絶対神ン・マが転生した影響により地上の空は轟いていた。
勇「地上にすら禍々しい空気が流れ込んでいる。地上界だけではない、マジトピア、インフェルシア、全てが共鳴しあい、絶対神ン・マの誕生に震えを慄いている。」
ヒカル「絶対神が立つのは、世界で生まれて初めての事です。僕達にも予想がつきません。」
勇「言い伝えによれば、後3日もすれば姿だけでは無く、力も完全な状態になる。そして…秘密の力がン・マの中で目覚める」
ヒカル「秘密の力?」
勇「ン・マは飢餓と虚無の塊だ。ン・マに対抗できる方法を見つけ出し、倒さなければ…世界は滅びる…無に還る!」
サンジェルことヒカル(マジシャイン)が絶対神ン・マにやられるビジョンが写し出される。
勇「サンジェル…、天空聖界が心配だ!」
ヒカル「はい、僕もそう考えていました。天空大聖者マジエルの元へ戻ろうと思います」
小津家。
一同「頂きます!」
勇「みんなに言っておきたい事がある。今、我々に残された時間は少ない、俺と母さんはこの後、スノウジェルの所へ行って知恵を借りようと思う。そして…」
ヒカルことサンジェルが立ち上がる
ヒカル「僕はマジトピアへ戻る、たぶんここへは二度と戻ってこられないと思う」
その言葉を聞くと、マジレンジャーらは驚き、麗が立ち上がると同時に牛乳が入っていたコップが床に落ちて割れる。
ヒカル「今までありがとう。君たちのことは忘れない」
麗「嘘!」
インフェルシア・神々の谷。
スレイプニル「話とはなんだ?」
スフィンクス「人間には我々には無いものを持っています。」
ナイ・メア「どういうこと?」
スフィンクス「勇気、絆、どれも興味深いものです。地上を滅ぼしてしまえばそれらも消えて無くなる、今後の神罰を中止し地上界を残すことは出来ないのでしょうか?」
その言葉を聞くとスレイプニルは槍を激しく地面に突く。
スレイプニル「血迷ったか!? 知恵と理性の冥府神スフィンクスとあろうものが、地上は如何程の価値は無い!」
スフィンクス「ですが…」
ダゴン「我等はインフェルシアのためにある、絶対神ン・マの意志こそが全てだ!」
ダゴンがそれを言うと裁きの石版から紅い稲妻が帯びる。
スフィンクス「これは…」
冥府神3人らが頭を下げる
ン・マ「スフィンクス、我が名の力によりて、神罰執行を命じる、地上の些末な命でかまわぬ、ひとときなりと私を満たせ」
スフィンクス「仰せのままに…」
stage47 君にかける魔法 ~ルルド・ゴルディーロ~ |
ヒカルは小津家の写真を持つと、麗が戻ってくる。
麗「ヒカル先生、まさか…、もう帰っちゃうの…?」
ヒカル「マジエルとルナジェルの事が気になるからね。」
麗「待ってて!みんな呼んで来る!」
ヒカル「いや、いいんだ。別れは明日にしていた方が辛くなるから」
麗「私達…まだまだヒカル先生に教えてもらわなきゃいけない事があるのに…」
ヒカル「君達5人はもう立派な魔法使いだ、むしろ僕が多くの事を教わった。」
麗「ヒカル先生。私…」
ヒカル「僕の授業はこれまで…」
麗は辛くなると鞄の中でスモーキーが暴れ、飛び出す。
スモーキー「旦那!旦那!、トラベリオンの釜が故障してるんだよニャー!修理まで夕方くらいにかかるニャー…」
ヒカル「そんなはずは…」
マンドラ坊や「それは大変でござりますです。 僕ちんも手伝うでござりますです~」
スモーキー「おう急げ!」
それをいうと二匹はトラベリオンの所へと迅速に行く
麗「ヒカル先生、先生って地上界に来てから、ずっと授業と戦いばかりだったでしょ?。マジトピアに帰る前に今日一日全部忘れて、遊ぼう? お願い…」
ヒカル「わかった…」
麗「良かった!うれしい! そうと来たら、おしゃれしなくちゃ!」
麗がそれを言うとヒカルを連れて準備のため部屋へと行くと、トラベリオンがある部屋の扉を開け、それを見守るマンドラ坊やとスモーキー。
