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  • 知らぬが仏

オリロワVRC @ ウィキ

知らぬが仏

最終更新:2024年01月16日 06:49

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 イナバ辻は朱雀と別れてから散策を続けていた。
 時折走ったり、能力を使って今の環境に身体を慣らしていく。
 月下の森で走ったり空を舞う姿は、恐らく一枚の絵にもなるだろう。
 痛みはなければ、問題なく走ることもできる。改めてそれが嬉しくてたまらなかった。
 当たり前ができなくなってしまい、絶望のどん底へと沈んでいた毎日からの解放。
 先程は朱雀の存在でパニックに陥ったのもあっので楽しむなんて余裕はなかったが、
 殺し合いだのなんだのを少しだけ忘れてしまいそうになる程に今の自分は自由を謳歌する。
 生きるって素晴らしいとは誰かが言ったが、こういうことなのだと。

「息切れ、して、嬉しい、なんて思うの、初めて……!!」

 ただ限度はある。走りすぎで息切れを起こし、息を整えながら歩く。
 胸が苦しくなると言う痛みについては嫌と言う程慣れたものだが、
 今回はそれが不快に感じない。例えるならば、健康的な痛みと言うべきか。
 いつぶりだろうか。喜怒哀楽の『喜』と『楽』は次第に減っていき、
 転落し続けるだけの地獄みたいな人生で、これほどの気分になれたのは。

「……でも、やらないといけないんだよね。」

 ひとしきり夢を楽しんだ後現実に戻った。
 物理的な意味ではなく、思考的な意味合いで。
 此処は天国なんて生易しいものではなく、間違いなくろくでもない場所。
 人の命が平然と人の手によってその灯火を消していく、生と死の狭間の辺獄。
 将棋のように仲間にならない。主催と言う王を倒すまで集めることは能わず。
 誰もが平等であり誰もが不平等に。チェスの駒のように倒されたら人生が終わり。
 自分がこうして楽しんでいることも、ただチェスの盤上を踊ってるに過ぎないのだと。

 分かっていたところで彼女は止まれない。彼女には道を選ぶ選択権すらもうないのだから。
 この殺し合いが何かの手段で終わってしまえば、自分の身体は今のままでいられる保障もない。
 何も成すことができないまま、ただ自分の人生を呪い続けて死にゆくだけの人生へと戻っていく。
 一体誰が望んで戻りたいと思う。『覚悟があるから幸福』とは輝月が勧めた動画で言った人がいたが、
 そんな覚悟ができるほど自分は強くもないと分かっている。運命なんてものを彼女は信じたくなかった。
 信じてしまえば家族が死んだことも、自分が末期癌も運命に定められたものだということになる。
 こうして交流関係のある人や恩人も殺すことが運命なら、覚悟や運命などクソくらえの一言だ。
 そうは言うが、結局優勝して身体を手に入れ、ありふれた人生の為に行動してしまっている。
 運命なんて変えてやる、みたいな好きだったヒーローからは最早程遠い所へとたどり着いた。
 その言葉を口にした人物のように、己を行為を正当化しているだけのただの身勝手なドス黒い悪。
 そんな哀れな存在に成り下がっていることについては、未だ目を背けているのだろう。
 嘗て封じたその記憶のように、決して振り返ろうとはしない。或いはできない。

「っとと。」

 道を進めば崖でたたらを踏む。
 高さ的にはそこまでではないにせよ、
 まだ今の身体に慣れない彼女が飛び降りても無事に着地できないだろう。
 もっとも、スキルを駆使すれば着地についての衝撃はほぼ無視できるが。

(あ、人だ。)

 近くの崖から、水を放出しながら空を飛んで崖を登る少女を見つけ咄嗟に身を隠す。
 またしてもいきなり戦いに発展してしまい、焦ってミスをするのは避けたいことだ。
 まずは観察。臆病と思われる行為だが、裏を返せばそれは慎重と言う意味でもある。

