Top > 【シェア】みんなで世界を創るスレ【クロス】 > 異形世界・正義の定義 ~英雄/十二使徒~
正義の定義 ~英雄/十二使徒~ 第12話 2/2
―――…
「結局、何も解決しないままこの日が来てしまいましたね……」
敬保は着々と準備が進む声魂祭の会場を見つめ、頭をかかえる。不安要素は未だ取り除かれておらず…
いつあの河童の又八が会場を襲うともわからない。動機もはっきりしている以上、尚更警戒を強めなければならない。
祭事の中止も考えた。だが、市民の反対や、再生機関の「私達がいるから大丈夫です!」という言葉に
押し流される形で声魂祭は中止しない方向に纏まった訳だ。
とは言え、敬保はこの声魂祭の祭司。人一倍祭事には責任を感じていた。今はただ必死に何事も無く、
祭事がおわるよう祈ることしかできなかった。
敬保は着々と準備が進む声魂祭の会場を見つめ、頭をかかえる。不安要素は未だ取り除かれておらず…
いつあの河童の又八が会場を襲うともわからない。動機もはっきりしている以上、尚更警戒を強めなければならない。
祭事の中止も考えた。だが、市民の反対や、再生機関の「私達がいるから大丈夫です!」という言葉に
押し流される形で声魂祭は中止しない方向に纏まった訳だ。
とは言え、敬保はこの声魂祭の祭司。人一倍祭事には責任を感じていた。今はただ必死に何事も無く、
祭事がおわるよう祈ることしかできなかった。
「とりあえず、会場の地図はこんな所ね。配っておくから各自見直しといて」
「あいあいさー」
会場入口に集まる再生機関一行。祭の賑やかさに心を持っていかれつつも、祭事の首尾を確認する。
続々と人が入る様子を見て、これだけの人間を守るのは骨が折れそうだとげんなりしている北条院。
一応、守備隊が警備に回ってはいるが、それでもやはり心もとない。
「……騒音。祭は嫌い。人が多くて五月蝿いから」
天草が不機嫌そうにぼやく。冴島的にはこちらも何か問題を起こさないかヒヤヒヤしているところだ。
「ああそれと、私はこの人の護衛に付くから」
「どうも~」
冴島が紹介する派手な服装の女性。紫のギラギラした服が毒々しい。無駄に胸元なんてあけちゃって、
いかにも「張り切っちゃいました」的な意気込みがその格好からうっとおしいほど伝わってくる。
「この方は…?」
「この人、蛸壺靖子さん。歌姫がいないものだから急遽この人が歌姫をやることになったみたい」
「よろしく~ん」
(うわ……なんか、瀬鈴栖さんのほうがいいなぁ…)
陰伊が心の中で呟く。そもそも彼女はまだ瀬鈴栖の歌姫を諦めてはいなかった。ただ、状況を打開する一手が
見つからないだけなのである。奥歯にほうれん草がつまった時のような歯がゆさ、焦操感。
そんな彼女の背中を叩く、少女の手。陰伊はすぐに誰のものか予測できた。
「絵里座さん?」
「……、……!」
陰伊の後ろに立つ少女、絵里座。陰伊が振り向くと自分より少し低い位置に絵里座の顔がきた。
「ふぇ?どうしたんですし?」
白石らも絵里座の姿に気がつく。ここで白石は、姿の確認できない瀬鈴栖はどうしたのかと絵里座に聞いた。
『"来てないです……何処にいるのかもわからないし…"』
深刻な表情でスケッチブックにそう書き記す絵里座。彼女は誰よりも瀬鈴栖の事を心配していた。
『"私は……彼女に、歌姫をやって欲しい。チャンスはもう今日しかない気がするんです!だから……"』
「わかってるよ。私達が何とかしてみせるよ」
「ふぇ!まーたおまえはかんがえなしに」
いい加減呆れ返るトエルだったが、これが陰伊三という人間なんだと諦めるしか無かった。
「しょーがありませんね。ふぇ、セリスのいばしょはわたしがあんないしますし」
「…え?トエルちゃん場所は…?」
「きのーヤツにはっしんきをつけました。セリスのばしょはてにとるようにわかりますし」
「と…トエルちゃん」
「…ふえ」
「だーいすき!!」
突然抱きつく陰伊。何だかんだでトエルも瀬鈴栖を放ってはおけないようであった。
「それにしても、行ったところでどうするのさ」
『"多分わたしの話も、今の様子じゃ聞いてくれるかどうか…こんな時、瀬鈴栖のお母さんが生きていたら…"』
「待って、今いいことを思いついたよ」
「え?」
突如湧いてきた陰伊の奇策とは一体…?
