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第8話  断罪! 未来都市最期の日! 中編

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 ※


 どうしようもないことは、どうにもなりません。
 どうにもならないことは、どうしようもないです。

 当たり前のことですね?
 大人になったあなたには、もしかしたら、今さら言わなくてもよかったかもしれませんね?

 でも、どうか覚えておいてください。
 どうか忘れないようにしてください。

 あなたがこの世界で、幸せに生きていくのに、きっと必要なことだからです。
 いつもではありませんが、ときには諦めも肝心なのです。

 理想と現実はちがいます。何でもできるとは思わないでください。
 奇跡なんてありません。どうにかなるなんて考えないでください。

 こうだったらいいなと思うこともあるでしょうけど、だいたい、そうはならないのです。
 だから、みんな、どこかで折り合いを付けています。

 それは悪いことではありません。
 むしろ良いことなのです。
 つぎへ、明日へ、進むためには。

 でも
 もしも
 あなたが



 ※


「理想の何が悪いんだ……」
「……何だと?」
 無力感に打ちひしがれていた龍聖寺院光は、今一度ギンと顔を上げて、円卓の席に散ったはぐれ研究員たちを
睨み付けた。
 E自警団十大技師長だか何だか知らないが、九人も十人も集まって何だこの体たらく。一般市民でも三人寄れ
ば文殊の知恵を発揮する!
 呆れて物も言えない。並んでいるマヌケ面を眺めているとふつふつと怒りがこみ上げてくる。
 ――こんな連中相手にうな垂れるのは、もうやめだ。
「理想の! 何が! 悪いんだって言っているッ!!」
 荒れて爬虫類の皮膚のようになった赤い唇が、炎のような苛烈さで言葉を吐く。
 龍聖寺院光は考えた。
 ただちに十大技師長のアホども全員を納得させるだけの現実的手段を捻りださねばならない。
 ロボヶ丘のおよそ全域を地獄へと変貌させるネクソニウム爆弾“断罪X”。誘き出して真最強無敵ロボ・ネク
ソンシロガネにこれを使用すれば、すべからく結構な一般市民が爆発に巻きこまれて死ぬだろう。
 それ以外に真最強無敵ロボ・ネクソンシロガネを撃破する方法とは――
 考えて、考えて、考え抜いて、けれど何も思い浮かばなかった。
 希望的観測に基づく提案も、実現不可能な提案も、ことごとくその頭脳が弾き飛ばして排除した。思考の海に
フローチャートを展開し、あらゆるデータを走らせた。ご都合主義のハッピーエンドまで辿り着けたパターンは
ひとつたりとも存在しなかった。
 ……最後には、感情論以外の何物も残らなかった。
「理想を追求してこその、はぐれ研究員だろう!」
 言うに事欠いて口を突いて出た言葉は、やはりまともではなかった。
 失敗だらけの劇場公演が終わった舞台上にいるかのように、冷笑と怒号がどっと押し寄せてくる。
「何だ、それは?」
 ギゼン・シャシェフスキ議長の反応は、呆れすら通り越していた。
「いったい何をあんなに長考していたんだよ。天才にとっての時間がどれほど貴重なのか、凡人には分からない
というやつか?」
 人を食った孫紅龍が馬鹿馬鹿しいと言いたげに椅子の背もたれにめいっぱい体重を預ける。
「龍聖寺院がやられたようだな。フフフ、奴は十大技師長の中でも一番の小物。大局的な見地に立てぬとは十大
技師長の面汚しよ……」
 つぶやくブランカは、よくある台詞をひとりで引用してひとりでニヤついていた。
「代案がない者が、口を挟むな!!」
 パン・ギフンがここぞとばかりに怒鳴る。
 もっともな話ではある。
 十大技師長にしても、その正義にいちおう、嘘はないのだろう。世界の未来にまで及ぶ視野をもって、悪と戦
っていくためには、どこかで犠牲を許容しなければならない場面もあるかもしれない。
 その点において、龍聖寺院光は、あまりにも愚かな女だった。
 目の前のことしか考えられず、綺麗事ばかりを口にする。
 だが、
「お前たちだって、こんな世界がイヤだったから学会や表の組織と袂を別ったんだろうが!」
 思い出すのは、いつかセイギベース3の食堂で、自分で見出した天才パイロット・田所正男に行った講義。
 はぐれ研究員とは何か。

