ジョウイ、『犠牲』に操られる ◆Rd1trDrhhU
少女の死体に土をかける。
綺麗な白い肌を、少しずつ茶色が隠していく。
まるでその存在ごと、大地の下に封じ込めてしまうかのように。
「……はぁ…………」
両の手のひらで土をすくって、魔法で開けた大穴に横たわらせた少女の身体に乗せていく。
それだけの単純な作業なのに、酷く心に疲労がたまる。
一すくい毎に心がすり減らされていくのを、
ストレイボウはひしひしと感じていた。
それに呼応して、だんだんと身体の力までもが抜けていってしまう。
抗いようのない虚脱感が自分を包んでいくのだ。
ふと、死して尚艶やかさを保っている少女の顔から、小指の先ほどの土の塊が転がり落ちた。
スゥゥ……と目元から頬を伝って、地面へと流れ落ちる。
無力感に苛まれていたからだろうか。魔導師の目には、それが少女の流した涙に映った。
黄土色の固形物は、大粒の涙に他ならない。
(すまない……な……)
少女の頬に残された、茶色い一筋の涙の跡。
これから土に包まれるのだから、そんな些細な汚れなど放っておいてもいいのだが……。
それでもストレイボウは、冷たくなった頬を親指で一拭いしてやった。
(彼女が泣くのも当然だ)
ちょっとは綺麗になった少女の顔を直視できずに目を伏せる。
彼女の生い立ちも、彼女の死に様も、彼女の強さも、何にも知らない。
その美しい死に顔意外……何も…………名前すら……。
それでも確かな事がある。
少女は若い。聡明そうな顔つきの中にも幾らかの幼さが残っていた。
この子には、まだ可能性があったはずだ。
混沌とした未来を変えてゆけるだけの可能性が。
この絶望を覆すことのできる可能性が。
(本当に死ぬべきなのは、償いきれぬ罪を背負った俺じゃないか……!)
なぜ、そんな少女が死ななくてはならなかったのだ。
唇を噛み締める。
虚脱に注ぎ込まれたのは、とろみを帯びた絶望。
鉄の味がした。
出会ったときには彼女は虫の息だったし、助けられる術など持ち合わせていなかった。
だから、どうしようもなかったのだ。
自分に責任があったわけじゃない。
それでも……それでも、目の前で散り逝く命を前に何もできなかった自分が情けなくてならない。
惨めで仕方がない。
(オルステッド。こんな俺を見て、お前は笑っているのだろうな……)
誰もいるはずもない青空を見上げる。その遥か向こうに、彼がいる気がした。
そこから、自分を嘲り笑う声が聞こえてきたような気がしたのだ。
この殺し合いの主催者でもある男には、今の自分の姿が滑稽に見えるに違いない。
得意のはずの攻撃魔法は糞の役にも立っておらず、未だこの無力な男は誰一人として救うこともできていない。
この少女だけではない。
ニノやマリアベル、
ロザリー……血に染まった彼女たちを、ただ呆然と見ていることしかできないでいた。
それどころか、信じていた男にすらも裏切られる始末。
仲間だと信じていたはず
カエルは外道へと墜ち、その凶刃を守るべきものたちに向けて振り下ろした。
自分自身がかつて犯してしまった『友への裏切り』という罪が、そっくりそのままこの身に返ってきたのだ。
これ以上ない喜劇。
自分の業の上で踊る自分は、道化師そのものじゃないか。
(なんて、情けない……)
もしかしたらこうして死体を埋葬しているのも本当は、少女を弔いたいのではなく自分の惨めさを地中に隠しこんでしまいたいだけなのかもしれない。
また誰も救えなかったという事実から目を背けたいだけなのかもしれない。
そんなことを、不意に思ってしまった。
(俺はもう、挫けそうだよ……)
