秋葉原の事件から、一週間が過ぎた。
相変わらずの静香の部屋。いつもと違うのは、机の上に置かれた小さな段ボール箱の存在だ。
「さすが晶さん。ウチとじゃ精度が全然違うわね」
中に入っていた簡潔なマニュアルを眺めながら、静香は感嘆のため息を吐いている。
「……静香」
私も『それ』を取りだして、小さくため息。もちろんそれは、静香の感嘆とは質の違うものだ。
「これを、私に内緒でやろうとしてたんですか?」
コンセプトも、使い方も、今回はちゃんと静香から説明を受けていた。静香の作った試作品を使っての稼動テストも、既に終わっている。
それを重ねるたびに、ため息の量が増えるのは……ある意味、仕方ないと言いたいわけで。
「そうよ。悪い?」
いやそんなあっさり言われても。
「嫌がらせにも程がありますよ」
「嫌がらせだから当たり前でしょ」
「……あぅぅ」
私に対する今までのおかしな態度が、嫌がらせの一環だった事は既に聞いた。それを知っているからこそ、このとんでもない装備が静香の嫌がらせの総決算にしか見えなくなってくる。
「やる気がなくなった?」
「まさか」
けれど、私は静香の言葉を否定した。
「少なくとも、私の注文は通ってますから。使いこなしてみせますよ」
花姫を取り戻すために。
そして、私と静香の新しい戦い方を手に入れるために。
「もぅ、ココったら。そんなにご褒美期待されちゃ、お姉さん困っちゃうなぁ」
……いやだから、それはいいんですってば。
このエロマスター!
相変わらずの静香の部屋。いつもと違うのは、机の上に置かれた小さな段ボール箱の存在だ。
「さすが晶さん。ウチとじゃ精度が全然違うわね」
中に入っていた簡潔なマニュアルを眺めながら、静香は感嘆のため息を吐いている。
「……静香」
私も『それ』を取りだして、小さくため息。もちろんそれは、静香の感嘆とは質の違うものだ。
「これを、私に内緒でやろうとしてたんですか?」
コンセプトも、使い方も、今回はちゃんと静香から説明を受けていた。静香の作った試作品を使っての稼動テストも、既に終わっている。
それを重ねるたびに、ため息の量が増えるのは……ある意味、仕方ないと言いたいわけで。
「そうよ。悪い?」
いやそんなあっさり言われても。
「嫌がらせにも程がありますよ」
「嫌がらせだから当たり前でしょ」
「……あぅぅ」
私に対する今までのおかしな態度が、嫌がらせの一環だった事は既に聞いた。それを知っているからこそ、このとんでもない装備が静香の嫌がらせの総決算にしか見えなくなってくる。
「やる気がなくなった?」
「まさか」
けれど、私は静香の言葉を否定した。
「少なくとも、私の注文は通ってますから。使いこなしてみせますよ」
花姫を取り戻すために。
そして、私と静香の新しい戦い方を手に入れるために。
「もぅ、ココったら。そんなにご褒美期待されちゃ、お姉さん困っちゃうなぁ」
……いやだから、それはいいんですってば。
このエロマスター!
魔女っ子神姫ドキドキハウリン
その19 前編
全国大会の日は、あっという間にやってきた。
この辺りでも最大級の大会だから、見知った顔は多く、全体の参加者数はさらに多い。もちろんその中には、静姉の名前も含まれている。
「あーあ。あたしも戦いたかったなぁ」
第六会場第二試合第一戦。武装トランク片手にフィールドを駆けるココをぼんやり眺めながら、ジルはボクの肩の上で退屈そうに足をばたばたさせている。
「ボクの受験が終わるまで、公式戦はお預けって約束したでしょ。ジル」
「そりゃ分かってるさ……」
そもそも今年の公式戦にほとんど出てないボク達は、全国大会への参加資格そのものがない。エルゴのバイトの合間にしっかりポイントを稼いでいた静姉達とはワケが違う。
そんな事なら大会なんか見に来なきゃいいって話だけど、今日だけはどうしても外せない理由があった。
「鳳凰カップはちゃんと出るからさ」
三月半ばに開かれる鳳凰カップは、受験が終わって一息ついてのタイミングになる。外部企業主催の大会だから、参加資格にも今日ほど細かい条件はないし、復帰後の公式戦第一戦としても申し分ない。
「約束だからな! 絶対約束だからな! 受験が終わったら、アレの調整もちゃんとしてくれよな!」
「分かってるよ。ボクだって負ける気で出るワケじゃないからさ」
もちろん、復帰直後にいきなり優勝できるなんて思ってるわけでもないけどさ。
まあ、本戦には出たいなぁ……くらいは思ってみたりしてる。
この辺りでも最大級の大会だから、見知った顔は多く、全体の参加者数はさらに多い。もちろんその中には、静姉の名前も含まれている。