 ――そうだな
 ――はぐれ研究員とは、学問の正道や倫理からはぐれた孤高の研究者を指す分類だ
 ――学閥やら権威やらの下らん争いで冷遇された者から
 ――研究対象があまりにアホらしすぎて話を聞いてもらえない者
 ――トンデモ学者
 ――オカルトマニア
 ――倫理感のぶっ壊れた研究者
 ――早すぎたパラダイムシフターまで、いろいろだがね
 ――ちなみに、私は――

 U州立メッサーリコー工科大学で、だいぶ下から飛び級してきた日本人留学生、ちいさなひかりちゃんはトン
デモ学者。いつもみんなの笑い者。
 何だか突然突飛なことを閃いたかと思ったら、寝食忘れて研究に没頭しちゃう。ちょっとでも考えてみたらそ
んなのぜったい無理だって分かるようなことにもだよ? 夢みたいなことを大真面目に語っては、嘘吐き、ほら
吹きって、言われてる。
 でもね、すこしもつらくはなかったみたい。
 トンデモ学者だってばかにされた時なんてノリノリで、日本のいかずちの神さまや東洋のドラゴンにあやかっ
た、アニメキャラみたいなペンネームまでどっさり作ってきて、『どれかを、わたしのトンデモ学者としての名
前にする!』なんて言っちゃうの。
 いつもそんな風だったから、ある時、不思議に思って聞いてみた。
『どうしてそんなに、ヘンなことばっかりしているの?』
 そしたら、ひかるちゃんになったひかりちゃんは、煤だらけのお顔で笑いながら、こう言ったんだ。

 ――どうにもできないことを、どうにかできないか考えるのが楽しいから!

 そういえばそうだったなと思う。
 自分で言うのも何だが、幼女時代はほんとう、賢くて可愛くて天使だったな、ひかりちゃん。……今じゃ見る
影もないけど。……そうでもない? まだイケる?
 いやいやしかし、こんな無能で怯懦で雑魚っぽいへなちょこチームに打ちのめされているかっこ悪い女が未来
のあなたの姿です!などと、ひかりちゃんが知ったら真冬のメッサーリコー川に身投げしかねない。
 いつまでも、それこそよぼよぼのお婆ちゃんになっても、『はぐれ研究員としての我が名は“龍聖寺院光”で
あるッ!』なんて年甲斐もなく叫んだりするような女でありたいじゃないか。
 断然そっちのほうがかっこいいし。
 だから、トンデモ学者、龍聖寺院光は言うのだ。
「不可能を可能にせずして、何がはぐれ研究員かッ!!」
 十大技師長第七位、叱咤する龍聖寺院光。もちろん自分自身だって叱咤する。
 ハイトックの数値など関係ない、根拠のない自信に満ち満ちた彼女こそ、上級はぐれ研究員の集うこの場の誰
よりも“はぐれ”た女だった。
「……言いたいことは、それだけか?」
「ならばまず、貴様自身が不可能を可能とでもしてみるがいい! 代案のひとつも出してなあ!」
 初心への回帰を促すその言葉も、老獪なるギゼン・シャシェフスキたちの、皺だらけの妖怪のようになった心
には届かない。
 けれど――
 はぐれ研究員、龍聖寺院光に秘策あり。
 代案ならば、ないではない!

