龍帝――起つ。

街のビルの間に、一人の男がいた。
足取りは、傍から見れば進んでいるように見え――また進むのを拒んでいるようにも見えた。
そして表情は、怒りとも悲しみともつかぬ、深い表情であった。
その男――リュウガは、内に深く、大きな感情を秘めていた。

ドンッ

後方で爆発音が聞こえ、その音と同時に足が止まる。
「あいつが死んだか・・・・・・」
脳裏に浮かぶのは先程の弱弱しい男の姿。
そして、撃てなかった自分への激しい憤り。
沈めていた筈の感情がまた湧き出す。
(これは殺しあいだ・・・なのに・・・何だこの感覚は!?)
先程の爆発で、リュウガの心には明らかに波が生まれていた。
ふと横を見れば、窓ガラスに自分の姿が映っている。
その姿は、酷く弱弱しく見えた。
「・・・・・・・ッ!!」
怒りに任せて窓ガラスを割る。
その音で、先程立てた決意を思い出す。
(そうだ・・・俺は誓った。俺は俺の前に立つ者を殺し、城戸真司を取り込む!)
リュウガは、無理やり自分に言い聞かせ、進もうとする。

キィィィィィン・・・キィィィィィン・・・

止まっていた足を動かすと、突如流れた耳鳴りが再び彼の足を止めた。
(・・・・・・・・・何だ?)
モンスターが現れた感覚に似ていたが、今の自分には関係ない。
足を進ませようとするが、その思いと裏腹に耳鳴りは一層強くなる。
(俺を呼んでいる・・・・・・面白い。)
この耳鳴りが自分を探していることに気付き、辺りを探す。
案の定、研究所らしき建物が建っており、簡単な手術位なら出来そうな位設備が整っていた。
そして――――音の主はそこにいた。
(・・・・・・・・・何だこれは?)
リュウガを引き付けていたのは、一本のベルトであった。
外観は黒色で、所々に金と赤の装飾が鏤められている。
中心部には、奇抜なデザインの携帯電話が収まっていた。
その名を――オーガドライバーと言う。
「何だ・・・こんな物か・・・!?」
持った瞬間に何かが流れ込む感覚。瞬間的に理解した。
これは人の使う物じゃない。
並みの者が使えば、忽ち命を落とすだろう。
流れてくる力に、リュウガは興味を持った。
この力を持つことが出来たら――――
この力を使いこなすことが出来たら――――

         本当に出来るのか?

「・・・・・ッ!!」
一抹の不安が脳裏をよぎる。
もし使いこなせなかった時は――――。
いつの間にか、ベルトを持つ手が震えていた。
ベルトがとてつもなく重い。
どれだけ力を込めても、震えは止まらない。
(恐れているのか・・・・・・ふざけるな!!)
不安を振り払うように、自らの覚悟を籠めて叫ぶ。
「どんな力だろうが・・・俺は・・・俺は使いこなして見せる!」

叫んだ途端に、手の震えが止まり、ベルトが軽くなる感覚。
(・・・・・・俺を、認めたのか?)
心の中で問いかける。すると、ベルトからキィィィン、と先程の音が流れた――――気がした。
それを聞き、デイパックの中にしまいこむ。
リュウガは再び歩き出し、研究所を後にした。

――――その顔は、何処か満足気であった。

「ハァ・・・ハァ・・・」
とあるビルの陰、氷川と、意識を失ってるひよりと蓮の姿があった。
いまだ寝ている二人を見つめる。
そしてすぐ周りを見渡し、知り合いの木野を探す。
(早く手当てしないと、ひよりさんが・・・)
頭で思っても、何も出来ない自分が悔しい。