『そうね、まあ人間観察がちょっと趣味みたいなところあるかも。
 今は勿論貴女を観察しているわ。赤い瞳の奥に、何を隠してるのかしら?』

 輝月と過ごした日々の中で、彼女はそんなことを言ってた記憶がある。
 あの時の瞳はとても蠱惑的で、同時に恐怖を煽られた気がしてならない。
 彼女が何を考えていたかは謎だが、あの人の影響でこうして経験に繋がる。
 人を見る目があるかどうかで言えば正直ない。あればリチャードに関わることはない。
 素人目ではあるが、できるだけじっくりと観察して相手を知っていく。

(今のって、多分水? 水のスキルかぁ。水って敵対したらどうなんだろう、これ。)

 水で想像できることと言えばでぱっと思いつくのは、水で覆って動きを封じたり窒息させたり。
 彼女の能力は自身のワープだが、服と言った生命のないものも含めて触れてればワープしてしまう。
 顔を水で覆われた状態で空へ逃げたとしても、水もそのまま持ち込むので回避が困難だ。
 水の制御の射程や、視認できる範囲しか使えないのであれば逆に楽勝で、能力制限次第で逆転する。
 なので強いのか弱いのか、相性がいいのか悪いのか、余り判断はつかない。

 崖を一気に駆け上がった後、すぐにそこから離れるように相手は走りだす。
 木の上へと転移して、太い枝から枝へと転移を続けながら追跡をしていく。
 彼女は刑事ではないし暗殺者でもない。音を最小限に抑えるにはこれが限界だ。
 イナバ辻が観察を続けて、彼女から見ても相手は無防備な状態でいるように見えた。
 焦燥感溢れる走りで表情も穏やかではない。戦い慣れしてないか、酷い目に遭ったか。
 何にせよ弱いと思えてしまう。こんな状態なら私でもやれるとか、動画のある台詞を思い出す。
 周囲への警戒もせずに一目散に逃げるだけ。能力は便利そうだが、人物的には赤点レベルだ。
 レーザーブレードを構える。今転移から飛び掛かれば、あっという間に殺すか致命傷になるだろう。

(……よし。)





(逃げ、ないと。)

 アクリアはすっかり弱気になっていた。
 と言うより、普通はこういうものだと言えるのだが。
 訳も分からず殺し合いに巻き込まれて命からがら逃げのびる。
 これが殺し合いに巻き込まれた人間として、ありふれた反応だろう。

 彼は目的の為に死を恐れることがない赤音やルナティとは違う。
 彼は愛する人の為に勇気や覚悟を決めてる仔猫やひなたとは違う。
 彼は倫理観を下水道に捨てた屑のリチャードやスターマンとは違う。
 彼は現実でも多くの危険を経験したナイトシャークやTASとは違う。
 彼は今の状況でもリアル同様の行動に出ている閻魔やマキシムとは違う。

 女装癖と言う年頃の少年としては珍しい趣味を持つのは事実ではあるが、
 あくまで普通の中学生。秋月のように不運な事故によって道を踏み外すことはなく、
 高校生にして仇討ちを決めた朱雀のような何かを覚悟してきてるわけでもない。
 親の教育のお陰で、年不相応の礼儀正しさがあるぐらいで、ありふれた子供になる。

 だから怖いものは怖い。
 胸を触られた時に感じたあの変な感触。
 未だに脳裏を過り続ける青年(風凪)の顔。
 まだ一般的な恋愛も性経験も乏しい彼に到底理解はできない。
 あるのは未知に対する感覚や感情への恐怖やそれに伴う吐き気。
 彼が逃げてるのは単なる逃亡もあるが、そんな感情からの逃亡でもある。
 ある意味、だからこそ今の状況に抗えてるとも言えるのだが。

(姉さん……)

