―1―
「さーて、さてさてさてさて、戦いが始まったなぁー、どうなるんだろうねぇ、セレーネはどう思う?僕はとても結果がたのしみなんだけども・・・。」
イーグル本部から少し離れた所にある高台。
そこで銀髪の男が興味深そうに巨大な鋼獣に向かう黒い小さな鋼機に見つめながら隣にいるスーツ姿の華奢な女性に問いかける。
華奢な女性セレーネ・リア・ファルシルは顎に手をあてて考えながら
そこで銀髪の男が興味深そうに巨大な鋼獣に向かう黒い小さな鋼機に見つめながら隣にいるスーツ姿の華奢な女性に問いかける。
華奢な女性セレーネ・リア・ファルシルは顎に手をあてて考えながら
「まあ、見るまま、見れば勝ち目ないだろう・・・君の想い人。」
そう率直な感想を告げる。
そもそもサイズが違う。
それはさながら山と熊の戦いだ。
山を崩せるような熊は存在しない。
そう鋼機には勝ち目のない勝負なのである。
そもそもサイズが違う。
それはさながら山と熊の戦いだ。
山を崩せるような熊は存在しない。
そう鋼機には勝ち目のない勝負なのである。
「それを覆すものがあるとするならば、彼の至宝か・・・実の所あれの全貌は裏でも図りかねているからな。あれの詳細を知っているのは君だけだろう?道化師。」
道化師と呼ばれた銀の髪の男は笑う。
「まあね。あれはあれで正直、チートっぽいんだけど結構制約も多くてね。」
「なんだ・・・それは?」
「まあ、楽しんでみようよ、片手にジュースでも持ってさ、こんな近くで戦いが見れる事なんて早々無いぜ?」
「正直、近すぎて楽しむどころじゃない気がするんだが・・・。」
「最悪は03を使えばいいさ、でも使う時は来ないとは思うな。」
「つまり?」
「なんだ・・・それは?」
「まあ、楽しんでみようよ、片手にジュースでも持ってさ、こんな近くで戦いが見れる事なんて早々無いぜ?」
「正直、近すぎて楽しむどころじゃない気がするんだが・・・。」
「最悪は03を使えばいいさ、でも使う時は来ないとは思うな。」
「つまり?」
そう答えを促すセレーネ。
それに銀髪の男は笑っていう。
それに銀髪の男は笑っていう。
「まあ、見てなって今は楽しい楽しい鑑賞のお時間だ。」
―2―
黒峰潤也が、まず考えなければならないのはこの場所からの移動だった。
既に敵はこちらの位置を把握しているようで、リベジオンのいる方へと向けて歩を進めている。
ここでこのまま戦闘行動を起こせば、自身の背後にあるイーグル本部に被害が及ぶ事になる。
潤也としてもそういった被害は望む所ではなく、今すぐにでもここからの移動が必要だった。
そう思い、潤也はすぐに行動を開始した。
紅の光が背部のスラスターから漏れでて翼を形成するように展開。
それと同時に飛翔する。
全速力を持ってリベジオンは急上昇し、高高度に到達し、その後鋼獣の後ろに回り込んだ。
そうして、己の敵を見据えた。
空から見ても、その鋼獣は圧巻の巨大さだった。
山を思わせる程の鋼の塊が四足歩行で歩いている。
それだけで非現実的な出来事である。
敵鋼獣がリベジオンに体をゆっくりと向けはじめる。
その一挙一動には尋常ではないほどの威圧感があった。
既に敵はこちらの位置を把握しているようで、リベジオンのいる方へと向けて歩を進めている。
ここでこのまま戦闘行動を起こせば、自身の背後にあるイーグル本部に被害が及ぶ事になる。
潤也としてもそういった被害は望む所ではなく、今すぐにでもここからの移動が必要だった。
そう思い、潤也はすぐに行動を開始した。
紅の光が背部のスラスターから漏れでて翼を形成するように展開。
それと同時に飛翔する。
全速力を持ってリベジオンは急上昇し、高高度に到達し、その後鋼獣の後ろに回り込んだ。
そうして、己の敵を見据えた。
空から見ても、その鋼獣は圧巻の巨大さだった。
山を思わせる程の鋼の塊が四足歩行で歩いている。
それだけで非現実的な出来事である。
敵鋼獣がリベジオンに体をゆっくりと向けはじめる。
その一挙一動には尋常ではないほどの威圧感があった。
「あんなのが何処に隠れていたんだろ・・・。」
藍が目を丸くしながらそう言った。
「確かにな・・・それで藍、アテルラナからの提供データに該当している鋼獣はいたか・・・。」
そう尋ねる潤也。
潤也はアテルラナからかつて、裏が持つとされる鋼獣の情報を提供されている。
どこまでが本物か怪しい代物であったが、その情報は今のところ間違っている事はなく鋼獣との戦闘に非常に有益なものであった。
藍は少し困ったように潤也に告げる。
潤也はアテルラナからかつて、裏が持つとされる鋼獣の情報を提供されている。
どこまでが本物か怪しい代物であったが、その情報は今のところ間違っている事はなく鋼獣との戦闘に非常に有益なものであった。
藍は少し困ったように潤也に告げる。
「あのね、潤也・・・それが、データベースにあれが乗ってないの・・・。」
「なんだと・・・。」
「なんだと・・・。」
潤也が驚く。
今まで戦ってきた鋼獣は全てデータベースに乗っていた。
それはあの『裏』すら知り得ない鋼獣という事になる。
つまりそれは『裏』すら知らないUHの隠し球、もしくは―――
今まで戦ってきた鋼獣は全てデータベースに乗っていた。
それはあの『裏』すら知り得ない鋼獣という事になる。
つまりそれは『裏』すら知らないUHの隠し球、もしくは―――
「ダグザの大釜で作られた新種か・・・。」
黒峰咲の駆るメタトロニウスの至宝『ダグザの大釜』の能力は『無から有を生み出す』である。
それは何もない所に自分の思い描いた物を作り上げる事が出来る力であり、それによって最近作られたものならば、あんな巨大なものが今まで発見されていなかった事も頷ける。
