◆
何回バウンドを繰り返し、地面を転がった回数は幾つか。
数えた所で一切の役に立たないばかりか、ストレス上昇へ一役買うだけとあらば。
カウントする理由は自然と消え失せ、そもそも些事へ呑気に気を割く場合じゃない。
派手な黄金の装甲がアスファルトに擦れ、耳障りな音楽を奏でる過程を経て。
ドライバーが衝撃で外れた時、ようやく仰向けに倒れストップ。
これ程に自分を追い詰めた者達への怒りは、当然の如く健在であるも。
今だけ優先順位の遥か下へ置かねばならないくらいに、蛮野の焦燥は加速の一途を辿る。
数えた所で一切の役に立たないばかりか、ストレス上昇へ一役買うだけとあらば。
カウントする理由は自然と消え失せ、そもそも些事へ呑気に気を割く場合じゃない。
派手な黄金の装甲がアスファルトに擦れ、耳障りな音楽を奏でる過程を経て。
ドライバーが衝撃で外れた時、ようやく仰向けに倒れストップ。
これ程に自分を追い詰めた者達への怒りは、当然の如く健在であるも。
今だけ優先順位の遥か下へ置かねばならないくらいに、蛮野の焦燥は加速の一途を辿る。
(い、いかん!早く綾小路の体に戻らなければ……!)
実子の手で砕き割られる最期が、用心深さを生み出した為か。
ゼインドライバーを改造する際に、本体の強度も上げたのが活きたらしい。
所々に破損は見られるも完全破壊は免れ、意識データは未だ無事。
しかしドライバーのまま転がってるだけでは、嘗ての終焉の焼き直しは時間の問題。
龍園達が追い付くまでの僅かな猶予で、急ぎ再変身しなければ。
今度こそ、自分の存在は消されるに違いない。
ゼインドライバーを改造する際に、本体の強度も上げたのが活きたらしい。
所々に破損は見られるも完全破壊は免れ、意識データは未だ無事。
しかしドライバーのまま転がってるだけでは、嘗ての終焉の焼き直しは時間の問題。
龍園達が追い付くまでの僅かな猶予で、急ぎ再変身しなければ。
今度こそ、自分の存在は消されるに違いない。
迷いが入り込む余地は見当たらず、己が器を浮遊させ綾小路の元へ急行。
腹部へ装着するや、ベルトが自動で巻き付く。
再び体の支配権を得て、プログライズキーのスタータースイッチを押し込む。
運良くスロット部分に破損はなく、スムーズに装填が済んだ。
肉体を黄金の装甲が覆い尽くす工程が、今だけはじれったい。
腹部へ装着するや、ベルトが自動で巻き付く。
再び体の支配権を得て、プログライズキーのスタータースイッチを押し込む。
運良くスロット部分に破損はなく、スムーズに装填が済んだ。
肉体を黄金の装甲が覆い尽くす工程が、今だけはじれったい。
「まだ俺は……終わりじゃ、ない……」
故に、気付けなかったのだ。
変身が完了する寸前、飛来したメダルが綾小路の肉体に侵入したことに。
変身が完了する寸前、飛来したメダルが綾小路の肉体に侵入したことに。
『しつこさだけは一級品か……!忌々しい……!』
ゴルドゼインに変身し終えた直後、高度な各種センサーが複数人の接近を察知。
ここまで殴り飛ばした龍園達だけでなく、再現体のライダーを相手取った連中もだ。
カードの消費に加えドライバーへのダメージ、何より綾小路の肉体に蓄積された消耗。
上記を加味すれば、複数人相手に戦闘続行はリスクが低くない。
メラやルルーシュの排除を待たず、大損害となる可能性とてゼロに非ず。
ここまで殴り飛ばした龍園達だけでなく、再現体のライダーを相手取った連中もだ。
カードの消費に加えドライバーへのダメージ、何より綾小路の肉体に蓄積された消耗。
上記を加味すれば、複数人相手に戦闘続行はリスクが低くない。
メラやルルーシュの排除を待たず、大損害となる可能性とてゼロに非ず。
『私は死なんぞ!貴様ら低能の実験動物に、誰が殺されてやるか!!』
敵の姿が目視可能な位置にまで迫り、長々と思考を重ねてもいられない。
意図せず掴んだ二度目の機会、自分より遥かに劣る頭の一団なんぞに殺られるなどお断り。
感情的な己を誤魔化さず、とにかく何とかせねばとゼインカードを引き抜く。
意図せず掴んだ二度目の機会、自分より遥かに劣る頭の一団なんぞに殺られるなどお断り。
感情的な己を誤魔化さず、とにかく何とかせねばとゼインカードを引き抜く。
<BLACK!>
<執行!ジャッジメント・オブ・ゴッド!!!>
時期創世王候補として、影の王子と死闘を繰り広げた戦士の力を解放。
令呪の効果が切れる、ほんの数秒前にカードは読み砕かれた。
令呪の効果が切れる、ほんの数秒前にカードは読み砕かれた。
「チッ!また余計な真似しやがったのかよ!」
追い付いた龍園がディフェンダーガンを向けるのに続き、それぞれ得物を構えた。
反対方向では姫和も日輪刀片手に駆け、技を繰り出す体勢に移る。
集まった参加者全員、プレイヤーの資格を持たぬ悪魔/怪物へ敵意をぶつけ、
反対方向では姫和も日輪刀片手に駆け、技を繰り出す体勢に移る。
集まった参加者全員、プレイヤーの資格を持たぬ悪魔/怪物へ敵意をぶつけ、
――その時、不思議なことが起こった。
「――っ!」
最速の型であり、距離を一気に詰めるには持って来いの剣。
【雫波紋突き】を放たんとした姫和だが、目の前で突如起きた異変に動きが止まる。
【雫波紋突き】を放たんとした姫和だが、目の前で突如起きた異変に動きが止まる。
「こいつは……!」
自分だけじゃない、別方向から駆け付けた龍園達もだ。
見覚えのない真紅のスーツを纏っており、何故か殺し合いに乗っている筈の紅蓮龍まで一緒だが。
急展開の現状を思えば、些事に過ぎないだろう。
見覚えのない真紅のスーツを纏っており、何故か殺し合いに乗っている筈の紅蓮龍まで一緒だが。
急展開の現状を思えば、些事に過ぎないだろう。
『私、は、わたし、はわたしわたしわたしワタシワタシワタシワタシワタシワタシワタシワタシワタシ』
「俺は、お、れはおれおれおれはははははおれれれおれおれおれおれ」
「俺は、お、れはおれおれおれはははははおれれれおれおれおれおれ」
ゴルドゼインから二重に発せられる声が、壊れたラジオを思わせる雑音を全員の耳に届かせる。
蛮野とゴーダ、それぞれが相手取った存在達は。
綾小路清隆という一つの器に集まり、奇怪極まる現象が更に続く。
ドライバーから伸びた無数の触手がゴルドゼイン自身に巻き付き、昆虫の繭さながらに覆い隠す。
十本やニ十本どころじゃない、百へ届くかという数がだ。
そこへ加わるは、これまた膨大な量の鉛色のメダル。
泡のようにひっ付き合っては膨れ上がり、綾小路の体を完全に覆い隠しても止まる気配がない。
蛮野とゴーダ、それぞれが相手取った存在達は。
綾小路清隆という一つの器に集まり、奇怪極まる現象が更に続く。
ドライバーから伸びた無数の触手がゴルドゼイン自身に巻き付き、昆虫の繭さながらに覆い隠す。
十本やニ十本どころじゃない、百へ届くかという数がだ。
そこへ加わるは、これまた膨大な量の鉛色のメダル。
泡のようにひっ付き合っては膨れ上がり、綾小路の体を完全に覆い隠しても止まる気配がない。
「下がれ!巻き込まれるぞ!」
人間大のサイズをあっという間に凌駕し、五階建てのマンションすら即座に追い抜く。
近くで突っ立っていては、巨大化に巻き込まれて潰されるのがオチだ。
姫和の声を皮切りに、或いは待たずして後方へと大きく距離を取る。
生物からかけ離れたソレもまた急浮上、際限なしに膨れ上がり続けた末に眩い光を発し、
近くで突っ立っていては、巨大化に巻き込まれて潰されるのがオチだ。
姫和の声を皮切りに、或いは待たずして後方へと大きく距離を取る。
生物からかけ離れたソレもまた急浮上、際限なしに膨れ上がり続けた末に眩い光を発し、
「なん、だ、ありゃ……」
呆然と見上げるリュージの声に、答えを返せる者はいない。
その姿を、果たしてどう表現するべきか。
触手とメダルが混じり合った先までと違い、三角形のピラミッドを思わせる形状。
緑のコアメダルの王、ウヴァが陥ったメダルの器の暴走形態に似てはいるが。
決定的に異なる特徴が複数個所、存在した。
その姿を、果たしてどう表現するべきか。
触手とメダルが混じり合った先までと違い、三角形のピラミッドを思わせる形状。
緑のコアメダルの王、ウヴァが陥ったメダルの器の暴走形態に似てはいるが。
決定的に異なる特徴が複数個所、存在した。
無機質な物体の上部より生えた、上半身のみの人型。
黄金に輝く体は紛れもない、ゴルドゼインと瓜二つ。
腰から下は三角形の物体に繋がっているが、そこへ描かれるは紋様の類と大きく異なる。
黄金に輝く体は紛れもない、ゴルドゼインと瓜二つ。
腰から下は三角形の物体に繋がっているが、そこへ描かれるは紋様の類と大きく異なる。
顔、顔、顔。
何十人にも及ぶ仮面ライダー達の仮面が張り付き、そのどれもが崩れかかったモンスターのよう。
時代を超えて人々を守った戦士と、一体誰が言えるのか。
グロテスクなモンスターの生首を括りつけた、そう言われても納得を抱かざるを得ない。
何十人にも及ぶ仮面ライダー達の仮面が張り付き、そのどれもが崩れかかったモンスターのよう。
時代を超えて人々を守った戦士と、一体誰が言えるのか。
グロテスクなモンスターの生首を括りつけた、そう言われても納得を抱かざるを得ない。
何よりも特筆すべきは、圧倒的なサイズ。
荒魂や呪霊など、場合によっては並の建造物を超える大きさの個体も珍しくない。
だが彼らを見下ろす存在は、高層ビルすら届かぬ程の巨体。
