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Episode 8.5-A:まずはお互いを理解するところから始めましょう 前篇

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 ――――入社試験から数時間。ハプニングに巻き込まれまくった遥は、案内された部屋で、
「くかー」
 爆睡、していた――――


パラベラム!
Episode 8.5:まずはお互いを理解するところから始めましょう


□Chapter 01:一条 遥~人は私を「リスト・ロックの伝道士」と呼ぶ~


 そんな遥の部屋の前を一人の男が通り掛かった。リヒト・エンフィールドだ。
「お嬢さーん、そろそろ歓迎パーチーが……って、扉開いとるがな」
 部屋の中をチラリと覗く。どうやら噂の遥お嬢様は睡眠中のようだ。
 これはチャンスだとばかりにリヒト、部屋の中へ潜入。
 どうやら相当疲れていたらしく、着替えもせずに寝入ってしまったようだ。一向に起きる気配はない。
「……んー」
 ベッドの上でごろりごろりと寝返りをうつ遥。服がはだけてアレやコレやが見えそうだが、もちろん寝ているので気にしない、気付かない。
 無防備。そんな言葉がぴったり当て嵌まる状態だ。
 さて、どうやって起こそうか。……お、今一瞬あられもないものが見えたぞ。
「ふむ……白、しかも綿100パーセントと見た」
 ――――べらぼうにブラボーじゃないか。いいセンスだ、そそられる。
 見慣れた三つ編みお下げを解いているせいもあるだろう。大人っぽさと幼さがいい具合にないまぜになっていて、実にいい。
 が、襲い掛かったりはしない。変態は変態であると同時に紳士でもあるのだ、そうそうプリミティブな衝動に身を任せてはいられない。
「さて、眠り姫を起こしましょうか」
 それは唐突だった、突然だった、サドゥンリーだった。
 肩へと手を伸ばしたその時、不意に、関節を、
「ねっ」
 極められた――――!?
 まさか向こうから襲ってくるとは思わなんだ。
 伊達に年頃の女子一人で旅をしてきたわけではないらしい。見事な手首固めだ。見た目は地味だが、物凄く痛い。しかも両足で首をガッチリ固定されているせいで動けない。
「あだだだだだだ! ギブ! ギブ!」
 なんとか空いている左手で遥の腿を叩く。ぺちぺちと虚しい音が響いた。
「――――はっ」
 よし、これでだいじょうぶだ……。かのじょはしょうきにもどった!
 が、正気に戻ったという事はつまり――――
 静寂。見つめ合う遥とリヒト。
「やあ、おはよう遥ちゃん」


□Chapter 02:リヒト・エンフィールド~永遠の美学の名は Lolita complex!~


「すみません、悪党だと勘違いして……」
 遥、ベッドの上に正座。
 どうやら昨日の逃走劇の緊張が抜け切っていなかったらしい、取り返しのつかない事をしてしまった……色んな意味で。
「はっはっは、大丈夫だよ。むしろ幸せ……いやなんでもない」
 方やリヒトは手近にあった椅子に腰掛ける。
 間に流れる気まずい沈黙。
「まあ遥ちゃんよ、そうヘコむ事は無いさ。誰だって寝ボケて他人に襲い掛かる事くらいある」
 無いってツッコミは入れるべきなんだろうかこの場合。
「それに、君になら手首の一つや二つくらい捧げてもいい。ロリに殺られるなら本望だ」
 え? ロリ?
「えーと、リヒトさんって」
 今のが聞き間違いじゃないなら、この人ひょっとして危ない人?
「そう、俺はロリコンなのさ!」
「ああ、言い切った!?」
 そこは否定してほしかった!
「しかしロリコンは悪ではない、悪ではないのだよ!」
 リヒトが演技がかった、非常にキレの良い動作で立ち上がった。


 ♪  ♪  ♪


■リヒト・エンフィールド閣下による素晴らしいロリコン演説(CV:銀河万丈)


