東の空が明るくなり始めた頃。神子、まどか・ブラウニングはベッドから緩慢な動作でもぞりと起き上がった。長い黒髪が肩から零れ落ちる。
――――今日は休日だ、学校は無い。
少女は寝ぼけ眼をさすりながら、危なっかしい足取りで部屋を出た。
――――今日は休日だ、学校は無い。
少女は寝ぼけ眼をさすりながら、危なっかしい足取りで部屋を出た。
パラベラム!
Episode 06:なんでも屋“やおよろず”へようこそ! (接触篇)
Episode 06:なんでも屋“やおよろず”へようこそ! (接触篇)
廊下に出ると、ベーコンの焼ける香ばしい匂いがまどかの鼻腔を刺激した。それに誘われてふらふらと階段を降りる。
「やあ、おはようまどかちゃん」
人の良さそうな微笑みを浮かべるのはルガー・ベルグマン。まどかの所属するなんでも屋“やおよろず”のマネージャーだ。
2メートル近くはあるだろう長身は筋骨隆々、鍛え抜かれた美しい逆三角形。そしてきちんとそろえられた長い金髪と知的な青い目、整った顔立ちはまさにイケてるメンズの体言者。……身につけた猫さんエプロンについてはコメントは控えるべきか。
「あいー、おあようごあいあふ」
まどか、夢現の状態で返答。少女は朝に弱かった。
「おーい、まどかちゃんしっかりー」
ルガーがまどかの肩を掴んでゆさゆさと揺する。
「あい?」
「ほら、コーヒー」
ルガーが煎れたてのホットコーヒーを差し出した。少女はそれをホットコーヒーと認識する前に口に運び、
「うわー、ありあとうごらい……熱い!」
まどか、夢の世界から帰還。少女は猫舌であった。
「はっはっは。改めて……おはよう、まどかちゃん」
「お、おはようございます。びっくりした……」
舌をチロリと出す。どうやら火傷したようだ。
「……水、いるかい?」
「はい、いただきます」
水をとくとくとコップに注いで渡すと、まどかはそれをぐいっと飲み干した。どうやら相当喉が渇いていたようだ。
「あ、コーヒー」
「これは僕が責任を取って飲み干すよ」
「すみません」
しゅんとするまどかを見て、素直な娘だ、とルガーがくつくつと笑った。
「それよりも、朝食が出来たから二人を呼んできてくれないかな」
「どこにいるんです?」
「ガレージ。シロちゃんのフレームを修理中。外装も内装もボロボロだって」
正式名称はヴァイス・ヘーシェン。昨日の朝、昼と間髪入れずに出撃し、夕方にボロボロの状態で帰ってきた、ヘーシェンタイプのオートマタだ。
「何かあったんでしょうか、リヒトさんも、シロちゃんも……。朝の出撃は任務だってわかるんですけど、お昼の出撃は……」
そのへんの野良に襲われたにしては損傷が大き過ぎる。騎士団か傭兵団、他の神子とトラブルでもあったのだろうか。
「……主従揃って性格に難有りだからね。正直何をやらかしても不思議じゃない」
「根はいい人達なんですけどね、根は……」
「そもそもヘーシェンタイプは生産数が少ないから手荒に扱うなって言ってるんだけどね……。まあ、回復力が高いからまだいいけど、これがもしもフリューゲルタイプだったら……」
二人揃ってはぁ、と深い溜め息。同時にチン、とパンの焼けた音。
「おっと、パンが焼けたみたいだ。……まあ、その話は置いといて、今は」
「はい、二人を呼んできますね」
「やあ、おはようまどかちゃん」
人の良さそうな微笑みを浮かべるのはルガー・ベルグマン。まどかの所属するなんでも屋“やおよろず”のマネージャーだ。
2メートル近くはあるだろう長身は筋骨隆々、鍛え抜かれた美しい逆三角形。そしてきちんとそろえられた長い金髪と知的な青い目、整った顔立ちはまさにイケてるメンズの体言者。……身につけた猫さんエプロンについてはコメントは控えるべきか。
「あいー、おあようごあいあふ」
まどか、夢現の状態で返答。少女は朝に弱かった。
「おーい、まどかちゃんしっかりー」
ルガーがまどかの肩を掴んでゆさゆさと揺する。
「あい?」
「ほら、コーヒー」
ルガーが煎れたてのホットコーヒーを差し出した。少女はそれをホットコーヒーと認識する前に口に運び、
「うわー、ありあとうごらい……熱い!」
まどか、夢の世界から帰還。少女は猫舌であった。
