それは一瞬の出来事だった。
大地に舞い降りた漆黒の鋼機は腰から引き抜いた大きな黒槍をその場にいた天狼の喉元に突き刺したのだ。
機体から紅い閃光が走り、その閃光は軌跡となって、天狼の機体になだれ込み、黒槍の矛先に収束していく…。
矛先の空間が歪みはじめる。
その歪みは紅の光を通し、一点の大きな光となっていく…。
そうして集められた光を漆黒の鋼機は黒槍にあるトリガーを引く事で解放した。
閃光。
それは指向性を持った強大なエネルギーとなって黒槍の矛先から解放され天狼の巨躯を体の中から蝕む。
それは貯蓄した力の全てを放出するように天狼の体の中を駆け巡り、その肉体を陵辱し、その存在を蹂躙し、それがそこにいたという事実を消滅させていく…。
そうして天狼は塵芥残さず消滅した。
この間、漆黒の機体がこの大地に舞い降りてから、わずか5秒の出来事である。
大地に舞い降りた漆黒の鋼機は腰から引き抜いた大きな黒槍をその場にいた天狼の喉元に突き刺したのだ。
機体から紅い閃光が走り、その閃光は軌跡となって、天狼の機体になだれ込み、黒槍の矛先に収束していく…。
矛先の空間が歪みはじめる。
その歪みは紅の光を通し、一点の大きな光となっていく…。
そうして集められた光を漆黒の鋼機は黒槍にあるトリガーを引く事で解放した。
閃光。
それは指向性を持った強大なエネルギーとなって黒槍の矛先から解放され天狼の巨躯を体の中から蝕む。
それは貯蓄した力の全てを放出するように天狼の体の中を駆け巡り、その肉体を陵辱し、その存在を蹂躙し、それがそこにいたという事実を消滅させていく…。
そうして天狼は塵芥残さず消滅した。
この間、漆黒の機体がこの大地に舞い降りてから、わずか5秒の出来事である。
なんという威力か――
その黒槍は超振動により対象の装甲を削り裂く鋼機のナイフですら受け付けぬ天狼の装甲をあっさりと貫き、それを一瞬で対象を消滅させたのだ。
その場に居合わせたものがいたのならば、その光景に余りの理不尽さを感じただろう。
漆黒の機体は足元に両腕を破壊され倒れている蒼白の機体の全身全霊を賭した戦いを茶番だと言わんばかりにいとも容易く一蹴したのだ。
自らの機体が半壊しながらも執念で戦い続けた蒼白の鋼機がそれでも届かない圧倒的な差を示された前にそれを圧倒的な能力で一瞬で消滅させてしまった。
漆黒の鋼機は肩、膝、背の各部を展開しはじめる。
展開した部分から紅い光りが迸る。
そうして放出された光りは周囲に降り注ぐ。
周囲にあった草木はその光りを浴び、色を落とし、枯れていく……そして、それはそんな中にそびえ立っていた。
漆黒の御身に紅蓮の光を纏う機械仕掛けの悪魔。
まるでそれはこの世に破滅をもたらす魔王のように見えた。
そう、これこそが世界政府から現在指名手配を受けている謎の漆黒の鋼機、通称:ブラックファントムである。
その黒槍は超振動により対象の装甲を削り裂く鋼機のナイフですら受け付けぬ天狼の装甲をあっさりと貫き、それを一瞬で対象を消滅させたのだ。
その場に居合わせたものがいたのならば、その光景に余りの理不尽さを感じただろう。
漆黒の機体は足元に両腕を破壊され倒れている蒼白の機体の全身全霊を賭した戦いを茶番だと言わんばかりにいとも容易く一蹴したのだ。
自らの機体が半壊しながらも執念で戦い続けた蒼白の鋼機がそれでも届かない圧倒的な差を示された前にそれを圧倒的な能力で一瞬で消滅させてしまった。
漆黒の鋼機は肩、膝、背の各部を展開しはじめる。
展開した部分から紅い光りが迸る。
そうして放出された光りは周囲に降り注ぐ。
周囲にあった草木はその光りを浴び、色を落とし、枯れていく……そして、それはそんな中にそびえ立っていた。
漆黒の御身に紅蓮の光を纏う機械仕掛けの悪魔。
まるでそれはこの世に破滅をもたらす魔王のように見えた。
そう、これこそが世界政府から現在指名手配を受けている謎の漆黒の鋼機、通称:ブラックファントムである。
ブラックファントムは背中にある機械仕掛けの大きな黒翼を広げ飛び立とうとする。
その時、怒号のような銃声が鳴り響いた。
それとほとんど同時に漆黒の鋼機の周囲に大きな爆発が起こる。
ブラックファントムの機体がその爆発で揺らぐ。
そこに空から三機の蒼白の鋼機がパラシュートで降下してくる。
蒼白の鋼機、つまりは三機のS-21 アインツヴァインは着地後にすぐさまブラックファントムを包囲するような陣形を取った。
そしてアインツヴァインは自身の持つ、アサルトライフルの銃口を全てブラックファントムに向けた。
