(※全46話の内、第46話は総集編ですので、実質的な最終回である第45話を紹介します)
邪魔大王国の支配者・竜魔帝王のもとに、幹部のイキマとアマソ、ハニワ兵士たちが勢揃いする。
イキマ「竜魔帝王。ハニワ兵士およびロボット兵士は、ただ今全員、集結終了しました」
竜魔帝王「諸君! いよいよ決戦の時が来た。皆、覚悟はいいな?」
イキマ「もちろんでございます。我々は、この日が来るのを待っておりました」
竜魔帝王「女王ヒミカ以来、数々の犠牲を出しながら、我々の目的・世界制覇は達成できておらん。今回は我々は総力を挙げて鋼鉄ジーグ、ビルド・ベースを粉砕する。ただちに出撃準備に入れ! 第一弾はアマソの隊だ!」
宙は夜の高級ホテルのレストランで、母の菊江、妹のまゆみを食事に招いている。
ビルド・ベースでのパートナーの美和、司馬モータース従業員のチビまで同席している。
宙「さぁ、みんな。遠慮なく、好きなだけ食べてくれよ」
まゆみ「フフッ。ねぇ、お兄ちゃん。お金、払えるの?」
菊江「まゆみ」
宙「心配するなって。このぐらいだったら、いつだって」
まゆみ「だったら今までも、もっとこういうところへ連れて来てくれればいいのに」
宙「うぅん、そりゃそうだけど、お兄ちゃんはいつも忙しかったからな」
菊江「宙がこんなことして、何か変わったことが起きなければいいけど」
宙「!? ……実は、母さん。明日──」
菊江「宙! いいのよ」
宙「……母さん、今度こそ決着をつけたいんだ!」
美和「宙さん!?」
一同「……」
宙「今度で、すべてを終わらせなければならない。俺自身いつまでも、今までのようなことはしていられない気持ちなんだよ」
菊江「宙、それでは……」
宙「みんなとのお別れのつもりです。そのくらい決心しているんだ!」
まゆみ「お兄ちゃん、どっか遠くへ行っちゃうの?」
宙「心配するな。すぐ帰って来るよ」
料理が運ばれてくる。
店員「お待ちどう様」
宙「さぁ、じゃんじゃん食べてくれ!」
店内の照明が消える。
チビ「あっ、停電だ」
まゆみ「違うわ。外を見て」
窓の外には、他の建物の灯りが見える。
チビ「ありゃ? すると、このホテルだけか」
美和「そうよ」
宙「そりゃ、おかしい。何かあるぞ」
突如、ホテルが大きく揺れ出す。
一同「わあっ!」「きゃあっ!」
チビ「ミッチー、怖い~!」
宙「ミッチー、様子を見て来る、母さんたちを頼むぞ!」
美和「わかったわ!」
宙は、ホテルの電源室へ駆け込む。
宙「くそぉ、誰かが電源を切ったんだ」
電源スイッチを入れ直すと、照明が灯り、揺れもおさまる。
宙 (おかしいな? 電源を入れたら、地震が止ったぞ)
ハニワ兵士たちが現れ、宙に襲いかかる。
宙「お前たちの仕業か!?」
まゆみ「あ~あ、せっかくのご馳走が……」
美和「おばさま、早くここを出ましょう」
菊江「でも、宙が」
美和「何か嫌な予感がするんです。それに、他のお客さんはみんな帰ってしまいましたし、早く出た方が」
菊江「……そうね。(でも一体、宙はどうしたのかしら?)」
宙はハニワ兵士たちに、屋上へ追いつめられている。
宙「チェンジ・サイボ──グ!」「ジーグビュート! いくぞ、ハニワ兵士!」
宙がサイボーグに変身し、ハニワ兵士たちに反撃する。
美和や菊江たちはホテルから出て、タクシーを拾う。
突如、道路が激しくひび割れる。
人々「うわあっ!」「何だぁ!?」
美和は菊江たちをタクシーへ乗せると、自分は外に残る。
美和「運転手さん、ビルド・ベースへ急いで!」
菊江「美和さんは?」