「――田所カッコマンッ!!」

「………………はあ?」
 これには十大技師長全員が唖然とした。
「彼がこの龍聖寺院光の“代案”だ」
 錚々たる顔ぶれの間で、困惑の目くばせが飛び交う。
 十大技師長から見ても、『頭がおかしい』としか思われなかったのだ。
 実際に、それはとても代案と成り得るようなものではない。
「ハッ、ハハハッ!? ……何を言うかと思えば! なあみんな!?」
 ジョージ・O・トナーが口元を引き攣らせながらどうにかテーブルを見渡したころ、ようやくギゼン・シャシ
ェフスキの古びた頭脳が再起動した。
 萎びたニンジンのような鷲鼻の議長は、内心煩わしく思いながらも、またも愚かな女に“現実”を突きつけて
やろうと口を開く。
「お前のいう田所カッコマンは、最強無敵ロボ・ネクソンクロガネの爆発に巻き込まれて死んだよ。木っ端微塵
のミドリムシになってな!」
「死んでない」
 老人の言葉を断固として否定する龍聖寺院光の目もとは、涼やかですらあった。ミドリムシとは、ユーグレナ
植物門ユーグレナ藻綱ユーグレナ目に属する鞭毛虫の仲間であるプランクトンの総称である!
「私が死んだと言っておるのだ! 十大技師長で一番頭のいい私がだッ!」
 十大技師長第一位老獪なるギゼン・シャシェフスキが、クリップでひと纏めにした書類の束を、苛立たしげに
龍聖寺院光の車椅子に投げ付けた。「ギゼン議長、血圧ヤバいです」という第九位代理ストリキニーネ・本郷の
今更な囁き声が空しい。
「さあッ、たんと読むがいい……! 題して『田所カッコマンの生存可能性に関する考察』、この、目から鱗の
はぐれ研究論文を! 結論から言えばッ、限りなくッ、ゼロだッ!」
 龍聖寺院光は剣幕に怯むでもなくおもむろにそれを拾い上げ、残酷な現実を物語るという文字の羅列にざっく
りと目を通した。
「……確かによく書けている。データも正確、論拠も明快、文章も平易で読みやすい、おまけに小粋なジョーク
まで入っているとは。バイアス全開で読んだが、ぶっちゃけケチの付けようもない」
「見たか!」
「だぁがッ!!」
 被せ気味に反論ならざる反撃の台詞を叩き付ける。
「しょせんはフニャチンの語る“現実”よ。貴様ら全員、一番肝心な現実を分かっちゃいないと見える――」



 ※


 それでも、ゆずれないと思うものがあるのなら、
 やっちゃいましょう!

 ―――きっとかっこいい女の人になっている未来のわたしへ  中山ひかり



 ※


 田所正男は夢を見ていた。
 そこではあらゆるものがまるで視界の端にあるかのようにあいまいで、まわりの風景はよく分からない。
 ただ、空だけは青かった。太陽の陽射しはぽかぽかして、そよと吹いた風が前髪を攫う。
 上下を定義する重力と、呼吸音、小人が瞼に座っているのではないかと思われるような眠さ。疲れ切った旅人
が体を休めるように、少年は世界にひとり仰向けに横たわっていた。
 夢の中でさらにうつらうつらと微睡みながら、希望に満ちた将来のことを考える。いつか世界でいちばん強く
なって、遂にはあの強大なヨコシマを斃して、みんなにはもう悪を恐れる必要はないと言うのだ。
 輝かしい未来だ。
 よく出来た小説を何度も読み返すように、劇的で甘美な空想の時間に耽溺する。

 そうしていると、ふと世界に黒い翳が落ちた。

 何だろう?
 この平和で閑かな世界を揺さぶる、誰かがやって来る。
 そのうちちゃんと頑張るから、今だけは放っておいてくれ、寝かせて欲しいんだ。
 それでも何となく気にはなって、田所正男は億劫げに空を見上げ、
「……ああ……!」
 震える宇宙に、懐かしい戦友の姿を見た。

 ――はるか天の彼方より降臨する巨大質量
 ――路地の仔猫の微睡みすら守るように着地はやわらかい
 ――しかし悪に対しては、あらゆる攻撃を撥ね退けあらゆる防御を打ち砕く、鬼神のごとき強さを発揮する
 ――それは、もはやこの世界のどこにもいないスーパーロボットだ
 ――大迫力の黒いボディは、それだけで歴戦の古豪を思わせる
 ――黄金の装飾は、己がただ戦うためだけのマシーンではないことを物語る