陳腐な喩えだが、特撮番組でお馴染みの怪獣が現れたと。
他に言いようが見付からないレベルで、ひたすらに巨大であった。
荒魂や呪霊など、場合によっては並の建造物を超える大きさの個体も珍しくない。
だが彼らを見下ろす存在は、高層ビルすら届かぬ程の巨体。
陳腐な喩えだが、特撮番組でお馴染みの怪獣が現れたと。
他に言いようが見付からないレベルで、ひたすらに巨大であった。
全ての原因はほんの数分前、蛮野がゴルドゼインに再変身した時だ。
装甲に覆い隠される寸前、綾小路の肉体に入り込んだ異物の正体は。
姫和達に手痛い反撃を受けたゴーダの核である、コアメダル。
装甲に覆い隠される寸前、綾小路の肉体に入り込んだ異物の正体は。
姫和達に手痛い反撃を受けたゴーダの核である、コアメダル。
アンクの干渉でメダル自体にダメージを受け、姫和達に追い打ちを掛けられた事で実体を保つのも困難になった。
砲撃を叩き込まれて吹き飛び、尚も生き延びたのはグリードの生命力があってこそ。
とはいえ危機的状況なのは変わりなく、崩壊間近の身で彷徨った末見付けたのが蛮野達だった。
選り好みしてられる余裕は皆無、刻一刻と近付く崩壊のリミットに後押しされ。
『姫和』に変わる器として、ゴルドゼインに変身する寸前の綾小路を選んだのだ。
砲撃を叩き込まれて吹き飛び、尚も生き延びたのはグリードの生命力があってこそ。
とはいえ危機的状況なのは変わりなく、崩壊間近の身で彷徨った末見付けたのが蛮野達だった。
選り好みしてられる余裕は皆無、刻一刻と近付く崩壊のリミットに後押しされ。
『姫和』に変わる器として、ゴルドゼインに変身する寸前の綾小路を選んだのだ。
しかし、蛮野にもゴーダにも想定外だったのは。
肉体の持ち主、綾小路清隆の意識も目覚めていたことだろう。
肉体の持ち主、綾小路清隆の意識も目覚めていたことだろう。
切っ掛けは龍園達との戦闘で、ジャマトライダーのカードを読み砕いた時。
ゼインカードにデータを封じ込めたといっても、ジャマトライダーは仮面ライダーとは異なる怪人。
魔進チェイサーやヴァルバラド、若しくはナイトローグにブラッドスターク等々の。
疑似ライダーですらない異形の力を使うなど、開発者は想定していない。
そうとは知らずジャマトライダーのカードを裁断した為に、ドライバーへバグが生じたのだ。
ゼインカードにデータを封じ込めたといっても、ジャマトライダーは仮面ライダーとは異なる怪人。
魔進チェイサーやヴァルバラド、若しくはナイトローグにブラッドスターク等々の。
疑似ライダーですらない異形の力を使うなど、開発者は想定していない。
そうとは知らずジャマトライダーのカードを裁断した為に、ドライバーへバグが生じたのだ。
綾小路の意識を封じる機能に、綻びが発生するという形で。
長い眠りから覚めるように、徐々に意識が浮上する中。
綾小路に分かったのは、自分の意志を無視し体を利用されてること。
そんな自分、もとい蛮野天十郎と龍園が戦っていること。
Cクラスのリーダーで暴力的な男、それ以外の印象を“この時間軸”の綾小路は持っておらず。
何故こうも戦意に溢れてるかとの疑問を解消するより先に、殴り飛ばされた。
綾小路に分かったのは、自分の意志を無視し体を利用されてること。
そんな自分、もとい蛮野天十郎と龍園が戦っていること。
Cクラスのリーダーで暴力的な男、それ以外の印象を“この時間軸”の綾小路は持っておらず。
何故こうも戦意に溢れてるかとの疑問を解消するより先に、殴り飛ばされた。
吹っ飛ばされドライバーは外れたが、自身のダメージも大きく咄嗟の動きが取れずにいたせいで。
再び蛮野が体を乗っ取った挙句、別のナニカまで勝手に入り込んだ。
アッシュフォード学園を訪れ、意識がブラックアウトして以降。
事態は大きく進み、そんな中で自分を待ち受けるのは当初の目的達成とかけ離れた末路。
再び蛮野が体を乗っ取った挙句、別のナニカまで勝手に入り込んだ。
アッシュフォード学園を訪れ、意識がブラックアウトして以降。
事態は大きく進み、そんな中で自分を待ち受けるのは当初の目的達成とかけ離れた末路。
蛮野とゴーダに使い潰される、シンプルながら救いのない答えに辿り着き。
こう思ったのだ、「まだ終わりたくない」と。
こう思ったのだ、「まだ終わりたくない」と。
初手でルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという、己に恐怖を植え付けた魔王に出会い。
常人より情熱に劣る自分でも、夢を見付けられるかもしれない。
そう期待を持ってしまったが故に、朽ち果てる最期を断固として拒否。
常人より情熱に劣る自分でも、夢を見付けられるかもしれない。
そう期待を持ってしまったが故に、朽ち果てる最期を断固として拒否。
「終わりたくない」という心の叫びは、奇しくも彼を乗っ取った二体の人外。
蛮野とゴーダも強く抱える想いであり、動機は違えど求める先は同じ感情の震えが共鳴。
正規プレイヤーな為にシステムの恩恵に与れる、綾小路を基点に心意が応えた。
蛮野とゴーダも強く抱える想いであり、動機は違えど求める先は同じ感情の震えが共鳴。
正規プレイヤーな為にシステムの恩恵に与れる、綾小路を基点に心意が応えた。
最悪の事態を後押ししたのは、ゴルドゼインが読み砕いたゼインカード。
仮面ライダーBLACKの力が解放され、キングストーンのエネルギーが心意システムの影響を増大。
元々キングストーンは所持者の想いに呼応し、新たな強さを授ける神秘の石。
南光太郎が仮面ライダーBLACKからRXへ、ロボライダーやバイオライダーに進化したのが良い例だろう。
仮面ライダーBLACKの力が解放され、キングストーンのエネルギーが心意システムの影響を増大。
元々キングストーンは所持者の想いに呼応し、新たな強さを授ける神秘の石。
南光太郎が仮面ライダーBLACKからRXへ、ロボライダーやバイオライダーに進化したのが良い例だろう。
トドメとばかりに、ゴーダは火野映司の欲望をベースに生まれたグリード。
グリード以上に底無しで果てしない、どこまでも伸びる手を望んだ青年の強欲さを。
人造コアメダルが秘めている以上、上記の影響を全く受けない筈がなかった。
グリード以上に底無しで果てしない、どこまでも伸びる手を望んだ青年の強欲さを。
人造コアメダルが秘めている以上、上記の影響を全く受けない筈がなかった。
幾つもの偶然が重なった結果、誕生したのは三人が望んだのとは全く異なる怪物。
ゼインカードのデータ全てが歪に混ざり合い、巨体へ溶け奇怪な特徴が表れるに至った。
生まれた詳細な経緯を知る者はおらず、知りたいと願う者も無し。
ゼインカードのデータ全てが歪に混ざり合い、巨体へ溶け奇怪な特徴が表れるに至った。
生まれた詳細な経緯を知る者はおらず、知りたいと願う者も無し。
『オォオオオオ■■■■ォオオ■■■オオオオ■■オ■ッ!!!!!』
『――――――――――――――――――――ッ!!!!!!!』
生物の鳴き声とは到底思えない、本当に声かどうかすら定かでない怪音を轟かせる巨大獣に。
驚愕へ固まっていた全員が、弾かれたように我に返り現実を叩き付けられる。
戦え、でなければ揃って死は免れないと。
驚愕へ固まっていた全員が、弾かれたように我に返り現実を叩き付けられる。
戦え、でなければ揃って死は免れないと。
最早ゴルドゼインとも呼べぬ怪物が掲げた片腕に、一丁の銃が生成。
仮面ライダーバルカンの変身ツール兼武器、ショットライザーの銃口が地上を睨む。
たかが拳銃と侮るなかれ、怪物が装備出来るだけのサイズということは必然的に。
50口径弾の威力を凌駕した、爆撃が巻き起こる。
仮面ライダーバルカンの変身ツール兼武器、ショットライザーの銃口が地上を睨む。
たかが拳銃と侮るなかれ、怪物が装備出来るだけのサイズということは必然的に。
50口径弾の威力を凌駕した、爆撃が巻き起こる。
「メチャクチャしやがる……!!」
悪態すらも轟音に掻き消される中、降り注ぐ死から逃れんと駆け出す。
一ヶ所に留まっていては、死体も残らずあの世行だ。
怪物が腕を掲げたその時点で、良からぬ者が来ると全員察しは付いた。
各々強化された身体能力、時には姫和が呼び出す式神の手を借り命を繋ぐ。
脚を動かす間にも、タイムファイヤーやゾルダが銃を撃つが効果はゼロに等しい。
的へ当てるのは難しくない、しかし光線やエネルギー弾の命中に向こうが堪えた様子は全く無し。
一ヶ所に留まっていては、死体も残らずあの世行だ。
怪物が腕を掲げたその時点で、良からぬ者が来ると全員察しは付いた。
各々強化された身体能力、時には姫和が呼び出す式神の手を借り命を繋ぐ。
脚を動かす間にも、タイムファイヤーやゾルダが銃を撃つが効果はゼロに等しい。
的へ当てるのは難しくない、しかし光線やエネルギー弾の命中に向こうが堪えた様子は全く無し。
「これでラスボスじゃないのが悪い冗談に思えてくるな……!」
殺し合いに抗うプレイヤー複数人、それも二桁は必須だろう強敵。
これ程までの存在が、運営側の直接介入抜きに現れたのだ。
さしものグラファイトも、呆れを吐き捨てるのは無理からぬこと。
これ程までの存在が、運営側の直接介入抜きに現れたのだ。
さしものグラファイトも、呆れを吐き捨てるのは無理からぬこと。
文句を言って状況が好転するならともかく、無意味であれば愚痴は早々に切り上げる。
