アジア統一連合『Asia unnied aggregate.』通称アジア統連、またAUAをという。
この政府が誕生したのはおおよそ五十年ほど前、当時の東アジアは経済不況、政治腐敗、そして各国の内乱
などによりに揺れていた。
そんなある日、大国である中華人民共和国が崩壊したことで東アジアのパワーバランスが崩れ、様々な国が
自衛や勢力の増加などを目論んだため大規模な戦争を引き起こされた。
この戦争は『東アジア統一戦争』と呼ばれ様々な国が自らの歴史を振り返り、たて直す契機にもなった。
しかし今までの歴史を振り返るいう行為は聞こえが良いが実際は自分達が信じてきたものが全て崩れ落ちた瞬間でもあるのだ。
そして戦争が終わり数年後、当時の旧中華人民共和国北部に存在する『黄国』の大統領が日本、韓国、南中
国などに安全保障条約を結ぼうと申し出てきた。
当然のように各国の様々な政治的駆け引きがあったが条約は締結、巨大な軍事組織が誕生した瞬間であった。
数ヵ月後には軍事的だけではなく経済や文化的な交流を含むようとなり一種の巨大な国家となった。
さらにそこから数年後、タイやベトナム、ミャンマーなどの東南アジアも加わり、さらに組織は肥大化しア
ジアの歴史至上もっとも巨大な国家群となったのだった。
アジア統連初代元首の劉元昌は県政を敷き、合衆国のように細部の政治は各国に任せる形を取る。
これが効したのか、未だにアジア統連は巨大な国家を形成しつつ独自の文化を作り上げていった。
そして西暦2509年現在、この巨大な国家はユニオンとステイツに並ぶ巨大な先進国となったのだった。
この政府が誕生したのはおおよそ五十年ほど前、当時の東アジアは経済不況、政治腐敗、そして各国の内乱
などによりに揺れていた。
そんなある日、大国である中華人民共和国が崩壊したことで東アジアのパワーバランスが崩れ、様々な国が
自衛や勢力の増加などを目論んだため大規模な戦争を引き起こされた。
この戦争は『東アジア統一戦争』と呼ばれ様々な国が自らの歴史を振り返り、たて直す契機にもなった。
しかし今までの歴史を振り返るいう行為は聞こえが良いが実際は自分達が信じてきたものが全て崩れ落ちた瞬間でもあるのだ。
そして戦争が終わり数年後、当時の旧中華人民共和国北部に存在する『黄国』の大統領が日本、韓国、南中
国などに安全保障条約を結ぼうと申し出てきた。
当然のように各国の様々な政治的駆け引きがあったが条約は締結、巨大な軍事組織が誕生した瞬間であった。
数ヵ月後には軍事的だけではなく経済や文化的な交流を含むようとなり一種の巨大な国家となった。
さらにそこから数年後、タイやベトナム、ミャンマーなどの東南アジアも加わり、さらに組織は肥大化しア
ジアの歴史至上もっとも巨大な国家群となったのだった。
アジア統連初代元首の劉元昌は県政を敷き、合衆国のように細部の政治は各国に任せる形を取る。
これが効したのか、未だにアジア統連は巨大な国家を形成しつつ独自の文化を作り上げていった。
そして西暦2509年現在、この巨大な国家はユニオンとステイツに並ぶ巨大な先進国となったのだった。
ボルスがベットにたどり着いたのはバイラムがユニオンの基地を襲撃してから九時間後のことであった。
既に身体は悲鳴あげており、このまま床に倒れたとしても後悔しないだろう。
フラフラの身体を精神力で支えながらベットを目指す。
「こんなことで音をあげるとは・・・ 軍人失格だな、私は」
風呂に入ることも着替えることもせずそのままベッドに倒れこむとあっという間に寝息を立てていた。
今から六時間前、バイラムが去り事態が収束し一段落した頃であった。
辺りはすっかり暗くなり幾万もの星が瞬いている。
「ボルス、帰還命令が出たぞ」
ホテルに向かう道中、ケントがパソコンのティスプレイを眺めながら言った。
「そうか・・・」
ボルスは案の定と言った顔でハンドルを握っている。
「やれやれ、うちの軍事顧問はこの件をどう思っているんだろうね」
ケントはキーボードのキーを叩き始める。
「どうした、急に」
「いや、あれだけの力を誇示されたんだ。なにかアクションがあってもおかしく無いと思うんだけど」
バイラムの存在、あれによりステイツの上層部はバイラムに対するデータなどを持ってくるように命令をす
るはず。
だが来たのは簡単な帰還命令だけ、データのDも見当たらない。
ましてやあの正義主義者達がこのまま黙っているわけが無い。
「一体何を考えているのやら」
ケントは肩を竦めるとパソコンの電源を落とし、シートにもたれ掛かった。
「鹵獲する、なんてことは無いと思いたいな」
ボルスは一人の兵士としての思いを口にする。
「いや、ありうるな。只でさえステイツは更なる力を求めているし、バイラムの技術は実に魅力的だ」
ケントは技術者としての言葉をボルスに言葉を返した。
「まあ、どちらにしても帰らなきゃいけないな、ボルス」
「そうだな・・・ところでホテルはこの道を真っ直ぐだったよな?」
ボルスが辺りを見渡しながら車を進める。
「へ? 僕たちが宿泊しているホテルは十四番地だよ」
「十四番地だと!三十分前に過ぎ去ってしまったぞ!」
ボルス思わず声をあげる。
「なんだって!? おい、ボルス。君が言ったんだぞ、帰りの運転は任せてくれって!」
ケントは素っ頓狂な声をあげる。
「仕方ないだろう! ミスは誰にでもある!」
「僕はニアミスを許せない主義なんだ!」
金切り声を上げながらボルスの首を締め上げる。
「ならばあらかじめ教えておいて欲しいものだ!」
ボルスは思いっきりハンドルを回す。
「そういうところが――」
二人の男を乗せた車は蛇行をしながら夜の闇へと消えていった。
既に身体は悲鳴あげており、このまま床に倒れたとしても後悔しないだろう。
フラフラの身体を精神力で支えながらベットを目指す。
「こんなことで音をあげるとは・・・ 軍人失格だな、私は」
