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武装神姫SSまとめ@wiki

ACT 1-18

最終更新:2023年02月05日 07:27

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だれでも歓迎! 編集
ウサギのナミダ

ACT 1-18


ご注意:
この物語には、ツガル戦術論の若干のネタバレが含まれます。
こちらをお読みになる前に、ツガル戦術論をお読みになることをオススメいたします。



■

「わたしのこと、知っているのね」

 『レッド・ホット・クリスマス』のシルヴィアさんは、わたしにそう言う。
 わたしは素直に答える

「はい……わたしのマスターから聞いたことがあります。ツガル・タイプではとても有名な神姫だと」
「有名ね……」

 シルヴィアさんがそっぽを向いた。
 ミスティが吹き出した。

「そりゃ有名よね。いろんな意味で」

 まわりの神姫も笑い出した。
 シルヴィアさんは、ばつが悪い顔をしながらも、まんざらでもない様子。
 よくわからない。
 ミスティが笑いながら、わたしの肩を叩いた。

「どうしたの? きょとんとした顔して」
「あの……ウェブで公開されている「ツガル戦術論」というレポートがとてもよかった、所有している神姫は違うけど、バトルへの取り組みには共感する、ツガル・タイプとならぜひレッド・ホット・クリスマスとバトルしてみたい……とマスターは言っていたのですが……」

 どこにそんなに面白い要素があるのだろう?
 そうしたら今度は、みんながきょとんとした顔をしていた。

「あなた……知らないの?」
「……なにを?」

 わたしの知らないことが、シルヴィアさんにはあるらしい。
 ミスティは深いため息を一つついて、またわたしの肩を叩いた。

「あなたのマスターは……本当に堅物ねぇ……。
 それじゃあ、教えてあげる」

 にひひ、と変な笑いをするミスティ。
 その笑い顔、ちょっと怖いんですけど。

「シルヴィアはね……自分のマスターと、恋人同士なのよ!」

 ……は?


□

 久住さんの真っ直ぐな視線に、俺は身体を射抜かれ、身動きできずにいた。
 ふう、と一つため息をつき、なんとか顔を伏せ、視線をはずす。
 久住さんは本気だった。
 今の俺たちに、本気で踏み込もうとしてくれている。
 それはよく分かった。
 だが、そうすることで、彼女たちも俺たちと同じような立場に追い込んでしまうのではないか?
 それはまったく俺の本意ではない。
 なのに、軽々しく、俺たちのすべてを、久住さんに話してしまっていいものなのか。
 俺は少し顔を上げ、久住さんを見た。
 いまも俺を真っ直ぐに見つめ、その美貌に必死さを滲ませている。
 ああ、そうだ。巻き込んでしまうとか、そういうことではなくて。
 結局のところ、俺は……。

「話したら……久住さんに嫌われてしまうかも知れない……」

 それが怖かっただけだ。
 久住さんは小さく頭を振る。

「そんな簡単に、嫌うなんて、ない」

 俺はため息をまた一つ。
 観念した。逃げ場はない。
 本気の彼女に答えることができるのは、本当のことを話すことだけだった。

「俺はさ……結局のところ、エゴのかたまりなんだ、と思う」

 そんなふうにして、俺は話し始めた。


■

 マスターと神姫の関係性において、神姫がマスターに従属するということ以外の方法による関係を、わたしは想像できない。
 わたしが過去にいた場所はその関係性が曖昧だったけれど、結局はマスターに見立てられた人に暴力によって強制的に従属させられていた。
 いまのマスターになってからは、マスターの命令に従い続けて暮らしてきた。
 後者のありかたこそは、神姫として普通であり、マスターに奉仕できることこそ幸せなのだと考えている。
 だけど、シルヴィアさんとそのマスターの関係は……恋人同士?
 それはお互いが異性として意識し、相思相愛となり、同等の関係を築く、ということではないのだろうか。
 つまり、わたしが考える普通の神姫とは全く違うあり方だ、ということなのか。
 いや、上記の関係性から言えば、ミスティのマスターに対するあり方も、通常のものとはかなり違っているように見受けられ……