目の前が霞んで、身体にはもう力は入らない。
死体を埋めることすらも、ままならないでいた。
無理もない。どれだけ頑張っても空回りするばかりで、彼の心労は限界を超えていた。
いつ倒れても、いつ挫けてもおかしくないところまで彼は来ていた。
(それでもまだ……)
それでも彼は踏ん張っていた。頼りない二本の足で、それ以上に頼りない上半身を支えながら。
倒れることなく、狂うことなく、今だ現世で戦っていた。
ニノやマリアベル、ロザリーは生きている。
シュウに
サンダウンだっている。
まだ、全ての希望が潰えたわけじゃない。
(まだ、倒れるわけにはいかないんだよな)
力を振り絞って、両手で土を掬い上げる。
限界を迎えたはずの五体は、軋みをあげながらも彼の命令通りにちゃんと動いてくれていた。
ロザリーから貰った言葉がある。
彼女はこんな罪にまみれた男を、仲間だと言ってくれた。
そして、こんな男に道を示してくれた。
彼女たちがまだ戦っているのに、自分がこんなところで挫けるわけにもいかない。
少女の亡骸を冷たい自然の棺桶に眠らせると、ストレイボウは音もなく立ち上がる。
不意に、視界が揺れた。
酔っ払いのように二、三度よろける。
それでも、泣き言を言う両足に鞭打って不自然なほどの大股で歩き出す。
木に寄りかかり蹲ったまま一切動かない少年の元へと。
「そろそろ落ち着いたか? 話を聞きたい」
少年に近づき、できるだけ刺激しないように声をかけた。
少女の死を確認してから、ずっと彼はこうしてジッとしていた。
ただのしかばねのように、話しかけても返事がないため、情報交換すらできない始末。
おかげで、少女の名前すら知らないストレイボウが彼女の死体を埋める羽目になってしまった。
少年がゆっくりと顔を上げる。
木漏れ日を浴びた金髪が輝きながらユラユラと揺れた。
それとは対照的なのは、輝きを失った瞳。
焦点の合わさらない目線は、空虚の海を漂うばかり。
「俺はストレイボウ」
焦りつつも静かに語りかけた。
少年のうつろな目が自分の姿を捉えるのを待つことなく。
しゃがみ込んで、蹲った少年と同じ目線に合わせる。
もし少年が懐に隠し持ったナイフでも振るおうものなら、避ける術などないほどの至近距離。
今声をかけている相手が悪人である可能性は低い。先ほどの彼は、死んだ少女を必死に助けようとしていたのだから。
だが、彼が安全であるという確証だってない。
さっきほどの慟哭も、もしかしたら演技なのかもしれないのだから。
(この殺し合いを渡り歩くには、ちょっと警戒心が足りないな)
自身の行動をそう評価する。と、共に彼が思い出すのは、数時間前に殺し合いに乗った騎士の事。
シュウの『カエルに気をつけろ』という助言に声を荒げて反論したものの、結局はあの忍者の言う通り。
最終的には疑り深い男が正しく、信じ続けた男が馬鹿を見る羽目となったのだ。
ひたすら後悔し、傷ついた。
そのはずなのに、今彼は目の前の少年を信じようとしている。
「君の名前は?」
「……僕は…………」
ストレイボウの姿を見つけた少年がゆっくりと唇を開く。
獲物を待つ食虫植物のような緩慢な動作。
それでも彼の口から紡がれるだろう言葉を、ストレイボウは待ち続けた。
待つのは慣れている。
オルステッドに殺されてからずっと……あの暗い洞窟の中で立ち尽くしていたのだから。
ストレイボウは待ち続けるつもりだった。
一時間でも、一日でも。
やっとこちらの呼び掛けに答えてくれたのだから。
一週間でも、一ヶ月でも。
体力も精神も、とうに限界を超えている。
