伝説の黄金郷を探し出すことを夢見たピエトロは、黄金の都ジパングを経て南米に黄金郷エル・ドラドがあるという情報を得た。
(中南米の出港所に入る)
(カミーロ)
「なあピエトロ
ここが新大陸らしいけど、広すぎてエルドラドを見つけるのはひと苦労だぜ」
(ピエトロ)
「ああ、大変だ
だが…ん、見ろカミーロ
あんな所に人が!」
(カミーロ)
「本当だ
早く助けよう」
(浜辺に倒れる老人を助ける二人の画)
(ピエトロ)
「まだ息があるぞ
おい、しっかりしろ」
(老人)
「ん?
ここは?
わしは?いったい?」
(ピエトロ)
「ここは(地名)港
あなたはここに流れ着いたんだ
わかるか?」
(老人)
「そうか助かったのか
助けていただいてありがとう」
(ピエトロ)
「いったいどうしたっていうんだい?
俺は冒険家のピエトロ・コンティーだ」
(老人)
「ピエトロさんか
わしはファブリス・フェレロ
ポルトガルの冒険家だ
いや、だった」
(ピエトロ)
「フェレロ?
というと、フェレロ公爵家と関係があるのか?」
(ファブリス)
「公爵?」
(ピエトロ)
「ああ、公爵夫人が俺の冒険のスポンサーだ」
(ファブリス)
「祖先は確かに貴族だったが、わしの代にはただの貧乏な商人じゃった
遠い昔の事じゃがな
わしは、この10何年かの間ずっと牢獄に入れられてた」
(ピエトロ)
「牢獄?
もしよければ詳しく話してくれないか?
力になってやるぜ」
(ファブリス)
「あれは、20年以上も昔のことじゃ
嵐にあってのぉ
わし一人だけ集落に流れ着いたんじゃ
何年かの間、その集落で暮らした
のどかで平和な日々じゃった
ところがある日、どこかの軍隊が攻めてきた
わしは内陸の奥の奥まで逃げた
その時じゃ
突然目の前に現れたのじゃ
あれが………」
(ピエトロ)
「ファブリス爺さん、気を持たせないで早く言いなよ」
(ファブリス)
「伝説の都
黄金の国エルドラドじゃ」
(ピエトロ)
「へっ
爺さんが、エルドラドを見つけたのか?」
(ファブリス)
「ああ、あれはまさしくエルドラドじゃ
まばゆいばかりの黄金
何から何まで、全て黄金でできておった
目を閉じていてもまぶしい程じゃった
わしは、いくつかの装飾品だけを持ってエルドラドを後にした
更に奥へと進み、大陸の反対側までたどり着いたところで集落を見つけた
その集落で何年か暮らした
ある時、近くにポルトガル人が町を作っているという話を聞いたので行ってみたんじゃ」
(ピエトロ)
「ファブリス爺さん
このメダルに見覚えはないか?」
(ファブリス)
「どれどれ
こっ、これは
これは、わしの面倒を見てくれた集落の者にお礼代わりにあげたものじゃ」
(ピエトロ)
「ふうん、俺はひょんな事からその集落を襲った海賊が隠していたのを見つけたんだがね
それから、エルドラドが実在すると信じてここまで探しに来たって訳さ」
(ファブリス)
「では、このメダルが巡り巡ってわしを助けてくれたということか
不思議な縁じゃ
どこまで話したかのぉ
そうそう、ポルトガル人の町に行ったとこまでじゃな
町に着くと、わしはいきなり捕まってしまい牢獄に入れられた
後で気づいたのじゃが、そいつらは昔いた集落を襲った軍隊じゃったのだ
奴らはポルトガル人のくせに、国王を裏切り世界を征服しようとしているのじゃ
牢獄の中でわしは長い年月を過ごした
ところが数日前、奴らが急に慌てだしたのじゃ
理由は分からぬが、警備が手薄になっての
やっと逃げ出すことができた」
(ピエトロ)
「爺さん、無事に逃げ出せて良かったな」
(ファブリス)
「ああ、早くリスボンに帰りたい
牢獄の中では、毎日リスボンのことばかり考えていた
美しいリスボンの港
右腕の航海士ロッコ」
(ピエトロ)
「ロッコ?」
(ファブリス)
「そして、一人残してきた息子のレオン」
(ピエトロ)
「ちょ、ちょっと待ってくれ
あんたの息子はレオンというのか?」
(ファブリス)
「レオン・フェレロじゃ」
(ピエトロ)
「レオン・フェレロって………
さっき言ったフェレロ公爵もレオンという名前だぜ」
(ファブリス)
「それは本当か?