「はっはっは。改めて……おはよう、まどかちゃん」
「お、おはようございます。びっくりした……」
舌をチロリと出す。どうやら火傷したようだ。
「……水、いるかい?」
「はい、いただきます」
水をとくとくとコップに注いで渡すと、まどかはそれをぐいっと飲み干した。どうやら相当喉が渇いていたようだ。
「あ、コーヒー」
「これは僕が責任を取って飲み干すよ」
「すみません」
しゅんとするまどかを見て、素直な娘だ、とルガーがくつくつと笑った。
「それよりも、朝食が出来たから二人を呼んできてくれないかな」
「どこにいるんです?」
「ガレージ。シロちゃんのフレームを修理中。外装も内装もボロボロだって」
正式名称はヴァイス・ヘーシェン。昨日の朝、昼と間髪入れずに出撃し、夕方にボロボロの状態で帰ってきた、ヘーシェンタイプのオートマタだ。
「何かあったんでしょうか、リヒトさんも、シロちゃんも……。朝の出撃は任務だってわかるんですけど、お昼の出撃は……」
そのへんの野良に襲われたにしては損傷が大き過ぎる。騎士団か傭兵団、他の神子とトラブルでもあったのだろうか。
「……主従揃って性格に難有りだからね。正直何をやらかしても不思議じゃない」
「根はいい人達なんですけどね、根は……」
「そもそもヘーシェンタイプは生産数が少ないから手荒に扱うなって言ってるんだけどね……。まあ、回復力が高いからまだいいけど、これがもしもフリューゲルタイプだったら……」
二人揃ってはぁ、と深い溜め息。同時にチン、とパンの焼けた音。
「おっと、パンが焼けたみたいだ。……まあ、その話は置いといて、今は」
「はい、二人を呼んできますね」
♪ ♪ ♪
“やおよろず”のガレージは別棟となっていて、家を出てすぐ前にある。いつもは仕事が来ないせいで閑散としているが、今日は珍しくメカニック達が右に左に大忙し、
「ライディーンさんライディーンさん! 見てください! 天井に穴が!」
……というわけでもないようだ。
「あー、どうりで雨漏りが……って、僕はライディーンじゃねーよ! ライディースだよ!」
名前を間違えられた茶髪とフレームレスの眼鏡が特徴の男はライディース・グリセンティ、通称ライ。二人のメカニックの内の片割れだ。二年前に突然転がり込んできた少年で、軽薄そうな外見とノリで経験も浅いが、手先の器用さには定評がある。
そしてツナギを腰まで下ろして黒いタンクトップを露出させるというセクシーな出で立ちの少女はリタ・ベレッタ。身長142センチ、童顔、無乳。サラサラのプラチナブロンドと舌っ足らずな声がその幼さに拍車をかけている。
まどかやライと違い“やおよろず”創設時から所属しているリタは、創設前に傭兵をやっていたリヒトの下で長年メカニックを務めており“やおよろず”でも――――こんなナリだが――――その経験を買われてチーフメカニックを任されている。
「リタさーん、ライディースさーん」
そんなリタとは対象的な大人びた顔立ちにくまさんパジャマを纏ったまどかが大きく手を振って二人を呼んだ。
「あ、おは」
「おはようございますまどかさん!」
……間が悪い。
「ちょっと、なんで割り込むんスか!?」
「あら、すみません。しかし私は謝らない!」
右手を腰に当て、左手をライに向かって突き出す。その勢いたるや、まどかには、ビシィッ! という効果音が聞こえた程だ。
「いや今謝った! 今謝ったよアンタ!」
ライも上司(一応)に対するツッコミに余念が無い。
「で、何かありましたか、まどかさん!」
「無視かよ!」
「はい、朝ごはんです。今日の当番は」
「ルガーさんですね!」
「はい、ルガーおじさまです!」
女子二人がきゃっきゃと喜んだ。
「だから無視かよ!!」
取り残される男子一名。
なんでも屋“やおよろず”では食事等の家事は当番制となっていて、昨日の食事当番はまどか(それなり)、今日の当番はルガー(奥様顔負け)だ。ちなみにライが当番の日は手抜きが目立ち、リヒトが当番の日は味がやたら濃く、リタが当番の日なんかは断食確定だ。
「でさ、ルガーは何作ってたの?」
ツナギのジッパーを腰まで下ろしながら、ライ。
