Top > 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 > 異形世界・正義の定義 ~英雄/十二使徒~
正義の定義 ~英雄/十二使徒~ 第9話
―2010夏…
ついに、みんなで世界を創るスレが劇場化決定…?
???「忘れられた世界は、消えてしまうのだ…」
???「ならば世界に焼き付けよう……我らが生き様を!!」
_某日、現代日本。
(忘れもしない、あの日の出来事。
誰にも信じてもらえないけど……俺は確かに、一度死んだ……)
誰にも信じてもらえないけど……俺は確かに、一度死んだ……)
(地獄のバスツアーや閻魔との二者面談。そんな事があった後なのに回帰した日常は驚くほど平凡で…)
桐嶋「信じられないよな……信じられないけど……」
(夜々重……)
桐嶋「……?なんだあれ…?」
『黒い……ドーム!?』
日本の中心部に突如として現れたドーム。通称"閉鎖都市"
???「兄さん、これは一体……?」
???「……"閉鎖都市がどこかへ移動してしまった"みたいだね…」
???「……"閉鎖都市がどこかへ移動してしまった"みたいだね…」
次々と現れる謎の生命体・異形……
桐嶋「なんだよこいつら…、ば、化物!誰か助けて!」
異形「ギャアアアアス!!」
???「ほう、何やらおかしな事になっておるようじゃな」
???「?…ここは和泉じゃないのか……?」
???「あの…あのお方を助けなくてもいいのでしょうか……?」
???「?…ここは和泉じゃないのか……?」
???「あの…あのお方を助けなくてもいいのでしょうか……?」
全ての世界が一つになったとき、次元をかけた戦いが始まる……
???「忘れられた世界は消滅あるのみ……ならば世界を一つにし、その世界の頂点に
君臨してやろう!!我らは"イレギュラー"忘れられた世界の住人ぞ!!」
君臨してやろう!!我らは"イレギュラー"忘れられた世界の住人ぞ!!」
果たして世界の運命は?
???「最後に残ったのが温泉界だなんて……ど、どうしよ!?」
???「閻魔ともあろうものが……服を全部剥ぎ取られてしまうとはな……にしてもいい湯かげんだ」
???「閻魔ともあろうものが……服を全部剥ぎ取られてしまうとはな……にしてもいい湯かげんだ」
世界を乗っ取ろうと企む、"イレギュラー"の目的は!?
―また、会えたね…
桐嶋「まさかお前……!や…」
物語の結末は…!?
???「ここか?まつりのばしょは………?ふぇ?」
続報を待て…っ!?
「……おい!なんだコレ!」
「?……どうしたの?火燐たん」
「どうした、じゃないだろう……なんだよ最初のは…」
「悪乗りです」
「……呆れた」
「悪い!?」
「二回死ね!」
「んでんでんで?」
「にゃーんて?」
「かまってかまってほしいのー♪」
「?……どうしたの?火燐たん」
「どうした、じゃないだろう……なんだよ最初のは…」
「悪乗りです」
「……呆れた」
「悪い!?」
「二回死ね!」
「んでんでんで?」
「にゃーんて?」
「かまってかまってほしいのー♪」
第九話~火燐編~
「超弩級変態麻法少女ひととせたん!春夏秋登ー場ッ!!」
「超弩級変態麻法少女ひととせたん!春夏秋登ー場ッ!!」
―――…
…冒頭で騒がせてしまったことを諸君らにはお詫びしたい。あれは事実無根の捏造だ。
と、私…騎龍 火燐の口から言わせていただく。冒頭の話はこれにておしまい。おしまいったらおしまい!
と、私…騎龍 火燐の口から言わせていただく。冒頭の話はこれにておしまい。おしまいったらおしまい!
「ううん……」
春夏秋冬志希に拾われて数日がたった。私の心は未だに晴れない。
焔……たった一人の肉親だった。もう焔は戻ってこないし、仇を打つ相手は殺した。後に残ったのは
言い知れぬ虚しさと虚脱感。今は、何をするにもやる気が起きない。そんな中、タケゾー達を殺した
奴に対する憎悪は失われる事なく、胸の中で燃え盛っているのがわかった。結局私は何かに怒りを
ぶつけたいだけだ。
…それじゃいけないのに。わかっていても、怒りが収まることはない。復讐は自己満足……あいつ、
春夏秋冬志希は言っていたが、多分間違っていない。だけど…今の私にはそれしか存在理由が見当たらない。
「ん……あ…?」
太陽の陽の光が私の頬を焦がす。小鳥のせせらぎと、光合成する草の匂い。耳から目から鼻から、
朝を構成する要素を感じとる。自分の寝床以外で一夜を過ごすのは久々だったが、それ程寝起きも悪くない。
春夏秋冬志希に拾われて数日がたった。私の心は未だに晴れない。
焔……たった一人の肉親だった。もう焔は戻ってこないし、仇を打つ相手は殺した。後に残ったのは
言い知れぬ虚しさと虚脱感。今は、何をするにもやる気が起きない。そんな中、タケゾー達を殺した
奴に対する憎悪は失われる事なく、胸の中で燃え盛っているのがわかった。結局私は何かに怒りを
ぶつけたいだけだ。
…それじゃいけないのに。わかっていても、怒りが収まることはない。復讐は自己満足……あいつ、
春夏秋冬志希は言っていたが、多分間違っていない。だけど…今の私にはそれしか存在理由が見当たらない。
「ん……あ…?」
太陽の陽の光が私の頬を焦がす。小鳥のせせらぎと、光合成する草の匂い。耳から目から鼻から、
朝を構成する要素を感じとる。自分の寝床以外で一夜を過ごすのは久々だったが、それ程寝起きも悪くない。
ぴちゃ…ぴちゃ…
「……?」
寝起きの私の耳に、子猫がミルクを飲んでいるような音が入ってくる。何だ?そういえばやけに下半身がスースーするな……って
「何やってんだおのれは!!」
「ひゃい!?」
私のパンツを脱がし尻尾をしゃぶっていた変態が一人。こいつが春夏秋冬志希だ。
「あー、ごめんごめん。私昔っから寝相が悪くって」
悪びれる様子もなく言う春夏秋冬。そんな滅茶苦茶な言い分がまかり通ると思っているのだろうか?
「寝相が悪い事がパンツを脱がす事の何に関係してるって言うんだ」
「ほら、寝てる間につい無意識にパンツを……ね?」
「寝ながらあんな綺麗に下着をたためるのか」
「……そこに気がつくとは…やはり天才か……」
「……どうせ起きてて普通に下着を脱がしたんだろ?ホントなんなんだお前は」
「いやん、おこらないで火燐たん」
「即腹パン」
「ウグッ!」
もうこんなやりとりも定着しつつあるのが受け入れがたい事実ではある。腹を抑え恍惚の笑みを浮かべる
春夏秋冬を横目に私は朝食の準備をすることにした……
寝起きの私の耳に、子猫がミルクを飲んでいるような音が入ってくる。何だ?そういえばやけに下半身がスースーするな……って
「何やってんだおのれは!!」
「ひゃい!?」
私のパンツを脱がし尻尾をしゃぶっていた変態が一人。こいつが春夏秋冬志希だ。
「あー、ごめんごめん。私昔っから寝相が悪くって」
悪びれる様子もなく言う春夏秋冬。そんな滅茶苦茶な言い分がまかり通ると思っているのだろうか?