「ちょっと、ティア? なにを固まってるの?」

 ミスティがわたしを揺さぶってくれたおかげで、思考の縁から戻ってこれた。

「あ、その……そういう関係が築ける、というのがよく分からなくて……」
「まあ……うちのマスターが特殊なのよ。神姫バカって言うか……」

 言葉は辛辣だったけど、シルヴィアさんの頬がうっすらと赤くなっているのが、ちょっと可愛い。
 でもやはり、シルヴィアさんのマスターが特別な人であるらしい。

「そりゃあ、特殊よね」
「シルヴィのマスター、全国放送で愛の告白しちゃったんだもんねー!」

 ミスティの言葉を引き継いで、神姫の一人がそう言うと、きゃー、とそろって黄色い歓声が上がった。
 ……ぜんこくほうそうで、あいのこくはく?
 この単語の羅列が、文字通りの意味を持っていると、わたしには認識できなかった。

「あなたたち! いいかげんにしてよね!?」

 シルヴィアさんの顔は怒っていたが、目と口調は笑っていた。
 否定をしないところを見ると、本当のことらしい。
 その事実こそが『レッド・ホット・クリスマス』の名を轟かせているということを、わたしは後で知った。
 マスターと神姫の関係にも様々な形があることを知った、はじめての出来事だった。

「まあ……わたしとマスターの関係は、良好ってことね」

 シルヴィアさんはそんなふうにまとめた。
 まだ頬が赤かったけれど。

「うらやましいですね……」
「ん? あなたのマスターはどうなの?」
「わたしは……マスターに嫌われていますから……」

 わたしはうつむいて言う。少し胸が痛い。
 わたしの言葉に、不思議そうな顔をしている、シルヴィアさんと神姫たち。
 彼女たちは、わたしの身の上を知らないようだった。
 誰もがわたしの汚れた過去を知っていると思ってしまうのは、自意識過剰なのだろうか。
 わたしの言葉に反応したのはミスティだった。

「はあ? まだそんなこと言ってるの? あなたのマスターはあなたが大好きに決まってるでしょ!」

 そんなわけはない、と思う。
 あれだけのことをされた神姫を、好きで自分の元においているだなんて……。

「わ、わたしはもう……愛想尽かされているはずだし」
「だったら、昨日の雨の中、必死で神姫を捜したりしないわよ」
「マスターは……論理的で冷たい人だから」
「タカキはどんだけ優しい人なのよ、ってくらいだわ」
「ちょ、ちょっと……矛盾してない? なんで本人と親友の言う、マスターの評価がぜんぜん違うのよ?」

 シルヴィアさんが困ったように口を挟んだ。
 困っているのはわたしだった。
 本当はわたしもその矛盾に悩んでいる。
 マスターはわたしのことを、本当はどんなふうに思っているんだろう?

「まあでも……」

 シルヴィアさんは、髪を掻き揚げながら言う。

「ティアのマスター、自分の神姫を扱うっていうのに、手の甲を出してたじゃない?
 あれはちょっとないわよね」
「わたしも、それは思ってた。わたしとティアが会った頃から、ずっとああなのよね」
「手乗り文鳥じゃあるまいし。あれはちょっとひどいわ」

 シルヴィアさんとミスティが、わたしのマスターに文句を付ける。
 確かに、普通の神姫の扱いではないのかも知れない。でもそれでわたしは助かっているから。

「あ、それは……」

 理由があって。
 わたしが、男の人の手を怖がるから。
 むしろ、マスターの思いやりなのだ……。

 ……理由?

 それは、思考の鍵だった。
 シルヴィアさんたちは、わたしの、次の言葉を待って、見つめている。
 なのに。
 わたしの思考はもっと別の方へと加速していく。


□

 久住さんに、いままでのことを包み隠さず話をした。
 ティアと出会ったときのことから、この間の日曜日、右手をつぶしたことまで。
 ティアを掴まない理由も、ティアの前で表情を変えない理由も、すべて。
 話しているうちに、だんだんと思考がマイナス方向へと逸れてゆく。
 言ってみれば俺は、かわいそうな神姫を拾ってきて、脅迫同然、無理矢理武装させて、俺の思い描く戦闘スタイルを押しつけて、戦わせた。
 ひどい話だ。
 そんなエゴイストに、一神姫のマスターであることが許されるのか。
 知らず、口調が自虐的になっていたようだ。
 俺の自虐的な独白を、久住さんは口を挟まず聞いていた。
 久住さんの顔をまともに見ることができず、うつむいたまま話し、ちらちらと表情を伺った。
 はじめは真剣な表情だったが、だんだんと呆れ顔になっていく。
 話の最後の方には、とうとう呆れ果てた、という表情になった。
 やはりそうか。そうだろうな。
 こんなしょうもない男と一緒にいるのも嫌になったろう。
 俺なんぞ、久住さんみたいな素敵な女の子に好かれるはずもなく、むしろ嫌われて当たり前なのだった。

