姉妹 ◆7WJp/yel/Y
東から日の差し込む教室の片隅で、リンは充電が終わり機能を取り戻した探知機を見た。
探知機は早々に仕事を果たして、反応を示している。
別の人間の反応を示す点はちょうど真ん中。
この探知機は自分を中心に反応するタイプのもの。
つまり、かなりの接近を許してしまったと言うことだ。
廊下は老朽化が進んでいるため、体重移動をするだけでぎしりと悲鳴をあげるほどだ。
だが、床の悲鳴が全く聞こえない。
そのことから学校に入ってきていないのは間違いない。
ならば、待ち伏せするのが常道だろう。
探知機は早々に仕事を果たして、反応を示している。
別の人間の反応を示す点はちょうど真ん中。
この探知機は自分を中心に反応するタイプのもの。
つまり、かなりの接近を許してしまったと言うことだ。
廊下は老朽化が進んでいるため、体重移動をするだけでぎしりと悲鳴をあげるほどだ。
だが、床の悲鳴が全く聞こえない。
そのことから学校に入ってきていないのは間違いない。
ならば、待ち伏せするのが常道だろう。
「……それにしても、劣化とは言うけど幾らなんでも使い勝手が悪すぎじゃないかしら」
あまりにも近すぎて北から来ているか南から来ているかさえも分からない。
とは言え、接近が悟れると言うメリットがあるのは十分か。
期待しすぎなければ十分に使える道具ではある。
そんなことを考えながら、解体し整備を終えたグロッグを手に取る。
弾丸は残り8つ、無駄撃ちはできない。
無駄撃ちはできないが、悟らずに近づいて確実に仕留める方法なら8つも弾があれば十分。
ちょうど今、近づいてきている人間を殺せばノルマ完遂まで残り一人だ。
とは言え、接近が悟れると言うメリットがあるのは十分か。
期待しすぎなければ十分に使える道具ではある。
そんなことを考えながら、解体し整備を終えたグロッグを手に取る。
弾丸は残り8つ、無駄撃ちはできない。
無駄撃ちはできないが、悟らずに近づいて確実に仕留める方法なら8つも弾があれば十分。
ちょうど今、近づいてきている人間を殺せばノルマ完遂まで残り一人だ。
「さて……と」
開け閉めの際に音が立つことを嫌い、リンは開けっ放しにしていたドアを抜ける。
情報屋として気配を消す術は心得ているが、この床では足音を完全に消すことは叶わない。
だから、最短ルートで階段まで移動する。
情報屋として気配を消す術は心得ているが、この床では足音を完全に消すことは叶わない。
だから、最短ルートで階段まで移動する。
階段下の影となる場所は隠れるには匹敵の場所だ。
襲撃には奇襲が基本、殺されたことに気付かれないぐらいがちょうどいい。
そこで息を殺して待ち続ける。
仕事柄リンは待つことは得意だ、もはや生態と言ってもいい。
襲撃には奇襲が基本、殺されたことに気付かれないぐらいがちょうどいい。
そこで息を殺して待ち続ける。
仕事柄リンは待つことは得意だ、もはや生態と言ってもいい。
待つこと数分、ようやく床が軋む音が聞こえてきた。
より息を殺して、迫ってくる音に対して身構える。
緊張も興奮もない。
その手の感情を押し殺すのは仕事で慣れている。
より息を殺して、迫ってくる音に対して身構える。
緊張も興奮もない。
その手の感情を押し殺すのは仕事で慣れている。
やがて、現れた影の招待は青いブレザーを着た女子高生だった。
髪の黒さが少し不自然だ、おそらく染めているのだろう。
地毛が奇妙な色でからかわれることを嫌ったのか、それとも一度染めていた髪を染め直したのか。
背丈は、どちらかと言えば小さい。
女性にしては長身のリンだからそう感じただけかもしれないが、間違っても大きくはない。
それにしても、ひどい有様だ。
可愛らしい顔に大小様々な青痣が多くできている。
その痣で腫れた顔では前が良く見えないのだろう。
俯いたまま、ポツポツと歩くその姿からはリンの存在を察しているとは思えない。
手に機関銃を持っていると言うのに恐怖は感じない。
強力な武器を持ちながらも顔が痣にまみれていると言う事実が、惨めに見えて堪らない。
髪の黒さが少し不自然だ、おそらく染めているのだろう。
地毛が奇妙な色でからかわれることを嫌ったのか、それとも一度染めていた髪を染め直したのか。
背丈は、どちらかと言えば小さい。
女性にしては長身のリンだからそう感じただけかもしれないが、間違っても大きくはない。
それにしても、ひどい有様だ。
可愛らしい顔に大小様々な青痣が多くできている。
その痣で腫れた顔では前が良く見えないのだろう。
俯いたまま、ポツポツと歩くその姿からはリンの存在を察しているとは思えない。
手に機関銃を持っていると言うのに恐怖は感じない。
強力な武器を持ちながらも顔が痣にまみれていると言う事実が、惨めに見えて堪らない。
ここまで哀れな姿をしているのなら、一瞬で殺してやるのが慈悲と言うものだろう。
