(エルネスト)
「ああ、気を付けるよ」
(ゲーム本編開始)
最終更新:2021年05月22日 14:18