 ――――記録によれば、ロリコンというものの語源はコン族の英雄、ロリ・コンから取られたものであるとする説がある。
 かの英雄は幼い子供達を守り、そして死んでいったという。そう、ロリコンとは弱き者を守る英雄に授けられる、偉大な称号なのである!
 だが、見ていただきたい!
 ロリコンという言葉が差別用語に姿を変え、我々を束縛しているこの現状を!
 そもそもが英雄の称号であったロリコンを、犯罪者のそれへと歪めたマスメディア達を!
 幼女拉致監禁事件が起こる度に彼らは言うのだ「またロリコンか」と!
 幼女殺人事件が起こる度に彼らは訴えるのだ「ロリコンは子供の敵だ」と!
 かくしてロリコンは犯罪者へのレッテルへとその意味を堕とした! これは英雄ロリ・コンに対する許し難い侮辱である!
 ならば、我々ロリコンは襟を正し、この状況を打開しなければならぬ。
 今こそ我々ロリコンは、明日の未来に向かって立たねばならないのだ!
 ジーク・ロリータ!


 ♪  ♪  ♪


「ジーク・ロリータ!」
「じ、じーく・ろりーた」
 な、なんだかよくわからないが、凄い説得力だ。これがカリスマというものなのだろうか。
「わかってくれたか、遥くん!」
「だ、大体、わかりました」
 子供のように目を輝かせて手を握ってきたリヒトに遥、たじたじ。
「よし、わかってくれてありがとう! っつーわけで、そろそろ歓迎パーチーの時間だ」
 なにが「っつーわけ」なのかツッコミを入れるべきなのだろうかこの場合……なんて思案する暇は一瞬。「さあ行くぞ」と手を引かれ、遥は部屋から飛び出した。
 三つ編みを編む時間すら、与えられずに。


□Chapter 03:ルガー・ベルグマン~筋肉が僕にもっと鍛えろと囁いている~


 リヒト引っ張られて連れて来られた場所は、
「のれん……?」
 キッチンだった。何故か入口にはのれんが掛かっている。玄関といい、誰かの趣味なのだろうか。
「おお……ガーリックの匂いが」
 充満する諸々の美味しそうな香りに遥のおなかがぐぅと鳴る。
 そういえば朝も昼もロクに食べていなかった……おなかへったなぁ。
 腹が減って、腹が痛い。おなかはへりすぎると腹痛を伴うのだ。
 片手でおなかをさすりつつ、もう片方の手で髪を弄る。いつもの三つ編みお下げとは違うせいで違和感はバリバリ。髪が太いので寝癖もつきやすい。
 キッチンから少し離れて、手櫛でぐしぐし。
 リヒトはいつの間にかいなくなっていたが、今はそれよりもこの髪の乱れをなんとかしなければ。
 遥、自分の髪に悪戦苦闘。
「ゴムかリボンがあればいいんだけど……」
 近場に無いだろうか、キョロキョロと辺りを伺う。
 部屋に戻ったほうが早いのだが――――遥は結構……いや、かなりものぐさだった。


 ♪  ♪  ♪


 ガレージ。綺麗に片付けられたテーブルの上に、素早く、美しい動作で食器類を置いていくルガー・ベルグマン。マッシブな外見に似合わずエレガントな男だ。
「さて、と。あとは料理を持ってくれば準備は完了かな」
<ご苦労様です、ルガー・ベルグマン>
 そう彼に話しかけたのは、リヒター・ペネトレイター。三つ編み少女、一条 遥に付き従う、黒いオートマタ。
「ありがとう、リヒター君」
<いえ、自分はこうして声を掛ける事しかできませんので>
 猛禽類のような頭部に備えられた赤いツイン・アイがチカチカと明滅する。彼なりの感情表現だろうか?
「それが嬉しいんだよ。『がんばれ』って言われればやる気が出るだろう?」
 ふむ。とリヒター、しばし黙考して、
<そういうもの、なんですか>
 何と言えばいいのかわからなかったのだろう、どもり気味にそう言った。
「まあ、大体はね。ただし世の中には天邪鬼っていう人種がいるけど……それはまた別の話という事で」
 おっと、早く料理を取りに行かなきゃ。そう踵を返すルガーを、
<ルガー・ベルグマン>
 リヒターが呼び止めた。
「なんだい、リヒター君?」
<がんばれ>
 それは酷い棒読みだった。酷い棒読みだったが、 とても心が満たされる一言だった。
「ありがとう、嬉しいよ」
 不器用な新入りを後にして、駆け足でその場を後にする。冷める前に、手っ取り早く料理を並べてしまおう。
 ――――今日は歓迎パーティーだ。