美和「私はオートバイで、後からすぐに行きます!」
タクシーが走り去る。地面を突き破り、巨大なハニワ幻人・エレキが現れる。
そこへ、宙が降り立つ。
宙「ミッチー、早くビッグシューターで出動してくれ!」
美和「わかったわ!」
宙「来い、ハニワ幻人!」
ビルド・ベースの大利所長のもとへ、菊江やチビたちが駆け込んでくる。
チビ「所長、大変です!」
大利「どうした!?」
菊江「街にハニワ幻人が現れたらしいんです!」
大利「何、ハニワ幻人!?」
通信「所長、こちら美和! ビッグシューター、発進します!」
大利「卯月くん、敵は総攻撃の構えだ。頼んだぞ」
美和「わかりました。ビッグシューター・ゴー!」
宙が身軽に、ハニワ幻人エレキを翻弄する。
アマソがエレキに檄を飛ばす。
アマソ「エレキ、何をしておる! 奴が鋼鉄ジーグにならない内が勝負だ。ビッグシューターに邪魔されない内に、始末しろ!」
エレキが電磁網を放ち、宙は捕えられてしまう。
そこへ、美和のビッグシューターが飛来する。
美和「アマソのハニワ幻人だわ」
宙は網から放たれる電撃に苦しみつつ、必死に網を破ろうと、もがいている。
宙「くそぉ、体が痺れる!」
大利「そんなことをしていると、電磁波を盗られてエネルギーを消耗してしまうぞ!」
宙「しかし、この電磁網から脱出しないと!」
大利「こうなったら、メカドンに応援を頼もう」
ビッグシューターが援護しようとするが、逆にエレキの攻撃を受け、煙を吹きつつ墜落してゆく。
美和「所長! ああぁっ!?」
大利「卯月くん!? 卯月くん、どうしたんじゃ!? ──駄目だ、応答がない」
所員「あれは!?」
ビルド・ベースのそばに、邪魔大王国の幻魔要塞ヤマタノオロチが出現する。
大利「幻魔要塞だ! ミサイル発射準備!」
そして要塞から竜魔帝王と、無数のハニワ兵士たちが現れる。
竜魔帝王「司馬博士、もう悪あがきはやめろ! 頼りの鋼鉄ジーグは使い物にならん。おとなしくビルド・ベースを放棄するのだ。さもないと、お前の研究所は永久に消滅してしまうぞ。ガハハハハ!」
司馬「竜魔帝王に宣言する! ビルド・ベースは絶対に降伏せん!」
竜魔帝王「フフフ。強がりを言うと後悔するぞ。よし、皆殺しだ! 攻撃開始!」
ハニワ兵士の大群が、ビルド・ベースに攻めて来る。
大利「ミサイル、スタンバイ! 発射!」
ミサイルが放たれ、ハニワ兵士たちを撃破してゆく。
しかしハニワ兵士たちは、次から次へと突進してくる。
幻魔要塞からの攻撃で、ミサイルの砲塔も破壊されてしまう。
所員「所長、このままでは兵士たちに乗り込まれます!」
大利「ビッグシューターをレーダーで探知してくれ!」
宙のもとには、黒鷲のドンとパンチョの乗ったメカドンが駆けつけ、電磁網を解こうとしている。
パンチョ「社長、痺れるぅ!」
ドン「バカ! 我慢するんだ!」
大利「卯月くん、卯月くん! 緊急指令じゃ! 卯月くん、応答してくれ!」
美和「……所長!?」
大利「卯月くん! 早く宙くんに、ジーグパーツを送ってくれ! このまま竜魔帝王の攻撃に遭ったら、ビルド・ベースが破壊されてしまうぞ!」
美和「わかりました。ビッグシューター・ゴー!」
ようやく、宙は網から抜け出し、自由の身となる。
ドン「さぁ、ジーグ、もう大丈夫だ。早くビルド・ベースへ!」
しかしエレキの攻撃を食らい、メカドンは破壊されてしまう。
パンチョ「きゃあ! 僕ちゃん、もう駄目ぇ~!」
宙「くそぉ、ハニワ幻人が戻って来たのか! ジーグビュート!」
