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作品
なだ小(ぐぁ)
580 名前:なだ小(ぐぁ)[sage] 投稿日:03/01/25 05:42 ID:XSZOmMj4
手を握って、土手を上がった。
川を貫くように光が差し入って、眩しくて、
そのまま土手を上がり、芝生を滑り、
反対かわの道へ
手を離して
降りた。
ああ と思った
銭湯の塔から見張り番のおじいさんが顔を出している
猫が斜め向かいの車の下でそ、て道路だかこっだか何だか様子をうかがっている
道を真っすぐ行った処のその角に
パン屋さんがみえる
もう一度、そのひとの手を握りたい、と
特に思わないともなく思って
道を真っすぐ歩く
川を、だから土手を、日を背に
して歩いて、背に、そのひとの歩いてくる気配を感じて、
ただあんパンだのカレーパンだののことだけ考えて
手はポケットに突っ込み、両方、
肩に妙にチカラが入って
やっぱり緊張してるのか
好きでもない野球の話とか
581 名前:(続き)[sage] 投稿日:03/01/25 05:44 ID:XSZOmMj4
興味も無いソニーの新製品だとか
口から出るに任せて日頃思ってもみなかったけれど
話してみると自分、て案外そういうこと考えてるんだなと
判る、そういう話をしていった
着いたパン屋のやたら暗い中を入って見ると
チョココロネがあってそれを2コ買う
あんパンはなくて カレーパンはしなびてた
チョココロネを2コ買うと 紙袋に入って来て
持って出た
雲のある秋の空は不透明系の水色で
これといって高くなくて ただ風が空宙を
あっち吹きこっち吹きしてる感じが良い
ああ
さっきっから話していたことをすっかり忘れて
ただチョココロネを1コっつ分けて
道々食べて駅へ行く
地図にも記憶にもない細路を偶たま見つけて
入って行き、お地蔵さんにぶつかりあいさつして、
かしわでして、
さぁ帰ろ、てふり向くと
土手に立ち尽くし、
川に降り下ろす光の感無さに泣いた
【コメント】
【得点】 0点
恋愛のある情景 -夏-
582 名前:恋愛のある情景 -夏-[sage] 投稿日:03/01/25 06:46 ID:8jq5qBme
夏休み、古惚けた、映像効果、の特製の暑気にて
やりすぎの感もある湯気立つアスファルトに氷菓子
「これは、一体、なんだろう」の感
いちいち立ち止まる、ように仕向ける、うざったい湿度の所為
「ビブラートとビオラとバファリンほどの違い
答えは云々、応えるべきは暑苦しい」ああ、暑苦しい
ねえ、こんな町を抜け出してふたりで素数とかハリウッド映画の世界へいかない
だがあなたほどいっしょにいるのがつらい人もいない
わたしは思春期なのでどんな振る舞いも許されるのだけれど
あなたはまだそれには達していないので許されないのだから
夏の海岸にある太陽で殺人なんてしてはいけませんましてわたしなら
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エピローグ
585 名前:エピローグ[] 投稿日:03/01/25 12:29 ID:BxAgEXIN
マンホールに沈んだ風を
魚眼レンズですくい上げた
一切のセキュリティは
オレンジ色したアロマテラピィ
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【得点】 0点
水路をひとつまちがえて
586 名前:水路をひとつまちがえて[sage] 投稿日:03/01/25 16:17 ID:WudHQ8Tx
待っても報われないことを学習するために二年
命題が導き出された
「何があっても嫌いにはならないだろう=俺は王子様じゃない」
わずかな塩気が作り出す伝導度を頼り
142回目の新着メールはありません
「返事はあとで。急ぐ内容じゃないようだし」
毎日10の10乗ほどの微生物の生死を見てきて思いました
生き物はすべて子孫を残すために生きると
特別な二人でしか成り立たないんやったら
人間は繁栄はできひんかったはずです
今から1ヶ月
街角で鉢合わせした男女で
つがいになれと法律で決めたら
きっと5割はうまくいきます
胸を空かせた白女魚
幾多のもしもをかいくぐり
出会ったことは奇跡と信じた
「女はすべからくそうなのか?普通に親切にしただけなのに」
気にしないで
女は口ほどには傷ついていない
群からはぐれた一尾
新しい水に鰓を浸し
悲しみを追い出しているところ
【コメント】
【得点】 0点
塵芥の街で
588 名前:塵芥の街で /1[] 投稿日:03/01/25 23:12 ID:HKASUoFV
風俗店ならぶ駅前の凹みに
蓋をかぶせてできたような せまい借部屋を出て
欲動うごめきはじめる午後五時の裏通りを
私は 今日も見慣れた風景に
すれ違ってゆく
下着姿で携帯電話をかけるタイ人の女や
デリヘルの営業にいそしむ入れ墨の若い男や
野良猫を拾い育てては殺し埋める うわさの老女など
かれらすべてが日々を重ねては けだるい暴力のひとつとなって
路上に積もった塵芥を
踏み散らかしてゆく
無分別に貼られたピンクビラや
無気味に弛緩しきった酔っ払いの反吐や
