アジョットと無限桃花を足して二で割ってみた
作者:◆wHsYL8cZCc
投稿日時:2011/10/02(日) 21:20:04.83
投稿日時:2011/10/02(日) 21:20:04.83
ある朝、無限桃花は目が覚めて、布団からむくりと起き上がった。
なんか首がこっていた。寝違えたのかとも思ったが、頭がいつもより重かった。やはり、ポニテのまま寝てしまったのがまずかったのだろうか。
頭の後ろに異物があれば、当然寝にくいだろう。だから疲れが取れていないのだ。
なんか首がこっていた。寝違えたのかとも思ったが、頭がいつもより重かった。やはり、ポニテのまま寝てしまったのがまずかったのだろうか。
頭の後ろに異物があれば、当然寝にくいだろう。だから疲れが取れていないのだ。
そう思いながら立ち上がったが、体はいつも以上に軽かった。むしろ、得体の知れぬエネルギーがたぎっているといった感じだ。でも、はやり頭は重かった。
ふと気が付けば、自身の感覚がやたらと鋭敏になっているという事にも気づいた。
なんか、自分の後方まで目が付いたように、視界が広く感じられた。
ふと気が付けば、自身の感覚がやたらと鋭敏になっているという事にも気づいた。
なんか、自分の後方まで目が付いたように、視界が広く感じられた。
「……?」
いや、違う。
実際に視界が広いのだ。真正面を向きながら、ほぼ真後ろまで見渡せた。
これは桃花には今まで無い能力だ。
自身の変化に戸惑いつつ、桃花は洗面所へ向かった。
実際に視界が広いのだ。真正面を向きながら、ほぼ真後ろまで見渡せた。
これは桃花には今まで無い能力だ。
自身の変化に戸惑いつつ、桃花は洗面所へ向かった。
ここは不思議な世界の狭間。
いくら時間軸も世界感も曖昧とはいえ、寝起きにする行動は決まっている。
まず最初に顔を洗い、歯を磨いて、朝食をとる。この行動は朝のルーティンワークとなっている。桃花はいつも通り、それに従い洗面所で自分の顔を見る。
いくら時間軸も世界感も曖昧とはいえ、寝起きにする行動は決まっている。
まず最初に顔を洗い、歯を磨いて、朝食をとる。この行動は朝のルーティンワークとなっている。桃花はいつも通り、それに従い洗面所で自分の顔を見る。
「……!?」
桃花は固まった。
いつもの見慣れた顔は、鏡に映っていなかった。ピンク色の長い髪も、本来であれば可愛らしい顔立ちも、そこには無かった。
代わりに映っていたのは。
いつもの見慣れた顔は、鏡に映っていなかった。ピンク色の長い髪も、本来であれば可愛らしい顔立ちも、そこには無かった。
代わりに映っていたのは。
「……アジ?」
そう、桃花はアジになっていた。
これには桃花も状況が理解できず、口をパクパクさせて茫然となった。何か喋ろうと思っても、頭部がアジまるまる一尾になっているので口をパクパクさせる事しかできなかった。
桃花はこの姿に見覚えがあった。
アジョ中だ。奴の姿は、アジまるまる一尾の頭部にマッチョボディという奇怪な姿。
これには桃花も状況が理解できず、口をパクパクさせて茫然となった。何か喋ろうと思っても、頭部がアジまるまる一尾になっているので口をパクパクさせる事しかできなかった。
桃花はこの姿に見覚えがあった。
アジョ中だ。奴の姿は、アジまるまる一尾の頭部にマッチョボディという奇怪な姿。
桃花はっと鏡を見た。
まさかと思って、自分の頭以外を確認した。
アジョ中=マッチョ。
まさか自分もそうなっているのではと思ったらしい。これでも桃花は乙女である。ある日突然、起きたらキレキレマッチョボディに変身していたら自殺モノだ。
まさかと思って、自分の頭以外を確認した。
アジョ中=マッチョ。
まさか自分もそうなっているのではと思ったらしい。これでも桃花は乙女である。ある日突然、起きたらキレキレマッチョボディに変身していたら自殺モノだ。
そして、ため息をエラからこぼした。
たしかに通常よりははるかにがっしりしていたが、それでもまだ「健康的なスポーツ体型」の域にとどまっている。
ふと考えれば、アジョ中は男で、自分は女なのだ。キレキレマッチョになるわけがない。
たしかに通常よりははるかにがっしりしていたが、それでもまだ「健康的なスポーツ体型」の域にとどまっている。