シャイニングカリバーを取り出し、自身に宿る膨大なエネルギーを付与。
地を蹴り空中で全身を回転、紅蓮龍が稲妻の迸る竜巻を発生。
ショットライザーの銃弾を切り裂きながら、本体をも刃の錆にせんと接近。
この一撃で倒せなくとも、僅かながらのダメージに――
シャイニングカリバーを取り出し、自身に宿る膨大なエネルギーを付与。
地を蹴り空中で全身を回転、紅蓮龍が稲妻の迸る竜巻を発生。
ショットライザーの銃弾を切り裂きながら、本体をも刃の錆にせんと接近。
この一撃で倒せなくとも、僅かながらのダメージに――
「ヌ――オオオオオオオオオオオッ!!??!」
ならない。
ショットライザーの消滅に伴い、異なる得物が出現。
仮面ライダーファイズが持つ打撃強化武器、ファイズショットを装備。
右拳を軽く振るい、グラファイトが起こした以上の暴風で逆に吹き飛ばす。
屈強な紅蓮龍の肉体が叩き付けられ、アスファルトは麩菓子よりも脆く粉砕。
バグスターの中でも突出しタフなグラファイトでなければ、赤い染みとなっていただろう。
ショットライザーの消滅に伴い、異なる得物が出現。
仮面ライダーファイズが持つ打撃強化武器、ファイズショットを装備。
右拳を軽く振るい、グラファイトが起こした以上の暴風で逆に吹き飛ばす。
屈強な紅蓮龍の肉体が叩き付けられ、アスファルトは麩菓子よりも脆く粉砕。
バグスターの中でも突出しタフなグラファイトでなければ、赤い染みとなっていただろう。
『ENGINE!MAXIMAM DRIVE!』
怪物の視線が他の者、とりわけ依頼人と協力者の刀使へ移る前に。
ガイアメモリを再アップデートし、アクセルが飛行。
音を追い越す速度を叩き出して、ジェットパーツの猛噴射を加えた斬撃を放つ。
刀身が僅かにでも触れたとすら認識出来ず、気付けば真っ二つ。
ガイアメモリを再アップデートし、アクセルが飛行。
音を追い越す速度を叩き出して、ジェットパーツの猛噴射を加えた斬撃を放つ。
刀身が僅かにでも触れたとすら認識出来ず、気付けば真っ二つ。
「う、お――――」
敵が等身大サイズなら起こり得た末路も、此度は実現せず。
ファイズショットから一変、アタッシュカリバーで目障りな羽虫を払い除ける。
巨大な刀身へ小さくも亀裂を入れたのは、流石の術師殺しか。
本人に称賛を投げた所で、反応する余裕はない。
怪物がほんの少し押し返しただけで、風に揉まれる花弁の如く距離を取らされた。
ファイズショットから一変、アタッシュカリバーで目障りな羽虫を払い除ける。
巨大な刀身へ小さくも亀裂を入れたのは、流石の術師殺しか。
本人に称賛を投げた所で、反応する余裕はない。
怪物がほんの少し押し返しただけで、風に揉まれる花弁の如く距離を取らされた。
「こんなもん殺し合いもクソもねぇだろ……!!」
銃火器や異能(シギル)を用いて行う、命の奪い合い。
万人が予想するデスゲームの光景に、中指を立ててるとしか思えない。
半ばヤケクソ気味に叫び、ゾルダが砲撃を何発も撃ち込む。
大型のミラーモンスターを消し飛ばす威力の、ギガランチャーだが。
こうもサイズ差が開いては、豆鉄砲にすら届かない。
万人が予想するデスゲームの光景に、中指を立ててるとしか思えない。
半ばヤケクソ気味に叫び、ゾルダが砲撃を何発も撃ち込む。
大型のミラーモンスターを消し飛ばす威力の、ギガランチャーだが。
こうもサイズ差が開いては、豆鉄砲にすら届かない。
ダメージどころか、痒いとも思わないが見逃しはしない。
赤いカラーリングの弓、ソニックアローを構え弦を引き絞る。
大砲を捨て回避へ急ぐゾルダ目掛け、光矢を発射。
赤いカラーリングの弓、ソニックアローを構え弦を引き絞る。
大砲を捨て回避へ急ぐゾルダ目掛け、光矢を発射。
「前坂を頼む……!」
天の裁きさながらに射抜かれる、呆気ない末路を仲間が否定。
鵺を呼び出しゾルダを回収、間一髪のタイミングで救出に成功。
構わず式神諸共仕留めんとし、させじと妨害へ動くは青の魔法少女。
支給品の丸薬を数個纏めて噛み砕き、身体機能を爆発的に強化。
双剣に魔力を通し切り裂けば、煩わしい衝撃に怪物の意識が外れた。
鵺を呼び出しゾルダを回収、間一髪のタイミングで救出に成功。
構わず式神諸共仕留めんとし、させじと妨害へ動くは青の魔法少女。
支給品の丸薬を数個纏めて噛み砕き、身体機能を爆発的に強化。
双剣に魔力を通し切り裂けば、煩わしい衝撃に怪物の意識が外れた。
「うそでしょ……!?」
支給品の副作用で戦意の昂りが激しさを増すも、次の光景には戦慄が駆け巡る。
ド派手なピンク色のハンマー、ガシャコンブレイカーを構え急降下。
地面を叩き、大地震と見紛うレベルの衝撃が発生。
『HIT!』のエフェクト出現を、視界に入れられた者はゼロ。
絶叫マシンよりも尚激しい、正しく「何が起きてるか分からない」程に宙を泳ぎ吹き飛んだ。
ド派手なピンク色のハンマー、ガシャコンブレイカーを構え急降下。
地面を叩き、大地震と見紛うレベルの衝撃が発生。
『HIT!』のエフェクト出現を、視界に入れられた者はゼロ。
絶叫マシンよりも尚激しい、正しく「何が起きてるか分からない」程に宙を泳ぎ吹き飛んだ。
「クソ、が……!」
クロノギアの恩恵と、スティールの発動。
二つがあったからこそ、悪態を吐き捨てられていると。
そう支給品に感謝を抱くという、能天気な真似に出る男ではなく。
うつ伏せに倒れた龍園は、爪が食い込む程に拳を強く握り締める。
ゴルドゼインとの戦闘で痛め付けられた体には、難しく考えるまでもなく堪えた。
二つがあったからこそ、悪態を吐き捨てられていると。
そう支給品に感謝を抱くという、能天気な真似に出る男ではなく。
うつ伏せに倒れた龍園は、爪が食い込む程に拳を強く握り締める。
ゴルドゼインとの戦闘で痛め付けられた体には、難しく考えるまでもなく堪えた。
「あの馬鹿が……!皇帝様の家来の次は怪獣ごっこだぁ……?ふざけるのもいい加減にしろよ……!」
だが肉体を蝕む痛みなど、怒りの前にはまるで気にならない。
甚爾やグラファイトをも一蹴する力を持っていようと、抱くのは恐怖に非ず。
自らの意志で虐殺を選んだ訳でなく、綾小路自身も振り回され暴走しているに過ぎない。
理性無き獣、或いは意思を持たぬ装置と言っても過言じゃない。
甚爾やグラファイトをも一蹴する力を持っていようと、抱くのは恐怖に非ず。
自らの意志で虐殺を選んだ訳でなく、綾小路自身も振り回され暴走しているに過ぎない。
理性無き獣、或いは意思を持たぬ装置と言っても過言じゃない。
そんなものに堕ちることが、あの男の望みなのか。
嘗て自分を完膚なきまでに負かし、リベンジを誓わせた男の行き着く先がこれか。
こんな男に敗北するくらいに、自分は弱く不甲斐なかったのか。
嘗て自分を完膚なきまでに負かし、リベンジを誓わせた男の行き着く先がこれか。
こんな男に敗北するくらいに、自分は弱く不甲斐なかったのか。
「そうじゃねぇだろ……ああクソが!クソッタレが!!」
友情だの、ライバルとの絆だのと暑苦しい類じゃあない。
だが気に入らない、恐怖を完全に焼き潰す憤怒が湧き上がる。
迷走を繰り返す綾小路も、そいつに負けた自分自身も。
ちっぽけなプライドと嗤われようが知った事か、何を言われても譲れない。
自分に勝った男が単なる怪物で終わる結末も、怪物に蹂躙される以外にない己の末路も。
心底気に食わない未来を、受け入れて堪るかと這ったまま手を伸ばし、
だが気に入らない、恐怖を完全に焼き潰す憤怒が湧き上がる。
迷走を繰り返す綾小路も、そいつに負けた自分自身も。
ちっぽけなプライドと嗤われようが知った事か、何を言われても譲れない。
自分に勝った男が単なる怪物で終わる結末も、怪物に蹂躙される以外にない己の末路も。
心底気に食わない未来を、受け入れて堪るかと這ったまま手を伸ばし、
「っ、こいつは……」
指先が触れたソレを、咄嗟に手繰り寄せる。
よろよろと立ち上がり、握り締めた物に視線を落とす。
人形、で良いのだろうか。
如何にも男児が好みそうなデザインは、偶然にも龍園が変身する戦士と全く同じ。
玩具かと訝しく思うのも束の間、見下ろす先で人形は掌へ溶けるように消失。
しかも自身の意志と無関係に、クロノギアを纏った。
奇妙な現象への困惑は、力が漲る感覚への驚きに早変わり。
よろよろと立ち上がり、握り締めた物に視線を落とす。
人形、で良いのだろうか。
如何にも男児が好みそうなデザインは、偶然にも龍園が変身する戦士と全く同じ。
玩具かと訝しく思うのも束の間、見下ろす先で人形は掌へ溶けるように消失。
しかも自身の意志と無関係に、クロノギアを纏った。
奇妙な現象への困惑は、力が漲る感覚への驚きに早変わり。
『V-com■■nde■ mou■t■■.V-■■■■■■er ■■■nted.』
異変は一つで終わらない。
龍園を炎の戦士に変えた装備は、これまで沈黙を保っていたにもかかわらず。
今になって急に、雑音混じりの音声が流れた。
さっきから何が起きてるかと、疑問符ばかりが頭に浮かぶも。
スーツ内部のデータベースへ表示された情報に、マスクの下で目を見開く。
龍園を炎の戦士に変えた装備は、これまで沈黙を保っていたにもかかわらず。
今になって急に、雑音混じりの音声が流れた。
さっきから何が起きてるかと、疑問符ばかりが頭に浮かぶも。
スーツ内部のデータベースへ表示された情報に、マスクの下で目を見開く。
(これならいける、か……?)