「寝相が悪い事がパンツを脱がす事の何に関係してるって言うんだ」
「ほら、寝てる間につい無意識にパンツを……ね?」
「寝ながらあんな綺麗に下着をたためるのか」
「……そこに気がつくとは…やはり天才か……」
「……どうせ起きてて普通に下着を脱がしたんだろ?ホントなんなんだお前は」
「いやん、おこらないで火燐たん」
「即腹パン」
「ウグッ!」
もうこんなやりとりも定着しつつあるのが受け入れがたい事実ではある。腹を抑え恍惚の笑みを浮かべる
春夏秋冬を横目に私は朝食の準備をすることにした……
「火燐たん、人を簡単に殴ったりするのは良くないよ!」
大根と豆腐の入った簡易的な味噌汁を作った私は一足先に朝食を摂っていた。後から春夏秋冬も
やってきて勝手に飯盒からご飯をよそっていく。別にこいつの為に作ったんじゃない。ただ作りすぎて
しまっただけだ。
「火燐たん、聞いてる?」
「ああ、うるさいなぁ。飯の時ぐらい静かにしてよ」
「もう、火燐たんたら、何で私にはそう冷たいのよ」
先程から春夏秋冬の奴がなにやら喚いているが、知ったこっちゃない。食事の時ぐらい静かにしたい。
む、この大根……芯がまだ白い。もうちょっと火にかけておくんだった。
ずずっと漆器に満たされる薄黄土色の液体を喉奥へと流しこむ。ふと、横目をやると春夏秋冬は質問の
返事を待っているかの如く熱い視線をこちらに送っているものだから困る。うざい。
ああ……めんどくさい奴だ!私は仕方なく返事を返すことにした。理由なんてこの一言で十分。
「ああもう……それはな、お前が変態だからだよ!」
「ひ、酷い…酷いわあ!よよよ……」
わざとらしくおどけるように悲しみの素振りをみせる春夏秋冬。その実、ちっとも凹んでいるようには見えない。
「まあそれはそうと、冒頭の話題に戻りますけども」
「最初の捏造劇場予告の事か?」
「それ戻り過ぎだから、メタ発言しちゃ『めっ』!」
春夏秋冬は親指を付き出して言う。どうやら私を叱っているようだった。気がつかなかった。
「人を簡単に殴っちゃダメですようって所!火燐たんは女の子なんだから、そんな乱暴な振る舞いしちゃ…」
「……別にやたら他人を殴るつもりはない。ただお前は別だ」
「え、それって……愛されてるって解釈で、いいのかしらん?」
「どう曲解したらそうなるんだよ……お前が殴られるようなことするからだって言いたいの」
「私だって女の子なのに…酷いわ、火燐たん」
むう、それを言われると何だか悪い気がしてくる。さすがに腹パンはやりすぎたかも……
「尻尾もふもふしたりパンツ被ったり頭の角削ったりパンツなめたりパンツ被ったりしてただけなのに!」
「……最初のはまだしもそれ以外は腹パン」
「え、じゃあ尻尾もふもふはしていいの!?」
「即腹パン」
「ウグッ!」
…といったように、ここ数日、春夏秋冬の腹筋の強化に務める日々が続いてはいるが、概ね平和(?)な
毎日を送っている。ただ、ホント春夏秋冬に流されっぱなしだな……とは思う。
大根と豆腐の入った簡易的な味噌汁を作った私は一足先に朝食を摂っていた。後から春夏秋冬も
やってきて勝手に飯盒からご飯をよそっていく。別にこいつの為に作ったんじゃない。ただ作りすぎて
しまっただけだ。
「火燐たん、聞いてる?」
「ああ、うるさいなぁ。飯の時ぐらい静かにしてよ」
「もう、火燐たんたら、何で私にはそう冷たいのよ」
先程から春夏秋冬の奴がなにやら喚いているが、知ったこっちゃない。食事の時ぐらい静かにしたい。
む、この大根……芯がまだ白い。もうちょっと火にかけておくんだった。
ずずっと漆器に満たされる薄黄土色の液体を喉奥へと流しこむ。ふと、横目をやると春夏秋冬は質問の
返事を待っているかの如く熱い視線をこちらに送っているものだから困る。うざい。
ああ……めんどくさい奴だ!私は仕方なく返事を返すことにした。理由なんてこの一言で十分。
「ああもう……それはな、お前が変態だからだよ!」
「ひ、酷い…酷いわあ!よよよ……」
わざとらしくおどけるように悲しみの素振りをみせる春夏秋冬。その実、ちっとも凹んでいるようには見えない。
「まあそれはそうと、冒頭の話題に戻りますけども」
「最初の捏造劇場予告の事か?」
「それ戻り過ぎだから、メタ発言しちゃ『めっ』!」
春夏秋冬は親指を付き出して言う。どうやら私を叱っているようだった。気がつかなかった。
「人を簡単に殴っちゃダメですようって所!火燐たんは女の子なんだから、そんな乱暴な振る舞いしちゃ…」
「……別にやたら他人を殴るつもりはない。ただお前は別だ」
「え、それって……愛されてるって解釈で、いいのかしらん?」
「どう曲解したらそうなるんだよ……お前が殴られるようなことするからだって言いたいの」
「私だって女の子なのに…酷いわ、火燐たん」
むう、それを言われると何だか悪い気がしてくる。さすがに腹パンはやりすぎたかも……
「尻尾もふもふしたりパンツ被ったり頭の角削ったりパンツなめたりパンツ被ったりしてただけなのに!」
「……最初のはまだしもそれ以外は腹パン」
「え、じゃあ尻尾もふもふはしていいの!?」
「即腹パン」
「ウグッ!」
…といったように、ここ数日、春夏秋冬の腹筋の強化に務める日々が続いてはいるが、概ね平和(?)な
毎日を送っている。ただ、ホント春夏秋冬に流されっぱなしだな……とは思う。
―――…
朝食を済ませると、私達は荷物をまとめ、歩き出した。行き先は知らない。春夏秋冬の後に続くだけだ。
昨日は野山を登って中頃まで来た辺りでテントを張り一夜を明かした。今日は下山からのスタート。
下りとあって足取りも軽い。
黙々と山を降りる中、春夏秋冬の背中を見て、私はこいつと出会った時の事を思い出していた……
昨日は野山を登って中頃まで来た辺りでテントを張り一夜を明かした。今日は下山からのスタート。
下りとあって足取りも軽い。
黙々と山を降りる中、春夏秋冬の背中を見て、私はこいつと出会った時の事を思い出していた……
―『何もわからないわ。だからこれから少しづつ教えてくれないかしら?』―
―『…このまま野垂れ死んだら、あなたを産んでくれたお母さんはどう思う?』―
―『…このまま野垂れ死んだら、あなたを産んでくれたお母さんはどう思う?』―
今なお深く残る春夏秋冬の言葉。この言葉があったから、私はまだ生きていられるのかもしれない。
とはいえ、一体何をすれば良いのかわからない。とりあえずトエルの奴を一発ぶん殴ってからじゃないと
考える気も起きない。
春夏秋冬に拾われた後、私は……自分の事を洗いざらい披歴させられた。母や焔のこと。
そして……あの夜のこと。
「今は休みなさい。あなたには事実を受け入れる時間が必要よ」
すべて話し終えた後に、春夏秋冬はそう言った。事実、その時の私は悲しみなど忘れてしまうほど衰弱
しきっていた。私は沈むように眠り落ちて、春夏秋冬に拾われたその日を終えた。
……翌日。私は春夏秋冬から逃げようとしたが、あのペンギン(今は私の隣を歩いている)が筋肉ムキムキ
になって私の体を担ぎ、半強制的に同行させられるハメになった訳だが。その日は確か春夏秋冬が自分の
事をペラペラと誇張混じりに話していた。何でもこいつは魔素と異形の事を研究しながら各地を渡り歩いている
らしい。人助けは趣味のようなもので「人を助けるのに理由は居るのかい?」という昔のゲームのキャラの
セリフに感化されたからおこなっていると本人は語っていた。
とはいえ、一体何をすれば良いのかわからない。とりあえずトエルの奴を一発ぶん殴ってからじゃないと
考える気も起きない。
春夏秋冬に拾われた後、私は……自分の事を洗いざらい披歴させられた。母や焔のこと。
そして……あの夜のこと。
「今は休みなさい。あなたには事実を受け入れる時間が必要よ」
すべて話し終えた後に、春夏秋冬はそう言った。事実、その時の私は悲しみなど忘れてしまうほど衰弱
しきっていた。私は沈むように眠り落ちて、春夏秋冬に拾われたその日を終えた。
……翌日。私は春夏秋冬から逃げようとしたが、あのペンギン(今は私の隣を歩いている)が筋肉ムキムキ
になって私の体を担ぎ、半強制的に同行させられるハメになった訳だが。その日は確か春夏秋冬が自分の
事をペラペラと誇張混じりに話していた。何でもこいつは魔素と異形の事を研究しながら各地を渡り歩いている
らしい。人助けは趣味のようなもので「人を助けるのに理由は居るのかい?」という昔のゲームのキャラの
セリフに感化されたからおこなっていると本人は語っていた。
次の日、そしてまた次の日と、私は春夏秋冬に連れられた。この辺りから私の呼称が「火燐たん」になる。
その上なんだかどんどん馴れ馴れしくなっていった。まぁそこら辺はちょっと腹がたったけど、私も一人旅は
心細いし、行く宛があるわけでもないので、仕方なく…いいか?仕方なくだが暫くの間春夏秋冬について
いこうと決め、現在に至るわけだ。
今、私は何をすべきかわからない。だけど、この春夏秋冬志希についていけば……何か見つけられるかも
しれない。そんな気がした。
「ねぇ火燐たん」
不意に春夏秋冬は立ち止まり、こちらに身体を捩った。なんだろう?
「…どうした」
「いや、さっきから私の背中執拗に見つめてるじゃない」
「……気のせいだ」
「…私、火燐たんになら抱かれてもいいわよ?」
「何故そうなる」
「え?私のこと抱きたくてうずうずしてるから私の背中を見ていたんじゃないのん?」
「誰がお前のことなんて抱きたくなるもんか」
「私受けでも攻めでもどっちでもオッケーだし。あ、火燐たんは抱かれる方が良かったかしら?」
…この女、ひとりで勝手に話を広げていきやがる。やっぱり付いていく人間間違えたかも……
その上なんだかどんどん馴れ馴れしくなっていった。まぁそこら辺はちょっと腹がたったけど、私も一人旅は
心細いし、行く宛があるわけでもないので、仕方なく…いいか?仕方なくだが暫くの間春夏秋冬について
いこうと決め、現在に至るわけだ。
今、私は何をすべきかわからない。だけど、この春夏秋冬志希についていけば……何か見つけられるかも
しれない。そんな気がした。
「ねぇ火燐たん」
不意に春夏秋冬は立ち止まり、こちらに身体を捩った。なんだろう?