その時、一つの人影が目に入った。


龍はビルの陰から、一人の男をを見つめる。

「あの男は確か・・・・・・」
その顔を深く思い出す。
――――そうだ。あいつは昨日襲った相手だ。
(丁度いい・・・あいつなら気兼ねなく殺せる・・・)
デイパックを開き、拳銃へと手を伸ばす。
が、掴み掛けたところで手が止まる。
(またか・・・何故だ!何故銃を持てない!?)
また、先程のように戸惑いが生まれる。
(俺の前に立つものを殺す!そう決めたはずだ!なのに・・・何故だ!)
心ではわかっているのに、体が言うことを聞かない。
拳銃一つ持つことを体が拒む。
「・・・あの~・・・」
向こうから声が聞こえる。
(まずい!気付かれた!)
即座に、リュウガは構えた。
「・・・・・・城戸さん・・・・・・ですよね?」
予想と違い、聞こえてきた声に敵意は感じられなかった。
「・・・・・・・・・・・・?」
リュウガは何もわからず、ただただ呆然としていた。
「いや~、本当によかったです。城戸さんにあえて。」
とある民家の中で、氷川が安堵の表情を浮かべる。
(・・・あいつ、また何かやらかしたな・・・)
少しだけ、リュウガは真司を恨んだ。
が、そのことに気付かず、氷川はしゃべり続ける。
自分たちの出会った銀色のライダーの話。黄色いライダーの話。そして、其処で眠っている秋山蓮の話。
話を聞いているうちに、あることにリュウガは気づいた。
人を信用して疑わない目。
そしてみなを守ると言う決意が感じられた。
(こいつ・・・城戸真司に似ている。)
龍の心に、少しだけ笑みが生まれた。

「お前・・・誰だ?」
氷川の物でも、リュウガの物でもない声が聞こえる。
振り返ると、今まで寝ていたひよりの意識が戻っていた。

「ひよりさん!まだ寝てなければ駄目ですって!」
氷川が駆け寄り休息を進めるが、ひよりは、
「大丈夫だ・・・本当に・・・」
と何度も呟く。

ドサッ

話した途端に床に倒れこむひより。
「ちょっ・・・大丈夫ですか!?」

倒れた日和を布団に寝かす。
「本当に大丈夫だ・・・それに、お前だって・・・」
口では大丈夫だと言っているが、顔色はどんどん悪くなる。
布団に入っても尚、ひよりの口数は減らない。
「駄目です。幾ら大丈夫って言っても、あなたは僕なんかよりずっと重傷なんです。今はまだ安静にしててください。」
「大丈夫なのに・・・・・・・・・」
二人の会話は、まるで、駄々を捏ねる子供と、それをなだめる親のようだった。
「・・・スゥ・・・スゥ・・・」
ようやく、ひよりが寝息を立て始めた。
その脇で眠っている蓮に目を向ける。
自分が生きていた頃に、一度戦ったことのある相手。
「これでよしっと・・・少し外の空気でも吸いましょうか。」
言うが早いか、氷川はすでに外に出ている。
リュウガも、それを追いかけて外に出た。

・・・・・・二人の間に流れる沈黙。

「あ~・・・氷川、誰かお前の知り合いは参加していないのか?」
耐え切れず、話題を振る。
デイパックから名簿を取り出す氷川。
「え~っと・・・僕の知り合いはこの津上さんと、小沢さんと、木野さんですね。三人とも、とてもいい人なんですよ。」
氷川は三人の名前をさしながら言う。
その目には、信頼の色がみて取れた。
「城戸さんの知り合いは?」
質問され、名簿に目を通す。
本物の城戸真司や、其処で寝ている秋山蓮の名が目に入る。
「・・・・・・いや、いない。」
目線を伏せ、呟く。
どうしてだか、嘘をついた。
どうしてだか、本当のことを言えなかった。

頬を撫でる風。
静かに時が過ぎる。が、それも長く続かなかった。
「変身!」
―Hensin―
不意に聞こえる言葉。鳴り響く電子音声。
二人が振り向くと、そこにはオレンジ色のライダーが立っていた。

「・・・・・・ここは僕に任せて、あなたは二人を連れて逃げてください!」
氷川が一歩前に出て言う。が、リュウガの行動は既に決まっていた。
「・・・・・・退け・・・・・・」
短く呟き、氷川を押し退けて歩み出る。
目の前の相手に映した左腕。その腕の中にはカードデッキ。
「・・・・・・変身!」
浮き出たベルトにカードデッキを装填する。
同時に、リュウガの体を漆黒の鎧が包み込んだ。
その姿に、氷川とライダー――神代剣の二人が反応した。
「・・・!?・・・・・・お前、さっきの奴か。」
剣の反応を見て、リュウガも相手に気付く。
「・・・・・・さっきはよくも邪魔してくれたな・・・・。」
仮面の上からで表情はわからないが、その声は明らかに怒っていた。