風呂に入ることも着替えることもせずそのままベッドに倒れこむとあっという間に寝息を立てていた。
今から六時間前、バイラムが去り事態が収束し一段落した頃であった。
辺りはすっかり暗くなり幾万もの星が瞬いている。
「ボルス、帰還命令が出たぞ」
ホテルに向かう道中、ケントがパソコンのティスプレイを眺めながら言った。
「そうか・・・」
ボルスは案の定と言った顔でハンドルを握っている。
「やれやれ、うちの軍事顧問はこの件をどう思っているんだろうね」
ケントはキーボードのキーを叩き始める。
「どうした、急に」
「いや、あれだけの力を誇示されたんだ。なにかアクションがあってもおかしく無いと思うんだけど」
バイラムの存在、あれによりステイツの上層部はバイラムに対するデータなどを持ってくるように命令をす
るはず。
だが来たのは簡単な帰還命令だけ、データのDも見当たらない。
ましてやあの正義主義者達がこのまま黙っているわけが無い。
「一体何を考えているのやら」
ケントは肩を竦めるとパソコンの電源を落とし、シートにもたれ掛かった。
「鹵獲する、なんてことは無いと思いたいな」
ボルスは一人の兵士としての思いを口にする。
「いや、ありうるな。只でさえステイツは更なる力を求めているし、バイラムの技術は実に魅力的だ」
ケントは技術者としての言葉をボルスに言葉を返した。
「まあ、どちらにしても帰らなきゃいけないな、ボルス」
「そうだな・・・ところでホテルはこの道を真っ直ぐだったよな?」
ボルスが辺りを見渡しながら車を進める。
「へ? 僕たちが宿泊しているホテルは十四番地だよ」
「十四番地だと!三十分前に過ぎ去ってしまったぞ!」
ボルス思わず声をあげる。
「なんだって!? おい、ボルス。君が言ったんだぞ、帰りの運転は任せてくれって!」
ケントは素っ頓狂な声をあげる。
「仕方ないだろう! ミスは誰にでもある!」
「僕はニアミスを許せない主義なんだ!」
金切り声を上げながらボルスの首を締め上げる。
「ならばあらかじめ教えておいて欲しいものだ!」
ボルスは思いっきりハンドルを回す。
「そういうところが――」
二人の男を乗せた車は蛇行をしながら夜の闇へと消えていった。
「材料は鉄と銅と錫…」
ボルスがベットで寝息を立てている頃、ケントはパソコンに向かっていた。
近い未来、対バイラム兵器の開発を開発しなくてはいけないだろう。
だがあれに打ち勝つには並大抵の技術では歯が立たない。
その為にはバイラムの装甲に傷をつけることから始めよう。
ケントは近くにあるコーヒーカップを傾ける。
「あっ、無いのか…」
こういうときにコーヒーメーカーがあれば良いんだけど、場所をとるからな・・・
ケントが気を取り直して再びディスプレイのほうを向くと画面にエラーの文字が映っていた。
「駄目か、次はパターン398で……」
再びキーを叩き計算を始める。
彼がゆっくりと眠れるのはのはかなり後になりそうだ。
ボルスがベットで寝息を立てている頃、ケントはパソコンに向かっていた。
近い未来、対バイラム兵器の開発を開発しなくてはいけないだろう。
だがあれに打ち勝つには並大抵の技術では歯が立たない。
その為にはバイラムの装甲に傷をつけることから始めよう。
ケントは近くにあるコーヒーカップを傾ける。
「あっ、無いのか…」
こういうときにコーヒーメーカーがあれば良いんだけど、場所をとるからな・・・
ケントが気を取り直して再びディスプレイのほうを向くと画面にエラーの文字が映っていた。
「駄目か、次はパターン398で……」
再びキーを叩き計算を始める。
彼がゆっくりと眠れるのはのはかなり後になりそうだ。
所変わってアジア統連の最東部に位置する日本県、福岡市。
日本の南方に位置する福岡は既に春真っ盛りであり、桜が所狭しと開花してる。
そんな桜並木が並ぶ道のそばにある大きなマンションから一人の少年が扉を開け出てくる。
手には大きなゴミ袋を持っており、そのままエレベーターに乗り込む。
そして一階に付くと小走りでゴミ集積所に急ぐ。
「まだ来てないみたいだな、よっと」
少年が周囲を見渡しゴミ袋を乱雑に置くと後ろから声をかけられた。
「すみません、あの、ここら辺に森宮さんのお宅はどこでしょうか?」
少年が振り向くと一人の女性が立っていた。
女性は鮮やかな黒髪を後頭部の天辺でお団子にしており、紺の上着とタイトスカート、そして白のブラウス
を着ている。顔にはなぜかサングラスをかけており一見すれば勘違いを犯したスパイと言った感じだった。
「僕が森宮ですけど…… 失礼ですがあなたは?」
森宮は疑いの眼差しで女性を見る。
「えっと私は…」
「押し売りなら結構です」
少年は強気の言葉を口にする。
「違います!」
女性は少し怒ったような顔をしている。
「久しぶりだね…祐一君!」
女性がサングラスを取ると少年は彼女が誰であるかを思い出した。
「もしかして・・・奈央さん・・・隣の家に住んでいた水原奈央さん?」
「あたりー!」
女性は、奈央は思いっきり少年を、祐一を抱きしめる。
「奈央さん! ちょっと離して下さい!」
「良いじゃない、久しぶりの再開なんだから」
その際胸が祐一の顔に当たるが奈央はお構い無しだ。
「分かりましたから!そろそろ…… 苦しい……」
祐一は奈央の腕を力技で振り解くと激しく深呼吸をした。
「ここで話をするのもなんですから部屋に来てくださいよ」
「了解」
二人は祐一の部屋に歩いていった。
日本の南方に位置する福岡は既に春真っ盛りであり、桜が所狭しと開花してる。
そんな桜並木が並ぶ道のそばにある大きなマンションから一人の少年が扉を開け出てくる。
手には大きなゴミ袋を持っており、そのままエレベーターに乗り込む。
そして一階に付くと小走りでゴミ集積所に急ぐ。
「まだ来てないみたいだな、よっと」
少年が周囲を見渡しゴミ袋を乱雑に置くと後ろから声をかけられた。
「すみません、あの、ここら辺に森宮さんのお宅はどこでしょうか?」
