しかしなんだな。佐々木よ、お前は慌てたり、取り乱したりってことはないのか?
「ん、そりゃ、僕だって予測のつかない事態には困惑するし、うっかりミスをすること
もあるさ。だけどねぇ、キョン。僕はね、常々さまざまな事態を想定して行動している
のだ。備えあれば憂いなしさ。たとえば、今日の天気だってね、出がけに気象情報
を確認している。よって、傘をね持ってきているわけだ」
まぁおかげで助かったよ。
「別に、感謝しなくてもよいよ、僕も置き傘を回収する機会を待っていたのだが、降雨
が予測されるときは事前に傘を持ってきてしまう。よって、傘を回収することができな
かったのだ。使って貰って、僕の傘も本望さ」
そうか。確かにな、お前が傘を2本もっていなければ、相合い傘ができたってのに。
「! ……な、なにを言いだすんだい、キョン」
俺は思わず、吹き出していた。
「なるほど、こういう風に慌てたり照れたりするんだな」
最終更新:2007年07月21日 20:28