一年でも、一世紀でも。
それは、裏切り、裏切られた男に残された最後の意地であった。
『時間だ……』
しかし、現実は冷酷に彼の足掻きを踏み潰す。
少年の声を待っていた魔法使いの鼓膜を震わせたのは、一番聞きたくなかった声。
そして告げられたのは、待っていたはずの少年の名前などではなく……一番聞きたくなかった男たちの名前であった。
◆ ◆ ◆
突然の爆発音に驚いて、久しぶりに顔を上げる。
目に映るのは、一心不乱に穴を埋める男。
魔術師らしき身なりの男が、ついさっき力尽きた少女の死体を埋葬してくれていた。
どうやら今のは、遺体を眠らせるための穴を魔法で開けた音であったらしい。
(あの人…………)
先ほどまで、ジョウイは自分を助けるために重傷を負った
ルッカを助けようと奔走していた。
あの魔術師はそのときに必死で手助けをしてくれた人物である。
その時の様子を思い出す限り、彼はあの発明少女のことを知らなかったみたいであった。
つまりあの男は、安全かどうかも分からない人間を助けてくれたのである。
その人の良さにジョウイは幼馴染みの姿を思い出した。
だからだろうか。あの魔術師に話しかけられても、返事をすることができなかった。
言葉を返してしまったら、親友のことを思い出してまた泣き叫んでしまいそうで……。
次々に襲い掛かる喪失という悲劇に、押しつぶされてしまいそうだったから。
(みんな、死んでしまったんだね……)
目を伏せる。そうすれば、全てから逃げてしまえるような気がしたからだ。
あの親切な魔術師からも、巡り合った人々が死んでいった悲しみからも。
どこかで、この殺し合いを主催した魔王の高笑いが聞こえてくるようだった。
自分と出会ってすぐに死んでしまった二人の少女。
この狂宴の中で失った大切な人たち。
ジョウイ・ブライトにとって、出会った人物は駒だった。
全ての人物は、彼がこの殺し合いで自分が優勝するための踏み台でしかない。
弱きものは利用し、強きものは同士討ちさせる。
五十余人ばかり、理想のためならば安い代償、のはず。
ジョウイ・アトレイドにとって、リオウと
ナナミは障害であった。
直接は戦う覚悟だってできていた……彼ら二人もまた敵なのだから。
自分の知らないどこかで勝手に死んでくれるならば……それはそれで。
自らが手を下すよりはその方がずっとまし、のはず。
それなのに。
「なんで僕は、こんなに……つらいんだ」
かすれ声で呟きながら、何か求めるように天を仰ぐ。
木々の隙間から見えるのは、誰もいない青空。
夜空に溶けた魔法も、土に眠る炎も、天寿の星も、緑の盾もそこには存在しない。
返事のない天を見上げるのがつらくなって、ジョウイは再び顔を伏せた。
大地と睨めっこをしながら、流した涙の理由を探していた。
ナナミの死体を前にしたとき、彼は確かに怒っていた。
そしてリオウの死を知ったときには、泣き叫んだ。
あの瞬間、彼は理想を忘れていた。
あふれ出した感情の波が、目指していたはずの平和の国を脳の外まで押し流してしまった。
彼は考える。
もしかしたら、理想なんてどうでもよくなってしまっていたのかもしれない、と。
この殺し合いが始まったときから既に、そんな願いなんか捨ててしまったのでは……。
敗れた願いをもう一度追うことよりも、もっと別の望みがあったのではないか?
例えば、リオウとナナミと……。
(ダメだッ!)
グッと強く目をつぶって、思い描いた可能性を必死に否定する。
……そんな勝手は許されない。
この理想のために、どれだけ死んだ? どれだけ騙した? どれほどの人が悲しんだ?