ふと考えれば、アジョ中は男で、自分は女なのだ。キレキレマッチョになるわけがない。
とりあえずどうするべきかと考えながら、くるりと振り返ると、尻尾で洗面台に乗っかった歯ブラシやらコップやらを薙ぎ払ってしまった。まだボディイメージは出来ていない。
この唐突な変化をどうとらえるべきか。
アジョ化した事で、なぜか気力と体力はみなぎっているような気がしていた。事実、体は軽く、視界は広く、そして肉体のタフさはアジョと同等だろうと考えられる。なぜならアジョになってるし。
アジョットと無限桃花を足して二で割ったアジョ花は、腕を組んでうろうろしていた。すると。
この唐突な変化をどうとらえるべきか。
アジョ化した事で、なぜか気力と体力はみなぎっているような気がしていた。事実、体は軽く、視界は広く、そして肉体のタフさはアジョと同等だろうと考えられる。なぜならアジョになってるし。
アジョットと無限桃花を足して二で割ったアジョ花は、腕を組んでうろうろしていた。すると。
「……なにこれ」
桃花、もといアジョ花は声のした方を見た。無限彼方が顔面蒼白でそこに立っていた。
昨晩は家に戻らなかったので、どうやら朝帰りのご様子。何してきたんだと思ってか、桃花、じゃないアジョ花はほほを膨らます、事は出来ないのでエラをパクパクさせた。
昨晩は家に戻らなかったので、どうやら朝帰りのご様子。何してきたんだと思ってか、桃花、じゃないアジョ花はほほを膨らます、事は出来ないのでエラをパクパクさせた。
「なにこれ、なんで姉さんのパジャマ着てるの……?」
アジョ花は言った。と言っても喋れないので、口をパクパクさせただけ。
おお、妹よ! 私はアジに進化した!
「ば……」
妹よ、なぜそんなこの世の終わりみたいな顔をしているのだ。
「化け物ー!」
彼方はそういって、大泣きしながら手当たり次第にそこら辺にあった物を投げつけてきた。極めて普通の反応と言える。
が、桃花には妹の行動が理解できなかった。
が、桃花には妹の行動が理解できなかった。
「このやろう! どこのどいつだこの変態!」
どこのどいつって、私だ! 桃花だ桃花!
そう言いたいのだろうが、口をいくらパクパクさせたとて彼方に通じるわけもなく。魚の読唇術などという意味の解らない技術は彼方が持ち合わせているわけがない。
そう言いたいのだろうが、口をいくらパクパクさせたとて彼方に通じるわけもなく。魚の読唇術などという意味の解らない技術は彼方が持ち合わせているわけがない。
「は! そういえば姉さんは……姉さんはどこ!?」
彼方は部屋の中を見渡した。
だが、残念ながら姉はアジに進化している。彼方はそれに気づかない。
だが、残念ながら姉はアジに進化している。彼方はそれに気づかない。
「このやろう! まさか姉さんを!」
彼方はとうとう刀を抜いて、アジョ花に襲い掛かった。が、アジに進化した桃花の身体能力たるや凄まじく、一撃二撃をさらりと躱し、続く太刀を真剣白刃取り。そのまま横にねじ伏せてしまった。
「こいつ、なんてパワー!」
妹よ、落ち着くんだ! 私だ! 桃花だ!
もちろん通じません。
もちろん通じません。
「口パクパク気持ち悪いんだよ! 畜生っ! 助けてー!」
大声で叫んだ彼方。刀を素手で捕えて組み伏せるアジョ花。傍から見れば彼方大ピンチである。
そして、その叫びに呼応するかのように。
そして、その叫びに呼応するかのように。
「裏刀ブーム!」
衝撃波はアジョ花が襲う。そのままアジョ花はふっとばされてしまった。
「タイムリー裏刀!」
「大丈夫か彼方!?」
「大丈夫か彼方!?」
眼鏡をかけた帽子の男、裏刀作が参上。彼方が朝帰りの理由はおそらくコイツである。
しっかり家まで送り届けるあたりはマメな奴なのか。
しっかり家まで送り届けるあたりはマメな奴なのか。
「なんかガタガタいってるから気になって戻ってみれば、なんだこの化け物!?」
「こいつ、姉さんを! 姉さんを!」
「なんだって!?」
「こいつ、姉さんを! 姉さんを!」
「なんだって!?」
吹っ飛ばされたアジョ花は起き上がって、裏刀の姿を見るなり、エラと口を大きくパクパクさせた。
このやろう! 妹に近づくなこの眼鏡男子め!