「…どうした」
「いや、さっきから私の背中執拗に見つめてるじゃない」
「……気のせいだ」
「…私、火燐たんになら抱かれてもいいわよ?」
「何故そうなる」
「え?私のこと抱きたくてうずうずしてるから私の背中を見ていたんじゃないのん?」
「誰がお前のことなんて抱きたくなるもんか」
「私受けでも攻めでもどっちでもオッケーだし。あ、火燐たんは抱かれる方が良かったかしら?」
…この女、ひとりで勝手に話を広げていきやがる。やっぱり付いていく人間間違えたかも……
―――…
時計の針が丁度正午を差した頃,私達は宿場町へと足を踏み入れていた。必要な物資を購入するために
立寄っただけで、長居するつもりはないようだ。
街に入る前、頭の角をどう隠すか悩んでいた所、春夏秋冬に渡されたのはフードの付いたぶかぶかのコート
だった。これだけ大きければ角も尻尾も容易に隠せるであろうて。これで普段の変態行為が許される訳ではないが春夏秋冬のさり気無い心遣いに私は渋々感謝の意を込めて、
「別にこんなの頼んでないんだからな…」
と、前もって忠告しておきながら「……ありがとう」と、虫の音程度の声でぼそぼそと呟いた。
それ以降の春夏秋冬の機嫌が変に良くて私は違和を覚えた。何やら「ツンデレツンデレ」とか囁いていた
気がするが、ツンデレとは一体なんだろう?
立寄っただけで、長居するつもりはないようだ。
街に入る前、頭の角をどう隠すか悩んでいた所、春夏秋冬に渡されたのはフードの付いたぶかぶかのコート
だった。これだけ大きければ角も尻尾も容易に隠せるであろうて。これで普段の変態行為が許される訳ではないが春夏秋冬のさり気無い心遣いに私は渋々感謝の意を込めて、
「別にこんなの頼んでないんだからな…」
と、前もって忠告しておきながら「……ありがとう」と、虫の音程度の声でぼそぼそと呟いた。
それ以降の春夏秋冬の機嫌が変に良くて私は違和を覚えた。何やら「ツンデレツンデレ」とか囁いていた
気がするが、ツンデレとは一体なんだろう?
町は至って平凡な宿場町だった。何か珍しいものがあるわけでもない、目を引く建物があるわけでもない
普通の町。でもなんだろう、何かがおかしい。私は鵜の目鷹の目で町を見渡したが、やはりおかしな部分など
見受けられなかった。
「火燐たん、さっきから落ち着きないわよ?どしたの」
「……なんでもない」
さすがにこんなにキョロキョロしていたら怪しまれるだろうか?私は解決しない胸の靄を抱え悶々としていた……
普通の町。でもなんだろう、何かがおかしい。私は鵜の目鷹の目で町を見渡したが、やはりおかしな部分など
見受けられなかった。
「火燐たん、さっきから落ち着きないわよ?どしたの」
「……なんでもない」
さすがにこんなにキョロキョロしていたら怪しまれるだろうか?私は解決しない胸の靄を抱え悶々としていた……
「これとこれとこれは買いね。これは……」
宿場町の露店にて生活物資を買い込む春夏秋冬。店の奥では中年の男がやる気なさそーに構えている。
私は自分の住んでいた場所から出たことがなかった。故に他所での買い物というのは新鮮に感じた。
前にタケゾー達に町へ連れられたことがあったが、その時見たものとはまた違った見慣れぬものがたくさん
置いてある。例えば食べ物。海が近いのか海鮮類が多く目立つ。山に囲まれた私の居た町では魚なんて
それこそ川魚とかその程度で、こんな新鮮な海の幸が立ち並んでいるのは見慣れない光景だ。
昔は全国何処にいても食べ物には不自由しなかったと聞くが、本当なのだろうか?
…なんて、そんな事を考え呆けていると、前方不注意よろしく何かにぶち当たる。
「ほわ!?」
思わず間抜けな声を出してしまう。不覚。
「……ん?おいおい、ちゃんと前を向いて歩きなよ、あんた」
私がぶつかったのは人で、長身の垢抜けた青年だった。ジャラジャラと銀色の飾り物を体中にぶら下げて
いる。とても邪魔くさそう。
「Heyリトルガール!!Youも異形かいHAHAHA!」
そして青年の後ろからひょっこりと現れたのはやけにテンションの高い……なんだこいつは!!トカゲだ!
トカゲ頭!顔がトカゲで体は人間……
「キモッ!!」
「Oh、開口一言目がそれってちょっと失礼なんじゃないか~い!?これは参ったな……欧米じゃ最も
イカしてる髪型なんだけど」
「おい、髪型とか関係ない!頭の変化が解けてるぞマイティ」
「Ah…?オウ!!なんてこった!でもま、いいじゃないかブラザーッ!どうせ町中にもちらほら異形がいるんだしYeah!」
トカゲ頭の言葉を聞いてハッとする。町に感じた違和感はこれだったんだ。私の町では異形は……存在
そのものが疎まれていたから、町中で見かけることもなかった。だから普通に町中を歩く異形がおかしく
見えたんだ。
宿場町の露店にて生活物資を買い込む春夏秋冬。店の奥では中年の男がやる気なさそーに構えている。
私は自分の住んでいた場所から出たことがなかった。故に他所での買い物というのは新鮮に感じた。
前にタケゾー達に町へ連れられたことがあったが、その時見たものとはまた違った見慣れぬものがたくさん
置いてある。例えば食べ物。海が近いのか海鮮類が多く目立つ。山に囲まれた私の居た町では魚なんて
それこそ川魚とかその程度で、こんな新鮮な海の幸が立ち並んでいるのは見慣れない光景だ。
昔は全国何処にいても食べ物には不自由しなかったと聞くが、本当なのだろうか?
…なんて、そんな事を考え呆けていると、前方不注意よろしく何かにぶち当たる。
「ほわ!?」
思わず間抜けな声を出してしまう。不覚。
「……ん?おいおい、ちゃんと前を向いて歩きなよ、あんた」
私がぶつかったのは人で、長身の垢抜けた青年だった。ジャラジャラと銀色の飾り物を体中にぶら下げて
いる。とても邪魔くさそう。
「Heyリトルガール!!Youも異形かいHAHAHA!」
そして青年の後ろからひょっこりと現れたのはやけにテンションの高い……なんだこいつは!!トカゲだ!
トカゲ頭!顔がトカゲで体は人間……
「キモッ!!」
「Oh、開口一言目がそれってちょっと失礼なんじゃないか~い!?これは参ったな……欧米じゃ最も
イカしてる髪型なんだけど」
「おい、髪型とか関係ない!頭の変化が解けてるぞマイティ」
「Ah…?オウ!!なんてこった!でもま、いいじゃないかブラザーッ!どうせ町中にもちらほら異形がいるんだしYeah!」
トカゲ頭の言葉を聞いてハッとする。町に感じた違和感はこれだったんだ。私の町では異形は……存在
そのものが疎まれていたから、町中で見かけることもなかった。だから普通に町中を歩く異形がおかしく
見えたんだ。
「火燐たん~…ってあら、この方達はどなた?」
買い物を終えた様子の春夏秋冬。そんなのこっちが聞きたい。
「このガールとは今会ったばかりだZE…yeah……」
「ちょっと俺がこの子とぶつかっただけ。俺は旅に必要な物を買い込んでてさ」
そう言うと、青年は両手に下げる袋を見せてきた。中には食料や生活消耗品などがぎゅうぎゅう詰めにされている。
「まぁ旅のお方?行き先は何処へ?」
「ちょっと大阪の方までStay~にね!」
トカゲ頭は答える。大阪……かの秀吉公の城のあった場所か。私はその土地について詳しくは知らない。
分かる事といえば金城のあった場所だいう事とたこ焼きが美味いらしいという事ぐらいだ。
「あら奇遇、私達も丁度大阪へ向かうところだったのよ」
え?私達も大阪へ向っていたのか?今更ながら目的地がわかったが、大阪とは……たこ焼き食いたいな!
「へー、そうなの?」
「Hey!それならどうだい?大阪まで俺達と一緒に行かないかい?旅は道連れって奴さHAHAHA!」
「良いわね。人が多い方が楽しいし!」
「えぇーッ!?」
なんということだ。青年の方はまだしも、こんなトカゲ頭と一緒に歩くのは嫌だ。そもそも見るからに怪しさ
全開じゃないか。こんな奴と歩いてたら警察に捕まるぞ。
何としてでも同行は避けたい私は断固として抗議した。
「おい春夏秋冬!!私は嫌だぞ!!あんなトカゲ頭と一緒だなんて!」
「Oh、リトルガール……こいつはトカゲじゃなくて、カ・メ・レ・オ・ン・!」
「どっちでもいいわッ!ハエでも食ってろ!」
「うっ……ひどいZE…マミー、マミー!」
「ちなみにこいつの言う"マミー"は母親の事じゃなくて麻美(交際歴三年)という半年前にふられた彼女の名前である」
「そういう事言わなくて良いZE相棒!!!」
どうでも良い暴露がなされている最中、春夏秋冬が私に話しかけてくる。
「いいじゃない火燐たん。トカゲの一匹や二匹」
「嫌だよなんかあれウザイ」
あんなのと四六時中一緒にいたら精神が持ちそうにない。私はけして拒否の姿勢を崩さなかったが……
春夏秋冬がこんな事を言い出すものだから…
「あ、そうか……火燐たんは私と二人っきりになりたいから嫌がっていたのね?」
「んな!?」
「ふ~ん、そうよねぇ、二人っきりじゃないとできないこともあるしねぇ?」
「Why!?You達そういう関係!?」
「ちょっと理解出来ない世界だね…」
「ちょ、ちがうっての!!そんなんじゃ……」
なんて言ってみても二人は既に私達をそういう目で見ていた。いわゆるイロモノを見るような。なんだよ!!