そう決め、グロッグで確実に仕留めるにはもう少し近づかなければいけない。
あと、二歩ほどだ。
片目を閉じる形にして額に狙いを定める。
頭を撃ち抜けば、痛みも少なく死ねる。
そう決め、グロッグで確実に仕留めるにはもう少し近づかなければいけない。
あと、二歩ほどだ。
片目を閉じる形にして額に狙いを定める。
頭を撃ち抜けば、痛みも少なく死ねる。
「お姉ちゃん……」
ポツリ、と漏らした言葉に引き金に掛けた指が止まる。
あの少女は今、お姉ちゃん、と呟いた。
悲しそうに、縋るように、お姉ちゃんと呟いた。
あの少女は今、お姉ちゃん、と呟いた。
悲しそうに、縋るように、お姉ちゃんと呟いた。
「……ッ!」
不意に少女の姿が記憶の中の茜が被る。
その姿が被った瞬間、リンの指は凍ったように動かなくなった。
あり得ないと思いつつも、その指はピクリとも全く力が入ってくれない。
弱くなった弱くなったと常に思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
その姿が被った瞬間、リンの指は凍ったように動かなくなった。
あり得ないと思いつつも、その指はピクリとも全く力が入ってくれない。
弱くなった弱くなったと常に思っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
「……ノルマは、あと19時間超で二人、か」
ポツリと呟く。
まだ時間も大分残っているし、残弾も8発ある。
殺したくない、と思うなら別に殺す必要もない。
それに、どうしても殺せなければ学校に戻ってあの少女を殺せばいい。
まだ時間も大分残っているし、残弾も8発ある。
殺したくない、と思うなら別に殺す必要もない。
それに、どうしても殺せなければ学校に戻ってあの少女を殺せばいい。
まるで無理やり自分に言い聞かすように考えながら、リンは学校から静かに立ち去った。
◆ ◆ ◆
「お姉ちゃん……」
さらはポツリと呟いてみる。
お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん……
呟くだけで、憎しみや怒りと言った負の感情がふつふつと湧いてくる。
だけど、負の感情だけではない。
懐かしさと認めたくないが好意に似た感情も、また湧いてくる。
そういう相手なのだ。
可愛さ余って憎さ百倍、だけど確かに姉のことが好きだった。
答えの分からない不思議な感情が胸に埋め尽くされている。
お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃん……
呟くだけで、憎しみや怒りと言った負の感情がふつふつと湧いてくる。
だけど、負の感情だけではない。
懐かしさと認めたくないが好意に似た感情も、また湧いてくる。
そういう相手なのだ。
可愛さ余って憎さ百倍、だけど確かに姉のことが好きだった。
答えの分からない不思議な感情が胸に埋め尽くされている。
「……でも、もういいか」
さらは疲れ切った目をしながら、消え入りそうな声で呟く。
とにかく疲れた、色んなことがありすぎた。
姉のことを考える余裕はない。
あの、たくさんの憎しみとちょっとだけの好意が混じった複雑な気持ちを抱くのは、とにかく疲れる。
とにかく疲れた、色んなことがありすぎた。
姉のことを考える余裕はない。
あの、たくさんの憎しみとちょっとだけの好意が混じった複雑な気持ちを抱くのは、とにかく疲れる。
「どうして、こうなっちゃったんだろう……?」
最初からさらは死にたくないだけだった、本当にそれだけだった。
メイド服の女性、夏目准を刺したことも(生きていたが)、悪魔のメイクをしたピエロを殺したのも。
全ては死にたくなかったからだ。
生きたかったのではなく、死にたくなかったのだ。
今までの生活からさらは朧げながらに気づいていた。
生きたいと思うことと死にたくないと思うことは、違うことだということを。
メイド服の女性、夏目准を刺したことも(生きていたが)、悪魔のメイクをしたピエロを殺したのも。
全ては死にたくなかったからだ。
生きたかったのではなく、死にたくなかったのだ。
今までの生活からさらは朧げながらに気づいていた。
生きたいと思うことと死にたくないと思うことは、違うことだということを。
そんなことを考えながら階段を一段、二段と数える様にゆっくりと昇り続ける。
ギシッ、ギシッっと床は軋みを上げながらも柔らかにさらの身体を受け止める。
身体中に走る痛みをこらえながら、一歩一歩踏み出す。
これほど階段を昇るのが辛かったことはなかった。
しかし、どんなに辛くてもさらは歩みを止めない。
屋上に行けば彼がいるかもしれない、その一心だけがさらを支えている。
ギシッ、ギシッっと床は軋みを上げながらも柔らかにさらの身体を受け止める。