訳するとこう言っていると思われる。
このやろう! 妹に近づくなこの眼鏡男子め!
訳するとこう言っていると思われる。
「なんか怒ってるっぽいよあいつ!?」
「あの姿、アジョの親戚か何かか!?」
「知らないよ! とにかく姉さんを殺ったほどだから、気をつけないと!」
「そうだな。おまけに女性物のパジャマまで着こんで、この変態め!」
「しかもあれ姉さんのだし!」
「ますます度し難き変態だな! 成敗!」
「あの姿、アジョの親戚か何かか!?」
「知らないよ! とにかく姉さんを殺ったほどだから、気をつけないと!」
「そうだな。おまけに女性物のパジャマまで着こんで、この変態め!」
「しかもあれ姉さんのだし!」
「ますます度し難き変態だな! 成敗!」
いや私のだし、本人だし!
と、言いたいだろうが言えるわけもなく。
と、言いたいだろうが言えるわけもなく。
「モゲロハリケーン!」
直後、アジョ花は裏刀が放ったスーパー・アーツをまともに受け、ライフを減らしてOKされてしまった。
※
「おい、起きろ」
「……」
「起きろってば」
「むー……」
「起きないと鼻のてっぺんにわさび塗りつけるぞー?」
「やめれ~……」
「……」
「起きろってば」
「むー……」
「起きないと鼻のてっぺんにわさび塗りつけるぞー?」
「やめれ~……」
……?
はっ!
はっ!
「うわぁ!」
「なに!?」
「なに!?」
桃花は布団からがばっと起き上がり、今まさにわさびを塗り付けんとしていた彼方は驚いてしまった。
「裏刀はどこに!?」
「は? 居ないよ。何言ってんの?」
「居ない? 確か、あいつのスーパー・アーツを喰らってぶっ飛んで……」
「なんだそりゃ」
「は? 居ないよ。何言ってんの?」
「居ない? 確か、あいつのスーパー・アーツを喰らってぶっ飛んで……」
「なんだそりゃ」
呆れ顔でわさびのチューブに蓋をする彼方をしり目に、桃花は自分の顔をべたべたと触ってみた。
鱗の感触はない。水気も帯びてないし、ぬるぬるもしてないし、生臭くもない。
人間の顔だ。
鱗の感触はない。水気も帯びてないし、ぬるぬるもしてないし、生臭くもない。
人間の顔だ。
「恐ろしい夢を見た……」
「へぇ。どんな?」
「度し難き変態というか、化け物というか……」
「なにそれ? 昼間っから寝てるから」
「そうかな?」
「もう晩御飯の時間だよ。ほれ、はやく食べれ」
「うん」
「あ、しまったソース出すの忘れた。アレが無きゃ」
「今日のおかず何?」
「アジフライ」
「……ごめん、いらない」
「え? なんで?」
「ちょっと出かけてくる」
「え? どこにいくのさ?」
「アジョ中を殺してくる」
「は? え? ちょっとどうしたの!?」
「止めるな妹よ! アジは許せんのだ!」
「何言ってんだ落ち着け!」
「止めるなぁ!」
「へぇ。どんな?」
「度し難き変態というか、化け物というか……」
「なにそれ? 昼間っから寝てるから」
「そうかな?」
「もう晩御飯の時間だよ。ほれ、はやく食べれ」
「うん」
「あ、しまったソース出すの忘れた。アレが無きゃ」
「今日のおかず何?」
「アジフライ」
「……ごめん、いらない」
「え? なんで?」
「ちょっと出かけてくる」
「え? どこにいくのさ?」
「アジョ中を殺してくる」
「は? え? ちょっとどうしたの!?」
「止めるな妹よ! アジは許せんのだ!」
「何言ってんだ落ち着け!」
「止めるなぁ!」
なんだこれは。おわり。