その時、怒号のような銃声が鳴り響いた。
それとほとんど同時に漆黒の鋼機の周囲に大きな爆発が起こる。
ブラックファントムの機体がその爆発で揺らぐ。
そこに空から三機の蒼白の鋼機がパラシュートで降下してくる。
蒼白の鋼機、つまりは三機のS-21 アインツヴァインは着地後にすぐさまブラックファントムを包囲するような陣形を取った。
そしてアインツヴァインは自身の持つ、アサルトライフルの銃口を全てブラックファントムに向けた。
「けっ、本当にあの化け物を破壊しちまうとはな、こいつ本当に鋼機なのか?」
オープンチャンネルで蒼白の鋼機のスピーカーから人声が流れ始めた。
声の硬さからして男だろうか…発言の軽さからか若干、ぶっきらぼう人柄が感じられる。
それに同調するようにもう1機の鋼機もチャンネルを開く。
声の硬さからして男だろうか…発言の軽さからか若干、ぶっきらぼう人柄が感じられる。
それに同調するようにもう1機の鋼機もチャンネルを開く。
「データ上1世紀前の鋼機、S-16と類似している点は多い。例えばあの背部の翼に使われているブーストユニットは当時実験中だったフライトシステムの可動ブースターそのものだ。鋼機とフライトユニットの一体化を狙ったものだったそうだが、僕から言わせてもらえれば、フライトユニットの一体化なんて無駄に機体の重量を重くするだけで愚考でしかないよ。今ではフライトユニットは使い捨てのモノが当たり前になっているが、なんで最初からそうしなかったんだろうねと僕は思わざる終えない。」
その男の声にはヒヤリとするような冷たさがある。
「でも、今の見ただろう?あんな事できる鋼機なんて聞いたことないぜ。50年前には魔法使いでもいたっていうのか?」
「馬鹿も休み休み言え。」
「だがよー。」
「α5、α6、黙れと私は言ったんだが、聞こえなかったか?」
「馬鹿も休み休み言え。」
「だがよー。」
「α5、α6、黙れと私は言ったんだが、聞こえなかったか?」
三機目の鋼機が二人を静かに言い放つ。
「誰が勝手にチャンネルを開いて良いと言った。通信したければ、普通に話せばいいだろう?なんで、わざわざスピーカーを通す必要がある。」
三機目の鋼機から発せられた声の質からしてその鋼機に乗っているのは女性であることは間違いなかったが、その声はそれが女性だと感じさせぬほどの静かで、それでいて威圧するような物語りだった。
その女の声には静かなその他の二機の鋼機の搭乗者に対する、怒りを感じさせられる。
もし、その場に立ち会っている人間がいたのならば、誰もが彼女こそがこの二機の鋼機を統括するこの場の指揮官なのだと理解しただろう。
その女の声には静かなその他の二機の鋼機の搭乗者に対する、怒りを感じさせられる。
もし、その場に立ち会っている人間がいたのならば、誰もが彼女こそがこの二機の鋼機を統括するこの場の指揮官なのだと理解しただろう。
「そんな事を言っても――」
「α5、私は黙れと言った。」
「α5、私は黙れと言った。」
反論しようとした、ぶっきらぼうな男を女の指揮官は臥せるように一喝する。
「申し訳ありません、隊長。」
即座にもう一人の男が女に謝罪を述べ、
「はいはい、申し訳ありませんでした!!」
それに続くようにぶっきらぼうな男もしぶしぶと投げ槍な謝罪をする。
「さて、そこの黒い鋼機、大変見苦しい所をお見せしたが、私の声が聞こえているかね?」
指揮官は、自身の部下達に言い放つのと同じ口調でブラックファントムに対して語りかける。
「…………。」
ブラックファントムは沈黙している。
ただ、その紅い瞳はその指揮官の乗るアインツヴァインを睨む様に見つめていた。
―退け、さもなければ殺す―
まるで、その相貌はそんな事を無言で語りかけているように指揮官は感じた。
それに対して指揮官は何かを頷くような素振りを見せ。
ただ、その紅い瞳はその指揮官の乗るアインツヴァインを睨む様に見つめていた。
―退け、さもなければ殺す―
まるで、その相貌はそんな事を無言で語りかけているように指揮官は感じた。
それに対して指揮官は何かを頷くような素振りを見せ。
「ふむ、喋る気が無いのかね、まあ、それもいいだろう。ああ、そうかそうか、大事な事を忘れていた…自己紹介がまだだったね、私の名前はシャーリー・時峰(ときみね)という。世界政府第7機関に所属する組織『イーグル』の構成員の一人だ。見ての通り、この馬鹿どもを率いる小隊長のようなモノをやらせて頂いている。一応、君に銃口を向けているのは我々の恐怖心からだ非礼だとは思うが、許していただきたいと思う、それに君ならば、この程度なんの脅威にすらならないだろう?あと、君の足元に半壊して倒れている鋼機も一応は私の部下でね、命令無視して特攻した馬鹿なんだが、それでも私の部下でね、よければ返してもらえないかな?」
