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  • 真贋バトルロワイヤル
  • ■を為す女ー救いがないほど深く

真贋バトルロワイヤル

■を為す女ー救いがないほど深く

最終更新:2025年05月25日 22:41

匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 ◇◆◇◆◇

 鬼龍院羅暁が今起きている事態に関心があるかと言えば。はっきり言ってなかった。
 セレブロが言っていた「面白いこと」も蓋を開けてみれば凡人1人作り替えるだけのもの。
 羅暁だって人間を生命戦維と適合させたり、人間を生命戦維に取り込ませたりと似たようなことはやったことがある。
 この場でだって夜島学郎を精神仮縫いで思考を奪って手駒にしている。

 だがその行いは”地球を生命戦維で包み込む”という崇高な目的に通じるための『手段』にすぎず。
 人間に扱いきれない力を与え、その変質を楽しむという『目的』としてはまるで面白くない。
 理解が出来ないと言っていい。少なくともノノミやセレブロと羅暁の趣味はまるで合致しなかった。

 悠々と大通りを歩き事態の移り変わりゆくさまを遠目に眺めていても、食指が動くようなことはなかった。
 羅暁が本気で蹴とばせば縊り殺せるような小娘。下手にコストをかけて作り替えるくらいならカバーズの糧にでもしてしまったほうがよほど有意義だ。
 だから羅暁の興味は美嘉よりは自分と渡り合ったセレブロの側に向いていたし、歩いて進む理由も夜島学郎を回収するためであった。
 生きていればよし。死んでたのなら仕付け糸だけでも回収して。それでこの話はおしまい。

「と、思っていたのだがなぁ。」
 酷く青ざめた顔で逃げる狼とすれ違った羅暁は、奥から進むその怪物を見てわずかに呻った。
 漆黒の腕を長く伸ばしクモのように動く姿。
 それ以上に全身から放たれる尋常じゃ無く強く暗いエネルギーに、目の前の少女の脅威度を上方修正した。
 ほんの数十分前まではごくありふれた少女だったはずだが、こうも殺意と敵意の塊にまで変えられるものだろうか。

 ノノミとセレブロの計画は、いい意味でも悪い意味でも羅暁の期待以上であった。
 脅威と断じて天穿剣を構えているが、その顔は不快感を隠そうともせず目を吊り上げていた。

「キィリィトォォォォ!!!!!!」
「想像以上に不快だな。生命戦維により与えられた知恵を捨てて猿に戻る気か?
 あの武骨な鎧の方がよほどましだったぞ亀井美嘉!!」

 羅暁の世界は、生命戦維が猿に服を与え人に変えた。
 発展も知性も元をたどれば生命戦維の恩恵だ。
 殺意に呑まれ獣のように吼える少女は、その恩恵をかなぐり捨てている。
 無数の腕で服の代わりが務まるものか。殺意だけで人になれるものか。
 今の美嘉の姿は、羅暁にとって冒涜に近い。
 やはりあの怪獣少女とは趣味が合わない。改めて確信した羅暁は迫りくる美嘉を前に青薔薇の剣を突き立てた。

 「エンハンス・アーマメント!」
 青薔薇の剣を中心に道路が氷に覆われる。
 道路だけでなく周囲の電柱や壁も剣の武装完全支配術の効果範囲であり、それらにしがみ付いていた黒い手も巻き添えで凍り付いた。

 それでも、美嘉の動きは止まらない。
 べりべりと音を立て腕から氷を引きはがし、壁を掴んでいた腕二本を自分の前に掲げた。
 ギロリと美嘉の左目が動き、不遜な笑みを浮かべる羅暁を見下ろすと。ぽつりと一言呟く。

「見つけた」

 その瞬間、弾丸のような勢いで腕が伸び、羅暁を握りつぶそうと襲い掛かった。
 鋭く伸びた爪からは、友の仇を前にしたかのような激情がひしひしと伝わってきた。
 月蝕尽絶黒阿修羅の呪いは、美嘉に宿り続けている。
 継母に惨殺された少年霊があらゆる相手が継母に見え殺意を向け続けてしまうように。
 暴走している今の美嘉には、全ての人間がキリトに見える。
 鬼龍院羅暁の後光さす姿もまた、悪意に歪む腹立たしいツラをした黒の剣士に見える。
 藤乃代葉を殺し、東ゆうたちを危険にさらす最悪の男の姿に見える。

「猪口才なぁ!」
 右手に伸びた黒い腕を羅暁は天穿剣で弾きとばした。
 握られるのが危険ならば手首を狙えばいい。
 弾かれた腕は地面に倒れ、継続している青薔薇の剣の武装完全支配術により青い茨が咲いて縛り上げられる。

 だが、地面に青薔薇の剣を突き刺していた左手は反応が遅れた。
 左肘を黒い腕が握りしめ、ギリギリと音を立て砕かれていく。
 これにはさすがの羅暁も冷汗が垂れた。
 生命戦維を宿す羅暁の肉体を物理攻撃で破壊するには「超高度の物質による双方向からの斬撃」以外ありえない。
 だが運営の調整により耐久力や再生力が落ち、双方向どころではない「360度全方向からの削り取る破壊」を受けたことにより羅暁の左腕がブチリと嫌な音を立ててちぎれた。

「やはり再生も遅い。精神仮縫いのみならず生命戦維そのものの効果が制限されているとみて間違いなさそうだ。
 それでも私の腕を引きちぎるとは……万死に値する蛮行だがそのパワーは素直に認めよう。」
 羅暁の体を破壊できる相手である以上。もう目の前の少女を羅暁は雑魚とは思わなかった。
 セレブロとはまた違う意味合いで、鬼龍院羅暁は亀井美嘉を『敵』と見定めた。