マンドラ坊「良かったで御座いますです!」
スモーキー「全く、世話が焼けるニャー!」
それを言うと、麗とヒカル以外のマジレンジャーが回廊へと戻る
蒔人「かゆい、かゆい、かゆい。 歯がゆいったらないな!」
マンドラ坊「みな、皆様!、いつの間に!」
翼「ヒカル先生と麗姉が好き同士だなんて、最初からわかってたよな?」
芳香「麗ちゃん、気持ちちゃーんと伝えたいんだろうな?」
魁「ヒカル先生はどうするんだろう?」
蒔人「よし!ここはみんなで影からこっそり応援だ!」
魁・蒔人・芳香「おう!おう!」
スモーキー「それって盗み見じゃん」
マンドラ坊「ふぁえ…」
一方、勇と深雪はスノウジェルの所へと訪問し会話をしていた。
スノウジェル「ン・マの秘密の力か?」
勇「如何なる力なのか?戦う術はあるのか?是非、お知恵を拝借致したく。」
スノウジェル「マジトピアの言い伝えには、絶対神の転生は終わりの始まり。そこにあるのは漆黒の闇、究極の虚無、光と希望さえ贄となると、秘密の力は何かはわからぬ、恐らく我らの想像を超える脅威であろう、決して油断してはならぬ、如かして恐れてはならぬ。」
麗はピアノを弾いている中、準備を整えたヒカル先生が戻り、二人と一緒に動物園へと行く
ヒカル「ここは…?」
麗「動物園!地上の色々な生き物が見られるの、あっ!ほら!虎!、猿!」
ヒカル「ウキッ!」
ヒカルはそれを見ると猿の真似をし麗は笑う。
麗「あっ!鷲!」
ヒカル「翼に似てるね。」
麗「フラミンゴ!」
ヒカル「あれは芳香だね。」
麗「ペンギン!」
ヒカル「これは…魁かな?」
麗「ゴリラ!」
ヒカル「蒔人!」
麗「お兄ちゃん!」
麗とヒカルは道中を歩き、噴水で待つ中、飲み物を持ったヒカルが戻ってくる。
ヒカル「お待たせ!」
麗「ありがとう!。あったかーい!」
2人は座る中、老夫婦が来る。
老妻「ちょっといいかしら?」
老夫「写真をお願いできないかな?」
麗「いいですよ!」
老夫「いやいや、君たちを撮らせて頂きたいんだ。」
老妻「さっきから、素敵なお二人だと思ってたのよ。是非1枚お願いできないかないかしら?」
ヒカル「いえ…それはちょっと…」
そんな中、二人を観察してたマジレンジャーらの蒔人が出るのを慌て止める
ヒカル「思い出になるようなものを残しても、僕はいなかったと思って麗に新しい生活を贈って欲しい。」
麗「もう二度と地上界に戻ってこないつもりですか?」
麗は悲しむかのように再び目を合わせる。
麗「でも私…やっぱりヒカル先生の事を忘れません。絶対に忘れられない…だって…。」
麗はヒカルの腕を掴む
麗「ヒカル先生の事が好きだから。」
慌てる4人とマンドラ・スモーキーがそれを聞くと唖然し、ヒカルは掴んでいる麗を離す。
ヒカル「だめだ!そんなことを言っちゃ…。僕は…。」
それを言うと麗は再び辛くなる。
魁「なんでだよ!」
4人が二人の元へと駆けつける
ヒカル「みんな!」
翼「麗姉にここまで言わせておいて!」
蒔人「俺の妹を泣かすとは、いくらヒカル先生でも!」
芳香「見損なったわ!ヒカル先生!」
魁「正直に言ってくれよ!」
スモーキー「旦那の腰抜け!ヘタレ!臆病者!」
マンドラ坊「見てられないでございますです!」
麗「やめて!。ヒカル先生を困らせちゃ駄目だよ…それが私達生徒の務めだもん…。」
ヒカル「麗…」
会話を終えると、雷が轟き、闇のオーロラが現われる。
魁「あれは!?」
神罰執行を命じられた冥府神スフィンクスが出現し、マジレンジャーらはマジレジェンドとトラベリオンで立ち向かう。
スフィンクス「来たか!魔法使い!」
レッド「お前は少しは話せるやつだと思ったのに!」
スフィンクス「黙れ!お前達を倒す…、絶対神の飢えを満たすためにはそれしかない!」
スフィンクスは即座にウィズダムカノンをマジレジェンドに放ち、大きなダメージを受けたマジレジェンドことマジレンジャー5人は元の姿へと戻る。