黒峰咲はダイナミックで仰々しいものを好む彼女らしいとは言えた。
それは何もない所に自分の思い描いた物を作り上げる事が出来る力であり、それによって最近作られたものならば、あんな巨大なものが今まで発見されていなかった事も頷ける。
黒峰咲はダイナミックで仰々しいものを好む彼女らしいとは言えた。
「どうする潤也?あの大きさだろうとブリューナクの因果終焉(カルマエンド)なら、たぶんあいつをやっつける事が出来るけど・・・。」
『因果終焉』。
それはリベジオンが携える至宝『ブリューナク』の奥義であり矛先で突かれたもの因果を歪め、因果の始点と終点にある過程を全て無かった事にして強制的に終わりへと導く。
つまり、ブリューナクによって突かれたものは死を迎える。これによってリベジオンは鋼獣との戦いに幾度も勝利を得てきた。
だが、この技を使う事にはいくつかのリスクが存在する。
一つは、この技がDSGCシステムの完全駆動(フルドライブ)を必要とするという点である。
つまりはこの因果終焉を使う度に搭乗者である黒峰潤也は、怨念達の死の追体験を幾度も体験しなければならず、それはよくて精神崩壊、最悪は黒峰潤也の精神が怨念達に乗っ取られるという可能性がある事に他ならない。
たった一人で幾千幾万もの怨念に立ち向かうのだ。
いくらフィルターによって怨念の影響が緩和されているとは言っても危険である事には変わりない。
そんなものを何度も使用しながら未だ黒峰潤也が黒峰潤也である事を保っている事、それが既に奇跡であるといえた。
潤也自身、この技の使用は一度が限界だと考えており、文字通り1回限りの必殺技といえる。
二つ目はこの因果終焉を行う際、リベジオンからブリューナクにエネルギーを供給し続ける必要があるという点だ。
ブリューナクへのエネルギー供給はブリューナクを持つリベジオンの掌から行われている。
つまり、リベジオンの手からブリューナクが離れれば因果終焉は使う事が出来ない。
よって、因果終焉はリベジオンがその手にもったブリューナクで相手を突かなければいけないという制約がある。
またエネルギー供給量も莫大で、因果終焉を行う際にリベジオンは他の兵装の運用が行うことが出来ない。
こういった性質があるため、潤也は鋼獣と戦う度に先に攻撃に出るよりも相手の動きを見極めてから必ず当たるタイミングで因果終焉を行なっていた。
しかし、今回相手にするのはこの山ほどの大きさを誇る鋼獣である。
言ってしまえば、威圧感ある巨躯は因果終焉という絶対死を持つリベジオンからすれば大きな的であるとも言える。
しかも見るからに鈍重だ。
これはリベジオンにとってみれば非常に有利な戦いなのではないか?
だが、しかし――とも潤也は考える。
既にこれまでの戦いの中で幾度も潤也はブリューナクの力を持ってして戦いに勝利している。
その戦いに気を抜いていいような戦いなどなかった。
いつも敗北と隣合わせの戦いで、1つ選択を間違えれば、それは即ち潤也の敗北に繋がっていたとしてもおかしくない。
だから、ここまで良い条件が揃っているとそんなに簡単にいくのだろうか?という疑念が潤也の脳裏をかすめる。
これまでの戦いの中で潤也は幾度もブリューナクを用いてその絶対死の能力で戦いに勝利を収めている。
つまりこれまでの戦いは何度も敵に見られている可能性があるという事だ。
そこから推論して、このブリューナクの能力がバレている可能性がある。
だからこそ、もしかしたらこの巨躯こそが何か自分たちにとって何か重大なことを見落とさせているのではないかと潤也は疑った。
それはリベジオンが携える至宝『ブリューナク』の奥義であり矛先で突かれたもの因果を歪め、因果の始点と終点にある過程を全て無かった事にして強制的に終わりへと導く。
つまり、ブリューナクによって突かれたものは死を迎える。これによってリベジオンは鋼獣との戦いに幾度も勝利を得てきた。
だが、この技を使う事にはいくつかのリスクが存在する。
一つは、この技がDSGCシステムの完全駆動(フルドライブ)を必要とするという点である。
つまりはこの因果終焉を使う度に搭乗者である黒峰潤也は、怨念達の死の追体験を幾度も体験しなければならず、それはよくて精神崩壊、最悪は黒峰潤也の精神が怨念達に乗っ取られるという可能性がある事に他ならない。
たった一人で幾千幾万もの怨念に立ち向かうのだ。
いくらフィルターによって怨念の影響が緩和されているとは言っても危険である事には変わりない。
そんなものを何度も使用しながら未だ黒峰潤也が黒峰潤也である事を保っている事、それが既に奇跡であるといえた。
潤也自身、この技の使用は一度が限界だと考えており、文字通り1回限りの必殺技といえる。
二つ目はこの因果終焉を行う際、リベジオンからブリューナクにエネルギーを供給し続ける必要があるという点だ。
ブリューナクへのエネルギー供給はブリューナクを持つリベジオンの掌から行われている。
つまり、リベジオンの手からブリューナクが離れれば因果終焉は使う事が出来ない。
よって、因果終焉はリベジオンがその手にもったブリューナクで相手を突かなければいけないという制約がある。
またエネルギー供給量も莫大で、因果終焉を行う際にリベジオンは他の兵装の運用が行うことが出来ない。
こういった性質があるため、潤也は鋼獣と戦う度に先に攻撃に出るよりも相手の動きを見極めてから必ず当たるタイミングで因果終焉を行なっていた。
しかし、今回相手にするのはこの山ほどの大きさを誇る鋼獣である。
言ってしまえば、威圧感ある巨躯は因果終焉という絶対死を持つリベジオンからすれば大きな的であるとも言える。
しかも見るからに鈍重だ。
これはリベジオンにとってみれば非常に有利な戦いなのではないか?