「だが知能のない怪物ごときが、この私に勝てるものか。」
 左肘を中心に腕の3割ほどを握りつぶした黒い腕。
 次は足でも潰そうと美嘉はその手を広げようともがいたが、まるで動かない。
 美嘉が目を落とすと握りしめたままの黒い腕が赤い糸で縛り上げられている。
 腕を縛る強靭な糸と同じものが、羅暁の傷口からびっしりと伸びていた。

「貴様の破壊はあくまで『握りつぶした時』に作用する。
 純粋な腕力で生命戦維を破壊したわけではないな。最もそのようなことが出来る存在がいるとは思えんが。
 私の中にある生命繊維で縛り上げられてはこの腕もウドの大木だな。」
 赤い糸で固められた腕が氷に落ち、氷から生えた青い茨がその腕を凍結させる。
 今回はそれだけにとどまらない。
 青い茨が伸びた腕を伝って美嘉の体にまで迫りくる。冷気が美嘉本人の周囲にまで届き、吐きだす息が白く染まった。

 あくまで青薔薇が覆うのは亀井美嘉の肉体ではなくそこから伸びた黒阿修羅の腕だ。どれだけ凍らされてもダメージにはならない。
 そして、そんなことは羅暁も分かっている。
 青薔薇が美嘉の体を縛り上げその顔にまで茨が届くことを確認した羅暁は、茨にそうように天穿剣を構えた。

「どうもこの力は使えば使うほど私の体力だけでなく武器そのものの耐久力まで奪うようだ。
 貴様程度相手に、より上位の切り札など切ってられん。」
「な……に……。」
「エンハンス・アーマメント。」

 美嘉が茨を砕こうと暴れるよりも、羅暁が唱えるほうが早かった。
 剣の先端が光輝いたかと思えば、一条の光が線青い茨の中を突き抜ける。
 氷の反射率は高い物では9割に及ぶという。
 青い茨はまさしく即席の光ファイバー。
 光熱で溶け外に漏れる光がエネルギーを減衰させるが、そもそもが人体を貫通するほどの威力なのだ。
 文字通りの光速で、茨を伝う陽光は美嘉の顔にまで届く。
 唯一美嘉の対組織がむき出しになった。……左目に届く。

 とっさに目を閉じ、無数の黒い腕でガードしたが、天穿剣の光は太陽の恩寵。
 腕の隙間から入り込んだ光と熱だけで、美嘉の左目を焼くには十分だった。

「ああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「この距離で左目に当てる確証はなかったからな。小細工させてもらった。
 実に無様だな。再生もできないのに視覚に頼り、目を曝したのが貴様のミスだ。
 内包する力だけならこの羅暁に迫るものがあるが、肝心の器がその程度では皐月の部下にさえ劣る。」

 セレブロが楽しんでいただけの性能はあっても、中身がただの小娘では目を縫い合わせた剣士の方がよほど見どころがある。
 ダメージに耐えかねたのか、はたまた暴走していたエネルギーが収まってきたのか。
 暫くじたばたと悶えていた美嘉は動きを止め、それにともない黒い腕がしゅるしゅると美嘉の中に吸い込まれた。
 壁を掴んでいた黒い腕も、それらを拘束する青薔薇もなく。宙に浮いた亀井美嘉は力なく落下し始める。

「たす……けて……。」
 左目から血を流して、誰知らず美嘉は呟いた。
 か細く紡がれた、しかし心からの叫びは。誰の耳にも届かない。
 むしろ追い打ちをかけるように、鬼龍院羅暁は真下にまで近づくと天穿剣を掲げた。

「左腕はいくらでも用立てられるが……この羅暁の肉体を傷つけた報いはしっかり受けてもらうぞ。」
 落下する少女はどうやら気を失っているらしい。
 そんなことなどお構いなしに、再度天穿剣から光が打ち出される。
 アンダーワールドのような治癒術がないこの場所で。今の美嘉が喰らえばどこを撃たれても致命傷だろう。
 よしんば生き延びても、落下する体が天穿剣に貫かれておしまいだ。

 落下する体と上昇する光線。
 両者がぶつかり合うその瞬間に、割り込むように赤黒い穴が空間に生成された。

「何!?」
 羅暁のレーザーと美嘉の体があ赤黒い穴に吸い込まれ消える。
 闖入者の存在に気づいた羅暁が背後を見上げると。凍り付いた電柱の上に黄金色の体をした怪物――プテラノドンマルガムがいた。

「流石は鬼龍院羅暁。夜島学郎を容易く抑えるだけはありますね。
 今の美嘉さんでは勝てませんか。
 これ以上貴方と戦っては、せっかくの錬成体が潰されかねません。回収させてもらいますよ。」
 翼竜のような顔の怪物が少女の声で話すというのは、先に闘ったセレブロ同様妙な違和感があった。
 セレブロの時はノイズががった声だったから正気でないことが分かったが、溌溂とした声をしたプテラノドンマルガムでは違和感もひとしおだ。
 不快な奴らばかり目につくなと、この怪人の名前に気づいた羅暁が忌々し気に口を開いた。

「成程、貴様がノノミだな。
 あの怪獣少女同様、随分性格の悪そうな顔だ。」
「怪獣少女……ああ、セレブロさんのことですか。
 あいつ名乗らなかったんですか?まったくコミュニケーション能力のない寄生虫で困ります。」
「それで、何のつもりだ?
 貴様もセレブロともどもあの小娘を助けに来たとでもいうのか?」
 羅暁の物言いを前に、プテラノドンマルガムはケラケラと笑う。