マジシャイン「デストラクションファイヤー!逆噴射!」
トラベリオンがそれを放つ間際、スフィンクスはウィズダムカノンに内蔵された剣であるライオニック・ブレイドを迅速に展開する。
スフィンクス「ライオニック・ブレイド!」
目にも止まらぬ速さでトラベリオンを剣で切り裂いた後、ウィズダムカノンを至近距離でトラベリオンの胸部に向ける。
スフィンクス「喰らえ!」
トラベリオンはウィズダムカノンによる大きなダメージを受けマジシャインは飛ばされる。
レッド「先生!」
ブルー「ヒカル先生!」
スフィンクス「お前達、その弱さでン・マに敵うと思ってるのか!?」
等身大となったスフィンクスはそれを言うとウィズダムカノンをマジレンジャーに向けて放ち、ダメージを受けて倒れるもマジブルーが立ち上がる。
ブルー「思ってるわ!だって…私達には守りたい大切な物があるもの!」
マジシャイン「麗…」
ブルー「この思いがある限り、私達は絶対負けない!」
スフィンクス「思い…、それがお前達の絆、そして勇気の元になるものか?。しかし…、何と不確定な…、だが…、冥府神には持ち得ないもの…、もし思いが運命を左右するなら…、あるいは奇跡が…」
スフィンクスはマジブルーの言葉を受け入れ認めたのか、運命を左右する言葉を呟き、姿を消すと、マジレンジャーらは変身を解除する。
魁「あの冷静なスフィンクスがン・マの事、滅茶苦茶びびってた」
蒔人「ン・マはそれ程強いのか?」
ヒカル「いや…、強いって言葉すら足りないくらいだろ、僕は死ぬ覚悟を決めた。」
麗「えっ?」
魁「何言ってんだよ、ヒカル先生?」
蒔人「俺たちが付いてるじゃないですか!」
芳香「そうよ!まだわからないじゃない!」
翼「先生らしくないぜ。」
ヒカル「僕は自分の最後を知っている!その景色を確かに見たんだ…。僕はもう君たちに何一つしてあげられない、約束をしても守れないし、嘘をつくことになる。」
ヒカルがそれを言うと、麗は階段の手すりを掴み、咽び泣く。
ヒカル「だから…」
インフェルシア・神々の谷。
スレイプニル「スフィンクスが神罰執行を放棄して逃げおった!」
ダゴン「裏切りは許されん!スフィンクスには粛清を下す!妖幻密使!」
ナイ・メア「はいっ!」
ダゴン「奴の世界『賢者の夜』へ案内しろ」
ナイとメアはバンキュリアに戻る。
バンキュリア「かしこまりましたでございます!」
スフィンクスを粛清するため、バンキュリアの後を追ったダゴンとスレイプニルがいなくなると裁きの石版から紅い稲妻が帯びる。
ン・マ「限りを迸る…疼き、掻きむしる…… 我が内に虚無と飢餓が逆巻いている…」
裁きの石版が壊れ絶対神ン・マが現われる。
ン・マ「わが虚無を満たせ、マジトピアよ!」
一方、海辺でヒカルは苦悩を考えていた。
スモーキー「旦那…」
すると深雪がヒカルの元へ訪れる。
深雪「麗が鍋磨きを始めたわ、悲しいことがあって、苦しかったりする時もあなたの癖、昔からずっとそうなの、独り言だと思って聞いてくれる?、昔話よ、私は勇さんが好きで勇さんも私が好きで、こういう事は二人にもわかるものにね。でも…勇さんはどうしても受け入れようとはしなかった自分は戦士でいつ死ぬかわからないし、私の事も危険な目に合わせてしまうからって。でも…私が本当に恐れたのは…勇さんの愛を失うこと…それ以外怖いことなんて無かった。たとえ、苦しみであろうと悲しみであろうと、二人で味わえば喜びに変えられる、体が離れてしまっても、愛し合ったって記憶があれば、人は記憶だって強くなれるものよ。あの子もきっと…」
ヒカル「僕は…」
ヒカルは麗と一緒に過ごしていたことを回想した後、去っていき。一方、麗は鍋磨きをしているとヒカルは家へと戻る。
小津家
ヒカル「麗」
ヒカルの言葉に呼びかけられると麗は鍋磨きを止める。