「あーあ。あたしも戦いたかったなぁ」
第六会場第二試合第一戦。武装トランク片手にフィールドを駆けるココをぼんやり眺めながら、ジルはボクの肩の上で退屈そうに足をばたばたさせている。
「ボクの受験が終わるまで、公式戦はお預けって約束したでしょ。ジル」
「そりゃ分かってるさ……」
そもそも今年の公式戦にほとんど出てないボク達は、全国大会への参加資格そのものがない。エルゴのバイトの合間にしっかりポイントを稼いでいた静姉達とはワケが違う。
そんな事なら大会なんか見に来なきゃいいって話だけど、今日だけはどうしても外せない理由があった。
「鳳凰カップはちゃんと出るからさ」
三月半ばに開かれる鳳凰カップは、受験が終わって一息ついてのタイミングになる。外部企業主催の大会だから、参加資格にも今日ほど細かい条件はないし、復帰後の公式戦第一戦としても申し分ない。
「約束だからな! 絶対約束だからな! 受験が終わったら、アレの調整もちゃんとしてくれよな!」
「分かってるよ。ボクだって負ける気で出るワケじゃないからさ」
もちろん、復帰直後にいきなり優勝できるなんて思ってるわけでもないけどさ。
まあ、本戦には出たいなぁ……くらいは思ってみたりしてる。
『バトル終了! Winner・ココ!』
そんな事を話してると、ココの試合がようやく終わったらしい。苦戦する様子もなかったし、順当勝ちといったところだろう。
「お疲れさま、静姉」
ココを肩に乗せて戻ってきた静姉に、スポーツドリンクをひょいと渡す。
「ん。ありがと」
試合内容そのままに、特に疲れた様子もない。
それよりも、問題は次の試合だ。
『第六会場の第二試合・第二戦は……』
身の丈ほどもある太刀を引っ提げた紅緒が戦っているのは、巨大な武装コンテナとブースターユニットを身にまとった白いアーンヴァル。
圧倒的な機動力と防御フィールドで相手の接近そのものを許す事なく、大口径砲の火力で遠距離から一方的に蹂躙・殲滅する。
ガブリエルと呼ばれるその武装セットは、かつて花姫が使っていた追加装甲『ブロッサム・ストライク』と全く同じコンセプトと構造を持っていた。
「どう? ジル」
静香の問いに、その一方的な試合をじっと見ていたジルは渋い顔で呟く。
「……間違いない。少なくとも、コアは花姫のモンだ」
どんな経緯で、鶴畑大紀が花姫を手に入れたのかは知るよしもない。
けど、神姫が神姫を見間違えることは決してない。特に花姫を起動した頃から知っているジルが、彼女を間違えるわけがなかった。
「そう……」
戦いは完全なワンサイドゲーム。
近接特化タイプにとっては最悪の相性とも言える相手だから、しょうがないと言えばしょうがないんだけど……。紅緒は一矢報いる事さえできず、試合はミカエルの圧勝に終わっている。
「ココ。次は、『ハウリング・ソウル』……使うわよ」
「はい」
それは、ココの第三試合の相手が決まった瞬間でもあった。
「お疲れさま、静姉」
ココを肩に乗せて戻ってきた静姉に、スポーツドリンクをひょいと渡す。
「ん。ありがと」
試合内容そのままに、特に疲れた様子もない。
それよりも、問題は次の試合だ。
『第六会場の第二試合・第二戦は……』
身の丈ほどもある太刀を引っ提げた紅緒が戦っているのは、巨大な武装コンテナとブースターユニットを身にまとった白いアーンヴァル。
圧倒的な機動力と防御フィールドで相手の接近そのものを許す事なく、大口径砲の火力で遠距離から一方的に蹂躙・殲滅する。
ガブリエルと呼ばれるその武装セットは、かつて花姫が使っていた追加装甲『ブロッサム・ストライク』と全く同じコンセプトと構造を持っていた。
「どう? ジル」
静香の問いに、その一方的な試合をじっと見ていたジルは渋い顔で呟く。
「……間違いない。少なくとも、コアは花姫のモンだ」
どんな経緯で、鶴畑大紀が花姫を手に入れたのかは知るよしもない。
けど、神姫が神姫を見間違えることは決してない。特に花姫を起動した頃から知っているジルが、彼女を間違えるわけがなかった。
「そう……」
戦いは完全なワンサイドゲーム。
近接特化タイプにとっては最悪の相性とも言える相手だから、しょうがないと言えばしょうがないんだけど……。紅緒は一矢報いる事さえできず、試合はミカエルの圧勝に終わっている。
「ココ。次は、『ハウリング・ソウル』……使うわよ」
「はい」
それは、ココの第三試合の相手が決まった瞬間でもあった。
電子の聖地秋葉原。それも日曜日だというのに、MMSショップ“ALChemist”には閑古鳥が鳴いていた。