「あいあいさー」
会場入口に集まる再生機関一行。祭の賑やかさに心を持っていかれつつも、祭事の首尾を確認する。
続々と人が入る様子を見て、これだけの人間を守るのは骨が折れそうだとげんなりしている北条院。
一応、守備隊が警備に回ってはいるが、それでもやはり心もとない。
「……騒音。祭は嫌い。人が多くて五月蝿いから」
天草が不機嫌そうにぼやく。冴島的にはこちらも何か問題を起こさないかヒヤヒヤしているところだ。
「ああそれと、私はこの人の護衛に付くから」
「どうも~」
冴島が紹介する派手な服装の女性。紫のギラギラした服が毒々しい。無駄に胸元なんてあけちゃって、
いかにも「張り切っちゃいました」的な意気込みがその格好からうっとおしいほど伝わってくる。
「この方は…?」
「この人、蛸壺靖子さん。歌姫がいないものだから急遽この人が歌姫をやることになったみたい」
「よろしく~ん」
(うわ……なんか、瀬鈴栖さんのほうがいいなぁ…)
陰伊が心の中で呟く。そもそも彼女はまだ瀬鈴栖の歌姫を諦めてはいなかった。ただ、状況を打開する一手が
見つからないだけなのである。奥歯にほうれん草がつまった時のような歯がゆさ、焦操感。
そんな彼女の背中を叩く、少女の手。陰伊はすぐに誰のものか予測できた。
「絵里座さん?」
「……、……!」
陰伊の後ろに立つ少女、絵里座。陰伊が振り向くと自分より少し低い位置に絵里座の顔がきた。
「ふぇ?どうしたんですし?」
白石らも絵里座の姿に気がつく。ここで白石は、姿の確認できない瀬鈴栖はどうしたのかと絵里座に聞いた。
『"来てないです……何処にいるのかもわからないし…"』
深刻な表情でスケッチブックにそう書き記す絵里座。彼女は誰よりも瀬鈴栖の事を心配していた。
『"私は……彼女に、歌姫をやって欲しい。チャンスはもう今日しかない気がするんです!だから……"』
「わかってるよ。私達が何とかしてみせるよ」
「ふぇ!まーたおまえはかんがえなしに」
いい加減呆れ返るトエルだったが、これが陰伊三という人間なんだと諦めるしか無かった。
「しょーがありませんね。ふぇ、セリスのいばしょはわたしがあんないしますし」
「…え?トエルちゃん場所は…?」
「きのーヤツにはっしんきをつけました。セリスのばしょはてにとるようにわかりますし」
「と…トエルちゃん」
「…ふえ」
「だーいすき!!」
突然抱きつく陰伊。何だかんだでトエルも瀬鈴栖を放ってはおけないようであった。
「それにしても、行ったところでどうするのさ」
『"多分わたしの話も、今の様子じゃ聞いてくれるかどうか…こんな時、瀬鈴栖のお母さんが生きていたら…"』
「待って、今いいことを思いついたよ」
「え?」
突如湧いてきた陰伊の奇策とは一体…?
―――…
「はあ……」
瀬鈴栖は一人、海を見つめる。透き通る海水に浮かびあがる黒ずみ。それが今の自分の心境を表している
ようで嫌になる。やけになった瀬鈴栖は鬱憤を晴らそうと小石を海に向かって投げ飛ばすも、自分への苛立は
増す一方であった。
今頃、街では祭事が始まり、絵里座の代わりの人間がステージに上がっていることだろう。
暗澹とした瞳、まるで生ける屍。何かが抜けきった後のような彼女の様は、見ている方が辛くなってくる程である。
「いいんだ、これが……私に相応しい生き方、なんだから」
瀬鈴栖は一人、海を見つめる。透き通る海水に浮かびあがる黒ずみ。それが今の自分の心境を表している
ようで嫌になる。やけになった瀬鈴栖は鬱憤を晴らそうと小石を海に向かって投げ飛ばすも、自分への苛立は
増す一方であった。
今頃、街では祭事が始まり、絵里座の代わりの人間がステージに上がっていることだろう。
暗澹とした瞳、まるで生ける屍。何かが抜けきった後のような彼女の様は、見ている方が辛くなってくる程である。
「いいんだ、これが……私に相応しい生き方、なんだから」
『それは違うわ、瀬鈴栖』
「!?」
突然、女性の声が瀬鈴栖の耳を通った。それは瀬鈴栖の最も愛すべき人。そして、いちばん謝罪したかった、相手。
「おかあ…さん?」
瀬鈴栖の母・李鈴の声。瀬鈴栖はすぐさま辺りを見回す。砂場のアリを見つけるように注意深く、鋭く。
しかし母の姿はない。声はすれど姿はなし。ちょっとしたミステリィな雰囲気を感じた。
『瀬鈴栖……』
「おかあさん!私…ごめ…」
『私は、貴方のことを怒ってなどいないわ』
「でも……!おかあさんは私が練習をサボって居なくなったから……探す時に……死んじゃ…」
『私は私の思うようにやっていただけ。結果的に、私は死ぬことになったけど、後悔はしていないわ』
「そんな、もしも私が練習をサボらなければ…おかあさんは死ななかったかもしれないんだよ!?」
『そうかもしれないわね。でも"もしも"なんて言うのは……もう終わってしまったことの前には無意味だよ』
「……!」
『それを逃げ道にしちゃダメ。それでもまだ"もしも"なんて言うのならいい方向に考えてみよう?』
『私がもしも生きていたら、何をしてた?』
「歌姫……」
『私がもしも生きていたら、瀬鈴栖に何をさせてた?』
「歌姫にさせるために……練習…」
『だったら、答えはもう出ているんじゃないかしら…?』
「うっ…私……」
『行ってきなさい。そして、貴方の好きなように歌ってきなさい。それが私にとっての、"貴方の償いよ"』
「ゆるして…くれるの?」
『最初から、怒ってないって言ってるでしょ?』
「おかあ…さん…ありがとう…ありがとう……!」
泣き崩れる瀬鈴栖。あれほど許しを貰いたかった母に、もう会うことのできないと思っていた母に、自分は謝ることが出来た。
彼女にとってこれ以上の救いはなかった。
そして、自分がやるべきこと。それに気がついたとき、少女は過去の因縁を断ち切ることが出来た。
瀬鈴栖が顔を上げると、そこには母の姿があった。目には見えなくとも、母は自分の事を抱き寄せてくれている
……そんな気がした。
突然、女性の声が瀬鈴栖の耳を通った。それは瀬鈴栖の最も愛すべき人。そして、いちばん謝罪したかった、相手。
