Hello! Hello! Newhorizon!!
作者:◆wHsYL8cZCc
投稿日時:2010/11/15(月) 08:20:37
投稿日時:2010/11/15(月) 08:20:37
崩れた部屋だった。壁はぼろぼろに崩れ、天井は落ち、床には残骸が広がっていた。
崩れた壁からは外が見えた。海だった。どこまでも続く、真っ青な海。遥か向こうの地平線まではっきり見えるそれは、崩れた部屋から見る景色には似つかわしくない程美しかった。
崩れた壁からは外が見えた。海だった。どこまでも続く、真っ青な海。遥か向こうの地平線まではっきり見えるそれは、崩れた部屋から見る景色には似つかわしくない程美しかった。
無限桃花はなぜ自分がそこに居るのかは理解出来なかったが、それ自体はさしたる問題では無い事を知っていた。
そこは自由に設定された部屋。今は、崩れた部屋という設定がなされただけなのだ。場所は問題では無い。重要なのは、桃花をここへ呼んだ者なのだ。
そこは自由に設定された部屋。今は、崩れた部屋という設定がなされただけなのだ。場所は問題では無い。重要なのは、桃花をここへ呼んだ者なのだ。
「その通りだ、無限桃花」
声が聞こえた。
少女の声だった。桃花が後ろを振り向くと、小さなテーブルと椅子が二つ。そして、そこに座る少女。
創発の魔王。ハルトシュラーである。
少女の声だった。桃花が後ろを振り向くと、小さなテーブルと椅子が二つ。そして、そこに座る少女。
創発の魔王。ハルトシュラーである。
「何を呆けて居る? せっかく煎れた紅茶が冷めてしまう。はやく席に着くといい」
魔王はそう言った。桃花はそこへ向かって歩く。が、途中でいつもと違う物に気づいた。
自身の姿である。
黒い刀は持っていた。髪もいつもと同じ、ポニーテールである。衣服は、なんとセーラー服でも袴でも、ロングコートでも無いし、それら全てにも見えた。
不定型なのだ。さらに言えば、自身の体格はもちろん、その他全て、いつもと違う。自分が固定されていないのだ。
自身の姿である。
黒い刀は持っていた。髪もいつもと同じ、ポニーテールである。衣服は、なんとセーラー服でも袴でも、ロングコートでも無いし、それら全てにも見えた。
不定型なのだ。さらに言えば、自身の体格はもちろん、その他全て、いつもと違う。自分が固定されていないのだ。
「これは失礼した。基本設定のみで呼び出したからな。少し待て……」
魔王は指先をちょいと動かす。
すると、桃花の身体は少しずつ、不定な物から変わって行く。
すると、桃花の身体は少しずつ、不定な物から変わって行く。
「とりあえず、一番ベーシックな姿にした。それなら落ち着くだろう、桃花」
桃花は自分の両手を見る。着ている衣服を確かめる。
袴姿だった。
桃花は自分の両手を見る。着ている衣服を確かめる。
袴姿だった。
「私は……」
「まぁ座れ。せっかくだ。ゆっくり話そうではないか」
「まぁ座れ。せっかくだ。ゆっくり話そうではないか」
桃花は魔王に促されるまま、用意された椅子に座った。魔王がティーポットを持ち、桃花の前にあるカップに紅茶を注いだ。
「アッサムだ。ミルクはカップに入れておいたが、砂糖は自分の好みで入れてくれ。ちなみに私は甘いほうが好みだ」
桃花はティースプーンで砂糖を二杯入れ、掻き交ぜる。
魔王は珍しい程の笑顔で、ゆっくりそれを眺めた。まるで、懐かしい友人と久々に会うかのように、にこやかな笑みを絶やさなかった。
魔王は珍しい程の笑顔で、ゆっくりそれを眺めた。まるで、懐かしい友人と久々に会うかのように、にこやかな笑みを絶やさなかった。
「ここに来るのはずいぶんと久しぶりなんじゃないか? 桃花」
「え?」
「ふむ。覚えてないか。まぁ……この部屋の乱雑ぶりを見れば、ここでの瑣末な出来事など取るに足らないだろう事は想像がつくがね」
「え?」
「ふむ。覚えてないか。まぁ……この部屋の乱雑ぶりを見れば、ここでの瑣末な出来事など取るに足らないだろう事は想像がつくがね」
「ここは……。そうだ。私が生まれた部屋」
「そうだ。ずっと残してある。そして、お前の成長に合わせて、この部屋も変化していく」
「私に合わせて……ですか?」
「うむ」
「そうだ。ずっと残してある。そして、お前の成長に合わせて、この部屋も変化していく」
「私に合わせて……ですか?」
「うむ」
魔王は小さな口にカップを当て、紅茶を一口啜った。
「この部屋は、言わばお前自身の発信場所なのだ。すべての無限桃花はここで生まれ、そしてここからそれぞれ設定を得る。
そうなれば当然、最初に何も無い部屋にも、それぞれの無限桃花の影響が出るのだ」
「それがこの崩れた部屋?」
「崩れているように見えるのは私がそう見えるよう設定したからだ。解り易いだろう?