似たような存在だったら、自分の目で既に見ている。
絶対遵守の支配下に置かれた凶星病理が、望まぬ形で呼び出した巨人達。
システムや開発経緯はあれらと全く異なるも、細かい背景はこの際重要じゃない。
確かなことは、綾小路の変貌で生まれた怪物に対抗出来る。
現状打破が可能な、たった一つの希望。
絶対遵守の支配下に置かれた凶星病理が、望まぬ形で呼び出した巨人達。
システムや開発経緯はあれらと全く異なるも、細かい背景はこの際重要じゃない。
確かなことは、綾小路の変貌で生まれた怪物に対抗出来る。
現状打破が可能な、たった一つの希望。
「だが、今のままじゃ使えねぇ……!」
タイムファイヤーに変身中であり、自身の状態を把握しているが故に分かる。
さっきの人形を拾い、何らかの影響を受けたにしろ。
見えない鍵を幾重にも掛けたように、使う事が出来ない。
さっきの人形を拾い、何らかの影響を受けたにしろ。
見えない鍵を幾重にも掛けたように、使う事が出来ない。
そうするだけの理由は、龍園とて理解出来る。
規格外のプレイヤーたる四凶を投入し、『主役』に選んだ者には支給品やスタート位置で優遇したりと。
公平の二文字をゴミ箱へ放ったとしか思えない運営側とて、パワーバランスを一切無視してる訳ではない。
仮に敵が“これ”を使って暴れていたら、龍園も理不尽だろと頭を抱えたのは想像に難くない。
だとしても、現状では運営が課した制限は邪魔以外の何ものでもなかった。
規格外のプレイヤーたる四凶を投入し、『主役』に選んだ者には支給品やスタート位置で優遇したりと。
公平の二文字をゴミ箱へ放ったとしか思えない運営側とて、パワーバランスを一切無視してる訳ではない。
仮に敵が“これ”を使って暴れていたら、龍園も理不尽だろと頭を抱えたのは想像に難くない。
だとしても、現状では運営が課した制限は邪魔以外の何ものでもなかった。
「クソ……」
希望に思えた情報は無駄に終わり、訪れる結末は変えられない。
一層の絶望へ突き落とす為のスパイスに過ぎず、バッドエンドや蹂躙劇がお好みの脚本家が見たら。
醜悪と呼ぶ事すら憚れる笑い声を、響かせるのだろう。
一層の絶望へ突き落とす為のスパイスに過ぎず、バッドエンドや蹂躙劇がお好みの脚本家が見たら。
醜悪と呼ぶ事すら憚れる笑い声を、響かせるのだろう。
端役がどれだけ足掻いても、ゴミ同然に蹴散らされる。
『主役』に選ばれたプレイヤー以外の反撃は、何の価値もない。
押し付けられる運命(さだめ)は、
『主役』に選ばれたプレイヤー以外の反撃は、何の価値もない。
押し付けられる運命(さだめ)は、
「勝手に終わりに……してんじゃねぇよ……」
吐き捨てたその声に否定された。
「お前……」
「流石にメダル一枚じゃこれが限界らしいな……」
「流石にメダル一枚じゃこれが限界らしいな……」
目の前で浮かぶ人ならざる右腕の正体は、龍園も知っている。
片腕欠損の重傷を負った、もう一人の姫和を延命させた赤の王。
アンクの登場へ咄嗟の言葉が口を突き掛け、今の状態に気付き飲み込む。
片腕欠損の重傷を負った、もう一人の姫和を延命させた赤の王。
アンクの登場へ咄嗟の言葉が口を突き掛け、今の状態に気付き飲み込む。
右腕には絶えずノイズが走り、一瞬でも目を逸らせば途端に消えてしまいそう。
コアメダルはゴーダが持ったまま、怪物の中へ取り込まれた。
残ったのは割れたタカメダル一枚のみ、本人が言った通り右腕を実体化させるのが精一杯。
その状態も長続きしないだろうとは、誰の目にも明らか。
無傷を保ってるならまだしも、欠けたコアでは生命力も相応に弱まる。
未だ消滅を免れてるだけで、奇跡に等しい。
コアメダルはゴーダが持ったまま、怪物の中へ取り込まれた。
残ったのは割れたタカメダル一枚のみ、本人が言った通り右腕を実体化させるのが精一杯。
その状態も長続きしないだろうとは、誰の目にも明らか。
無傷を保ってるならまだしも、欠けたコアでは生命力も相応に弱まる。
未だ消滅を免れてるだけで、奇跡に等しい。
「まあ……俺のことなんざどうだっていい……それよりもお前は……このまま死んでも仕方ないって言う気か……?」
「……そんな訳ねぇだろ」
「……そんな訳ねぇだろ」
高育校のクラス対抗戦が、お遊戯に思えるレベルの魔境に拉致され。
常人にしては腕っぷしの良いだけの男が、10時間以上生き延びただけでも大したもの。
それなりに良くやった、もう諦めても仕方がない。
などと自分を誤魔化し無理やりに納得させる、逃げ腰に誰がなるものか。
終焉を覆す可能性が髪の毛一本分でもあるなら、死に物狂いで手繰り寄せてやる。
常人にしては腕っぷしの良いだけの男が、10時間以上生き延びただけでも大したもの。
それなりに良くやった、もう諦めても仕方がない。
などと自分を誤魔化し無理やりに納得させる、逃げ腰に誰がなるものか。
終焉を覆す可能性が髪の毛一本分でもあるなら、死に物狂いで手繰り寄せてやる。
「誰が何を言おうと、こんなクソ以下の終わりなんざ認められねぇんだよ……!!」
「ハッ……悪くない欲望だ……」
「ハッ……悪くない欲望だ……」
動機は違えど、生きることを投げ出さない欲望の持ち主へ。
思い浮かべたのは刀使か、それとも嘗て手を組んだ一人の男か。
答えを明かす気はない、ただ己がやるべき事は決まった。
思い浮かべたのは刀使か、それとも嘗て手を組んだ一人の男か。
答えを明かす気はない、ただ己がやるべき事は決まった。
「こうしたい」と強く思える欲望を、最後に見付けられた。
「その欲望、解放しろ」
答えを待たず、自身のコアを龍園へ投げ付ける。
スーツに阻まれた肉体へ、スルリと入り込んだメダルに。
驚き何のつもりと問おうにも、今の今まで眼前にいた右腕はもうどこにも見当たらない。
スーツに阻まれた肉体へ、スルリと入り込んだメダルに。
驚き何のつもりと問おうにも、今の今まで眼前にいた右腕はもうどこにも見当たらない。
「お前は……」
だけど分かる、アンクが何処へ行ったのかが。
己の深い部分に、小さくも熱い火が灯った感覚は気のせいじゃない。
内側より滅ぼす業火に非ず、終われないという欲望/願いを叶える為の。
希望へ手を伸ばさせる為の、消えぬ炎が龍園へ灯る。
己の深い部分に、小さくも熱い火が灯った感覚は気のせいじゃない。
内側より滅ぼす業火に非ず、終われないという欲望/願いを叶える為の。
希望へ手を伸ばさせる為の、消えぬ炎が龍園へ灯る。
『■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!!!』
不快さとおぞましさを混ぜ込んだ、声とも呼べぬ怪音が降り注ぐ。
未だに死を遠ざける地上の蟻へ、確実な終わりを与えんと怪物が腕を振り被った。
その手に握られるは、太陽の子がクライシス帝国の強敵を幾度も屠った得物。
リボルケインで切り裂く、否、焼き尽くす最期が実現されるまで一刻の猶予もない。
傷を負いながらも復帰を果たした仲間達が、何かを叫び駆け出すも間に合う距離じゃあなかった。
未だに死を遠ざける地上の蟻へ、確実な終わりを与えんと怪物が腕を振り被った。
その手に握られるは、太陽の子がクライシス帝国の強敵を幾度も屠った得物。
リボルケインで切り裂く、否、焼き尽くす最期が実現されるまで一刻の猶予もない。
傷を負いながらも復帰を果たした仲間達が、何かを叫び駆け出すも間に合う距離じゃあなかった。
「……そうかよ」
目前に迫る絶対的な死を、龍園は見ていない。
マスクに隠れた猛禽類の如き瞳が射抜くは、怪物の奥深くへ閉じ籠った男。
こんな形の再戦を望んだ覚えはない、腑抜けたままでいるのを許容するなど以ての外。
自分が何を言っても、どれだけ怒りを露わにしても届かないのなら。
マスクに隠れた猛禽類の如き瞳が射抜くは、怪物の奥深くへ閉じ籠った男。
こんな形の再戦を望んだ覚えはない、腑抜けたままでいるのを許容するなど以ての外。
自分が何を言っても、どれだけ怒りを露わにしても届かないのなら。
「その不細工な着ぐるみを引き裂いて、しょぼくれた面(ツラ)のテメェに直接ぶつけてやるよ……綾小路!」
紅き焔が迸る、纏わり付く鎖が焼け落ちる。
