【ご挨拶】
本冊子は、王国内、特に王都ディルクール近郊で活動する冒険者の方々に向けたものとなります。
拙いながらも一神官として力になれたら幸いです。
各種問い合わせはキルヒア神殿の学舎管理係まで。
今後ともよろしくおねがいします。
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刊行記念ということで、今月は4つのトピックスでお送りします。
最後にちょっとしたお話もありますよ。
【最近の出来事:王都ディルクール】
さて、最近のディルクールでの大きな出来事といえば、
騎士神祭が行われましたね。
戦時の市街防衛に尽力し、犠牲となられたザイア神官を偲ぶものでもありました。
そうした鎮魂の意を込めた、良き祭事でしたね。
(私も行きたかった……。あの時は別件で忙しかったので回れなかったんですよねぇ……。)
屋台や見世物市で掘り出し物を見つけた方は、一度キルヒア神殿まで。
調査への貢献には少しばかりのお返しを用意してあるそうです。
また、夜の酒盛りでは少し騒ぎが起きたようですね。
冒険者の方々が収拾をつけ、怪我人も出なかったそうなので不問となったようです。
何か依頼や問題があったら最寄りの冒険者の店までどうぞ。あなたの助けになる人はきっといます。
これは余談ですが、昔の騎士神祭を知る人から聞いたところによると、祭りの雰囲気は戦前よりも明るく堅苦しさの取れたものであったそうで。
これには、戦時に多大な貢献を為されたザイアの神官戦士……
彼女の場合、「騎士」の表現が良さそうですね。
その神官騎士様の意向が反映されたようです。
【冒険のススメ:『罠』について(解説:罠の専門家)】
このコーナーでは、冒険者の方々に役立つ知識をまとめ、広く普及するものです。
すぐに使える知識をあなたに。情報の提供者・協力者には最大限の感謝を。
今回はいわゆる『罠』について。
冒険者なら蛮族の根城や様々な遺跡で目にしたことがあると思います。
一つのミスが命取りになりかねない『罠』。
それらのうち、特に目にする機会の多そうな5種について、「専門家」の方に解説していただきました。
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動物を捕らえるときなど、一般の環境でも目にすることが多い罠だ。
文字通り踏み抜くと下に落ちる罠だな。鎧を着ていれば傷は浅く済むだろう。
単純な構造でありながら深さ次第で命も落とす。ものによっては下にスパイクが設置されていることもあるから気をつけろ。
上を覆い隠すだけで隠すことができるため、非常に発見のしづらいものでもあるな。
対処法としては、設置場所にパターンがある。これを頭に入れておけ。
遺跡の入り口や通路の途中に設置されていることが多いだろう。
その他の探知方法として、穴を覆っているものを察知することだ。木目のずれた板や木の枝が多く被さっている場所に気をつけろ。
あと妙に音の響く遺跡に踏み込んだ時は慎重に進め。何も出来ずに骨になりたくないならな。
……これ踏むやついるのか?
まあいい。この罠は踏むとノコギリ状の刃に足が挟まれる。
外さないとその場に取り残されることになるが、外す時は出血することもあるだろう。治療を忘れるなよ。
また、刺さり方次第で鎧を着ていてもマズイことになる。
この罠は、蛮族が捕虜の逃走防止や侵入者の妨害に使うことが多い。
対処法は落とし穴と同じく、設置場所のパターンを覚えることだ。
たいてい草むらの影や石が敷き詰められた床の下にある。
最も気をつけなければならないのは、見えるように設置されたトラバサミだ。頭の切れるやつは迂回路にも設置する。
取り外せそうなトラバサミは解体して持って帰ってやれ。安全確保と小遣い稼ぎに丁度いいだろう。
この罠は蛮族の縄張りで広く確認されているな。
起動場所に踏み込むと隠してあった網に囚われて吊られるって罠だ。
捕らわれるんじゃない。囚われるんだ。
ナイフの扱いに長けたやつならさっさと外して出られるだろう。
脱出が遅れると設置した蛮族が駆けてくる。急げよ?
対処法だが、刃物を常に携行することくらいだな。特に打撃武器使いは持ち歩け。
設置場所にはそれなりに広いスペースを必要とするが、それはあまり当てにならない。
あくどいやつらは強度の高いワイヤーを使ってくることもある。用心しろ。
蛮族もたまに使うようだが、遺跡で発見することのほうが多いだろう。
小物蛮族を殲滅するために人族側の要塞でも使うことがある。
起動させると通路や坂の上から岩が転がってくる罠だ。
避ければそれで終わりだが、後ろに魔法使いがいるなら戦士はなんとか耐えてやれ。
神官がいれば強引に突破することもできるだろう。
対処するには設置できる場所が限定的であるところを突く。それがわかっていれば容易に回避できるだろう。
この罠があるのは、細くて、長くて、傾斜のある通路だ。この3つの要素が揃っている通路にはたいてい設置されている。
自分の実力に自信があるなら立ち向かって岩を壊すのもいいだろう。
……爆発物の可能性もあるから過信は禁物だが。
遺跡の探検中に突然矢が飛んできたことはあるか?それはこの罠のせいだろう。
起動させるとそいつに向かって矢が飛んでくる。
茂みや木の上、壁の彫り物の中に飾りの鎧の中と設置場所には事欠かない罠だ。
装填されている矢の種類によってはかなり厄介な傷を負うことになる。
対処法は遺跡の内部を不用意に触らない、歩かないことだろう。
罠に詳しい者の指示に従え。起動したとしてもパニックになるな。
この罠の一番危険なところは、起動した矢がどう飛んでくるのかわからないところにある。
複数の矢が神官に刺さる事態は誰しも避けたい事項だろう。
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以上、
モスルク氏による罠の解説でした。
彼は稀にキルヒア神殿の公会堂で講義を行ってくださるので、興味を持たれた方は一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
そちらでは魔法が使用された罠についての解説も行っているようですよ。
このコーナーで扱うテーマは随時募集しております。
時事に基づいたものを取り扱うこともありますので、何かありましたらキルヒア神殿まで。
【今月のピックアップ装備:<スピア>】
冒険者の最も身近な相棒。そう、武器と防具ですね。
このコーナーでは様々な装備についてお話するものです。
長所と短所を解説しますので、武具選びに困ったら参考にどうぞ。
ものによっては一生のパートナーとなることでしょう。
今月紹介する装備は<スピア>!