 こんなところにいてほしくない。いてたまるかと思いたい。
 でも思ってしまう。姉に会いたい。姉は優れた人物なのだから。
 親がコスプレイヤーなのに口出しできない程度には成績はそれなりと要領の良さ。
 普段はそんな姉に頼りたくなかった。卒なくこなせてしまう優秀な姉を見て育った彼は、
 必要以上に姉に頼ってばかりだとダメな人になると、そう感じて年不相応な性格になった。
 でも、今は違う。どうすればいいのかが分からない。人を信じることに恐怖を持ってしまい、
 人と協力しなければならない状況下。絶望的すぎる状況に、今度ばかりは頼りたくて仕方がない。
 姉ならどう言う? 姉ならなんて考える? 姉ならどうする? 姉の存在が常にちらつく。
 普段シスコンではない筈なのに、思考回路さえもバグのような状態に陥っている。

「ねえ君! 大丈夫?」

「ヴェ!?」

 咄嗟に上からかけられる声に心臓が飛び出しそうになった。
 こんなに接近されてた事実に全く気付いてなかったのだから。
 ほんの五メートル程度離れた木の上から、相手は飛び降りてくる。
 思わず指を向けつつ攻撃しそうになったが、辛うじて攻撃は躊躇できた。
 単にイナバ辻が攻撃を受けても回避が間に合うスキルの所持者でもあるが、
 相手も木の上から飛び降りるまでの間に攻撃ができなかったのは別の理由もある。

『じゃーん! 今度はこのコスプレどうよ!』

『どうみてもブレザーにうさ耳つけただけにしか見えない。』

『……だよねー。これが新参ホイホイって奴か。
 ところで赤のカラコン知らない? 赤い奴がないと、ルナティックブルーアイズになっちゃう。』

『姉さん。前にも言ったけど、
 ウィッグとかこっちは使わないから。後何ルナティックブルーアイズって。』

 理由は、姉がしていたコスプレの一つと酷似していたから。
 ウサ耳がない以外は近しいものであるため、思わず姉が助けに来たと勘違いしかけた。
 でも違う。姉のアバターは知ってるし、姉がするなら中途半端なことはしないだろう。
 と言うより、姉は細身であって相手の胸もないので別人だと判断が容易だった。

「あ、名前見えてるよね? 私はイナバ辻。そっちはアクリア……ちゃん?」

 VRCだから当然だが、
 アバターの外見では年齢などさっぱりわからない。
 特にアクリアは声帯だけならば十分に女性とも受け取れる声色。
 年齢も性別も、あらゆる面において性別が判断しがたくどう呼ぶべきか悩む。

「それ以上近づくな!!」

 一歩踏み出した彼女の顔面の近くを水の弾丸が飛んでいく。
 当てるつもりはなく脅しの為、ギリギリと言うわけではないが。
 指鉄砲の構えをする少女の姿は外見通りの子供らしさはあるが、
 先にスキルを見ていた彼女にとって、それは十分な脅しとして通用する。
 実際は人を貫通する威力なんてないのは後方の木の幹を見ればわかるが、
 生憎と僅かな時間と見解程度ではそこまでは理解できていない。
 輝月の真似事をしようと、彼女のような冷静も観察眼もないのだから。

「わ、ちょちょちょ!?」

 先ほどビビった結果攻撃してしまったのに、
 懲りもせず焦って咄嗟にスキルを使って回避を優先。
 いかに冷静に振る舞おうと根本が変わるわけではない。
 先ほどいた枝の上へと戻りながら弁明を始める。

「ストップ! ストップ! 私は別に敵対するつもりは……」

「そう言って油断を誘うのは分かってるんだよ!!」

 一瞬躊躇ったが違うとなれば別だ。
 寧ろ、期待した分の落差もあるだろう。
 自分が男性であることを露呈させたくないのに、
 口調から隠しきれなくなるほどにアクリアも焦っていた。
 二回連続だ。頼もしい人だと思ったら恐らく殺人犯であり、
 助けてくれた人はいきなり槍を刺してわけの分からないことをしてきた。
 人間不信に陥りかけてる状態で、自分を取り繕う余裕などどこにもなく。
 両手から大量の水を蛇のように唸らせながら水を合体させる。
 合わせると水は更に太さを増し、大蛇や竜と言って差し支えない攻撃が出来上がる。