お前らだって十分イロモノだろうッッ!!
「火燐た~んぎゅ!」
「こらだきつくな!!ぐッ…!」
買い物を終えた様子の春夏秋冬。そんなのこっちが聞きたい。
「このガールとは今会ったばかりだZE…yeah……」
「ちょっと俺がこの子とぶつかっただけ。俺は旅に必要な物を買い込んでてさ」
そう言うと、青年は両手に下げる袋を見せてきた。中には食料や生活消耗品などがぎゅうぎゅう詰めにされている。
「まぁ旅のお方?行き先は何処へ?」
「ちょっと大阪の方までStay~にね!」
トカゲ頭は答える。大阪……かの秀吉公の城のあった場所か。私はその土地について詳しくは知らない。
分かる事といえば金城のあった場所だいう事とたこ焼きが美味いらしいという事ぐらいだ。
「あら奇遇、私達も丁度大阪へ向かうところだったのよ」
え?私達も大阪へ向っていたのか?今更ながら目的地がわかったが、大阪とは……たこ焼き食いたいな!
「へー、そうなの?」
「Hey!それならどうだい?大阪まで俺達と一緒に行かないかい?旅は道連れって奴さHAHAHA!」
「良いわね。人が多い方が楽しいし!」
「えぇーッ!?」
なんということだ。青年の方はまだしも、こんなトカゲ頭と一緒に歩くのは嫌だ。そもそも見るからに怪しさ
全開じゃないか。こんな奴と歩いてたら警察に捕まるぞ。
何としてでも同行は避けたい私は断固として抗議した。
「おい春夏秋冬!!私は嫌だぞ!!あんなトカゲ頭と一緒だなんて!」
「Oh、リトルガール……こいつはトカゲじゃなくて、カ・メ・レ・オ・ン・!」
「どっちでもいいわッ!ハエでも食ってろ!」
「うっ……ひどいZE…マミー、マミー!」
「ちなみにこいつの言う"マミー"は母親の事じゃなくて麻美(交際歴三年)という半年前にふられた彼女の名前である」
「そういう事言わなくて良いZE相棒!!!」
どうでも良い暴露がなされている最中、春夏秋冬が私に話しかけてくる。
「いいじゃない火燐たん。トカゲの一匹や二匹」
「嫌だよなんかあれウザイ」
あんなのと四六時中一緒にいたら精神が持ちそうにない。私はけして拒否の姿勢を崩さなかったが……
春夏秋冬がこんな事を言い出すものだから…
「あ、そうか……火燐たんは私と二人っきりになりたいから嫌がっていたのね?」
「んな!?」
「ふ~ん、そうよねぇ、二人っきりじゃないとできないこともあるしねぇ?」
「Why!?You達そういう関係!?」
「ちょっと理解出来ない世界だね…」
「ちょ、ちがうっての!!そんなんじゃ……」
なんて言ってみても二人は既に私達をそういう目で見ていた。いわゆるイロモノを見るような。なんだよ!!
お前らだって十分イロモノだろうッッ!!
「火燐た~んぎゅ!」
「こらだきつくな!!ぐッ…!」
「あーもー!わかったよう!!」
結局、私が折れて、4人(と1匹)で大阪まで向かうことになった。
―――…
「へぇ~、賞金稼ぎなのあなた達」
必要なものを買い終え、宿場町を後にする。また道なき道をひたすら歩くのかと思うと気が滅入る。
春夏秋冬は終始あの二人と会話し続けていた。私は暇だったので春夏秋冬のペンギン(キングという名前らしい)
を抱き上げて弄って遊んでいた。会話には参加しなかったが、聞こえてくる話の内容からお互いのことを話しているであろうことがわかる。青年の方の名前は"胡西久英"(こにし ひさひで)。
トカゲ頭で妖怪変化の異形"Mr.マイティ"と組んで賞金稼ぎをしているらしい。
「そ。でも最近収入も安定しなくて……大阪の方で暫く傭兵でもやってみようかなって思ってさ」
胡西は財布の中身を見て一憂しつつ言った。今の時代、安定した暮らしを得るというのは難しいもの。
「大変ねぇ……」
必要なものを買い終え、宿場町を後にする。また道なき道をひたすら歩くのかと思うと気が滅入る。
春夏秋冬は終始あの二人と会話し続けていた。私は暇だったので春夏秋冬のペンギン(キングという名前らしい)
を抱き上げて弄って遊んでいた。会話には参加しなかったが、聞こえてくる話の内容からお互いのことを話しているであろうことがわかる。青年の方の名前は"胡西久英"(こにし ひさひで)。
トカゲ頭で妖怪変化の異形"Mr.マイティ"と組んで賞金稼ぎをしているらしい。
「そ。でも最近収入も安定しなくて……大阪の方で暫く傭兵でもやってみようかなって思ってさ」
胡西は財布の中身を見て一憂しつつ言った。今の時代、安定した暮らしを得るというのは難しいもの。
「大変ねぇ……」
「それでYou達は何で大阪に!?」
「ああ、ちょっと師匠に会いに行くの」
春夏秋冬は答える。師匠がいたのかこいつには。何だこいつは、肝心な事は何も言わないなこいつ。
きっとこいつの師匠なんだからとんでもない変人に違いない。
「師匠……って?」
私が聞かずとも先に胡西が聞いてくれた。まぁ名前なんて聞いても私がわかるはずないが。
「玉梓っていうんだけど」
「……え?」
胡西達は金縛りを食らったようにその場で固まる。静寂、少しの間の後、二人は一斉に驚く。
「ええええええええええええええええええええッ!?」
「玉梓ってあのおおおおおおおおお!?」
「かの有名な五体系のおおおおおおおおおおおお」
「んほおおおおおおおおおお!!」
「しゅごいいいいいいいいい!!」
どうやら凄い偉い人物のようだ。二人の驚きっぷりから如何に凄いのかが伝わってくる。
……人は見かけによらないんだな……
「まあ天才ですから、私」
謙遜もなくそう言ってしまう辺り、この春夏秋冬という人間がどういう人物なのかがわかる。とんでもない自信家だ。
「YesYesYes!全く驚いたぜ~Yeah」
「玉梓の弟子凄いですね」
「それほどでもない」
それからというもの、話題は玉梓と言う人の事で持ちきりになった。私は特に興味もなかったので聞き耳を
立てるのをやめる。だって私は玉梓っていう人がどんなに凄いのかわからないし。再び退屈風に吹かれるのみである。
「ああ、ちょっと師匠に会いに行くの」
春夏秋冬は答える。師匠がいたのかこいつには。何だこいつは、肝心な事は何も言わないなこいつ。
きっとこいつの師匠なんだからとんでもない変人に違いない。
「師匠……って?」
私が聞かずとも先に胡西が聞いてくれた。まぁ名前なんて聞いても私がわかるはずないが。
「玉梓っていうんだけど」
「……え?」
胡西達は金縛りを食らったようにその場で固まる。静寂、少しの間の後、二人は一斉に驚く。
「ええええええええええええええええええええッ!?」
「玉梓ってあのおおおおおおおおお!?」
「かの有名な五体系のおおおおおおおおおおおお」
「んほおおおおおおおおおお!!」
「しゅごいいいいいいいいい!!」
どうやら凄い偉い人物のようだ。二人の驚きっぷりから如何に凄いのかが伝わってくる。
……人は見かけによらないんだな……
「まあ天才ですから、私」
謙遜もなくそう言ってしまう辺り、この春夏秋冬という人間がどういう人物なのかがわかる。とんでもない自信家だ。
「YesYesYes!全く驚いたぜ~Yeah」
「玉梓の弟子凄いですね」
「それほどでもない」
それからというもの、話題は玉梓と言う人の事で持ちきりになった。私は特に興味もなかったので聞き耳を
立てるのをやめる。だって私は玉梓っていう人がどんなに凄いのかわからないし。再び退屈風に吹かれるのみである。
暫く歩いた後、春夏秋冬は「休憩をとろう」と私達を呼び止めた。丁度日も暮れてきた頃だった。
「せっかくだからさ、今日は此処でテントを張ることにしない?」
胡西はそう提案した。今日は随分歩いた、私は異論なく胡西の提案に乗ることにした。春夏秋冬も
賛成しているし、私達の今夜の寝床が決まった。そうと決まれば早速テントを張らなくちゃいけないな。
なんだかんだでこの生活にも慣れ始めてきた。テントだってほら、こんなに早く張れるようになったし。
テントも張り終わり、暇になった私はペンギンのキングと戯れていたけど、飽きてしまった。
「チチチ…」
そんな私の前に現れた茂みからひょっこりと顔を出す一匹のリス。山にいた頃はこれらの動物とも仲が
良かったな……なんて感傷に浸っていると、リスはいつの間にか私の目の前まで移動していた。
「こんにちはオチビさん?どうしたのかな?」
「チチチ……」
そういえばこのリス、あまり見かけない種類だなぁ。白い体毛のリスなんてめずらしい……
それに何かこのリス…様子が変……
「チチチ……ぐ…グアァァァッァァァアァァッァァアアアアアアアア!!!」
「え?」
リスとは思えない鳴き声が私の耳を突き抜ける。一体何!?考える間も無くリスの体の変化に私はただただ慄然とした。
数秒前は愛らしいリスがいたその場所に今いるのは、3mは越そうかという巨体の異形。
まずい、こんな至近距離じゃ魔法を使う隙もない。異空術系も同様、どうしよう……!
