大航海時代Ⅱ(カタリーナ・エランツォ編)のオープニング

イスパニアの海軍士官カタリーナ・エランツォは、自分を探しているという同僚のサヌード中尉を訪ねた。

(サヌード中尉)
「カタリーナ、捜したよ
 エゼキエル司令がお呼びだ」

(カタリーナ)
「司令が?
 まさか行方不明の兄の事で…」

(サヌード中尉)
「それは……
 司令の口から直接聞いてくれないか」

(カタリーナ)
「エランツォ中尉、出頭いたしました」

(エゼキエル司令)
「ああ、中尉
 掛けたまえ
 実は君の兄、ミカエルのことだが
 彼の艦隊は1522年4月10日サントドミンゴ沖で消息を絶った」

(BGMが悲劇に)

(カタリーナ)
「まさか、兄に限って……
 海賊ごときに殺られる人ではありません
 しかも、兄の艦隊にはエルナンがいました」

(エゼキエル司令)
「確かにミカエルは有能な男だ
 副官のエルナン、君の友人も勇敢だった
 だが、今朝報告があったのだ
 新大陸に派遣していた調査隊からだ
 カリブ海で破船を見つけたそうだ
 船は無人で船体はひどく損傷していた、おそらく舵もきかぬ状態だっただろう
 遭難の原因は不明だ
 暴風雨に巻き込まれたのか、何らかの攻撃を受けたのか
 だが、現場でこの将官旗が発見された………ミカエルの物だ
 酷な言い方かも知れんが、彼らは生きてはいまい」

(カタリーナ)
「……………」

(エゼキエル司令)
「君は彼らに劣らず優秀だ
 今は無理でも必ず立ち直れる
 私はそう信じる
 サヌード中尉、君はエランツォ中尉を送りたまえ」

(サヌード中尉)
「はっ、わかりました
 カタリーナ元気を出せよ
 君の兄さんは俺の上官だった
 きっと遭難の原因をつきとめて見せるさ」

(司令部から出て酒場へ)

(サヌード中尉)
「酒場か、カタリーナ
 何か手がかりがつかめるかも知れないね
 やあ、親父
 相変わらず忙しそうだな」

(酒場の親父)
「おや、サヌードさん
 お久し振りですな」

(サヌード中尉)
「マディラ産のワインを2杯頼む」

(カタリーナ)
「サヌード、わたしは兄が暴風雨で難破したとは思えないのよ」

(サヌード中尉)
「そうだね、俺もそう思う」

(カタリーナ)
「でも、イスパニアの艦隊が襲われるなんて」

(サヌード中尉)
「敵はきっとカリブの海賊だ
 海軍にいる限りいつか出会える」

(カタリーナ)
「これからどうするの」

(サヌード中尉)
「俺達は海軍士官だ、航海の機会も多い
 寄港の度に情報を収集していけばきっとわかるさ
 ん、カタリーナ、あの男達何か噂話をしているぞ」

(航海士)
「なあ、ジョヴァンニお前あの事件聞いたか」

(ジョヴァンニと呼ばれた航海士)
「ああ、カリブ海で王立艦隊が消えちまったって話だろ
 海賊『黒髭』がやったって噂だぜ」

(航海士)
「いや、でかい声じゃ言えないけど実はそうじゃないそうだ
 こいつは知り合いの船長から聞いた話だがな、どうやらポルトガルの奴等が一枚噛んでいるらしい
 奴が言うには、何でもサントドミンゴの港で補給中に焼き討ちに遭ったんだと
 その時の敵艦のメインマストにはマルタ騎士団の赤い十字が染め抜いてあったらしい」

(ジョヴァンニと呼ばれた航海士)
「なんだって、そりゃあフェレロ公爵家の私設戦艦隊じゃないか」

(航海士)
「ああ、どうもポルトガルの奴らは信用できないからな」

(カタリーナ)
「ねえ、あなた達その話をもう一度聞かせてくれないかしら」

(航海士)
「………あんた何者だい」

(サヌード中尉)
「イスパニア海軍の者だ
 今の話は本当だろうな」

(航海士)
「本当かどうかなんて俺には分からないさ
 ただ、ここいらの船乗りの間では結構広まっている噂だぜ」

(カタリーナ)
「サヌード中尉、私は司令に今の話をしてみるわ
 そして……」

(サヌード中尉)
「そして?」

(カタリーナ)
「フェレロ討伐を願い出るつもりよ」

(再び司令部へ行きBGMが海戦になる)

