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フェーズ制

「フェーズ制」とは、ターン制コマンドバトルにおいて、戦闘を「味方の行動フェーズ」と「敵の行動フェーズ」などのまとまった単位(段階)に分割し、フェーズごとに進行させるシステムです。
プレイヤーがじっくり戦術を練れるのが特徴です。


概要

ターン制コマンドバトルにおける「フェーズ制」は、1ターンの流れを特定の役割や処理の「局面(フェーズ)」に細分化し、ゲームの進行を厳密に管理する設計手法です。
格闘ゲームアクションゲームが「リアルタイムのフレーム」で時間を管理するのに対し、ターン制RPGやシミュレーションRPG(SRPG)では、このフェーズの区切りが戦略性とテンポを大きく左右します。
1. ターン制コマンドバトルにおける基本のフェーズ構造
一般的なコマンドバトルにおける1ターンは、主に以下の4つのフェーズを循環することで成立しています。
【ターン開始】
    ↓
① 準備・計画フェーズ(コマンド選択など)
    ↓
② 割り込み・判定フェーズ(バフ・デバフの更新、行動順の決定)
    ↓
③ 実行・演出フェーズ(アニメーション、ダメージ計算、HP・状態変化)
    ↓
④ 終了・チェックフェーズ(勝利/全滅判定、ターンカウンタの進行)
    ↓
【次のターンへ】
各フェーズの責務としては以下のとおりです。
フェーズ 役割 処理
1. 準備・計画フェーズ
(Preparation / Input Phase)
プレイヤーが状況
(リソース、敵のHP、
配置など)を観察し、
キャラクターに指示
(コマンド)を出す
UIの表示、カーソル位置の記憶、
コマンドの仮決定
2. 割り込み・判定フェーズ
(Resolution /
Pre-action Phase)
行動が実行される前の
「前提条件」を確定させる
各キャラクターの「すばやさ」や
スキル優先度に応じた行動順
(タイムライン)の計算。
ターン開始時に発動する
パッシブスキル
(例:『ドラクエ』の「におうだち」や
『ポケモン』の「いかく」)の処理
3. 実行・演出フェーズ
(Execution / Action Phase)
選択されたコマンド
を実際に処理し、
プレイヤーに視覚・聴覚的
フィードバックを返す
攻撃アニメーションの再生、
ヒット判定、ダメージ計算、
HP/MPの増減、状態異常の付与
4. 終了・チェックフェーズ
(End / Clean-up Phase)
ターンの帳尻を合わせ、
次のターンに遷移
できるか判定する
毒や火傷などのドットダメージ
(DoT)の処理、
バフ/デバフの残りターン数の減算、
戦闘終了条件(敵の全滅
または味方の全滅)のチェック
2. プレイヤー・エネミー間のフェーズ分離パターン
「誰の行動を基準にフェーズを区切るか」によって、ゲームのプレイフィール(戦略性とテンポ)は激変します。大きく分けて以下の3つのパターンが存在します。
パターン 概要 構造 特徴
A. 一括入力・同時実行型
(クラシック型)
プレイヤー全員のコマンドを
最初にと一括入力し、
その後、敵味方入り乱れて
行動順に実行する方式
[味方全員の入力]
➔ [敵味方の混在実行フェーズ]
➔ [ターン終了]
行動の「予測」が必要
(回復コマンドを選んだが、
実行前に味方が倒される
「無駄行動」が発生するリスクなど)
『ドラゴンクエスト』シリーズや
『真・女神転生』シリーズ
プレスターンバトル
のベースがこれに該当します
B. 陣営完全交代型
(プレイヤーターン/
エネミーターン分離型)
味方のターンと敵のターンが
明確に分かれており、
自陣営のフェーズ中は
任意の順番でキャラクターを
動かせる方式
[プレイヤーターン(移動・行動)]
➔ [エネミーターン(移動・行動)]
キャラクター間のコンボ(連携)を
コントロールしやすく、
パズル的・戦術的な思考が生きる。
主に『ファイアーエムブレム』などの
ストラテジーRPG(SRPG)や、
カードゲーム(TCG)の流れを汲む
バトルで多用されます
C. 個別カウント・アクティブ型
タイムライン制
「ターン」という全体の区切りを
緩くし、キャラクター個別の
フェーズが独立して回る方式
[キャラAの入力]
➔ [キャラAの実行]
➔ [キャラBの入力]
➔ [キャラBの実行]...
厳密には「全員共通の1ターン」
という概念が薄れ、
行動順(タイムライン)そのものが
リソース化する。
『ファイナルファンタジー』の
アクティブタイムバトル(ATB)や、
『軌跡』シリーズのATバトル、
近年の『崩壊:スターレイル』などが
これに属します

3. フェーズ制を導入・設計するメリット
① 状態管理(ステートマシン)の堅牢化
プログラム視点において、フェーズ制は強力なデザインパターン(Stateパターン)として機能します。
「入力フェーズ中には絶対にダメージ計算を行わない」「演出フェーズ中にはユーザーのコマンド入力を受け付けない」といった排他制御が容易になり、予期せぬバグ(多重入力や処理の競合)を防ぐことができます。
② 戦略的チェックポイント(割り込みの制御)の創出
フェーズが細分化されていると、デザイナーは「どのタイミングで効果を発動させるか」を精密にコントロールできます。
  • 「フェーズ開始時に発動する罠」
  • 「攻撃実行直前のダメージ軽減カウンター」
  • 「ターン終了時の自動回復」
これらが明示的なフェーズとして分かれていることで、プレイヤーは「今、何が起きてこの結果になったのか」をロジカルに理解できます。
③ 非同期処理(演出とデータ)の同期
現代のゲームでは、データ上のHP計算は一瞬で終わりますが、画面上では「剣を振るアニメーション ➔ 敵の被弾エフェクト ➔ ダメージ数字のポップアップ」という時間的猶予(演出フェーズ)が必要です。フェーズ制は、裏側のデータ処理と表側のビジュアル演出を綺麗に同期させるための骨組みになります。

4. 設計時の注意点とデメリット
テンポ(もっさり感)との戦い
フェーズの区切りを厳密にしすぎると、毎ターン「ターン開始!」「さあコマンドを選んで!」「実行するよ!」「ターン終了!」といった見えないストップがかかり、ゲームのテンポが悪くなります。特に演出フェーズの長さや、フェーズ間の遷移アニメーション(ウェイト時間)はミリ秒単位での調整が必要です。
例外処理(割り込み)の複雑化
「敵の攻撃フェーズ中に、味方がパッシブスキルでカウンターを発動し、さらにそれに対して敵が自動回避する」といったフェーズをまたぐ割り込み処理(インプロプチュなイベント)が増えると、ステートの管理が途端に複雑化し、バグの温床になります。

まとめ
ターン制コマンドバトルにおけるフェーズ制とは、「プレイヤーに思考の猶予を与え、ルールを厳密に処理するための調停役」です。

ゲームの目指す手触りに合わせて、「一括入力でハラハラさせるか」「陣営交代でじっくり詰め将棋をさせるか」「個別タイムラインでスピード感を出すか」を選択し、それぞれのフェーズの遷移(トランジション)をいかに滑らかに作るかが、優れたバトルディレクションの鍵となります。

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最終更新:2026年05月17日 22:54