□Chapter 04:リタ・ベレッタ~ブリリアントな馬鹿がオマエを攻落するぜ~


 数分間探し回ったが、ゴムもしくはそれに準ずる物は影も形も見当たらなかった。
 はぁ、と憂鬱な溜め息ひとつ。どうしようこのメデューサみたいな髪(誇張表現)。
「二階に上がるのめんどくさいなー」
 相変わらず髪の毛をぐしぐし弄りながらひとりごちる。激しい運動をしたせいで身体の節々が痛いのだ、無理も無いだろう――――と自分を納得させつつ、ダイニングまで移動し、木製の椅子に「どっこいしょ」と腰を降ろす。
 暇潰しに机の上に無造作に置いてあった書類――――料理のレシピのようだ――――を見ていると、部屋に誰かが入って来た。
「むっ、怪しい奴! さてはゴルゴンですね、許せんっ!」
 そね早口で可愛らしい声の主は輝くプラチナブロンドを持つ、作業衣を腰まで降ろしてタンクトップを露出させた、セクシーな出で立ちの……幼女? いや、だって少女と言うにはあまりにも外見が幼過ぎるではないか。自分が言うのもなんだが。
 着ている服からしてメカニックのようだが……ライの妹さんかしら。
「いや、私ゴルゴンじゃなくて一条 はる」
「問答無用です!」
 そう言って幼女は左手を天に、右手を地に向ける。……見た事ないけど何の構えだろう、これ。
 何はとあれ、まずは誤解を解かなければ。
 さっと髪を纏めて二つに分けて、お下げの形にする。一度遥の姿を見た事があるのなら、これできっとわかってくれるはずだ。
「あ! わかりました!」
 幼女、ポンと手を打った。どうやらわかってくれ
「あなたはなんとかバルカンさん!」
「誰――――!?」
 なんて間違い方だ。一体濁点と「ん」はどこから出てきたんだろう。
「一条 遥です! い・ち・じょ・う・は・る・か!」
「惜しい!」
「惜しくない!」
 はるかとバルカン、全然違うではないか……。
「そんな事より、一条 輝さん!」
「遥です!」
 遥と輝、似ても似つかないではないか……。
 ――――なんだか虚しくなってきた。もう輝に改名しようかなー。それで戦闘機乗ってブイブイ言わせるんだー……って私は何を。
 文字通り頭を抱える遥。我よ、我に返れ。
「……で、なに?」
「おいくつですか!」
「はえ……?」
 何の脈絡も無くそう尋ねられて遥、いささかの戸惑いを隠せない。
「えーと、今年でじゅう、きゅう……だけど」
「ナルホド了解合点承知! 十歳と九ヶ月ですね!」
 スパーン!
「あうっ」
 手にしたレシピによる一撃が幼女の脳天に炸裂した。
「ぶつよ?」
「もうぶたれました……」
 ぶたれたところを押さえながら、幼女。
「十歳と九ヶ月じゃなくて、十九歳、ナインティーン、よろしい?」
「ほほう、ナインティー……きゅうじゅっさ」
 スパーン!
「ひうっ」
 二発目も同じ場所にクリーンヒット。狙いもタイミングもバッチリ。
 それにしても変な子だ。……なんとなくこの子からはリヒトと同じニオイがする。
「これ以上年上をからかうと、ぶつよ?」
「うう、もうぶたれました……。というか、遥さん!」
「……今度は、なに?」
「今年で十九なら、私、同い年ですけど」
「は?」
 またまたご冗談を……あ、わかった!
「十歳と九ヶ月!」
 ぺちん。