「あっ・・・あぁああぁ・・・」
一方氷川は、リュウガの姿を見て、文字通り腰を抜かしていた。
昨夜、自分と少女を襲った相手。
その場は、ギター男の乱入で逃げることが出来た。
が、今その相手が目の前に立っていると言う事は、あのギター男はもう――――。

「・・・・・・・・・おい。そいつ等を連れて離れていろ。」
「・・・へっ?えと・・・あっ・・・いえ・・・駄目です!僕は警察官です!逃げるわけには行きませんっ!」
振り向かずにリュウガが呼びかけるも、氷川は力強く断る。

「邪魔だ。巻き添えを食らいたくなかったらさっさと離れていろ。」
口調を強めて呟く。しぶしぶ氷川は二人を連れて離れる。
ベルトから引き抜いたカードを装填する。
―SWORD VENT―
同時に電子音声が鳴り響き、何処からともなく落ちてくる剣。それが開戦の合図となった。

「・・・ハァァァァァッ!」
剣を構え、リュウガはサソード目掛け走り出す。
「・・・ウァァァァァッ!」
それに対し、サソードは剣を逆さまにしながら雄叫びを上げる。

ガキィィンッ!!

互いの剣が触れ合い、力をぶつけ合う音。
「・・・・・・これがお前の力か・・・やるな・・・ッ!」
リュウガが鍔迫り合いを続けながら話す。
先程とは姿形は違えど、受ける力は同じ――いや、それ以上であった。
「お前もやるじゃないか・・・だが!俺は負けないッ!!」
サソードの叫びと共に、背中から伸びたブラッドベセルがリュウガを捕らえる。
「・・・ッ!?」
ドラグセイバーで切り落とそうとするも、瞬く間に縛られ、その手から剣が零れ落ちた。
体を縛られ、空中へと持ち上げられる。
「・・・・・・・・・ウオオオオオッ!」
触手が動き、リュウガの体を近くのビルへとぶつける。
一つ、また一つと倒壊していくビル。
「・・・・・・・・・グァッ!ガァァッ!」
ぶつかる度に聞こえるリュウガの悲鳴。
苦痛に耐えながら、再びベルトからカードを引き抜き、バイザーへと装填する。
―ADVENT―
電子音声が流れ、漆黒の龍――ドラグブラッカーが現れた。
低い唸り声を上げ、巨大な尾でブラッドベセルを切断する。
「・・・・・・フン。」
ドラグブラッカーの背に乗り、サソードを見下ろすリュウガ
「そんなものを隠していたか・・・・・・まだまだァ!キャストオフ!」
『Cast Off』
言葉と共にサソードニードルを倒すサソード。
―Change Scorpion―
装甲が弾け飛び、その下から現れる紫の蠍。
「・・・ッハァァァァ!!」
リュウガの雄叫びと共にドラグブラッカーが火の玉をサソード目掛け何発も発射する。
「ライダースラッシュ!」
―Rider Srash―
対するサソードもゼクターを操作し、剣先からいくつもの衝撃波を打ち出す。
何度も何度も火球と衝撃波が相殺する。が――――。
「・・・・・・何だ!?どうした!?」
リュウガが困惑の色を浮かべる。
ドラグブラッカーが突然苦しみだしたのだ。
――――――サソードは、この隙を逃さなかった。
「グァァァッ!!」
轟音と共にライダースラッシュが直撃し、未だ建っていたビルの上に振り落とされる。
苦しそうな呻き声を上げながら、空を飛び回るドラグブラッカー。
見れば、腹部の辺りに大きな刺し傷があった。

リュウガは、一瞬でその傷が何なのかがわかった。
昨夜の出来事が脳裏に浮かぶ。

「音撃斬・雷電斬震!」
叫びと共にドラグブラッカーにギターの刃を刺した男。
そのままギターを弾き始め、音が龍の体を貫く。
だが、男に大きな隙が生まれた。

(・・・フン・・・隙を突いて勝った相手に、隙を作られるとはな・・・)