「何がおかしい。」
「貴女の辞書に助けるなんて言葉があるなんて驚きです。
 質問の答えですが、勿論違います。
 恐らくあなたが夜島学郎を手駒にしたのと同じ理由と思っていただければ。」
「使い捨てるという訳か。」
「失敬な。活用すると言ってください。
 これでも錬金術師の端くれ。完成品には敬意をもって滓になるまで使い切りますよ。」
 さらりと最低な言葉を吐き捨てるプテラノドンマルガムの姿に、セレブロとはまた別種の嫌悪感があった。
 同族嫌悪のように見えて、決定的に相互理解が出来ないような感覚。
 怪物の顔をしているのに、その奥にいる少女の醜悪な笑みが透けて見えていた。

 睨み続ける羅暁を前にして、ノノミは背後にワープホールを生み出す。
 ちらりと羅暁を見下ろしたが、どうやら追いかけたりこの場でノノミを倒すつもりは無いらしい。
 左手が半分引きちぎられ、セレブロ戦・美嘉戦と武装完全支配術を連用し体力・神器の天命ともども大きく消耗している羅暁だったが、その威圧感はまるで損なわれていない。
 手負いだろうと勝てる気はしないし、逃がしてくれるのなら願ったりだ。

「それではさようなら。
 お互い二度と会わないことを祈りますよ。」
「そうだな。次会えばセレブロや美嘉ともども真っ先に殺してやる。」
「貴方が言うと大言壮語に聞こえないから怖いですねぇ。」
 それだけ言い残して、ノノミの姿は吸い込まれ消えた。

 1人残った羅暁は溶けつつある氷の上に落ちた左腕を拾い上げ、体内の生命繊維を動かし縫い合わせる。
 握り潰された部分が再生をしていると思ったが、落ちた腕の中の生命繊維はほとんど動きを見せなかった。
 そのうえ腕が明らかに縮んでいた。右腕と比べると肘を中心に腕全体の1割強がごっそりなくなっていることになる。

「潰すだけでなく、削り消失させる能力だったのか?
 どうやら思った以上にあの小娘は厄介なようだ。」
 羅暁はそういうと体内の生命戦維を動かし、千切れた腕と結びつける。
 短くなった部分は新たに生命戦維で覆う――両腕を失った針目縫に施したものと同じ処置だ。
 肘の部分だけ黒い不格好なものながら羅暁の腕は再生した――――が当の本人は目を吊り上げ苛立たし気な様子だ。

「見てくれだけは治ったが。治癒能力が著しく劣化しているな。
 羂索にクルーゼめ!!どこまで生命戦維を冒涜すれば気が済むのだ!!」
 手を握り。手を放す。
 円滑に見える動きも強度・速度ともに羅暁の満足いくものではない。
 時間が経てば治るだろうが、今現在の左腕の性能は本来の半分を下回るだろう。
 慢心が消えたわけではないが、纏流子以外にも敵になりうる存在がいるという教訓を羅暁は得た。

「まったくこのバトルロワイヤルには碌な参加者がいないな。
 この武器も性能はいいが消耗が激しい。やすやすと勝たせてはくれないということか。」
 氷を噴き出すことを止めた青薔薇の剣を抜き、羅暁はため息交じりに吐き捨てる。
 もはやこの会場にまともな人間など一人もいないのでないかなどと。らしくないことを考えていた。

【エリアE-12/市街地/9月2日午前8時】
【鬼龍院羅暁@キルラキル】
状態:疲労(大)ダメージ(中) 左腕切断(治療中)
服装:いつものドレス姿
装備:天穿剣@ソードアート・オンライン、青薔薇の剣@ソードアート・オンライン
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~1、ホットライン
思考
基本:勝ち抜き、異世界全てを全てを生命戦維で包み込む
01:学郎は消えたか。少々惜しいがまあ構わんな
02:流子がいるならもっと面白くなるかもなぁ?
03:ここにまともな参加者はいないのか?
04:あの怪獣娘(セレブロ)は不快だ。あまりにも思考が合わん。
05:美嘉とノノミを警戒
参戦時期:流子が娘だと知った後
備考
※生命戦維による耐久力等に多少は制限が掛けられています
※火属性に弱い可能性があります
※左腕が破壊されましたが見た目だけはほぼ直っています。精度は劣化しており本来の半分程度だと羅暁は考えています。
 時間経過でどの程度改善されるかなどは後述の書き手様にお任せします。

◇◆◇◆◇

「何だお前?」
 エリアを超えたE-13にある町はずれ。わずかな潮風と雪原から入り込む肌寒い風の中。
 突然目の前に現れたガットゥーゾを前に鬼方カヨコは――セレブロは首をかしげた。
 赤黒いワープホール――ノノミのものだ――を潜り抜けたガットゥーゾを苛立ち交じりに蹴り飛ばそうとすると、慌てたガットゥーゾが叫びその姿を変えていく。
 ガットゥーゾの姿からキリトの姿に戻ったPoHは、両手を振り敵意がないことを必死に示した。

「待て待て待て変身してたんだよ!!
 俺はキリト、アンタは――」
「俺のことなどいい。それより貴様のことを話せ。
 ノノミとはどういう関係だ。貴様もグリオンとやらの配下か?」
「ノノミ?グリオン?
 何のことだか知らねえが聞きてえんだろ、話してやるからちょっと待て。」
 今のPoHはマクアフィテルを失っている。
 美嘉によって失われた手は変身の指輪の力で形だけ復元させたが、他の支給品もそのままだと武器にならない事実上の丸腰だ。
 命には代えられないと会場に来てからのことを断片的にPoHは明かすことにした。