宙が再び、エレキに挑む。
そこへビッグシューターが飛来する。
美和「宙さん、ビルド・ベースが危ないわ。急いで!」
宙「鋼鉄ジ──グ!」
美和「ジーグパーツ・シュート!」
宙「ビルドア──ップ!!」
宙がビッグシューターから射出されたパーツと合体し、巨大ロボット・鋼鉄ジーグが完成する。
宙「スピンストーム!」「ダイナマイトキ──ック!」
しかしエレキは、ジーグの攻撃を次々にかわす。
宙「しぶとい奴め! ミッチー、スカイパーツだ!」
美和「スカイパーツ・シュート!」
宙「スカイパーツ・セット!」「行くぞ、ハニワ幻人! スカイビーム!」「スカイミサイル!」
ジーグが飛行装備のスカイパーツと合体し、空中攻撃でエレキを撃破する。
そのままジーグが空から、ビルド・ベースを目指す。
竜魔帝王「むっ、鋼鉄ジーグではないか! ハニワ幻人はどうした!?」
イキマ「はっ! アマソもエレキも、やられました」
竜魔帝王「くそぉ! こうなったらロボット獣バドーを出撃させろ!」
ハニワ兵士たちがビルド・ベースの中へ突入する。
進路が隔壁で塞がれ、兵士たちを阻む。
大利「これでしばらくもつだろうが、もしロボット獣でも来られたら」
その危惧の通り、幻魔要塞からロボット獣バドーが出現する。
そこへジーグが飛来する。
宙「待て、ロボット獣! スカイミサイル!」
バドーは自在に空を舞い、ジーグの攻撃をかわし、反撃を見舞う。
宙「うわぁ! くそっ、バランスがとれない!」
司馬「宙、エネルギーを消耗した証拠だ。焦るな!」
さらにバドーのビームを浴び、ジーグは墜落してゆく。
宙「うわぁっ! 駄目だ、痺れて自由がきかない!」
墜落したジーグが、地面に突き刺さる。
司馬「宙、しっかりしろ!」
宙「父さん、エネルギーがなくなちゃ、もう駄目だ!」
司馬「弱音を吐くんじゃない! お前に平和を守る気力があるかないかだ!」
竜魔帝王「これで勝負はついたようなもの。あとはビルド・ベースを撃ち砕いてしまうのだ!」
司馬「大利くん、大利くん!」
大利「司馬博士!?」
司馬「大利くん、私を1人だけ、避難カプセルに移してくれ」
大利「えっ! そ、そんな!?」
司馬「この戦いに敗れたら、恐らく日本は竜魔帝王の支配を受けることになってしまう。命を賭けて戦わないと、日本の平和は守れん!」
大利「し、しかし、博士……」
ビルド・ベースから、司馬博士を乗せた避難カプセルが分離し、空中へ上昇する。
竜魔帝王「むっ、カプセルが飛び上がったぞ。よし、幻魔要塞、上昇せよ」
大利「博士! 幻魔要塞が跡を追っています」
司馬「わかっている。却って好都合だ。大利くん、私は平和のために命を賭けたことを、宙に伝えてくれ」
大利「博士、もう少し待ってください!」
司馬「いや、もう待てん!」
イキマ「帝王、避難カプセルは私にお任せください」
竜魔帝王「よし。わしは竜魔船で、鋼鉄ジーグにとどめを刺してくる」
幻魔要塞から、竜魔帝王の乗った竜魔船が飛び立つ。
一方でジーグは、ようやく地面から抜け出す。
宙「ふぅ…… 抜け出すのがやっとだ」
美和「宙さん、大変! 司馬博士が避難カプセルで、幻魔要塞に突入したわ!」
宙「何だって、父さんが!?」
美和「ロボット獣は私に任せて。早く博士を!」
宙「よし、わかった。最期の力を振り絞ってみる! ぐぅぅっ!!」
幻魔要塞が、司馬博士のカプセルを撃ち落とそうとする。
博士のカプセルは攻撃を掻い潜りつつ、果敢に要塞目がけて体当たり。
要塞がイキマを巻き込み、司馬博士をも巻き込み、大爆発──!