数多の無限桃花によって乱雑に膨らんだ部屋は、言わばお前自身の状態おも表す。この崩れ果てた部屋は、今のお前の姿だ」
「そうなんだ」
「あまり驚かんな」
「何と無く……解ってたから……」
「ふふ。やはり私と同じ性質があるだけの事はある。
そうだ。全ての無限桃花はここから生まれる。だが、私のように一つのゴールに向かって成長するのと違い、お前達は無数に枝別れしていくよう作られている。つまり……」
「部屋が手狭になってきた」
「そうだ。もはやここだけでは賄いきれない。お前は、もっと大きくなるべきなのだ。こんな狭い部屋で設定を増やした所で、部屋が乱雑になるだけ」
「私はどうすればいいの?」
「さぁな。そこは私にすら及ばぬ領域なのだ。無限の想像力の結晶が私なら、お前は無限の想像力がそれぞれ一人歩きした存在。私もお前も、その無限の力からは逃れられない」
「創作者達ね」
「そうだ。だが見るがいい。一握りの創作者が無茶をしたおかげで、この部屋はこの有様だ。乱雑へ向かうのはお前の宿命ではあるが、それを一カ所に留まってする必要は無い」
「じゃあどうすれば?」
「見て解らないか? お前は最初、あの崩れた壁の向こうをじっと見ていたではないか。答えはそれだ」
そうなれば当然、最初に何も無い部屋にも、それぞれの無限桃花の影響が出るのだ」
「それがこの崩れた部屋?」
「崩れているように見えるのは私がそう見えるよう設定したからだ。解り易いだろう?
数多の無限桃花によって乱雑に膨らんだ部屋は、言わばお前自身の状態おも表す。この崩れ果てた部屋は、今のお前の姿だ」
「そうなんだ」
「あまり驚かんな」
「何と無く……解ってたから……」
「ふふ。やはり私と同じ性質があるだけの事はある。
そうだ。全ての無限桃花はここから生まれる。だが、私のように一つのゴールに向かって成長するのと違い、お前達は無数に枝別れしていくよう作られている。つまり……」
「部屋が手狭になってきた」
「そうだ。もはやここだけでは賄いきれない。お前は、もっと大きくなるべきなのだ。こんな狭い部屋で設定を増やした所で、部屋が乱雑になるだけ」
「私はどうすればいいの?」
「さぁな。そこは私にすら及ばぬ領域なのだ。無限の想像力の結晶が私なら、お前は無限の想像力がそれぞれ一人歩きした存在。私もお前も、その無限の力からは逃れられない」
「創作者達ね」
「そうだ。だが見るがいい。一握りの創作者が無茶をしたおかげで、この部屋はこの有様だ。乱雑へ向かうのはお前の宿命ではあるが、それを一カ所に留まってする必要は無い」
「じゃあどうすれば?」
「見て解らないか? お前は最初、あの崩れた壁の向こうをじっと見ていたではないか。答えはそれだ」
二人は崩れた壁の向こうを見た。
遥か先の、どこまでも伸びる地平線。
遥か先の、どこまでも伸びる地平線。
「お前はまだまだ可能性があるはずだ。新たな無限桃花も必ず誕生する。いや、少しずつではあるが、すでに居る。この部屋へ留まる必要は無いのだ」
二人は地平線を眺めた。その後、他愛ない会話をしばらく続けたという。
向かう先は違えど、二人の持つ性質は全く同じ。無限の想像力。
それ故に、魔王はたびたび桃花を呼び寄せ、会話をするのだ。
向かう先は違えど、二人の持つ性質は全く同じ。無限の想像力。
それ故に、魔王はたびたび桃花を呼び寄せ、会話をするのだ。
【無限桃花は常に新たな書き手を募集しています。終】