「……成程。覇王十代か。
 貴様がどういう意図であの場にいたのか気になっていたからな、合点がいった。」
 PoHの話を聞き終えたセレブロは、初めて聞く名前に興味を抱く。
 PoHの戦闘について一部始終を見ていたセレブロは今更気になるところはない。
 何せ彼は亀井美嘉が変貌した瞬間までは、遠くからケタケタ笑って鑑賞していたのである。
 セレブロが気になったのは、PoHに指示を与えた覇王十代という人物のこと。
 鬼龍院羅暁やグリオン同様、あるいはそれ以上に軍勢を用いてゲームの攻略を目指す勢力らしい。
 単独でも怪物じみて強い鬼龍院羅暁やノノミがいるグリオンの陣営に組してしまっては過剰戦力でつまらないだろうと考えていたセレブロにとって、その存在は渡りに船だ。

「キリトだったか。
 その覇王とやらに興味がある。
 聞けばお前はその小娘どものせいでせっかく集めた戦力を失ったそうだな。」
「ああ、あんな化け物になるなんざ聞いてねえよ。
 まったく、割に合わねえ仕事だ。」
「そこでだ、俺を貴様の陣営に引き入れるのはどうだ。
 3匹のNPCモンスター対価に参加者一人。130人以上いるらしいこの場では不足かもしれないが、手ぶらで帰るよりはいいだろう。」

 セレブロの提案に「マジで!いいのか!?」とPoHは目を輝かせる。
 どうにか生きて帰ってきたはいいものの、成果がない体たらくを覇王にどう報告したものか内心悩んでいたのだ。

「しかしアンタ。戦えんのか?
 殺し合いに消極的……ってツラには見えねえが。」
「頭上の輪が見えるか?俺や梔子ユメのようなキヴォトス人が持つヘイローというものだ。
 羂索が言っていた通り『神秘』を有するキヴォトス人の肉体は頑健だ。
 そこに支給品の性能が加われば、今のお前よりはやれるだろう。」
「そーいえば羂索がそんなこと言ってた気がするな。
 丸腰だからそのムカつく態度は見逃してやる。次はねえからな。」
 言葉は荒いが叛意があるようにはセレブロからは見えない。
 亀井美嘉のように敵対的でないと気づいたからか、PoHはセレブロを引き込むことにすっかり乗り気であった。
 地図アプリをのぞき込み、二人は顔を突き合わせる。

「覇王サマがどこにいるか俺は知らねえ。
 あっちあっちで参加者を引き込みに行っているからな。
 ただ俺がいるよりも西側だったことだけは確かだ。」
「ならそちらに向かうか。
 生憎俺たちのいる場所は会場の東端だ。俺は今から北の雪原地帯に向かうつもりだったからな。」
「あー。通りで寒いわけだ。
 しかしわざわざ雪まで降らすとは凝ってるねえ。ラグとか気にならねえのか?」
「別に電脳の遊戯をやっているわけではないだろう。この会場に処理落ちがあるように見えるのか?」
「なんだアンタ。案外話せるな!」
 鬼方カヨコの記憶のこともあり、セレブロは覇王よりはこの手の話題に詳しかった。
 いけ好かない小娘だと思ったが都合よく利用でき、思いのほか話せる相手にPoHの機嫌が目に見えて上がる。

 藤乃代葉を殺せたが、それ以外の点では素寒貧もいいところだ。
 下り調子に思えた自分だったが、やはり自分の勘は死んでいない。最後の最後でいい拾い物が出来た。
 などと考えていたPoHは、気が緩んでいたのだろう。
 死の恐怖から逃れた直後に予想外の成果が転がり込んできたのだ。無理もない。
 だがその緩みが――迫る風切り音に気づく時間を遅らせた。



 「ミィィィィツゥゥゥゥゥケェェェェタァァァァ!!!!!!」


 都市部から一直線に向かってくる黒い何か。
 PoHが気づくよりも早く距離をとったセレブロが観察すると。霊衣を纏った青年が箒に乗って空を飛んでいた。
 その箒は、パレッティア王国王女が魔学により生み出した。空を飛ぶというロマンを形にした試作の箒。
 学郎の令力を纏い迫るその姿は、音の壁を超える黒い矢さながらだ。

「アアアアアアアア!!!」
「夜島学郎。」
「なっ!テメエは!!」
 セレブロより数秒遅れてPoHは飛翔する学郎に気づき、目を凝らす。
 その右手には黒曜の剣。
 PoHが戦場で藤乃代葉ごと無くしたマクアフィテルが、強く握られていた。

「オマエダケハ……オマエダケハ!!!」
 突進する箒の速度がさらに上がる。
 スポーツカーと見まごう速さを搭乗する学郎はコントロールできない……していない。
 既にバーサーカーのカードの効果は切れ、今の学郎は精神仮縫いの影響を受けている。
 細かな思考などできるはずもなく。
 その脳内は亀井美嘉同様、代葉の仇であるキリトを殺すことでいっぱいになっていた。

「オマエダケハァァァァ!!!!!」
 箒が気を利かせたのか、勢いをつけた学郎が飛び降りた先はPoHのいる場所ドンピシャであった。
 乗り手を失った箒が地面スレスレに落下し土埃を上げるより早く。
 マクアフィテルの刃がPoHに突き刺さる。

「このサr」
 何か言おうとしたPoHの声はぐちゃというおどろおどろしい音にかき消された。

 箒の加速を受けた学郎の一閃は、もはや斬撃の体を成していない。
 右肩からばっさりと振り下ろされた傷は、骨や臓器を切るというよりも粉みじんに擦り砕いていた。

 残ったセレブロはゼットライザーを構えペダニウムゼットンへと姿を変える。
 夜島学郎は弱者ではない。
 この場を切り抜けるためには変身する必要が合ったゆえだが……その考えは杞憂に終わる。
 学郎はペダニウムゼットンには目もくれず、何度も何度もPoHの死体を切り刻んでいた。