希望は儚い幻想に過ぎない、端役はもう退場の時間だ。
そう執拗に嘯く裁定者気取りの声に、獰猛な笑みで返す。
「引っ込んでろ」、と。
希望は儚い幻想に過ぎない、端役はもう退場の時間だ。
そう執拗に嘯く裁定者気取りの声に、獰猛な笑みで返す。
「引っ込んでろ」、と。
「さっさと起きやがれ――」
お前達の欲しがる舞台など、心底どうでもいい。
お前達が決めた主演と端役なんざ、知った事じゃあない。
お前達の望んだ筋書き通りに、誰が動いてやるものかよ。
受け入れるものかと喚き、慄き、のたうち回っていろ。
お前達が決めた主演と端役なんざ、知った事じゃあない。
お前達の望んだ筋書き通りに、誰が動いてやるものかよ。
受け入れるものかと喚き、慄き、のたうち回っていろ。
「――ブイレックス!!!!!」
ここからは、“俺達”のステージだ。
○
「なん……だと……」
絞り出した声に宿る驚愕が、どれだけのものかを。
姫和が冷静に判断出来る余裕はきっと、小指の先にも満たない。
殺し合いに巻き込まれ、驚きを抱かなかった時の方が圧倒的に少ないが。
今回もまた、予想を遥かに超える事態が視界に広がっている。
冗談の類かと己へ問い掛けても、返す言葉は現実の二文字以外に見付からない。
姫和が冷静に判断出来る余裕はきっと、小指の先にも満たない。
殺し合いに巻き込まれ、驚きを抱かなかった時の方が圧倒的に少ないが。
今回もまた、予想を遥かに超える事態が視界に広がっている。
冗談の類かと己へ問い掛けても、返す言葉は現実の二文字以外に見付からない。
光剣が振り下ろされ、龍園が焼き殺される正にその時だ。
何もない所へ突如亀裂が走り、気象レーダーに映る雲のように渦巻いたかと思えば。
何もない所へ突如亀裂が走り、気象レーダーに映る雲のように渦巻いたかと思えば。
鋼鉄の恐竜が出現し、光剣共々怪物を弾き飛ばしたのだ。
「あ、あの、十条さん……?何が起きてるのか私にはサッパリで……」
「私にだって分かるものか……」
「私にだって分かるものか……」
混乱ここに極まれりといった表情で、小夜も呆然と傍らの刀使へ尋ねる。
地面へ叩き付けられる寸前で脱兎を召喚、安全クッション代わりに使い二人揃って無事なのは良いが。
急ぎ駆け付けてみればこの状況だ。
頭の中が疑問符で埋め尽くされてると察しが付くも、自分に説明を求められても困る。
一体全体、何がどうなってるのか。
詳しく教えて欲しいと、事情を知る男を見やれば。
こっちの困惑にはお構いなしで、自身を救った恐竜を見上げていた。
地面へ叩き付けられる寸前で脱兎を召喚、安全クッション代わりに使い二人揃って無事なのは良いが。
急ぎ駆け付けてみればこの状況だ。
頭の中が疑問符で埋め尽くされてると察しが付くも、自分に説明を求められても困る。
一体全体、何がどうなってるのか。
詳しく教えて欲しいと、事情を知る男を見やれば。
こっちの困惑にはお構いなしで、自身を救った恐竜を見上げていた。
「起きんのが遅ぇよ。冬眠にはまだ早いだろうが」
皮肉交じりだが毒気のない軽口へ、雄叫びを上げて応える。
遥か古代の地球に生息した肉食恐竜の王と、酷似した特徴を持つも。
生身の生物の皮膚はなく、シルバーメタリックのマシンボディが月の下で輝きを増す。
爪や牙に至るまで鋼鉄、背には巨体に相応しい重火器を装着。
遥か古代の地球に生息した肉食恐竜の王と、酷似した特徴を持つも。
生身の生物の皮膚はなく、シルバーメタリックのマシンボディが月の下で輝きを増す。
爪や牙に至るまで鋼鉄、背には巨体に相応しい重火器を装着。
救世主の如く戦場へ現れたその名は、ブイレックス。
30世紀の未来人の手で開発された、巨大生体メカである。
30世紀の未来人の手で開発された、巨大生体メカである。
正史において、タイムファイヤーと共にロンダーズファミリーと激闘を繰り広げた背景を持つも。
龍園が察した通り、殺し合いでは厳重な制限が設けられてあった。
ルルーシュのギアスを受け、意図せぬ形でユニバースロボを召喚したコルファウスメットの例と違い。
四凶に数えられてもいない一参加者が、巨大兵器を容易く入手するのは運営側も承認に至らず。
本来であれば何度ブイコマンダー越しに名を叫んでも、虚しく響くに終わる筈だった。
龍園が察した通り、殺し合いでは厳重な制限が設けられてあった。
ルルーシュのギアスを受け、意図せぬ形でユニバースロボを召喚したコルファウスメットの例と違い。
四凶に数えられてもいない一参加者が、巨大兵器を容易く入手するのは運営側も承認に至らず。
本来であれば何度ブイコマンダー越しに名を叫んでも、虚しく響くに終わる筈だった。
不可能を可能に変えた、複数の理由。
内の一つはゴルドゼインが派手に殴り飛ばされた際に中身が散らばり、龍園が手にした人形。
元は勇者アレフの支給品だった、タイムファイヤーのレンジャーキー。
既にブイコマンダーを所持済の所へ二重で力を得た為に、変身時の外見こそ変わらないものの全機能がアップグレード。
クロノギアやDVディフェンダーの強化のみならず、ブイコマンダーの制限を解かないままで性能が引き上げられた。
これにより、ブイレックスの操縦システムの枷に穴が出来たのだ。
内の一つはゴルドゼインが派手に殴り飛ばされた際に中身が散らばり、龍園が手にした人形。
元は勇者アレフの支給品だった、タイムファイヤーのレンジャーキー。
既にブイコマンダーを所持済の所へ二重で力を得た為に、変身時の外見こそ変わらないものの全機能がアップグレード。
クロノギアやDVディフェンダーの強化のみならず、ブイコマンダーの制限を解かないままで性能が引き上げられた。
これにより、ブイレックスの操縦システムの枷に穴が出来たのだ。
そこへ加わるは、殺し合いで複数の参加者が恩恵に与った心意システム。
綾小路と自分自身への怒りで、感情を震わせたのがトリガーになったのは言わずもがな。
更にアンクがメダルを龍園へ投入したのも、大きな助けだ。
本来辿る筈の未来でゴーダと決着を付けた時、映司の最後の願いを聞き入れ赤のコアメダルを進化させたように。
欲望/願いの大きさに呼応し、此度も可能性を切り開くのに一役買った。
綾小路と自分自身への怒りで、感情を震わせたのがトリガーになったのは言わずもがな。
更にアンクがメダルを龍園へ投入したのも、大きな助けだ。
本来辿る筈の未来でゴーダと決着を付けた時、映司の最後の願いを聞き入れ赤のコアメダルを進化させたように。
欲望/願いの大きさに呼応し、此度も可能性を切り開くのに一役買った。
もっと言えば、敵は仮面ライダーBLACKのゼインカードが誕生に深く関わっており。
龍園を殺す際にRXの力を引き出したことも、大きな理由だ。
龍園を殺す際にRXの力を引き出したことも、大きな理由だ。
南光太郎と暗黒結社ゴルゴムの、死闘の歴史において。
世紀王の為の魔剣、サタンサーベルをシャドームーンが己の元に召喚した例が存在する。
つまりキングストーンが発揮する能力の中には、空間転移があるのだ。
あくまでゼインカードの効果とはいえ、キングストーンのエネルギーが一帯に広まる戦場と。
ブイレックスの動力エネルギー、λ2000の時空を蝕む性質が引き合った事で龍園の元へ引き寄せられるに至った。
龍園達を危機へ追い込んだキングストーンが、逆に助ける形となったのは皮肉と言う他ない。
世紀王の為の魔剣、サタンサーベルをシャドームーンが己の元に召喚した例が存在する。
つまりキングストーンが発揮する能力の中には、空間転移があるのだ。
あくまでゼインカードの効果とはいえ、キングストーンのエネルギーが一帯に広まる戦場と。
ブイレックスの動力エネルギー、λ2000の時空を蝕む性質が引き合った事で龍園の元へ引き寄せられるに至った。
龍園達を危機へ追い込んだキングストーンが、逆に助ける形となったのは皮肉と言う他ない。
家康の支給品だったブイコマンダーを、蛮野が回収しそびれていなかったら。
ブラックサンと太陽の子のカードが、この局面まで残っていなかったら。
巨大化に併せてゼインカードの力も上昇し、キングストーンが空間へ及ぼす影響も増大していなかったら。
タイムファイヤーの力を得たのが、綾小路へ最も感情を震わせられる龍園じゃなかったら。
