RHK(らきロワ放送協会) ◆LcLEW3UbhI
「着い、た……」
息を荒くしながら、三村信史はその建物を見上げた。
着ている服が汗と……ついでに先ほど転んだ時に浴びた妙な白い液体でビショビショだ。しかも何か変な臭いまでする。汗臭いだけではない、もっと別の臭いが。
だが、彼はそれを疑問には思わない。恐ろしげな音を聞いてから、ここまでずっと全力で走ってきたせいか、まるで思考の幅が利かない。今彼に考えられるのは、『休みたい』という本能的な欲求と、『魔女から他の人を救いたい』という強い意志。その二つだけだ。
着ている服が汗と……ついでに先ほど転んだ時に浴びた妙な白い液体でビショビショだ。しかも何か変な臭いまでする。汗臭いだけではない、もっと別の臭いが。
だが、彼はそれを疑問には思わない。恐ろしげな音を聞いてから、ここまでずっと全力で走ってきたせいか、まるで思考の幅が利かない。今彼に考えられるのは、『休みたい』という本能的な欲求と、『魔女から他の人を救いたい』という強い意志。その二つだけだ。
そんな彼が、当初からずっと求めていたその建物は今や目前と迫っていた。その建物……即ち放送局は。
「早く、あの魔女のことを……柊かがみの、危険を……」
身体は既に疲労困憊だ。かつてのバスケの試合でも、ここまで疲労したことは無かった。すぐにでも横になって休みたい。そんな衝動が全身に滾ている。
だが、三村の身体は前に進む。疲労を強い意志でねじ伏せて、前に進む。
身体のいたるところから上がる悲鳴を無視し、そして彼は求め続けたその扉を開けた。
だが、三村の身体は前に進む。疲労を強い意志でねじ伏せて、前に進む。
身体のいたるところから上がる悲鳴を無視し、そして彼は求め続けたその扉を開けた。
放送局の中は圧倒的な静寂と、薄暗い闇とが支配していた。陽の高いうちとは思えないような暗さだ。おそらくは窓が少ないのだろう。
電気をつけようかとも思ったが、もしも中に人間……殺し合いに乗ったような人間がいたら、それはあまりにも致命的な行為となるので、やめておくことにする。
薄暗い闇の中、しばらくの間、コツコツという三村の足音と、キイキイという彼の扉を開く音だけが静寂を貫く。
三村は全ての扉を開くことにしていた。というのも、もしも他の人間が隠れていたりしたりすれば、そいつに不意打ちを許すことになってしまうからだ。もし放送中などに狙われたりすれば、そのじてんで詰んでしまう。
だがしかし、幸い、放送局の中には誰もいないようだった。
フッと息を吐いて、「放送室」と書かれた表札の付いた扉まで戻る。
電気をつけようかとも思ったが、もしも中に人間……殺し合いに乗ったような人間がいたら、それはあまりにも致命的な行為となるので、やめておくことにする。
薄暗い闇の中、しばらくの間、コツコツという三村の足音と、キイキイという彼の扉を開く音だけが静寂を貫く。
三村は全ての扉を開くことにしていた。というのも、もしも他の人間が隠れていたりしたりすれば、そいつに不意打ちを許すことになってしまうからだ。もし放送中などに狙われたりすれば、そのじてんで詰んでしまう。
だがしかし、幸い、放送局の中には誰もいないようだった。
フッと息を吐いて、「放送室」と書かれた表札の付いた扉まで戻る。
「よう、やくだ……」
力を込めて、バタンッという大きな音とともに扉を開き、その部屋に倒れこむように入る。まともに立つには、彼は少しばかり疲労しすぎていた。
ヒンヤリとした空気と、独特の匂いが三村を包み込む。叩き付けられた扉に付いていた埃が落ち、幾つか三村の髪に絡まった。
三村は部屋に誰もいないことをじっくりと見て確認すると、静かに部屋の明かりを点ける。
三村は部屋に誰もいないことをじっくりと見て確認すると、静かに部屋の明かりを点ける。
「後は、放送するだけだ……」
自分を励ますようにして、三村が呟く。放送するための道具はすぐ前に揃っているのだから、あまり焦ってもしょうがない。三村は機材の一つ一つに次々と体重を預けていき、静かに這うようにして前に進む。
と、放送用具に手を掛けたところで考える。今放送したとして、どれだけの効果を上げられるだろうか?
「次の、放送……主催者側の放送だ。その直前に流せば、少なくない人間が、足を止めて俺の放送を聞く、はず」
逆に今放送したとしても、ちゃんと聴いてくれる人間がいる保証は無い。
更には、もしも積極的に殺しあう人間が聞いていたら、即彼を狙いに襲いに来るリスク……つまり、放送の最中の無防備なところを襲われてしまうリスクを負うことになる。
だが、もしも主催者側の放送の直前にこちらの放送をかぶせることが出来たら?