「トーストと……あの匂いはベーコンでした」
「それ以外は?」
「すみません、確認していません」
ライが「そっか」と肩を落とす。
「まあ、たかが朝飯だし、期待するほうが馬鹿ってね。勝負は昼と夜だよ、昼とよ……うわっと!?」
「たかが朝飯とは何ですか!」
へっ、と自嘲気味に笑うライにズビシャアッ! とモンキーレンチ――――彼女は工具を常に携帯している――――を向けて声を張り上げる上司。
「朝ごはんは、今日一日の活力と、明るく楽しい明日のための、重要な」
くどくど、くどくど。
「あはは……馬鹿がいた」
呆れ返る部下・ライをよそに、上司・リタの説教は勢いを増していく。
「ライディーンさんライディーンさん! 見てください! 天井に穴が!」
……というわけでもないようだ。
「あー、どうりで雨漏りが……って、僕はライディーンじゃねーよ! ライディースだよ!」
名前を間違えられた茶髪とフレームレスの眼鏡が特徴の男はライディース・グリセンティ、通称ライ。二人のメカニックの内の片割れだ。二年前に突然転がり込んできた少年で、軽薄そうな外見とノリで経験も浅いが、手先の器用さには定評がある。
そしてツナギを腰まで下ろして黒いタンクトップを露出させるというセクシーな出で立ちの少女はリタ・ベレッタ。身長142センチ、童顔、無乳。サラサラのプラチナブロンドと舌っ足らずな声がその幼さに拍車をかけている。
まどかやライと違い“やおよろず”創設時から所属しているリタは、創設前に傭兵をやっていたリヒトの下で長年メカニックを務めており“やおよろず”でも――――こんなナリだが――――その経験を買われてチーフメカニックを任されている。
「リタさーん、ライディースさーん」
そんなリタとは対象的な大人びた顔立ちにくまさんパジャマを纏ったまどかが大きく手を振って二人を呼んだ。
「あ、おは」
「おはようございますまどかさん!」
……間が悪い。
「ちょっと、なんで割り込むんスか!?」
「あら、すみません。しかし私は謝らない!」
右手を腰に当て、左手をライに向かって突き出す。その勢いたるや、まどかには、ビシィッ! という効果音が聞こえた程だ。
「いや今謝った! 今謝ったよアンタ!」
ライも上司(一応)に対するツッコミに余念が無い。
「で、何かありましたか、まどかさん!」
「無視かよ!」
「はい、朝ごはんです。今日の当番は」
「ルガーさんですね!」
「はい、ルガーおじさまです!」
女子二人がきゃっきゃと喜んだ。
「だから無視かよ!!」
取り残される男子一名。
なんでも屋“やおよろず”では食事等の家事は当番制となっていて、昨日の食事当番はまどか(それなり)、今日の当番はルガー(奥様顔負け)だ。ちなみにライが当番の日は手抜きが目立ち、リヒトが当番の日は味がやたら濃く、リタが当番の日なんかは断食確定だ。
「でさ、ルガーは何作ってたの?」
ツナギのジッパーを腰まで下ろしながら、ライ。
「トーストと……あの匂いはベーコンでした」
「それ以外は?」
「すみません、確認していません」
ライが「そっか」と肩を落とす。
「まあ、たかが朝飯だし、期待するほうが馬鹿ってね。勝負は昼と夜だよ、昼とよ……うわっと!?」
「たかが朝飯とは何ですか!」
へっ、と自嘲気味に笑うライにズビシャアッ! とモンキーレンチ――――彼女は工具を常に携帯している――――を向けて声を張り上げる上司。
「朝ごはんは、今日一日の活力と、明るく楽しい明日のための、重要な」
くどくど、くどくど。
「あはは……馬鹿がいた」
呆れ返る部下・ライをよそに、上司・リタの説教は勢いを増していく。
「――――つまり! パンよりごはんのほうが、私は好きだと、そういう事です!」
そう高らかに宣言(いつの間にパン派・ごはん派の話になったんだ)し、リタは手の中でマイナスドライバー(いつの間に持ち替えたんだ)をくるくると回しながら大腿部にあるポケットにしまった。
「あ、私もごはんのほうが好きですよ」
「参加すな!」
<お前達、何をしている>
響くハスキーボイス。その数秒後、金色のオーブをあしらった一本の杖が現れた。
「あ、たまちゃんだ」
「起きてたんですか、たまちゃんさん!」