だが、しかし――とも潤也は考える。
既にこれまでの戦いの中で幾度も潤也はブリューナクの力を持ってして戦いに勝利している。
その戦いに気を抜いていいような戦いなどなかった。
いつも敗北と隣合わせの戦いで、1つ選択を間違えれば、それは即ち潤也の敗北に繋がっていたとしてもおかしくない。
だから、ここまで良い条件が揃っているとそんなに簡単にいくのだろうか?という疑念が潤也の脳裏をかすめる。
これまでの戦いの中で潤也は幾度もブリューナクを用いてその絶対死の能力で戦いに勝利を収めている。
つまりこれまでの戦いは何度も敵に見られている可能性があるという事だ。
そこから推論して、このブリューナクの能力がバレている可能性がある。
だからこそ、もしかしたらこの巨躯こそが何か自分たちにとって何か重大なことを見落とさせているのではないかと潤也は疑った。
(だがな・・・。)
しかし、たとえそうであっても、ここは相手の出方を伺うのは正しい選択ではないだろうと潤也は考える。
その巨大な体にどれほどの武装が隠されているか想像が及ばない。
なにせあの巨躯だ。
どんな武装が積まれていてもおかしくない。
一度後手に回れば、こちら側が破壊されるまで攻撃に回れない可能性もある。
だからこそ、今回はこちらから仕掛けなければならない。
潤也は一度小さく息を吐く。
その巨大な体にどれほどの武装が隠されているか想像が及ばない。
なにせあの巨躯だ。
どんな武装が積まれていてもおかしくない。
一度後手に回れば、こちら側が破壊されるまで攻撃に回れない可能性もある。
だからこそ、今回はこちらから仕掛けなければならない。
潤也は一度小さく息を吐く。
「藍、突撃して一撃で仕留める。」
「うん、わかった。」
「うん、わかった。」
鋼獣が吠える。
リベジオンをその眼に捉え歓喜するようにして首を振る。
リベジオンをその眼に捉え歓喜するようにして首を振る。
「行くぞ。」
その声と共にリベジオンが紅の光を走らせながら鋼獣に突撃する。
それに反応するようにして鋼獣はその強大な背中を開いた。
そしてそこから吐き出すようにして膨大な数の筒状のものを空高くに打ち上げる。
それに反応するようにして鋼獣はその強大な背中を開いた。
そしてそこから吐き出すようにして膨大な数の筒状のものを空高くに打ち上げる。
「敵背部から何かが発射されたのを確認。数―――――」
藍は自分が口に出そうとしている数を信じられず少し詰まった後、続けて報告する。
「――――8万。」
放たれたそれは一定高度まで上昇した後、すぐさま反転しリベジオンに向けて迎い始める。
それはさながらスコールのように降り注ぐ。
それはさながらスコールのように降り注ぐ。
「敵が投擲したものから炸薬の反応を確認、おそらくは砲弾のようなものじゃないかな・・・。サイズからして小規模の爆発を目的としたものに見えるけども、数が尋常じゃない。」
潤也はリベジオンが鋼獣までにたどり着くまえにリベジオンに着弾する事を察し、回避は不可能と判断して藍に指示を出す。
「藍、呪魂結界を周囲にまき散らせ。それを傘代わりにして低空飛行で突撃する。」
「でも潤也、呪魂結界は線での防護であって面での防護じゃないから全部を回避しきれないよ!」
「奴に辿り付くまでに機体が持てばいい!!!奴にブリューナクをぶち込めば、こっちの勝ちだ!」
「でも潤也、呪魂結界は線での防護であって面での防護じゃないから全部を回避しきれないよ!」
「奴に辿り付くまでに機体が持てばいい!!!奴にブリューナクをぶち込めば、こっちの勝ちだ!」
確かにもう後退してもあの攻撃を回避する事は出来ない。
単純な量による膨大な面攻撃。
もはや退路は無いのである。
リベジオンは体の各部を展開させ、そこから紅の光を放出する。
呪魂結界。
それはエネルギーを周囲に撒き散らし、迫り来る攻撃を溶解するリベジオンの防護武装である。
それを纏ってリベジオンはより全速を持って鋼獣へと突撃する。
結界のエネルギーが砲弾に触れる。
爆発。
単純な量による膨大な面攻撃。
もはや退路は無いのである。
リベジオンは体の各部を展開させ、そこから紅の光を放出する。
呪魂結界。
それはエネルギーを周囲に撒き散らし、迫り来る攻撃を溶解するリベジオンの防護武装である。
それを纏ってリベジオンはより全速を持って鋼獣へと突撃する。
結界のエネルギーが砲弾に触れる。
爆発。
「ぐっ・・・。」
爆風でリベジオンが大きく揺れる。
リベジオンの呪魂結界はエネルギーによる防護であるがゆえに実態の無いものへの耐性を得ることは出来ない。
つまり、たとえ迫り来る敵の砲弾を全て迎撃したところでリベジオンは無傷というわけには行かないのである。
リベジオンの呪魂結界はエネルギーによる防護であるがゆえに実態の無いものへの耐性を得ることは出来ない。
つまり、たとえ迫り来る敵の砲弾を全て迎撃したところでリベジオンは無傷というわけには行かないのである。
「し・・・かし、これは・・・辛い・・・な。」
機体が揺れる。
その振動は病み上がりの潤也には刻なものだと言えた。
その振動は病み上がりの潤也には刻なものだと言えた。
「敵までの距離、あと1000。」
爆風と煙でリベジオンのカメラから送られる映像が染まる。
もはや視界ではどのような状況にあるか判断する事も適わない。
もはや視界ではどのような状況にあるか判断する事も適わない。
「きゃ!」
驚く藍の声。
先ほどよりも近くでの爆発音と共にリベジオンが大きく姿勢を崩す。
先ほどよりも近くでの爆発音と共にリベジオンが大きく姿勢を崩す。
「藍、被害状況を報告しろ!」
「左脚部に敵砲弾命中、左腕から先を喪失(ロスト)。また、左の下腹部の装甲に深刻なダメージ。」
「っ・・・。」
「左脚部に敵砲弾命中、左腕から先を喪失(ロスト)。また、左の下腹部の装甲に深刻なダメージ。」
「っ・・・。」
運がいいと潤也は思う。