ヒカル「僕は麗を傷付けるのが怖かった、閉まっちゃいけないと思った、だけどそれは間違いだった、勝手に想像して、勝手に怖がっていただけだった、僕は麗の強さを全然理解できていなかった。麗…僕の妻になってほしい!」
それを聞くと小津家らは唖然する。
麗「おかしいな、うれしいのにレジェンドパワーが暴走してる?」
ヒカル「大丈夫だ。」
ヒカルは麗を励ます。
ヒカル「君のレジェンドパワーで悲しみが暴走することが無いよう、僕が特別な魔法をかける」
ヒカルは麗を抱きつく。
ヒカル「幸せと言う名前を…」
麗「はい。」
一同「やったぁー!」
それを見たマジレンジャー4人らは喜劇を大きく叫び、二人の元へと駆けつける。
蒔人「ヒカル先生が義理の弟になるって事か!?」
芳香「じゃあもう呼び捨ていいわね!」
勇「五歳上の麗が我に返れば花嫁か」
深雪「私達の娘と貴方の弟子が結ばれる、こんな完璧な組み合わせは無いわ」
勇「ルルド・ゴルディーロ!」
勇はマージフォンで魔法をかけ、部屋を教会に変える。
マンドラ坊や「皆々様!花嫁のご入場でございませる!」
扉からウエディングドレス姿の麗が入り、勇は麗を連れてヒカルの元へ向かう。
マンドラ坊や「麗ちん、綺麗でございますです!」
蒔人「同感だ!」
芳香「いいな!ウエディングドレス!」
翼「着たじゃん、一回。」
魁「芳香姉ちゃんなら、何十回も着てるよ。」
それを聞くと芳香は魁と翼の耳を抓る。
深雪「おめでとう、麗。」
二人が揃うと、宣教師であるスモーキーが結婚の誓いを言う。
スモーキー「汝、サンジェル、小津麗を健やかなる時を、花が渇きし時も、マジトピアにおいても地上界においても、ずっと愛し続けることを誓うニャ?」
ヒカル「誓います」
スモーキー「汝、小津麗、サンジェルことマジシャインことヒカル先生を健やかなる時も髭の数、少なき時も、マジトピアにおいても地上界においても、ずっと愛し続けることを誓うニャ?」
麗「誓います」
スモーキー「それでは指輪の交換を。」
麗は花をスモーキーに渡し、二人とも指輪を交換する。
スモーキー「ではでは、誓いのチューだにゃ!」
ヒカル「それは、ちょっと…」
スモーキー「何言ってるにゃー!チューしないと誓ったことにならないんだニャン!チュッ!チュッ!」
スモーキーの言う通りに二人がキスする瞬間に突然と扉が激しく開き、リンことルナジェルが口から血を流しながら部屋に入り、衰えながら倒れる。
魁「リン!」
それを見た魁は咄嗟に駆けつける。
魁「リーン!」
賢者の夜。
バンキュリアの案内でダゴンとスレイプニルは神罰執行命令から逃亡したスフィンクスと立ち会う。
スレイプニル「スフィンクス、絶対神の命令に逆らったからには、覚悟の上だろうな?」
スフィンクス「わかっています…、これも冥府神であることの悪しき定め、魔法使いの持つ勇気は無限、それに比べれば我々に与えられた力はほんの小さなもの。」
裏切ったことを認め、訴えるスフィンクスならびに冥府神ダゴンとスレイプニルをの会話を聞いたバンキュリアはナイとメアに別れる。
ナイ「勇気は…」
メア「無限?」
スレイプニル「口事を!」
スレイプニルはスフィンクスをオーディーンスピアーで切り裂く。
ダゴン「地上界に惑わされるとはな、愚かだな。」
スレイプニルの攻撃を受けたスフィンクスは再び立ち上がる。
スフィンクス「愚かなのは、ン・マにしか居えぬ貴方達です!」
ダゴン「それのどこが?、ン・マは絶対なのだ!、いざ裁かん!」
ダゴンは粛清の矛でスフィンクスを切り裂くと同時にかけていた眼鏡がナイとメアの所に向かって、吹き飛んで落ちた衝撃でレンズが壊れる。
一方で結婚式間際の小津家の魁は倒れたリンを呼びかけていた。
魁「しっかりしろ!リン!」
リンは目を開け、覚める。
魁「一体何があったんだ?」
リン「マジトピアに…ン・マが現われ、天空聖界は全滅した…」
一同「えっ!?」
最終更新:2017年01月11日 18:18