無表情に歩いてゆく男の 顔面を流れる黒い血液など
それらすべてが巻き上げられては 街の匂いのひとつとなって
また 新しい塵芥として
降り積もってゆく
ガード下 底冷えの立呑屋で
不思議な色の髪と 端正な物言いだけを身につけて
身ごもった女とともに東京から帰ってきたという
かつての友人と会う
彼のよくある身上話に見合うような
安いばかりの肴を へぬるい焼酎で流し込み
説教くさい よくある物言いの数々を
私も繰り返している
そんな自分をむやみに自省しないようにと
よけいに焼酎をあおっては ぐだぐだになってゆく私たちふたりの
額ににじむ汗もまた すぐに乾いて街の風に混じるだろう
あらゆるものが身を離れても けして失われることはない
それがこの街の優しさであり
恐ろしさなのだ
589 名前:塵芥の街で /2[] 投稿日:03/01/25 23:13 ID:HKASUoFV
つかのまのうわ澄みのような
音のない午前四時
おもむろに動きだしたホームレスたちが
塵芥の中から 空缶や段ボールをかき集めてゆく
「食うては捨てるばかりのおれだが いずれは拾わねばならない」と
友人は決意のように低くつぶやいたあと
交差点の向こうへ ふらつきながら消えてゆく
醒めない体を冷やすために
私は煙草に火をつけて
しばらく この街の闇を眺めている
(いったい私は何を捨て 何を拾っただろうか)
煙は空へ 灰は地へ
私はそのはざまに浮遊する 塵芥のひとつだ
(いったい私は何に捨てられ 何に拾われるだろうか)
吸い殻は 路上に据えつけた灰皿に捨てる
それがこの街のルールだ
捨てた者のあとには ちゃんと拾う者がいて
整然と それは生態系のかたちなのだ
閑散とした大通り
爆音を響かせた改造車の群れが走り抜けると
一晩かけて積もった埃が
巻き上がっては
冬の風に溶けてゆく
しずかな息で歩くには
いささか埃の舞いすぎる街で
黙せばすぐにもしなだれる私なりに
今日も 塵芥を踏みしめて
暮らしてゆく
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0
590 名前:0[sage] 投稿日:03/01/25 23:39 ID:b8cWVpvI
この町は
まんまるのみあるので
回るのがルールでないのに
出かけると回るのは
まあ当然でも
バツをつけたい
そこ
そこ
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町
591 名前:町[sage] 投稿日:03/01/25 23:47 ID:jrlsIB21
町のはずれを過ぎるとまた
同じ町に戻ってしまう
霧に黒く濡れる建物
色褪せた万国旗
憂鬱な街灯
ただ人間が一人もいない
この町に
すべての憂愁が
覆い尽くすこの町を
俺はいつまで彷徨うのだろう
手のひらに
刺さったとげも
いつまでも抜けないまま
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うんていの人
592 名前:ミンチ ◆jvBtlIEUc6 [[email protected]] 投稿日:03/01/25 23:51 ID:PkH1dQKU
「うんていの人」
放課後 見つけた
運命の人
不安定な鉄の上を軽快に走る彼
すごい!
あんな場所でも走れるんだ!
カッコイイ!!(・∀・)
密かに尊敬していた
彼がある日 足を踏み外した
窓ガラスも割れそうな大きな泣き声
やっぱり・・・
うんていは
走っちゃ駄目だよ
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パンを焼く娘
593 名前:パンを焼く娘 1[sage] 投稿日:03/01/25 23:51 ID:ZzNSgvYB
パンの焼ける香ばしい匂いと、甘く緩い音楽
店内は満たされる 幸せな空間
長い長い歴史の中の点のような一瞬にも
喜びはある
幸せはある
ここを出よう、
と言われたのはいつだったろうか
垂直なあなたの視線に恐怖したあの日
単調は嫌いだ、閉塞も嫌いだ、
でもそれらに付随する偽物の幸福が一番に嫌いだ。
微温湯で脳を湯がいている錯覚、
未来への可能性をどうして、悉く潰す?
嗚呼―――暗闇で野心に燃える二つの黒い瞳
私の答えなど最初からひとつです
恐らくは あなたの思っている通りです
594 名前:パンを焼く娘 2[] 投稿日:03/01/25 23:53 ID:ZzNSgvYB
ゆれる遮光カーテン
浮かぶのは 去っていくあなたの背中
期待に添えない私をどうか許してください
私の愛する平安はこの町の中に
私の望んだ幸せはこの町の中に
明日もパンを焼こう、幸せな甘い香りと
サラボーンのレコード 煤けてしまったオーブン
単純な労働に隠された、小さな小さな喜びと
あなたの言う偽物の幸福で 何とか事足ります
この町を出る事は殆どありません
あなたを憂う資格など、私には微塵も無いのでしょうが
願わくば、あなたが望んだ未来を その腕に
抱いていますように。
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【得点】 0点
最終更新:2006年09月17日 15:47