少年が振り向くと一人の女性が立っていた。
女性は鮮やかな黒髪を後頭部の天辺でお団子にしており、紺の上着とタイトスカート、そして白のブラウス
を着ている。顔にはなぜかサングラスをかけており一見すれば勘違いを犯したスパイと言った感じだった。
「僕が森宮ですけど…… 失礼ですがあなたは?」
森宮は疑いの眼差しで女性を見る。
「えっと私は…」
「押し売りなら結構です」
少年は強気の言葉を口にする。
「違います!」
女性は少し怒ったような顔をしている。
「久しぶりだね…祐一君!」
女性がサングラスを取ると少年は彼女が誰であるかを思い出した。
「もしかして・・・奈央さん・・・隣の家に住んでいた水原奈央さん?」
「あたりー!」
女性は、奈央は思いっきり少年を、祐一を抱きしめる。
「奈央さん! ちょっと離して下さい!」
「良いじゃない、久しぶりの再開なんだから」
その際胸が祐一の顔に当たるが奈央はお構い無しだ。
「分かりましたから!そろそろ…… 苦しい……」
祐一は奈央の腕を力技で振り解くと激しく深呼吸をした。
「ここで話をするのもなんですから部屋に来てくださいよ」
「了解」
二人は祐一の部屋に歩いていった。
「どうぞ、粗茶ですけれど…」
祐一は居間のテーブルに座っている奈央の目の前にお茶を置く。
「どうぞ、お構いなく・・・って言った方が良い?」
お茶の水面に奈央の顔が映る。
「言わないほうが奈央さんらしくて好きですよ、僕は」
奈央はほっとため息を付く。
「助かったわ、堅苦しい言葉って嫌いなのよ」
奈央は一息を着くと部屋を見渡した。
「へぇ、結構綺麗じゃない」
「掃除は欠かしてませんよ」
祐一はにこやかに答える。
「所で奈央さんは何をしているんですか?」
この問いに奈央は苦い顔をする
「軍人よ」
「軍人!? 軍人ってあの鉄砲とか持ったり、戦車とかに乗るアレですか?」
意外な答えに祐一はただ驚くしかなかった。
そんな祐一を見ながら奈央はにやけた笑みを浮かべながら質問をした。
「今度は私の質問、祐一君は彼女とかいる?」
「え?ええっと…… いますけど」
こちらも意外な答えに驚いた。
「嘘でしょ?」
「本当です。一応メールを見せましょうか?」
「結構です。あっ、そういえばお父さんは元気?」
奈央が祐一の父親の事を聞くと祐一は暗い顔をして黙り込んでしまった。
そして暫くして祐一は重々しい口を開いた。
「…… 父さんは、行方不明です」
「え?」
突然の事に奈央は呆気に取られた。
一方の祐一はテーブルに視線を置きながらゆっくりと話し始めた。
「今から三年前に父さんたちを乗せた探査艦が突然音信普通になったんです」
祐一は苦々しい顔をする。
「もちろん調査として無人のロケットを飛ばしましたが手がかりも無し、国連の見解では突然現れた隕石によ
って粉々に破壊されたって言われていますけど、実際はそんなものとは思えません。もっと別の何かだと僕は
思うんですけど政府の人たちは詳しい事を教えてくれません」
あの辺りには隕石群なんてなかったはず。
握りこぶしを作りながら苛立ちを押さえ込む。
「おまけに母さんの病気は悪化してそのまま寝たきりになっちゃって、八方塞でしたよ。」
祐一は弱弱しく笑う。その顔がとても痛々しい。
私、この子に何が出来るんだろう。
奈央は自分が何も出来ないことに唇を噛み締めた。
「ハロー!ユウイチ!」
重苦しい雰囲気になっていた所に突然一人の少女がやってきた。
少女は長い金色の髪を二つに束ねていて上は白のブラウスとピンクのカーディガンを着ており、下は水色の
スカートと白のロングソックスををはいている。顔は白人らしく目鼻が通っておりとても可愛らしかった。
「……Who Are You!?」
大げさなリアクションで奈央を指差す。
「え?」
あまり突然の事に奈央は目を白黒させている。
「あなたは誰って聞いているのよ!」
「あっ、そういうことか。私は水原奈央、よろしくね」
奈央は笑顔で応対する。しかし……。
「ふーん、ユウイチ、こんなおばさんに誘惑されてもついてっちゃダメだよ」
彼女の一言で笑顔が一転、般若の形相になる。
「誰がおばさんですって!?」
「あなたに決まってるじゃない!」
売り言葉に買い言葉、まさに修羅場化している。
「あなたに決まってるでしょうが!」
「落ち着いてよ、メアリー。この人は昔の知りあいだよ。」
いままで黙って祐一がメアリーを諭す。
「ふーん、そうとは思えないわ! 祐一、一人で住んでるし、顔も結構良いし」
きっと愛人にするに違いないわ!
「あのね、お話が飛びすぎのような気がするんだけど」
奈央は冷静さを取り戻すもののやっぱり許せないらしく顔が真っ赤になっていた。
「とにかく! 出て行きなさい! GET OUT!」
「ぐぬぬ!こうなったら意地でも張り付いてやるわ!」
奈央がメアリーに食って掛かろうとしたその時。
「いい加減にしないか!」
祐一の怒声で二人は豆でも食らったかのように言葉を失った。
「ごめんなさい…」
「SORRY」
二人はお互いに頭を下げる。
「よろしい、所で奈央さん、何の用でこの福岡へ来たんですか?」
祐一の質問に奈央は得意顔で答える。
「明日から重慶のほうに行くのよ。」
「明日?って事は今日の飛行機に乗るって事ですよね?」
「ええ・・・ってちょっと、今何時!?」
奈央は時計を見る。今はもう11時過ぎだ。
「まずい!そろそろ行かないと!」
奈央は慌てて靴を履くと玄関から出て行こうとする。
「大丈夫ですよ、飛行機はちょっと遅れるみたいですから」
祐一は携帯電話のディスプレイを見せる。重慶行き、四十分遅れで運行中。
「よかったぁ・・・」
「でも時間を無駄にするのもいけないと思うのでタクシーを呼んでおきましたから。」
「ありがとう!祐一君!」
奈央は祐一の頬にキスをしようとする。
「NO!やっぱり祐一を・・・」
しかしメアリーが今にも噛み付きそうな目で奈央を見ていた