これがもしブリューナクを持っている右腕だったならば敗北は決まっていた所だ。
これがもしブリューナクを持っている右腕だったならば敗北は決まっていた所だ。
「残り距離は!」
「あと470です。」
「あと470です。」
敵の懐まで近づければと潤也は考える。
敵はこちらに向けて大量のミサイルによる攻撃を仕掛けてきているが、おそらくは100m近くまで近づけばこのミサイルの雨から抜けられるのでは無いかと推測していた。
何故ならば、その距離ならば敵は今、潤也達に行なってきている攻撃の被害を己も受けるからだ。
だからこそ、あの鋼獣の懐は安全圏といえた。
敵はこちらに向けて大量のミサイルによる攻撃を仕掛けてきているが、おそらくは100m近くまで近づけばこのミサイルの雨から抜けられるのでは無いかと推測していた。
何故ならば、その距離ならば敵は今、潤也達に行なってきている攻撃の被害を己も受けるからだ。
だからこそ、あの鋼獣の懐は安全圏といえた。
「あと280。」
爆風に舵を取られながらもリベジオンそのものが槍になったようにして鋼獣に向けて突き進む。
次第に爆発が起こした煙は薄くなり、リベジオンの双眸は風景を映す。
そして潤也はあまりの光景に声失った。
次第に爆発が起こした煙は薄くなり、リベジオンの双眸は風景を映す。
そして潤也はあまりの光景に声失った。
「敵の位置を確認、1000m・・・上方・・・。」
山のような巨躯を持つあの鋼獣がリベジオン真上を飛んでいるのである。
鋼獣にはとてもではないが空をとぶような機構があるようには見えない。
となると、あの鋼獣は跳ねたのだ。
リベジオンがこちらに近づいてくる事を察知して、その膨大な巨躯と重量を活かしたボディプレスでリベジオンを葬る為に・・・。
誰が想像できるだろうか?
あの鈍重かつ巨大な体を持つ鋼獣が跳ねるなどと・・・。
鋼獣にはとてもではないが空をとぶような機構があるようには見えない。
となると、あの鋼獣は跳ねたのだ。
リベジオンがこちらに近づいてくる事を察知して、その膨大な巨躯と重量を活かしたボディプレスでリベジオンを葬る為に・・・。
誰が想像できるだろうか?
あの鈍重かつ巨大な体を持つ鋼獣が跳ねるなどと・・・。
「くそが!」
そう嘯く潤也。
そしてリベジオンを押しつぶすようにして、その巨躯が墜落した。
そしてリベジオンを押しつぶすようにして、その巨躯が墜落した。
―3―
巨大な鋼獣がボディプレスを行い大地にクレーター然の窪みを作ったのを遠くから眺めるセレーナは口をあっけらかんと開けて、
「て、ちょ、あんたの想い人負けちゃったじゃない!どうすんの?」
そう抗議するような声を出した。
それを聞いて笑いながら銀髪の男は答える。
それを聞いて笑いながら銀髪の男は答える。
「まあ、まあ、見てなってここからがきっと面白いんだから・・・。」
「ここからって、どう考えても無理でしょ、あそこからの生還なんて絶対無理。」
「ここからって、どう考えても無理でしょ、あそこからの生還なんて絶対無理。」
そう訴えるセレーナに銀髪の男は笑って言う。
「五月蝿いなぁ、処女は・・・まあ、見てればわかるよ。」
「見てれば・・・って・・・。」
「見てれば・・・って・・・。」
そう言われて疑いながらも再び視線を戦いに戻す。
「彼女はそれら全てと向き合う道を選んだ、ならばさ、君は一体どんな道を選ぶんだい兄弟!」
アテルラナは好奇心に体を震わせながらそう言った。
―4―
辺りに響き渡るような地響きと共に、大地から立ち上がる山のような鋼獣。
その体の下にあった大地の木々は全て押しつぶされ、クレーターのような窪みを作っている。
それはその巨躯の下にありとあらゆる生命体が存在出来ない事を意味する結果だ。
あの巨躯に潰されて無事に済む機体も生命体も絶対に存在しない。
だから、鋼獣は後は、破壊した機体から不滅である至宝の設計図を回収するだけでいい。
その体の下にあった大地の木々は全て押しつぶされ、クレーターのような窪みを作っている。
それはその巨躯の下にありとあらゆる生命体が存在出来ない事を意味する結果だ。
あの巨躯に潰されて無事に済む機体も生命体も絶対に存在しない。
だから、鋼獣は後は、破壊した機体から不滅である至宝の設計図を回収するだけでいい。
いい筈――なのに―――――
―――――――何故、鋼獣の胴の下に紅い光が収束を始めているのか?
その光はあの黒い魔王が収束する光では無かったか?
ありえないと鋼獣を操る者は思った。
――――――そうこれはありえない。
この巨躯はUHの主にして全ての創造を成す天使から受け賜った最重最大の鋼獣なのだ。
その重量は地上の単位にしておよそ9000tに匹敵する。
そんなものに潰されて動ける機体などUHにも存在しない。
その首を伸ばし、自らの胴体の下に眼を向ける鋼獣。
その瞳に映るのは、右足を破壊されつつも身の丈程ある黒い槍を持つ黒い機械仕掛けの魔王だった。
その存在に鋼獣の操縦者は心底恐怖する。
自らの機体の1分にも及ばない大きさの存在、それに恐怖する。
本来ならば、その巨躯に潰されて無事に済む者などこの世には存在しない。
『絶対』に存在はしないのだ。
ありえないと鋼獣を操る者は思った。
――――――そうこれはありえない。
この巨躯はUHの主にして全ての創造を成す天使から受け賜った最重最大の鋼獣なのだ。
その重量は地上の単位にしておよそ9000tに匹敵する。
そんなものに潰されて動ける機体などUHにも存在しない。
その首を伸ばし、自らの胴体の下に眼を向ける鋼獣。
その瞳に映るのは、右足を破壊されつつも身の丈程ある黒い槍を持つ黒い機械仕掛けの魔王だった。
その存在に鋼獣の操縦者は心底恐怖する。
自らの機体の1分にも及ばない大きさの存在、それに恐怖する。
本来ならば、その巨躯に潰されて無事に済む者などこの世には存在しない。
『絶対』に存在はしないのだ。
――――だが、その黒き魔王が持つ黒い槍はなんであったか?