「おはようございます、たまちゃん教官」
空中に浮く杖の正体は“教官”“たまちゃん”こと玉藻・ヴァルパイン。まどか・ブラウニングと契約を交わしたオートマタだ。
稼働年数が長く、経験豊富で博識な彼女はなんでも屋の知恵袋であり、切り札でもある。マスターが未熟なのと本人が引きこもり体質のため、あまり前線には出ないのが弱点だが。
<お前らなぁ……>
ドスの効いた声からは苛立ちが垣間見える……というか苛立ちが丸見えだ。
<朝、顔を合わせたら、まずは挨拶だろう……?>
「しかし教官! 自分達はまだ顔は合わせていません!」
<口答えするな!>
「はいぃっ!」
物凄い剣幕で怒鳴られ、ライが裏返った悲鳴を上げて気をつけの姿勢をとった。
<……なんてな。冗談だよ、冗談だ。それより早くルガーのところに行ってやれ。飯が冷めるぞ>
たまが呆れ調子で溜め息をついたと同時、リタが叫び声を上げる。「はっ、ごはん!」
「このリタ・ベレッタ、空腹の中で朝食を忘れていました……っ」
<いいからっ、早く行けっ!>
「はっはっは! 言われなくてもスタコラサッサですよ!」
「あっ、先を越された! じゃ、たまちゃん教官、また後で!」
メカニック二名、光の早さでごはんへダッシュ。あっという間に視界から消え去る。
<……まったく、朝っぱらから騒がしい奴らだ>
言葉とは裏腹に楽しそうなたま。
<どうした、まどか。お前も早く……>
「たまちゃんも行きましょう。ずっと倉庫の中じゃ、キノコが生えちゃいます」
<リタが喜びそうだな>
「はい、とっても……って、そうじゃなくて。たまには陽の光を浴びないと駄目ですよ。シロちゃんの事だって話し合わないといけませんし。だから……ね?」
まどかの上目遣いに、たまは一瞬ドキっとする。
ああ、来た、これだ、これだよ。
――――この捨てられた仔犬のような瞳に、たまは弱いのだ。ついつい保護欲をかきたてられてしまう。母性本能をくすぐられてしまう。
<まあ、奴らの心配はしていないが……。お前がそこまで言うなら従うよ、マイマスター>
そういうと杖――――たま――――はふわりと宙に浮いて、まどかの手にすっぽりと収まった。
<しかし、とんだ馬鹿だな、お前は>
「なんでです?」
<どうせ今の私は杖だぞ? 無理矢理持って行けばいいじゃないか>
「あら」と一言。どうやらまどかはその考えには至らなかったらしい。
<……まったく、とんだ馬鹿だよ、お前は>
そう高らかに宣言(いつの間にパン派・ごはん派の話になったんだ)し、リタは手の中でマイナスドライバー(いつの間に持ち替えたんだ)をくるくると回しながら大腿部にあるポケットにしまった。
「あ、私もごはんのほうが好きですよ」
「参加すな!」
<お前達、何をしている>
響くハスキーボイス。その数秒後、金色のオーブをあしらった一本の杖が現れた。
「あ、たまちゃんだ」
「起きてたんですか、たまちゃんさん!」
「おはようございます、たまちゃん教官」
空中に浮く杖の正体は“教官”“たまちゃん”こと玉藻・ヴァルパイン。まどか・ブラウニングと契約を交わしたオートマタだ。
稼働年数が長く、経験豊富で博識な彼女はなんでも屋の知恵袋であり、切り札でもある。マスターが未熟なのと本人が引きこもり体質のため、あまり前線には出ないのが弱点だが。
<お前らなぁ……>
ドスの効いた声からは苛立ちが垣間見える……というか苛立ちが丸見えだ。
<朝、顔を合わせたら、まずは挨拶だろう……?>
「しかし教官! 自分達はまだ顔は合わせていません!」
<口答えするな!>
「はいぃっ!」
物凄い剣幕で怒鳴られ、ライが裏返った悲鳴を上げて気をつけの姿勢をとった。
<……なんてな。冗談だよ、冗談だ。それより早くルガーのところに行ってやれ。飯が冷めるぞ>
たまが呆れ調子で溜め息をついたと同時、リタが叫び声を上げる。「はっ、ごはん!」
「このリタ・ベレッタ、空腹の中で朝食を忘れていました……っ」
<いいからっ、早く行けっ!>
「はっはっは! 言われなくてもスタコラサッサですよ!」
「あっ、先を越された! じゃ、たまちゃん教官、また後で!」