祐一は居間のテーブルに座っている奈央の目の前にお茶を置く。
「どうぞ、お構いなく・・・って言った方が良い?」
お茶の水面に奈央の顔が映る。
「言わないほうが奈央さんらしくて好きですよ、僕は」
奈央はほっとため息を付く。
「助かったわ、堅苦しい言葉って嫌いなのよ」
奈央は一息を着くと部屋を見渡した。
「へぇ、結構綺麗じゃない」
「掃除は欠かしてませんよ」
祐一はにこやかに答える。
「所で奈央さんは何をしているんですか?」
この問いに奈央は苦い顔をする
「軍人よ」
「軍人!? 軍人ってあの鉄砲とか持ったり、戦車とかに乗るアレですか?」
意外な答えに祐一はただ驚くしかなかった。
そんな祐一を見ながら奈央はにやけた笑みを浮かべながら質問をした。
「今度は私の質問、祐一君は彼女とかいる?」
「え?ええっと…… いますけど」
こちらも意外な答えに驚いた。
「嘘でしょ?」
「本当です。一応メールを見せましょうか?」
「結構です。あっ、そういえばお父さんは元気?」
奈央が祐一の父親の事を聞くと祐一は暗い顔をして黙り込んでしまった。
そして暫くして祐一は重々しい口を開いた。
「…… 父さんは、行方不明です」
「え?」
突然の事に奈央は呆気に取られた。
一方の祐一はテーブルに視線を置きながらゆっくりと話し始めた。
「今から三年前に父さんたちを乗せた探査艦が突然音信普通になったんです」
祐一は苦々しい顔をする。
「もちろん調査として無人のロケットを飛ばしましたが手がかりも無し、国連の見解では突然現れた隕石によ
って粉々に破壊されたって言われていますけど、実際はそんなものとは思えません。もっと別の何かだと僕は
思うんですけど政府の人たちは詳しい事を教えてくれません」
あの辺りには隕石群なんてなかったはず。
握りこぶしを作りながら苛立ちを押さえ込む。
「おまけに母さんの病気は悪化してそのまま寝たきりになっちゃって、八方塞でしたよ。」
祐一は弱弱しく笑う。その顔がとても痛々しい。
私、この子に何が出来るんだろう。
奈央は自分が何も出来ないことに唇を噛み締めた。
「ハロー!ユウイチ!」
重苦しい雰囲気になっていた所に突然一人の少女がやってきた。
少女は長い金色の髪を二つに束ねていて上は白のブラウスとピンクのカーディガンを着ており、下は水色の
スカートと白のロングソックスををはいている。顔は白人らしく目鼻が通っておりとても可愛らしかった。
「……Who Are You!?」
大げさなリアクションで奈央を指差す。
「え?」
あまり突然の事に奈央は目を白黒させている。
「あなたは誰って聞いているのよ!」
「あっ、そういうことか。私は水原奈央、よろしくね」
奈央は笑顔で応対する。しかし……。
「ふーん、ユウイチ、こんなおばさんに誘惑されてもついてっちゃダメだよ」
彼女の一言で笑顔が一転、般若の形相になる。
「誰がおばさんですって!?」
「あなたに決まってるじゃない!」
売り言葉に買い言葉、まさに修羅場化している。
「あなたに決まってるでしょうが!」
「落ち着いてよ、メアリー。この人は昔の知りあいだよ。」
いままで黙って祐一がメアリーを諭す。
「ふーん、そうとは思えないわ! 祐一、一人で住んでるし、顔も結構良いし」
きっと愛人にするに違いないわ!
「あのね、お話が飛びすぎのような気がするんだけど」
奈央は冷静さを取り戻すもののやっぱり許せないらしく顔が真っ赤になっていた。
「とにかく! 出て行きなさい! GET OUT!」
「ぐぬぬ!こうなったら意地でも張り付いてやるわ!」
奈央がメアリーに食って掛かろうとしたその時。
「いい加減にしないか!」
祐一の怒声で二人は豆でも食らったかのように言葉を失った。
「ごめんなさい…」
「SORRY」
二人はお互いに頭を下げる。
「よろしい、所で奈央さん、何の用でこの福岡へ来たんですか?」
祐一の質問に奈央は得意顔で答える。
「明日から重慶のほうに行くのよ。」
「明日?って事は今日の飛行機に乗るって事ですよね?」
「ええ・・・ってちょっと、今何時!?」
奈央は時計を見る。今はもう11時過ぎだ。
「まずい!そろそろ行かないと!」
奈央は慌てて靴を履くと玄関から出て行こうとする。
「大丈夫ですよ、飛行機はちょっと遅れるみたいですから」
祐一は携帯電話のディスプレイを見せる。重慶行き、四十分遅れで運行中。
「よかったぁ・・・」
「でも時間を無駄にするのもいけないと思うのでタクシーを呼んでおきましたから。」
「ありがとう!祐一君!」
奈央は祐一の頬にキスをしようとする。
「NO!やっぱり祐一を・・・」
しかしメアリーが今にも噛み付きそうな目で奈央を見ていた
「じゃあ、私はこれで…」
奈央は先ほど呼んでいたタクシーに乗り込む。
「はい、奈央さん…また会えますよね?」
少し寂しそうな祐一の顔を見て奈央は優しくいう。
「もちろんよ、じゃあ祐一君、女の子に優しくね」
「分かっています、それじゃ奈央さん、また」
「うん、またね」
奈央が窓から大きく手を振るとタクシーは走って行った。
「ところで一体何のようだったの、メアリー」
「OH!ごめんね、今日はね、ええっと…… じゃーん!新型携帯電話を買ったんだよ」
メアリーは祐一に銀色の携帯電話を見せ付ける。
「もしかして・・・たったそれだけのためにここに来たわけ?」
「YES!」
あまりの下らなさに祐一は怒ることも出来ず思わず噴き出してしまう。
「くくっ、な、なんだよ、それ」
「うーん、相変わらず祐一は笑った顔が可愛いよ・・・」
「こら、男に可愛いはないだろ?」
「だってホントに良い顔してるんだもん」
メアリーはそういうとおもむろに駆け出した
「あっ、待ってよ。メアリー!」
祐一も彼女を追って走り出した。
奈央は先ほど呼んでいたタクシーに乗り込む。
「はい、奈央さん…また会えますよね?」
少し寂しそうな祐一の顔を見て奈央は優しくいう。
「もちろんよ、じゃあ祐一君、女の子に優しくね」