 スターマンや風凪との遭遇は、初めて故に失敗も目立ったが彼女同様経験には繋がっていた。
 練度を上げるまでの間は一点集中よりも、面積や量で攻撃するのが一番手っ取り早いと。
 ダメージではなく窒息とかを優先。最悪死んでしまう可能性があるのは否めないが、
 現状バトル漫画のように水を飛ばしたって勝ち目が全くないのは目に見えている。
 だから面積で補うことを選んだが、相手からすればそんな葛藤や矜持など知らない。

(ちょっと待ってそれありなの!?)

 寧ろそれはいいのか悪いのか、イナバ辻にとってはパフォーマンスになる。
 想像以上に派手な能力であり、襲ってくる質量の塊を近くの木の枝へと逃げ回る。
 先ほどみたいにスキルで近づくのは、あの水の量を見てしまってはとてもできない。
 背後へ回り込んだら背中からジェット噴射で叩きつけられる未来が見えてしまった。

「ストップ! 本当に待ってお願い!」

 切実に願うも相手は聞く耳を持たない。
 と言うより、水を派手に噴射していては声が届いてるかも怪しかった。
 またこんな展開と過激な人なのかと一人泣きそうになっている。

(凄い水の量だけど、思ってるより腕は動かせる!)

 水を丸ごと持って動かすわけではなく生成して放出してる都合、
 避けられた後も向きを容易に変えることで大量の水を相手へと叩き込む。
 逃げては撃たれそうになって、逃げては撃たれそうになるの連続だ。
 敵意がないことを示そうにも、相手の様子からとてもやる暇がない。
 制圧した上でするか、今この状況でなんとかしなければならないと。

(前者は多分無理! だから相手が頭のいい人だと願ってみるしかない! ダメだったら、最悪……)

 何度目か忘れたスキルの行使。
 別の木へと飛び移ったかと見渡して見るが、
 周囲の木の枝には彼女の姿はなかった。

(なら、後ろ!)

 左足を後ろへと蹴り上げる、同じ要領で足から水を飛ばす。
 片足と言えど水の量は人を吹き飛ばすぐらいなら十分な量だが、後ろにその姿はない。
 ワープする飛距離はそれなりにある。だから背後へ飛んでくることもおかしくないと。

(いない? まさか、上!)

 と思って片手を空へ伸ばすもそこにも姿はない。
 どちらとも外れたともあって困惑して次の一手に移れなかった。
 次に反応できたのは、離れた場所の木が悲鳴を上げながら倒れた時だ。

(え、何アレ。)

 少女が一人で木を斬り落とした。
 チェーンソーとかの比にならないとんでも武器だ。
 此処がVRの世界で行われていると証明するに十分な架空の武器。
 今の動きを止めていた間に攻撃されていたら、まずかったのではないか。
 そんな風に感じたし、それをしてこなかったことで水の放出を止める。

「ねえ、今の見たよね? その気になればこれ突き刺せてたのよ。
 殺せば支給品も奪えたし楽して勝てた。これでも、まだ敵意がないって説明いる?」

 冷や汗を掻きながら、大丈夫なのかと不安になるのを顔に出さないようにしている。
 イナバ辻が話し合いに持ち込もうとしたのは、優勝の為に隠れ蓑にできる相手だ。
 最初に見た時相手はとても弱っていて、精神的に追い詰められているんじゃないのか。
 そう判断し、そんな彼女を仲間に引き入れてればおのずと他の陣営に潜り込めるはずだ。
 とは言え、此処まで容赦ない反撃をされるとは全く思っていなかったのは事実ではあるが。
 加えて朱雀に続いて攻撃的なスキルや創造武具を見たのも、話し合いに持ち込んだ理由でもある。
 特にアクリアは相性がいい。水は時としてコンクリート並みの硬さにもなることもある存在。
 上空から叩き落した水の塊は、人の首を平然と圧し折るだけの重量で襲い掛かってくることになる。
 先程は自分に触れた水は水ごと転移してしまうと言う相性の悪さを気にしていたが発想を逆転させ、
 自分が水を丸ごと持って空へ飛んで、それを叩き込むと言ったコンビ技も考えられたから。
 組む戦力、今後にも繋がる人脈、信用を得ることができれば利用できるかもしれない。
 いずれにおいてもアクリアが現時点で最も利用に値する人物だと判断していた。