「おかあ…さん?」
瀬鈴栖の母・李鈴の声。瀬鈴栖はすぐさま辺りを見回す。砂場のアリを見つけるように注意深く、鋭く。
しかし母の姿はない。声はすれど姿はなし。ちょっとしたミステリィな雰囲気を感じた。
『瀬鈴栖……』
「おかあさん!私…ごめ…」
『私は、貴方のことを怒ってなどいないわ』
「でも……!おかあさんは私が練習をサボって居なくなったから……探す時に……死んじゃ…」
『私は私の思うようにやっていただけ。結果的に、私は死ぬことになったけど、後悔はしていないわ』
「そんな、もしも私が練習をサボらなければ…おかあさんは死ななかったかもしれないんだよ!?」
『そうかもしれないわね。でも"もしも"なんて言うのは……もう終わってしまったことの前には無意味だよ』
「……!」
『それを逃げ道にしちゃダメ。それでもまだ"もしも"なんて言うのならいい方向に考えてみよう?』
『私がもしも生きていたら、何をしてた?』
「歌姫……」
『私がもしも生きていたら、瀬鈴栖に何をさせてた?』
「歌姫にさせるために……練習…」
『だったら、答えはもう出ているんじゃないかしら…?』
「うっ…私……」
『行ってきなさい。そして、貴方の好きなように歌ってきなさい。それが私にとっての、"貴方の償いよ"』
「ゆるして…くれるの?」
『最初から、怒ってないって言ってるでしょ?』
「おかあ…さん…ありがとう…ありがとう……!」
泣き崩れる瀬鈴栖。あれほど許しを貰いたかった母に、もう会うことのできないと思っていた母に、自分は謝ることが出来た。
彼女にとってこれ以上の救いはなかった。
そして、自分がやるべきこと。それに気がついたとき、少女は過去の因縁を断ち切ることが出来た。
瀬鈴栖が顔を上げると、そこには母の姿があった。目には見えなくとも、母は自分の事を抱き寄せてくれている
……そんな気がした。
「おかあさん、私行くね」
『私は、ずっと貴方のことを見守ってるからね…?』
『私は、ずっと貴方のことを見守ってるからね…?』
瀬鈴栖は走りだした。間に合うかどうかなど分かりはしなかったが、足を動かさずにはいられなかった。
行先に待っていた絵里座が『"おかえり!"』と書かれたスケッチブックを掲げて瀬鈴栖を迎える。
そして二人は会場へと向かうのだった。
「おかあさん……私、頑張るよ!だって、歌が大好きなんだもん!」
行先に待っていた絵里座が『"おかえり!"』と書かれたスケッチブックを掲げて瀬鈴栖を迎える。
そして二人は会場へと向かうのだった。
「おかあさん……私、頑張るよ!だって、歌が大好きなんだもん!」
「…ふぇ~…おわったおわった」
「ご苦労様、トエルちゃん」
今回の名女優、トエルは瀬鈴栖が絵里座と合流したことを確認すると、軟体生物のように体から力を抜いた。
そう、先程の瀬鈴栖の母親の声は、トエルがレコードから解析し、喉のスピーカーから出したもの。
「なんだか騙すみたいで少し気が引けるよねえ」
「関係無いよ。きっと、瀬鈴栖さんのお母さんも瀬鈴栖にはうたってほしーって思ってるだろうし
なにより本人自身が縛っていた罰から開放されたし正解だと思うな。さ、私達も会場へ行こう。冴島さんに怒られちゃう」
「ご苦労様、トエルちゃん」
今回の名女優、トエルは瀬鈴栖が絵里座と合流したことを確認すると、軟体生物のように体から力を抜いた。
そう、先程の瀬鈴栖の母親の声は、トエルがレコードから解析し、喉のスピーカーから出したもの。
「なんだか騙すみたいで少し気が引けるよねえ」
「関係無いよ。きっと、瀬鈴栖さんのお母さんも瀬鈴栖にはうたってほしーって思ってるだろうし
なにより本人自身が縛っていた罰から開放されたし正解だと思うな。さ、私達も会場へ行こう。冴島さんに怒られちゃう」
―――…
陰伊達が会場へと向かっているその頃、会場ではいよいよ声魂祭が始まらんとしていた。
押し寄せる人々が噴水広場に集まり、特設ステージ上にて開式の言葉を今か今かと心待ちにしているのである。
「ブッ……あーあー、……はい!それでは皆様、お時間となりました!」
祭司の敬保が開式の言葉を述べるためステージ上へと上がる。今回祭司である彼女の声を聞いたことで
会場のテンションは一気に高まった。
「……いよいよ始まるわね……」
時計を見て言う冴島。針は朝九時五十九分を差しており、秒針が正に十二を回ろうかというその時だった。
「……来る」
「え?」
天草の「来る」の一言。彼女の勘に狂いはなかった。
押し寄せる人々が噴水広場に集まり、特設ステージ上にて開式の言葉を今か今かと心待ちにしているのである。
「ブッ……あーあー、……はい!それでは皆様、お時間となりました!」
祭司の敬保が開式の言葉を述べるためステージ上へと上がる。今回祭司である彼女の声を聞いたことで
会場のテンションは一気に高まった。
「……いよいよ始まるわね……」
時計を見て言う冴島。針は朝九時五十九分を差しており、秒針が正に十二を回ろうかというその時だった。
「……来る」
「え?」
天草の「来る」の一言。彼女の勘に狂いはなかった。
「それでは、第九十三回!声魂祭を……!」
「ちょっとまったあああああああああ!!」
突き抜けるような怒声だ。会場を過ぎ去り空へと抜けていったそれは、流れる雲を突き破り、成層圏を抜け、
宇宙に飛散した。
会場の誰もが後ろを振り向いた。そこには、緑色の肌をしたヒトガタの何かがいた。
「おうおうおう!歌姫不在でお祭りかよ!ざけんじゃねえ!」
ヒトガタの正体、河童の又八は勝手に避けていく人々の中を通りステージへと近づいていく。
又八は憤怒していた。認めたくはなかったが、自分が永い事封印されていたのは間違いないようだった。
それを知って彼はどうしようもなく怒りをぶつけたかった。彼女・李鈴にだ。自分を封印したことなんて彼にとって
はどうでも良かった。彼は「絶対に歌姫になった所を自分に見せるという」約束を破られたのが許せなかったのだ。
(今からでも遅くはない、歌姫になれ!そしてその姿を俺に見せろ……死んだなんて、そんなの許さねぇからな!)