(カタリーナ)
「司令、お願いがあります」

(エゼキエル司令)
「何だね、中尉」

(カタリーナ)
「兄の艦隊を騙し討ちにした相手が分かりました」

(エゼキエル司令)
「む……」

(カタリーナ)
「ポルトガルの宰相フェレロ公とその息子ジョアンが黒幕です
 小官に一隻の軍船と幾人かの兵卒をお貸しください
 兄とエルナンの仇を討ちたいのです
 お願いです、司令」

(エゼキエル司令)
「エランツォ中尉
 君は自分が何を言っているのか分かっているのか?」

(カタリーナ)
「そ、それは」

(エゼキエル司令)
「君の論拠がどこにあるかは知らん
 しかしこれだけは明白だ
 君の提案はイスパニアとポルトガルの全面対決を引き起こす
 つまらん事を考えずに職務に戻りたまえ」

(再び酒場へ)

(サヌード中尉)
「カタリーナ、これからどうするつもりだい」

(カタリーナ)
「海軍を辞めようと思うの」

(サヌード中尉)
「何だって!?」

(カタリーナ)
「海軍にいる限り、仇は討てないわ」

(サヌード中尉)
「だが、フェレロ公爵家は強大だ
 民間人の力で一国の宰相を倒すことなどできはしないよ」

(ギージ)
「けっ、ほざきやがるぜ」

(サヌード中尉)
「何だ貴様は」

(ギージ)
「俺はただの酔っ払いさ
 ただね、あんたらの言い分が気に入らねえんだよ
 努力もしねえで諦める
 勝てないから尻尾を巻く
 それが名誉あるイスパニア海軍士官かよ」

(サヌード中尉)
「ちっ、訳を知りもしないで
 カタリーナ、店を出ようぜ」

(カタリーナ)
「待って、サヌード
 今やっと決心がついたわ」

(サヌード中尉)
「ん、何だって」

(カタリーナ)
「サヌード、お願い私に手を貸して」

(サヌード中尉)
「ああ、俺でよければ」

(カタリーナ)
「じゃあ、港に急いで」

(出港所へ行くとBGMが戦闘に)

(サヌード中尉)
「一体何をする気だい?」

(カタリーナ)
「船をもらうわ、イスパニア海軍から」

(サヌード中尉)
「カタリーナ正気か!」

(カタリーナ)
「ええ
 確かあなたが指揮する船がある筈ね
 新大陸からの金の輸送船が」

(サヌード中尉)
「反逆罪だぜ、エゼキエル司令が黙っちゃいない」

(カタリーナ)
「怖いの?ならいいわ」

(サヌード中尉)
「カタリーナ何をするんだ!」

(カタリーナ)
「動かないで、さもないと本当に殺さなきゃならなくなる
 何もしやしないわ
 あなたには人質の振りをしてもらうだけよ
 どこかの中立港で降りてもらうわ
 それまで我慢してね
 サヌード、あなたには悪いと思っているわ
 でも………」

(BGMが港に戻る)

(サヌード中尉)
「わかったよ、カタリーナ」

(カタリーナ)
「えっ」

(サヌード中尉)
「君の仲間になろう
 ただし、これから船を指揮するのは君だ
 反逆罪の主犯は絞首刑が決まりだが、共犯なら懲役刑で済むかもしれない」

(カタリーナ)
「ありがとう、感謝するわ」

(サヌード中尉)
「さあ、君が提督だ
 君の旗艦に新しい名前を」

(カタリーナ)
「そうね、艦名はリベリオンというのはどうかしら」

(サヌード中尉)
「リベリオン……反乱って意味だね、女海賊の旗艦に相応しいな」

(ゲーム本編開始)

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最終更新:2021年05月22日 14:21