「あんっ」
 お返しとばかりに頭を叩かれた。わざわざジャンプまでして……はっ。
 冷静に考えてみたら、自分だって童顔で、似たようなものではないか。彼女の言っている事を否定するという事は、自分を否定するという事になるのではないか!?
「ごめんね。えーっと……」
「リタです! リタ・ベレッタ!」
 にかっ、とリタが白い歯を見せる。
「よろしく。仲良くしよ、リタちゃん」
「はい、仲良くしましょう、遥さん!」
「うわっ」
 遥が微笑みながら握手を要求するのと、リタが遥に抱き着くのは同時だった。
 バランスを崩して転倒する二人を、筋肉質な誰かが受け止める。大きくて、温かい誰かが。
「おやおや、リタちゃんは相変わらずスキンシップ過剰だね」
 マネージャーのルガー・ベルグマンだ。部屋に案内してもらった時にライに教えてもらったから、遥も一応名前と役職は知っている。
 ライ曰く「暇があったら鍛えている」んだとか「昔はボディビルダーだったらしい」だとか「気障なオッサン」だとか「車の運転が趣味」だとか。
「そしておはよう、遥ちゃん」
「あ……おはようございます」
 甘いマスクで微笑みかける、ルガー。なるほど、同性から見たらこれはちょっと気障っぽいかもしれない。
「よし、じゃあリタちゃん。料理を運ぶの手伝ってくれるかな?」
「了解しました!」
 敬礼して、てとてとと走り去って行った。
「あ、慌ただしい娘だ……」
 小さくなっていくリタの後ろ姿を見つめながら、遥がぼそりと呟いた。まるで人に懐いた小動物のような娘だ。
「ウチのマスコットみたいな娘だからね。ああ、そんなリタちゃんももう十九か。十九年前は僕もまだ子供だったなぁ……」
 若き日の郷愁に浸るルガー。よく見ると、身体のあちこちにかつて受けたものであろう傷跡が散見している。昔は何やってたんだろう、この人。
「ん? 何だい遥ちゃん?」
 遥の視線に気付いたルガーが、遥に声を掛けた。
「ああ、いえ、ルガーさんはおいくつなのかなー……って」
「はっはっは、そうかしこまる必要は無いよ、遥ちゃん。で、僕の年齢かい?」
 遥、無言で首を縦に振る。
「僕は三一歳……三十路過ぎだね。ちなみにリヒトは二八、ライディース君は十七、まどかちゃんは十四歳だよ」
「ほー、そうなんですか……って」
 あのリヒトが二八歳。
 あのまどかが十四歳。
「そ、そんな馬鹿な。アリエナイザー」
 どちらも自分と同い年か少し上くらいだとばかり思っていた遥の顔に、驚愕の表情がありありと浮かび上がった。
「うん、驚くのも無理はないと思う。というか実際まどかちゃんはともかくリヒトは幼馴染みの僕にも彼が二八歳にはとても見えないよ……二重の意味で」
 ルガー、あははと苦笑い。
「さて、僕も仕事をしないとね」
 首を捻る。こきり、こきりと音が鳴る。
「あ、私も手伝います」
「ごめん、その前に遥ちゃん……髪の毛」
「あ」
 リタとのボケとツッコミの応酬ですっかり忘れていた。
「今の私、メデューサだ……。あの、ルガーさん。ヘアゴムあります?」
 ルガーは顎に人差し指を当てて考えると、
「僕も持ってる事は持ってるけど、部屋に置いてあるし……多分、部屋に取りに戻ったほうが早いんじゃないかな」
「……デスヨネー」