ブリューナク、そうそれはありとあらゆる『絶対』を歪め、覆す至宝である。
「因果固定を解除。大丈夫?潤也。」
リベジオン内部で心配そうに尋ねる藍。
「問題ない。間に合わないかと冷々したがな・・・。」
固定された因果からの帰還、それに伴う気怠い感覚を覚えながら潤也は答えた。
因果固定(カルマロック)。
ブリューナクを用いた最大の防御式。
それは始まりから終わりまで流れる因果の流れを、そこで強制的に停止させて、そこから動かなくするというものである。
限定的な時間停止に似るそれは、リベジオンをありとあらゆる外的干渉から保護する。
リベジオンの究極の盾。
しかし、これは万能ではない。
リベジオンの因果の流れをそこで止めている事はリベジオンはそこから1ミクロンともその身を動かすことが出来ないことを意味する。
搭乗者である黒峰潤也の思考すらも停止するそれは、ありとあらゆる行動を放棄する事によって初めてなし得る防御であった。
それによってリベジオンは本来、鋼獣から受ける筈のダメージを受けなかったのである。
因果固定(カルマロック)。
ブリューナクを用いた最大の防御式。
それは始まりから終わりまで流れる因果の流れを、そこで強制的に停止させて、そこから動かなくするというものである。
限定的な時間停止に似るそれは、リベジオンをありとあらゆる外的干渉から保護する。
リベジオンの究極の盾。
しかし、これは万能ではない。
リベジオンの因果の流れをそこで止めている事はリベジオンはそこから1ミクロンともその身を動かすことが出来ないことを意味する。
搭乗者である黒峰潤也の思考すらも停止するそれは、ありとあらゆる行動を放棄する事によって初めてなし得る防御であった。
それによってリベジオンは本来、鋼獣から受ける筈のダメージを受けなかったのである。
「行くぞ、藍、これが正真正銘唯一のチャンスだ。一撃で仕留める。」
その言葉に藍は迷う。
先ほどDSGCシステムで収拾したエネルギーは既に因果の固定の為に全て使ってしまった。
つまり、これから攻撃に転じるにはさらなるDSGCシステムの駆動が必要になる。
それはつまり、潤也が再び怨念達と相対しなければならないという事を意味する。
最初は耐えられたがもう一度潤也はシステムに耐える事が出来るのか?
そんな迷いを藍は頭を振って振り切る。
先ほどDSGCシステムで収拾したエネルギーは既に因果の固定の為に全て使ってしまった。
つまり、これから攻撃に転じるにはさらなるDSGCシステムの駆動が必要になる。
それはつまり、潤也が再び怨念達と相対しなければならないという事を意味する。
最初は耐えられたがもう一度潤也はシステムに耐える事が出来るのか?
そんな迷いを藍は頭を振って振り切る。
「―――うん、わかってる。」
そうだ、黒峰潤也は琴峰藍がそんな事で迷うことを望んでいない。
この身も心も潤也の為に全てを使うと決めたのだから、それが彼の思いであるのならば、それを否定してはならない。
わたしは道具。
黒峰潤也の道具。
道具に意志など要らない。
ただ、黒峰潤也が望むためのものであればいい。
藍はその思いと共に努めて冷静に言葉を続ける。
それが彼を苦しめるのだと知りながら・・・。
この身も心も潤也の為に全てを使うと決めたのだから、それが彼の思いであるのならば、それを否定してはならない。
わたしは道具。
黒峰潤也の道具。
道具に意志など要らない。
ただ、黒峰潤也が望むためのものであればいい。
藍はその思いと共に努めて冷静に言葉を続ける。
それが彼を苦しめるのだと知りながら・・・。
「リベジオンエグゼキューションモードへ移行、全怨念収拾機構を展開、DSGCシステムフルドライブ。」
それと共にリベジオンは周囲の怨念の意志をエネルギーへと変換して収拾を始めた。
因果固定を解除する為に集められていた以上のエネルギーがリベジオンへと向かう。
そして黒峰潤也はその怨念達の無念と対面した。
因果固定を解除する為に集められていた以上のエネルギーがリベジオンへと向かう。
そして黒峰潤也はその怨念達の無念と対面した。
―5―
小宇宙。
黒峰潤也の精神世界。
搭乗者の許容限界を超えるDSGCシステムの駆動を行った時、潤也は必ずここにくる。
潤也の目の前に広がるのは幾万もの怨念達。
潤也が現実世界に戻るにはこの怨念たちを踏み越えて行かなければならない。
彼らは理不尽を前に無念の死を遂げた者達である。
そんな彼らは思いは消えず、ずっとこの世に残り続ける。
その無念を伝えたくて、その怒りを伝えたくて、その願いを伝えたくて。
だが、潤也はそれに応える事は出来ない。
だから、それを唇を噛んで踏みしめて歩いて行く。
怨念たちは潤也の足を掴み、感覚に直接的に思いを伝える。
自分たちがいかにして死んだのかを・・・そして、どう無念を晴らして欲しいのかを実体験を持って伝えようとする。
絶え間ない精神への陵辱。
それに耐えて、この道を進まなければならない。
彼らの願いを叶えてやりたいと思う事もある。
辛かっただろう。
無念だっただろう。
悔しかっただろう。
その怒りにかつて潤也は同調して戦っていた事もあった。
しかし、今の潤也はそれをする事が出来ない。
何故ならば、これは黒峰潤也個人の戦いなのだから・・・そうでなくてはならないのだから・・・。
黒峰咲のように全ての怨念の無念を拾い上げて、その願いを叶えるような道を取ることは出来ない。