幾つもの偶然が積み重なり、逆転劇が今ここに実現されたのである。
ブラックサンと太陽の子のカードが、この局面まで残っていなかったら。
巨大化に併せてゼインカードの力も上昇し、キングストーンが空間へ及ぼす影響も増大していなかったら。
タイムファイヤーの力を得たのが、綾小路へ最も感情を震わせられる龍園じゃなかったら。
幾つもの偶然が積み重なり、逆転劇が今ここに実現されたのである。
『■■■■■■■■■■■■■■■■■■ッ!!!』
何故ブイレックスが現れただとか、事情を探るだけの理性は怪物に残っていない。
邪魔する者が、新しい敵が目の前にいる。
その一点が排除へ突き動かし、火炎剣烈火を生成。
世界の均衡を守った剣士達の想いを踏み躙るも同然な、ただの凶器へ聖剣を貶める。
邪魔する者が、新しい敵が目の前にいる。
その一点が排除へ突き動かし、火炎剣烈火を生成。
世界の均衡を守った剣士達の想いを踏み躙るも同然な、ただの凶器へ聖剣を貶める。
「ブイレックス!余計な真似はさせるな!」
だがここには最早、一方的に追い立てられる哀れな子羊はいない。
小癪にも狩人を気取るなら、逆に喰らい殺すまで。
ブイコマンダーを通じ、龍園の指示を受けたブイレックスが疾走。
大地を轟かせ標的の元へと跳躍、自ら聖剣の間合いへ入るも問題無し。
刃に裂かれるよりも一手早く、怪物の巨椀に牙を突き立てた。
小癪にも狩人を気取るなら、逆に喰らい殺すまで。
ブイコマンダーを通じ、龍園の指示を受けたブイレックスが疾走。
大地を轟かせ標的の元へと跳躍、自ら聖剣の間合いへ入るも問題無し。
刃に裂かれるよりも一手早く、怪物の巨椀に牙を突き立てた。
深々と喰い込む魔剣の如き鋭利さに、悲鳴を上げながら落下。
相手を押し倒したブイレックスは、そのまま噛み千切らんと顎の力を強める。
しかし敵もまた、狩られるのを大人しく待つつもりはない。
聖剣を持つのとは反対の手に銃を装備し、至近距離でトリガーを引く。
相手を押し倒したブイレックスは、そのまま噛み千切らんと顎の力を強める。
しかし敵もまた、狩られるのを大人しく待つつもりはない。
聖剣を持つのとは反対の手に銃を装備し、至近距離でトリガーを引く。
「躱せ!そんな豆鉄砲に撃たれんなよ!」
怪物の装備生成の様子は、離れて指示を飛ばす龍園にも見えた。
深追いは禁物と判断、逆らいはせずに腕から口を離す。
顔部分スレスレを光弾が掛けるも、焦らずに回避へと移行。
深追いは禁物と判断、逆らいはせずに腕から口を離す。
顔部分スレスレを光弾が掛けるも、焦らずに回避へと移行。
ダイヤの意匠が目を引く銃、ギャレンラウザーを連射。
下手な鉄砲も数撃ちゃ何とやら、との諺も出せない大火力が鋼鉄の巨体を付け狙う。
ラウズカードの効果を付与し、連射性能の強化に加え弾が火炎を纏う。
逃げ続けるだけでは埒が明かず、まして龍園自身がエリア内の破壊に巻き込まれる可能性も軽く見れない。
下手な鉄砲も数撃ちゃ何とやら、との諺も出せない大火力が鋼鉄の巨体を付け狙う。
ラウズカードの効果を付与し、連射性能の強化に加え弾が火炎を纏う。
逃げ続けるだけでは埒が明かず、まして龍園自身がエリア内の破壊に巻き込まれる可能性も軽く見れない。
「跳べブイレックス!一発かましてやれ!」
下した命令は無茶なもの、と知らぬ者は口に出すやもしれぬが。
恐竜の王をモチーフとしただけあり、ブイレックスの機動力は非常に高い。
駆け回りアスファルトを蹴り付け、怪物の頭上へと跳躍。
こちらを見上げる標的が、銃口を突き付けるも遅い。
真下の獲物へと振り下ろすは、山をも砕く巨大な尾。
ギャレンラウザーを叩き割り、巨体を豪快に叩きのめす。
恐竜の王をモチーフとしただけあり、ブイレックスの機動力は非常に高い。
駆け回りアスファルトを蹴り付け、怪物の頭上へと跳躍。
こちらを見上げる標的が、銃口を突き付けるも遅い。
真下の獲物へと振り下ろすは、山をも砕く巨大な尾。
ギャレンラウザーを叩き割り、巨体を豪快に叩きのめす。
『■■■■■■■■■■■■ア■■■■■アアア■ッ!!!』
痛みに呻く絶叫か、傷を付けられた激怒の咆哮か。
判断の付かぬ怪音が響き、辛うじて無事だった建造物のガラスが砕け散る。
施設として機能しない廃墟を、どれだけ破壊しようと満足には程遠い。
楯突く鋼鉄の恐竜を鉄屑の山に変えんと、手札の中でも飛び抜けて強力な一枚を切った。
判断の付かぬ怪音が響き、辛うじて無事だった建造物のガラスが砕け散る。
施設として機能しない廃墟を、どれだけ破壊しようと満足には程遠い。
楯突く鋼鉄の恐竜を鉄屑の山に変えんと、手札の中でも飛び抜けて強力な一枚を切った。
右手には銃剣一体の可変武器、イクサカリバー。
左手には強化変身兼専用装備、イクサライザー。
未だ尽きる事の無い手数以上に、警戒を抱かせるのは怪物が発するプレッシャーの急上昇。
最強の座を欲しいままにする神殺しから力を与えられた、神将ライダーが一体。
神将ライジングイクサの力を、ここに来て解放。
単なる武器の装備で終わらない、一端とはいえ創世の力を纏う。
左手には強化変身兼専用装備、イクサライザー。
未だ尽きる事の無い手数以上に、警戒を抱かせるのは怪物が発するプレッシャーの急上昇。
最強の座を欲しいままにする神殺しから力を与えられた、神将ライダーが一体。
神将ライジングイクサの力を、ここに来て解放。
単なる武器の装備で終わらない、一端とはいえ創世の力を纏う。
「また面倒くせぇことになりやがったな……」
次から次へと隠し玉が飛び出し、戦慄よりも呆れのが先に出る。
簡単に勝てる相手じゃないと、誰に言われずと分かっていたことだ。
戦いを放り投げる選択は、最初から持っていない。
簡単に勝てる相手じゃないと、誰に言われずと分かっていたことだ。
戦いを放り投げる選択は、最初から持っていない。
『Transformation Go ahead』
「わざわざご親切にありがとよ……!」
狙ったタイミングで電子音声が流れ、つい呆れ笑いを零す。
向こうがその気なら、こっちも相応の手に出るまで。
ブイレックスの力には、まだまだ先がある。
向こうがその気なら、こっちも相応の手に出るまで。
ブイレックスの力には、まだまだ先がある。
「ボイスフォーメーション!ブイレックスロボ!」
ブイコマンダーのボタン操作により、新たな指令を飛ばす。
第二ステージの幕開けを知らせる声が、ブイレックスへ届く。
黄色い眼光を光らせ直立、背部の重火器が一回転し両腕に変形。
折り畳まれた恐竜の頭部は、胸部を守る装甲に。
フェイスパーツが開き、露わとなった顔面が怪物を真っ向から睨み付けた。
第二ステージの幕開けを知らせる声が、ブイレックスへ届く。
黄色い眼光を光らせ直立、背部の重火器が一回転し両腕に変形。
折り畳まれた恐竜の頭部は、胸部を守る装甲に。
フェイスパーツが開き、露わとなった顔面が怪物を真っ向から睨み付けた。
もう一つの形態、ブイレックスロボがここに降臨。
ロンダーズの囚人達を慄かせた迫力にも動じず、怪物が右手を跳ね上げた。
対ファンガイア用の銀の銃弾も今や、誰彼構わず撃ち殺す凶弾に過ぎない。
鋼鉄の巨体を蜂の巣に変え、早々に力尽きさせる気か。
ロンダーズの囚人達を慄かせた迫力にも動じず、怪物が右手を跳ね上げた。
対ファンガイア用の銀の銃弾も今や、誰彼構わず撃ち殺す凶弾に過ぎない。
鋼鉄の巨体を蜂の巣に変え、早々に力尽きさせる気か。
「させると思ってんのかよ!」
馬鹿デカいだけの、無抵抗なサンドバッグと思うなら大間違いだ。
握り締めた左拳を突き出し、真正面の標的へと射出。
ライダー達の仮面が浮かんだ物体部分を叩き、堪らず全身を震わせる。
生憎と緩めてやる気はない、このまま勢いを維持させてもらう。
右手を向ければ、敵も今度こそはとイクサカリバーの引き金を引いた。
握り締めた左拳を突き出し、真正面の標的へと射出。
ライダー達の仮面が浮かんだ物体部分を叩き、堪らず全身を震わせる。
生憎と緩めてやる気はない、このまま勢いを維持させてもらう。
右手を向ければ、敵も今度こそはとイクサカリバーの引き金を引いた。