「ヂイイイイイイイイイイ!!!」
「やられるッ!」
異形の大きな腕が私に振り下ろされる。もうダメ、私は目を閉じ頭を抱えてうずくまった。
「せっかくだからさ、今日は此処でテントを張ることにしない?」
胡西はそう提案した。今日は随分歩いた、私は異論なく胡西の提案に乗ることにした。春夏秋冬も
賛成しているし、私達の今夜の寝床が決まった。そうと決まれば早速テントを張らなくちゃいけないな。
なんだかんだでこの生活にも慣れ始めてきた。テントだってほら、こんなに早く張れるようになったし。
テントも張り終わり、暇になった私はペンギンのキングと戯れていたけど、飽きてしまった。
「チチチ…」
そんな私の前に現れた茂みからひょっこりと顔を出す一匹のリス。山にいた頃はこれらの動物とも仲が
良かったな……なんて感傷に浸っていると、リスはいつの間にか私の目の前まで移動していた。
「こんにちはオチビさん?どうしたのかな?」
「チチチ……」
そういえばこのリス、あまり見かけない種類だなぁ。白い体毛のリスなんてめずらしい……
それに何かこのリス…様子が変……
「チチチ……ぐ…グアァァァッァァァアァァッァァアアアアアアアア!!!」
「え?」
リスとは思えない鳴き声が私の耳を突き抜ける。一体何!?考える間も無くリスの体の変化に私はただただ慄然とした。
数秒前は愛らしいリスがいたその場所に今いるのは、3mは越そうかという巨体の異形。
まずい、こんな至近距離じゃ魔法を使う隙もない。異空術系も同様、どうしよう……!
「ヂイイイイイイイイイイ!!!」
「やられるッ!」
異形の大きな腕が私に振り下ろされる。もうダメ、私は目を閉じ頭を抱えてうずくまった。
……。
しかし、いつになっても痛みが襲ってくる事はない。私は恐る恐る瞼を上げてみる……するとそこには…
「うちの火燐たんに手出しするなんて……いい度胸してるじゃないのん」
「グガガ……!」
腹部に一発拳をねじ込まれ地に伏す異形と、いつの間にかピンク色のかつら(地毛は茶色)を被っている春夏秋冬の姿があった。
「麻法少女オールバケーション!!火燐たんのピンチに駆けつけ推参仕った!!」
「……そのカツラは必要なのか…?」
「顔は同じでも髪型が違えばバレない変身ヒロインの法則!!」
「バレバレだから。意味ないからそれ」
「グガガ……!」
腹部に一発拳をねじ込まれ地に伏す異形と、いつの間にかピンク色のかつら(地毛は茶色)を被っている春夏秋冬の姿があった。
「麻法少女オールバケーション!!火燐たんのピンチに駆けつけ推参仕った!!」
「……そのカツラは必要なのか…?」
「顔は同じでも髪型が違えばバレない変身ヒロインの法則!!」
「バレバレだから。意味ないからそれ」
「グアアアアァァァァ……!!」
茂みの奥から聞こえてくる複数の声。どうやら異形は一匹じゃなかったみたい。
「おいお~い……これは一体どういう事だZE!?」
「どうやら……囲まれたみたいだよマイティ」
胡西達もやってきて状況確認。私達は異形に囲まれたようで、四方から聞こえてくる鳴き声に警戒しつつ
どうするかを話しあう。
「数は……ざっと10~20ってところかしらん?」
「その程度なら、やっつけられそうかな」
泰然とそう言ったのは胡西。よほど自分の腕に自信があると見た。
「結構多いわよ?」
「やれるさ。これでも俺達は賞金稼ぎ、だろ?マイティ」
「YesYesYes!さあ、今宵もCarnivalの始まりだ!!変化!!」
トカゲ頭は飛び上がりクルリと一回転宙返りすると、ボフンと煙をあげる。その煙の中から出てきたものは
柄の長さが人の身長ほどある戦斧だった。
「さ、行こうか」
『it's show time !!』
戦意を察したのか、茂みからぞろぞろと現れる異形達。胡西は戦斧を握り、軽くステップを踏みつつ
その集団へと立ち向かっていった。
「さて、私達も……あ、火燐たんは私の後ろに隠れてて良いのよ」
春夏秋冬は私を気遣って言ったのだろうが、私としては舐められてる気がしてならない。
「……さっきは不意を突かれただけだ。自分の身くらい自分で守る…」
「無理はしないでね?危なくなったらすぐお姉様に言うのよ、"お姉様"に!!」
お姉様の部分を強調する春夏秋冬。誰が言ってやるものか。私は異空召喚を行うため術符を懐から取り出す。
「異界に存在する強者よ…今一度我にその力を貸し与え賜え!」
「召喚!現れろ!汝らが名前は…」
茂みの奥から聞こえてくる複数の声。どうやら異形は一匹じゃなかったみたい。
「おいお~い……これは一体どういう事だZE!?」
「どうやら……囲まれたみたいだよマイティ」
胡西達もやってきて状況確認。私達は異形に囲まれたようで、四方から聞こえてくる鳴き声に警戒しつつ
どうするかを話しあう。
「数は……ざっと10~20ってところかしらん?」
「その程度なら、やっつけられそうかな」
泰然とそう言ったのは胡西。よほど自分の腕に自信があると見た。
「結構多いわよ?」
「やれるさ。これでも俺達は賞金稼ぎ、だろ?マイティ」
「YesYesYes!さあ、今宵もCarnivalの始まりだ!!変化!!」
トカゲ頭は飛び上がりクルリと一回転宙返りすると、ボフンと煙をあげる。その煙の中から出てきたものは
柄の長さが人の身長ほどある戦斧だった。
「さ、行こうか」
『it's show time !!』
戦意を察したのか、茂みからぞろぞろと現れる異形達。胡西は戦斧を握り、軽くステップを踏みつつ
その集団へと立ち向かっていった。
「さて、私達も……あ、火燐たんは私の後ろに隠れてて良いのよ」
春夏秋冬は私を気遣って言ったのだろうが、私としては舐められてる気がしてならない。
「……さっきは不意を突かれただけだ。自分の身くらい自分で守る…」
「無理はしないでね?危なくなったらすぐお姉様に言うのよ、"お姉様"に!!」
お姉様の部分を強調する春夏秋冬。誰が言ってやるものか。私は異空召喚を行うため術符を懐から取り出す。
「異界に存在する強者よ…今一度我にその力を貸し与え賜え!」
「召喚!現れろ!汝らが名前は…」
「"人食いミルカ"!」―【学園同士で戦争するスレ/魔法少女孤独系】―
「"ジョン・スミス"!」―【シェアード・ワールドを作ってみよう/なんでも屋シリーズ】―
「"岬 陽太@夜能力"」―【チェンジリング・デイ/月下の魔剣 】―
「"ジョン・スミス"!」―【シェアード・ワールドを作ってみよう/なんでも屋シリーズ】―
「"岬 陽太@夜能力"」―【チェンジリング・デイ/月下の魔剣 】―
「…夢の叶う場所に行くんだ。邪魔するなら……喰うよ?いいの?」
「さて、いくら払う?」
「俺の名は岬月下!神に、天の宿命に叛く男!今日異世界で死ぬ事が、神の定めた宿命ならば…
叛いてやるさ!その宿命!!」(きまった…!)
「さて、いくら払う?」
「俺の名は岬月下!神に、天の宿命に叛く男!今日異世界で死ぬ事が、神の定めた宿命ならば…
叛いてやるさ!その宿命!!」(きまった…!)