声の強さを変えず、淡々と小隊の指揮官、シャーリー・時峰はブラックファントムに語りかけた。
だが、ブラックファントムは無言で返す。
ブラックファントムの黒を貴重に、紅の光を纏ったその様は人の目にはなんとも禍々しく映る。
一見するとその機体には血の通った人間が乗っているのでは無く、どこともしれない悪魔がそれを動かしているのでは無いかと思えてしまう程だ。
だが、そうでない事をシャーリーは知っている。
声の強さを変えず、淡々と小隊の指揮官、シャーリー・時峰はブラックファントムに語りかけた。
だが、ブラックファントムは無言で返す。
ブラックファントムの黒を貴重に、紅の光を纏ったその様は人の目にはなんとも禍々しく映る。
一見するとその機体には血の通った人間が乗っているのでは無く、どこともしれない悪魔がそれを動かしているのでは無いかと思えてしまう程だ。
だが、そうでない事をシャーリーは知っている。
「ああ、ちなみにだ、その機体に人間が乗っている事は我々は重々に承知している。S-15以降の鋼機にはパイロットが生存しているか否かを発信する機能があってね、君の機体は我々の推測によればS-16をベースに大幅に改造を行ったモノだ。ならばだ、もしかするとまあ、その生体反応を発信する装置は生きているかもしれない…と我々は考えて行動させてもらったわけだよ。少々、古い機種だったので判別が少々大変だったがね、人間の生体反応をしっかり確認できたよ。勿論、あのアンノウンの仲間が乗っている可能性を考えなかったわけでは無いが、送られてくる情報から君がこの地球の人間だということはしっかり確認できた。うん、だからそうなんだ、君がその機体に乗っているという事を我々は知っている。」
確認した事実をシャーリーは次々と淡々に述べていく。
「つまりはだ、まとめると私の目の前にいるどこの骨董品かもわからない一世紀前のメタルアーマーのカスタム機には地球人が乗っているという事だよ。しかもだ、その正体不明の骨董品は、その骨董品より一世紀後に出来た最新鋭の機体でも倒せないような敵をまるでゴミ屑のように消滅させていってしまっている。驚異的な事だと思わないかな?まさにこれは驚嘆に値する事実なんだ。だから、我々としても非常に気になるんだよ、君の機体はいかなるズルをして彼らと戦っているのかとね。それに――」
「―――で、用件は何だ?」
「―――で、用件は何だ?」
漆黒を身にまとった機械仕掛けの悪魔がついにその閉ざしていた口を開いた。
男の声だろうか、その声にはその漆黒の機体の印象も相乗してか暗くて重いものを感じさせられる。
男の声だろうか、その声にはその漆黒の機体の印象も相乗してか暗くて重いものを感じさせられる。
「ありがとう、ブラックファントム。君とコミニケーションを取るのも私の目的の一つだったんだ。ああ、そうだブラックファントムというのは私達が君に勝手につけた呼称だよ。気に入らないかもしれないが、中々洒落ていると思うんだが君はどう思う?」
「あんたらに何と呼ばれようが興味は無い。ここで寝てる奴にさして興味も無い、勝手にもっていくといいさ…それよりさっさと本題に入れ…俺に銃口を向けておいてまでしようとする用件は何だ?」
「あんたらに何と呼ばれようが興味は無い。ここで寝てる奴にさして興味も無い、勝手にもっていくといいさ…それよりさっさと本題に入れ…俺に銃口を向けておいてまでしようとする用件は何だ?」
ブラックファントムの声に少量の怒気が混じっているのをシャーリーは感じた。
「なるほど、確かにそろそろ本題に入っても良い頃かな。さて、ブラックファントム。我々は君の機体に使われている技術に大きな興味を抱いている。あの鋼獣を一蹴するほどの力をね。いったいどんな理論で、どんな理屈で、どんな技術を持って、その機体を作られているのか?我々は知らなければならないんだ、奴らとの戦いに勝利する為には……だから、だからだ、ブラックファントム…我々が奴らに勝利する為に――君を捕獲されてくれ。」
いつもと変わらぬ口調、変わらぬ強さで、シャーリー・時峰は眼前の機械仕掛けの悪魔に対し、自身の目的を告げた。
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