「オマエダケハ……オマエダケハ……オマエダケハ!!!」
 首に刃を当てる。嫌な音を立てて捻じ切れる。
 心臓部を何度も抉る。ただただ噴き出す血の量が増えただけだ。
 右足を何度も何度も刃を振るい斬り飛ばす。
 藤乃代葉を傷つけたお返しだと言わんばかりに、骨が叩き切れるまでその行動は繰り返された。

「なんだ、一度は藤乃代葉の手で羅暁の支配から逃れたんじゃないのか?」
 藤乃代葉によってバーサーカーのクラスカードを与えられた学郎は、確かに一瞬正気に戻ったように見えた。
 その後のことをセレブロは知らなかったし。亀井美嘉が暴れ始めてからは巻き添えにならないよう早々にテレポートで町はずれにまで逃げていたのだ。
 だから今の夜島学郎の状態を、セレブロは何も知らない。

 目の前の残酷な出来事に疑念を抱きつつ。ペダニウムゼットンはテレポートでその姿を消した。
 夜島学郎は未だ暴走状態。その仔細を調べることもせず寄生生物はそう結論付けた。

 しばらく死体を叩き潰していた学郎だったが、マクアフィテルを振るう腕がぴたりととまった。
 首が捻じ切れ、四肢が潰され、体中に剣で穴が開いていた。
 その無残な姿を前に――涙を流してうずくまった。

「オレハ……俺ハ……」
 動揺し涙で震える声は、さっきまでよりわずかに明瞭に聞こえた。
 夜島学郎の後悔は、人を殺したことだろうか。死体をぐちゃぐちゃに叩き潰したことだろうか。
 否。そのことを悔いれるほど今の学郎は正常ではない。
 いずれ酷く公開する時が来るだろうが、今ではない。

 夜島学郎の精神仮縫いは継続中だ。
 基本的に思考はできない。鬼龍院羅暁の仕付けはそう甘いものではない。
 本来の学郎なら絶対にしないだろう、死体に鞭打つような行いもその影響によるものだ。

 だが藤乃代葉が使用したバーサーカーのカードによる狂化。
 使用者の正気を奪うそのエネルギーが脳を縛る生命戦維にも浅くないダメージを与えていた。
 あと1つ。大きな刺激があれば学郎は正気を戻せるかもしれない。
 希望的な憶測だが――その可能性が見えるほどにまで精神仮縫いの支配は緩んできていた。

「フじ……ノ……さん」
 正気に戻りつつあるからこそ、学郎の心には傷が残る。
 学郎の後悔は。藤乃代葉を死なせたこと。
 守りたかった。ともに背負いたかった。
 仲間として戦う未来も、あったかもしれない。

 その未来は、もう来ない。
 藤乃代葉は死んだ。
 どれだけ犯人を叩きのめしても。藤乃代葉の死に顔が脳に焼き付いて離れない。

 敵を取った姿にはまるで見えない。白目をむき涙を流したまま、とぼとぼと陰陽師は歩く。
 箒に乗ってどこかに飛ぶ気には、今はとてもなれなかった。

 後に残されたのは、男の死体。
 魔力の塊で稼働する変身の指輪の効果は、PoHが死んでも有効なままだ。
 キリトの惨殺死体が、E-13エリアには残されている。
 キリトの姿をしたキリトではない男は。
 誰にもその姿を知られることなく、愛しきブラッキーとしてゲームオーバーを迎えた。

【Poh@SAOシリーズ 死亡】

【エリアE-13/市外/9月2日午前8時】
【夜島学郎@鵺の陰陽師】
状態:『精神仮縫い』(弱体) 疲労(大)ダメージ(中)
服装:いつもの服装
装備:
令呪:残り三画
道具:クラスカード(バーサーカー)@Fate/kaleid liner
 マクアフィテル@SAOシリーズ
 魔女箒@転生王女と天才令嬢の魔法革命 ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:ーーーーー
01:羅暁様に従う?
02:藤乃さん……
参戦時期:43話より後
備考
 ※精神仮縫いが緩んできています。
 ※藤乃代葉の支給品を回収しています。

 【セレブロ@ウルトラマンZ】
状態:興奮(大) 疲労(中)ダメージ(中)
服装:鬼方カヨコと同一
装備:鬼方カヨコ@ブルーアーカイブ 
   ウルトラゼットライザー@ウルトラマンZ ベリアルメダル・ゼットンメダル・キングジョーメダル@ウルトラマンZ
   オール・フォー・ワン(個性)@僕のヒーローアカデミア
令呪:残り三画
道具:ランダムアイテム×0~2、ホットライン
思考
基本:このゲームを楽しむ
01:キヴォトスの神秘、頑強で面白い
02:羂索たちのゲームは実にいい 俺がもっと盛り上げてやる
03:ノノミの計画はなかなか楽しかった。いい気分だ。今度俺もやってみようか。
04:キリト(偽)の言う覇王か、なかなか気になる名だ
参戦時期:ウルトラマントリガー・エピソードZ終了後 
備考

 【鬼方カヨコ@ブルーアーカイブ】
状態:セレブロにより意識不明・洗脳状態 ダメージ(中) 
服装:普段の服装
装備:ウルトラゼットライザー@ウルトラマンZ ベリアルメダル・ゼットンメダル・キングジョーメダル@ウルトラマンZ
令呪:残り三画
道具:ホットライン
思考
基本:キヴォトスの生徒が参加していないか探す。現在はセレブロにより自意識が封じられている
01:キエテ カレカレータ…
参戦時期:対策委員会編2章終了後
備考  各イベント・便利屋日誌における出来事をどこまで経験しているかは、後述の書き手様にお任せします