だから、潤也はその怨念達の無念を噛み締めて、踏み潰す。
怨嗟の魔王。
アテルラナはリベジオンをそう呼ぶ。
魔王とは即ち、民の願いを聞かず私利私欲を尽くす暴君である。
黒峰潤也がこれから個人の為だけに力を使い続けるならば、確かにそうならなければならない。
死者たちの願いは叶えず、力だけを奪い取る。
そんな暴虐無人な王にならなければならない。
だからこそ、怨念達の願いを捨てて、潤也は歩いていく。
濁流のように襲いかかる情報は黒峰潤也の精神を間違いなく壊していく。
彼らをこの心に受け入れればここまで酷い事にはならないのであろう。
だが、それでも、その願いの全てを無いものだと否定して歩いてく。
黒峰潤也の精神世界。
搭乗者の許容限界を超えるDSGCシステムの駆動を行った時、潤也は必ずここにくる。
潤也の目の前に広がるのは幾万もの怨念達。
潤也が現実世界に戻るにはこの怨念たちを踏み越えて行かなければならない。
彼らは理不尽を前に無念の死を遂げた者達である。
そんな彼らは思いは消えず、ずっとこの世に残り続ける。
その無念を伝えたくて、その怒りを伝えたくて、その願いを伝えたくて。
だが、潤也はそれに応える事は出来ない。
だから、それを唇を噛んで踏みしめて歩いて行く。
怨念たちは潤也の足を掴み、感覚に直接的に思いを伝える。
自分たちがいかにして死んだのかを・・・そして、どう無念を晴らして欲しいのかを実体験を持って伝えようとする。
絶え間ない精神への陵辱。
それに耐えて、この道を進まなければならない。
彼らの願いを叶えてやりたいと思う事もある。
辛かっただろう。
無念だっただろう。
悔しかっただろう。
その怒りにかつて潤也は同調して戦っていた事もあった。
しかし、今の潤也はそれをする事が出来ない。
何故ならば、これは黒峰潤也個人の戦いなのだから・・・そうでなくてはならないのだから・・・。
黒峰咲のように全ての怨念の無念を拾い上げて、その願いを叶えるような道を取ることは出来ない。
だから、潤也はその怨念達の無念を噛み締めて、踏み潰す。
怨嗟の魔王。
アテルラナはリベジオンをそう呼ぶ。
魔王とは即ち、民の願いを聞かず私利私欲を尽くす暴君である。
黒峰潤也がこれから個人の為だけに力を使い続けるならば、確かにそうならなければならない。
死者たちの願いは叶えず、力だけを奪い取る。
そんな暴虐無人な王にならなければならない。
だからこそ、怨念達の願いを捨てて、潤也は歩いていく。
濁流のように襲いかかる情報は黒峰潤也の精神を間違いなく壊していく。
彼らをこの心に受け入れればここまで酷い事にはならないのであろう。
だが、それでも、その願いの全てを無いものだと否定して歩いてく。
だって、せめて、これから行おうとしている事が黒峰潤也の意志で行われた事でなければ―――――――
そう思い、潤也は歩みを進める。
既に何度も怨念たちに黒峰潤也は侵食されてる・・・。
様々な追体験の果てに自分がなんなのかわからなくなっていき、なんで歩んでいるのかわからなくなる。
既に何度も怨念たちに黒峰潤也は侵食されてる・・・。
様々な追体験の果てに自分がなんなのかわからなくなっていき、なんで歩んでいるのかわからなくなる。
「潤也!潤也!」
けれど―――そう涙を堪えて必死に呼びかける声が聞こえる
ここは小宇宙、黒峰潤也と怨念達以外の何者も存在しない筈の世界。
そこに響く、聞こえるはずのない声。
それを聞く度に自分が何者なのかを認識しその度に、散らばった自分をかき集めて、歩みを進める。
そして光の先へとたどり着く。
そこには一人の少年が立っている。
黒峰潤也と瓜二つの顔を持つそれは潤也を憎悪するようにして睨んで見ている。
それを潤也は無視して、光の先へ―――――――
そして黒峰潤也は帰還した。
ここは小宇宙、黒峰潤也と怨念達以外の何者も存在しない筈の世界。
そこに響く、聞こえるはずのない声。
それを聞く度に自分が何者なのかを認識しその度に、散らばった自分をかき集めて、歩みを進める。
そして光の先へとたどり着く。
そこには一人の少年が立っている。
黒峰潤也と瓜二つの顔を持つそれは潤也を憎悪するようにして睨んで見ている。
それを潤也は無視して、光の先へ―――――――
そして黒峰潤也は帰還した。
―6―
「潤也!潤也!」
そう潤也に呼びかける藍。
DSGCシステムを稼働している間、自分にはこれぐらいの事しか出来ない。
せめて潤也が受けている痛みの半分でも自分が受ける事が出来ればいいのに・・・と藍は思う。
だから必死に声をかける。
DSGCシステムを稼働している間、自分にはこれぐらいの事しか出来ない。
せめて潤也が受けている痛みの半分でも自分が受ける事が出来ればいいのに・・・と藍は思う。
だから必死に声をかける。
「うる―――さいぞ、藍。耳が馬鹿になる。」
そう息を切れ切れにしながらの苦言がスピーカー越しに帰ってきて藍は安堵しながら涙を拭う。
「ご、ごめんね。潤也。」
そういう藍。
潤也は、それに軽く呆れたようにして
潤也は、それに軽く呆れたようにして
「何を泣いている?あれぐらいで俺がどうなるかと思ったのか?」
「そんなことないよ、だって潤也は潤也だもん。」
「そんなことないよ、だって潤也は潤也だもん。」
その信仰に近い思いを藍は口にする。
「藍、行くぞ。一撃でやつを葬る。」
「了解、ブリューナクへのチャージを開始します。」