「……本当に、信じてもいいんですか?」

 近づこうとしたが一歩が踏み出せない。
 まだ拒否反応が勝る。身体も震えている。

「私も、さっき人を疑って思わず攻撃しちゃったからさ。
 人のことは言えないんだけども、信じてほしいかなって。」

 たははと苦笑を浮かべる彼女に信用を得たわけではない。
 けれど、彼女の言うように敵意がないことは事実なのだろう。
 大丈夫だと信じて、一歩ずつゆっくりと歩み寄る。

「攻撃、しませんか?」

「勿論。」

「胸、触りませんか?」

「勿論───え、ちょっと待って何それ。」

 思わぬ言葉に疑問を持ちながらも、
 ようやくアクリアと落ち着いて話し合いに持ち込むことに成功。
 そして移動しながら今までの経緯を聞いて、

(いや、それどう考えてもレイプされそうになってるんだけど!?)

 まず思ったのはその一言である。
 何をされたのかアクリア自身はよくわかっていなかったようではあるが、
 イナバ辻からすれば何をされていたのかは容易に想像できてしまう。
 殺し合いでそんなことする人、本当にいるんだと思わず唖然としていた。

(それにしても、まさか中学生の参加者がいるなんて。)

 VRCは基本的にゲーム配信者と言ったのを除けば、
 チーターとして炎上動画が上がっていたマタピネダを見かけたり、
 巷に聞くエアプアーカードことアルカードと言った個性が強い人が目立ち、
 結果的に成人男性が多いイメージと言うのが彼女の中には存在している。
 他には軍服や二メートル越えの女性でも、声から男性であることが分かる人も多い。
 学生はある程度は身内のノリでやるとしても、VRCはそれなりにスペックも要求される。
 だから年下の学生、それも中学生ともなれば規約のギリギリのラインなので意外だと思う。
 やっと信用できる人物に出会えたようで、アクリアは素直に話してくれる。
 先の発言も相まって、恐らく純粋な子なのだと察せられる。

(でも、この子も殺さないと……)

 後ろめたさ事態は未だ残っている。
 朱雀の言う仇とか彼女を襲った二人のように、
 少なくとも殺し合いに招かれていいような存在ではない。
 それでも自分にとっての明日が欲しいと決めた以上は覚悟を決めた。
 寧ろ、最初の仲間がこの子で良かったとさえ思う。殺し合いとは無縁な、
 純粋な子供を利用することで一つの踏ん切りをつけれるのだと。
 言うなれば試練だ。決別の為の試練と彼女は受け取る。

(と言うか、こんな偶然ってあるんだ。)

 星空孝則ことスターマン。
 彼が、朱雀の言っていた仇の人物なのだと。
 同姓同名かとも疑ったが、被害者の名前が全員一致している。
 瑠守なんて珍しい苗字も含めれば、流石にこれで違うのはまずありえない。
 なお、朱雀に出会ったことについてはイナバ辻はまだ伝えてはいない。
 今スターマンの話を引き合いに出してパニックを起こされても困る。
 ある程度落ち着いたところで、それとなく言えばいいと。
 (因みに尋ねた際は、事件を聞いたことがあると適当に誤魔化している)

(今から彼を探す?)

