コンバイラタイプのバイドを追って
いると、艦隊は頑強な金属質の壁が
広がる宙域に侵入した。一見人工物の
ように見えるが、金属化したバイドが
集合したものかもしれない。
宇宙は静寂なものだが、なぜかこの辺り
はさらに静かに感じられ、自分の心の奥
が透けて見えるような気さえした。
私はこれまでの旅のことを思い出して
いた。その記憶に現れるのは…
我が艦隊の、隊員たちの顔だった。
彼らがいたからここまでこれた。連合軍
と革命軍の混成部隊である我々は、
いわば地球人類の縮図だ。
艦内の人間関係が比較的良好なのを
見ていると、私は僅かながらに人類の
未来に希望が持てるのだ。
机の上のビターチョコレートだった。
戦いは厳しく、勝利によって得られる
幸福は新たな戦いを生む。
私には、ほろ苦く甘いビターチョコ
レートの一粒一粒が、戦いを現している
ように感じられるのだ。
戦闘の後に飲む熱い紅茶だった。
戦いと日常を切り替えてくれるあの
香りは、軍人でない自分を忘れないため
の儀式になっていたかもしれない。
私は改めて、故郷に帰りたい、
この戦いに勝ちたい、と思った。
窓の外の流れ星だった。
彗星だけでなく、艦砲射撃の光線や
散りゆく敵、味方…。
宇宙では全てのものはいつか流れ星に
なって消えていく…
そんなことを考えたりした。
机の上のグリトニル攻略の報告書だ。
大した内容でもないのだが、
なぜかいつも机の上に置いていた。
無意識に、あの時の自分を忘れない
ようにしているのかもしれない。
クロフォード中尉の顔だった。
彼女がいたから今の私がいる。
いつも傍らにいて、私が私である喜びを
教えてくれた彼女を、これからも
失いたくない。
[選択肢](副官の顔を選択した時のみ)
私は彼女に、バイドとの戦いが終わり、
二人とも生き残れたら…
一緒に暮らそう、と言った。彼女は少し
考えた後、返事は次の作戦が終わるまで
待って欲しい、と言うと踵を返し部屋を
出て行った。
私の両親に会って欲しい、と言った。
彼女は少し顔をこわばらせ、返事は次の
作戦が終わるまで待って欲しい、
と言って足早に部屋を出て行った。
デートして欲しい、と言った。彼女は
少し拍子抜けしたような顔をしたあと、
返事は次の作戦が終わるまで待って
欲しい、といって部屋から出て行った。
もう二度と会わないつもりだ、
と言った。彼女はひどく驚き、がっくり
とうなだれたまま何も言葉を発すること
なく部屋を出て行った。
いや、なんでもない、と言った。彼女は
少し怒ったふりをした後、そうですか、
と言って部屋を出て行った。
艦隊の前に、金属質の巨大な洞穴が
広がっている。追跡しているバイドは
この洞穴に入っていったようだ。
私は洞穴内に侵入し、障害となる敵を
撃破しつつ、目標のバイドを追撃する
よう命じた。
金属質の洞穴に巣くうバイドに
阻まれ、逃げるコンバイラタイプの
バイドを追うことができなくなった。
一旦洞穴から出て、
体勢を整えるしかない。
艦隊は長大な金属質の回廊を抜けると
目標であるコンバイラタイプのバイドを
確認した。
艦隊に戦闘態勢をさせつつ、
注意深く接近すると、
突如バイドが軋み始めた。
[選択肢]
バイドは軋みながら膨張し始めた。
その勢いは凄まじく、見る間にその姿が
変化していった。私はバイドを見て…
苦しんでいるように見えた。
あのバイド自身は、自らの変化を望んで
いないような気がした。
我々が唖然としていると、バイドは
急激に速度を上げ、再び逃げ出した。
私は全艦に追跡を命じた
作戦が終わったあと、部屋に
クロフォード中尉が返事をしに
やって来た。
私の「二人とも生き残ったら一緒に
暮らしたい」という願いを、彼女は頬を
赤らめながらOKしてくれた。