今の自分の状況が、滑稽過ぎて笑みすら零れてきた。
見れば、ドラグブラッカーは既に粒子化を始めている。
(すまないな・・・ドラグブラッカー・・・)
ベルトから最後のカードを引き抜き、バイザーへと読み込ませる。
―FINAL VENT―
(だが・・・もう少し・・・あと少しだけ・・・)
ビルの上からサソードに照準を合わせる。
足場を蹴り上げ、相手目掛けて進む。
「俺に・・・・・・付き合ってくれ!」
黒き火球が体を包み、空気を焦がす。

「・・・ォオッ・・・オオオッ・・・」
サソードは、その状況に押され、動けなかった。
(・・・逃げなければやられる!動け、俺の足よ!)
必死に自分に言い聞かせる剣。
だが、その思考も逃げる方向から戦う方向へと向かう。
(いや・・・あいつの体はもうボロボロのはず。なのに・・・)
最小限の動きで、サソードゼクターを動かす。
―Rider Srash―
(未だ俺に向かってくる。この行動は、正にノブレス・オブリージュ。)
――リュウガの方を向き、剣を構える。
「なのに・・・その振る舞いから俺が逃げてどうする!」
剣先に集まる閃光。それはやがて、巨大な力となる。

「「・・・ッハァァァァァァッ!!」」
重なる声。そして轟音。

刹那――――閃光が辺りを包み込んだ。

閃光が晴れたとき、立っていたのはライダーではなく、生身の人間だった。
神崎の仕掛けた制限が掛かったためだが、十分と言う時間は二人にはとても長く感じられた。
「・・・ッハァ・・・ッハァ・・・」
肩で息をするリュウガ
足元も、少しおぼついている。

「・・・この勝負、俺の勝ちだ!」
突如、剣が口を開いた。
「・・・・・・どういう意味だ?」
リュウガが睨み付けるようにして問い掛けた。
一瞬の沈黙。剣の目がカッと見開かれる。
「・・・こういうことだッ!」
言葉と共に、剣の体がスコルピオワームへと変態する。
「・・・・・・ウ、オォォオオォオォォオォッ!!!」
スコルピオワームは、雲一つない空へと向かって吼えた。
「・・・・・・クッ!!」
スコルピオワームの触手が足を掠める。
急いで近くの窓にカードデッキを翳す。
が、ベルトが装着されない。
リュウガは困惑の表情を浮かべるが、その間にもスコルピオの攻撃は続く。
状況を不利と見て、建物の中に逃げ込むリュウガ。そしてそれに続くスコルピオ。

「・・・神崎が何か仕掛けたか・・・」
変身の制限に気付き、壁を叩く。
「まずい・・・ 未だあいつは戦う力が残っていたか・・・」
予想外の出来事で、打開策が一切思いつかない。
(・・・終わるのか・・・ここで・・・こんなところで・・・)


――――終わってたまるか。

(まだだ・・・俺は未だ終わらない・・・俺にはすることがある・・・ッ!)
諦め掛けていた意識が覚醒する。
壁に打ち付けた手を握り締め、前を向く。
城戸真司を取り込む前に、こんなところで終わってたまるか!)
覚悟を決め、動き出そうとする。
その時だった。

キィィィィィン・・・キィィィィィン・・・

再びあの音が聞こえる。
あのベルトが、もう一度自分を呼んでいる。
振り返り、位置を確認する。
リュウガは自分のデイパックの下へと走った。
だが、足に何かが絡みつく。
「・・・見つけたぞ!」
スコルピオの触手だ。
それにより、躓き、転びながら這って進む。
「・・・・・・逃がすものかァッ!」
触手を引く力は強まる。もう少しで届くと言うのに。

ダンッ!

突如鳴り響く銃声。それにより触手は弾け飛ぶ。
驚く二人が目をやると、拳銃を構えていたのは、何と氷川だった。
「今の内に、早く!」
氷川の言葉に、答えるが如く走り出すリュウガ
デイパックの中からベルトを取り出し、手に取る。
(もし使えなかったら―――)
再びあの不安がよぎる。が、ベルトから再び音が流れる。
(・・・そうだ。俺はこいつを使いこなす。使いこなしてみせる!)
覚悟を決め、ベルトを腰につける。
ベルト自体は、使うのはおろか見たのすら始めてで、使い方は一切わからなかった。
だが、ベルトをつけた瞬間に体の中に何かが流れ込んでくる感覚。
それが使い方を教えてくれた。
携帯を取り出し、ボタンを押す。
0、0、0。そして左上の大きなボタン。
―Standing By―
無機質な電子音声と共に、鳴り響く待機音。