「大きな大会の時は、仕方ないんだよ」
エルゴや他のショップも似たようなものだろう。客足が変わらないのは、神姫バトルとは縁のない真直堂くらいのはずだ。
その代わり、大会が中盤を過ぎ、敗退者がぼちぼち帰り始める頃からがショップのかき入れ時になる。戦いを終えた常連達が、新装備の算段や、大会で消費したパーツの補充に顔を出し始めるからだ。
「ん? クララや。誰に向かって話しておる」
「……?」
クララ以外の一同は、店頭に持ってきたノートPCを囲んでいる。いくら店を構えているとはいえ、晶も戦う神姫のオーナーの一人。いや、店主だからこそ、大会の状況は気になって当然だ。
「あ。ココちゃんですの!」
「おお。そういえば、あ奴も出ると言っていたな」
どうやらこれから始まる所らしい。中継のアイコンをクリックすれば、フィールドイン直前の映像がディスプレイに展開される。
相手の名前は鶴畑大紀。
神姫の名前は『ミカエル』。
背部の超大型武装コンテナに、右腕を覆う大口径のビーム砲。大型砲を構える右腕と釣り合うよう、左腕にも巨大なフィールドジェネレータが付けられていた。
その上でアーンヴァルの本領、空中機動も追求したのだろう。異様と言える巨大武装塊に十分な機動力を与えるため、背部のブースター関係も軒並み大型化され、機体の大きさをさらに倍加させている。
対するココは……。
全身を覆う緑の装甲と、実弾タイプの大型対艦ライフルが一丁。装甲の内側にはブースターが付けられており、装甲自体がフライトユニットを兼ねているらしかった。
ハウリンは基本セットにも重甲冑が付いているが、これはそれよりも少しばかり大きく、分厚く作られている。
普通の基準からすればかなりの重装甲ではあるが、鶴畑の恐竜的進化を遂げた巨大装備を見た後では、随分と貧弱に見えた。
「あれ? これって……」
フィールドイン直前のココの姿に小さく声を上げたのは、晶の傍らにいたアーンヴァルの娘。
「有無。……始まったか」
ロッテの晶が言葉に答えるより少しだけ早く。
液晶ディスプレイの向こうに、戦闘開始のアラートが鳴り響く。
「大きな大会の時は、仕方ないんだよ」
エルゴや他のショップも似たようなものだろう。客足が変わらないのは、神姫バトルとは縁のない真直堂くらいのはずだ。
その代わり、大会が中盤を過ぎ、敗退者がぼちぼち帰り始める頃からがショップのかき入れ時になる。戦いを終えた常連達が、新装備の算段や、大会で消費したパーツの補充に顔を出し始めるからだ。
「ん? クララや。誰に向かって話しておる」
「……?」
クララ以外の一同は、店頭に持ってきたノートPCを囲んでいる。いくら店を構えているとはいえ、晶も戦う神姫のオーナーの一人。いや、店主だからこそ、大会の状況は気になって当然だ。
「あ。ココちゃんですの!」
「おお。そういえば、あ奴も出ると言っていたな」
どうやらこれから始まる所らしい。中継のアイコンをクリックすれば、フィールドイン直前の映像がディスプレイに展開される。
相手の名前は鶴畑大紀。
神姫の名前は『ミカエル』。
背部の超大型武装コンテナに、右腕を覆う大口径のビーム砲。大型砲を構える右腕と釣り合うよう、左腕にも巨大なフィールドジェネレータが付けられていた。
その上でアーンヴァルの本領、空中機動も追求したのだろう。異様と言える巨大武装塊に十分な機動力を与えるため、背部のブースター関係も軒並み大型化され、機体の大きさをさらに倍加させている。
対するココは……。
全身を覆う緑の装甲と、実弾タイプの大型対艦ライフルが一丁。装甲の内側にはブースターが付けられており、装甲自体がフライトユニットを兼ねているらしかった。
ハウリンは基本セットにも重甲冑が付いているが、これはそれよりも少しばかり大きく、分厚く作られている。
普通の基準からすればかなりの重装甲ではあるが、鶴畑の恐竜的進化を遂げた巨大装備を見た後では、随分と貧弱に見えた。
「あれ? これって……」
フィールドイン直前のココの姿に小さく声を上げたのは、晶の傍らにいたアーンヴァルの娘。
「有無。……始まったか」
ロッテの晶が言葉に答えるより少しだけ早く。
液晶ディスプレイの向こうに、戦闘開始のアラートが鳴り響く。
第六会場第三試合第一戦。
試合開始と同時に私が放り出されたのは、何もない空間だった。
比喩でも何でもなく、本当に何一つ無い。
着くべき床も。
引かれるべき重力も。
そして、光さえも。
「……ひゃっ!」