矛盾しているではないか。
かつての戦いでは、何千何万の死を平和のための犠牲として片付けてきた。
名もなき敵兵も、自軍の兵士も、ついてきてくれた家臣たちも。
遺された者たちの悲痛な叫びも。
それらのすべては未来のため。そう納得してきたのだから。
自分だけが絶望し、未来をあきらめる事など許されない。
何を失っても、どんな汚名に塗れようとも、理想のために走り続けないといけないのだ。
(そうだ……)
顔を上げる。
目の前で、あの魔術師が自己紹介をしている。
彼はストレイボウと言う名前らしい。
見ず知らずの人間のために、土塗れになってくれるようなお人よし。
この男もまた、自身の理想のために戦い続けているに違いない。
自らを犠牲にしても、この殺し合いを止めるつもりなのだろう。
でなければ、落ち込んでいる子供とはいえ、安全かどうかも分からない人物にこんなにも不用意には近づかない。
それができるのは、彼が危険を冒してでも誰かを救いたいと心に誓っているからだ。
彼には覚悟がある。ジョウイにはそう見えた。
それに比べて……。
「……僕は…………」
不意にこぼれた声。
誰に聞かせるでもない、ただの弱音。
だけど、ストレイボウにも届いてしまったようだ。
彼はジッと二の句を待ち続けている。
このまま、この人に全てを吐き出してしまおうか。そんな考えが過る。
争いのない国を造りたいこと。
そのために優勝を狙っていること。
そして、少女を騙した末に見殺しにしてしまったことも。
そのくせ自分は覚悟が揺らいでしまっていることも。
そうしたら正義に燃える魔術師はジョウイをどうするだろうか。
殺し合いはいけないことだ、と説得してくれるのか?
悪は成敗するべし、と殺そうとするかもしれない。
可愛そうだから、と少年を優勝させるために殺し合いに乗ってくれる可能性だってゼロじゃない。
そんな馬鹿な考えが現実逃避であることに気づいて、慌てて脳内から追い払おうとする。
だけど、そうするよりも先に、彼は無理やり現実に引き戻された。
『時間だ……』
魔王オディオの放送。
ジョウイとの対話を試みていたストレイボウが立ち上がり、放送に耳を傾ける。
それを確認した黒き刃の持ち主もまた、声の雨が降り注ぐ晴天を見上げる。
力なく見上げた空。何故だかさっきよりもずっと不愉快に見えた。
(
ビクトールさん……やっぱり……)
放送ではリオウとルッカに加え、ビクトールの名前も呼ばれた。
魔王たち二人組に殺されたのだ。
ついさっき親友の死に泣き崩れた少年。その彼に追い討ちをかけるのは、命の恩人である男の死の知らせ。
(そして魔王たちは生き残ったようだ……それ以外にも、まだ危険人物はたくさん残っている……まずいな……)
しかし、今のジョウイにはさっきのような狼狽はない。
あーでもない、こーでもない、と生き抜くためにどうすればいいのかを冷静に試行錯誤していた。
彼にとって、優勝は夢でも目標でもなく、もはや義務だった。
平和のためだと人々を散々悲劇に巻き込んでおいて、気が変わったから別の未来を目指します。
そんな理屈がまかり通るわけがない。
そんな無責任が許されるはずがない。
だから忘れることにした。
三人で描くはずだった幸せな未来を。
一時の迷いであったのだと、記憶の奥底に封じ込めた。
理想を揺るがす迷いとともに。
(……優勝しなくては。僕のために死んでいった人のためにも)
スゥ……と立ち上がった。何かに操られるように。或いは亡霊が如く。
一転してしっかりとした足取りで、ストレイボウに歩み寄る。
背を向けたまま突っ立っている魔術師。ジョウイからでは、その表情を読み取ることはできない。
もしかしたら、知り合いの名前が放送で呼ばれたのかもしれない。
「あの……」
「……急がなくては!」
金髪の少年は、魔術師に接触を試みようとした。
しかし、その呼びかけはストレイボウの叫び声にかき消された。