「了解、ブリューナクへのチャージを開始します。」
そう藍が宣言すると共にブリューナクの切っ先が開きそこに紅の光が収束する。
「全機関正常に駆動中。それと同時に対象の因果情報の読み取りを開始。」
鋼獣がリベジオンの生存を確認した事により再び攻撃を開始する。
しかし、自分の真下にいるリベジオンには既にミサイル攻撃を使用することは出来ない。
故に、鋼獣がとったのは先ほどと同じ跳躍からの押しつぶし。
その巨躯故にリベジオンにそのボディプレスを回避する術は無い。
しかし、自分の真下にいるリベジオンには既にミサイル攻撃を使用することは出来ない。
故に、鋼獣がとったのは先ほどと同じ跳躍からの押しつぶし。
その巨躯故にリベジオンにそのボディプレスを回避する術は無い。
「ブリューナク稼働可能領域まで50%・・・70%・・・90%・・100%、ブリューナク起動を確認。」
ブリューナクの先端部が咆哮をあげるようにして展開する。
それは暴虐無人の式の解放。
これを扱う時、リベジオンは全ての能力を注ぎ込む為、他の機能は全て使えなくなる。
ゆえにこの一撃を当てなければそれは必敗であり、即ちこれはどちらの攻撃が早いかの勝負。
それは暴虐無人の式の解放。
これを扱う時、リベジオンは全ての能力を注ぎ込む為、他の機能は全て使えなくなる。
ゆえにこの一撃を当てなければそれは必敗であり、即ちこれはどちらの攻撃が早いかの勝負。
「『絶対』の改訂―――α因子とΩ因子以外の全ての因子の消去法弾を精製、潤也、行けるよ!」
読み取ったのは鋼獣の持つ因果。
それがどのような始まりと終わりを持つかを読み取る。
そして、その因果が始まりから終わりまでに辿る過程をなかった事にする毒を生成し、それを弾丸にして――――
それがどのような始まりと終わりを持つかを読み取る。
そして、その因果が始まりから終わりまでに辿る過程をなかった事にする毒を生成し、それを弾丸にして――――
「因果装填!!!」
―――装填する!!
ブリューナクは内蔵されたシリンダーを駆動させ、暴れ狂う嵐のように紅の光を放つ。
ブリューナクの中へと内包される絶対死の因果。
リベジオンの眼前には、その視界を埋め尽くす巨体。
それをリベジオンはその全てを憎悪するような紅の双眸で見上げて
ブリューナクは内蔵されたシリンダーを駆動させ、暴れ狂う嵐のように紅の光を放つ。
ブリューナクの中へと内包される絶対死の因果。
リベジオンの眼前には、その視界を埋め尽くす巨体。
それをリベジオンはその全てを憎悪するような紅の双眸で見上げて
「――お前はそこで朽ちて行け。」
リベジオンはブリューナクを鋼獣に向けて突き出しトリガーを引く。
その矛先が鋼獣からすれば毛穴程の大きさの傷を付ける。
それはダメージとしてすら見られないような一撃。
本来ならば、そのままリベジオンは今度こそ、その巨躯に押しつぶされてしまう。
しかし、リベジオンが持つ至宝はその『絶対』を覆す。
因果の毒はその小さな傷から紅の光となって侵食し、全身と駆け巡る。
そして、鋼獣が持つべき始まりから終わりへの過程を奪う。
全ての始まりが帰結する終わり、そこへ対象を強制的に辿り着けさせる。
その一撃の前にはありとあらゆる防御は意味を成さず、ありとあらゆる反撃も意味を成さない。
『因果終焉(カルマエンド)』。
これこそがリベジオンの持つ最強にして必殺の切り札。
それによって山のような巨躯を誇る鋼獣がその鋼の一つ一つを素子レベルまでに分解されて崩されていく。
それは非現実的な光景だった。たかだか10数メートルにしか過ぎない鋼の塊が、山程の巨体を一撃で消滅させる。
理論も理屈もない、神が定めた摂理すらも冒涜した結果だけがそこにある。
それはありえないという言葉が何よりも似つかしい光景だった。
その光景を眺める者達。
道化は、その結果に歓喜し絶叫するようにして笑い声をあげる。
鉄の処女は、その道化を呆れたように見つめる。
贖罪者たる老兵は、その結果に苦悩する。自分はどのようにこれから行動すべきかを考え悩む。
凡人たちはその結果に恐怖し、自らの過ちの可能性を脳裏を掠める。
各々が思いを持って勝利を手にした黒き魔王を見つめていた。
その矛先が鋼獣からすれば毛穴程の大きさの傷を付ける。
それはダメージとしてすら見られないような一撃。
本来ならば、そのままリベジオンは今度こそ、その巨躯に押しつぶされてしまう。
しかし、リベジオンが持つ至宝はその『絶対』を覆す。
因果の毒はその小さな傷から紅の光となって侵食し、全身と駆け巡る。
そして、鋼獣が持つべき始まりから終わりへの過程を奪う。
全ての始まりが帰結する終わり、そこへ対象を強制的に辿り着けさせる。
その一撃の前にはありとあらゆる防御は意味を成さず、ありとあらゆる反撃も意味を成さない。
『因果終焉(カルマエンド)』。
これこそがリベジオンの持つ最強にして必殺の切り札。
それによって山のような巨躯を誇る鋼獣がその鋼の一つ一つを素子レベルまでに分解されて崩されていく。
それは非現実的な光景だった。たかだか10数メートルにしか過ぎない鋼の塊が、山程の巨体を一撃で消滅させる。
理論も理屈もない、神が定めた摂理すらも冒涜した結果だけがそこにある。
それはありえないという言葉が何よりも似つかしい光景だった。
その光景を眺める者達。
道化は、その結果に歓喜し絶叫するようにして笑い声をあげる。