「分かっています、それじゃ奈央さん、また」
「うん、またね」
奈央が窓から大きく手を振るとタクシーは走って行った。
「ところで一体何のようだったの、メアリー」
「OH!ごめんね、今日はね、ええっと…… じゃーん!新型携帯電話を買ったんだよ」
メアリーは祐一に銀色の携帯電話を見せ付ける。
「もしかして・・・たったそれだけのためにここに来たわけ?」
「YES!」
あまりの下らなさに祐一は怒ることも出来ず思わず噴き出してしまう。
「くくっ、な、なんだよ、それ」
「うーん、相変わらず祐一は笑った顔が可愛いよ・・・」
「こら、男に可愛いはないだろ?」
「だってホントに良い顔してるんだもん」
メアリーはそういうとおもむろに駆け出した
「あっ、待ってよ。メアリー!」
祐一も彼女を追って走り出した。
水原奈央は重慶に向かう飛行機の中で森宮祐一の言葉を反芻していた。
僕の父さんは三年前に行方不明になりました。遺品も遺書も何一つありません。
「一明さん・・・」
奈央は祐一の父、一明の名前を呟く。
私がまだ中学生だった時、隣に住んでいたのが森宮一家だった。
頼りがいのある父親の一明さん、優しく温かい母親の理香さん、そして元気でやんちゃな息子の祐一君。
当時の私は反抗期真っ只中で両親といつも喧嘩をしていたっけ。口煩いとかお父さんと一緒に洗濯しないで
とかそんなのばっかり。
おまけに進路の事でひと悶着があって家出したこともあったっけ。
私を支えてくれた一明さん。こう言うのもなんだけど同級生の男の子より素敵だったな。
「奈央ちゃん、夢があるならそこに行ったほうが良い。他の誰でもない君の夢なんだから…」
両親よりも私を信じてくれた一明さん。このままで良いって言ってくれた一明さん。
そんな一明さんに憧れて私は超巨大宇宙船の開発者になろうと頑張ったけど人生は上手く行かず、偶然に入
れたのがこともあろうに軍っていうお粗末な結果。でも軍艦とはいえ宇宙船を作れたのは正直嬉しい。
その一明さんは私が高校に入る頃になると家族を連れて福岡に引っ越してしまった。
一明さんの夢である外宇宙探索チームがついに結成されたのだ。
しかし祐一君の話によると三年前に一明さんが乗る調査艦が音信不通となってしまったようだ。
政府からの見解は何も無く、遺書や遺品といった物も何一つ発見されていないらしい。
一体何があったっていうの……
奈央は軽くため息を付くと通路のほうからCAが声をかけてきた。
「あの・・・」
奈央はCAのほうに顔を向ける。
「お飲み物はいかがですか?」
CAはにこやかな笑みを浮かべながら奈央に聞いてくる。
「えっと、じゃあ烏龍茶をお願いします」
「はい、かしこまりました」
CAは手際よくカップを取り出し烏龍茶を注ぐ。
奈央は飲み物を受け取ると再び窓の外を眺めながら物思いに耽った。
「あれから八年か・・・」
今度は祐一の事を思い出す。
久々に会った祐一君は子供の頃とは違いすっかり大人の雰囲気を身につけていたな。
それにやっぱり親子なのか目元とか仕草が一明さんそっくり。
それに隣にいた女の子・・・メアリーちゃんだったっけ? あの子も可愛かったな。
あの二人って恋人なのかな? だとしたらどこまで進んでるんだろ?
帰ってきたら絶対聞いてみようっと。
奈央は思わず顔がにやけながら窓の外を眺めていた。
「間もなく、重慶に到着します。安全の為シートベルトを…」
CAの声で奈央は我に返る。
そして辺りを見渡すと既に着陸態勢に入っていることに気が付いた。
「今はやるべき事をやらないと……」
奈央はシートベルトを締めるとこれからの事を思い出した。
僕の父さんは三年前に行方不明になりました。遺品も遺書も何一つありません。
「一明さん・・・」
奈央は祐一の父、一明の名前を呟く。
私がまだ中学生だった時、隣に住んでいたのが森宮一家だった。
頼りがいのある父親の一明さん、優しく温かい母親の理香さん、そして元気でやんちゃな息子の祐一君。
当時の私は反抗期真っ只中で両親といつも喧嘩をしていたっけ。口煩いとかお父さんと一緒に洗濯しないで
とかそんなのばっかり。
おまけに進路の事でひと悶着があって家出したこともあったっけ。
私を支えてくれた一明さん。こう言うのもなんだけど同級生の男の子より素敵だったな。
「奈央ちゃん、夢があるならそこに行ったほうが良い。他の誰でもない君の夢なんだから…」
両親よりも私を信じてくれた一明さん。このままで良いって言ってくれた一明さん。
そんな一明さんに憧れて私は超巨大宇宙船の開発者になろうと頑張ったけど人生は上手く行かず、偶然に入
れたのがこともあろうに軍っていうお粗末な結果。でも軍艦とはいえ宇宙船を作れたのは正直嬉しい。
その一明さんは私が高校に入る頃になると家族を連れて福岡に引っ越してしまった。
一明さんの夢である外宇宙探索チームがついに結成されたのだ。
しかし祐一君の話によると三年前に一明さんが乗る調査艦が音信不通となってしまったようだ。
政府からの見解は何も無く、遺書や遺品といった物も何一つ発見されていないらしい。
一体何があったっていうの……
奈央は軽くため息を付くと通路のほうからCAが声をかけてきた。
「あの・・・」
奈央はCAのほうに顔を向ける。
「お飲み物はいかがですか?」
CAはにこやかな笑みを浮かべながら奈央に聞いてくる。
「えっと、じゃあ烏龍茶をお願いします」
「はい、かしこまりました」
CAは手際よくカップを取り出し烏龍茶を注ぐ。
奈央は飲み物を受け取ると再び窓の外を眺めながら物思いに耽った。
「あれから八年か・・・」
今度は祐一の事を思い出す。
久々に会った祐一君は子供の頃とは違いすっかり大人の雰囲気を身につけていたな。
それにやっぱり親子なのか目元とか仕草が一明さんそっくり。
それに隣にいた女の子・・・メアリーちゃんだったっけ? あの子も可愛かったな。
あの二人って恋人なのかな? だとしたらどこまで進んでるんだろ?