少なくとも、『別のことをしていて聞きそびれる』という事態はなくなるはずだ。主催側の放送を忘れる馬鹿はまずいない。何か別のことをしていても、その一時だけは中断せざるを得ないはず。
そして同時に、危険人物にこの場で襲われる確率もグッと減ることになる。主催側の放送の続く間にこちらの放送を終えられれば、それから主催側の放送の続く時間の限りを、ここから逃げることにまわすことが出来る。
主催側の放送が終わり、そこで危険人物が彼を探しにこの放送局へと来ても、全ては後の祭りというわけだ。
更には、もしも積極的に殺しあう人間が聞いていたら、即彼を狙いに襲いに来るリスク……つまり、放送の最中の無防備なところを襲われてしまうリスクを負うことになる。
だが、もしも主催者側の放送の直前にこちらの放送をかぶせることが出来たら?
少なくとも、『別のことをしていて聞きそびれる』という事態はなくなるはずだ。主催側の放送を忘れる馬鹿はまずいない。何か別のことをしていても、その一時だけは中断せざるを得ないはず。
そして同時に、危険人物にこの場で襲われる確率もグッと減ることになる。主催側の放送の続く間にこちらの放送を終えられれば、それから主催側の放送の続く時間の限りを、ここから逃げることにまわすことが出来る。
主催側の放送が終わり、そこで危険人物が彼を探しにこの放送局へと来ても、全ては後の祭りというわけだ。
「そうと決まれば、今は休む……。放送する時に声がでなくても困るしな……」
機材の一つに全ての体重を預けて、横になる。妙な臭い漂う学ランを脱ぎ捨て、ついでに汗まみれの下着も全て脱ぎ捨てる。疲労の極地だったのだろう。眠りに落ちるのにはほとんど時間は必要でなかった。
…………。
一体どれだけの時間が経ったか。
三村はゆっくりと眼を開いた。そして今の自分の状況を思い出し、
「!? 馬鹿か俺は!!」
叫ぶような言葉とともに跳ね起き、その勢いのまま窓を開く。
「太陽の位置は……」
確認し、一息吐く。ついでに服に手を掛けるが、未だに異臭を放っていたり、ビショビショになっていたりしたので着直すのはやめておく。ついでに、乾かすためにしっかりと掛けなおしておいた。
ともあれ、どうやら主催者側の放送のタイミングを逃したということは無さそうだった。
安心すると同時に、さっきまでの自分に対して、言い様のない怒りが湧いて来る。
ともあれ、どうやら主催者側の放送のタイミングを逃したということは無さそうだった。
安心すると同時に、さっきまでの自分に対して、言い様のない怒りが湧いて来る。
「あんなタイミングでこんなところで、全く無防備に寝るなんて……どれだけ間抜けなんだ俺は!」
もしも寝てる間に放送が入っていたりしたら、致命的な情報不足に陥り、その上貴重なチャンスを失うところだ。
もっと悪いことには、もしも寝ている間に殺し合いに乗っている者がここに来ていたら……。
もっと悪いことには、もしも寝ている間に殺し合いに乗っている者がここに来ていたら……。
「増して、ここは放送局の要……放送局に来るなら確実に目指す場所だ」
そうして考えていくと、自分が生きているのが不思議ですらある。まだ運に見放されたわけではないということだろうか。
「あるいは、魔女に対抗しようとする俺を、神か何かが応援しているのかもな」
わりと真剣に呟きながら、三村は放送用の機器に手を掛けた。主催者側の放送はもう間近だ。今なら結構な数の人間が放送を聞く準備をしているだろう。その中に彼の放送が入れば、少なくない数の人間が真剣に受け取るはずだ。魔女、柊かがみの危険性を。
「よし。じゃあ、まずは電源を入れて……」
だが、そこでいきなり三村の動きは詰まってしまう。どんなに電源を入れようとしても、入らない。
「まさか……電気が通って無いのか!?」
慌てて機材の中を探る。配線はちゃんと繋がっているようだが……。
(何でだ……何で点かない!?)
