禍つ刃を抜き、競う白日(前半)
北欧神話の亡霊戦士・エインヘリヤル。彼らは日中殺し合って腕を磨き、
夜は生き返って戦乙女との酒宴に興じたという……“終末の日”までな。
アルマ・ロッテ・クララの三姉妹。戦乙女であって、エインヘリヤルでは
ない彼女らだが……その実践トレーニング風景は、まさに亡霊のそれだ。
私・槇野晶はいつも彼女らの“訓練”を見て思う。心臓に悪いな、有無。
夜は生き返って戦乙女との酒宴に興じたという……“終末の日”までな。
アルマ・ロッテ・クララの三姉妹。戦乙女であって、エインヘリヤルでは
ない彼女らだが……その実践トレーニング風景は、まさに亡霊のそれだ。
私・槇野晶はいつも彼女らの“訓練”を見て思う。心臓に悪いな、有無。
「──────“刺し”“穿ち”“抉れ”、ライナストッ!!」
「きゃっ!?雷撃の三点バースト、完全に物にしましたね……」
「速射性能を補う為ですの。さ、クララちゃんにもっ!」
「ッ!?……弾速は相当な物、避けるだけでも一苦労なんだよ……!」
「きゃっ!?雷撃の三点バースト、完全に物にしましたね……」
「速射性能を補う為ですの。さ、クララちゃんにもっ!」
「ッ!?……弾速は相当な物、避けるだけでも一苦労なんだよ……!」
今日は、皆が“魔剣”の力を何処まで引き出せているか……が課題だ。
一足先に三人分完成した、“マビノギオン”と“レーラズ”のテストも
兼ねている。そう、三人は“ALChemist”の居住スペースに設置してある
神姫用トレーニングマシンの中で、バトルロイヤル風の訓練中なのだ!
神殿が舞台の今回は、柱に隠れた二人をロッテが撃つ所から開始した。
一足先に三人分完成した、“マビノギオン”と“レーラズ”のテストも
兼ねている。そう、三人は“ALChemist”の居住スペースに設置してある
神姫用トレーニングマシンの中で、バトルロイヤル風の訓練中なのだ!
神殿が舞台の今回は、柱に隠れた二人をロッテが撃つ所から開始した。
「まだまだ……さ、死ぬ気で避けてくださいですのッ!!」
「くぅ、ひゃっ!?こっちだって、負けてませんよっ!」
「ん?……きゃうっ!?“ヨルムンガルド”を投げつけて……!」
「……今度はロッテちゃんとクララちゃんが避ける番ですっ!」
「ボクはまだ避ける役かな……ッ!弾道が読めない分、厳しいんだよ」
「くぅ、ひゃっ!?こっちだって、負けてませんよっ!」
「ん?……きゃうっ!?“ヨルムンガルド”を投げつけて……!」
「……今度はロッテちゃんとクララちゃんが避ける番ですっ!」
「ボクはまだ避ける役かな……ッ!弾道が読めない分、厳しいんだよ」
だがこの猛特訓、攻守はいつも激しく入れ替わる。隙さえ見つければ、
その者が即コーチ役になるのだ。今も、ロッテの射撃訓練から脱出した
アルマが刀剣を四方に投げ、“舞剣”の力で飛ばしている。“魔剣”を
得てから、ネイキッドタイプとの戦闘訓練だけでは不安があるらしい。
その者が即コーチ役になるのだ。今も、ロッテの射撃訓練から脱出した
アルマが刀剣を四方に投げ、“舞剣”の力で飛ばしている。“魔剣”を
得てから、ネイキッドタイプとの戦闘訓練だけでは不安があるらしい。
「ですけど、剣であり弾速は遅いですの……こう、すればっ!!」
「……切り払って弾き飛ばす、積極防御だね。それならボクも……!」
「ほら、気を抜いちゃダメですよ!一人当たり、今四本行ってます!!」
「確かにわたし達は、白兵戦が苦手なタイプですけど……くッ!」
「速さが無くても、変幻自在の“剣術”。なかなか厳しいもん……!」
「……切り払って弾き飛ばす、積極防御だね。それならボクも……!」
「ほら、気を抜いちゃダメですよ!一人当たり、今四本行ってます!!」
「確かにわたし達は、白兵戦が苦手なタイプですけど……くッ!」
「速さが無くても、変幻自在の“剣術”。なかなか厳しいもん……!」