 ◆◇◆◇◆




 ――気が付くと。小学校の教室にいました
 ――ほぼすべての席に人がいて、教壇には先生も立っています
 ――その全員が、嘲笑するような顔で私を見ていました

「なんで……なんで……」

 ――私を見る笑いが、どんどん強く煩わしくなっていきます

 ――ぐにゃぁと世界が一瞬歪んだかと思うと、クラスメイトの顔が全部キリトのものにかわりました

 ――先生の顔もキリトでした
 ――モンスターを使って私達を襲い、代葉さんを殺した とてもこわいひとです
 ――ぜったいにぜったいに、ゆるせないひとです。
 ――そいつが張り付いたような笑顔で、私を見て嗤っていました

 ――前から笑い声が聞こえます
 ――右からも左からも聞こえます

 ――後ろからは聞こえませんでした
 ――小学校で私のことを見てくれた人なんて、1人しか知りません

「たすけてゆうちゃん!」

 ――振り返ると、そこにはゆうちゃんがいました
             ・・
 ――そこに、ゆうちゃんがありました



「アハハハハハハハハハハハ!!!!!!」




 ――笑顔のキリトが黒い剣で、ゆうちゃんを刺していました

 ――ゆうちゃんの死体が、ありました

◇◆◇◆◇

 ぺちぺちと頬をはたかれ、亀井美嘉は「んん……。」と呻り目を開いた。
 なんだか嫌な夢を見ていたような気分で、全身がじっとりと汗で濡れていた。

「お目覚めですか美嘉さん。」
「ノノミさん……私はいったい……。」
「随分うなされていましたね。まあ色々ありましたし。悪い夢でも見たのでしょう。
 どこまで覚えていますか?必要ならばお伝えしますが。」

 周囲を見渡そうとしても、右目しか開けない。
 左目が茹で上がったように熱く、開こうとすると痛みが走る。
 さっきの戦いで負った傷なのだなと、何故だか冷静に認識できた。

 ゲームエリアにある一軒家の1つ。
 ただベッドと本棚だけがある質素な部屋の中、亀井美嘉はゆっくり起き上がった。

「いいえ……憶えてる。
 代葉さんの足がキリトに斬られて……その時なんだか、自分でもどうしようもないくらいキリトのことが許せなくなって……。
 それで……それから……キリトが代葉さんを……。」
 語りながら。思い出しながら。
 美嘉の胸からどすぐろい何かが沸き上がる。
 手元を見ると漆黒の細い腕が、しゅるしゅると小さい蛇のようにいくつも飛び出していた。

「これって『あの子』の?
 そういえば……あの時。」
 記憶がどんどん鮮明になっていく。
 藤乃代葉が死ぬと同時に体の中にあの子――月蝕尽絶黒阿修羅が流れ込んできた。
 自分の体から無数に伸びた黒い腕。まるで怪物のように変貌した自分の体。
 これまで感じたことのないどす黒く冷たい情動が、美嘉の体を動かしていた。
 黒阿修羅の悪霊となっても消えずに残り続け、生者死者問わず数多の存在を食らいつくした怪異の力。
 その力が美嘉の中に宿っていることに、なぜだか拒否感や不快感はまるでなかった。

 ただその後の行動は、思い出すほどに自分がしたことだとは思えなかった。
 気が付くとキリトの手首を砕いていた。
 気が付くとキリトを追いかけていた。
 気が付くと彼女は戦い敗れていた。

「おえぇ……!!」
 素手で相手の肉を抉るぐしゃぐしゃとした不快な感触を思い出し。美嘉は思わずえづいた。
 既に羅暁に蹴り飛ばされた時に粗方吐いたからか、ベッドの上に胃酸だけが飛び散った。

 流石にもう寝ることは出来ないと二人は寝室を離れてリビングに移る。
 建物の水道で口をゆすいだ美嘉は、ショールームのような最低限の机と椅子しかないリビングでノノミと向かい合うように腰かけた。

「ノノミさん。あの後どうなったの?
 ・・・
 キリトと戦って、左目がギラギラした光で焼かれて。それからのことをが覚えてないの。」
「キリトと?貴方が戦ったのは鬼龍院羅暁では?
 体格も性別もキリトとは似ても似つかないはずですが……。」
「そうなの?
 なんでなのかな……私にはキリトにしか見えなかったんだけど……。」 

 ノノミと美嘉が揃って首をかしげた。
 ノノミは少し考え、ステータスを見ればわかるかもしれないと手元に会ったステータスタグを差し出した。
 表示された美嘉のステータスをノノミと美嘉は顔を寄せてのぞき込む。
 アイドルのプロフィールようなレイアウトをした美嘉のステータスには、星座や誕生日も記載がある。ご丁寧に体重は黒塗りされていた。

「ああ、これですね。」
 ステータスの下側。アイドルのプロフィールにはないだろうスキルの欄。
 そこにはこう書かれていた。

所有スキル
  • 念能力:星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)
  • 特異体質:幻妖の契約する能力
 ――契約対象:月蝕尽絶黒阿修羅
 ※黒阿修羅の殺意に呑まれると、周囲の存在全てが殺意の対象に見えるようになります。


 さらりと書いてあるが、要は本気を出すと敵味方の区別もつかないということだ。
 あまりにリスクの大きい話だが、むしろこの一文を見た2人の中には腑に落ちるものがあった。

「そっか、だから香水を振りかけていたんだ。
 香水の香りで敵味方が分かるって言ってた気がする。」
「成程、視覚では判断できないので嗅覚でということですね。
 この悪霊をぬいぐるみに封じた本来の所有者は随分頭が回るようです。
 本来は別の方でしょうが、美嘉さんにとっての殺意の対象はキリト。ということなのでしょう。」
 ノノミの言葉に、美嘉は静かに頷き肯定の意を示す。
 その反応にノノミの口元が緩んだことに、美嘉は気づかなかった。
 本来の彼女では考えられない行為だ。
 誰かに殺意を抱くことさえなかったはずの少女は、己の中にある殺意をあっさり受け入れた。