光が収束する。現れたのは大きなマントを羽織った少女、ガタイの良い古ぼけた外套を纏う男。そして、
なぜか大根を構える少年であった。
「……一人スカか。なんか大根持ってるし」
「おい、スカって誰のことだよ!そしてこれはレイディィィィィッシュ!!」
訴える大根少年を無視しつつ、私も戦闘態勢に入る。一応龍なので少しの魔法と火を噴く位はできる。
「火燐たん凄い!!こんな事出来たんだ~!」
「ふん、異空術の一つだ。異世界の影を映しとり、具現化する……それが異空召喚術」
「へえ、私も負けてられないわね、行くわよ!キング!」
「変身!!」
春夏秋冬がキングの体に注射器を刺す。すると、メキメキと餅が膨れ上がるように肉体が盛り上がる。
筋肉集合体。八頭身ムッキムキになった気持ち悪い生物が出来上がった。
「this way…」
「さー!行くよ!!信義の鉄拳!受けてみよ!」
春夏秋冬は青白い光を拳にまとい、気持ち悪くなってしまったキングと共に突っ込んでいく。
個人的にキングは変身する前の方がいい。
「私も……行くかな…」
私は流されるままに戦いの渦中へと飛び込んでいく。あの夜から何かが吹っ切れてしまったようだ……
戦うことに抵抗はなかった。
なぜか大根を構える少年であった。
「……一人スカか。なんか大根持ってるし」
「おい、スカって誰のことだよ!そしてこれはレイディィィィィッシュ!!」
訴える大根少年を無視しつつ、私も戦闘態勢に入る。一応龍なので少しの魔法と火を噴く位はできる。
「火燐たん凄い!!こんな事出来たんだ~!」
「ふん、異空術の一つだ。異世界の影を映しとり、具現化する……それが異空召喚術」
「へえ、私も負けてられないわね、行くわよ!キング!」
「変身!!」
春夏秋冬がキングの体に注射器を刺す。すると、メキメキと餅が膨れ上がるように肉体が盛り上がる。
筋肉集合体。八頭身ムッキムキになった気持ち悪い生物が出来上がった。
「this way…」
「さー!行くよ!!信義の鉄拳!受けてみよ!」
春夏秋冬は青白い光を拳にまとい、気持ち悪くなってしまったキングと共に突っ込んでいく。
個人的にキングは変身する前の方がいい。
「私も……行くかな…」
私は流されるままに戦いの渦中へと飛び込んでいく。あの夜から何かが吹っ切れてしまったようだ……
戦うことに抵抗はなかった。
―――…
「風よ、集り穿け」
年代物の外套を纏う男はそう呟き、風の刃を作り出す。その刃は洋槍の様な形状となり異形達に降り注ぐ。
「ギャオオオオオオッ!?」
異形の集団は吹き飛ばされ散り散りになった。そんな異形達を今度は無数の虫が群がり襲う。
「…!?……ッ!…ッ……」
おぞましい光景だった。虫が引いた後、そこにあったものは無残な異形の亡骸。
虫達が戻帰る先に立ち尽くす一人の少女。虫達は彼女の体へと入っていく。
「うぐ……!」
年代物の外套を纏う男はそう呟き、風の刃を作り出す。その刃は洋槍の様な形状となり異形達に降り注ぐ。
「ギャオオオオオオッ!?」
異形の集団は吹き飛ばされ散り散りになった。そんな異形達を今度は無数の虫が群がり襲う。
「…!?……ッ!…ッ……」
おぞましい光景だった。虫が引いた後、そこにあったものは無残な異形の亡骸。
虫達が戻帰る先に立ち尽くす一人の少女。虫達は彼女の体へと入っていく。
「うぐ……!」
「くらえ!!アクアニードル!!」
大根少年は手から大量のウニを放出する。異形達は美味しそうにそれを味わっていた。新鮮魚介類を提供してどうする。
「何…?アクアニードルが効かないだと……!?馬鹿な!?」
「……馬鹿はお前だ」
呆れた。相手を満足させてどうする。大根少年は「いやまて!いい考えがある!」とか抜かしているが……
この手の発言をして成功した例を見た気がしない。
「閃いた!こいつを特と味わうんだな……サブマリン・クラッシャー!!」
少年の手からまた何かが放たれる。先程の攻撃で味を占めていた異形達は口を開けてそれを捕食する。
食べ終われば当然次はこちら。異形達は少年の方へと駆けていく。マズイな。
いよいよ異形達が少年を捕食範囲に捉えたその時、異変が起きる。
「が…ガアアアアアァァァ…!!」
「え?何?」
突如として苦しみだす異形達。その横では得意気に笑みを浮かべる大根少年がいた。
彼は計画通りと言わんばかりに語り始める。
「かかったなアホが…生のフグを食べるなんてそれこそ自殺行為……!はじめのアクアニードルはいわば
これを仕掛けるための前フリだったんだよ……!」
「……え?フグの毒って異形に効くのか?」
私は思わずつっこんでしまった。
「……そこは強力な毒を持ったフグってことにしとけよ」
「そもそもフグ毒ごときで倒せるのか?」
「たまたまあいつらの弱点がフグ毒だったんだよ……」
「何その都合の良い解釈。というかぶっちゃけ作戦なんて考えてなかっただろ?」
「細かい事うだうだ言うなよ。そんな事一々言ってたらチェンジリング世界じゃやっていけないぜ」
「ここはチェンジリング世界じゃないし」
大根少年は手から大量のウニを放出する。異形達は美味しそうにそれを味わっていた。新鮮魚介類を提供してどうする。
「何…?アクアニードルが効かないだと……!?馬鹿な!?」
「……馬鹿はお前だ」
呆れた。相手を満足させてどうする。大根少年は「いやまて!いい考えがある!」とか抜かしているが……
この手の発言をして成功した例を見た気がしない。
「閃いた!こいつを特と味わうんだな……サブマリン・クラッシャー!!」
少年の手からまた何かが放たれる。先程の攻撃で味を占めていた異形達は口を開けてそれを捕食する。
食べ終われば当然次はこちら。異形達は少年の方へと駆けていく。マズイな。
いよいよ異形達が少年を捕食範囲に捉えたその時、異変が起きる。
「が…ガアアアアアァァァ…!!」
「え?何?」
突如として苦しみだす異形達。その横では得意気に笑みを浮かべる大根少年がいた。
彼は計画通りと言わんばかりに語り始める。
「かかったなアホが…生のフグを食べるなんてそれこそ自殺行為……!はじめのアクアニードルはいわば
これを仕掛けるための前フリだったんだよ……!」
「……え?フグの毒って異形に効くのか?」
私は思わずつっこんでしまった。
「……そこは強力な毒を持ったフグってことにしとけよ」
「そもそもフグ毒ごときで倒せるのか?」
「たまたまあいつらの弱点がフグ毒だったんだよ……」
「何その都合の良い解釈。というかぶっちゃけ作戦なんて考えてなかっただろ?」
「細かい事うだうだ言うなよ。そんな事一々言ってたらチェンジリング世界じゃやっていけないぜ」
「ここはチェンジリング世界じゃないし」
―――…
「なんとか片付いたみたいね……」
そんなに強い連中じゃなかったせいか、ものの数十分で異形は撃退できた。
私が召喚に使った術符が空気に溶ける。それに続くように、私が異世界から召喚した住民達は徐々に
その姿を光に変えていく。
そんなに強い連中じゃなかったせいか、ものの数十分で異形は撃退できた。
私が召喚に使った術符が空気に溶ける。それに続くように、私が異世界から召喚した住民達は徐々に
その姿を光に変えていく。
「ここでもなかった……夢の叶う場所なんて、ほんとにあるのかな…?」
「さて、次の依頼に向かうとしよう…」
「そういや今回レイディッシュ使ってねぇ……」
「さて、次の依頼に向かうとしよう…」
「そういや今回レイディッシュ使ってねぇ……」
一言づつ言い残して消えていく異世界の住人たち。なんか濃いメンツだった。
「それにしても……この大根はどうしましょ」
春夏秋冬はあの少年がだしていった大根を手に取りそう漏らす。捨てればいいんじゃないかな。
「Yeah!せっかくだから味噌煮込みにでもしようZE!」
食うんかい。
「それにしても……この大根はどうしましょ」
春夏秋冬はあの少年がだしていった大根を手に取りそう漏らす。捨てればいいんじゃないかな。
「Yeah!せっかくだから味噌煮込みにでもしようZE!」
食うんかい。
―――…
「ゲップ」
「こらキング。お行儀が悪いわよ」
異形を撃退した後、私達は何事もなかったかのように夕飯の支度をし、ご飯を美味しく頂いた。
あんな事があった後でもこうして春夏秋冬達が平然としていられるのはやはり慣れているからだろうか?
ちなみにあの大根は味噌漬けにして食べた。これが意外とうまかったな。
「Oh…マイティもう食べられない~……いやぁ旨かった!HAHAHA!」
「やっぱり、食事は人数が多いほうが楽しいね」
トカゲ頭も胡西も満足そうに言った。私は違ったな。一人で食べたほうが良い。焔のいない食事なんて……
「どうしたの?火燐たん」
意気消沈する私に気が付いたのか、春夏秋冬が私の顔を覗き込む。やば……もしかしたら泣いてたかも!