瞳を閉じ、再び開き、短く吼える。
「・・・・・・・・・変身ッ!」
―Complete―
携帯をベルトに差し込み、流れる電子音声。
ベルトから光が走り、装甲を形成する。
光が晴れると、其処には――――龍帝が、立っていた。
「・・・・・・何で来ようと、同じだ。」
スコルピオの体から剣の姿が現れ、挑発するように呟く。
背中から伸びる影。先程の触手が襲ってくる。
「・・・・・・・・・。」
何も言わず、眼前の触手を掴む。
そして反対の腕で“切”る。
スパッ、と軽い音を立て、触手は呆気なく地に落ちた。
「・・・・・・クッ!クロックアップ!」
剣が叫び、スコルピオが加速を始める。
瞬時にスコルピオの姿が捉えられなくなり、銀の塊になった。
スコルピオは、右腕で相手の体を殴る。
何度も、何度も。
その度に、オーガの姿は宙に浮き、次の攻撃を食らう。


――――筈だった。

確かに、攻撃を受け、オーガはよろめいた。
が、次の攻撃の前に起き上がるのだ。

オーガはゆっくりと、ベルトから刀身のない剣を取り出す。
―Ready―
切り離された時間の中で、スコルピオは、聞こえるはずのない電子音をはっきりと聞いた。
鍔から光が伸び、刃を形成する。
「・・・ハァァァァァッ!」
自分の隣に並んだ蠍へ向かって刃を振り上げる。
「・・・・・・ッガァァァァァッ!!」
思わぬ一撃を受け、無理矢理元の時間へと戻されるスコルピオ。
そのまま吹き飛び、建物の壁へとぶつかる。
本来、クロックアップ中に、相手から攻撃が当たることは有り得なかった。
原因は二つ。一つは、神埼が仕掛けた制限だった。
そして、もう片方は――――。
(・・・あいつの力を侮りすぎたか・・・)
オーガの力がクロックアップを一時的にとはいえ、上回ったためである。

スコルピオが立ち上がる。
「・・・ォオォオオオォオォォォオッ!!」
再び空へ向かって吼え、オーガとの間合いを一気に詰める。
「ハァッ!」
オーガが剣で切りつけるが、スコルピオも右腕の棘をぶつける。
互いの力で、二人の立っている所は見る見るうちにへこんで行く。
「・・・一つ、聞いていいか?」
オーガが口を開く。
「・・・ああ。言ってみろ。」
スコルピオの体から剣が現れ、話す。
「・・・・・・・・・お前は、何故戦う?」
「・・・・・・・・・・・・俺の犯した罪を、償うためだ。お前は?」
暫しの沈黙の後、剣が答え、問い返す。
「・・・・・・さあな。教えて欲しい位さ。」
ぶっきらぼうに答えるオーガ――リュウガ
「面白い奴だ・・・だが、ここで決めさせてもらうぞッ!」
剣の姿が引っ込み、スコルピオはより一層力を込める。
オーガは、ベルトを操作し、ボタンを押す。
―Exceed Charge―
電子音声がその場に響き、刃を無尽蔵に巨大化させる。
「ッ、ハァァァァァッッ!!」
何度目になるか判らない雄叫びを上げ、触れていたスコルピオの棘を砕き刃を腹部へと直撃させる。
腹部と刃の間からフォトンブラッドが流れ、残っていた建物を破壊していく。
オーガとスコルピオは、その中心部にいた。

(・・・凄まじい威力だ。まるで――)
剣は、消え行く視界の中でこの技を、かつて自分を葬った技――。
――Maximum Hyper Typhoonと重ねていた。

煙が晴れたとき、其処にスコルピオの姿はなかった。
(逃げたか・・・)
オーガは現状を把握しながら、自らの剣を見つめる。
(あの時、あいつに止めをさせたはず。なのに・・・俺は何故手加減した?)
最後の鍔迫り合いの時、その気になれば腕を切断できたのにも拘らず、棘を破壊したに過ぎなかった。
「・・・一体、何がしたいんだろうな・・・俺は・・・」
変身が解除され、リュウガは生身に戻る。