動揺しつつも何度も電源スイッチを押すが、反応はない。
ハッとして気付く。
ハッとして気付く。
「そうか……考えてみれば、発電施設のないこの島に電気があるわけが……」
顔を蒼白にして、震える声で言う。
(マジかよ……全部無駄足……)
絶望に飲み込まれそうになる。圧倒的な脱力感が身体を包み込む。さっきは寝るだけで済んだが、今度は寝たらそのまま死んでしまいそうだ。
(マジかよ……全部無駄足……)
絶望に飲み込まれそうになる。圧倒的な脱力感が身体を包み込む。さっきは寝るだけで済んだが、今度は寝たらそのまま死んでしまいそうだ。
「……いや、待て。じゃあなんで、ここは明かりが点いてる?」
絶望の淵にいた彼を現実へと引き戻したのは大して明るくも無い電灯の明かりだった。
みるみる頭が冴え渡って行く。
みるみる頭が冴え渡って行く。
「いや、この際だ。何故明かりが点くかはどうでもいい」
三村は身体に力を込め直すと、電灯の電気系を調べ上げた。天井を剥がし、なんとか配線を切り替えて放送機器に電気をもっていけないか試してみるが、どうにも上手くいかない。
「……電気系を辿ってみるか」
呟くと、電灯の配線を頼みに、天井に続いて、辺りの壁を剥して行く。幸い、機材の調節具が部屋にあったため壁を剥すのにはあまり苦労はしなかった。
「床、か?」
何本ものコードが向かうのは真下だった。てっきり、別の部屋にでも向かうと思っていたのだが……。
「仕方ない。床も剥すか……」
調節具を頼りに、床を一枚一枚剥して行く。コードの行き先はすぐに見つかった。だが、同時にそれ以上追うのは不可能だということも分かった。
「地下か……」
床を通り、大量のコード達は更に下に向かっていた。思い出すのはこの島の地図だ。周りを海に囲まれ、中央に巨大な湖。
「地下に水を通して、水力発電ってところか……」
溜め息を吐く。これで電気系をこれ以上探るのは不可能になってしまった。
「……他の部屋から何本かコードを切り取って来て、それを延長コード代わりにこの部屋のコードに繋げる……。難しいな」
だが、他に手段も思い浮かばない。
三村はのそのそと立ち上がると、早足にその部屋から出た。
三村はのそのそと立ち上がると、早足にその部屋から出た。
(時間はもう少ない。なんとかして間に合わせないと……)
睡眠によって回復した体とは対照的に、内心の動揺はどんどん強くなっていく。三村はそれでもCOOLを保つことを必死に自分に言い聞かせると、隣の部屋の天井を剥がし始めた。
【C-6/放送局/1日目-昼】
【三村信史@漫画ロワ】
[状態]:健康、全裸、KOOL
[装備]:金属バット@ニコロワ
[持物]:デイパック、支給品一式、光の護封剣@ニコロワ
[方針/行動]
基本方針:魔女の犠牲者を出さない。
1:放送を利用して魔女の危険性を広く伝える。
2:自分に同調する仲間を集め、魔女達に対抗できるようにする。
3:魔女やその仲間は殺す。
[状態]:健康、全裸、KOOL
[装備]:金属バット@ニコロワ
[持物]:デイパック、支給品一式、光の護封剣@ニコロワ
[方針/行動]
基本方針:魔女の犠牲者を出さない。
1:放送を利用して魔女の危険性を広く伝える。
2:自分に同調する仲間を集め、魔女達に対抗できるようにする。
3:魔女やその仲間は殺す。
[備考]
※登場時期は漫画ロワ185話「誰がために」の直後からです。
※柊かがみが自分と同じ殺し合い(漫画ロワ)から来ていると思い込んでいます。
※柊かがみと同じ制服を着た者は全て魔女かその仲間だと思いこんでいます。
※現在、以下の人物を魔女やその仲間だと認識しました。
[魔女]:柊かがみ
[名前を聞いた]:柊つかさ、泉こなた、地球破壊爆弾No.V-7
[姿を見た]:小早川ゆたか、泉こなた、地球破壊爆弾No.V-7、6/氏、結城奈緒、忘却のウッカリデス、遊城十代
※クールなロリスキーのことは柊かがみ本人だと思いこんでいます。
※服一式は放送室の中に乾くように引っ掛けてあります。まだ生乾きで、異臭を放っています。
※登場時期は漫画ロワ185話「誰がために」の直後からです。
※柊かがみが自分と同じ殺し合い(漫画ロワ)から来ていると思い込んでいます。
※柊かがみと同じ制服を着た者は全て魔女かその仲間だと思いこんでいます。
※現在、以下の人物を魔女やその仲間だと認識しました。
[魔女]:柊かがみ
[名前を聞いた]:柊つかさ、泉こなた、地球破壊爆弾No.V-7
[姿を見た]:小早川ゆたか、泉こなた、地球破壊爆弾No.V-7、6/氏、結城奈緒、忘却のウッカリデス、遊城十代
※クールなロリスキーのことは柊かがみ本人だと思いこんでいます。
※服一式は放送室の中に乾くように引っ掛けてあります。まだ生乾きで、異臭を放っています。
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