帰ってきたら絶対聞いてみようっと。
奈央は思わず顔がにやけながら窓の外を眺めていた。
「間もなく、重慶に到着します。安全の為シートベルトを…」
CAの声で奈央は我に返る。
そして辺りを見渡すと既に着陸態勢に入っていることに気が付いた。
「今はやるべき事をやらないと……」
奈央はシートベルトを締めるとこれからの事を思い出した。
「遅い! 貴様も軍人なら三十分前には到着するように心掛けろ!」
奈央が重慶について最初に聞いた第一声がこれだった。
「えっとあなたは…どちら様でしょうか?」
奈央は目をパチクリさせながら目の前の男性を見る。
男性は黒いスーツを着ており、アジア人特有の肌と黒髪をしていた。
「私の名前はチャウ・リーシェン!日本人の言葉で言えば趙凛深という名前だ」
男は自分の名を奈央に名乗ったので奈央もそれに従い自己紹介をした。
「私は水原奈央、階級は伍長よ」
「伍長?という事は私より一つ下か」
リーシェンはそう言いながら奈央をみる。
一つ下、という事は軍曹なのね。
でも言い方がムカつくわね。
「あの・・・」
「おお、バスが来たぞ」
リーシェンに文句を言おうとした時運悪くバスが着てしまった。
二人はバスの座席に座ると突然リーシェンがこんな事を聞いてきた。
「ところでこれから行く場所がどんな所か理解しているか?」
バスに揺られながらリーシェンが聞いてきた。
「いいえ? 普通の軍事基地でしょ?」
中国大陸南よりの普通の軍事基地、それが奈央の印象だ。
「お前は愚かだな」
「なっ!」
「これから行く場所はあの伝説の英雄『荒鷹』こと、ソウ・ヨウシンがいる基地なんだぞ!」
「『荒鷹』ってあの?」
ソウ・ヨウシン、彼は今から十年以上も前の戦争で活躍した英雄である。それだけではない、天安門に立て
篭もったテロリストを死者を出さずに解決したり、アジア統連で初めてPM部隊を設立したなど武勲をあげれ
ば切りがない。
「その英雄と一緒に任務が出来るのだ。気を引き締めろ!水原!」
「はいはい…」
リーシェンの熱意がこもった言葉に奈央はただ口だけで返事をするだけであった。
奈央が重慶について最初に聞いた第一声がこれだった。
「えっとあなたは…どちら様でしょうか?」
奈央は目をパチクリさせながら目の前の男性を見る。
男性は黒いスーツを着ており、アジア人特有の肌と黒髪をしていた。
「私の名前はチャウ・リーシェン!日本人の言葉で言えば趙凛深という名前だ」
男は自分の名を奈央に名乗ったので奈央もそれに従い自己紹介をした。
「私は水原奈央、階級は伍長よ」
「伍長?という事は私より一つ下か」
リーシェンはそう言いながら奈央をみる。
一つ下、という事は軍曹なのね。
でも言い方がムカつくわね。
「あの・・・」
「おお、バスが来たぞ」
リーシェンに文句を言おうとした時運悪くバスが着てしまった。
二人はバスの座席に座ると突然リーシェンがこんな事を聞いてきた。
「ところでこれから行く場所がどんな所か理解しているか?」
バスに揺られながらリーシェンが聞いてきた。
「いいえ? 普通の軍事基地でしょ?」
中国大陸南よりの普通の軍事基地、それが奈央の印象だ。
「お前は愚かだな」
「なっ!」
「これから行く場所はあの伝説の英雄『荒鷹』こと、ソウ・ヨウシンがいる基地なんだぞ!」
「『荒鷹』ってあの?」
ソウ・ヨウシン、彼は今から十年以上も前の戦争で活躍した英雄である。それだけではない、天安門に立て
篭もったテロリストを死者を出さずに解決したり、アジア統連で初めてPM部隊を設立したなど武勲をあげれ
ば切りがない。
「その英雄と一緒に任務が出来るのだ。気を引き締めろ!水原!」
「はいはい…」
リーシェンの熱意がこもった言葉に奈央はただ口だけで返事をするだけであった。
重慶の基地に着くと奈央とリーシェンはアジア統連の軍服に着替え、司令室に向かった。
二人は司令室の扉の前に立つと目の前の扉が開かれた。
「失礼します! 本日この第五師団、アジア中南基地に配属されたチャウ・リーシェン軍曹です!」
「同じく水原奈央伍長です!」
二人は踵をそろえ背筋を伸ばし敬礼をする。
「ふむ、良く来たね・・・」
そこには優しいそうな中年男性が座っていた。
年齢は五十代後半、柔らかな瞳と穏やかな口調。禿げ上がった頭に白髪が後頭部に申し訳程度ついており白
い口髭がこの人物の年季を表していた。そして制服の襟にはAUAの将校である証の銀の星が付いている。
彼がこの基地の司令官、ソウ・ヨウシンである。
リーシェンは目の前の男性をじっとみる。
これがあの伝説の『荒鷹』なのか? イメージとは全く違うな。
奈央は奈央の方は緊張しているのか敬礼をしたまま固まっていた。
「はっ!これが辞令書です!」
「どうぞお受け取り下さい」
リーシェンと奈央は懐から一枚の紙を取り出すと基地司令に両手で差し出した。
「ほほう、なるほど…」
ヨウシンが辞令書を流し読みをすると二人のほうに目をむける。
「ええっと…… チャウ君の配属先は第三空陸大隊だね、水原君は第八機動部隊。これが命令書だから」
ヨウシンは二人に笑顔を見せながら命令書を差し出す。
「じゃあ、後は向こうの隊長に従ってね」
「はい、失礼します!」
二人は再び敬礼をするとそのまま部屋を出て行った。
二人は司令室の扉の前に立つと目の前の扉が開かれた。
「失礼します! 本日この第五師団、アジア中南基地に配属されたチャウ・リーシェン軍曹です!」
「同じく水原奈央伍長です!」
二人は踵をそろえ背筋を伸ばし敬礼をする。
「ふむ、良く来たね・・・」
そこには優しいそうな中年男性が座っていた。
年齢は五十代後半、柔らかな瞳と穏やかな口調。禿げ上がった頭に白髪が後頭部に申し訳程度ついており白
い口髭がこの人物の年季を表していた。そして制服の襟にはAUAの将校である証の銀の星が付いている。