空中かと思って反射的にスラスターを吹かせば、私の体は独楽のようにきゅるきゅると空転。姿勢制御用のバランサーの挙動が追い付かず、機体が落ち着かない。
「ココ。無重力仕様に」
「え、あ、はいっ!」
鋭い静香の言葉にバランサーの設定を空中戦から宇宙戦に切り替える。けど、それでもバランサーの動きは安定せず、空転は続いたまま。
もちろん視界に映るのは全くの黒。回転しているのか止まっているのかなど分からない。悲鳴を上げる加速度センサだけが、機体が空転していることを伝えてくれていた。
「加速度センサー以外全センサー閉鎖。三カウント後の位置を起点に座標再設定なさい。ココ、カウントスタート!」
「は、はいっ!」
視界を閉じ、加速度センサーに意識を集中。
3、2、1。
頭の中に三次元の座標軸を思い描き、それを絶対基準にセット。凄まじい勢いで回転する三次元座標軸の慣性を、機体各所のスラスターで一つずつ打ち消していく。
全ての慣性を殺しきるまでに必要な時間は、五秒ほど。
加速度センサー、沈黙。
どうやら、静止した……らしい。
瞳を開く。
「何ですか、このステージ……」
辺りは相変わらずの黒。宇宙ステージに近いけど、星の光が全くない。
けど、自身の姿は見えているから、少なくとも光源はあるらしい。スラスターも使えるから、空気もあるんだろう。
試しにライフルを一発撃ってみると、硝煙をまとった徹甲弾がまっすぐ飛んでいき、空気遠近法の法則に従ってやがて見えなくなった。
「『暗黒空間』ですって。新規マップかしらね」
まあ、バーチャルだから何でもありだけど、一体どこくらいの広さがあるんだろう。
それに……。
「そうだ! 花姫はっ!」
少なくとも私のセンサーには反応がない。一応、アーンヴァルのレーザーキャノンの最大射程くらいには、レンジを取ってあるのだけれど。
それ以上の距離を取られていては、頼みの綱はオペレーターの静香だけだ。
「来たわよ! 右上方!」
「っ!」
言われてそちらを見上げれば、迫り来るのは瞬く光条。
慌てて回避運動を取れば……
「きゃあっ!」
咄嗟の挙動にスラスターが補正し切れない!
くるくると回る機体に重粒子の牙が襲いかかり。
左肩の装甲が、一撃で吹き飛ばされる。
試合開始と同時に私が放り出されたのは、何もない空間だった。
比喩でも何でもなく、本当に何一つ無い。
着くべき床も。
引かれるべき重力も。
そして、光さえも。
「……ひゃっ!」
空中かと思って反射的にスラスターを吹かせば、私の体は独楽のようにきゅるきゅると空転。姿勢制御用のバランサーの挙動が追い付かず、機体が落ち着かない。
「ココ。無重力仕様に」
「え、あ、はいっ!」
鋭い静香の言葉にバランサーの設定を空中戦から宇宙戦に切り替える。けど、それでもバランサーの動きは安定せず、空転は続いたまま。
もちろん視界に映るのは全くの黒。回転しているのか止まっているのかなど分からない。悲鳴を上げる加速度センサだけが、機体が空転していることを伝えてくれていた。
「加速度センサー以外全センサー閉鎖。三カウント後の位置を起点に座標再設定なさい。ココ、カウントスタート!」
「は、はいっ!」
視界を閉じ、加速度センサーに意識を集中。
3、2、1。
頭の中に三次元の座標軸を思い描き、それを絶対基準にセット。凄まじい勢いで回転する三次元座標軸の慣性を、機体各所のスラスターで一つずつ打ち消していく。
全ての慣性を殺しきるまでに必要な時間は、五秒ほど。
加速度センサー、沈黙。
どうやら、静止した……らしい。
瞳を開く。
「何ですか、このステージ……」
辺りは相変わらずの黒。宇宙ステージに近いけど、星の光が全くない。
けど、自身の姿は見えているから、少なくとも光源はあるらしい。スラスターも使えるから、空気もあるんだろう。
試しにライフルを一発撃ってみると、硝煙をまとった徹甲弾がまっすぐ飛んでいき、空気遠近法の法則に従ってやがて見えなくなった。
「『暗黒空間』ですって。新規マップかしらね」
まあ、バーチャルだから何でもありだけど、一体どこくらいの広さがあるんだろう。
それに……。
「そうだ! 花姫はっ!」
少なくとも私のセンサーには反応がない。一応、アーンヴァルのレーザーキャノンの最大射程くらいには、レンジを取ってあるのだけれど。
それ以上の距離を取られていては、頼みの綱はオペレーターの静香だけだ。
「来たわよ! 右上方!」
「っ!」
言われてそちらを見上げれば、迫り来るのは瞬く光条。
慌てて回避運動を取れば……
「きゃあっ!」
咄嗟の挙動にスラスターが補正し切れない!
