PS装甲

PS装甲

フェイズシフト装甲は一定の電圧の電流を流す事で相転移する、特殊な金属で出来た装甲である。相転移した装甲は相転移前と比べ遥かに強靭になり、砲弾やミサイルと言った実体弾に対し驚異的な防御力を発揮する。その防御力は(モビルスーツの装甲程度の厚さの場合)モビルスーツが携行できる程度の実体弾であれば、実体弾としては最高峰の貫通力を有するレールガンやリニアガンの直撃にも耐えるほどであり、実体弾ならほぼ完全に無力化できると言って良い。また、耐熱性も、大気圏突入時の摩擦熱に耐える程にまで向上し、フェイズシフト装甲を持つモビルスーツは、モビルスーツ単機での大気圏突入が可能になる。
この金属は相転移に伴い色も変化する性質があり、通電すると普段はメタリックグレイの装甲が鮮やかに色付く。相転移時の色は装甲に掛けられた電圧によって決まるらしく、ストライクルージュの機体色がオリジナルの機体色から変化しているのはこの為である。又、後述するヴァリアブルフェイズシフト装甲はこの性質が特に顕著である。

ただし、相転移(=防御力)を維持する為には常に装甲に電流を流し続ける必要があり、鉄壁の防御力と引き換えに機体のエネルギー消費を早め稼働時間を大幅に短縮してしまう。これがフェイズシフト装甲最大の弱点である。又、機体のエネルギーが切れて相転移を維持できなくなると装甲の色も灰色に戻ってしまう。この状態をフェイズシフトダウンと呼び、それにより外見からエネルギー切れが露呈してしまうという欠点もある。
尚、実弾兵器の直撃に耐えても、着弾時の衝撃までは無効化する事が出来ない為、被弾すればコックピットや機体内部に大きな衝撃が加わる事になる。そのため、実弾でも被弾を続ければ内部機構への異常発生やパイロットの失神、負傷といった事態に陥る可能性が高い。そういった意味では実体弾を完全に無効化できる訳では無い。

理論的にはかねてから存在していた技術だが、地球連合軍がストライクをはじめとする5機のG兵器に搭載し、初めて実用化された。装甲材となる金属は無重力、又はそれに準じた低重力環境でしか精製が不可能とされているが、素材の構成物質や通電システムの機構等、詳細は明らかにされていない。
ちなみに初期GAT-Xシリーズ(G兵器)は実体弾76発でフェイズシフトダウンするようだ。ただし、これはエールストライクの場合であり、ストライカーパックという追加バッテリーを持たない他の4機はそれよりも少ない弾数でフェイズシフトダウンを起こす可能性がある。またストライクの場合でも、ストライカーパックの種別によって差があると考えるのが妥当である。尚、76発というのがどの程度の威力の実体弾を基準にしたものかは定かではない。(因みに、この設定は実弾兵器の魅力を損なわない為に設けられた後付けの設定と言われている)

フェイズシフト装甲は設定上、ビーム兵器の直撃に耐える事は出来ないはずであるが、小説『機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY』において、イライジャ・キールのザクがPS装甲でハイペリオンガンダムのビームサブマシンガンを防いでいたこと、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦において、ジェネシスがクサナギとエターナルの一斉射撃(ゴットフリート等によるビーム射撃やローエングリンによる陽電子砲含む)を完全に防いでいた事等から、フェイズシフト装甲にはビーム兵器に対する有効性も多少ながら存在し、またその有効性は、フェイズシフトの出力とビーム兵器の出力の関係において決定されると推察する事が出来る。

ただ、これらのビーム兵器に対する防御についての描写は、シナリオライターや監督の、設定への認識不足によって起きた矛盾である可能性が高いと言われている。

因みに、この装甲は機動戦士ガンダムSEEDの監督である福田己津央が「最強のガンダムを作りたい」と言う一言で生まれたとも言われている。

ザフトは地球連合軍から奪取したフェイズシフト技術を改良するのではなく、大容量の電源を搭載することで実用的な性能にすることを試みた。そのために開発したものがニュートロンジャマー(Nジャマー)キャンセラーである。ニュートロンジャマー(Nジャマー)の影響を排除することで核エンジンの搭載が可能となり、フェイズシフトを長時間展開し続けられるザフト製核エンジン搭載型MS(ドレッドノート、フリーダム、ジャスティス、リジェネレイト、テスタメント、プロヴィデンス等)の完成に繋がった。核エンジンの搭載はPS装甲のダウンを防ぐだけでなく、ビーム兵器の出力の大幅な向上にも寄与し、強大な火力と堅牢な装甲を備えたこれらの機体は当時の最強クラスのモビルスーツとして戦場に君臨することとなる。

また、巨大すぎて敵に狙われ易く、攻撃を回避する事も不可能なザフトの巨大ガンマ線レーザー砲ジェネシスは、外装に分厚いフェイズシフト装甲を使用する事で鉄壁の防御力を実現している。因みにジェネシスのフェイズシフト装甲の色は水色になっている。

一方、フェイズシフト装甲の開発元である地球連合軍は、着弾時にのみ相転移を起こさせる事で消費電力を削減する装甲システムの開発を試みた。それが後述の「トランスフェイズ装甲」である。
又、ユニウス条約締結後のプラントでは装甲に掛ける電圧を状況に応じて調整する事で消費電力を軽減する、「ヴァリアブルフェイズシフト装甲」が開発されている。これ以前にもヴァリアブルフェイズシフト装甲の雛形とも言える装甲がオーブのストライクルージュに搭載されているが、これがオーブからプラントに流出したものか、それとは別にプラントが独自に開発したかは不明。