 彼にとってのやるべきことが仇討ち。
 だったら手伝うのも吝かではないのだが、
 あの後別れてから既に時間は経過している。
 今から戻って追いかけようにも当てなどない。
 どこに施設があるか分からない以上はどうしようもなく、
 やはり今は彼女と同行するのが一番だとして現状維持を優先する。

 都合のいい存在として扱われる道を歩み始めたアクリアだが、
 周囲を見渡してみると、殆どが出会ってはならない相手に等しい。
 瀕死とは言え別ベクトルに目覚めてしまった秋月、追ってきている二人、
 事件のことを知れば人間不信の事情を理解せず鬼の形相で迫るであろう朱雀、
 殺し合いに乗り気なアルカード達と、彼の周囲はまともな人物の方がいない。
 いるとすればフレイヤと真白だけ。ある意味では殆どどうにもならないことだ。
 けれど、あくまでこれは全てを知るものからの視点に過ぎない。

(イナバ辻さんに会えて、本当に良かった。)

 彼にとってはやっと落ち着ける、
 自分の話を聞いてくれる現状唯一の相手だ。
 特に彼女のモデルと思しきキャラも知ってるので、
 多少は話が弾んである程度打ち解けている。
 当人にとって幸せであれば、それでもいいのかもしれない。
 今は笑顔でいられる。次も笑顔でいられるかは、周囲からして怪しいが。

【B-6 森/一日目/黎明】

【イナバ辻】
[状態]:健康、一部記憶と想いを忘れたフリ中
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~2、レーザーブレード
[装備]: なし
[思考・状況]
基本:優勝する、生きるためにはそれしかない
1:とりあえず朱雀くん以外の他の参加者に会いたい。
2:朱雀くんの頼みはとりあえず出来るだけ実行しようかなと思う。
3:積極的優勝狙いよりもステルスした方がいいのかも。
4:輝月さんや伸史くん(勇者リチャード)は…殺さなきゃいけないけど、
  朱雀くん同様出来るだけ後回しにしたい。
5:ヒーロー?…しょせんは虚構よ。
6:アクリアを利用する。そうすることで覚悟を決めるんだ。
[備考]
※明星朱雀とある程度情報交換しました。
※アクリアと情報交換しましたが、朱雀に関しては伝えていません。
 また、アクリアの性別を女性と認識しています。

【アクリア】
[状態]:疲労(中)、肩に刺し傷(軽微・能力で疑似止血)、風凪に対する魅了と発情(小)、恐怖と不安、軽い人間不信
[装備]:水瓶(サダクビア・ポッド)@スキル
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2、明星一家死亡事件の真相(アプリに内蔵)
[思考・状況]基本方針:とりあえず殺し合いはしない方向で。
1:明星朱雀を探してみる? でも今人と会うのは怖い。
2:スターマンと風凪(名前は知らない)に警戒。と言うより今会いたくない(特に後者)
3:何、この感覚。怖い。
4:スキルになれないと戦う選択肢すら取れない。
5:とにかく今は此処から離れたい。
6:やっとまともな人に会えて安心した。

[備考]
※風凪の精槍・情愛の効果を受けてます
 年齢的な未発達と元が男性のためある程度相殺してますが、
 何かしらのきっかけで状態が悪化します。
 効果がいつまで続くかは後続の書き手にお任せします。
※水瓶は杖や魔法陣がないのと、
 まだ使い慣れてないため弱いです。
 回復能力があることについては気付いていませんが、
 心を開いてること(女装を打ち明ける程度の間柄等)が条件なのでそもそも今は使えません
 また水で飛ぶことを覚えました(身も蓋もないこと言うとマリオサンシャインのホバー)
※イナバ辻と情報交換しました。


前話 次話
026:そして、夏樹尊は本物を求める。 投下順 028:死闘の果てに
026:そして、夏樹尊は本物を求める。 時系列順 028:死闘の果てに

前話 登場人物 次話
水星魔性 アクリア その恋は、麻薬
歩む道は互いに険しく イナバ辻 その恋は、麻薬
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