泣き顔見られるのは嫌だ!私は慌てて顔を両手で覆った。
「……火燐たん、ホームシック?」
「違うけど……似たようなもん。私にはもう帰る場所なんてない。焔は……もういないから」
「お姉さんの事が恋しくなったのん?」
「……別に」
と言いかけた時、私の頭を抱き寄せる春夏秋冬。唐突すぎてびっくりした。心音が高まる。暖かい。
人肌のぬくもり。体越しに伝わる心臓の鼓動。私は自然と瞼を落とした。くやしい、こんな奴で……
「私は貴方のことまだ少ししか知らない。けど、悪い子じゃないってことはわかるわ。
苦しかったら泣いていいのよ?我慢する必要なんてないんだから」
こんな奴で、焔の温もりを思い出してしまうなんて。
焔はよく、私が不安になったらこんな風に抱きしめてくれたっけ?あの優しさが蘇る。瞼の裏に映るのは
今は亡き姉の顔だった。
「くそっ……何でおまえなんかで…ひぐッ…焔の事を思い出すんだよぉ…!」
「いいのよ、今は私のこと……"お姉様"って、呼んでも…」
「ど…どうせお前……それを言わせたいだけなんだろ……ぐじゅ…ズズズ…」
「そそそそんなことないわよお!!」
明らかに吃音気味であった。でも今はそれでいいよ。私は弱い。弱いから他人のぬくもりを感じていなきゃ
駄目なんだ。不安になるんだ。そんなんだから、焔を守れなかった……
「こらキング。お行儀が悪いわよ」
異形を撃退した後、私達は何事もなかったかのように夕飯の支度をし、ご飯を美味しく頂いた。
あんな事があった後でもこうして春夏秋冬達が平然としていられるのはやはり慣れているからだろうか?
ちなみにあの大根は味噌漬けにして食べた。これが意外とうまかったな。
「Oh…マイティもう食べられない~……いやぁ旨かった!HAHAHA!」
「やっぱり、食事は人数が多いほうが楽しいね」
トカゲ頭も胡西も満足そうに言った。私は違ったな。一人で食べたほうが良い。焔のいない食事なんて……
「どうしたの?火燐たん」
意気消沈する私に気が付いたのか、春夏秋冬が私の顔を覗き込む。やば……もしかしたら泣いてたかも!
泣き顔見られるのは嫌だ!私は慌てて顔を両手で覆った。
「……火燐たん、ホームシック?」
「違うけど……似たようなもん。私にはもう帰る場所なんてない。焔は……もういないから」
「お姉さんの事が恋しくなったのん?」
「……別に」
と言いかけた時、私の頭を抱き寄せる春夏秋冬。唐突すぎてびっくりした。心音が高まる。暖かい。
人肌のぬくもり。体越しに伝わる心臓の鼓動。私は自然と瞼を落とした。くやしい、こんな奴で……
「私は貴方のことまだ少ししか知らない。けど、悪い子じゃないってことはわかるわ。
苦しかったら泣いていいのよ?我慢する必要なんてないんだから」
こんな奴で、焔の温もりを思い出してしまうなんて。
焔はよく、私が不安になったらこんな風に抱きしめてくれたっけ?あの優しさが蘇る。瞼の裏に映るのは
今は亡き姉の顔だった。
「くそっ……何でおまえなんかで…ひぐッ…焔の事を思い出すんだよぉ…!」
「いいのよ、今は私のこと……"お姉様"って、呼んでも…」
「ど…どうせお前……それを言わせたいだけなんだろ……ぐじゅ…ズズズ…」
「そそそそんなことないわよお!!」
明らかに吃音気味であった。でも今はそれでいいよ。私は弱い。弱いから他人のぬくもりを感じていなきゃ
駄目なんだ。不安になるんだ。そんなんだから、焔を守れなかった……
私は……!
「落ち着いた?火燐たん」
「ああ……」
年甲斐もなく泣き面を見せてしまった私。今は恥ずかしくてまともに春夏秋冬の顔が見れない。
「へぇ~、らぶらぶだね」
「らぶらぶです」
「Crazy!同性愛はいけないなぁ~非生産的な!」
「何故そういう方向へ行く!お前ら全員!」
好き勝手言われてたみたいだから声を荒らげてみた。そしたら「いつもの調子に戻ったね」って、春夏秋冬が
言うものだから参った。ホント、私の事気にかけてるんだか、ただの変態なのか良く解らん奴だ。
「ああ……」
年甲斐もなく泣き面を見せてしまった私。今は恥ずかしくてまともに春夏秋冬の顔が見れない。
「へぇ~、らぶらぶだね」
「らぶらぶです」
「Crazy!同性愛はいけないなぁ~非生産的な!」
「何故そういう方向へ行く!お前ら全員!」
好き勝手言われてたみたいだから声を荒らげてみた。そしたら「いつもの調子に戻ったね」って、春夏秋冬が
言うものだから参った。ホント、私の事気にかけてるんだか、ただの変態なのか良く解らん奴だ。
―――…
食後、何をする訳でもなく焚き火の前に集まっていると、胡西が口を開いた。
「そういえば、最近異形達がおかしな動きをしてるみたいだね」
「あぁ、知ってるわよ。変に統率の取れた異形達」
話題になったのは最近の異形。私達古き異形とは異なる存在。日本全土を暗中跋扈する獣。
それらは基本、群れであることはあってもせいぜい20~30程度の集まりが関の山。しかし最近は、100程の
集団も珍しくはなくなってきているという。知能が低い下級異形が大多数を占める中、そんな大軍を
纏めることなどあるのだろうか?自然と群れができてもその規模に達するとは到底思えない。
「なんでも、意図的に統率している者がいるって噂さ。あくまでも噂だけどね」
そう言い、胡西は焚き木に新しい薪をくべる。火は火力を強め、胡西顔が火に照らされる。その表情は真剣そのものだ。
…もしそんな、異形を統率している人間がいるとすれば、一体何が目的なんだろう?考えても答えは出ない。
「ここだけの話、近いうちに何か大きな事が起きるわ」
春夏秋冬は、半ば確信じみた言い方をする。
「……どうしてそんな事が分かるんだ?」
私は春夏秋冬に問う。こいつが何を知っているのか、聞いておかなければならないような気がしたから。
「裂け目の結界が、弱まってきてるの」
「……裂け目?」
「知ってるでしょ?今の日本に変わってしまった元凶……異形が溢れるようになった断層のことよ」
「……Why!?なんだって!?そりゃまじかよ!?」
衝撃の事実にトカゲ頭が飛び上がる。少しオーバーな気もしたが、飛び上がりたくなる気持ちもわかる。
「ええ、知り合いに裂け目を観測している人がいるんだけど……目に見えて、確実に結界が弱まっているって」
「そんな……どうして?」
「さぁね?私は専門家じゃないもの。ただ……妙なのよね」
「?」
「あの結界、数年前までは後500年は解けないって言われてた強力なものなの。それに定期的に補修もしているはず」
「え?じゃあ……それってまさか…」
「「何者かが……結界を破ろうとしている?」」
トカゲ頭と声がハモった瞬間だった。
「わからないわ。現地の人は色々探っているみたいだけど原因も不明だし、どちらにせよこのままでは結界
は破れるわ。……なんとなく嫌な予感がするのよねぇ、何かが起きる、そんな胸騒ぎがね……」
「結界が破れたら……どうなるんだ?」
恐る恐る私は聞く。春夏秋冬は少し遠くを見つめ、何か遠い未来を見透かすようにこう言った。
「そりゃあ、異形が溢れて、戦争が起きるわね」
「戦争…!!」
タケゾー達がいた街で起こったようなことが、全国で起きるって言うのか?罪もない焔のような異形、
タケゾーやカナミの様な人間がまた生まれるのか!?そんなの……そんなの絶対に…!
「許せない……!」
二度と繰り返しちゃいけないんだ…あんな事!
「まだ何もわかってない。わからなすぎて不気味なくらい。だから私たちは大阪へ行くのよ。師匠なら何か知っているはず。事の全容に少しでも近づけるなら……良いんだけど」
「何だか凄いスケールの話になってるZE」
「定職探ししてる俺らとはまるで別次元の話だね」
「そういえば、最近異形達がおかしな動きをしてるみたいだね」
「あぁ、知ってるわよ。変に統率の取れた異形達」
話題になったのは最近の異形。私達古き異形とは異なる存在。日本全土を暗中跋扈する獣。
それらは基本、群れであることはあってもせいぜい20~30程度の集まりが関の山。しかし最近は、100程の
集団も珍しくはなくなってきているという。知能が低い下級異形が大多数を占める中、そんな大軍を
纏めることなどあるのだろうか?自然と群れができてもその規模に達するとは到底思えない。
「なんでも、意図的に統率している者がいるって噂さ。あくまでも噂だけどね」
そう言い、胡西は焚き木に新しい薪をくべる。火は火力を強め、胡西顔が火に照らされる。その表情は真剣そのものだ。
…もしそんな、異形を統率している人間がいるとすれば、一体何が目的なんだろう?考えても答えは出ない。
「ここだけの話、近いうちに何か大きな事が起きるわ」
春夏秋冬は、半ば確信じみた言い方をする。
「……どうしてそんな事が分かるんだ?」
私は春夏秋冬に問う。こいつが何を知っているのか、聞いておかなければならないような気がしたから。
「裂け目の結界が、弱まってきてるの」
「……裂け目?」
「知ってるでしょ?今の日本に変わってしまった元凶……異形が溢れるようになった断層のことよ」
「……Why!?なんだって!?そりゃまじかよ!?」
衝撃の事実にトカゲ頭が飛び上がる。少しオーバーな気もしたが、飛び上がりたくなる気持ちもわかる。
「ええ、知り合いに裂け目を観測している人がいるんだけど……目に見えて、確実に結界が弱まっているって」
「そんな……どうして?」
「さぁね?私は専門家じゃないもの。ただ……妙なのよね」
「?」
「あの結界、数年前までは後500年は解けないって言われてた強力なものなの。それに定期的に補修もしているはず」
「え?じゃあ……それってまさか…」
「「何者かが……結界を破ろうとしている?」」
トカゲ頭と声がハモった瞬間だった。
「わからないわ。現地の人は色々探っているみたいだけど原因も不明だし、どちらにせよこのままでは結界
は破れるわ。……なんとなく嫌な予感がするのよねぇ、何かが起きる、そんな胸騒ぎがね……」
「結界が破れたら……どうなるんだ?」
恐る恐る私は聞く。春夏秋冬は少し遠くを見つめ、何か遠い未来を見透かすようにこう言った。
「そりゃあ、異形が溢れて、戦争が起きるわね」
「戦争…!!」
タケゾー達がいた街で起こったようなことが、全国で起きるって言うのか?罪もない焔のような異形、
タケゾーやカナミの様な人間がまた生まれるのか!?そんなの……そんなの絶対に…!