警備の人間に止められる。が、又八はそんなのお構いなしだ。又八はものすごい勢いで警備の人間を
放り投げていく。スーパーボールを地面に投げつけても、ここまで高くは上がらないという程に。
「まずい!『六合』!」
カードキーをデバイスに挿し込み、冴島が武装展開をする。そして間を置かず冴島は入力デバイスにコードを入力した。
『"ガード""スポット"』
「いけぇ!」
バズーカ砲から放たれる青い玉。それは会場の観客たちの上空でピタリと止まり、四方八方に広がった。
青い膜が会場を覆う。数秒後、放り投げられた人々が空から降ってくる。そのまま落ちれば即死であったが、
青い膜が彼らを受け止めたためなんとか無傷で事なきを得たのである。
「ふざけた真似を…今のでエネルギー半分も使っちゃったわ。でも新しいエネルギーチップに変える訳にもいかないし……」
「…ふん。六槻はここで待っていればいい。私が……やる」
「まって、やるなら……」
宇宙に飛散した。
会場の誰もが後ろを振り向いた。そこには、緑色の肌をしたヒトガタの何かがいた。
「おうおうおう!歌姫不在でお祭りかよ!ざけんじゃねえ!」
ヒトガタの正体、河童の又八は勝手に避けていく人々の中を通りステージへと近づいていく。
又八は憤怒していた。認めたくはなかったが、自分が永い事封印されていたのは間違いないようだった。
それを知って彼はどうしようもなく怒りをぶつけたかった。彼女・李鈴にだ。自分を封印したことなんて彼にとって
はどうでも良かった。彼は「絶対に歌姫になった所を自分に見せるという」約束を破られたのが許せなかったのだ。
(今からでも遅くはない、歌姫になれ!そしてその姿を俺に見せろ……死んだなんて、そんなの許さねぇからな!)
警備の人間に止められる。が、又八はそんなのお構いなしだ。又八はものすごい勢いで警備の人間を
放り投げていく。スーパーボールを地面に投げつけても、ここまで高くは上がらないという程に。
「まずい!『六合』!」
カードキーをデバイスに挿し込み、冴島が武装展開をする。そして間を置かず冴島は入力デバイスにコードを入力した。
『"ガード""スポット"』
「いけぇ!」
バズーカ砲から放たれる青い玉。それは会場の観客たちの上空でピタリと止まり、四方八方に広がった。
青い膜が会場を覆う。数秒後、放り投げられた人々が空から降ってくる。そのまま落ちれば即死であったが、
青い膜が彼らを受け止めたためなんとか無傷で事なきを得たのである。
「ふざけた真似を…今のでエネルギー半分も使っちゃったわ。でも新しいエネルギーチップに変える訳にもいかないし……」
「…ふん。六槻はここで待っていればいい。私が……やる」
「まって、やるなら……」
「第六英雄・北条院佐貴子!正義の名の下、悪を成敗させていただきますわ!!」
「なんだぁ?お前は……」
「貴方の傍若な振る舞い、見過ごすわけには行きませんわ!!さあ、覚悟なさい!」
「おれのじゃまおおおお………するなああああああッ!!!」
あちらこちらと人々が逃げ惑う中、その中心に立つ河童・又八と第六英雄・北条院佐貴子。
既に武装展開済みだった北条院は、その大剣を構え、又八と対峙する。
「俺の邪魔をする奴は、何人たりとも許しはしない!!」
元々、気性の荒い異形であった又八。今の彼と話し合いをするのは不可能だ。
「なんだぁ?お前は……」
「貴方の傍若な振る舞い、見過ごすわけには行きませんわ!!さあ、覚悟なさい!」
「おれのじゃまおおおお………するなああああああッ!!!」
あちらこちらと人々が逃げ惑う中、その中心に立つ河童・又八と第六英雄・北条院佐貴子。
既に武装展開済みだった北条院は、その大剣を構え、又八と対峙する。
「俺の邪魔をする奴は、何人たりとも許しはしない!!」
元々、気性の荒い異形であった又八。今の彼と話し合いをするのは不可能だ。
「なんと言う……なんと言うことじゃ…」
「お父様…一体どうすれば……」
「こんな時、こんな時李鈴がいれば……!」
敬保親子はその光景を見守ることしかできない。人は無力だ。圧倒的な力が目の前にあるとき、人はそれを
特に実感するのかも知れない。
「お父様…一体どうすれば……」
「こんな時、こんな時李鈴がいれば……!」
敬保親子はその光景を見守ることしかできない。人は無力だ。圧倒的な力が目の前にあるとき、人はそれを
特に実感するのかも知れない。
「ふん!!!」
「くうううう……なんという、重い攻撃…」
又八の拳が北条院に襲いかかる。まるで特急列車がぶつかってきたような衝撃を北条院は拳を受け止めた
刀身から感じ取った。拳なのですぐに第二撃が来る。『"ガード"』を展開するにも時間がない為、防戦一方となってしまっている。
「おらぁ!!おらぁ!おらぁ!」
「ふえぇん……誰か早く来てくださいませ……」
又八の連打が北条院の大剣に叩き込まれる。一発受けるごとに北条院の体は徐々に後ずさっていく。
「ここは、な、なんとか反撃を……」