彼がこの基地の司令官、ソウ・ヨウシンである。
リーシェンは目の前の男性をじっとみる。
これがあの伝説の『荒鷹』なのか? イメージとは全く違うな。
奈央は奈央の方は緊張しているのか敬礼をしたまま固まっていた。
「はっ!これが辞令書です!」
「どうぞお受け取り下さい」
リーシェンと奈央は懐から一枚の紙を取り出すと基地司令に両手で差し出した。
「ほほう、なるほど…」
ヨウシンが辞令書を流し読みをすると二人のほうに目をむける。
「ええっと…… チャウ君の配属先は第三空陸大隊だね、水原君は第八機動部隊。これが命令書だから」
ヨウシンは二人に笑顔を見せながら命令書を差し出す。
「じゃあ、後は向こうの隊長に従ってね」
「はい、失礼します!」
二人は再び敬礼をするとそのまま部屋を出て行った。
「ふう、緊張した…」
奈央は部屋を出ると大きくため息をついた。
「あれが『荒鷹』なのか? 単なる日和見のジジイじゃないか」
リーシェンは鼻息を荒くして言った。
そんなリーシェンに奈央は呆れた声を出す。
「もう、そんな事言わないほうが良いとおもうよ」
「だが事実だ」
リーシェンは胸を張って天井を仰ぎ見たる。
「私は亡きご当主に誓ったのだ。必ずや立派なの将になって見せる、と」
その為にはこんな所で立ち止まってなんていられない。
「ご当主? ご当主って誰なの」
奈央は首をかしげた。
そんな奈央を見て思わずリーシェンは鼻で笑うと遠い目をしながら奈央の疑問に答えた。
「ご当主は私に投資を出してくれた人の事だ。学費や衣食住も全てご当主が用意してくれた。だが一年前に病
を煩ってそのまま亡くなられてしまった。私はご当主に恩返しをしなくてはいけない、周りの者はそんな事は
しなくても良い取っているが私はそれを貫きたい。例えそれが時代遅れだとしてもだ」
リーシェンがそう言うと奈央は呆けた顔で彼を眺めた。
「何だ、その顔は…」
「こう言っちゃなんだけど結構考えてるんだね」
正直意外だったな、リーシェン軍曹ってただ何も考えていない熱血馬鹿だと思ってた。
「当たり前だ!そろそろ我々も配属部隊へ行こう、こんなところで油を売っていては部隊長に迷惑がかかるからな」
「そうだね」
奈央とリーシェンがそれぞれの待機室へ向かおうとする途中、奈央はリーシェンの考えに疑問を持った。
「ねえ、どうして軍人なの? ご当主に恩返しがしたいなら弁護士でも公務員でも十分だと思うんだけど・・・」
「そんなの簡単だ、私の性格を考えると弁護士や公務員と言った頭を使う仕事はどうにも向かないらしい。だ
から軍人というあまり頭を使わない仕事に就いたのだ」
「へ、へえ。そうなんだ…」
リーシェンの答えに思わず開いた口が塞がらなかった。
「奈央、ここでお別れだ。君の部隊はこの通路を真っ直ぐ言った先にある。私はここを左に曲がるからな」
「うん……」
「では、さらばだ」
リーシェン足早に去っていく。
奈央はそんな彼を呆然と見送っていった。
奈央は部屋を出ると大きくため息をついた。
「あれが『荒鷹』なのか? 単なる日和見のジジイじゃないか」
リーシェンは鼻息を荒くして言った。
そんなリーシェンに奈央は呆れた声を出す。
「もう、そんな事言わないほうが良いとおもうよ」
「だが事実だ」
リーシェンは胸を張って天井を仰ぎ見たる。
「私は亡きご当主に誓ったのだ。必ずや立派なの将になって見せる、と」
その為にはこんな所で立ち止まってなんていられない。
「ご当主? ご当主って誰なの」
奈央は首をかしげた。
そんな奈央を見て思わずリーシェンは鼻で笑うと遠い目をしながら奈央の疑問に答えた。
「ご当主は私に投資を出してくれた人の事だ。学費や衣食住も全てご当主が用意してくれた。だが一年前に病
を煩ってそのまま亡くなられてしまった。私はご当主に恩返しをしなくてはいけない、周りの者はそんな事は
しなくても良い取っているが私はそれを貫きたい。例えそれが時代遅れだとしてもだ」
リーシェンがそう言うと奈央は呆けた顔で彼を眺めた。
「何だ、その顔は…」
「こう言っちゃなんだけど結構考えてるんだね」
正直意外だったな、リーシェン軍曹ってただ何も考えていない熱血馬鹿だと思ってた。
「当たり前だ!そろそろ我々も配属部隊へ行こう、こんなところで油を売っていては部隊長に迷惑がかかるからな」
「そうだね」
奈央とリーシェンがそれぞれの待機室へ向かおうとする途中、奈央はリーシェンの考えに疑問を持った。
「ねえ、どうして軍人なの? ご当主に恩返しがしたいなら弁護士でも公務員でも十分だと思うんだけど・・・」
「そんなの簡単だ、私の性格を考えると弁護士や公務員と言った頭を使う仕事はどうにも向かないらしい。だ
から軍人というあまり頭を使わない仕事に就いたのだ」
「へ、へえ。そうなんだ…」
リーシェンの答えに思わず開いた口が塞がらなかった。
「奈央、ここでお別れだ。君の部隊はこの通路を真っ直ぐ言った先にある。私はここを左に曲がるからな」
「うん……」
「では、さらばだ」
リーシェン足早に去っていく。
奈央はそんな彼を呆然と見送っていった。
第八機動部隊の待機室前まで来ると奈央は軽く呼吸を整え扉を開ける。
「失礼します! 本日よりここ、第八機動部隊に配属された水原奈央伍長です」
「ふむ、良く来たな」
そこには二人の女性が座っていた。
ウェーブが掛かった長いブロンド髪、顔は厳しさを滲み出ているが彼女の美しさを損なうことはなく切れ目
と赤い唇が印象的だった。制服をきちんと着こなしているのは彼女が几帳面である事を示しており、襟につい
ているのはアジア統連の仕官の証である青の星がついている。
そしてとなりにいる女性は東南アジアの人間なのか肌がすこし黒いが髪は銀色であった。
金髪?なんで白人がこんな所にいるのかしら?
