ドラえもん のび太と空の理想郷のオープニング

22世紀 北極海


数機のタイムマリンがやってくる。

隊員1「現在地に北緯82、東経5。各艦、予定空域にワープワールド……」
隊員2「レーダーに反応! 目標発見。間違いありません……」
隊長「よし、各艦に通達。作戦通りに展開せよ!」
2人「了解」
隊員1「1番から4番まで右舷に展開。ワープによる飛行不良のため、目標および良寛の位置はレーダーで確認せよ」
隊長「いいぞ、そのまま囲め…… ぬかるなよ!」
隊員2「5番から8番まで左舷に展開」
隊長「正面から体制せよ!」

人物の操作により物体が消えてしまう。

隊員1「えっ? き、消えた……」
隊長「なんだと? そんなバカな……」
隊員2「目標ロスト。逃げられました」
隊長「ううっ、くっ!」

地面には三日月の跡が残っていた。


小学校。

のび太「ユートピア?」
出木杉「そう…… ユートピアは三日月の形をした島でね、争いも競争もなく飢えることもない、誰もが幸せに暮らせる国なんだ…… いわゆる理想郷。楽園だね」
ジャイアン「飢えることがないってことは、うまいもん食べ放題ってことか?」
スネ夫「争いもないってことはいい人ばっかりってこと?」
しずか「全員優等生の国ってことかしら?」
出木杉「うん」
のび太「じゃあもしかしてテストもないの? 乱暴なやつも意地悪な奴もいないの? ああっ、なんで僕はその国に生まれなかったんだ?」
ジャイアン「ほう…… 乱暴なやつに……」
スネ夫「意地悪なやつね……」
2人「誰のことかな? のび太くん……」
のび太「ああ、いや……」
スネ夫「どこで生まれようが、のび太はダメなやつだろ!」
のび太「僕だって出木杉みたいになってたかもしれないだろ? ねぇねぇ、ユートピアってどこにあるの?」
出木杉「この本はトマス・モアという人が書いた小説…… ユートピアは創作だよ」
のび太「なんだ…… 本当にあるわけじゃないのか」
スネ夫「当たり前だろ?」
出木杉「でもあながち全くの作り話とも言えないかも……」
のび太「えっ?」
出木杉「ユートピアにはモデルがあるという説もあるから」
しずか「理想郷伝説は大昔から世界中にあるのよね?」
出木杉「うん。例えば幻島トゥーレの伝説。北極海に確かにあった大きな島なんだけど、ある日突然消えてしまったんだって。他にも海に消えたムー大陸やアトランティス……」
しずか「日本の海の底の竜宮城もそうじゃない?」
出木杉「そうだね。中国の山奥にあると言われる桃源郷や空飛ぶ年のマゴニアもあるし、不思議な偶然だよね……」
のび太「じゃあじゃあ、見つかってないだけでユートピアがどこかにあってもおかしくないよね? どこにあるんだろう…… 海の底? 高い山のてっぺん? やっぱり空に……」

みんなが席に着く中、のび太が先生とぶつかる。

先生「野比! さっさと席に着かんか‼︎」
のび太「はい!」
先生「ったくもう……」

のび太の点数は相変わらず酷いものである。

のび太「ああ……」
先生「しっかり復習するように…… 聞いとるのか、野比!」
のび太「はい!」


放課後。
生徒たちが下校していく。

のび太「はぁーあ……」

(『のび太のママ「のび太? なんですかその点数は?』)

のび太「ひいいっ! ん? しずかちゃん! 今日はあやとりして遊ばない?」
しずか「ごめんなさい。今日はテストの復習しないと……」
のび太「復習は明日でもいいじゃない」
しずか「でも今日やらないと忘れてしまいそうだから…… また今度ね」
ジャイアン「おい!」
スネ夫「のび太……」
2人「ふふふ……」
ジャイアン「暇なら野球のメンバーに入れてやるぞ。エラーしたらぶっとばすけどな……」
のび太「いや、でもテストの復習が……」
スネ夫「明日でもいいじゃない。ふふふ……」


野球の試合ではのび太がアウトになる。

少年「はい、アウト」
ジャイアン「のび太!」
のび太「オーライ、オーライ……」

球を取り損ねる。

ジャイアン「のび太!」

さらには三振までしてしまう。

少年「バッターアウト!」
ジャイアン「のび太……」

ジャイアンはのび太をボコボコに殴る。

スネ夫「やっぱり何をやってもダメなやつ……」


野比家。

のび太「ただいま……」
のび太のママ「おかえりなさい。今日テスト返ってくるんじゃなかった?」
のび太「えっ? いやあ、返ってきてないけど?」

のび太が急いで部屋に戻る。

ドラえもん「南の島!」

ドラえもんがドアにぶつかる。
その後、すぐにどこでもドアを閉める。

ドラえもん「はぁーっ……」
のび太「何やってるの?」
ドラえもん「ひみつ道具の整理中…… ああ、やっぱりこのどこでもドアは寿命だな。あとは…… これとこれもダメ」
のび太「やっぱりドラえもんの道具はガラクタばっかりだな」
ドラえもん「大きなお世話だ! 仕方ない。リサイクルに出すか…… 『四次元ゴミ袋』!」
のび太「そのゴミ袋は?」
ドラえもん「使い終わったものを四次元空間のゴミ置き場に置いておける。入れられるゴミの量は限られてるけどね……」
のび太「ふーん…… あっ! ドラえもん……」
ドラえもん「ん?」
のび太「僕がやっといてあげるよ。ドラえもんは散歩でもしてきたら?」
ドラえもん「いいの? のび太くんにしては気が利くな…… じゃあせっかくだから、こないだ知り合ったアメショーのモモちゃんとおしゃべりでもしてこようかな…… それじゃああとよろしく」
のび太「はーい!」

ドラえもんが部屋を後にする。
のび太はその間に答案をゴミ袋に入れようとするが。

ドラえもん「のび太くん!」

答案が中に入る。

ドラえもん「今、何を捨てた?」
のび太「何も捨ててないよ?」
ドラえもん「君が親切になるときは悪だくみするときだけだ。どうせ0点のテストでも捨てたんだろう?」
のび太「0点だけじゃないやい。10点や15点もあるやい!」
ドラえもん「やっぱりそうじゃないか。君ってやつはいつもいつも、もっとしっかりしたらどうなんだ!」
のび太「僕だって優等生に生まれたかったさ。だいたい僕をしっかりさせるのがドラえもんの役目じゃないか? このダメロボット!」
ドラえもん「人のせいにするな。このダメ小学生!」

ドラえもんとのび太が喧嘩し始める。

のび太のママ「静かにしなさい!」
ドラえもん、のび太「ごめんなさい……」


裏山。
のび太が寝ていた。

のび太「はぁーっ…… ユートピアが本当にあったらなぁ……」

すると空から勢いで何かが降ってくる。
その正体は青い虫だったが、のび太の鼻にとまるが、追い払われてもすぐ近づく。

のび太「しつこい虫だな…… ん?」

空に三日月が現れる。
しかし、すぐ消えてしまう。

のび太「あ、あ、あれは! ド、ド、ドラえも〜ん‼︎」

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最終更新:2024年09月17日 20:21