人間回収車の第1話

回収リスト1 黒谷美鈴

美鈴「オラァ!!」
金髪1年「いたっ・・・」
美鈴「私と同じ髪の色してんじゃねぇよ。坊主になりたくなきゃ、明日までに黒くしてこい。わかったな!!」
金髪女子「くっ・・・」
1年女子「保健室行こう!」
美鈴(1年のくせにイキがりたがって・・・)
廊下を歩く美鈴を、他の生徒たちは避けていく。
美鈴(学校一の極悪非道なヤンキーと呼ばれる私、黒谷美鈴に逆らってくるやつは誰一人いない。どいつもこいつも弱ぇーし・・・あーあ、つまんねぇ毎日。なんかおもしろいことねぇかな・・・)


翌日。
美鈴に絡まれていた1年女子は、髪の色を変えずに登校してきた。

美鈴は、彼女を校舎の裏に連れ出した。
美鈴「その髪どーゆーつもりだよ、あぁ!?黒くしろって聞こえなかったのかよ!!」
金髪1年「な・・・なんで先輩の言うことを聞かなきゃならないんですか。私の髪の色なんて、先輩にはなんの関係もないでしょーが」
美鈴「ナマイキ言ってんじゃねえよ!!」
美鈴は金髪1年を殴り倒し、そのまま蹴りつけていく。
美鈴「弱えーくせに調子乗りやがって!!目ざわりなんだよおまえ!!」
そうしてる内に、金髪1年は動かなくなった。
美鈴「お・・・・おい」
「・・・・・・・」
(やべぇ・・・やりすぎたか?どーすれば――――・・・)
?「こちらは人間回収車です。ご不要になった人間はいらっしゃいませんか。
壊れていてもかまいません。どんな人間も回収いたします。お気軽にお声がけください」
美鈴の前を、黒ずくめのトラックが通っていく。
美鈴(な・・・なんだよ、ありゃあ。人間回収車!?真っ黒でなんか気味悪いな・・・
でも人間を回収してくれるってマジか!?」
「なぁ・・・あいつ回収してくれる?」
人間回収車の運転手は、黒ずくめの男だった。
運転手「ご不要でしたらよろこんで回収いたします!!」
運転手は、倒れている金髪1年を片手で持ち上げ、人間回収車の荷台の上に放り投げた。
そのまま、人間回収車は去っていった。
美鈴(おいおいマジで連れていきやがった・・・!!人間回収車・・・あんなのがあったなんて・・・つーか連れてってどーすんだ?まぁいいか・・・おかげで問題は解決できたわけだし)


その後、自宅にいた美鈴に祖母が声をかけてきた。
祖母「おーい、美鈴いるのかい?トイレに連れていってくれないかい?」
美鈴「はぁ!?そんなの母さんに頼めよ!!」
祖母「今、買い物に行ってて・・・」
美鈴「知るかよ!!」
(私の祖母は、自分で立ち上がることもできないほど、病気で弱っていた)
祖母「はあ・・・どうしておまえはそんなふうになってしまったんだい。子どものころは、あんなにやさしい子だったのに・・・学校で相当悪さをしてるらしいね・・・」
美鈴(両親はとっくに私をあきらめているが、祖母だけは、いまだに私のやることなすことに文句をつけてくる)
祖母「頼むから、これ以上情けないことはしないでおくれ」
美鈴「うるせぇな!!自分で立つこともできない老いぼれババアに説教なんかされたくねぇんだよ!!毎日毎日小言聞かせてやがって・・・・!!」
祖母「み・・・美鈴・・・」
そこへ、人間回収車が通りかかった。
運転手「こちらは人間回収車です。ご不要になった人間はいらっしゃいませんか」
美鈴「おい、あいつ回収してくれる?」
美鈴は、祖母を指さして言った。
運転手「ご不要でしたらよろこんで!!」
運転手は、祖母を持ち上げた。
祖母「ひっ・・・美鈴!?誰だい?これは・・・美鈴っ・・・どうしてーーー・・・」
「助けてぇぇぇ」
祖母は、人間回収車に回収されていった。
美鈴(なんだよこりゃ、最高じゃん!!ウザいやつを一人残らず回収させてやる!!)
「あはははは」


担任「黒谷!おまえ、行方不明になった1弁のことを知ってるか?前日におまえともめてたって話を聞いたんだが・・・」
美鈴「知らねぇよ。どっかに遊ぶにでも行ったんじゃないんスかねぇ~、あはは」
担任「まじめに答えろ!!」
美鈴「・・・なんスか、私がそいつに何かしたとでも?そー言いたいのかよ!!」
担任「あ・・・いや、ちがうんだ。何か心当たりがないか、聞きたかっただけだ」
「黒谷!俺はおまえがこの先どうなっていくのか心配だよ。そうイライラせず、心穏やかに毎日を楽しく過ごそうとは思ってくれないのか?」
美鈴「それなら安心してくださいよ。毎日が楽しいっス。今は♡」
(最高にね。自分の手を汚すことなくジャマ者を消せるんだから)