メカニック二名、光の早さでごはんへダッシュ。あっという間に視界から消え去る。
<……まったく、朝っぱらから騒がしい奴らだ>
言葉とは裏腹に楽しそうなたま。
<どうした、まどか。お前も早く……>
「たまちゃんも行きましょう。ずっと倉庫の中じゃ、キノコが生えちゃいます」
<リタが喜びそうだな>
「はい、とっても……って、そうじゃなくて。たまには陽の光を浴びないと駄目ですよ。シロちゃんの事だって話し合わないといけませんし。だから……ね?」
まどかの上目遣いに、たまは一瞬ドキっとする。
ああ、来た、これだ、これだよ。
――――この捨てられた仔犬のような瞳に、たまは弱いのだ。ついつい保護欲をかきたてられてしまう。母性本能をくすぐられてしまう。
<まあ、奴らの心配はしていないが……。お前がそこまで言うなら従うよ、マイマスター>
そういうと杖――――たま――――はふわりと宙に浮いて、まどかの手にすっぽりと収まった。
<しかし、とんだ馬鹿だな、お前は>
「なんでです?」
<どうせ今の私は杖だぞ? 無理矢理持って行けばいいじゃないか>
「あら」と一言。どうやらまどかはその考えには至らなかったらしい。
<……まったく、とんだ馬鹿だよ、お前は>
♪ ♪ ♪
母屋に着くと、一足お先に光の早さで明日へダッシュ――――もとい、朝食へダッシュしていったメカニック二人が
「遅かったじゃないか、まどかちゃ……おお、たまちゃんじゃないか、おはよう。君が外に出るなんて珍しいね」
ハッハッハ、ルガーが快活に笑う。
<たまには外に出ないとキノコが生えちまうからな>
クックック、たまが陰気に笑う。
「キノコですか! いいですね、秋の味覚!」
「いや、今春……って喰うのかよ!?」
キレのいいボケとツッコミ。
「手を合わせて、いただきます」
さらにマイペースにトーストを頬張る黒髪美少女。ダイニングはまさにカオスの様相を呈していた。
「ヘーシェン……シロちゃんの損傷の度合いは?」
ルガーがトーストの上にベーコンと目玉焼きを乗せながらリタに尋ねる。既に二枚目のトーストを半分程平らげていたリタは片手を上げて「待った」をして残った半分を丸め、無理矢理口に押し込んだ。
もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ……ごくり。
「わかりやすく言うと、長期休暇が必要なレベルですね。あ、おかわりお願いします!」
「……長期休暇? あ、リタちゃんお皿出して」
「了解です!」
ルガーが差し出された皿の上にトーストを一枚乗せる。
「長期休暇ってのはまあ、言葉の意味そのまんまなんですが、それはつまり」
リタは大量のバターを丹念にトーストに塗りたくり、
「自然回復を待つって事ですね」
それに勢い良く噛り付いた。
――――オートマタには自己修復機能が搭載されており、完全にメンテナンスフリーとはいかないまでも、ある程度の損傷ならパーツの交換無しで対応する事ができるのだ。
「遅かったじゃないか、まどかちゃ……おお、たまちゃんじゃないか、おはよう。君が外に出るなんて珍しいね」
ハッハッハ、ルガーが快活に笑う。
<たまには外に出ないとキノコが生えちまうからな>
クックック、たまが陰気に笑う。
「キノコですか! いいですね、秋の味覚!」
「いや、今春……って喰うのかよ!?」
キレのいいボケとツッコミ。
「手を合わせて、いただきます」
さらにマイペースにトーストを頬張る黒髪美少女。ダイニングはまさにカオスの様相を呈していた。
「ヘーシェン……シロちゃんの損傷の度合いは?」
ルガーがトーストの上にベーコンと目玉焼きを乗せながらリタに尋ねる。既に二枚目のトーストを半分程平らげていたリタは片手を上げて「待った」をして残った半分を丸め、無理矢理口に押し込んだ。
もっしゃもっしゃもっしゃもっしゃ……ごくり。
「わかりやすく言うと、長期休暇が必要なレベルですね。あ、おかわりお願いします!」
「……長期休暇? あ、リタちゃんお皿出して」
「了解です!」
ルガーが差し出された皿の上にトーストを一枚乗せる。
「長期休暇ってのはまあ、言葉の意味そのまんまなんですが、それはつまり」