「うらあ!」
「やっぱ無理ィ!!」
入力デバイスに手を伸ばそうとする北条院。しかしそれを又八が許さない。速く、重い一撃が北条院の手を
大剣の柄から離させないのだ。この一撃は両手で持ってやっと防げるほどの一撃。ここで迂闊に手を離そう
ものなら防御を吹っ飛ばされてやられるのがオチだ。とはいえ、このままでも確実に腕にダメージがいく。
耐えられるのも時間の問題である。さあ、どうする北条院。
「ああ、もうおしまいだ」
「ひえぇ……」
結局何の策もないまま腕が限界を迎え、数分程度しかもたなかった北条院。腕はもう痺れて上がらない。
満を持して腰を振りかぶり、今までのどのパンチよりも強烈な一撃を繰りだそうとする又八。
「尻子玉だけは勘弁して尻子玉だけはほんと」
なんてことを言う北条院だが、又八の耳に届いているかは微妙であった。生命の危機、とっさにホバリングで
回避しようと試みるも、いきなりでバランスが取れなかったのか運悪く後ろに尻餅をついてしまう。ここ一番で
無駄なドジっ子属性が出てしまった。
「マジ尻子玉は簡便!!」
目を閉じここまでかと絶望する北条院。尻子玉が北条院の最後の言葉になる…かと思われた。
「くうううう……なんという、重い攻撃…」
又八の拳が北条院に襲いかかる。まるで特急列車がぶつかってきたような衝撃を北条院は拳を受け止めた
刀身から感じ取った。拳なのですぐに第二撃が来る。『"ガード"』を展開するにも時間がない為、防戦一方となってしまっている。
「おらぁ!!おらぁ!おらぁ!」
「ふえぇん……誰か早く来てくださいませ……」
又八の連打が北条院の大剣に叩き込まれる。一発受けるごとに北条院の体は徐々に後ずさっていく。
「ここは、な、なんとか反撃を……」
「うらあ!」
「やっぱ無理ィ!!」
入力デバイスに手を伸ばそうとする北条院。しかしそれを又八が許さない。速く、重い一撃が北条院の手を
大剣の柄から離させないのだ。この一撃は両手で持ってやっと防げるほどの一撃。ここで迂闊に手を離そう
ものなら防御を吹っ飛ばされてやられるのがオチだ。とはいえ、このままでも確実に腕にダメージがいく。
耐えられるのも時間の問題である。さあ、どうする北条院。
「ああ、もうおしまいだ」
「ひえぇ……」
結局何の策もないまま腕が限界を迎え、数分程度しかもたなかった北条院。腕はもう痺れて上がらない。
満を持して腰を振りかぶり、今までのどのパンチよりも強烈な一撃を繰りだそうとする又八。
「尻子玉だけは勘弁して尻子玉だけはほんと」
なんてことを言う北条院だが、又八の耳に届いているかは微妙であった。生命の危機、とっさにホバリングで
回避しようと試みるも、いきなりでバランスが取れなかったのか運悪く後ろに尻餅をついてしまう。ここ一番で
無駄なドジっ子属性が出てしまった。
「マジ尻子玉は簡便!!」
目を閉じここまでかと絶望する北条院。尻子玉が北条院の最後の言葉になる…かと思われた。
「……はえ?」
なかなかやって来ない拳。目を開けてみると目の前には鉤爪と双剣の刃が又八の拳を止めているのが
映った。白石と陰伊、二人の英雄武装である。
「またせたな~子猫ちゃん?」
白石は北条院に向けてパチリとウインクを送る。
「ご、ゴメンなさい北条院さんっ!ちょっといろいろ手が回らなくて……」
陰伊はペコリと頭を下げる。
「お、おぞいでずわよーーーー!!」
半泣きで答える北条院は、ちょっと可愛かったという(白石後日談)
「なんだ、何故俺の邪魔をする……!!」
なかなかやって来ない拳。目を開けてみると目の前には鉤爪と双剣の刃が又八の拳を止めているのが
映った。白石と陰伊、二人の英雄武装である。
「またせたな~子猫ちゃん?」
白石は北条院に向けてパチリとウインクを送る。
「ご、ゴメンなさい北条院さんっ!ちょっといろいろ手が回らなくて……」
陰伊はペコリと頭を下げる。
「お、おぞいでずわよーーーー!!」
半泣きで答える北条院は、ちょっと可愛かったという(白石後日談)
「なんだ、何故俺の邪魔をする……!!」
一方、又八の苛立はピークに達していた。もうなりふり構うつもりはない、そう思っていたのだが……
「瀬鈴栖さん!このかっぱさんが!貴方のお母さんと約束した河童だよ!!」
「今こそ、貴方の歌声を……聞かせてあげて!!」
陰伊はステージに向かって力いっぱい叫んだ。そしてそれは確かに、ステージにいる人間へと伝わったのだ。
「瀬鈴栖さん!このかっぱさんが!貴方のお母さんと約束した河童だよ!!」
「今こそ、貴方の歌声を……聞かせてあげて!!」
陰伊はステージに向かって力いっぱい叫んだ。そしてそれは確かに、ステージにいる人間へと伝わったのだ。
「そうか……お母さんがあんなに必死に"歌姫"にこだわっていたのは…あの人との約束を守るためだったんだ」
ステージに上がった瀬鈴栖は陰伊の声を聞く。過去と今が繋がる時が来た。
瀬鈴栖は会場へ向かう途中、陰伊達と合流し又八の話を聞いた。だから今起こっているすべての事象も