「ぶちかませ!!」
六連装のガトリングミサイルと、イクサカリバーの銃弾が激突。
互いに命中する前に撃ち抜かれ爆発、ノーダメージで凌ぐも三撃目はそうもいかない。
ブイレックスロボの動きを待たずして、イクサライザーが火を吹く。
上級ファンガイアにも効果的なダメージを与える威力が、巨大化とメラの力で更に底上げされたのだ。
咄嗟の防御すらままならず、ブイレックスロボの胴体に命中。
火花が雨のように降り注ぐ中、巨体が僅かに後退。
互いに命中する前に撃ち抜かれ爆発、ノーダメージで凌ぐも三撃目はそうもいかない。
ブイレックスロボの動きを待たずして、イクサライザーが火を吹く。
上級ファンガイアにも効果的なダメージを与える威力が、巨大化とメラの力で更に底上げされたのだ。
咄嗟の防御すらままならず、ブイレックスロボの胴体に命中。
火花が雨のように降り注ぐ中、巨体が僅かに後退。
「野郎……!」
流れをみすみす譲るような敵ではない、現にどうだ。
イクサライザーへ膨大なエネルギーが収束し、発射の瞬間を今か今かと待ち侘びていた。
もし撃たせてしまったら、ブイレックスロボへの大ダメージじゃあ済まない。
巨大サイズに加えて、創世の力と令呪一画分の強化を施した神将だ。
エリア丸々焼き払うのは、蟻を踏み潰すよりも容易い。
参加者の無事は、考えるまでもないだろう。
イクサライザーへ膨大なエネルギーが収束し、発射の瞬間を今か今かと待ち侘びていた。
もし撃たせてしまったら、ブイレックスロボへの大ダメージじゃあ済まない。
巨大サイズに加えて、創世の力と令呪一画分の強化を施した神将だ。
エリア丸々焼き払うのは、蟻を踏み潰すよりも容易い。
参加者の無事は、考えるまでもないだろう。
されど忘れるなかれ、強大な敵に挑むのは龍園一人だけじゃない。
滅ぼす為の剣は持たずとも、突き立てる牙は誰もが持っていることを。
滅ぼす為の剣は持たずとも、突き立てる牙は誰もが持っていることを。
「ドドドドドドドドドドド紅蓮爆龍剣!!!」
「いつからここはスーパーロボット大決戦の会場になったんだよ……!」
『FINAL VENT』
地上より放たれるは、渦を巻き大口を開けて迫る紅蓮の龍。
腹に据えかねるが、己の力だけでは戦士の戦場を穢す怪物を仕留められない。
だからといってすごすご引き下がるのは御免と、双牙を振るって最大威力の技を繰り出す。
グラファイトに続き、リュージもゾルダが持つ切札を召喚機に読み込ませる。
敵も味方もやりたい放題やらねば死ぬルールがあるのかよと、愚痴りたい衝動を抑え込み。
契約モンスター、マグナギガの背に銃を装填。
大砲、ミサイル、レーザー、機関銃と全ての得物が一斉に火を吹く。
腹に据えかねるが、己の力だけでは戦士の戦場を穢す怪物を仕留められない。
だからといってすごすご引き下がるのは御免と、双牙を振るって最大威力の技を繰り出す。
グラファイトに続き、リュージもゾルダが持つ切札を召喚機に読み込ませる。
敵も味方もやりたい放題やらねば死ぬルールがあるのかよと、愚痴りたい衝動を抑え込み。
契約モンスター、マグナギガの背に銃を装填。
大砲、ミサイル、レーザー、機関銃と全ての得物が一斉に火を吹く。
「……っ、体力全てを使い切っても構わん!限界以上に放て……!」
「こんなところで負けてなんかいられない……!まだ、やらなきゃいけない戦いがあるんだから……!」
「こんなところで負けてなんかいられない……!まだ、やらなきゃいけない戦いがあるんだから……!」
生きねばならない理由は、誰もが既に見付けてある。
式神の中でも一際巨大な個体、満象が召喚。
消耗が重く圧し掛かり、息が上がるも気力一つで姫和は意識を保つ。
巨大な象が大量の水を噴射し、敵の巨体へ当たるや凍結。
横に並んだ小夜もまた、疲労を押し殺し真化を発動。
そこいらに散らばる支給品の一つ、青薔薇の剣もまた自身の扱う魔力と相性が良い。
体力消費と相応の集中力に苛まれこめかみが軋みを上げるも、勝たねばという意思が跳ね除ける。
式神の中でも一際巨大な個体、満象が召喚。
消耗が重く圧し掛かり、息が上がるも気力一つで姫和は意識を保つ。
巨大な象が大量の水を噴射し、敵の巨体へ当たるや凍結。
横に並んだ小夜もまた、疲労を押し殺し真化を発動。
そこいらに散らばる支給品の一つ、青薔薇の剣もまた自身の扱う魔力と相性が良い。
体力消費と相応の集中力に苛まれこめかみが軋みを上げるも、勝たねばという意思が跳ね除ける。
「中学通ってるガキだってのに、覚悟決め過ぎだろ。……ま、ゲームセットにゃまだ早ぇか」
『FANG!MAXIMAM DRIVE!』
少女達の奮戦を尻目に、軽口を叩きつつメモリを装填。
蛮野が持っていた道具の一つであり、元は誰の支給品かは知らないが。
折角なので使わせてもらおうと、エンジンブレードにエネルギーを付与。
両手持ちで構えるや、バッターのフルスイングを思わせるフォームで振るう。
牙の記憶が生み出した斬撃波は、天の暴君の膂力も加わり凶器を超えた兵器に。
蛮野が持っていた道具の一つであり、元は誰の支給品かは知らないが。
折角なので使わせてもらおうと、エンジンブレードにエネルギーを付与。
両手持ちで構えるや、バッターのフルスイングを思わせるフォームで振るう。
牙の記憶が生み出した斬撃波は、天の暴君の膂力も加わり凶器を超えた兵器に。
そのどれもが、怪物を殺す役目を果たせない。
精々が意識をブイレックスロボから逸らし、ほんの僅かに攻撃を遅らせる程度。
しかし彼らの抵抗は無駄ではない、稼いだ少しばかりの時間で。
怪物にも、一つの変化が表れたのだから。
精々が意識をブイレックスロボから逸らし、ほんの僅かに攻撃を遅らせる程度。
しかし彼らの抵抗は無駄ではない、稼いだ少しばかりの時間で。
怪物にも、一つの変化が表れたのだから。
○○○
ライダー達の力を使い潰し。
見知った顔も含めた参加者達を追い詰め。
思ってもみなかった抵抗に遭い。
尚も止まらず排除へと動き。
無意味以外に何も言えない、ちっぽけな抵抗を受け。
見知った顔も含めた参加者達を追い詰め。
思ってもみなかった抵抗に遭い。
尚も止まらず排除へと動き。
無意味以外に何も言えない、ちっぽけな抵抗を受け。
外界で起きた全てを、最奥にいながらも認識し。
自分にはもう時間が残されてないと、避けられぬ末路を理解して。
綾小路清隆の意識は、徐々に薄れつつあった。
自分にはもう時間が残されてないと、避けられぬ末路を理解して。
綾小路清隆の意識は、徐々に薄れつつあった。
蛮野とゴーダでさえ制御もままならず、自分達が生み出した怪物は見境なしに暴れ回るだけ。
膨れ上がった生への渇望は、本来の望みを果たす事無く暴走。
生きたい、終わりたくない、だから全部壊せと。
順序がまるで成立しておらず、思考と呼べるのかも怪しい。
しかも一向に落ち着く気配はなく、こうして本体たる綾小路をも喰い潰す始末。
膨れ上がった生への渇望は、本来の望みを果たす事無く暴走。
生きたい、終わりたくない、だから全部壊せと。
順序がまるで成立しておらず、思考と呼べるのかも怪しい。
しかも一向に落ち着く気配はなく、こうして本体たる綾小路をも喰い潰す始末。
もしもこのまま、まかり間違って最後の一人になってしまったら。
マトモな優勝者と見なされるのだろうか。
至極どうでもいい疑問を、こんな状況で思い浮かべる己がどこかおかしいが。
生憎、クスリと笑うような人間じゃないのは自分が一番知ってる。
マトモな優勝者と見なされるのだろうか。
至極どうでもいい疑問を、こんな状況で思い浮かべる己がどこかおかしいが。
生憎、クスリと笑うような人間じゃないのは自分が一番知ってる。
(ああ、だけど……)
龍園達が勝つのか、怪物が全員殺すのか。
どちらにせよ、結局のところ自分は終ぞ目的を果たせないまま。
ただ利用されて、参加者でもない奴らに振り回されるだけで終わる。
どちらにせよ、結局のところ自分は終ぞ目的を果たせないまま。
ただ利用されて、参加者でもない奴らに振り回されるだけで終わる。
(それは――納得できないな)
抵抗に出ようとちっぽけな考えが、芽生えたのも。
ルルーシュという劇薬に会った影響が、少なからずあるんだろうかと。