奈央は不思議そうな顔をする。
「私はこの部隊を任されたナタリア・エイゼンシュテイン大尉だ」
「よろしくお願いします、エイゼンシュテイン大尉」
「私のことはナタリア大尉と呼んでくれ。名字で呼ぶと舌を噛むだろう?」
「了解しました、ナタリア大尉」
奈央の言葉に隣の副官の眉が動く。
「ずいぶん軽々しいですね、伍長」
「え?え?」
副官の言葉に奈央は戸惑う。
「おい、そんなにいじめるな。水原伍長、私もお前の事をナオと呼ばせてもらおう」
「了解しました」
「では第三格納庫へ行きPMの整備を頼む」
今まで眉間に皺を寄せていた奈央の顔がパッと明るくなる。
あっ、そういえば二年前に東ロシアもAUAに入ったんだっけ。
この事を思い出した奈央は胸につっかえていた苦しみが溶けるように無くなった。
「どうした?」
「いえ、それでは格納庫へ向かいます。」
奈央は敬礼をすると部屋から出て行った。
「ふむ、何故私の部隊には女ばかり集まるのだろうな?」
奈央が去った後、ナタリアは隣にいる副官に尋ねる。
「そういう運命なのでは」
副官はそっけない返事を返した。
「失礼します! 本日よりここ、第八機動部隊に配属された水原奈央伍長です」
「ふむ、良く来たな」
そこには二人の女性が座っていた。
ウェーブが掛かった長いブロンド髪、顔は厳しさを滲み出ているが彼女の美しさを損なうことはなく切れ目
と赤い唇が印象的だった。制服をきちんと着こなしているのは彼女が几帳面である事を示しており、襟につい
ているのはアジア統連の仕官の証である青の星がついている。
そしてとなりにいる女性は東南アジアの人間なのか肌がすこし黒いが髪は銀色であった。
金髪?なんで白人がこんな所にいるのかしら?
奈央は不思議そうな顔をする。
「私はこの部隊を任されたナタリア・エイゼンシュテイン大尉だ」
「よろしくお願いします、エイゼンシュテイン大尉」
「私のことはナタリア大尉と呼んでくれ。名字で呼ぶと舌を噛むだろう?」
「了解しました、ナタリア大尉」
奈央の言葉に隣の副官の眉が動く。
「ずいぶん軽々しいですね、伍長」
「え?え?」
副官の言葉に奈央は戸惑う。
「おい、そんなにいじめるな。水原伍長、私もお前の事をナオと呼ばせてもらおう」
「了解しました」
「では第三格納庫へ行きPMの整備を頼む」
今まで眉間に皺を寄せていた奈央の顔がパッと明るくなる。
あっ、そういえば二年前に東ロシアもAUAに入ったんだっけ。
この事を思い出した奈央は胸につっかえていた苦しみが溶けるように無くなった。
「どうした?」
「いえ、それでは格納庫へ向かいます。」
奈央は敬礼をすると部屋から出て行った。
「ふむ、何故私の部隊には女ばかり集まるのだろうな?」
奈央が去った後、ナタリアは隣にいる副官に尋ねる。
「そういう運命なのでは」
副官はそっけない返事を返した。
「失礼します!本日よりこの第三空陸大隊にチャウ・リーシェン軍曹です!」
リーシェンが大声で挨拶をすると一人の男がリーシェンの元へやってくる。
男の動きは機敏で無駄がなくそれでいて慎重さと大胆さが程よいバランスで取れていた。
この男、できる。
リーシェンは一目で男がベテランであることに気が付いた。
「私はこの大隊を任されている、カン・コウシュン中佐だ。よろしく頼む」
コウシュンと呼ばれた男はリーシェンに敬礼をする。
「はっ!よろしくお願いします!」
リーシェンも敬礼で返す。
「知っての通りこの大隊は空陸、空と陸を戦場とする部隊だ。リーシェン軍曹、君の事は聞いている。」
「と言いますと?」
リーシェンは頭を捻った。考え付く限り自分の悪行や迷惑と言った事は何一つ聞いていないからだ
「陸戦歩兵部隊で負け無しのルーキーだと聞いていた。最もパンツァーモービルの戦歴は散々だったみたいだな」
リーシェンは若年軍人高等学校にて素手や白兵戦では優の評価を何度も貰っていた。銃器の扱いはもちろん
のこと、ナイフ、棒術、ボクシングなど訓練では負け無しであった。
だが機動兵器となるとまったくと言って良いほど手も足も出ず、いつも並の評価を貰ってしまってる。
「はぁ・・・」
リーシェンは思わず苦笑いをしてしまう。
「軍曹、そういう時はふてぶてしく笑う物だ。軍人の弱気は死神を呼ぶ、覚えておけ」
コウシュンは真っ直ぐにリーシェンを見据える。
その視線にリーシェンの精神は引き締まっていき、ある考えが思い浮かぶ。
私はこの男に認められたい。運でも偶然でもなく実力でこの男を乗り越えたい。
「了解しました、中佐殿!」
「良い返事だ、よし、今日はお前も我々と同じ訓練メニューに付き合ってもらう、泣き言はいうなよ、軍曹!」
「はっ!」
チャウ・リーシェンとカン・コウシュン、この二人の出会いは人類にとって有益な出会いであった。
リーシェンが大声で挨拶をすると一人の男がリーシェンの元へやってくる。
男の動きは機敏で無駄がなくそれでいて慎重さと大胆さが程よいバランスで取れていた。
この男、できる。
リーシェンは一目で男がベテランであることに気が付いた。
「私はこの大隊を任されている、カン・コウシュン中佐だ。よろしく頼む」
コウシュンと呼ばれた男はリーシェンに敬礼をする。
「はっ!よろしくお願いします!」
リーシェンも敬礼で返す。
「知っての通りこの大隊は空陸、空と陸を戦場とする部隊だ。リーシェン軍曹、君の事は聞いている。」
「と言いますと?」
リーシェンは頭を捻った。考え付く限り自分の悪行や迷惑と言った事は何一つ聞いていないからだ
「陸戦歩兵部隊で負け無しのルーキーだと聞いていた。最もパンツァーモービルの戦歴は散々だったみたいだな」
リーシェンは若年軍人高等学校にて素手や白兵戦では優の評価を何度も貰っていた。銃器の扱いはもちろん
のこと、ナイフ、棒術、ボクシングなど訓練では負け無しであった。
だが機動兵器となるとまったくと言って良いほど手も足も出ず、いつも並の評価を貰ってしまってる。
「はぁ・・・」
リーシェンは思わず苦笑いをしてしまう。
「軍曹、そういう時はふてぶてしく笑う物だ。軍人の弱気は死神を呼ぶ、覚えておけ」
コウシュンは真っ直ぐにリーシェンを見据える。
その視線にリーシェンの精神は引き締まっていき、ある考えが思い浮かぶ。
私はこの男に認められたい。運でも偶然でもなく実力でこの男を乗り越えたい。
「了解しました、中佐殿!」
「良い返事だ、よし、今日はお前も我々と同じ訓練メニューに付き合ってもらう、泣き言はいうなよ、軍曹!」
「はっ!」
チャウ・リーシェンとカン・コウシュン、この二人の出会いは人類にとって有益な出会いであった。
第4話「荒鷹」に続く…
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