「俺は……結局、ティアがやりたくもないことを押しつけて楽しんでいたエゴイストなんだ……あの、井山のこと、悪く言えた義理じゃないかも知れない……」

 俺は言うことを言い尽くして、そう結んだ。
 しばらくの沈黙。
 久住さんがため息を一つついた。

「遠野くん……あなたね……」

 これ以上ないという、呆れ顔。
 久住さんの次の言葉は、俺たちの関係を断ち切る決定的な言葉……

「生真面目すぎ」

 ……は?
 少し驚いて、久住さんを見た。
 形のいい眉を逆立てて、いきなり身を乗り出すと、俺の胸のあたりを指さしながら、まくしたてた。

「あのね! マスターが神姫に自分好みの武装させるなんて、当たり前でしょ!?
 それがエゴだって言うなら、世の中の神姫のマスターは、みーーーんなエゴイストよ!
 ていうか、わたしなんか、イーダ・タイプにストラーフの戦闘スタイル強要してるわよ! どんだけエゴイストなの、って話よね!?」

 く、久住さん、顔近い近い!

「ティアの特性考えて、それにあった武装させて、なにがエゴなのよ。そんなの、普通よ、普通!」
「……そ、そうかな」
「そーよ!
 それに何? 戦いたくもない神姫を無理矢理戦わせた? そんなやる気のない神姫に、わたしたちが負けたと!?」
「い、いや……そこまで言ってな……」
「言ってるも同然よ! 毎日イヤイヤ修練して身につけた戦闘スキルで、あそこまで戦えるはずないじゃない! もうね、自虐的にそういうこと言ってるのがイヤミったらしいというか!」
「ご、ごめんなさい……」
「謝るくらいなら、最初から、ちゃんと考えて話しなさい!」

 ……久住さんに完全に言い負かされた。
 彼女は椅子に背を預け、腕を組み、プンスカ怒りながら、あさっての方向を向いて、何事かブツブツと呟いている。

「……だいたい、真面目すぎるのよ。もっと相手の気持ちを考えなさいよ、ティアとか、わたしとか……」
「え?」
「なんでもないっ」

 くわっ、と目を剥いて叱られた。
 ……どうすればいいんだ。
 俺は所在なげに、久住さんの向かいに座り、肩をすくめながら、上目遣いに彼女を伺うことしかできなかった。
 やがて、彼女はまたひとつ、ため息をつくと、苦笑するように微笑んだ。

「……でも、遠野くんが、ティアにひどいことしてないっていうのは、よく分かったわ」
「当たり前だよ……自分の神姫を虐待するなんて、ありえない」

 俺は即答する。
 自分の所有物だからといって、意志あるものを虐待するなんて、俺には考えられないことだ。
 自分の神姫だというならなおのこと。

「ティアが、大切?」
「もちろん……あいつの代わりになる神姫なんていない。
 たくさんの神姫を見てきたけれど……それでも俺は、ティアじゃなくちゃ、だめなんだ」
「ティアは幸せね……うらやましいくらい」
「え?」
「な、なんでもないっ」

 久住さんはさっきと同じ言葉で否定したが、険はなく、焦った表情で首を振っている。
 ……女の子はよくわからない。
 そんなやりとりをしているところで、俺たちのテーブルに誰かやってきた。

「ごめん、そろそろいいかな?」
「あ、店長」

 久住さんが立ち上がる。
 俺も久住さんに合わせて立った。
 俺よりも少し年上の、若い男性だった。
 ロゴマーク入りのエプロンをしている。
 熱い眼差しが印象的な青年だ。