「許せない……!」
二度と繰り返しちゃいけないんだ…あんな事!
「まだ何もわかってない。わからなすぎて不気味なくらい。だから私たちは大阪へ行くのよ。師匠なら何か知っているはず。事の全容に少しでも近づけるなら……良いんだけど」
「何だか凄いスケールの話になってるZE」
「定職探ししてる俺らとはまるで別次元の話だね」
「そうだったのか……」
「ん?火燐たん?」
私のやるべきことが、見つかりそうな気がする。お母さん、焔…死んでいった皆……私は、
みんなの死を無駄にはしない!
「春夏秋冬、その異変に黒幕は居るのか?」
あの夜起きた事は、既に手遅れだった。でも今回は違う。まだ何もわからないけど、時間はあるんだ。
「どうかしら?……火燐たん、首突っ込むのやめるなら今のうちだけど?」
何が待っているか、まだわからない。
「ここまで話しておいてそれはないだろう……春夏秋冬」
どんな困難が待っていようと、私はこの生命を賭けて挑もう。
「火燐たんを危ない目に合わせるのは気がひけるけど……火燐たんがしたいなら、好きにすればいい」
私のやるべきことが、見つかりそうな気がする。お母さん、焔…死んでいった皆……私は、
みんなの死を無駄にはしない!
「春夏秋冬、その異変に黒幕は居るのか?」
あの夜起きた事は、既に手遅れだった。でも今回は違う。まだ何もわからないけど、時間はあるんだ。
「どうかしら?……火燐たん、首突っ込むのやめるなら今のうちだけど?」
何が待っているか、まだわからない。
「ここまで話しておいてそれはないだろう……春夏秋冬」
どんな困難が待っていようと、私はこの生命を賭けて挑もう。
「火燐たんを危ない目に合わせるのは気がひけるけど……火燐たんがしたいなら、好きにすればいい」
「行こう、大阪へ……!」
何一つやるべきことなんてわかってないけど、私の生きる意味は見つけ出せた気がする。
もう二度と、あの血塗られた夜にこの空を明け渡さない!それが私の、存在理由だ!
もう二度と、あの血塗られた夜にこの空を明け渡さない!それが私の、存在理由だ!
―――…
「いやー、着いたねぇ大阪!」
数日後、順調に旅路を進む私達はついに大阪へと到着した。長いような短いようなそんな道中であった。
「ふう、君達ともここでお別れだね」
「あ、そうねぇ」
胡西達は大阪で傭兵になるのが目的だったな。数日間共にしただけあって、少し名残惜しい。
今となっちゃこのトカゲ頭もなかなか愛嬌があるように見えてきた。
「Yeah!マイティ達は大阪にいるZE、何か手を貸してほしいことがあったらいつでも呼んでくれよブラザー!」
「それじゃ、また」
「近いうち、どこかお食事にでも行きましょ」
「Yes!」
そうして、胡西達とは街中で別れた。今生の別れって訳じゃない。またいつでも会えるさ。
同じ街にいるんだから。
「さてと……私達も行きましょうか?」
「そうだn…」
数日後、順調に旅路を進む私達はついに大阪へと到着した。長いような短いようなそんな道中であった。
「ふう、君達ともここでお別れだね」
「あ、そうねぇ」
胡西達は大阪で傭兵になるのが目的だったな。数日間共にしただけあって、少し名残惜しい。
今となっちゃこのトカゲ頭もなかなか愛嬌があるように見えてきた。
「Yeah!マイティ達は大阪にいるZE、何か手を貸してほしいことがあったらいつでも呼んでくれよブラザー!」
「それじゃ、また」
「近いうち、どこかお食事にでも行きましょ」
「Yes!」
そうして、胡西達とは街中で別れた。今生の別れって訳じゃない。またいつでも会えるさ。
同じ街にいるんだから。
「さてと……私達も行きましょうか?」
「そうだn…」
ぐうぅぅ~……
「はて?」
参った。せっかく気合いれていこうと思った矢先、これだ。
「火燐たん、お腹へってるの?」
「う……うるさいうるさい!!お前の師匠に会いに行くんだろ?えっと……玉梓だっけ?」
「そんな急がなくていいのに。火燐たんか~わいい」
そういって、春夏秋冬は両腕を広げてダイブしてくる。なんと言う狩人…その目は獣そのものだが。
私は為す術も無くがっちりと春夏秋冬に抱きしめられる。
「こ、こらやめろ!くるしい!!」
「よいではないかよいではないか!!」
「はーなーせー!!」
参った。せっかく気合いれていこうと思った矢先、これだ。
「火燐たん、お腹へってるの?」
「う……うるさいうるさい!!お前の師匠に会いに行くんだろ?えっと……玉梓だっけ?」
「そんな急がなくていいのに。火燐たんか~わいい」
そういって、春夏秋冬は両腕を広げてダイブしてくる。なんと言う狩人…その目は獣そのものだが。
私は為す術も無くがっちりと春夏秋冬に抱きしめられる。
「こ、こらやめろ!くるしい!!」
「よいではないかよいではないか!!」
「はーなーせー!!」
拝啓姉上様。
私はあなたの分まで頑張ってみようと思います。
なので、貴女はあの世で見守っていてください。
私はあなたの分まで頑張ってみようと思います。
なので、貴女はあの世で見守っていてください。
「この世界で生きていきます。私は。まだまだ不安だけど、以前のように笑える日が来るかもしれません」
私の大切な、お姉ちゃんへ。
「この気持ち、届いたかな?」
「火燐たん独り言?」
「な、なんでもない!!」
「な、なんでもない!!」
まずは小さな一歩から始めよう。最初にすべきは春夏秋冬の師匠探し!
「さあいくぞ。こんな事してる場合じy…」
ぐうぅぅ~…
「……の前に腹ごしらえね。火燐たんは何が食べたいの?」
「……たこ焼き」
「……たこ焼き」
十分過去とは向き合ったから。私はもう立ち止まらない。いつかみんなの過去が報われる未来を信じて…
正義の定義・第九話~火燐編~
―了―
―了―
~次回予告~
地震による地盤沈下により半分が水没してしまった都市「水萌」
そこでは毎年一度だけ、土地神を鎮めるために行う祭典「声魂祭」があります。
美しい歌声を披露し、土地神に捧げるこの儀式……しかし今年は何やら不穏な予感。
歌い手が次々と"声"を奪われる謎の怪事件がおきているのです。英雄達はその怪事件に挑みます。
次回・正義の定義第十話
「サイレント・ウンディーネ」
正義の定義も十話目です。実質十話以上あるけどね!
地震による地盤沈下により半分が水没してしまった都市「水萌」
そこでは毎年一度だけ、土地神を鎮めるために行う祭典「声魂祭」があります。
美しい歌声を披露し、土地神に捧げるこの儀式……しかし今年は何やら不穏な予感。
歌い手が次々と"声"を奪われる謎の怪事件がおきているのです。英雄達はその怪事件に挑みます。
次回・正義の定義第十話
「サイレント・ウンディーネ」
正義の定義も十話目です。実質十話以上あるけどね!
春夏秋冬「にしても、タイトルは私なのに中身はまんま火燐たんが主役だったね」
火燐「まぁね。そもそも6話の時点でお前登場してるのに『春夏秋冬、登場』っておかしいだろ」
春夏秋冬「ノリだよ!!」
火燐「またそれか」
火燐「まぁね。そもそも6話の時点でお前登場してるのに『春夏秋冬、登場』っておかしいだろ」
春夏秋冬「ノリだよ!!」
火燐「またそれか」
次回へ続く!!
ゲストキャラ出典
ジョン・スミス~出典元【シェアード・ワールドを作ってみよう/なんでも屋シリーズ】
設定…http://sites.google.com/site/nelearthproject/kyarakutarisuto/jon-sumisu
ミルカ~出典元【学園同士で戦争するスレ/魔法少女孤独系】
設定…http://www36.atwiki.jp/gakuenisland/pages/123.html
岬 陽太~出典元【【シェアード】チェンジリング・デイ 4【昼夜別能力】/月下の魔剣シリーズ】
設定…http://www31.atwiki.jp/shareyari/pages/61.html