そんな流れで実践トレーニングに加わったのが、三姉妹での模擬戦闘だ。
模擬……と言うがジャッジシステムは、総当たりモードで稼動している。
ロッテは“マビノギオン・ガード”から発せられる斥力場のシールドで、
クララは“マビノギオン・ウィザード”にて編み出した防御魔術を頼りに
ダメージを減らしつつ、それぞれの剣で“ヨルムンガルド”を切り払う。
アーンヴァルタイプのロッテは無論、“ゲヒルン”の副作用で身体能力が
同時期のハウリンタイプより若干劣るクララにも、キツい“シゴキ”だ。
模擬……と言うがジャッジシステムは、総当たりモードで稼動している。
ロッテは“マビノギオン・ガード”から発せられる斥力場のシールドで、
クララは“マビノギオン・ウィザード”にて編み出した防御魔術を頼りに
ダメージを減らしつつ、それぞれの剣で“ヨルムンガルド”を切り払う。
アーンヴァルタイプのロッテは無論、“ゲヒルン”の副作用で身体能力が
同時期のハウリンタイプより若干劣るクララにも、キツい“シゴキ”だ。
「集中しすぎも、禁物です!出でよ、“スキーズブラズニル”ッ!」
「ちょ、アルマお姉ちゃん!?“マビノギオン・アサルト”ですの!?」
「……出来上がったロングスピアで、空間を波乗り……非常識だよッ」
「二人だって、非常識な力を今持ってるはずですっ!行きますよ~!」
「く……身を伏せたら“ヨルムンガルド”に斬られるもんっ!!」
「ちょ、アルマお姉ちゃん!?“マビノギオン・アサルト”ですの!?」
「……出来上がったロングスピアで、空間を波乗り……非常識だよッ」
「二人だって、非常識な力を今持ってるはずですっ!行きますよ~!」
「く……身を伏せたら“ヨルムンガルド”に斬られるもんっ!!」
だが不安で構わぬ。憎しみから互いを攻撃している訳ではないからな。
全ては皆で高みを目指す為。間もなく訪れる、セカンドへの昇格試合!
それを認識しているからこそ、私は口を出さず装備の仕上げを続ける。
私には私の戦いがあるのだ。この装備、少しでも気を抜く事は出来ん。
“マビノギオン・ウィザード”を展開したクララと同じく、集中する。
全ては皆で高みを目指す為。間もなく訪れる、セカンドへの昇格試合!
それを認識しているからこそ、私は口を出さず装備の仕上げを続ける。
私には私の戦いがあるのだ。この装備、少しでも気を抜く事は出来ん。
“マビノギオン・ウィザード”を展開したクララと同じく、集中する。
「──────開け、水晶の傘!“ソニック・アンブレラ”!!」
「っ!?きゃぁぁぁぁあああっ!?油断しました、槍が遠くに……!」
「“モイライ”は展開速度に優れる魔術補佐デバイス、そして……」
「……きゃぁぁっ!?こ、これ……“ビー・スティング”ですの!?」
「“コライセル”は“魔術”を変換・増幅し“魔導”と為す、魔剣」
「その二つを組み合わせればクララちゃんの力は増大する、ですの?」
「っ!?きゃぁぁぁぁあああっ!?油断しました、槍が遠くに……!」
「“モイライ”は展開速度に優れる魔術補佐デバイス、そして……」
「……きゃぁぁっ!?こ、これ……“ビー・スティング”ですの!?」
「“コライセル”は“魔術”を変換・増幅し“魔導”と為す、魔剣」
「その二つを組み合わせればクララちゃんの力は増大する、ですの?」
真空の鎚でアルマの槍を迎撃せしめたクララに、順番が回ってきた様だ。
クララの“マビノギオン”は、左腕に全てを纏めた“魔術”用デバイス。
出力とレパートリーは“Valkyrja”に劣るが、前者を“魔奏”で補う事で
以前と変わらぬ強大な“魔術”を操って、戦う事を可能としているのだ。
ロッテに対して飛翔するダガーを、即座に放った事からも能力が分かる。
クララの“マビノギオン”は、左腕に全てを纏めた“魔術”用デバイス。
出力とレパートリーは“Valkyrja”に劣るが、前者を“魔奏”で補う事で