女子「ねぇねぇ聞いた!?ずっと行方不明だった1年・・・昨日戻ってきて、今、入院中らしいよ!!」
美鈴(は!?)
女子たち「よかったねー、クラス中でさがし回ってたんでしょ?」
「でも、そんな大ケガでどこ行ってたんだろうね」
「それが本人は覚えてないって・・・」
美鈴(戻ってきた!?どーゆーことだよ!!ってことはまさか、うちのババァも!?)
美鈴が家に戻ると、祖母も戻っていた。
母「ううっ・・・母さん、ほんとによかった・・・心当たりを全部さがしても見つからなくてもうダメかと」
美鈴「どーやって戻ってきたんだよ、てめぇ!!」
祖母「起きたらここにいたんだよ」
美鈴「はぁ?それって・・・」
祖母「美鈴、部屋から出てってくれないかい?もうおまえの顔なんて見たくもないよ」


美鈴は外に出た。
美鈴「どーなってんだ?これじゃあ回収させた意味がねぇじゃん!!」
運転手「お気軽にお声がけください」
そこに、人間回収車が来た。
美鈴「おい!どーして私の回収させたやつらが戻ってきてんだよ!!おまえが戻したのか!?」
運転手「申し訳ありません。あの二人は、回収の条件に達していなかったもので・・・」
美鈴「なんだよそれ!だったら最初に言えよ!!期待させやがって、ふざけんな!!」
運転手「そうおっしゃらずに・・・条件さえそろえば、二度とこちらへは戻ってこれない場所へ回収するので、ご安心ください。またいつでもお声かけください」
美鈴(何が「条件」だよ。そんなのどーとでも言えるじゃねぇか。つまりハナから回収する気なんてねぇんだろ。どこが「人間回収車」だよ。ふざけんな)


担任「黒谷、おまえ行方不明だった1年をいじめていたらしいな」
美鈴「はっ、だったらなんだよ」
担任「・・・おまえがどんな悪さをしようと、いつかは更生してくれると信じていたが、どうやら無理みたいだな」
美鈴「そーみたいスねぇ・・・」
担任「今まで散々、ほかの先生方を説得してきたが、それももう無理だ。もうこの学校にはこなくていい」
美鈴「?、どーゆー意味だよ?」
担任「おまえのような生徒は退学だ!!」
美鈴「は・・・!?退学!?」
担任「は・・・!?退学!?」
担任「二度とうちの生徒に関わらないでくれ」
美鈴「てめぇ」
不良「暴力はダメだよ、黒谷さん」
「外まで見送りまーす♡」
美鈴「はなせよ、コラァ!!」
美鈴は、2人の不良女子に腕を掴まれ、後者の裏まで引きずり出された。
そこでは、もう2人、不良女子が舞ち構えていた。
不良「退学おめでとう、黒谷。でも私たちはあんたに山ほど借りがあるんだ。このまま逃げられてたまるかよ!!」
美鈴「ぐっ・・・ぐはっ」
美鈴が4人に袋叩きにされ、倒れた。
不良「ざまぁねぇな、黒谷!!」
美鈴「ぜ・・・絶対許さねぇからな、おまえら!!」
運転手「こちらは人間回収車です。ご不要になった人間はいらっしゃいませんか。壊れていてもかまいません。どんな人間も回収いたします」
そこに、人間回収車が来た。
不良たち「キモっ、なんだよあれ・・・」
「なぁ、ためしにコイツ回収させてみよっか?」
「おっ、いいね~~~~」
「あはは」
「おーいお兄さん!!こいつ回収してーーー!!」
運転手「ご不要でしたらよろこんで!!」
美鈴「ぐっ・・・いってーな、おろせよコラァ!!はなせ!!」
美鈴は、両手を縛られ、人間回収の荷台に放り投げられた。
そして、人間回収車が発車した。
美鈴「おい、条件とやらがなんなのか知らねぇが早く戻せよ。あんなババァでも戻ってこれたんだ。私なら余裕だろ?おい!」
運転手「そんなにご心配なさらずぬ。最初に言いましたが私は「不用品」を回収しているのです。あなたからお預かりした重体の少女も、老人も必要とする人がいただけのことです。
かんたんですよ。あなたを心から必要とする人間が一人でもいればいいのです」
「あなたにだって、そう思ってくれる人が、一人くらいいますよねぇ・・・?」
これまで目を閉じていた運転手が、目を開けて笑みを浮かべた。
美鈴「!」(そんなの、私には誰も――――・・・)
「やめてくれぇぇぇ・・・・・」

美鈴を乗せた人間回収車は、何処かへ走り去っていった。

(続く)

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最終更新:2017年04月08日 18:28