鉄の処女は、その道化を呆れたように見つめる。
贖罪者たる老兵は、その結果に苦悩する。自分はどのようにこれから行動すべきかを考え悩む。
凡人たちはその結果に恐怖し、自らの過ちの可能性を脳裏を掠める。
各々が思いを持って勝利を手にした黒き魔王を見つめていた。
―7―
満身創痍でリベジオンから降りる潤也。
大地に足をつけると共に酷い立ちくらみが潤也を襲い、潤也は大地に膝を付く。
大地に足をつけると共に酷い立ちくらみが潤也を襲い、潤也は大地に膝を付く。
「潤也!」
それを見て慌てて潤也にかけよる藍。
「いい。」
潤也は藍を払いのけて立ち上がる。
「そんな、やせ我慢しなくたっていいだろうに・・・そこのお嬢ちゃんの好意に甘えときなよ、坊や。」
その光景を眺めていた九条は苦笑してそう言う。
「問題ない、俺は一人で立てる。」
「一人でねぇ・・・。」
「一人でねぇ・・・。」
九条は眉をひそめた後、潤也の前に立ち背中を軽く叩いた。
潤也はすぐに足を震わせて膝を地につける。
潤也はすぐに足を震わせて膝を地につける。
「ほら、立ってるのが精一杯じゃないかい・・・おとなしく手を借りな。そんな強がり誰も得しないよ。それにお嬢ちゃんはあんたの仇じゃなくてパートナーだろう?」
そう言われ俯き、顔をしかめる潤也。
藍はそれを見て少し迷ったようにして、もう一度潤也の元による。
そしておどおどする藍を見て潤也はため息を吐いた後、言う。
藍はそれを見て少し迷ったようにして、もう一度潤也の元による。
そしておどおどする藍を見て潤也はため息を吐いた後、言う。
「藍、手を貸せ。」
そう言われて藍は自分の耳を疑った後、それが幻聴ではないと認識する。
そして目を輝かせて
そして目を輝かせて
「うん!」
潤也の腕に肩を回した。
藍の肩に潤也の体重がどしりとかかる。
その重さが潤也の重さなんだと藍は少し嬉しくなった。
藍の肩に潤也の体重がどしりとかかる。
その重さが潤也の重さなんだと藍は少し嬉しくなった。
「藍・・・あのな・・・。」
潤也がそう声をかける。
藍はなんだろうと思い潤也に顔を向ける。
こうしてみると顔と顔の距離が近い・・・その事実に気づき藍は頬を紅潮させた。
藍はなんだろうと思い潤也に顔を向ける。
こうしてみると顔と顔の距離が近い・・・その事実に気づき藍は頬を紅潮させた。
「な、なあに・・・潤也・・・?」
そう聞き返し、いつにもなくおどおどとする藍。
それに潤也は呆れたようにして・・・。
それに潤也は呆れたようにして・・・。
「痛い、お前は俺の肩の骨を折る気か?」
一瞬、何の事を言っているのかわからず藍の思考は停止する。
その後、自分の肩の握る手に力が入りすぎている事に気づいて・・・。
その後、自分の肩の握る手に力が入りすぎている事に気づいて・・・。
「うわへ、わわわ、ごめらしゃ、きゃー!」
慌てて手を放す藍。
しかし、これが考えなしだった。
藍に支えられていた潤也は手を離されると同時にバランス崩して倒れこむ。
それを潤也は膝と手を大地について、なんとか倒れるのを回避する。
しかし、これが考えなしだった。
藍に支えられていた潤也は手を離されると同時にバランス崩して倒れこむ。
それを潤也は膝と手を大地について、なんとか倒れるのを回避する。
「ごめんなさい、ごめんなさい!潤也!潤也―!」
目に涙を浮かべながら慌てて謝罪する藍。
「わかったか?婆さん、こいつこういうアホだからさ・・・。」
と呆れたように言う。九条もそれには苦笑した。
「はぁ・・・お嬢ちゃんはちょっと回り見る力が必要かねぇ・・・。」
藍は合わせる顔がないと俯いた。
それを潤也は苦笑したあと、九条の手を借りて潤也は立つ。
そして顔をあげて前を向いた後、その視線の先に映った少女の人影を見て固まる。
根拠の無い確信はあった。
今、戦ったあの巨大な鋼獣は潤也の持つ至宝が何なのか図る為に用意された敵なのではないかと?
普通なら消滅させる事が出来ない質量の敵。
それをもってリベジオンの至宝の本質を見極める為に、新たに作られた鋼獣なのではないかと?
そんなものを作れるような人間を黒峰潤也は一人しか知らない。
『無から有は生まれない』という『絶対』を覆す至宝の所有者。
黒峰潤也の仇であり、世界にて虐殺を繰り返すUHの統率者にして実の妹。
そして、それはおそらく今の戦いの顛末を見るためにここにいる可能性が高い。
そしてその可能性が今、確定した。
それを潤也は苦笑したあと、九条の手を借りて潤也は立つ。
そして顔をあげて前を向いた後、その視線の先に映った少女の人影を見て固まる。
根拠の無い確信はあった。
今、戦ったあの巨大な鋼獣は潤也の持つ至宝が何なのか図る為に用意された敵なのではないかと?
普通なら消滅させる事が出来ない質量の敵。
それをもってリベジオンの至宝の本質を見極める為に、新たに作られた鋼獣なのではないかと?
そんなものを作れるような人間を黒峰潤也は一人しか知らない。
『無から有は生まれない』という『絶対』を覆す至宝の所有者。
黒峰潤也の仇であり、世界にて虐殺を繰り返すUHの統率者にして実の妹。
そして、それはおそらく今の戦いの顛末を見るためにここにいる可能性が高い。
そしてその可能性が今、確定した。
「ああ、やっぱりお前がいるか・・・咲。」
そう目の前にいる黒峰咲に向けて潤也は言う。
「うん、お兄ちゃん、会いに来たよ。」
To be continued エピローグ