以前と変わらぬ強大な“魔術”を操って、戦う事を可能としているのだ。
ロッテに対して飛翔するダガーを、即座に放った事からも能力が分かる。
「そう。それを制御する為の“魔導刻印”なんだよ。そしてこの技術は」
「“アルファル”にも一部活かされてるんですよね。使えるのは……」
「全てに実装しても、クララちゃん一人。でも、それが狙いですの」
「そう言う事。じゃ、今度はボクが行くもん。“バック・ドラフト”!」
『きゃぁぁぁっ!?』
「“アルファル”にも一部活かされてるんですよね。使えるのは……」
「全てに実装しても、クララちゃん一人。でも、それが狙いですの」
「そう言う事。じゃ、今度はボクが行くもん。“バック・ドラフト”!」
『きゃぁぁぁっ!?』
そう。今作っている装備は、敢えて三人共通の仕様としている。それを、
“妹”達が個性に合わせて極端に変化させていくという代物だ。設計図は
事務局に見せて、合法である事を確認している。とは言え以前の非でなく
説得には手間取った。規約違反が無い事を、徹底して証明せねばならん。
簡単な会談で終わらなかった理由は、一言で表せば“変形能力”である。
詳しい事はまだ秘密だが、それ故審査は異様な程複雑怪奇になったのだ。
“妹”達が個性に合わせて極端に変化させていくという代物だ。設計図は
事務局に見せて、合法である事を確認している。とは言え以前の非でなく
説得には手間取った。規約違反が無い事を、徹底して証明せねばならん。
簡単な会談で終わらなかった理由は、一言で表せば“変形能力”である。
詳しい事はまだ秘密だが、それ故審査は異様な程複雑怪奇になったのだ。
「あちち……いきなり爆炎は、派手な演出ですの~……」
「なら、今度は冷やすんだよ。“アブソリュート・ゼロ”ッ!!」
「きゃああああっ!?痛ぅ……直撃したら脱落してましたの」
「って、そっちは気化爆弾並みの冷気じゃないですかぁ~っ!?」
「……射撃や格闘より時間を使うとは言っても、真正面は危険ですの」
「フォートブラッグタイプとの訓練だと思えば、大分似てるもん」
「この間もらわれていった娘だって、冷気なんか使いませんよっ!」
「なら、今度は冷やすんだよ。“アブソリュート・ゼロ”ッ!!」
「きゃああああっ!?痛ぅ……直撃したら脱落してましたの」
「って、そっちは気化爆弾並みの冷気じゃないですかぁ~っ!?」
「……射撃や格闘より時間を使うとは言っても、真正面は危険ですの」
「フォートブラッグタイプとの訓練だと思えば、大分似てるもん」
「この間もらわれていった娘だって、冷気なんか使いませんよっ!」
気付けば、クララの広域殲滅魔術を二人がかいくぐる状況となっていた。
冷気は使わぬとしても、爆撃にミサイル類を使ってくるだろう。アルマも
それは良く分かっているらしく、柱の陰に隠れて一瞬の隙を狙い始めた。
クララもそれを見越してなのか、構わず薙ぎ払う方針を採用したらしい。
“コライセル”に強大な紫電が集束していく……雷の広域“魔術”だな。
冷気は使わぬとしても、爆撃にミサイル類を使ってくるだろう。アルマも
それは良く分かっているらしく、柱の陰に隠れて一瞬の隙を狙い始めた。
クララもそれを見越してなのか、構わず薙ぎ払う方針を採用したらしい。
“コライセル”に強大な紫電が集束していく……雷の広域“魔術”だな。
「出てこないなら、このままショートさせちゃうんだよ……轟けッ!」
「隙有り、ですっ!!飛んで、“ヨルムンガルド”!!」
「“プラズマ・レヴナント”……って、剣に雷撃が行くんだよ!?」
「今です、ロッテちゃん!!」
「“撃て”、ライナストッ!!」
「ぅあううっ……!?」
「隙有り、ですっ!!飛んで、“ヨルムンガルド”!!」
「“プラズマ・レヴナント”……って、剣に雷撃が行くんだよ!?」
「今です、ロッテちゃん!!」
「“撃て”、ライナストッ!!」
「ぅあううっ……!?」
──────避雷針、って所かな……?