蒼い長髪をなびかせながら振り返って走り出すが、焦るあまり真後ろにまで接近していたジョウイとぶつかってしまう。
「……え? ……ッ!」
「……ッ! す、すまない!」
尻もちをついた少年を見て、ストレイボウは回りが見えていなかった事をようやく自覚したようだ。
慌てて彼が差し伸べた手に、ジョウイは「大丈夫です」との言葉で答える。
自力で軽々と立ち上がって、ズボンに付いた土を叩き落とそうとした。
が、ルッカの血液で赤く染まってしまっていた事に気づいて、一瞬だけ目を細めると、すぐにストレイボウに向き直った。
「ストレイボウさん……でしたよね?」
「あぁ、すまなかった」
「いえ。気にしないでください」
さっきまで呼びかけても反応がなかった少年が話しかけてきたことに多少驚きながらも、ストレイボウは改めて謝罪の言葉を述べた。
その誠実さに笑顔で応じる。
いつの間に、こんなに演技が上手くなったのだろう。最終的に自分は、この男の死すらも望んでいるというのに。
リオウと一緒だったころとは随分と変わってしまった。
そんな自分自身が、酷く虚しく感じた。
「僕はジョウイ。ジョウイ・ブライトです」
差し伸べた手をストレイボウが軽く握る。
正義漢だと思っていた魔法使いの手は随分と冷たかった。
◆ ◆ ◆
ジョウイと情報交換をしている間も、ストレイボウの鼓動は収まってはくれなかった。
バクバクと自己主張する心臓を「大丈夫だ」となだめ続けていた。
あのシュウが死んだ。
この殺し合いを生き残るための技術ならば、誰よりも優れているはずの男が。
サンダウンが死んだ。
そのシュウさえも白旗を揚げるほどの腕を持つ最高のガンマンが。
それほどの強者である男たちが二人とも殺されたのである。
彼らと行動を共にしているはずの少女たちのことが心配で、気が気じゃなかった。
本当ならば、この少年を無視してでも彼女たちの元へ駆けつけたかった。
だが、少女たちを保護しようにも、その居場所すらわからない。
ストレイボウがニノたちと分かれてから、もう既に数時間が経過していた。
積極的に仲間集めに動いていた一団が、会場の隅に位置する城にあのまま引きこもり続けているはずもない。
気が動転するあまり、勢いのままに当てもなく走り出そうとしてはみた。だが、スタート直後に少年を転倒させてしまうという有様だ。
相変わらず空回り続けている自分自身に呆れ返るが、そのおかげで冷静さをとりもどすことはできた。
(大丈夫。彼女たちを信じよう)
大量の唾を嚥下する。
心配そうにこちらを覗き込んでいるジョウイに、ぎこちない笑みを返すことが彼にできる精一杯であった。
落ち着いて考えてみれば、少女たちの名前は放送で呼ばれなかった。ということは、おそらくは命だけは助かっているということなのだろう。
……放送の時点では、の話ではあるが。
もしかしたら、放送直後に殺されたのかもしれない。
それとも、殺されていないだけでどこかに監禁されているのかもしれない。
ストレイボウはできる事なら彼女たちの無事を一刻も早く確認したかった。
しかし、ここまでずっと自分が空回りしてきていることは、ストレイボウも自覚していた。
『急がば回れ』の言葉を、熱暴走寸前の頭に刻み込む。
今は無闇に南下して入れ違いになるよりも、ジョウイから情報を得ることが先決だ。
その判断は正解だったかどうかは、今の彼には分からない。
だが、有益な情報を入手できた事は確かであった。
金髪の少年が言うには、この殺し合いに対抗する意志を持った参加者たちが次の放送までに北の座礁船に集うらしい。
今から向かえば、集合時間には間に合う。
少女たちもそこに向かっている可能性だって……僅かながら。
さらに、重要な事がジョウイの口から告げられた。
先ほどストレイボウが救えなかった少女……ルッカを殺したのは、皮肉にもストレイボウが追いかけていたカエルであった。