「……何だよ……」
 瞼が熱くて熱くてたまらなかった。
 もっとよく見ていたいのに、聳え立つ像が、たちまち蜃気楼のように歪んでしまう。
「“最強無敵ロボ”とか言っといてお前……こんなっ……何回も何回もボロボロボロボロ負けやがってッ!! 
……そのせいで、俺が、どんなに……!! ……一体どういうつもりなんだよぉッ!!」
 よほどふざけるなと言いたかった。
 もう二度と聴いてはもらえないと思っていた愚痴をここでぶちまける。
「そのあげく、ひとりだけ死んで……そのくせ、今更そんなこと言いに来るのかよっ! ……こんなの、ひきょ
うすぎるだろう……!!」
 この世ならざる戦友との再会は一瞬だった。黒金の巨人はすぐにその存在感を幽かなものとして、すぅっと虚
空へと消えていった。その行き先は、天国でも地獄でもないどこかだ。
 何が言いたくてここに来たのだろう?
 最強無敵ロボ・ネクソンクロガネは物を言わないが、分かる。
 何故なら、

 田所正男を見下ろすカメラの眼には、悪の心胆を寒からしめる凄み。
 お前はそれでいいのかと問い掛ける目だ。

 涙を、……拭うッ!!
 全ての答えは、自分の中にある。
「そうだな!! ああそうだ!!」
 田所正男ともあろう者がこんなざまでは、死んだ戦友も不安でおちおち眠ってはいられまい。実際に、不甲斐
ないにもほどがある。ほんとうに、どうかしていた。
「そうだったッ!!」
 最強の正義とやらになってヨコシマを斃す。それはいい。
 そのために努力する。それもいい。
 ――だが、それでは今、目の前で殺されようとしている人びとはどうなる?
 それともヨコシマを斃して全てを終わせた後に、虐殺の犠牲者たちの魂を安らかならしめるための慰霊碑に花
でも添えて、『当時は弱かったから仕方がなかった』って、『あの日の悔しさをバネに頑張った』って、そう言
うのか?
 そうやって苦い思い出に浸るのか?
 本当に、それでいいのか?
「そんなのは、俺はいやだ……ッ!!」
 ――覆す。
 希望の未来を、現実だと思っていたものを、どうしようもないこと、覆しようのないものすら!
 もう立ち上がれないと思っていた。
 もう一歩も動けないと思っていた。
「俺の名は……」
 ――心臓に火をつける。
「俺の名は、田所カッコマン!」
 ――覚醒する。
「最強無敵ロボ・ネクソンクロガネの、パイロットだッ!!」
 ――また立ち上がる。
 なるほど、確かに現実はままならない。
 ヒーローになどなれない、ヨコシマを止められない、それが“現実”だ。
 だが、お前は一番肝心なことを忘れている。
 誰かが言った。