イキマ「うわああぁぁっ!!」
宙「父さん!?」
立ち昇る火柱の中から、司馬博士の声が響く。
司馬「戦いは最後の最後まで、諦めてはいかん! 我々の戦いは、平和を勝ち取る戦いだ!」
宙「父さん、俺を信じてくれ。そして、俺を守ってくれ!」
竜魔船がジーグのもとへ、ミサイルの雨を撃ちこむ。
炎の中から、ジーグが飛び立つ。
宙「ビルドチェンジ!」
美和「ジーグパーツシュート!」
宙「ビルドア──ップ!」
ジーグがスカイパーツを分離し、ビッグシューターからのパーツと合体、再び鋼鉄ジーグとなる。
宙「出て来い、竜魔帝王! 勝負をつけてやる!」
竜魔船から、竜魔帝王が姿を現す。
竜魔帝王「死に損ないめ、最後の足掻きというわけか!」
宙「この世の平和を乱す奴は、許せねぇんだ!」
竜魔帝王「よし、では一騎打ちだ! 竜魔の神よ、我に最後の力を与えよ──!」
空から轟いた落雷を浴び、竜魔帝王が巨大化し、ジーグと同じ巨体となる。
宙「ナックルボンバー!」「マグネットロープ!」
ジーグの攻撃は竜魔帝王にまったく通じず、逆に竜魔帝王の投げた剣がジーグの胴に突き刺さる。
宙「うわあぁぁ──っ!」
竜魔帝王「フフフ、鋼鉄ジーグも竜魔剣と共に、消滅だ!」
ジーグの体が粉々に砕ける。
だがジーグは頭部だけとなっても、果敢に竜魔帝王に体当たりを見舞う。
竜魔帝王「うおぉぉっ!?」
宙「ミッチー、パーツとマッハドリルを頼む!」
美和「ジーグパーツ・シュート!」「マッハドリル・セットアップ! シュート!」
宙「マッハドリル・セット!」
竜魔帝王「来い、マドー!」
ジーグが三たびパーツと合体、さらにマッハドリルを装備する。
竜魔帝王はロボット獣マドーを呼び寄せ、その上に飛び乗る。
ジーグがマッハドリルを構えて、ビッグシューターと一丸となって突進する。
竜魔帝王もマドーに乗って突進、両者の間隔が狭まってゆく。
竜魔帝王「食らえ、体当たりだ!」
ジーグの放った渾身のマッハドリルが、マドーと竜魔帝王に炸裂する。
竜魔帝王「グアアァァ──ッッ!!」
竜魔帝王とマドーが、断末魔の悲鳴と共に大爆発を遂げる。
もうもうと立ち昇る火柱の中から、ビッグシューターが飛び出し、その上にジーグが飛び乗る。
宙「やった!」
美和「生きてるのね、私たち! 良かったぁ……」
宙「父さん、俺は倒した! 倒しました……!」
大利「倒したぞ! ジーグが竜魔帝王を倒したぞ!」
菊江「宙……!」
まゆみ「えぇっ! お兄ちゃんが鋼鉄ジーグなの!?」
やがて、夜が明けかける。
宙と美和が丘の上から、ビルド・ベースを見つめている。
宙「父さああぁぁ──ん!!」
空に司馬の姿が浮かび上がり、宙に語りかける。
司馬「宙、よくやった! 人間は、自分の持っている力以上に働けるものだ。それは正義を貫く勇気をエネルギーにしたときだ!」
宙「俺は決して、父さんの死を無駄にはしないよ。母さんも、まゆみも、しっかり守っていきます! そして平和のために、命を賭けて戦います!」
司馬「宙……!」
山の向こうから日が昇る。
朝日の照らす中に、宙の声がこだまする。
宙「父さああぁぁ──ん!! 父さああぁぁ──ん!!」
最終更新:2017年11月23日 13:49