しかし、後に締結されたユニウス条約によって、フェイズシフト装甲を軍事面に使用する事は禁止されている
余談だが、フリーダムがレイダーのツォーンをくらっても羽が数本おれただけなのにたいし、赤ビームより威力の低いはずのフォースインパルスのビームライフル一発で肩がとけている。色が違う=電圧が違う=フェイズシフト能力が違うという設定と水色のジェネシスが異常に堅かった事を考えると、青はかなり堅いのかもしれない。そう考えてまるで連ジ時代のゲルググみたいとか思ったのは少数ではない筈。

TP装甲

実弾には圧倒的な防御力を誇るPS装甲であったが、莫大な消費電力やフェイズシフトダウン時の弱体化など、PS装甲そのものが弱点に直結している点も見受けられ、特に外見でエネルギー切れが察知されてしまうというのは致命的であった。

そこで、初期のG兵器の設計が終了した時点で、PS装甲の欠点を補った次世代機の開発が進められた。それがカラミティをはじめとする3機のガンダムであり、これらにPS装甲に代わって装備されたのがトランスフェイズ装甲(TrancePhase装甲)である。

TP装甲は通常装甲の内側にPS装甲を備えた二重構造であり、内側のPS装甲は外装に内蔵されている圧力センサーに反応があった時のみフェイズシフトする。この為従来のフェイズシフト装甲の様に常に相転移を維持する必要が無く、機体のエネルギー消費量は大幅に軽減される事となる。又、外側は相転移を起こさない通常の装甲である為、外見からエネルギー切れが露呈する心配も無い。
更に新型GAT-Xシリーズはコクピットやエンジンブロックなどのバイタルパート周辺のみTP装甲を備える事で、更なるエネルギー消費の軽減を図っている。これによりエネルギーに余裕ができたこれらの機体には、先に開発された5機よりも強力な火器や防御システムが搭載され、全体的な性能の向上に繋がっている。

尚、PS装甲は生産コストや稼働時間の短縮と言う点から制式量産機には採用されていないが、電力消費の欠点を克服したTP装甲もGAT-333 レイダーなど一部の量産機にしか採用されていない。これは恐らく、電力消費を克服する為の二重構造が、生産コストの高騰や整備性の悪化を引き起こしてしまった為と思われる。

なお、アストレイブルーフレームが改修を施された際にも、コクピットの周辺に同様の二重装甲が組み込まれている。


VPS装甲

フェイズシフト装甲を搭載するに当たり最も重要な課題は、やはり機体の稼働時間を大幅に圧迫すると言う点である。エネルギー源に核エンジンを搭載すれば容易に解決できる問題ではあるが、ユニウス条約の締結によりそれも不可能になった。そこで開発されたのがこのヴァリアブルフェイズシフト(VariablePhaseShift=VPS)装甲である。

VPS装甲最大の特徴は、装甲に掛ける電圧を容易に調整できる点である。これによって必要時以外の余分なエネルギー消費を最低限に抑えつつ、常に最低限の防御力は確保する事が可能となっている。
又、状況以外にも、装備する武器の消費電力に応じて装甲へ掛ける電圧を調節する事で更にエネルギー消費の効率化を図る事が可能である。VPS装甲を持つセカンドステージシリーズの中でもバックパック換装機構を有するインパルスはこの特性を活かし、装着するシルエットごとに装甲の色が変化する様になっている。尚、インパルスのコクピット周りの装甲の色が濃い事から、装甲の防御力と色の濃さが比例している事が窺い知れる。

常に装甲を相転移させている以上、消費電力は先に開発されたトランスフェイズ装甲よりも大きいと思われる。ただし、トランスフェイズ装甲にも二重構造による生産・整備コストの高騰や、センサー故障による機能不全(着弾してもフェイズシフトダウンしていたり、着弾しなくてもフェイズシフトし続けるなど)と言ったTP装甲特有の欠点(ただし、VPS装甲も着弾の感知に、TP装甲同様にセンサーを用いていると思われるため、センサー故障により着弾時でも低電圧、通常時でも高電圧をかけてしまうなど同様の問題があると思われる)が考えられるため、どちらが優れているとは一概にいえない。

現在VPS装甲を持つ機体はプラントで多数開発されているが、VPS装甲の「電圧調整によって装甲の色が変化する」特徴が特に顕著なのは、インパルス、ガイア、そしてZGMF-X12A テスタメントである。インパルスは前述通り装着するシルエットごとに色が変化し、ガイアはパイロットであるアンドリュー・バルトフェルドのOSによりカラーリングが黒から赤に変わる様に電圧調整が為されている。テスタメントは通常時は全体的に白系統の色だが、必要に応じて装甲の防御力を高め、それに伴い機体の色が赤く変色する。
又、ストライクルージュの装甲も電圧調整によって色が変化することが確認されたため、ストライクルージュの改良型PS装甲(パワー・エクステンダーシステム)がVPS装甲の雛形と言う事を再認識させている。

ちなみに、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』ではキラが乗っているフリーダムのレールガンによる実体弾の攻撃によって、海中に居たアビスの推進器部分をピンポイントで狙って損傷を与えていることから、完全無欠にカバーできているわけではないことがわかる(これは相転移装甲全体に言える事である)。


なお、本作ではこれら三種は全て「耐久値の増加」という形で再現されている。
これは前作のロケテストで本当の意味でのPS装甲が導入されていた際に、
G兵器と一般量産機の差があまりにも激しいものになったためである。

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最終更新:2007年03月03日 15:26
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