どうやら、あの異形の騎士も北に向かっているようであった。
(俺は北へ向かう。少女たちよ生き延びてくれ……)
ストレイボウは逡巡の末、座礁船と歩みを進めることにした。
自分自身が変わる事を選択したのだ。
それは、少女たちを切り捨てる結果になるのかもしれない。
ロザリーが、仲間だと言ってくれたことを思い出す。
仲間なら信じることも大切だと彼女の言葉に甘えて、自分自身を騙し込んだ。
(これで、いいんだよな……)
いつかの光景。
憎しみに震えたオルステッドが、国中の人間を殺して回っている。
戦いに行く彼の背中を押してくれた村人も、彼に好意を抱いていた女も、最後まで彼を信じた少年も……憎悪の刃に倒れていった。
自分のせいで親友が狂い、大切な人々が死んでいくその光景を特等席で見物させられていたのだ。
そう簡単に忘れられるものじゃない。
変わろうと誓った今だって、目を瞑れば嫌でも思い出す。
もし、次の放送であの少女たちの死が告げられたら……そのとき彼は耐えられるのだろうか。
彼女たちを見捨てた自分を許せるのだろうか。
(もう、あのときのような悲劇は……)
ストレイボウは未だ、死者に縛られ続けていた。
いつかの悲劇を引きずっていた。
彼が本当に変われるとしたら、その死者の繰り糸を断ち切ったときなのだろう。
そしてそれは彼の目の前の少年も同じことだ。
彼もまた、自身の掲げた『理想』の為に散った人々に縛られているのだから。
【G-8 森林 一日目 日中】
【ストレイボウ@
LIVE A LIVE】
[状態]:健康、疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:ブライオン、勇者バッジ、記憶石@
アークザラッドⅡ、基本支給品一式
[思考]
基本:魔王オディオを倒す
1:カエルの説得。
2:戦力を増強しつつ、ジョウイと共に北の座礁船へ。
3:ニノたちが心配。
4:勇者バッジとブライオンが“重い”。
5:少なくとも、今はまだオディオとの関係を打ち明ける勇気はない。
参戦時期:最終編
※アキラの名前と顔を知っています。 アキラ以外の最終編参加キャラも顔は知っています(名前は知りません)
※記憶石にルッカの知識と技術が刻まれました。目を閉じて願えば願った人に知識と技術が転写されます
※記憶石の説明書の裏側にはまだ何か書かれているかもしれません
【ジョウイ・ブライト@幻想水滸伝Ⅱ】
[状態]:輝く盾の紋章が宿ったことで傷と疲労は完治
[装備]:キラーピアス@
ドラゴンクエストIV 導かれし者たち
[道具]:回転のこぎり@
ファイナルファンタジーVI、ランダム支給品0~1個(確認済み)、基本支給品一式
[思考]
基本:更なる力を得て理想の国を作るため、他者を利用し同士討ちをさせ優勝を狙う。(突出した強者の打倒優先)
1:生き延びる。
2:ストレイボウと共に座礁船に行く。
3:利用できそうな仲間を集める。
4:仲間になってもらえずとも、あるいは、利用できそうにない相手からでも、情報は得たい。
5:僕の本当の願いは……。
[備考]:
※参戦時期は獣の紋章戦後、始まりの場所で
2主人公を待っているときです。
※ルッカ、リルカと参加している同作品メンバーの情報を得ました。WA2側のことは詳しく聞きました。
※紋章無しの魔法等自分の常識外のことに警戒しています
※ピエロ(ケフカ)と
ピサロ、ルカ、魔王を特に警戒。
※制限の為か、二人が直接戦わなかったからか、輝く盾の紋章と黒き刃の紋章は始まりの紋章に戻っていません。
それぞれの力としては使用可能。また、紋章に命を削られることはなくなりました。
紋章部位 頭:バランス 右:刃 左:盾
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最終更新:2010年07月02日 22:13