「俺は日暮夏彦。この店の店長だ」

 彼は大きな左手を差し出した。
 俺は包帯のない方の手を出し、握手した。
 ぎゅっと握られる感触。

「よろしく」

 力のこもった、熱い握手だ。
 思わず握り返してしまう。
 これがこの、神姫の聖地みたいな場所の店長か……。

「俺は……遠野貴樹といいます。よろしくお願いします」

 俺がそう挨拶すると、日暮店長はにかっ、と笑った。
 俺たちに座るように勧めると、自らも近くから椅子を引っ張ってきた。
 そして、久住さんの方を向いた。

「彼が……例のマスターかい?」
「はい」

 久住さんは頷くと、俺の方を向いた。

「ごめんなさい。店長には、あなたたちのこと話しておいたの。
 今日は、遠野くんと店長を、引き合わせたくて、それで」

 日暮店長は笑顔で頷いている。

「まあ、こんな店をやっているおかげで、いろいろと顔が利くし、オーナーからの相談も受けたりするんでね」
「わたしも……店長にお世話になったことがあるの」
「もし困ったことがあれば、相談に乗るぜ?」
「……」

 俺は日暮店長と久住さんを見比べた。
 そもそも、久住さんが俺たちの身の上のことをすでに話していると言った。
 それを知りながら「相談に乗る」と請け負っているのは、つまり、あの雑誌の件について話を聞く準備がある、ということなのだろう。
 久住さんは随分と日暮店長のことを買っている様子だ。
 だが、俺はまだそこまでこの人を信じることができない。
 久住さんが信頼しているにしろ、俺にとっては初対面なのだ。
 俺が考えを巡らせて黙っていると、日暮店長が不意に口を開いた。

「この店はどうだい。気に入ってくれたかい?」
「え、ええ……はじめて来ましたけど、近くにあったら通い詰めてます、きっと」
「かーっ、嬉しいこと言ってくれるねぇ!」

 日暮店長は、感情表現がいちいちストレートだ。
 裏表がないってことだろうか。
 彼は俺を真っ直ぐに見る。
 その視線に、揺らがない信念のようなものを感じた。

「俺は、武装神姫が好きでね……。
 特に、神姫とそのマスターが笑い合ってる姿が好きなんだ。
 神姫にも心がある。人間と神姫は心でつながり合うことができる。
 二つの心がつながり合ったとき、生まれるのが……笑顔なんだ。
 俺はそう信じてる。
 ……そんな笑顔がたくさん見たくて、エルゴをはじめたんだけどな」

 最後の台詞で、日暮店長は照れくさそうに頭を掻いた。
 青臭くて熱い言葉だった。でも嫌な感じはせず、日暮店長の誠実な思いが伝わってくる感じがした。
 笑顔、か……。

「だから、もし君が神姫のことで困っていて……神姫と笑い合うことができないなら、相談しに来いよ。
 俺にできることなら力になる。
 菜々子ちゃんたってのお願いだしな」

 悪い人じゃない。こんなこと、真っ正直に話せる人なんて、そういない。
 しかも、俺が何に困っているのか知った上で、申し出てくれているのだ。
 それでいて、俺に強制しようとはしない。あくまで俺の意志に任せるようにしてくれているのだ。
 懐の大きい人だ。
 噂にへこまされてる俺とは、人としての器の大きさが違う。
 俺は信じてしまいそうになる。
 だが。

「……まだ、俺にも……何を相談してもいいのか、わかりません」
「……」
「だから、落ち着いて、俺なりに考えをまとめたら……相談させてください」
「……そうか」

 店長は小さく吐息をついて、立ち上がった。

「俺はいつでもいい。待ってるぜ」
「……ありがとう、ございます」

 俺は頭を下げた。
 彼は、どうしてこんなに親身になってくれるのだろう。
 見ず知らずの俺なんかを助けて、なんの得があるというのだろう。

「店長はね……困っている神姫を放っておけないの。そういう性分なのよ」
「……自分に、得が無くても?」
「ええ……」

 久住さんはあっさりと頷いた。
 うつむいた視線はテーブルに向いているが、別の……過去の出来事を見つめているようだ。

「本当に、頼りになる人なの。顔も広くて……神姫メーカーやサポート業者、警察にも顔が利くらしいわ。
 たぶん、そういう人脈を使ってなんだろうけど、大小いろんな相談事を解決しているみたい」
「……探偵みたいだな」
「そうね……ふふふ、そんなものなのかも」