「ちょうどいいですね。このままグリオン様の元に向かいましょう。」
 直接的な行為に抵抗こそあれど、今の美嘉は悪霊をその身に宿しただけに飽き足らず、ノノミの錬金術によって悪意に染まりつつある。
 少なくとも『キリトを殺す』ことに関しての抵抗感はもはやないように見えた。
 ノノミにとっては理想的な展開にほくそ笑みつつ、プテラノドンマルガムに姿を変えワープホールを作り出した。

「グリオン様?」
「私の主です。これも何かの縁ですし、このまま手を組みませんか?
 それにあの方なら……貴女の願いを叶えてくれます。」
 願いを叶えてくれる。
 まるで神様の話をするように恍惚とした顔を浮かべるノノミを前に、その言葉を聞いた美嘉はびくりと身を震わせせる。

 今の自分の願いは何だろうか。

「ねえ、ノノミさん。
 そのグリオン様に着いていけば、ゆうちゃん達を助けられる?」
「あなた一人で動くよりは可能性はあるでしょうね。」
 願いの1つを尋ねると、悩むそぶりもなくノノミは答える。
 亀井美嘉は、ノノミのことを信頼していた。
 そんな人がここまで言うのなら、ついていってもいいのだろう。

「ねえ、ノノミさん。」
 もっと大事なことを尋ねるために、美嘉は一呼吸置いた。



「その人についていけば、キリトを殺せる?」
「殺せます。」



 先ほどよりも早く、確信をもってノノミは答えた。
 キリトはグリオンの手駒であるホシノを倒した集団の一員だ。既に敵対しているようなもの。
 キリトを殺すという願いをグリオンが聞けば二つ返事で許容するだろう。
 最も――美嘉が恨んでいる相手はキリトに化けた偽物だったうえに、既に死亡しているわけだが。
 そんなことはつゆ知らず、何かの決意を固めるように、ギュッと美嘉は拳を握りしめた。

「これからもお願いします。ノノミさん。」
「ええ、良き出会いに感謝しますよ。美嘉さん。」
 ノノミが手を差し出すと、美嘉もまたしっかりとその手を握り返す。
 決意を秘めた目でノノミを見つめる亀井美嘉。
 その姿は、あまりにも――滑稽だった。

(最後にキリトを逃がしておいて正解でしたね。)
 ノノミは笑いをこらえながら、自分の所業の達成感に酔いしれていた。
 PoHが藤乃代葉を殺すために通ったワープホールも。PoHが逃走する時にくぐったワープホールも。もちろんノノミが生み出したものだ。
 代葉を殺したのはPoHであるがその手引きをしたのはノノミである。
 その事実に亀井美嘉は気づかない。

 そしてPoHを逃がした理由。
 その理由は美嘉の中に芽生えた暗黒の感情――キリトに対する殺意を絶やさぬため。
 敵意や殺意というのは実に強い感情だ。
 グリオンと敵対した暁の錬金術師だって、その感情ゆえに20年ものあいだ戦い続けられたのだ。
 実際はノノミの目論見は外れ、偽キリトことPoHは夜島学郎に殺されてしまったが。
 美嘉がそのことを知らなければいいのだ。

 亀井美嘉は殺意を秘め、黒阿修羅の呪いを受け入れ。こうして晴れてノノミの味方となった。
 亀井美嘉は悪魔の手を取った。
 その結果彼女がどのような末路を辿るのかは、今は誰にも分からない。

「ところでノノミさん。グリオンさんのところに行く前にちょっと待ってもらっていい?」
「いいですけれど。どうしました?」

 美嘉はリュックから何かを取り出すと、閉じ続けている左目を覆った。
 それは何の装飾もない、シンプルな黒い眼帯だった。
 支給された時はどうすればいいんだと悩んだものだが。実際目に傷を負ってみると。あの時の自分は傷を負う可能性さえ考えられないほど甘かったのだなと痛感する。

 美嘉のダメージは眼球だけで、幸運にも周囲に火傷や傷はほとんど残っていない。
 天穿剣のレーザーが細かったことが理由だろう。
 それもあって、眼帯をつける美嘉の姿は痛々しいながらなかなか様になっていた。

「あまり褒めてるように聞こえないでしょうが……お似合いですよ。」
「誉め言葉として受け取りますよ。ありがとう。」

 ノノミの言葉に複雑な顔ではにかみつつ、美嘉はワープホールを潜った。
 その先にある冥黒の深淵に会うために。
 殺意を抱いた黒い剣士を確実に殺すために。

 その眼帯がグリオンに全てを奪われた、暁の錬金術師のものであることなど。
 今の美嘉には、知る由もなかった。

【エリアF-12/市街地/9月2日午前8時】
 【亀井美嘉@トラペジウム】
状態:疲労(大) キリトに対する殺意(極大)左目損傷(眼帯装着)
服装:学生服
装備:ライオンのぬいぐるみとスケッチブック/月蝕尽絶黒阿修羅(契約状態)@ダークギャザリング
 星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)@HUNTER×HUNTER
 幻妖と契約して力を得る能力@鵺の陰陽師
 未来の宝太郎の眼帯@仮面ライダーガッチャ―ド
令呪:残り二画
道具:香水@ダークギャザリング 、ホットライン
思考
基本:生きて帰る。黒の剣士を殺す。
01:あの黒い剣士は許さない。必ず殺す。
02:夜島学郎は、どうなってたんだろう。
03:ゆうちゃん・・・・
04:ノノミと協力する。グリオンにつきキリトを殺す。
参戦時期:東西南北解散後東ゆうと再会する前
備考
 ※究極メカ丸 絶対形態は破壊されました
 ※月蝕尽絶黒阿修羅の呪いを体内に宿しています。普段は通常通りの思考・会話が可能ですが、キリトの姿を見たり激昂すると暴走し、気を抜くと他者が全てがキリトに見える状態です。
 ※左眼を開くことが出来ません。失明したのか時間経過で回復すのかなど具体的な状態については後述の書き手様にお任せします。