「今誰かが泣いている、助けを求めている。それとて立派な“現実”だろうがッ!!」

 奇しくもその空耳は、もうひとりの戦友と言うべき女はぐれ研究員の声とよく似ていた。
 ああ――
 まったくだ。
 まったく、そんなものは、我慢がならない!
「実現する力がないから誰もやらないのか? 現実はそんなものだって諦めて終わるのか? だったらそこで見
ていろ。俺がやる!」
 それで犬死にしたって構うものか。俺が死んでも、後に連なる誰かが必ず悪に立ちはだかる。
 だったら、俺は戦うことが出来る。
 破綻しているかもしれない。何とでも言うがいい。しかし見よ。その破綻した意志が、あるいは世界を覆すこ
とだってあるかもしれない。
 ――あの“力”だ。
 悪と戦う時にだけ手に入る力。誰かを守りたいと思う時にだけ生ずる力。
 今こそ堰切ったように熱き心臓より迸り、全身にスパークしていると分かる。
 何者にも、負ける気がしない!
(ヨコシマは、どこだ!?)
 正義の眼差し“カッコマン・アイ”は地平線の果てまで探す。決して悪を、逃さないッ!
「そこかッ!!」
 思っていたよりは全然離れてはいない。追いつく! まだ少しも遅くはない!
 背後に立ち昇った気炎に、ヨコシマが悠然たる侵略を止めて振り返った。ターンする動作にまぎれて、あの銀
の鞄を打ち捨てる。
「――いかんな」
 峻険な山脈のように甲に骨の浮かぶ大きな手で、ヨコシマは思わず自らの顔を覆う。鷲掴みするような指の仮
面から、燃えるような瞳が覗いていた。
「この街に来てから武者震いが止まらん……!!」
 ギャリギャリと上下顎が擦り合わされる。
 さながら空虚なる古城の最奥において英雄を迎える魔王の形相。
 田所正男がヨコシマを理解できないように、ヨコシマもまた田所正男を理解できないのだ。“最大の悪”はそ
うであるが故にこれほど歓喜し、昂揚している!
「ここからが本当の勝負というわけだ。……復活のッ! 田所カッコマン!」
「ヨコシマァッ!!」
 田所正男が咆哮し、矢のように走る。
 彼我の距離がみるみる縮み、そのうちに双方が攻撃態勢に入る。
「“原始暴帝”、顕現」
 これまで徒手空拳での戦闘を楽しんでいたヨコシマが、遂に牙を剥く。田所正男を対等の敵として、シンジケ
ートの魔人たちすら震え上がるという、その“暴力”を象徴する物を喚ぶのだ。
 ヨコシマの右後方の空間に斜めの断裂が生ずる。恐るべき哉、“最大の悪”は空間すらも我が物とするという
のか! 次元の裂け目は、伝説にいう魔神バロールが瞼を開くように拡大し、たちまち数メートルの径を持つ大
穴となった。
 異界に通ずる門だ。
 向こう側は、まったくの暗黒。音も光もそこから脱出することは出来ないのではないか?
 その奥で闇が揺らいだかと思えば、何か巨大なものがずうと伸びた。
 “右手”だ。
 駆動音を伴って、正常稼働を確かめるようにしきりに関節を動かす。五つの指先は、いずれも悪魔のそれを思
わせるほどに兇悪に鋭い。
 異様な黒さ。
 実際には念入りに火を入れられた鉄塊の地肌の色にすぎないが、あまりの巨大さと重重量がそう錯覚させる。
 円筒形に近い前腕をぐるりと囲う装甲は、一枚板でありながら未知の生物が纏う鱗のようなパターンで表面を
飾っていた。
 このロボヶ丘来訪でヨコシマが手にしたという、ワルヤマ式メカ恐竜の右腕。

「……見ておくがいい。これが悪山悪男のいう究極悪のメカ恐竜、その雛形として開発された鬼子の機体だ!」

 “原始暴帝”、プロト・スワルイド――
 あるいはこの激突が、正義の味方と悪のマッドサイエンティスト、来たるべきその最終決戦の兆しなのか!
 機械駆動の魔手が、田所正男を捕獲しようと上空から覆い被さるように落ちてくる。
 この世界に這い出してきているのは未だ片腕のみとはいえ、それでもそのパワーとスピードは最強無敵ロボな
しでどうこう出来るものではない!
 しかし、それがどうした!!
 息はとうに上がりきって、恐れもどこかにはあって、しかし心の臓の熱さがその足を止めさせない!
「ぼおおおるうううあああああああああああああッ!!」
 ボルテージの昂ぶりとともに、田所正男の右手が煙(けぶ)るように灰色を纏う。
 ヨコシマの魁偉なる貌が獰悪さを強める。受け止めてみせるつもりなのかッ。
「知っているぞ、その技ァッ! ネクソンクロガネアニヒレイターというものか!!」
 ――いいや、ヨコシマは知るまい。
 その力は今や、白銀を経て、黄金に到る。
「“真”・ネクソンクロガネアニヒレイター。これが……奥義だ」



 ※


 田所正男とヒズミ・ワールドシェイカー・ヨコシマ。
 決戦に数瞬先んじて、ヨコシマの投げ捨てたスーツケースがどくりと脈動した。
 目覚めの時は、来たれり。





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