まさか?」
(ピエトロ)
「確かフェレロ公爵は、元々は冒険家だったと聞いている
ポルトガルの姫が海賊にさらわれたのを助け出し、王様に認められ姫様と結婚して公爵になったといっていたが………
そうだ、それに今公爵の息子のジョアンと一緒に航海している老航海士が確かロッコだ
きっとレオン公爵は爺さんの息子に違いねえぜ」
(ファブリス)
「じゃあ本当なのか
レオンが公爵に………」
(ピエトロ)
「さあ、行こう
あんたをリスボンまで送ってやるぜ」
(ファブリス)
「でも、君はエルドラドを探しているんだろう?」
(ピエトロ)
「いいんだ
本当にあることが分かれば
場所は覚えているんだろ?」
(ファブリス)
「たぶん地図も作れるじゃろう」
(ピエトロ)
「なら充分だ
エルドラドを発見したのは爺さんだからな
俺にゃあ他人の業績を横取りする気は無いからよ
爺さんは偉大な冒険家だな
尊敬するぜ」
(ファブリス)
「ありがとう
本当にありがとう」
(ピエトロ)
「さあ、早くリスボンに戻ろう
爺さんの顔を見せりゃあ公爵も喜ぶだろうぜ」
(リスボンのフェレロ公爵邸へ戻ると本編終了してBGMも背景も変わりエンディングへ)
(ピエトロ)
「やあ、公爵夫人
ピエトロ・コンティー黄金の都エルドラドよりただ今生還いたしました」
(フェレロ公爵夫人)
「まあ、ついに長年の夢がかなったのですね」
(ピエトロ)
「いえね、実を言いますとある人物に先を越されましてね」
(フェレロ公爵夫人)
「まあ……」
(ピエトロ)
「ただし、この私は手ぶらでは戻りませんよ
いつもお世話になっているフェレロ家にちょっとした贈物をね」
(フェレロ公爵夫人)
「贈物……ですか?」
(ピエトロ)
「ええ、そろそろカミーロが連れてくる筈ですが
ところでご当主の公爵閣下はおいでですか」
(フェレロ公爵夫人)
「はい、では呼んで参りましょう」
(フェレロ公爵)
「お初にお目にかかる
私がレオン・フェレロです」
(カミーロ)
「提督、ファブリス翁をお連れしました」
(フェレロ公爵)
「ファブリス翁?
ま、まさか」
(ファブリス)
「おお、レオン
本当にレオンではないか、よくもここまで立派になって」
(フェレロ公爵)
「父上………」
(ピエトロ)
「私の贈物が気に入っていただけた様ですね」
ピエトロはフェレロ公爵家にファブリス老人を送り届け、その名声は世界に轟くところとなった
しかし、彼の冒険はまだ始まったばかりである
(エンディング曲が流れ回想に)
リスボンにゃあ金持ちが多いって聞いてたけど、あんな物好きがいるとは思わなかったね
なんたって俺の借金を丸ごと肩代わりしてくれるってんだからな
まあ、俺にとっちゃあ願ったりかなったりだがね
世の中にゃあ悪党が多いぜ
ある酒場で大枚をはたいてエル・ド・ラドの地図を手に入れたと思ったんだがね
そこにはメダルが1個埋まっていただけさ
ま、元は取れたけどね
聖者の杖か、そんなこともあったな
それにしても、この俺が人助けってもんをするとはね
まあ、相手がスポンサーの息子じゃあ仕方ないやな
でもね、こいつを見つけた時にゃあ心が動いたぜ
もしもイスラムのお偉いさんに売りつけりゃあ、結構な儲けになったんじゃないかってね
世間の仕組みってのは不思議なものさ
地図屋に教わって新大陸に来て見りゃ行方不明のファブリス爺さんを助ける事になるんだからな
それにしても爺さんがエル・ド・ラドを発見した冒険家だったとは驚きだね
まあ、これでフェレロ家への借りは返したし
これからは勝手気ままに冒険でもして回るかな
まあ、世界は広いからまだ何か見つけていないお宝が眠っているかも知れねえしな
(以降は全主人公全ED共通部分)
イベリア半島の二大海運国であるポルトガル・イスパニアの隆盛で欧州の海外進出は大いなる発展を遂げた
また、16世紀中葉においてはそれに触発されたイギリス・オランダ等の新興勢力が次第に台頭して行く事となる
やがて、欧州の航海者や宣教師達は幾多の波濤を乗り越えて遥か日本にまでも頻繁に渡航する様になる
大航海時代
かつて多くの冒険家がちっぽけな帆船を駈って大海原に乗り出した時代
危険を恐れず未知の領域に挑戦し数多くの新発見をヨーロッパ中にもたらせた、希望の時代
そして何より、『冒険』という言葉が色褪せていなかった時代
近代史が地球上全ての地域の連結から始まるとするならば、「大航海時代」は近代への幕を開いたとも云えるのである
Fin
最終更新:2021年05月22日 14:31