くるくると回る機体に重粒子の牙が襲いかかり。
左肩の装甲が、一撃で吹き飛ばされる。
バトルシーンの映し出される液晶ディスプレイを眺めながら、コーヒーをひと口。
うーん。にゃー子と一緒に、優雅なティー……。
「何よ、あかね。仕事中のネットは感心しないわよ」
タイムを邪魔するのは、ブースの入口に顔を見せた同僚だった。
「PCの利用状況、監視されてるって言ったっしょ。主任とかにバレると、面倒よ?」
「主任にはOKもらってるわよ。妹がね、ちょっと大事な試合やってるもんでさ」
PCの隣に置いた携帯は、十貴君からのメールが表示されたまま。花姫とココの対決が始まったら、送ってもらうよう頼んでおいたものだ。
「妹さん? ああ、今日って大会だっけ」
彼女も映っているバトルに興味を持ったらしく、そのままあたしのブースに入ってくる。
「三年前の、KO判定キャンセルしてCSCを蹴り壊されたアーンヴァルの話……覚えてない? ほら、アンタが受付にいた頃のアレよ」
彼女はしばらく考え込んでたけど。やがて一つの事件を思い出したらしく、ああ、と小さな声を上げた。
「貴重なサンプルを鶴畑にぶんどられたって、研究室の全員が大騒ぎしてた……アレ?」
違法改造でKO処理を強制的にスキップしたケースなら、毎年何件かある(もちろんルール違反だ)。けど、純正品が自らの意志でシステムの判定をねじ伏せたなんて、2037年の今でも花姫を除いて実例がない。
そのおかげで大破したとはいえ、そんなレアケースの神姫を強引に持ち逃げされたんだから……研究室の皆が怒るのも当たり前だ。いくらスポンサーでも、して良いことと悪いことがある。
「そ。アレの決着が着きそうなのよ」
「なるほどねぇ。ま、後で結果だけ聞かせて」
どうやらそれを分かってくれたらしい。彼女は軽く手を振って、あたしのブースから出ていってくれた。
視線をディスプレイに戻す。
緑の大型装甲は相手の砲撃を回避するので精一杯。姿勢制御さえおぼつかないようで、時折の反撃も明後日の方向に飛んでいくばかり。
「……何やってるのよ。負けてるじゃない、静香」
コッキングレバーを引いて態勢を整えるココを見て、あたしは爪を軽く噛む。
うーん。にゃー子と一緒に、優雅なティー……。
「何よ、あかね。仕事中のネットは感心しないわよ」
タイムを邪魔するのは、ブースの入口に顔を見せた同僚だった。
「PCの利用状況、監視されてるって言ったっしょ。主任とかにバレると、面倒よ?」
「主任にはOKもらってるわよ。妹がね、ちょっと大事な試合やってるもんでさ」
PCの隣に置いた携帯は、十貴君からのメールが表示されたまま。花姫とココの対決が始まったら、送ってもらうよう頼んでおいたものだ。
「妹さん? ああ、今日って大会だっけ」
彼女も映っているバトルに興味を持ったらしく、そのままあたしのブースに入ってくる。
「三年前の、KO判定キャンセルしてCSCを蹴り壊されたアーンヴァルの話……覚えてない? ほら、アンタが受付にいた頃のアレよ」
彼女はしばらく考え込んでたけど。やがて一つの事件を思い出したらしく、ああ、と小さな声を上げた。
「貴重なサンプルを鶴畑にぶんどられたって、研究室の全員が大騒ぎしてた……アレ?」
違法改造でKO処理を強制的にスキップしたケースなら、毎年何件かある(もちろんルール違反だ)。けど、純正品が自らの意志でシステムの判定をねじ伏せたなんて、2037年の今でも花姫を除いて実例がない。
そのおかげで大破したとはいえ、そんなレアケースの神姫を強引に持ち逃げされたんだから……研究室の皆が怒るのも当たり前だ。いくらスポンサーでも、して良いことと悪いことがある。
「そ。アレの決着が着きそうなのよ」
「なるほどねぇ。ま、後で結果だけ聞かせて」
どうやらそれを分かってくれたらしい。彼女は軽く手を振って、あたしのブースから出ていってくれた。
視線をディスプレイに戻す。
緑の大型装甲は相手の砲撃を回避するので精一杯。姿勢制御さえおぼつかないようで、時折の反撃も明後日の方向に飛んでいくばかり。
「……何やってるのよ。負けてるじゃない、静香」