 久住さんは優しい顔で笑っていた。


■

 理由。
 そう、理由だ。
 マスターの行動には、いつも理由の裏付けがあった。
 それをいつもわたしに説明してくれた。
 レッグパーツを装着したときも。
 はじめて公園を自由に走ったときも。
 初めてバトルに勝ったとき、すべてのアーマーをはずしたときも。
 マスターは理由無く行動する人じゃない。

 マスターがわたしを厳しく叱るのは、バトルに勝てないからじゃない。わたしが自分を大切にしないから。『わたしなんか』って卑下するから。

 マスターがわたしを掴もうとしないのは、わたしが男の人の手を怖がるから。その後の仕打ちを思って、身体をすくめてしまうから。

 じゃあ、マスターがわたしにいつも無表情なのは……?
 いつも冷たい態度に見えるのは……?
 わたしに愛想を尽かしているから。

 ……違う。
 それでは前の行動の理由と矛盾する。
 そう、マスターはいつだって、わたしのために、いろいろなことをしてくれる。
 ……わたしにために……?

 いけない、と思った。
 それ以上は考えてはダメだと思った。
 でも、そこが確信に違いなかった。
 すべてに矛盾しない、本当の、マスターの思い。
 それは。

 わたしのために、わたしの前では無表情でいた。

 なぜ?

 わたしが、人間の男の人を、怖がるから。

 でも、なんで無表情でいるの?

 努めて事務的な表情であれば、少なくとも、わたしが怯えることはないから……。

 そんなばかな。
 わたしはわたしの考えを否定する。
 だって、毎日毎日顔をあわせている。
 そんな相手に無表情でい続けるなんてことができるだろうか。
 そんなことできるわけが……だって、マスターは機械じゃない。人間なのだから。

『タカキはどんだけ優しい人なのよ、ってくらいだわ』

 マスターは優しいから。
 わたしが怯えるから。
 だから、無表情でいたの? って……
 わたしのせい?

 違う。

 わたしの、せい、じゃない。
 わたしのしでかしたことが、マスターの意志と無関係に、害を及ぼしたのじゃない。
 わたしが、マスターの笑顔を奪っていたのじゃなくて。

 わたしの、ために。

 マスターは自らの意志で、わたしのために、無表情を貫いていたというの?
 優しいから?
 わたしがマスターの神姫でいるために?
 それこそが、矛盾しない……真の答え。

 そんな……

 そんなことって……!!

「ちょ、ちょっと……どうしたの、ティア!?」

 ミスティがわたしの肩を揺さぶる。
 わたしは気がつかないうちに、涙を流していた、らしい。
 でも、それどころじゃなかった。
 わたしは両手で顔を覆って、前屈みになった。

「ティア、大丈夫!? どこか、おかしいの?」
「……ちが……っ……わ、わたし……う、っく……う、あぁ……」

 ごめんなさい、ミスティ。
 いま、あなたに答えてあげられる余裕がなくて。

 わたしは思う。
 マスター。
 わたしはそこまであなたの優しさに包まれていたんですか?
 あなたの何もかもをわたしのために費やされていたんですか?
 みんなにあそこまで罵られてなお、わたしを自分の神姫にしたいのですか? 
 わたしは、あなたにそこまでしてもらう価値のある神姫ですか!?

「ねえ、ちょっと……わたし、何か悪いこと言った?」

 シルヴィアさんのうろたえる声。
 ちがう、ちがうんです。
 わたしがただ、答えにたどり着いてしまっただけ。
 マスターの優しさに、気がついてしまっただけ。

 そう、わたしはなんと愚かだったのだろう。
 マスターの優しさにも気付かず、自らを葬り去ろうとしていたなんて。
 それこそが、真にマスターの気持ちと努力を無に帰する行為だと、知りもしないで。
 菜々子さんが言っていたこと。

『あなたは何も分かっていない』

 ようやくその意味が分かった。
 わたしは何も分かっていない愚か者だった。
 だったら、その愚かなわたしは、マスターのために何をすればいいのですか?
 そこまでしてくれるあなたに、わたしは何を返せるのでしょう?
 わかりません。
 わたしにできることはあまりにも少なくて。
 わからないからまた、泣いてしまう。
 わたしの名前が意味するように、ただ涙のしずくをこぼすことしかできない。
 誰か、誰か教えて。
 この愚かなわたしに、してあげられることを。
 あの優しい人を助けてあげられる術を……。