【支給品一覧】

 クラスカード(バーサーカー)@Fate/kaleid liner
 ・藤乃代葉に支給。
 ある世界の聖杯戦争にてピトスの泥を用いて作られる魔術礼装。
 正式名称はサーヴァントカードといい、カードを英霊の宝具に変身させる限定展開(インクルード)と自身に英霊の力を降ろす夢幻召喚(インストール)の二種類の使い方がある。
 英霊たちの座に繋がっており、使用者によって引き出される英霊の力は異なる。
 夜島学郎の場合ギリシアの大英雄ヘラクレスの力を引き出せる
 なおバーサーカーのカードのみの制約として、完全に意識が失われる前にカードが自動で排出される。時間にして10分ほど
 現在は夜島学郎が保有

 星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)@HUNTER×HUNTER
 ・鬼方カヨコに支給
 自身に忠誠を誓う者が死んだときにその念能力を引き継げる。カキン帝国の第一王子の念能力。
 本ロワにおいては念能力のみならず『仲間』と判断した人間の死を引き換えに、固有の能力・ソードスキル含め何かの力を引き継ぐことが出来る。
 非常に条件が緩くなっているが、死者と能力者が互いに『仲間』と認識する必要がある。
 そのためカヨコに寄生したセレブロには無用の長物(仲間意識がないため。)
 制約として
 ・一度得た能力は一度しか使えない。永続化する場合は令呪の消費が必要
 となっている。
 現在は亀井美嘉に譲渡済み

 幻妖と契約して力を得る能力@鵺の陰陽師
 ・支給品ではないが便宜上ここに記載する。亀井美嘉が星を継ぐもの(ベンジャミンバトン)@HUNTER×HUNTERにて習得
 藤乃代葉が有する希少な能力。原作では代葉は狂骨という幻妖と契約しており、戦闘にその能力や性質を活用できる。
 本ロワにおいては契約対象は霊的存在であれば幻妖に限らないようで、亀井美嘉は月蝕尽絶黒阿修羅と契約しその力を行使できるようになった。
 黒阿修羅が美嘉に協力的であるにもかかわらず、気を抜くと黒阿修羅が有する無差別の殺意に取り込まれそうになっている。

 オール・フォー・ワン(個性)@僕のヒーローアカデミア
 ・セレブロに支給
 他者の『個性』を奪い与える最強最悪の個性
 対象に直接触れることが発動条件
 本ロワにおいては『個性』以外の能力も奪い与えることが出来る。
 なお制限としては以下の通り
 ・触れてから奪うまでに十秒前後の時間が必要
 ・セレブロ本人がストックできる能力は1つだけ。使用者(セレブロの場合は寄生対象)によって容量は変化するが鬼方カヨコの場合は3つまでストック可能
 ・『個性』及び支給されたソードスキル以外を奪う場合は令呪が必要
 ・令呪を使うことで個性を奪うことに抵抗が可能 一度令呪で抵抗した相手の個性は一定時間奪えない
 ・与える場合は上記の条件を無視し瞬時に与えることが可能。
  ただし明確にデメリットのみの能力の場合はその限りではなく、対象の合意がない限り上記の時間・令呪の制限が適用される

 魔女箒@転生王女と天才令嬢の魔法革命
 ・夜島学郎に支給
 パレッティア王国王女が作り上げた、風の精霊石を推進源とした“空飛ぶほうき”
 制作者の完全な趣味の為に作られた為乗り心地などは一切配慮されていない。
 試作段階の為ごくたまに出力が不安定になり制御不能の暴走を起こしてしまう事がある。

 未来の宝太郎の眼帯@仮面ライダーガッチャード
 ・亀井美嘉に支給
 未来の宝太郎がグリオンとの戦いで付けた傷を隠すために着けている眼帯
 本来は右目に追う傷を隠すものだが。損傷箇所のつごう美嘉は左目につけている


【ドロップ品一覧】
 ステータスタグ@戦隊レッド異世界で冒険者になる
 ・ドロップ品として冥黒ノノミが所有
 ドッグタグのような形をしていて、最初に手にした参加者のステータス(戦闘能力・所有能力(ソードスキルを含む))が確認できる
 冥黒ノノミは現在3枚所有している(うち2枚は鬼方カヨコ&セレブロ・亀井美嘉のステータスがそれぞれ記載)
 余談だが、参加者によってステータスの表記画面が異なっており。
 亀井美嘉のものはアイドルのプロフィール的、鬼方カヨコのものはゲームのステータス画面、セレブロのものは児童誌のようなデザインとなっている。

035:■を為す女ー病ンデル彼女が■■ました 投下順 036:白のキングはまだ見えない
時系列順 037:YOU GOTTA RUN
藤乃代葉 GAME OVER
亀井美嘉 060:幕間:やがて冥黒という名の雨
PoH GAME OVER…
夜島学郎 060:幕間:やがて冥黒という名の雨
鬼龍院羅暁 079:すべて最低だと笑えたら
鬼方カヨコ 056:more<STRONGLY/2023:我が為のアルケミスト
セレブロ
冥黒ノノミ 060:幕間:やがて冥黒という名の雨

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