□Chapter 05:まどか・ブラウニング~学業の最前線に立ち続ける覚悟はあるか?~


 玄関側の階段を登って二階、吹き抜けの廊下の三つある内の真ん中が遥の部屋だ。ドアノブを捻り、部屋に入る。
 ベッドと荷物以外はまだ何もない、殺風景で寂しい部屋。いらない家具を貰えるといいんだけれど。
「ラジオとか欲しいなー、っと」
 あったあった、ベッドの上に黒いヘアゴムが無造作に二つ放置してある。
 それを掴んで、遥は思い立った。
 バックパックの中から着替えを取り出す。
「……よし、ついでに着替えてこう。マッハで」


 ♪  ♪  ♪


 遥の部屋の隣、三つある部屋の手前側。本棚が壁のほとんどを埋め尽くした部屋が、まどかの部屋。
「ふぁ」
 あくびをしながらペンを置き、ゆっくりと伸びをする。一応、宿題はこれで終わりだ。
 やおら立ち上がって、窓を開ける。途端、凜とした空気が部屋に充満し、眠気が吹き飛んだ。そして空気に混じって、スパイシーな香り。
 ――――料理のほう、ルガーに任せっきりでよかったのだろうか。
 なんだか申し訳ない気分になってしまい、あまり勉強に実が入らなかった……いや、それは言い訳か。
 クローゼットからくまさんエプロンを取り出して装備すると、自然とまどかの頬がにへらと緩む。まどかは家事全般が好きなのだ。ちなみに尊敬している人物は、おかーさんと、おばーちゃん。ちなみに部屋にある本もこの家も、元々はブラウニング家の別邸だ。
 ヘアゴムで髪をポニーテールに結う。彼女が本気モードになったサインだ。
 ――――今から手伝いに行って、間に合うといいのだが。
 ドアノブに手を掛けて、扉を開け
「ぐぇ」
「……あ、あら?」
 何か……いや、誰かにぶつかって扉が開かない。
 隙間から覗き込むと、そこには顔を押さえてうずくまる三つ編み少女、一条 遥の姿が。
「す、すみません! 大丈夫ですか!?」
「だいじょぶ……生き、てるよ!」
 涙目サムズアップ。おでこが赤くなっている。それにしても「生きてる」とは大雑把な。
「お水、持ってきましょうか? ……あれ?」
 腕の中の遥が動かない。
「遥さん!? 遥さーん!?」


 ♪  ♪  ♪


 着替え終わり、髪もきちんと三つ編みにセットし終わった。準備は万端、かかった時間は大体一分半。超ハイスピード。
「うん、バッチリだ!」
 手鏡を見てニッコリ。さあお手伝いに向かうとしよう!
 扉を開けて廊下へ飛び出す。少しでも早く溶け込むためにも、触れ合う事は重要だ。
「よっしゃ、やる気出てき」
 眼前の扉、いきなりオープン。
「ぐぇ」

 あたま に 75 ダメージ!

「す、すみません! 大丈夫ですか!?」
「だいじょぶ……生き、てるよ!」

 あたま パーツはこわれた!

「お水、持ってきましょうか? ……あれ?」

 ほんたいの きのうが ていしした!

「遥さん!? 遥さーん!?」
 まどかが遥の肩を掴んで激しく揺さぶった。ガクガクと力無く揺れる頭と三つ編み。
「……はっ!?」
 一条 遥、再起動。
「頭大丈夫ですか!?」
 おかしいな、なんか傷つきましたよ? 心が。
「うん、大丈夫。あはははは……」
 おでこを押さえる。ああ、ちょっとだけ熱い。後で水ぶっかけよう。そう思った時、視線に入ったまどかの胸。
「ははは……ぉーぅ」
 遥、谷間に釘付け。これは大きい、つい触りたくなるくらい大きい。
「……? どうしました?」
 怪訝そうな顔のまどかそっちのけで双丘を見詰める。
 これで十四歳の身体だというのか、私なんか十九でこれなのに。
 そういえば、と遥、故郷の妹を思い出す。奴も身長、バスト共に遥の遥か上をいっていた。年齢は……今年で十四、ちょうどまどかと同い年だ。
「……最近の娘は発育がよろしいですなァ」
「そうですか?」
 二人同時に立ち上がると、自然と遥がまどかを見上げる形になる。その差は目測20センチ。
 並んで廊下を歩き始める。
「うん、妹も……まどかちゃん程じゃないけど発育いいんだ」
「わあ、妹さんがいらっしゃるんですか」
「うん、彼方って名前なんだけどねー。私と違って身長高くて、胸おっきくて、がさつで大雑把でちょっとお馬鹿なとこがあって……神子の素質があった。ちなみに現在十四歳、まどかちゃんと同い年」
 しかし姉妹の仲は良好、劣等感はあまりない。姉には姉の、妹には妹の良さがあるというものだ。まあ、ナイスバディが羨ましいのは否定できないが。
 しかし、こう考えると結構身体的な共通点多いなぁ、あの娘も黒髪だし。――――今日で何度目になるだろう、センチメンタリズムに浸る遥。
「是非お会いしたいです」
 黒髪の少女は嬉しそうに目を細める。
「んー、私もチョット見たいかも」
 まどかは第一印象だが……二人の性格は正反対だ。無遠慮な彼方は神子になると言っていたが……。あれから一年、少しは(精神的に)成長しただろうか、あの娘。
 なんて考えながら階段を降りて、廊下を歩いて、気が付けばそこはキッチン。
「よし、来たね。遥ちゃん、まどかちゃん」
 エプロン装備のマッシブな巨漢がお出迎え。そして巨漢の向こうには――――

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