理解することが出来たのだ。
過去から現在へ。母から子へ。意思は受け継がれる。
李鈴が止めた二人の時間は、ゆっくりと暖かく動き出す。溶け出した時間の流れは、止まっていた
長い時間の分だけ凄まじく、そして力強く流れだすのだ。
ステージに上がった瀬鈴栖は陰伊の声を聞く。過去と今が繋がる時が来た。
瀬鈴栖は会場へ向かう途中、陰伊達と合流し又八の話を聞いた。だから今起こっているすべての事象も
理解することが出来たのだ。
過去から現在へ。母から子へ。意思は受け継がれる。
李鈴が止めた二人の時間は、ゆっくりと暖かく動き出す。溶け出した時間の流れは、止まっていた
長い時間の分だけ凄まじく、そして力強く流れだすのだ。
―水よ、満ちて河と成し―
…この歌は。
―河よ、流れ海へと―
…この声は。
―海よ、舞いて空高く―
ああ、これだ。この歌だ。
―空よ生命の芽を照らせ―
それはまるで幻海を舞う妖精のようだった。
戦い争っていた陰伊達と又八が。逃げ惑っていた人々が。騒々しかった会場が。
凛とした水の空気に包まれて、沈黙する。ステージの上の彼女が、いや、水の妖精が歌い、舞う様子に
会場の全員が目を奪われ、見つめていた。噴水に映る魔導花火。魔法使いの老人が気を効かせてのだろう。
それらと相まって、美しい幻想のステージはさらにその領域を広げ、会場全体が最早幻想的に感じられた。
いつしかその歌は会場の全員の心を射止め、全ての者がその歌に聴き入ることとなる。
戦い争っていた陰伊達と又八が。逃げ惑っていた人々が。騒々しかった会場が。
凛とした水の空気に包まれて、沈黙する。ステージの上の彼女が、いや、水の妖精が歌い、舞う様子に
会場の全員が目を奪われ、見つめていた。噴水に映る魔導花火。魔法使いの老人が気を効かせてのだろう。
それらと相まって、美しい幻想のステージはさらにその領域を広げ、会場全体が最早幻想的に感じられた。
いつしかその歌は会場の全員の心を射止め、全ての者がその歌に聴き入ることとなる。
「ああ…李鈴……!お前…」
この歌を聞いた又八は、すべてを悟った。李鈴がしたこと、想い。そして何より、
李鈴は約束を破ってはいなかった。こうして子に託すことで、見事その約束を果たしたのだ。
同時に、又八は李鈴の死を受け入れることとなる。だが、又八の顔は心なしか笑っているように見える。
瀬鈴栖が水萌の土地神を鎮める歌を歌う。又八の目にはその姿に李鈴の姿が重なって見えた。
李鈴は約束を破ってはいなかった。こうして子に託すことで、見事その約束を果たしたのだ。
同時に、又八は李鈴の死を受け入れることとなる。だが、又八の顔は心なしか笑っているように見える。
瀬鈴栖が水萌の土地神を鎮める歌を歌う。又八の目にはその姿に李鈴の姿が重なって見えた。
長きに渡る、それとも一瞬のうちであっただろうか?そんな曖昧な、永遠と瞬間が混在した時間は、
瀬鈴栖の歌の終わりと共に終焉を迎える。
瀬鈴栖の歌の終わりと共に終焉を迎える。
「すまねえ、俺……」
「いいんですよ、」
歌が終わり、大歓声の拍手の中、又八と瀬鈴栖は手を取り合い、握手をする。今、全てが繋がったのだ。
「みんなもすまねえ!こんなに荒らしちまって…本当に悪かった!」
握手の後、又八はステージから会場の全員に向かって土下座をした。先程の歌で一つになった会場の人間だ
皆、早々に又八の事を許し、気さくに「気にすんなよ!」なんて声をかける者もいた。
「アンタたちも、悪かったなあ」
「ホント、死にかけましたわ!!」
北条院に至っては仕方ない。
何はともあれ、一件落着……?
「………、…!」
絵里座がステージ脇から現れる。思えばこの少女の頑張りがなければ、この状況はありえなかったのだ。
「あはは、絵里座ありがとうね。そうだ、早速声を戻してもらわないとね」
うんうんと頷く絵里座。瀬鈴栖はさっさとこの声を奪う魔法を説いてもらおうと又八に話しかけた。
「ねえねえかっぱさん」
「ん?なんだ?」
「あのう、はやくあなたの魔法を説いて欲しいんですが…」
「魔法?何のことだ?」
はて?と首を傾げる又八。まさかと思いもう一度分かりやすく瀬鈴栖は尋ねた。
「あの、声を奪う魔法です。あなたがかけたんでしょう?皆に」
「あん?おりゃそんなのかけてないぞ。そもそも俺が使える魔法なんざ雨乞いの術くらいだ」
「……へ?」
「いいんですよ、」
歌が終わり、大歓声の拍手の中、又八と瀬鈴栖は手を取り合い、握手をする。今、全てが繋がったのだ。
「みんなもすまねえ!こんなに荒らしちまって…本当に悪かった!」
握手の後、又八はステージから会場の全員に向かって土下座をした。先程の歌で一つになった会場の人間だ
皆、早々に又八の事を許し、気さくに「気にすんなよ!」なんて声をかける者もいた。
「アンタたちも、悪かったなあ」
「ホント、死にかけましたわ!!」
北条院に至っては仕方ない。
何はともあれ、一件落着……?