この武器種は<盾>とセットで扱われることがとても多いものですね。
大きな盾を携えた槍使いが複数集えば堅牢な陣を敷くことも可能でしょう。
また、<スピア>の中にはランスとして騎乗時に大きな効果を発揮するものもありますね。
ある程度習熟した騎手であれば、ランスと盾を構えて突進することもできるため、突破力が高いです。
それらも踏まえて、解説していきましょう。
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<スピア>
長柄の先に、鋭い刃を取り付けた武器です。
刺突による攻撃を主とし、片手でも両手でも使用可能なものが多いです。
リーチが長いですね。
冗談はさておき、<スピア>が最も輝く戦場は奥行きのある閉所でしょう。
通路における牽制力は全武器のなかでも群を抜いて高いのは間違いありません。
また、<スピア>はその長い柄を支えるための高い筋力を必要とします。
その代わりに、武器全体が細長くまとまっているために重量のバランスが取りやすく、重く威力の高い<スピア>であっても片手両手兼用として扱える利点があります。
これは重量級の<ソード>に対して明確に差別化できる点となります。
空いた手には盾を構えることで、バランスの取れた硬さと火力を備えることができるようになるでしょう。
そして、いわゆるライダー技能を修得している騎手の方々にはとても馴染みの深い装備ですね。
こちらは<スピア>の需要の多くを担っている部分でもあることでしょう。
彼らが使用するランスと呼ばれる騎乗槍は、大型で特に重く作られているために立ち状態で使うには不向きです。
しかし、騎乗時に使用することでその重さを破壊力へ変換することができます。
熟練のランスライダーの突撃は戦場での起点であり、士気向上の要となるので軍や冒険者のパーティでは要職となることが多いと聞きます。
<スピア>はリーチに優れた武器ですが、こと乱戦時や肉薄される近接格闘距離においてはそれが仇となることがあります。
また、刺突攻撃をベースとするため攻撃が単調になりやすく、回避を咎めることの難しさが上げられます。
しかし、上記の点は全てが使用者の腕で改善することができます。
実際、<スピア>の柄を使用してダガーの攻撃を捌く技術や<スピア>を広範囲に振るう技術は確立されているため、修得することは可能でしょう。
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さて、いかがでしたか?
ライダーギルドでは<スピア>を扱うにあたっての訓練も補助的に行っているそうなので、そちらもどうぞ。
【魔物知識講座:蛮族編 フッド種】
最後のこのコーナーでは、魔物についての解説を行います。
キルヒア神殿に蓄積された情報がお役に立てますように。
今回取り上げるのは、蛮族の新種として知られてきている『フッド種』についてです。
彼らは灰色の肌をもち、醜悪な外見をした低級妖魔。
自身の姿を嫌ってフードを被っており、美しいものを憎んでいます。
人間やエルフを特に殺したがる特徴があるため、エレディア大三角州の方でも警戒を強めているようですね。
この種族の特徴として、同種族の中で役職分けがあり、射撃・近接・統率・護衛といった多様性が上げられます。
個々の戦闘力は大したことありませんが、群れると非常に厄介な存在です。
村々への襲撃も増えているため、冒険者の店から受けられる退治依頼には必ず存在することでしょう。
新人冒険者の方にとっては、この妖魔退治が最初の壁になるかもしれません。
対策としては、個体それぞれの攻撃方法を見極めて、柔軟に対処していくことが大切です。
彼らは知能も低く攻撃も単純なため、一度見切ってしまえば後はこちらが有利になります。
数に圧倒されず、落ち着いて撃破していく意識を持ちましょう。
最近のディルクール郊外にて、フッド種のようでいて性質の全く異なる魔物が出現したとの情報が来ています。
詳細を知る方は一度キルヒア神殿までいらしてください。情報が必要です。
【お話】
ここまでお読みいただきありがとうございました。
最後に、キルヒア神官としてひとつお話を。
昔々、ある王国が強大な魔物を退治するために軍隊を送りました。
長きにわたる戦いの末、数多の犠牲者を出しつつも見事魔物を撃退、追放し、軍隊は凱旋することができました。
その後、帰還した軍隊の装備を調べるといくつかのことがわかりました。
- 戦いによって軍の装備には多くの損傷が発生したこと。
- 損傷や被害の最も多かったものが手甲、次いで鎧、兜、足甲の順に少なくなっていること。
- 足甲は特に傷が少なかったこと。
- かの魔物の攻撃は広範囲に渡るもので、どの部位にも攻撃が加えられたであろうこと。
さて。
撃退された魔物は、いつかその国に復讐するために戻ってきます。
その時のために新たに同じ装備を生産する際、より堅牢に強化しなければなりません。
ですが、戦争によって国も消耗し資源もあまりありません。
あなたは兜、鎧、手甲、足甲のうち一つ強化するならばどの部位にしますか?
今月号はここまでです。
全ての冒険者に良き冒険者生活を。
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筆者より
適当に設定盛ってるのでなんかあったら教えてください
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最終更新:2020年04月11日 17:09