コッキングレバーを引いて態勢を整えるココを見て、あたしは爪を軽く噛む。
極太のビームが、漆黒の宇宙を真っ直ぐに薙ぎ払った。
重粒子の熱をちりちりと感じながら、私は静香に声を投げる。
「静香。あれ、前より大きくなってませんか?」
初めて会ったときも、前の試合でのミカエルも、確かに武装コンテナを背負った今と同じ構造だった。けど、コンテナの大きさ自体が倍近くになっている気がする。
空気のある空間だから、遠近感が狂ったわけではないはずだけど。
「みたいね。で、そっちは行けそう?」
轟音と乱気流をまとって宇宙を駆けるミカエルに、静香も苦笑。
よかった。この間みたいな恐慌状態には陥っていないらしい。
「はい。何とか……」
ようやく無重力機動のコツが掴めてきた。相手の砲撃も、ギリギリだけど何とか回避できている。
こちらの武装は、手持ち式の対艦ライフルが一丁きり。ブロッサム・ストライクの反発フィールドなら、十分貫ける火力……のはずなんだけど。
まずは、一発。
ドキドキロッドに数倍する速度でミカエルに叩き付けられた徹甲弾は、相手の手前で甲高い音と共に弾き飛ばされる。
「静香。やっぱり通じません!」
射撃の反動を打ち消しながら、コッキングを一つ。
当然だけど、相手のフィールドは強化されているらしい。それもこちらの予想以上に。
「ありゃ」
お返しとばかりのメガビームの砲撃を避けながら、くるりと半回転。ミカエルと間合を取りながら、数発を続けて撃ち込んだ。
相手の大きさは先日の数倍。小回りや機動力そのものは、こちらがその分優勢になっている。相手のメガビーム砲の死角を突くことそのものは、造作もない。
でも結果は同じ。一瞬は反発フィールドにその身を埋めるけど、結局は弾かれて明後日の方向に飛んでいく。
フィールドも張りっぱなしらしく、反発フィールド最大の弱点である零距離戦にも持ち込めそうになかった。
「ココ。ミサイル、来るわよ!」
暗黒宇宙には何一つ障害がない。ここで誘導弾を撃たれたら、とんでもないことになる!
「分かってます!」
取り替えたばかりの弾倉を空にする勢いで、私はマイクロミサイルの詰まったコンテナを必死に撃ち落とす。
重粒子の熱をちりちりと感じながら、私は静香に声を投げる。
「静香。あれ、前より大きくなってませんか?」
初めて会ったときも、前の試合でのミカエルも、確かに武装コンテナを背負った今と同じ構造だった。けど、コンテナの大きさ自体が倍近くになっている気がする。
空気のある空間だから、遠近感が狂ったわけではないはずだけど。
「みたいね。で、そっちは行けそう?」
轟音と乱気流をまとって宇宙を駆けるミカエルに、静香も苦笑。
よかった。この間みたいな恐慌状態には陥っていないらしい。
「はい。何とか……」
ようやく無重力機動のコツが掴めてきた。相手の砲撃も、ギリギリだけど何とか回避できている。
こちらの武装は、手持ち式の対艦ライフルが一丁きり。ブロッサム・ストライクの反発フィールドなら、十分貫ける火力……のはずなんだけど。
まずは、一発。
ドキドキロッドに数倍する速度でミカエルに叩き付けられた徹甲弾は、相手の手前で甲高い音と共に弾き飛ばされる。
「静香。やっぱり通じません!」
射撃の反動を打ち消しながら、コッキングを一つ。
当然だけど、相手のフィールドは強化されているらしい。それもこちらの予想以上に。
「ありゃ」
お返しとばかりのメガビームの砲撃を避けながら、くるりと半回転。ミカエルと間合を取りながら、数発を続けて撃ち込んだ。
相手の大きさは先日の数倍。小回りや機動力そのものは、こちらがその分優勢になっている。相手のメガビーム砲の死角を突くことそのものは、造作もない。
でも結果は同じ。一瞬は反発フィールドにその身を埋めるけど、結局は弾かれて明後日の方向に飛んでいく。
フィールドも張りっぱなしらしく、反発フィールド最大の弱点である零距離戦にも持ち込めそうになかった。
「ココ。ミサイル、来るわよ!」
暗黒宇宙には何一つ障害がない。ここで誘導弾を撃たれたら、とんでもないことになる!
