ファーストフォレストに着くと、ドームの外からでも炎がよく見えた。ゲートからは人々が我先に這い出てくる。人の波が収まると、メルヴィナたちはゲートをくぐり抜けた。
内部では原生林がバチバチと音を立てて燃え、夜にもかかわらず明かりなどいらないほどであった。復元生物の多くは変貌を遂げており、特に恐竜は「恐竜人類ダイナソロイド」へ、鳥類は「鳥人類チョウゾ」へと人型に変異しているものがいた。
しらみつぶしにエステリを探していたらキリがないので、メルヴィナたちはとりあえず話の通じる
キヅツキーがいるであろうムタビリス山頂の祭壇へと向かった。
道中、サファイア色の複眼が特徴的な、人間の女性くらいはある大きなハチが呑気に昼寝していた。イリスの叫び声でハチは目を覚ましてしまい、戦闘開始。ハチを倒すと、火事に気づき、謝罪と感謝をしてくる。彼はホーネストと名乗ったが、とても奇妙な言葉づかいだった。北海道弁、東北弁、名古屋弁、関西弁、広島弁、九州弁、沖縄弁などのさまざまな方言をごちゃまぜにした訛りだったのである。(この設定は実現が大変なため、取り消すかもしれません。)
ホーネストは仕事をサボって昼寝していたが、イリスに起こされた後、身体が大きくなっており、言葉も話せるようになっていたことに気づいた。ホーネストはなぜか、宇宙から隕石を呼び寄せることができた。
以前フラックス、ハイバー、エステリの3人で来た時に見つけたひらけた空間に入ると、真ん中の小さな沼は水底が見えるほど透き通っており、業火によって毒は完全に浄化されていた。沼をのぞきこむと、ちょうど底の中央に石碑があるのを見つけた。潜ってみると、石碑にはこのように刻まれていた。
我神教 教義
自分は自分だけの神である
教祖 セラヴィ・ケセラセラ
ムタビリス山頂の祭壇に辿り着くと、コスモ杉の枝葉が燃えさかり、幹にはエステリが注連縄で縛り付けられていた。(クリア後、焼失したコスモ杉の根本には地下空洞への入口がある。冥界や地球空洞説をモチーフにした裏ダンジョンにするかもしれません。)コスモ杉から巨大な白い鳥人が舞い降りてきた。直立二足歩行の鳥人と化した
キヅツキー・チョウゾである。扇状だった飾り羽は円状に広がり、まるで後光が差した仏画のようであった。彼は業火によってすべてを焼きつくし、世界をリセットしようとしていた。エステリを救うため戦闘開始。
なんとか倒すと、キヅツキー・チョウゾは最後の力を振り絞り、天に向かって大声で叫び、倒れ込んだ。
メルヴィナはヘテロ・サイエンス薬に一か八かの希望を託し、エステリに投与する。すると、エステリはわけもわからず涙を流し、ありがとうと呟いた。メルヴィナたちもつられて泣いた。エステリは、ツボや急所を見抜くことができる超能力「壺見」を手に入れた。
いよいよ樹海が炎の海となろうとしていた。急がなければ逃げ道がなくなってしまう。ファーストフォレストの空調
システムは故障してしまったため、ムタビリス山に留まっていたら一酸化炭素中毒死してしまうかもしれない。メルヴィナは焼け死ぬノーマン・イグノラントたちを横目に、嗚咽を漏らして涙を腕で拭いながら樹海を走り抜けた。
最終更新:2013年11月01日 17:55