リタは大量のバターを丹念にトーストに塗りたくり、
「自然回復を待つって事ですね」
それに勢い良く噛り付いた。
――――オートマタには自己修復機能が搭載されており、完全にメンテナンスフリーとはいかないまでも、ある程度の損傷ならパーツの交換無しで対応する事ができるのだ。
「自然回復って、全治どれくらいなんで……あちゃい!」
手元を確認せずにルガーのマグカップを口元に運んでいき……まどか、本日二度目のドジ。
「あ、まどかちゃん、それ僕のホットコーヒー」
<馬・鹿・か、お前は>
「うぅ……あんまりです」
小さく背中を丸め、ちびちびと冷水に舌をつける。
「まあ、アバウトに全治一ヶ月半くらいですね」
気付けばトーストを平らげているリタ。手元を確認せずにライのマグカップを口元に運んでいき……グイっと一気に飲み干した。
「ああっ、それ僕のミルクティー! なに飲んでんだよ! 返せ! 返せよ!」
「おっと失礼。お詫びに私の牛乳を差し上げましょう!」
デフォルメされた牛が描かれたマグカップを「どうぞ!」と差し渡す。
「む、わかったよ……ってなんだこれ!? 甘っ!?」
<おい待て、その間仕事はどうするんだ>
ゲホゲホとむせ返るライを尻目にたまが尋ねた。
「それは」
<まどかは学校だぞ>
「大丈夫ですよ、たまちゃん。私頑張りますから!」
<むぅ……>
めどいな……と胸中で呟くたま。
「まあ、休日に簡単な依頼を請ければ大丈夫だと思うよ。しばらくおかずは一品だけになると思うけど。それよりも、リヒト達の安否のほうが――――」
「やあやあ! なんでも屋“やおよろず”がエース、リヒト・エンフィールド、ただ今帰還!」
<同じくヴァイス・ヘーシェン、ただ今帰宅いたしました>
突然バコン! と扉が開け放たれ、現れたのはリヒトとヴァイスと、そして――――
「えーっと、い、一条 遥です」
<M-12、リヒター・ペネトレイターです>
見知らぬ少女と、機械人形。
「……あ」
「い!?」
「うわぁ」
「え?」
<おい>
場の空気が凍り付いた。
<……間が悪いぞ、馬鹿野郎が>
さて――――たまの言う通りいささか間が悪いが――――ここで時は数刻前に遡る。
手元を確認せずにルガーのマグカップを口元に運んでいき……まどか、本日二度目のドジ。
「あ、まどかちゃん、それ僕のホットコーヒー」
<馬・鹿・か、お前は>
「うぅ……あんまりです」
小さく背中を丸め、ちびちびと冷水に舌をつける。
「まあ、アバウトに全治一ヶ月半くらいですね」
気付けばトーストを平らげているリタ。手元を確認せずにライのマグカップを口元に運んでいき……グイっと一気に飲み干した。
「ああっ、それ僕のミルクティー! なに飲んでんだよ! 返せ! 返せよ!」
「おっと失礼。お詫びに私の牛乳を差し上げましょう!」
デフォルメされた牛が描かれたマグカップを「どうぞ!」と差し渡す。
「む、わかったよ……ってなんだこれ!? 甘っ!?」
<おい待て、その間仕事はどうするんだ>
ゲホゲホとむせ返るライを尻目にたまが尋ねた。
「それは」
<まどかは学校だぞ>
「大丈夫ですよ、たまちゃん。私頑張りますから!」
<むぅ……>
めどいな……と胸中で呟くたま。
「まあ、休日に簡単な依頼を請ければ大丈夫だと思うよ。しばらくおかずは一品だけになると思うけど。それよりも、リヒト達の安否のほうが――――」
「やあやあ! なんでも屋“やおよろず”がエース、リヒト・エンフィールド、ただ今帰還!」
<同じくヴァイス・ヘーシェン、ただ今帰宅いたしました>
突然バコン! と扉が開け放たれ、現れたのはリヒトとヴァイスと、そして――――
「えーっと、い、一条 遥です」
<M-12、リヒター・ペネトレイターです>
見知らぬ少女と、機械人形。
「……あ」
「い!?」
「うわぁ」
「え?」
<おい>
場の空気が凍り付いた。
<……間が悪いぞ、馬鹿野郎が>
さて――――たまの言う通りいささか間が悪いが――――ここで時は数刻前に遡る。
ヒャッハ――――! 次回へ続くゥゥゥ!
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