答えを出す者のいない問い掛けは、パラパラと砕けて消える。
ルルーシュという劇薬に会った影響が、少なからずあるんだろうかと。
答えを出す者のいない問い掛けは、パラパラと砕けて消える。
終わりは避けられなくとも、終わらせ方は選べる。
散々自分を利用した異形達への、嫌がらせも籠めて。
意識がまだ完全に消されていない内に、残されたただ一つの手札を切る。
手の甲へ浮かんだ紋様が消えたと気付けたのは、綾小路だけだった。
散々自分を利用した異形達への、嫌がらせも籠めて。
意識がまだ完全に消されていない内に、残されたただ一つの手札を切る。
手の甲へ浮かんだ紋様が消えたと気付けたのは、綾小路だけだった。
○
「なんだってんだ……?」
決死の抵抗に僅かばかり動きを止めたが、大破壊の阻止には至らない。
精々がほんの少し先延ばしにしたに過ぎず、トリガーが引かれるのは時間の問題。
といった予定調和の未来を裏切り、怪物の様子へ龍園も眉を顰める。
飛行物体から生えた、ゴルドゼインに似た金色の上半身。
幾度もライダーの力を振るい、こちらを追い詰めて来たソイツが今は。
どういう訳か、見えない拘束具を付けられたように身動ぎするばかり。
精々がほんの少し先延ばしにしたに過ぎず、トリガーが引かれるのは時間の問題。
といった予定調和の未来を裏切り、怪物の様子へ龍園も眉を顰める。
飛行物体から生えた、ゴルドゼインに似た金色の上半身。
幾度もライダーの力を振るい、こちらを追い詰めて来たソイツが今は。
どういう訳か、見えない拘束具を付けられたように身動ぎするばかり。
外部からは確認不可能な最奥にて、綾小路は自身の意識が完全に破壊衝動へ飲み込まれる前に。
残された令呪二画を切り、その結果が隙を晒した怪物の姿。
蛮野やゴーダではない、綾小路が自分の意志で令呪を使った影響で。
僅かな間、異形の巨体の主導権を得る事に成功。
残された令呪二画を切り、その結果が隙を晒した怪物の姿。
蛮野やゴーダではない、綾小路が自分の意志で令呪を使った影響で。
僅かな間、異形の巨体の主導権を得る事に成功。
既に本来の目的は叶わないと、嫌でも理解出来た。
だからこれは、唯一残された選ぶ権利。
使われて怪物のまま終わるか、ちっぽけな抵抗に出て終わるか。
二つに一つ、どちらを選んでも結末は変わらない。
けど、前者で構わないと言うのは癪に障るような気がした。
だからこれは、唯一残された選ぶ権利。
使われて怪物のまま終わるか、ちっぽけな抵抗に出て終わるか。
二つに一つ、どちらを選んでも結末は変わらない。
けど、前者で構わないと言うのは癪に障るような気がした。
「綾小路……?」
名を呼んでも返答はない。
怪物に何が起きてるか、具体的な理由が分かる筈もない。
それでも、どうしてだろうか。
散々利用した黄金の悪魔へ、ここぞのタイミングで一泡吹かせたと。
囚われたまま、状況に流されるだけなのを認めず。
ちっぽけな蟻の一噛みで、意地を見せたのだと。
敗北を経て再戦を誓わせたあの男がやったと、そう確信を抱く己もいる。
怪物に何が起きてるか、具体的な理由が分かる筈もない。
それでも、どうしてだろうか。
散々利用した黄金の悪魔へ、ここぞのタイミングで一泡吹かせたと。
囚われたまま、状況に流されるだけなのを認めず。
ちっぽけな蟻の一噛みで、意地を見せたのだと。
敗北を経て再戦を誓わせたあの男がやったと、そう確信を抱く己もいる。
「…………」
トリガーはまだ引かれていないが、長続きもしない。
行動に出ないままでいれば、結局は全てが無駄になる。
そうなる前に決着を付ける為の方法は、もう分かっていた。
搭載された死なせず無力化する機能も、状況を考えるに狙い通りにはいかないだろう。
本当の意味で、相手を終わらせる。
行動に出ないままでいれば、結局は全てが無駄になる。
そうなる前に決着を付ける為の方法は、もう分かっていた。
搭載された死なせず無力化する機能も、状況を考えるに狙い通りにはいかないだろう。
本当の意味で、相手を終わらせる。
姫和と最初に出会った際、彼女に向けた言葉が己に返って来る。
余程のことがなければとは言ったが、今が正にその時。
丸っきり理解出来ない自分じゃなくとも、一切の抵抗がないとは言えない。
余程のことがなければとは言ったが、今が正にその時。
丸っきり理解出来ない自分じゃなくとも、一切の抵抗がないとは言えない。
「ああ、だけどよ……」
こんな場所での終わりを望まない気持ちは、自分一人だけのものじゃない。
刀使も、術師殺しも、Dゲームのプレイヤーも、魔法少女も。
敵であるバグスターや、自分に託した赤い王だって。
誰もが黄金によって齎される終焉を否定すべく、ここに至るまで足掻き続けた。
覆せない事実を己の迷いで無に還す程、龍園翔は背負った重みが分からない男ではないから。
刀使も、術師殺しも、Dゲームのプレイヤーも、魔法少女も。
敵であるバグスターや、自分に託した赤い王だって。
誰もが黄金によって齎される終焉を否定すべく、ここに至るまで足掻き続けた。
覆せない事実を己の迷いで無に還す程、龍園翔は背負った重みが分からない男ではないから。
「ブイレックスロボ、準備は良いな?」
とんだ荷物を背負っちまったと、マスクの下で苦笑いを浮かべるも。
標的を見据える瞳には、鋼鉄の巨人へ向けた声には迷いが微塵も宿らない。
決着を付けよう、己の意志で幕を下ろそう。
黄金の醜悪な復活祭と、使われ続けた一人の男の物語を。
標的を見据える瞳には、鋼鉄の巨人へ向けた声には迷いが微塵も宿らない。
決着を付けよう、己の意志で幕を下ろそう。
黄金の醜悪な復活祭と、使われ続けた一人の男の物語を。
「――マックスブリザード!!!」
フィナーレを飾るは、30世紀の犯罪者たちへ引導を渡した極寒の地獄。
両肩の砲口部分へ莫大なエネルギーを収束、狙いは言うまでもなく欲望の果ての怪物。
撃たせるな、撃たせてしまえば最早打つ手なし。
危機感に背を押されトリガーへ掛けた力を強めるも、意味があるとは到底言えまい。
いつの世も、悪党の悪足掻きは跳ね除けられると相場が決まっているのだから。
両肩の砲口部分へ莫大なエネルギーを収束、狙いは言うまでもなく欲望の果ての怪物。
撃たせるな、撃たせてしまえば最早打つ手なし。
危機感に背を押されトリガーへ掛けた力を強めるも、意味があるとは到底言えまい。
いつの世も、悪党の悪足掻きは跳ね除けられると相場が決まっているのだから。
『■■■■■■■■■■■■ア■■■■■アアア■ッ!!!???!!』
特大の光線がエリア全域を眩く照らし、月の光すら霞む下で。
ライダー達の顔を貼り付けた、飛行物体も。
見苦しく藻掻くの止めない、汚れた金色の成れの果ても。
他者の犠牲により叶えんとする、醜悪な欲望の炎も。
存在することが許し難しと断言されたように、超低温のビームによって瞬く間に生命力を薄れさせる。
ライダー達の顔を貼り付けた、飛行物体も。
見苦しく藻掻くの止めない、汚れた金色の成れの果ても。
他者の犠牲により叶えんとする、醜悪な欲望の炎も。
存在することが許し難しと断言されたように、超低温のビームによって瞬く間に生命力を薄れさせる。
『ワタシ■■■■■■■オレ■■■■■マダ■■■■■■■■■■■■■■コンナハズ■■■■■■■デハ■■■■■■■……ッ!!!』
鉄製品がスクラップへ変わるのに似た不快な音に混じる、苦悶の絶叫。
敗北を認めず否定に勤しむ声は、誰にも受け止められることはなく。
剥き出しの地面に転がる、出来の悪い人形が彼らの末路だった。
敗北を認めず否定に勤しむ声は、誰にも受け止められることはなく。
剥き出しの地面に転がる、出来の悪い人形が彼らの末路だった。
| 182:Reckless fire | 投下順 | 182:炎の叫びと欲望の果てと未来の約束(後編) |
| 時系列順 | ||
| 十条姫和 | ||
| アンク | ||
| 前坂隆二 | ||
| 十条姫和 | ||
| 龍園翔 | ||
| 伏黒甚爾 | ||
| 水神小夜 | ||
| 綾小路清隆 | ||
| 蛮野天十郎 | ||
| グラファイト |