「………、…!」
絵里座がステージ脇から現れる。思えばこの少女の頑張りがなければ、この状況はありえなかったのだ。
「あはは、絵里座ありがとうね。そうだ、早速声を戻してもらわないとね」
うんうんと頷く絵里座。瀬鈴栖はさっさとこの声を奪う魔法を説いてもらおうと又八に話しかけた。
「ねえねえかっぱさん」
「ん?なんだ?」
「あのう、はやくあなたの魔法を説いて欲しいんですが…」
「魔法?何のことだ?」
はて?と首を傾げる又八。まさかと思いもう一度分かりやすく瀬鈴栖は尋ねた。
「あの、声を奪う魔法です。あなたがかけたんでしょう?皆に」
「あん?おりゃそんなのかけてないぞ。そもそも俺が使える魔法なんざ雨乞いの術くらいだ」
「……へ?」
―――…
「はあ、はあ、どーゆーことよん!!」
「ようやくわたしが歌姫になれると思ったのに!あの子はなによ!」
「せっかくライバル共の声を奪って、又八の封印を解いて犯人に仕立て上げることまでしたのにいぃぃぃ!!」
「ようやくわたしが歌姫になれると思ったのに!あの子はなによ!」
「せっかくライバル共の声を奪って、又八の封印を解いて犯人に仕立て上げることまでしたのにいぃぃぃ!!」
「なるほど……ヤハリソウイウコトカ」
「!?だ、だれ!」
本来代行で出るはずだった海苔屋の蛸壺靖子。そんな彼女の前に立ちふさがる二つの影。
「ふぇ!!じゅうにばんめのえいゆう、トエルさまと!!」
「……第七使徒。天草五姫」
「お、お前ら……!」
「まさかあなたが黒幕だったとはね……ま、気がついていたけど」
「何!?」
蛸壺の背後に現れ、阻むように立ちふさがったのは第三英雄冴島。
「いつから気がついていた……」
「二日前から。実は昨日……私がしていたのはあなたの証拠集めなのよ」
「オーディションをうけた人間で被害を受けなかった者の一人であるあなた。それだけでは決定打ではない。
なら何故私はあなたに目をつけたでしょうか?」
「…さあ?」
「海草よ。被害者に付着していた海草。調べてみるとそれは、あなたのところが自然栽培している海苔の
養殖場のものだということがわかったわ。大方、自分の養殖場から泳いで人々を襲いに行っていたという
ところかしら?ご自慢の海苔が体に付着しているとも知らずに」
「っく…、そうだよ。あたしが黒幕さ。数十年間ずっとあの手この手を尽くして歌姫の座を狙ってきたのに…
どいつもこいつも…じゃましやがってええええええええ!!」
それまでおとなしくしていた蛸壺の体が急に膨らんだ。するとどうだろう、吸盤のついたタコ足がうぞうぞと
顔を出し始めたではないか。
「さあ二人とも!いけるかしら?」
「ふぇ!おれにしつもんするな!!」
「…空腹。こいつはたこ焼きにしよう」
「……第七使徒。天草五姫」
「お、お前ら……!」
「まさかあなたが黒幕だったとはね……ま、気がついていたけど」
「何!?」
蛸壺の背後に現れ、阻むように立ちふさがったのは第三英雄冴島。
「いつから気がついていた……」
「二日前から。実は昨日……私がしていたのはあなたの証拠集めなのよ」
「オーディションをうけた人間で被害を受けなかった者の一人であるあなた。それだけでは決定打ではない。
なら何故私はあなたに目をつけたでしょうか?」
「…さあ?」
「海草よ。被害者に付着していた海草。調べてみるとそれは、あなたのところが自然栽培している海苔の
養殖場のものだということがわかったわ。大方、自分の養殖場から泳いで人々を襲いに行っていたという
ところかしら?ご自慢の海苔が体に付着しているとも知らずに」
「っく…、そうだよ。あたしが黒幕さ。数十年間ずっとあの手この手を尽くして歌姫の座を狙ってきたのに…
どいつもこいつも…じゃましやがってええええええええ!!」
それまでおとなしくしていた蛸壺の体が急に膨らんだ。するとどうだろう、吸盤のついたタコ足がうぞうぞと
顔を出し始めたではないか。
「さあ二人とも!いけるかしら?」
「ふぇ!おれにしつもんするな!!」
「…空腹。こいつはたこ焼きにしよう」
―――…
「……ぁ、あ、あーあー」
「あれ?絵里座……」
「あらら、声が出るようになっちゃった」
「今トエルちゃんたちから連絡が来たよ。本当の黒幕をやっつけたって」
連絡を聞いた陰伊は、敬保親子に事の端末を報告する。
「なるほど……まさか、靖子くんが…」
「靖子…ん?ヤス……?」
ここで何かに気がつく白石。うーんと暫く思考格闘した後、ピーンと何かを思い出したようだ。
「ちょっとまてお前ら……実は最初の方で北条院さんが犯人を当ててるんだよ?」
「え?」
「わ、わたくしが?どういうことですの?」
「十話の敬保さんの話を聞いた後に……北条院さんが『犯人はヤス』っていってるべさ!!」
「な、なんだってええええええええええーーーーーーーーーーーー!?」
「あれ?絵里座……」
「あらら、声が出るようになっちゃった」
「今トエルちゃんたちから連絡が来たよ。本当の黒幕をやっつけたって」
連絡を聞いた陰伊は、敬保親子に事の端末を報告する。
「なるほど……まさか、靖子くんが…」
「靖子…ん?ヤス……?」
ここで何かに気がつく白石。うーんと暫く思考格闘した後、ピーンと何かを思い出したようだ。
「ちょっとまてお前ら……実は最初の方で北条院さんが犯人を当ててるんだよ?」
「え?」
「わ、わたくしが?どういうことですの?」
「十話の敬保さんの話を聞いた後に……北条院さんが『犯人はヤス』っていってるべさ!!」
「な、なんだってええええええええええーーーーーーーーーーーー!?」
「……というか、十話とかつっこもうよ。というか、それなら敬保さんもあてはまるし」
メタは見逃せ!メタは見逃せ!