身体中に走る痛みをこらえながら、一歩一歩踏み出す。
これほど階段を昇るのが辛かったことはなかった。
しかし、どんなに辛くてもさらは歩みを止めない。
屋上に行けば彼がいるかもしれない、その一心だけがさらを支えている。
一階から二階へ。
――――顔から走る痛みに、膝が震える。
二階から三階へ。
――――身体中の怪我から来る疲労に、膝が震える。
三階から四階へ。
――――彼が拒絶するかもしれない恐怖に、膝が震える。
――――顔から走る痛みに、膝が震える。
二階から三階へ。
――――身体中の怪我から来る疲労に、膝が震える。
三階から四階へ。
――――彼が拒絶するかもしれない恐怖に、膝が震える。
四階建ての校舎、その屋上にたどり着く。
どうやらこの学校はさらの母校と同じく屋上を開放しているようだ、ノブを捻るだけで扉は簡単に開く。
ゆっくりと、躊躇いながらも扉を開ける。
どうやらこの学校はさらの母校と同じく屋上を開放しているようだ、ノブを捻るだけで扉は簡単に開く。
ゆっくりと、躊躇いながらも扉を開ける。
開けると、ひし形に結ばれたフェンスとその奥に広がる青空が見える。
屋上という場所から見る風景はどこの学校も似たようなものらしい。
屋上という場所から見る風景はどこの学校も似たようなものらしい。
「……まだ、来てない、か」
さらは周囲を見渡し、屋上での先客が居ないことを確認すると肩を落とす。
そして、震える身体に鞭を打ち設置されたベンチに向かう。
辿り着くや否や、倒れこむようにベンチへと横になる。
そして、震える身体に鞭を打ち設置されたベンチに向かう。
辿り着くや否や、倒れこむようにベンチへと横になる。
空は真っ青で、気を抜くと吸い込まれそうなほどだ。
一瞬ではあるものの、自分が殺し合いに巻き込まれていることを忘れてしまったほどに。
一瞬ではあるものの、自分が殺し合いに巻き込まれていることを忘れてしまったほどに。
良い場所で、良い時間だ。
これで殺し合いでなければ、いつもの昼休みや放課後となんら変わりがない。
そこまで考えて、さらはふと待つのは常に自分だと言うことを思い出した。
そこまで考えて、さらはふと待つのは常に自分だと言うことを思い出した。
「いつも、私が彼を待ってたな……」
さらはそう呟きながらくすりと笑って、ゆっくりと目を閉じた。
【F-3/学校周辺/一日目/午前】
【リン@パワプロクンポケット8】
[状態]健康
[装備]グロッグ19(8/15)
[道具]支給品一式×3、劣化版探知機、充電器、ヒヨリンセット(化粧品中消費)、支給品一覧表、島岡の両眼
[思考]
基本:一先ずノルマの三人殺しはクリアしておく。
1:八神と茜は何としてでも生き残らせる。
2:劣化版でない探知機が存在するのなら入手してしておきたい。
3:第五回放送の前に役場へと向かう。
【リン@パワプロクンポケット8】
[状態]健康
[装備]グロッグ19(8/15)
[道具]支給品一式×3、劣化版探知機、充電器、ヒヨリンセット(化粧品中消費)、支給品一覧表、島岡の両眼
[思考]
基本:一先ずノルマの三人殺しはクリアしておく。
1:八神と茜は何としてでも生き残らせる。
2:劣化版でない探知機が存在するのなら入手してしておきたい。
3:第五回放送の前に役場へと向かう。
【F-3/学校屋上/一日目/午前】
【芳槻さら@パワプロクンポケット10】
[状態]:左頬・右目周辺に痣、顔面を中心に激痛、足に痛み(中)、精神的疲労(大)、肉体的疲労(大)、所々に擦り傷
[装備]:機関銃(残弾中程度)
[道具]:支給品一式、スペツナズ・ナイフ
[思考・状況]
1:zzz……
2:二人は、どう思うだろうか?
3:十波君のことは信じられる?
[備考]
※第一回放送の内容をどこまで把握しているかは、後続の書き手さんにお任せします。
ただし、メモなどには記録していないようです。
【芳槻さら@パワプロクンポケット10】
[状態]:左頬・右目周辺に痣、顔面を中心に激痛、足に痛み(中)、精神的疲労(大)、肉体的疲労(大)、所々に擦り傷
[装備]:機関銃(残弾中程度)
[道具]:支給品一式、スペツナズ・ナイフ
[思考・状況]
1:zzz……
2:二人は、どう思うだろうか?
3:十波君のことは信じられる?
[備考]
※第一回放送の内容をどこまで把握しているかは、後続の書き手さんにお任せします。
ただし、メモなどには記録していないようです。
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| 069:愛と名付けた囲いの中で | 芳槻さら | 090:CHERRY BLOSSOM~桜色の空~ |
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