「分かってます!」
取り替えたばかりの弾倉を空にする勢いで、私はマイクロミサイルの詰まったコンテナを必死に撃ち落とす。
当たらない攻撃に、鶴畑大紀は足を踏み鳴らした。
「ミカエル! ガブリエルまで付けてやったのに、なにを遊んでるんだ! さっさと片付けろ!」
あのアーンヴァルは、かつて興紀のルシフェルを破った機体を修復したものだ。『ガブリエル』の名を持つ追加武装は、そのアーンヴァルが使っていた装備を大紀のアイデアで改良・発展させたもの。
基本能力と武装の性能は、間違いなく折り紙付きのはず。何せ、あの鶴畑興紀を倒せた装備なのだから。
そのうえ、バトルフィールドは遮蔽物の一切無い宇宙空間。圧倒的な機動力と遠距離火力がモノを言う、ガブリエルにとって理想的とも言える戦場だ。
そこまでお膳立てしてあって、どうして目の前の貧相な神姫一体落とせないのか。
「……イエス」
答える間にミサイルコンテナが撃ち落とされ、相手のハウリンからは続けざまに対艦徹甲弾が浴びせかけられている。強化型の反発フィールドのおかげでダメージこそ無いが、気分が良いものではない。
正直、とんでもなく不愉快だった。
「さっさとやれって言ってるんだよ! 聞こえないのか!」
その言葉と共にメガビーム砲が咆吼。白熱した光条がハウリンの緑の装甲をかすめ、表層をチリチリと焦がしていく。
だが、それだけだ。
相手はこちらに突っ込みながらコッキングレバーを一動作。排莢の終わった対艦ライフルのトリガーをさらに引き絞る。
「無駄だって言っているだろう!」
ミカエルは、メガビーム砲を打ち終わると同時に反発フィールドを展開していた。単発式の対艦ライフルでは、何発撃ったところで反発フィールドは貫けない。大型の排熱機も付けてあるから、少々の負荷が掛かったところでジェネレータが焼き付く心配もないはず。
「っ!」
そのフィールドが、貫かれた。
三点バーストで撃ち込まれた徹甲弾が反発力を相殺し、そこにライフル本体が槍のように突き込まれたのだ。
「な……っ! あのレバー、ダミー……?」
一度もコッキングレバーを引くことなく、ハウリンは零距離での四発目を発射。
それと同時、ミカエルのメガビーム砲も零距離で重粒子の閃光を解き放つ。
「……勝った!」
内部構造まで徹されたフィールドジェネレータが内側から爆散し。
メガビームの直撃を受けた緑色の装甲も、外側から溶解・爆発する。
「ミカエル! ガブリエルまで付けてやったのに、なにを遊んでるんだ! さっさと片付けろ!」
あのアーンヴァルは、かつて興紀のルシフェルを破った機体を修復したものだ。『ガブリエル』の名を持つ追加武装は、そのアーンヴァルが使っていた装備を大紀のアイデアで改良・発展させたもの。
基本能力と武装の性能は、間違いなく折り紙付きのはず。何せ、あの鶴畑興紀を倒せた装備なのだから。
そのうえ、バトルフィールドは遮蔽物の一切無い宇宙空間。圧倒的な機動力と遠距離火力がモノを言う、ガブリエルにとって理想的とも言える戦場だ。
そこまでお膳立てしてあって、どうして目の前の貧相な神姫一体落とせないのか。
「……イエス」
答える間にミサイルコンテナが撃ち落とされ、相手のハウリンからは続けざまに対艦徹甲弾が浴びせかけられている。強化型の反発フィールドのおかげでダメージこそ無いが、気分が良いものではない。
正直、とんでもなく不愉快だった。
「さっさとやれって言ってるんだよ! 聞こえないのか!」
その言葉と共にメガビーム砲が咆吼。白熱した光条がハウリンの緑の装甲をかすめ、表層をチリチリと焦がしていく。
だが、それだけだ。
相手はこちらに突っ込みながらコッキングレバーを一動作。排莢の終わった対艦ライフルのトリガーをさらに引き絞る。
「無駄だって言っているだろう!」
ミカエルは、メガビーム砲を打ち終わると同時に反発フィールドを展開していた。単発式の対艦ライフルでは、何発撃ったところで反発フィールドは貫けない。大型の排熱機も付けてあるから、少々の負荷が掛かったところでジェネレータが焼き付く心配もないはず。
「っ!」
そのフィールドが、貫かれた。
三点バーストで撃ち込まれた徹甲弾が反発力を相殺し、そこにライフル本体が槍のように突き込まれたのだ。
「な……っ! あのレバー、ダミー……?」
一度もコッキングレバーを引くことなく、ハウリンは零距離での四発目を発射。
それと同時、ミカエルのメガビーム砲も零距離で重粒子の閃光を解き放つ。
「……勝った!」
内部構造まで徹されたフィールドジェネレータが内側から爆散し。
メガビームの直撃を受けた緑色の装甲も、外側から溶解・爆発する。
爆煙の中。
与えられた慣性のまま、バラバラに飛び散っていく緑色のパーツを眺めながら、鶴畑大紀は薄く笑みを浮かべていた。
一瞬の決着に相手のマスターも唖然としているのか、表情を変える気配すらない。
「……ふん。大したことなかったな」
なにせ規定ギリギリの大口径・大出力ビームの直撃を零距離で食らったのだ。その圧倒的な破壊力に装甲など意味を持たない。相手のハウリンも粉々になっているのは間違いなかった。
相手の居た位置にダメ押しのビームを叩き付けて、澱む煙を押し流す。
「よくやったわ……ココ」
相手のマスターがようやく口にしたのは、そんな言葉だった。
「まあ、セカンドからすれば善戦した方だろうな。ガブリエルのバージョン2がここまで苦戦するとは思わなかったぞ」
本来、このバージョン2は決勝トーナメント用の装備として持ち込んだもの。試し斬り用に投入してみたのだが、結果的にはそれが幸いした。
前の試合で使っていたバージョン1だったら、もう少しだけ時間がかかっていただろう。
「……何言ってるの? あなたは」
「……なに?」
そこに至って、ようやく大紀は気が付いた。
「そうだ! どうして判定が来ない! ジャッジAIが壊れたか?」
相手は粉々。
こちらはフィールドジェネレータがやられただけの、ほぼ無傷。
何故、ミカエルに勝利がもたらされない!