(ああ・・・少し、戦いすぎたか・・・)
膝を突き、地に倒れ伏せる。
「・・・城戸さーん!?大丈夫ですかー!?」
氷川の声と走る音が聞こえる。
――それを理解する前に、リュウガの意識は闇に溶けていった。


「・・・ふぅ・・・流石に、やり過ぎたか・・・?」
殆どが倒壊した町の中で、剣が呟く。
未だ痛みの残る腹を、何とか動かせる左腕で抑える。
ふと振り返ると、声が聞こえる。
倒れている男に向かって、誰かが名前を呼んでいる。
――――城戸。確かにそう呼んでいる。
「城戸か・・・・・・覚えておくぞ。」
誰に言うわけでもなく呟き、剣は踵を返して町の中へと進む。
一歩一歩歩くたび、その体から流れる蒼き血。

貴族は、そのまま休む場所を探して歩き続ける。
その目に決意と、野望と―― 一人の男への興味を抱いて。
リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:劇場版登場時期。龍騎との一騎打ちで敗れた後。
[状態]:重度の負傷。自分の一連の行動に激しく動揺。気絶。二時間の間オーガとリュウガに変身不能。
[装備]:リュウガのカードデッキ。オーガドライバー。コンファインベント。
[道具]:ファイズショット。デザートイーグル(357マグナム)。
[思考・状況]
1:もう一人の自分と融合し、最強のライダーになる。
2:自分の戦う意味とは?
※気絶中により、すべての思考がストップしています。
[備考]ドラグブラッカーの腹部には斬鬼の雷電斬震の傷があります。後、食料は三人分(自分、明日夢、ユリ子)あります。津上、小沢、木野の情報を得ました。

F-5エリアの建物はほぼ壊滅状態です。(サソードの触手攻撃、及びフォトンブラッドの余波により。)


神代剣@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地E-5】
[時間軸]:スコルピオワームとして死んだ後。
[状態]:全身に負傷。腹に斬撃。右腕を負傷。極度の疲労。始への憤り。リュウガへの興味。暫く変身不能(ブレイド>サソード>スコルピオ)。
[装備]:サソードヤイバー。剣崎の装備一式。
[道具]:陰陽環(使い方は不明)。ラウズカードのスペード9&10。ダイヤのJ。
[思考・状況]
1:何処か休める場所で傷を癒す。
2:始と再会し、手を汚す前に自分の手で殺す。
3:あのライダーは面白い。
4:この戦いに勝ち残り、ワームの存在を無かったことにすることで贖罪を行う。
5:さらに、自分以外が幸せになれる世界を創る。
[備考]神代は食パンを「パンに良く似た食べ物」だと思ってます。

※剣崎と神代剣両方の姿に切り替えることができます。
剣崎の記憶にある人物と遭遇しそうなら、剣崎の姿に切り替えるつもりです。

秋山蓮@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:34話龍騎サバイブ戦闘前後
[状態]:全身に負傷。極度の疲労。気絶。後2時間変身できません。
[装備]:カードデッキ(ナイト)
[道具]:配給品一式
[思考・状況]
1:気絶中につき思考停止。

日下部ひより@仮面ライダーカブト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]: 本編中盤 シシーラワーム覚醒後。
[状態]:右肩に重傷。睡眠中。後2時間怪人態にはなれません。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
1:ただいま睡眠中。

フライパンはF-7の道路に放置してあります。


氷川誠@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:午前】
【現在地:市街地F-5】
[時間軸]:最終話近辺
[状態]:背中に裂傷。極度の疲労。凄く動揺。
[装備]:拳銃(弾一つ消費)・手錠等の警察装備一式(但し無線は使えず)
[道具]:ワーム感知ネックレス@仮面ライダーカブト、ラウズアブゾーバー@仮面ライダーブレイド、トランシーバー、但し書きが書かれた名簿
    ラウズカード(ダイヤの7と9、クラブの8と9、スペードの3)
[思考・状況]
1:助かったことへの安堵感とリュウガに対する危機感と・・・?
2:何としてでも二人を守る。。
3:木野薫との合流。
4:此処から脱出する。
5:小沢澄子、津上翔一との合流。
6:ラウズアブゾーバーを知る人物の捜索。
結城丈二を風見志郎だと思っています。また、彼に猜疑心を持っています。

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最終更新:2018年11月29日 17:29