 マスターが迎えに来る直前まで、わたしはずっと泣いていた。
 ミスティはその間、ずっと肩を抱いていてくれた。
 シルヴィアさんは、初対面のわたしを、やさしく気遣ってくれた。
 ありがとう。
 自分の気持ちにいっぱいいっぱいで口に出すことができなかったけれど。
 優しくしてもらえたことが、とてもとても嬉しかった。

「ティア、帰るぞ」

 久住さんと一緒に現れたマスターは、いつものように無表情だった。
 そして、いつものように手の甲を差し出された。
 わたしはその上に乗る。

「あ、あなたねぇ! ティアはあなたの神姫でしょう!? その扱いは……!」

 シルヴィアさんは、わたしのために怒ってくれている。
 ミスティも気遣わしげな表情で、こちらを見ている。
 結局、みんなに説明することはできなかった。
 シルヴィアさんの激しい言葉にも、マスターは無言だった。
 でも、ほんの少しだけ、眉根を寄せているのが分かる。
 マスターも本当は、他のマスターと同じように、わたしを掴むことができれば、こんなことを言われなくてもすむのに。
 シルヴィアさんも、他のみんなも、いつか分かってくれる時が来るだろうか。
 手の甲を差し出す優しさもある、ということを。


□

 帰り道。
 久住さんと並んで歩きながら、今日あった出来事を反芻してみる。
 ……なんだか、よくわからなかった。
 ただひとつ言えることは、俺の中に筋道のようなものが見えてきた、ということだった。
 まだはっきりとは分からない。だが、自分の中できちんと整理をつければ、道が開けるような気がしていた。
 それにはやはり、あの店長との出会いが必須であったし、間違いなく隣を歩く人のおかげだった。

「……どうかした?」

 横顔を盗み見ていた俺に振り向き、久住さんは微笑みかけてくる。
 心臓がどきり、と鳴った。
 ……とんでもなく、可愛かった。
 このとき俺は強烈に自覚した。
 俺はもうとっくに、久住さんに恋してしまっていたんだ。
 俺は一瞬にして平常心を失い、どぎまぎとしながら、答える。

「き、今日は……ありがとう……たすかった、いろいろと……」
「ちょっとは、前向きに考えられた?」

 あ……。
 そうか。
 それもこれも、全部久住さんの作戦か。
 昨日の気持ちのままティアを渡されたら、俺はティアにどんな言葉をかけていたろう。
 激情に駆られ、久住さんの誘いも断り、部屋に引きこもって、ティアを尋問したりしていたかも知れない。
 だから、彼女はわざと、いつもと違う服装をして、いつもと違う興味深いロケーションで話をしたのだ。
 俺は頭の中は、いままでの暗い状況などを一端押しやって、他のことをいろいろと考えさせられた。
 それで、かえって自分を客観的に、前向きに見つめることができたのだ。
 かなわない。
 俺の心の中まで全部見切られて、彼女の手の内で転がされていたのだ。
 でもそれが不快だったわけではなく、俺はもう降参、といった具合だった。


「それで……」

 久住さんがいたずらっぽい微笑みを浮かべた。
 まだ続きがあるんですか!?
 勘弁してください。

「今日のわたしの服、どう?」

 どう、といわれましても。

「え、あぁ……ええと……いつもと、ちがう感じ……だな、と……」

 俺みたいな男に、気の利いたことが言えるはずがないじゃないか。
 これはどういう罰ゲームなんだろうか?

「おそーい」

 久住さんは、少し拗ねた様子で言った。

「本来は、今日会ったときに言うことよ?」
「は、はぁ……すみません」
「それで、ご感想は?」
「あ、ええと……よ、よく似合ってる……」

 久住さんは上目遣いに俺を見ている。
 だから、その可愛さは反則だろう?
 くそっ、もうこうなったらヤケだ。
 俺が思ってること、素直に一言でまとめて、言ってしまえ!


「みとれたよ」


 そうしたら彼女は、驚いたように目を見開いて、顔を真っ赤に染めた。
 こうして俺は、ようやく久住さんに一矢報いたのだった。




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