「……判定なんてあるわけないじゃない」
彼の問いに答えたのは、相手側のマスターだった。
「ココはまだ、負けてないもの」
その言葉と共に、ガブリエルの左の兵装コンテナが真っ二つに断ち切られる。
爆発。
「何……だと!」
煙の向こうに現われたのは、ゆらりと流れる赤い色。
「ハウリング・ソウルでフィールド抜けられれば十分だと思ってたんだけどなー。まさか、ジェネレータまで壊せるなんて思わなかったわ」
「これくらいしないと、勝てないでしょう?」
言葉を継いだのは、黒い衣装に身を包んだハウリンタイプ。
「そ、そんなフザケた格好で……っ!」
紅く輝く刃を生んだ、その両腕に絡むのは……たなびく布の先端だ。
「ふざけてなんか無いわ。大真面目よ」
長い長い布はココの左腕を包み込み、背中を大きく回り込んで、右手の光刃に続いている。
「ね、ココ?」
大気を孕む暗黒世界に、赤い羽衣がゆらり舞う。
「もちろんです!」
返す刀で右のコンテナを一文字に切り裂き、ココの声は漆黒の宇宙を震わせる。
「魔女っ子神姫ドキドキハウリン! みんなの願いではいぱぁ……降臨!」
続く大きな爆発が、宇宙に赤い炎を生み出した。
与えられた慣性のまま、バラバラに飛び散っていく緑色のパーツを眺めながら、鶴畑大紀は薄く笑みを浮かべていた。
一瞬の決着に相手のマスターも唖然としているのか、表情を変える気配すらない。
「……ふん。大したことなかったな」
なにせ規定ギリギリの大口径・大出力ビームの直撃を零距離で食らったのだ。その圧倒的な破壊力に装甲など意味を持たない。相手のハウリンも粉々になっているのは間違いなかった。
相手の居た位置にダメ押しのビームを叩き付けて、澱む煙を押し流す。
「よくやったわ……ココ」
相手のマスターがようやく口にしたのは、そんな言葉だった。
「まあ、セカンドからすれば善戦した方だろうな。ガブリエルのバージョン2がここまで苦戦するとは思わなかったぞ」
本来、このバージョン2は決勝トーナメント用の装備として持ち込んだもの。試し斬り用に投入してみたのだが、結果的にはそれが幸いした。
前の試合で使っていたバージョン1だったら、もう少しだけ時間がかかっていただろう。
「……何言ってるの? あなたは」
「……なに?」
そこに至って、ようやく大紀は気が付いた。
「そうだ! どうして判定が来ない! ジャッジAIが壊れたか?」
相手は粉々。
こちらはフィールドジェネレータがやられただけの、ほぼ無傷。
何故、ミカエルに勝利がもたらされない!
「……判定なんてあるわけないじゃない」
彼の問いに答えたのは、相手側のマスターだった。
「ココはまだ、負けてないもの」
その言葉と共に、ガブリエルの左の兵装コンテナが真っ二つに断ち切られる。
爆発。
「何……だと!」
煙の向こうに現われたのは、ゆらりと流れる赤い色。
「ハウリング・ソウルでフィールド抜けられれば十分だと思ってたんだけどなー。まさか、ジェネレータまで壊せるなんて思わなかったわ」
「これくらいしないと、勝てないでしょう?」
言葉を継いだのは、黒い衣装に身を包んだハウリンタイプ。
「そ、そんなフザケた格好で……っ!」
紅く輝く刃を生んだ、その両腕に絡むのは……たなびく布の先端だ。
「ふざけてなんか無いわ。大真面目よ」
長い長い布はココの左腕を包み込み、背中を大きく回り込んで、右手の光刃に続いている。
「ね、ココ?」
大気を孕む暗黒世界に、赤い羽衣がゆらり舞う。
「もちろんです!」
返す刀で右のコンテナを一文字に切り裂き、ココの声は漆黒の宇宙を震わせる。
「魔女っ子神姫ドキドキハウリン! みんなの願いではいぱぁ……降臨!」
続く大きな爆発が、宇宙に赤い炎を生み出した。