メタは見逃せ!メタは見逃せ!
―――…
「えー一悶着有りましたが、只今より、第九十三回・声魂祭を開催いたします!」
「それじゃあ!絵里座の声が戻った事だし!もう一曲いきましょう!」
「曲名は『河童と水精の輪舞曲』!いきまーす!!」
「それじゃあ!絵里座の声が戻った事だし!もう一曲いきましょう!」
「曲名は『河童と水精の輪舞曲』!いきまーす!!」
歌が紡いだ関係は。
「いやー、なんとかおわったべさ~」
「あ、天草さん?何食べてるの…?」
「たこ焼き」
「あ、天草さん?何食べてるの…?」
「たこ焼き」
過去と今を跨ぐ、大きな輪となった。
「いやあ、さすがアイツの娘だ!いい声していやがる!」
そしてこの輪が紡いでいくのは、素敵な未来。
二人の少女の歌声が響き渡る。その声は、水上都市全域へと木魂し沢山の笑顔を作るのだ。
「おかあさん、見てる?わたし……」
歌姫になって、良かった。
「……あーあ、なーんだ、つまんないなぁ」
「全く、勝手な行動しただけでも、十分厳罰ものですよ」
「ふ……人生は常にスリリングに、ドラマティックでないといけないのさ!特に僕のような人間にはね!」
「……どーでもいいですけど、さっさとそこから降りてきたらどうですよ」
「降りれないんだ!!」
「……じゃあ何でまた登ってんですよ」
「こ、この前落ちたから!!克服できてるかなぁーって」
「そんで?」
「無理だったよ!!」
「自信満々に答えるな!」
「ねー、クシナダちゃーん。こっからおろしてくれないかな?」
「……自分で何とかしろ。私は帰るですよ」
「ちょ、まって!おいてかないで!たかいとこにがてなのおおおおおおおお!!」
「全く、勝手な行動しただけでも、十分厳罰ものですよ」
「ふ……人生は常にスリリングに、ドラマティックでないといけないのさ!特に僕のような人間にはね!」
「……どーでもいいですけど、さっさとそこから降りてきたらどうですよ」
「降りれないんだ!!」
「……じゃあ何でまた登ってんですよ」
「こ、この前落ちたから!!克服できてるかなぁーって」
「そんで?」
「無理だったよ!!」
「自信満々に答えるな!」
「ねー、クシナダちゃーん。こっからおろしてくれないかな?」
「……自分で何とかしろ。私は帰るですよ」
「ちょ、まって!おいてかないで!たかいとこにがてなのおおおおおおおお!!」
「ふー。あ、次回に続きます」
つづけ!!
―次回予告
白石「今回結構黒幕強引だったような気がするんだけど」
陰伊「そだねー」
白石「でもまあ地味に伏線張ったあったね。ちょっと突っ込みどころ満載だけど」
陰伊「そだねー」
白石「そういえばなんかハッピーエンドだったんだけど」
陰伊「そだねー」
白石「今まで暗い話が多かったからここに来て良い話とか、次回で落とすとかしそうで怖いよね」
陰伊「そだねー」
白石「そだねーって、なんか他のこと言うべさ陰伊ちゃん」
陰伊「次のストーリーは誰か再生機関の人が死ぬみたいだよ」
白石「え…」
白石「ええええええええええええええええ!?」
次回。正義の定義・第十三話
「おほお!裂け目からいっぱいでてきちゃうのおお!!」
白石「しかもこんなタイトルだし!!」
白石「今回結構黒幕強引だったような気がするんだけど」
陰伊「そだねー」
白石「でもまあ地味に伏線張ったあったね。ちょっと突っ込みどころ満載だけど」
陰伊「そだねー」
白石「そういえばなんかハッピーエンドだったんだけど」
陰伊「そだねー」
白石「今まで暗い話が多かったからここに来て良い話とか、次回で落とすとかしそうで怖いよね」
陰伊「そだねー」
白石「そだねーって、なんか他のこと言うべさ陰伊ちゃん」
陰伊「次のストーリーは誰か再生機関の人が死ぬみたいだよ」
白石「え…」
白石「ええええええええええええええええ!?」
次回。正義の定義・第十三話
「おほお!裂け目からいっぱいでてきちゃうのおお!!」
白石「しかもこんなタイトルだし!!」